特許第6152204号(P6152204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6152204
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】蓋付容器製造装置及びブリスタ包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 7/26 20060101AFI20170612BHJP
   B65B 9/04 20060101ALI20170612BHJP
   B29C 53/04 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   B65B7/26
   B65B9/04
   B29C53/04
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-139023(P2016-139023)
(22)【出願日】2016年7月14日
【審査請求日】2017年5月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】野田 尚彦
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−297008(JP,A)
【文献】 特開平11−77819(JP,A)
【文献】 特開2016−94207(JP,A)
【文献】 米国特許第6041957(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 7/26
B29C 53/04
B65B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容するための容器部、当該容器部の開口を開閉可能な外蓋部、並びに、前記容器部及び前記外蓋部を連結するヒンジ部を有し、前記容器部、前記外蓋部及び前記ヒンジ部が一体形成された樹脂製の蓋付容器を製造するための蓋付容器製造装置であって、
前記容器部に対する前記外蓋部の相対角度を180°未満の所定角度に調節可能な角度調節手段を備え、
前記角度調節手段は、
発熱可能な発熱部を具備し、当該発熱部により前記ヒンジ部を加熱可能な加熱手段と、
加熱状態にある前記ヒンジ部において前記容器部に対し前記外蓋部を折り曲げ可能な折り曲げ手段とを有し、
前記加熱手段は、前記ヒンジ部の内側を加熱可能であることを特徴とする蓋付容器製造装置。
【請求項2】
前記容器部の開口が上方を向いた状態で、前記容器部に対し前記外蓋部が折り曲げられていない状態の前記蓋付容器を支持する支持手段を有し、
前記折り曲げ手段は、前記支持手段によって前記蓋付容器を支持した状態で、前記容器部に対し前記外蓋部を折り曲げるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付容器製造装置。
【請求項3】
前記折り曲げ手段は、前記容器部に対する前記外蓋部の折り曲げ時に、前記支持手段により支持された前記蓋付容器における前記ヒンジ部を上方から抑えるヒンジ部抑え手段を有することを特徴とする請求項2に記載の蓋付容器製造装置。
【請求項4】
前記折り曲げ手段は、上下方向に直線移動可能であり、前記支持手段により支持された前記蓋付容器における前記ヒンジ部を前記ヒンジ部抑え手段によって上方から抑えた状態で、当該蓋付容器における前記外蓋部を下方から押圧し、当該外蓋部を折り曲げる上下動折り曲げ手段を有することを特徴とする請求項3に記載の蓋付容器製造装置。
【請求項5】
前記折り曲げ手段は、前記上下動折り曲げ手段の移動方向と交差する方向に直線移動可能であり、前記上下動折り曲げ手段により折り曲げられた状態の前記外蓋部を押圧することで、当該外蓋部を前記容器部の開口側に向けて折り曲げる左右動折り曲げ手段を有し、
前記支持手段は、前記左右動折り曲げ手段による前記外蓋部の押圧方向に沿った前記蓋付容器の移動を規制する移動規制手段を有することを特徴とする請求項4に記載の蓋付容器製造装置。
【請求項6】
前記折り曲げ手段は、前記外蓋部を前記容器部に対して折り曲げた状態で保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蓋付容器製造装置。
【請求項7】
前記折り曲げ手段によって前記外蓋部を前記容器部に対して折り曲げた状態で保持しているときに、当該折り曲げ手段との間で当該外蓋部を挟む位置において当該外蓋部を受ける受け手段を有することを特徴とする請求項6に記載の蓋付容器製造装置。
【請求項8】
物品を収容するための容器部、当該容器部の開口を開閉可能な外蓋部、並びに、前記容器部及び前記外蓋部を連結するヒンジ部を有し、前記容器部、前記外蓋部及び前記ヒンジ部が一体形成された樹脂製の蓋付容器を備えてなるブリスタパックを製造するためのブリスタ包装機であって、
搬送される帯状の容器フィルムに対し成形処理を行い、前記蓋付容器に対応する蓋付容器対応部を形成する成形手段と、
前記成形手段の下流において、前記蓋付容器対応部における前記容器部に対応する部位に対し前記物品を収容する収容手段と、
前記収容手段の下流において、前記容器フィルムにおける前記蓋付容器対応部を打抜くことで、前記ヒンジ部において前記容器部に対し前記外蓋部が折り曲げられていない状態の前記蓋付容器を得る打抜手段と、
前記打抜手段の打抜きにより得られた前記蓋付容器が供給される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蓋付容器製造装置とを備えることを特徴とするブリスタ包装機。
【請求項9】
前記ブリスタパックにおける前記容器部には、その開口を塞ぐようにして樹脂製の内蓋フィルムが取着されており、
前記蓋付容器製造装置の前記加熱手段は、前記発熱部によって、前記ヒンジ部のみならず、前記容器部における前記内蓋フィルムの取着部位の少なくとも一部を加熱可能に構成されていることを特徴とする請求項8に記載のブリスタ包装機。
【請求項10】
前記蓋付容器は、前記外蓋部により前記容器部の開口を閉鎖した状態で、前記容器部に対し前記外蓋部を固定可能なロック部を有し、
前記折り曲げ手段は、前記外蓋部を上方から押圧し、前記ロック部によって前記容器部に対し前記外蓋部が固定された状態とする閉鎖手段を有することを特徴とする請求項8又は9に記載のブリスタ包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の物品を収容するための容器部、容器部の開口を開閉可能な外蓋部、並びに、容器部及び外蓋部を連結するヒンジ部が一体形成されてなる蓋付容器を製造するための蓋付容器製造装置、及び、蓋付容器製造装置を具備してなるブリスタ包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
各種物品(例えば、食品や医療用品等)が収容されるブリスタパックとしては、前記物品が収容される容器部と、容器部の開口を開閉可能な外蓋部と、容器部及び外蓋部を連結するヒンジ部とを備え、容器部、外蓋部及びヒンジ部が一体形成されてなる樹脂製の蓋付容器を備えたものが知られている。蓋付容器は、外蓋部によって容器部の開口を繰り返し開閉可能に構成されている。
【0003】
このようなブリスタパックを製造するためのブリスタ包装機としては、帯状の容器フィルムに対し成形処理を施すことで前記蓋付容器に対応する部分を形成する成形手段、成形後の容器フィルムの両端縁を挟んだ状態でその容器フィルムを搬送する搬送手段、搬送される容器フィルムにおける容器部に対応する部分に対し前記物品を収容する収容手段、容器フィルムから前記蓋付容器を切り離すカット手段、及び、ヒンジ部にて容器部に対し外蓋部を折り曲げるとともに、容器部に外蓋部を嵌め合わせることで、外蓋部で容器部の開口を閉鎖した状態とする嵌合手段などを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−297008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記技術では、単に外蓋部を折り曲げて容器部の開口を閉鎖するように構成されているため、外蓋部による容器部の閉鎖を解除した状態(例えば、容器部に対する外蓋部の嵌合を解除した状態)における、容器部に対する外蓋部の相対角度を任意に調節するといったことはできない。
【0006】
これに対し、使い勝手や使用環境、蓋付容器の形状、物品の種別などに応じて、前記相対角度を任意に設定したいといったニーズがあるのも事実である。例えば、容器部から物品が取出しやすいブリスタパック(蓋付容器)を製造する際には、前記相対角度を比較的大きなものに設定できることが好ましい場合もある。一方、容器部の開口を開放する際における外蓋部の急激な回動を防止したり、容器部開口を外蓋部で再び閉鎖するときの容易性を高めたり、蓋付容器の姿勢の安定性を向上させたりするといった点を実現するにあたっては、前記相対角度を比較的小さなものに設定できることが好ましい場合もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓋付容器の使用に際しての利便性を高めることができる、容器部に対する外蓋部の相対角度が任意に設定された蓋付容器を製造するための蓋付容器製造装置及びブリスタ包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.物品を収容するための容器部、当該容器部の開口を開閉可能な外蓋部、並びに、前記容器部及び前記外蓋部を連結するヒンジ部を有し、前記容器部、前記外蓋部及び前記ヒンジ部が一体形成された樹脂製の蓋付容器を製造するための蓋付容器製造装置であって、
前記容器部に対する前記外蓋部の相対角度を180°未満の所定角度に調節可能な角度調節手段を備え、
前記角度調節手段は、
発熱可能な発熱部を具備し、当該発熱部により前記ヒンジ部を加熱可能な加熱手段と、
加熱状態にある前記ヒンジ部において前記容器部に対し前記外蓋部を折り曲げ可能な折り曲げ手段とを有し、
前記加熱手段は、前記ヒンジ部の内側を加熱可能であることを特徴とする蓋付容器製造装置。
【0010】
上記手段1によれば、蓋付容器製造装置には、加熱手段及び折り曲げ手段を具備してなる角度調節手段が設けられている。従って、加熱手段の発熱部によるヒンジ部の加熱具合や、折り曲げ手段による外蓋部の折り曲げ角度を調節することで、容器部に対する外蓋部の相対角度を180°未満の所定角度に設定した蓋付容器を得ることができる。これにより、蓋付容器の使用に際しての利便性を高めることができる。
【0011】
手段2.前記容器部の開口が上方を向いた状態で、前記容器部に対し前記外蓋部が折り曲げられていない状態の前記蓋付容器を支持する支持手段を有し、
前記折り曲げ手段は、前記支持手段によって前記蓋付容器を支持した状態で、前記容器部に対し前記外蓋部を折り曲げるように構成されていることを特徴とする手段1に記載の蓋付容器製造装置。
【0012】
上記手段2によれば、支持手段によって蓋付容器を支持した状態で外蓋部の折り曲げを行うことができる。従って、外蓋部の折り曲げをより安定した状態で行うことができる。これにより、外蓋部の相対角度を精度よく所期の角度とすることができるとともに、折り曲げ後の各蓋付容器において、外蓋部の相対角度にバラツキが生じてしまうことをより確実に防止できる。
【0013】
手段3.前記折り曲げ手段は、前記容器部に対する前記外蓋部の折り曲げ時に、前記支持手段により支持された前記蓋付容器における前記ヒンジ部を上方から抑えるヒンジ部抑え手段を有することを特徴とする手段2に記載の蓋付容器製造装置。
【0014】
上記手段3によれば、ヒンジ部抑え手段によりヒンジ部を抑えながら外蓋部の折り曲げを行うことができるため、より確実にヒンジ部を回動中心として外蓋部を折り曲げることができる。これにより、ヒンジ部において、しっかりとした「折りぐせ」をより確実につけることができる。その結果、外蓋部の相対角度をより精度よく所期の角度とすることができる。また、折り曲げ後の各蓋付容器において、外蓋部の相対角度にバラツキが生じてしまうことを一層確実に防止できる。
【0015】
手段4.前記折り曲げ手段は、上下方向に直線移動可能であり、前記支持手段により支持された前記蓋付容器における前記ヒンジ部を前記ヒンジ部抑え手段によって上方から抑えた状態で、当該蓋付容器における前記外蓋部を下方から押圧し、当該外蓋部を折り曲げる上下動折り曲げ手段を有することを特徴とする手段3に記載の蓋付容器製造装置。
【0016】
上記手段4によれば、上下動折り曲げ手段によって蓋付容器が持ち上げられてしまうといった事態を抑制しつつ、より確実にヒンジ部を回動中心として外蓋部を折り曲げることができる。
【0017】
また、上下動折り曲げ手段は直線移動するものとされるため、上下動折り曲げ手段の機構を簡素化することができ、製造コストの低減を図ることができる。さらに、上下動折り曲げ手段の動作が単純化されるため、上下動折り曲げ手段の動作安定性を高めることができ、ひいては生産性の向上を図ることができる。
【0018】
手段5.前記折り曲げ手段は、前記上下動折り曲げ手段の移動方向と交差する方向に直線移動可能であり、前記上下動折り曲げ手段により折り曲げられた状態の前記外蓋部を押圧することで、当該外蓋部を前記容器部の開口側に向けて折り曲げる左右動折り曲げ手段を有し、
前記支持手段は、前記左右動折り曲げ手段による前記外蓋部の押圧方向に沿った前記蓋付容器の移動を規制する移動規制手段を有することを特徴とする手段4に記載の蓋付容器製造装置。
【0019】
上記手段5によれば、左右動折り曲げ手段により外蓋部を押圧して折り曲げる際に、支持手段に設けられた移動規制手段によって、蓋付容器の前記押圧方向に沿った移動を規制することができる。従って、外蓋部の折り曲げをより正確に行うことができる。
【0020】
さらに、左右動折り曲げ手段は直線移動するものとされるため、左右動折り曲げ手段の機構を簡素化することができ、製造コストの低減をより効果的に図ることができる。また、左右動折り曲げ手段の動作が単純化されるため、左右動折り曲げ手段の動作安定性を高めることができ、ひいては生産性の一層の向上を図ることができる。
【0021】
尚、上下動折り曲げ手段の移動客体及び左右動折り曲げ手段の移動客体として、共通の客体を用いることとしてもよい。この場合には、更なる機構の簡素化を図ることができ、製造コストの低減を一層図ることができる。
【0022】
手段6.前記折り曲げ手段は、前記外蓋部を前記容器部に対して折り曲げた状態で保持可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の蓋付容器製造装置。
【0023】
上記手段6によれば、折り曲げ手段は、外蓋部を容器部に対して折り曲げた状態で保持することが可能とされている。従って、例えば、ヒンジ部が冷却されるまでの間、折り曲げ手段によって、相対角度の目標値に対応する折り曲げ状態で外蓋部を保持することができ、しっかりとした「折りぐせ」をつけることができる。これにより、外蓋部の相対角度を一層精度よく所期の角度とすることができる。また、折り曲げ後の各蓋付容器において、外蓋部の相対角度にバラツキが生じてしまうことをより一層確実に防止できる。
【0024】
手段7.前記折り曲げ手段によって前記外蓋部を前記容器部に対して折り曲げた状態で保持しているときに、当該折り曲げ手段との間で当該外蓋部を挟む位置において当該外蓋部を受ける受け手段を有することを特徴とする手段6に記載の蓋付容器製造装置。
【0025】
上記手段7によれば、受け手段によって、外蓋部が過度に折り曲がった状態で保持されてしまうことをより確実に防止できる。これにより、外蓋部の相対角度をさらに精度よく所期の角度とすることができる。また、折り曲げ後の各蓋付容器における相対角度をより確実に揃えることができる。
【0026】
手段8.物品を収容するための容器部、当該容器部の開口を開閉可能な外蓋部、並びに、前記容器部及び前記外蓋部を連結するヒンジ部を有し、前記容器部、前記外蓋部及び前記ヒンジ部が一体形成された樹脂製の蓋付容器を備えてなるブリスタパックを製造するためのブリスタ包装機であって、
搬送される帯状の容器フィルムに対し成形処理を行い、前記蓋付容器に対応する蓋付容器対応部を形成する成形手段と、
前記成形手段の下流において、前記蓋付容器対応部における前記容器部に対応する部位に対し前記物品を収容する収容手段と、
前記収容手段の下流において、前記容器フィルムにおける前記蓋付容器対応部を打抜くことで、前記ヒンジ部において前記容器部に対し前記外蓋部が折り曲げられていない状態の前記蓋付容器を得る打抜手段と、
前記打抜手段の打抜きにより得られた前記蓋付容器が供給される、手段1乃至7のいずれかに記載の蓋付容器製造装置とを備えることを特徴とするブリスタ包装機。
【0027】
上記手段8によれば、基本的には上記手段1等と同様の作用効果が奏される。
【0028】
加えて、上記手段8によれば、蓋付容器は、打抜によって得られることとなる。従って、直線移動する切断手段によって蓋付容器を得る場合と比べて、ブリスタパック(特に蓋付容器)の外縁形状に関する設計自由度を高めることができる。また、ブリスタパックを得るにあたって、打抜のみによってブリスタパックの外縁形状を所望形状とすることができるため、角を丸くするための処理などを別途行う必要がなくなり、生産性を一層高めることができる。
【0029】
手段9.前記ブリスタパックにおける前記容器部には、その開口を塞ぐようにして樹脂製の内蓋フィルムが取着されており、
前記蓋付容器製造装置の前記加熱手段は、前記発熱部によって、前記ヒンジ部のみならず、前記容器部における前記内蓋フィルムの取着部位の少なくとも一部を加熱可能に構成されていることを特徴とする手段8に記載のブリスタ包装機。
【0030】
上記手段9によれば、発熱部によって、ヒンジ部のみならず、容器部における内蓋フィルムの取着部位を加熱することができる。従って、内蓋フィルムの取着後に、発熱部によって前記取着部位を加熱することとすれば、容器部に対し内蓋フィルムをより強固に取着(融着)することができる。また、場合によっては、発熱部によって容器部へと内蓋フィルムを取着(融着)することができ、容器部へと内蓋フィルムを取着するためのシール手段を別途設けなくても済む。
【0031】
尚、容器部における開口周囲の全周部分に対し内蓋フィルムを取着する場合には、発熱部によって前記全周部分を加熱するように構成してもよい。
【0032】
手段10.前記蓋付容器は、前記外蓋部により前記容器部の開口を閉鎖した状態で、前記容器部に対し前記外蓋部を固定可能なロック部を有し、
前記折り曲げ手段は、前記外蓋部を上方から押圧し、前記ロック部によって前記容器部に対し前記外蓋部が固定された状態とする閉鎖手段を有することを特徴とする手段8又は9に記載のブリスタ包装機。
【0033】
上記手段10によれば、折り曲げ手段は閉鎖手段を有しており、当該閉鎖手段によって、ロック部により容器部に対し外蓋部を固定し、容器部の開口を完全に閉鎖した状態とすることができる。従って、容器部の開口が閉鎖されたブリスタパックを容易に得ることができる。
【0034】
また、外蓋部の相対角度を非常に小さなものとしたい場合には、発熱部からヒンジ部へと付与される熱量が比較的大きなものとされるため、ヒンジ部が冷却されるまでに時間を要することがある。そのため、ヒンジ部が冷却されるまでの間、閉鎖手段により外蓋部を保持し続けると、保持時間が長くなってしまい、生産性が低下してしまうおそれがある。
【0035】
この点、上記手段10によれば、ヒンジ部が冷却されるまでの間、ロック部によって容器部の開口を完全に閉鎖した状態で保持することにより、外蓋部の相対角度を非常に小さなものとすることができる。従って、ヒンジ部が冷却されるまでの間、閉鎖手段によって外蓋部を保持しておく必要はない。これにより、生産性の向上を一層図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ブリスタパックの斜視図である。
図2】ブリスタパックの断面図である。
図3】ブリスタ包装機の概略構成を示す模式図である。
図4】蓋付容器対応部が形成された容器フィルムを示す斜視図である。
図5】容器フィルムに対し内蓋フィルムを重ねた状態を示す平面図である。
図6】クローズ装置の概略構成を示す正面模式図である。
図7】発熱部によってヒンジ部を抑えた状態におけるクローズ装置の正面模式図である。
図8】発熱部によりヒンジ部を抑えた上で、上下動折り曲げ装置により外蓋部を折り曲げているときにおけるクローズ装置の正面模式図である。
図9】上下動折り曲げ装置が一時停止し、外蓋部を折り曲げた状態で保持しているときにおけるクローズ装置の正面模式図である。
図10】左右動折り曲げ装置により外蓋部を折り曲げているときにおけるクローズ装置の斜視模式図である。
図11】左右動折り曲げ装置により外蓋部を折り曲げた状態におけるクローズ装置の正面模式図である。
図12】外蓋部抑え装置により外蓋部を抑えているときにおけるクローズ装置の斜視模式図である。
図13】発熱部によりヒンジ部を抑えた上で、上下動折り曲げ装置により外蓋部を折り曲げているときにおけるクローズ装置の正面模式図である。
図14】左右動折り曲げ装置が一時停止し、外蓋部を折り曲げた状態で保持しているときにおけるクローズ装置の正面模式図である。
図15】別の実施形態におけるサポート板部を示すためのクローズ装置の正面模式図である。
図16】別の実施形態におけるサポート板部を示すためのクローズ装置の正面模式図である。
図17】別の実施形態における発熱部を示すためのヒンジ部等の拡大模式図である。
図18】別の実施形態における発熱部を示すためのヒンジ部等の拡大模式図である。
図19】別の実施形態において、上下左右動折り曲げ装置の上下動により外蓋部を折り曲げているときにおけるクローズ装置の斜視模式図である。
図20】別の実施形態において、上下左右動折り曲げ装置の水平移動により外蓋部を折り曲げているときにおけるクローズ装置の斜視模式図である。
図21】別の実施形態におけるブリスタパックの斜視図である。
図22】別の実施形態におけるブリスタパックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1及び図2に示すように、ブリスタパック1は、蓋付容器2と、内蓋フィルム6とを備えている。尚、便宜上、各図中における蓋付容器2及び内蓋フィルム6は、実際よりも厚肉に示されている。
【0038】
蓋付容器2は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂材料によって構成されている。また、蓋付容器2は、容器部3、外蓋部4及びヒンジ部5を備えており、これらが一体形成されている。
【0039】
容器部3は、収容空間3Aを有しており、当該収容空間3Aに対し所定の物品W(例えば、食品や医療用品など)が収容されている。外蓋部4は、ヒンジ部5を回動中心として容器部3に対し相対回動可能となっており、容器部3の開口は、外蓋部4によって開閉可能となっている。ヒンジ部5は、断面湾曲形状をなしており、容器部3と外蓋部4とを連結する部位である。
【0040】
また、容器部3は、収容空間3Aの開口端から外側に延出形成された環状の被シール部3Bと、当該被シール部3Bの最外周から垂下する内嵌部3Cとを備えている。一方、外蓋部4は、前記内嵌部3Cに対応する形状をなす環状の外嵌部4Aを備えている。そして、外蓋部4により容器部3の開口を閉鎖した状態においては、内嵌部3Cの外周に対し外嵌部4Aを嵌め込むことによって、容器部3に対し外蓋部4が固定されるようになっている。本実施形態では、内嵌部3C及び外嵌部4Aによってロック部が構成されている。尚、容器部3及び外蓋部4の一方に設けられた凸部と、容器部3及び外蓋部4の他方に設けられ、外蓋部4により容器部3の開口を閉鎖した状態において前記凸部が配置される凹部とによってロック部を構成してもよい。
【0041】
さらに、容器部3は、内嵌部3Cの下端部から外周に突出する鍔状のフランジ部3Dを備えている。フランジ部3Dによって、内嵌部3Cの外周に対し外嵌部4Aを嵌め込んだ状態において、内嵌部3Cが内側に向けて過度に変形してしまうことを防止でき、閉鎖状態をより確実に維持できるようになっている。
【0042】
また、蓋付容器2は、ヒンジ部5において容器部3に対し外蓋部4が折り曲げられた状態となるようにくせ付けされている。そして、外蓋部4による容器部3開口の閉鎖を解除した状態(内嵌部3Cの外周に対する外嵌部4Aの嵌合を解除した状態)では、容器部3に対する外蓋部4の相対角度αが180°未満の所定角度となるように設定されている。
【0043】
内蓋フィルム6は、蓋付容器2と相溶性のある熱可塑性樹脂により形成されており、本実施形態では、透明又は半透明を呈するように構成されている。内蓋フィルム6は、容器部3の開口を塞ぐようにして前記被シール部3Bに対し取着されている。
【0044】
次に、上記ブリスタパック1を製造するためのブリスタ包装機10の構成について説明する。
【0045】
図3に示すように、ブリスタ包装機10では、ロール状の原反から引き出された帯状の容器フィルム7が所定のコンベア11(例えば、チェーンクリップコンベア等)により下流側へ向け間欠搬送されていく。容器フィルム7は、蓋付容器2の材料である。
【0046】
容器フィルム7原反の下流側には、まず加熱軟化装置12及び形成装置13が設けられている。本実施形態では、加熱軟化装置12及び形成装置13によって成形手段が構成されている。
【0047】
加熱軟化装置12は、容器フィルム7を挟んで上下に配置される上型12a及び下型12bを備え、容器フィルム7における蓋付容器2の形成範囲を部分的に加熱可能に構成されている。
【0048】
形成装置13は、蓋付容器2の形状とおよそ相似的で小さいプラグを有してなる上型13aと、蓋付容器2の形状に対応した凹凸部を有してなる下型13bとを備えている。そして、容器フィルム7が加熱軟化装置12により加熱され比較的柔軟になった状態において、上型13a及び下型13bにより、容器フィルム7の所定位置に蓋付容器2に対応する蓋付容器対応部2Fが成形される(図4参照)。蓋付容器対応部2Fは、容器部3に対応する容器対応部3Fと、外蓋部4に対応する外蓋対応部4Fと、ヒンジ部5に対応するヒンジ対応部5Fとを備えている。尚、蓋付容器対応部2Fの成形は、容器フィルム7の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0049】
さらに、形成装置13の下流側には、収容手段としての収容装置14が設けられており、当該収容装置14によって、容器対応部3Fにおける前記収容空間3Aに対応する空間へと物品Wが収容される。
【0050】
また、帯状に形成された内蓋フィルム6の原反は、前記容器フィルム7とは別にロール状に巻回されて配置されている。当該原反から引き出された内蓋フィルム6は、収容装置14の下流側に設けられた受けローラ15へと案内されている。内蓋フィルム6は、受けローラ15まで案内されることで、図5に示すように、容器フィルム7の搬送方向に沿って延びた状態で、容器対応部3Fの開口を塞ぐようにして容器フィルム7へと重ねられることとなる。
【0051】
尚、本実施形態において、容器フィルム7の搬送方向と直交する方向に沿った内蓋フィルム6の幅は、前記搬送方向と直交する方向に沿った容器対応部3Fにおける被シール部3Bに対応する部位である被シール部対応部3G(図5中、斜線を付した部位)の幅よりも大きなものとされている。そして、容器フィルム7に対し内蓋フィルム6を重ねた状態においては、内蓋フィルム6の幅方向一端縁が前記被シール部対応部3Gよりも容器フィルム7の幅方向一端縁側にはみ出し、一方、内蓋フィルム6の幅方向他端縁が被シール部対応部3Gの外縁に対しほぼ重なるようになっている。
【0052】
図3に戻り、受けローラ15の下流には、シール手段としてのシール装置17が設けられている。シール装置17は、上型17a及び下型17bを備えている。
【0053】
上型17aは、両フィルム6,7の搬送経路の上方に配置されており、図示しない駆動手段によって上下に移動可能となっている。また、上型17aは、前記被シール部3Bに対応する形状をなすとともに、発熱可能なヒータ部17cを備えている。
【0054】
下型17bは、蓋付容器対応部2Fにおける下向きに突出する部位が収容される凹部17dを備えており、図示しない駆動手段によって上下に移動可能となっている。また、下型17bのうち前記凹部17dの開口から外周に延びる平坦面が、前記上型17aのヒータ部17cとの間で、容器フィルム7及び内蓋フィルム6を挟み込む押圧面となっている。
【0055】
シール装置17においては、上型17a及び下型17bが容器フィルム7及び内蓋フィルム6に接近することで、ヒータ部17cと下型17bの前記平坦面との間で、容器対応部3Fにおける被シール部対応部3G及び内蓋フィルム6を挟み込む。その結果、被シール部対応部3Gに対し、容器対応部3Fの開口を塞ぐようにして内蓋フィルム6が取着(熱融着)される。
【0056】
尚、本実施形態において、シール装置17は、容器対応部3Fにおける被シール部対応部3Gのみに対し内蓋フィルム6を取着するように構成されている。また、内蓋フィルム6の取着は、容器フィルム7の搬送動作間のインターバルに行われ、シール装置17によって、容器対応部3Fに対し内蓋フィルム6が順次取着されるようになっている。
【0057】
シール装置17の下流側には、打抜手段としての打抜装置18が設けられている。打抜装置18は、蓋付容器2の外縁形状に対応する形状の図示しない打抜パンチを備えており、当該打抜パンチによって、内蓋フィルム6とともに、容器フィルム7における蓋付容器対応部2Fを打抜く。これにより、容器部3に対し外蓋部4が折り曲げられていない状態の蓋付容器2を備えてなるブリスタパック1が得られる。尚、本実施形態では、蓋付容器2の外縁部分における角部が丸みを帯びた形状となるように前記打抜パンチの形状が設定されている。
【0058】
尚、シール装置17は、被シール部対応部3Gのみに対し内蓋フィルム6を取着するため、容器フィルム7及び内蓋フィルム6のうち打抜後に残存するスクラップ部8Sにおいて、容器フィルム7と内蓋フィルム6とは非取着の状態となっている。また、スクラップ部8Sにおける容器フィルム7及び内蓋フィルム6は、それぞれ容器フィルム7の搬送方向に沿って連なった状態となっている。
【0059】
そして、スクラップ部8Sにおける内蓋フィルム6は、打抜装置18よりも下流に設けられた回収装置21によって、巻き取られつつ回収される。また、スクラップ部8Sにおける容器フィルム7は、打抜装置18の下流に設けられた図示しない裁断装置に搬送されるとともに、当該裁断装置によって所定寸法に裁断され、図示しない所定のスクラップ用ホッパに貯留される。
【0060】
一方、打抜装置18の下方には、コンベア20が設けられており、打抜かれたブリスタパック1は、コンベア20によって蓋付容器製造装置としてのクローズ装置31側へと移送される。
【0061】
クローズ装置31は、容器部3に対する外蓋部4の相対角度αが調節された蓋付容器2を製造するとともに、製造された蓋付容器2において外蓋部4により容器部3の開口を閉じた状態とするものである。クローズ装置31は、図6に示すように、支持手段としての支持台32と、角度調節手段としての加熱折り曲げ装置33と、制御装置36とを備えている。
【0062】
支持台32は、コンベア20によって移送されたブリスタパック1における蓋付容器2を静止させた状態で支持するものである。支持台32は、容器部3におけるフランジ部3Dを下方から支持する一対の容器部支持部321と、外蓋部4を下方から支持する一対の外蓋部支持部322とを備えている。そして、両容器部支持部321にフランジ部3Dを載置するとともに、両外蓋部支持部322に外蓋部4を載置した状態とすることで、容器部3の開口が上方を向き、かつ、容器部3に対し外蓋部4が折り曲げられていない状態で蓋付容器2が支持されるようになっている。尚、コンベア20から支持台32へとブリスタパック1を移動させる際に、ブリスタパック1を持ち上げ可能なリフト手段(図示せず)などを用いてもよい。
【0063】
また、支持台32によって蓋付容器2を支持した状態においては、容器部3における下方に突出する部位(物品Wの収容部位)が、両容器部支持部321間に配置され、ヒンジ部5の延びる方向と直交する方向に沿った蓋付容器2の水平移動が規制されるようになっている。本実施形態では、両容器部支持部321のうち外蓋部支持部322から離れた側に配置されているものによって移動規制手段が構成されている。
【0064】
加熱折り曲げ装置33は、抑え加熱装置34と、折り曲げ用往復装置35とを備えている。
【0065】
抑え加熱装置34は、支持台32により支持された蓋付容器2におけるヒンジ部5を上方から抑えつつ、当該ヒンジ部5を加熱するものである。抑え加熱装置34は、図示しない駆動手段によって上下動可能とされており、退避位置と接触位置との間で往復移動可能に構成されている。抑え加熱装置34は、退避位置に配置されると、ヒンジ部5の鉛直上方であってヒンジ部5から十分に離間した状態となる。一方、抑え加熱装置34は、接触位置に配置されると、ヒンジ部5の上面に対し自身の下端部が接触した状態となる。
【0066】
また、抑え加熱装置34の下端部には、ヒンジ部5の幅に対応する長さ(幅)を有し、図示しないヒータ等により発熱可能に構成された発熱部341が設けられている。発熱部341は、自身に対する電力供給が調節されることにより、自身の温度を変更可能とされている。尚、本実施形態において、発熱部341の下端部(ヒンジ部5と接触する部位)は、丸みを帯びた形状とされている。また、本実施形態では、抑え加熱装置34によって加熱手段及びヒンジ部抑え手段が構成されている。
【0067】
折り曲げ用往復装置35は、支持台32により支持された蓋付容器2において、ヒンジ部5を回動中心として容器部3側に対し外蓋部4を折り曲げるものである。折り曲げ用往復装置35は、上下動折り曲げ装置351、左右動押し曲げ装置352及び外蓋部抑え装置353を備えている。本実施形態では、上下動折り曲げ装置351が上下動折り曲げ手段に相当し、左右動折り曲げ装置352が左右動折り曲げ手段に相当し、外蓋部抑え装置353が閉鎖手段に相当する。
【0068】
上下動折り曲げ装置351は、図示しない駆動手段によって上下方向に直線移動可能とされており、退避位置と最大リフト位置との間で往復移動可能とされている。上下動折り曲げ装置351は、退避位置に配置されると、支持台32により支持された蓋付容器2における外蓋部4の鉛直下方であって外蓋部4から十分に離間した状態となる。一方、上下移動折り曲げ装置351は、最大リフト位置に配置されると、自身の上端部が外蓋部支持部322の上端よりも上方に位置した状態となる。
【0069】
上下動折り曲げ装置351は、退避位置から上動し、抑え加熱装置34(発熱部341)によってヒンジ部5が上方から抑えられた状態で、外蓋部4を下方から押圧することにより、外蓋部4を折り曲げる。本実施形態において、上下動折り曲げ装置351は、前記最大リフト位置に配置されると、支持台32に支持された蓋付容器2において、前記相対角度αが所定の第一角度(例えば、135°)となるように外蓋部4を持ち上げた状態となる。すなわち、本実施形態における上下動折り曲げ装置351は、相対角度αが前記第一角度となるまで外蓋部4を折り曲げることができるように設定されている。尚、上記において第一角度として挙げた数値は例であって、第一角度は、上下動折り曲げ装置351のリフト量や配置位置によって、90°超180°未満の範囲で適宜変更することが可能である。
【0070】
また、上下動折り曲げ装置351は、退避位置から最大リフト位置までの間において、一時停止可能となっている。そして、上下動折り曲げ装置351の一時停止に伴い、外蓋部4は、相対角度αが前記第一角度以上180°未満の任意の角度となった状態で保持されるようになっている。
【0071】
左右動折り曲げ装置352は、図示しない駆動手段により水平方向に沿って直線移動可能とされており、支持台32により支持された蓋付容器2の容器部3の上端面(本実施形態では、被シール部3B)よりもやや上方の位置において、後退位置と前進位置との間で往復移動可能となっている。左右動折り曲げ装置352は、後退位置に配置されると、蓋付容器2から十分に離間し、上下動折り曲げ装置351による外蓋部4の折り曲げを妨げることのない状態となる。一方、左右動折り曲げ装置352は、前進位置に配置されると、容器部3の鉛直上方に位置した状態となる。
【0072】
そして、左右動折り曲げ装置352は、後退位置から容器部3側に向けて水平方向に移動し、上下動折り曲げ装置351により折り曲げられた外蓋部4を押圧することで、容器部3の開口側に向けて外蓋部4を折り曲げる。本実施形態において、左右動折り曲げ装置351は、前進位置に配置されると、前記相対角度αが所定の第二角度(例えば、5°)となるように外蓋部4を折り曲げた状態となる。すなわち、本実施形態における左右動折り曲げ装置352は、相対角度αが前記第二角度となるまで外蓋部4を折り曲げることができるように設定されている。尚、上記において第二角度として挙げた数値は例であって、第二角度は、前進位置に配置したときにおける蓋付容器2に対する左右動折り曲げ装置352の相対位置を調節することなどによって、0°超の所定角度に設定することが可能である。
【0073】
また、左右動折り曲げ装置352は、上下動折り曲げ装置351と同様に、一時停止可能となっており、一時停止に伴い外蓋部4を折り曲げた状態で保持可能となっている。本実施形態では、左右動折り曲げ装置352の一時停止に伴い、外蓋部4は、相対角度αが前記第二角度以上前記第一角度未満の任意の角度となった状態で保持されるようになっている。
【0074】
尚、本実施形態において、上下動折り曲げ装置351及び左右動折り曲げ装置352は、これらの移動方向と直交する方向(図6の紙面奥行方向)に沿ってずれた状態で配置されている(図10参照)。そのため、移動時に両者が干渉しないようになっている。
【0075】
外蓋部抑え装置353は、支持台32により支持された蓋付容器2の容器部3の鉛直上方に配置されており、図示しない駆動手段により、退避位置と最大下動位置との間で上下方向に沿って往復移動可能とされている。外蓋部抑え装置353は、退避位置に配置されると、容器部3から十分に離間し、左右動折り曲げ装置352による外蓋部4の折り曲げを妨げない状態となる。一方、外蓋部抑え装置353は、最大下動位置に配置されると、その下端部が容器部3の直上方位置に位置した状態となる。
【0076】
外蓋部抑え装置353は、退避位置から下降することで、左右動折り曲げ装置352により折り曲げられた状態の外蓋部4を上方から押圧する。そして、外蓋部抑え装置353が、最大下動位置に配置されると、内嵌部3Cの外周に対し外嵌部4Aが嵌め込まれて、容器部3に対し外蓋部4が固定された状態となる。すなわち、外蓋部4によって容器部3の開口が閉鎖されたブリスタパック1が得られることとなる。尚、得られたブリスタパック1は、図示しない取外手段によって支持台32から取り外された上で、図示しない完成品用ホッパへと移送される。
【0077】
また、本実施形態において、左右動折り曲げ装置352及び外蓋部抑え装置353は、これらの移動方向と直交する方向(図6の紙面奥行方向)に沿ってずれた状態で配置されている(図10参照)。そのため、移動時に両者が干渉しないようになっている。
【0078】
尚、本実施形態では、抑え加熱装置34(特にヒンジ部抑え手段に相当する部位)及び折り曲げ用往復装置35によって折り曲げ手段が構成されている。
【0079】
制御装置36は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAM、演算データ等を長期記憶するハードディスクなどを備えており、抑え加熱装置34、上下動折り曲げ装置351、左右動折り曲げ装置352及び外蓋部抑え装置353の動作を制御する。
【0080】
制御装置36には、蓋付容器2の材質や厚さ、サイズなどに関する情報が予め記憶されている。また、制御装置36には、相対角度αに関する情報と、抑え加熱装置34の移動タイミング、及び、折り曲げ用往復装置35の移動量や移動タイミングなどの各種制御用データとの関係を規定したテーブルが予め記憶されている。尚、抑え加熱装置34の移動タイミングの変動により、発熱部341によるヒンジ部5の抑え時間(加熱時間)が変動する。また、折り曲げ用往復装置35の移動量や移動タイミングの変動により、上下動折り曲げ装置351や左右動折り曲げ装置352における一時停止位置や一時停止時間が変動する。
【0081】
制御装置36は、記憶された蓋付容器2の材質や厚さなどの情報に応じて、発熱部341に対する供給電力を調節し、発熱部341の温度を適切な温度に設定するようになっている。尚、制御装置36は、発熱部341の温度が図示しない入力手段を介して入力された温度情報に対応したものとなるように構成されていてもよい。
【0082】
さらに、制御装置36は、図示しない入力手段を介して前記相対角度αの目標値(又は、それに関する情報)が入力されることで、前記テーブルに基づいて、上述した抑え加熱装置34や折り曲げ用往復装置35の移動タイミングなどに関する各種制御用データを取得する。その上で、制御装置36は、取得した制御用データに基づき、抑え加熱装置34や折り曲げ用往復装置35の動作を制御する。
【0083】
本実施形態において、相対角度αの目標値が比較的大きい場合(例えば、前記第一角度以上180°未満の場合)、制御装置36は、例えば、次のような制御用データを取得する。
【0084】
すなわち、抑え加熱装置34の移動タイミングに係る制御用データとして、抑え加熱装置34(発熱部341)によるヒンジ部5の抑え時間(加熱時間)が比較的短いものとなるようなデータを取得する。また、上下動折り曲げ装置351の移動量や移動タイミングに係る制御用データとして、上下動折り曲げ装置351が、ヒンジ部5の抑え時間(加熱時間)に応じたタイミングで退避位置から上動し、入力された相対角度αの目標値に対応する一時停止位置にて所定時間だけ一時停止し、その後、最大リフト位置まで移動した上で再び退避位置へと戻るようなデータを取得する。さらに、左右動折り曲げ装置352の移動量や移動タイミングに係る制御用データとして、左右動折り曲げ装置352が、前記最大リフト位置に対する上下動折り曲げ装置351の到達に応じたタイミングで後退位置から移動し、その後、前進位置まで移動した上で再び後退位置へと戻るようなデータを取得する。加えて、外蓋部抑え装置353の移動量や移動タイミングに係る制御用データとして、外蓋部抑え装置353が、前記前進位置に対する左右動折り曲げ装置352の到達に応じたタイミングで退避位置から移動し、その後、前記最大下動位置まで移動した上で再び退避位置へと戻るようなデータを取得する。
【0085】
また、本実施形態において、相対角度αの目標値が比較的小さい場合(例えば、前記第二角度以上前記第一角度未満の場合)、制御装置36は、例えば、次のような制御用データを取得する。
【0086】
すなわち、抑え加熱装置34の移動タイミングに係る制御用データとして、抑え加熱装置34(発熱部341)によるヒンジ部5の抑え時間(加熱時間)が比較的長いものとなるようなデータを取得する。また、上下動折り曲げ装置351の移動量や移動タイミングに係る制御用データとして、上下動折り曲げ装置351が、ヒンジ部5の抑え時間(加熱時間)に応じたタイミングで退避位置から上動し、その後、前記最大リフト位置まで移動した上で再び退避位置へと戻るようなデータを取得する。さらに、左右動折り曲げ装置352の移動量や移動タイミングに係る制御用データとして、左右動折り曲げ装置352が、前記最大リフト位置に対する上下動折り曲げ装置351の到達に応じたタイミングで後退位置から移動し、入力された相対角度αの目標値に対応する一時停止位置にて所定時間だけ一時停止し、その後、前進位置まで移動した上で再び後退位置へと戻るようなデータを取得する。尚、外蓋部抑え装置353の移動量や移動タイミングに係る制御用データとしては、上記(相対角度αの目標値が比較的大きい場合)と同様のデータを取得する。
【0087】
さらに、相対角度αの目標値が非常に小さいもの(例えば、0°に近い値)である場合、制御装置36は、抑え加熱装置34の移動タイミングに係る制御用データとして、抑え加熱装置34(発熱部341)によるヒンジ部5の抑え時間(加熱時間)が設定上最も長いものとなるようなデータを取得する。また、上下動折り曲げ装置351や左右動折り曲げ装置352の移動量や移動タイミングに係る制御用データとして、上下動折り曲げ装置351や左右動折り曲げ装置352が、一時停止することなく移動するようなデータを取得する。尚、外蓋部抑え装置353の移動量や移動タイミングに係る制御用データとしては、上記と同様のデータを取得する。
【0088】
また、本実施形態では、少なくとも上下動折り曲げ装置351による外蓋部4の折り曲げ開始時には、抑え加熱装置34(発熱部341)によってヒンジ部5が抑えられた状態となるように構成されている。
【0089】
次いで、前記クローズ装置31の動作についてより詳述に説明する。尚、動作に先立って、制御装置36は、入力された相対角度αの目標値に基づく制御用データを予め得ているものとする。また、抑え加熱装置34、上下動折り曲げ装置351及び外蓋部抑え装置353は、それぞれ退避位置に配置されており、左右動折り曲げ装置352は、後退位置に配置されているものとする。
【0090】
まず、相対角度αの目標値として比較的大きな値(例えば、前記第一角度以上180°未満)が入力された場合の動作について説明する。
【0091】
図7に示すように、コンベア20によって移送されたブリスタパック1における蓋付容器2が支持台32によって支持される(例えば、所定のセンサにより蓋付容器2の支持が検知される)と、抑え加熱装置34が、下動開始し、前記接触位置まで移動して停止する。尚、抑え加熱装置34の下動前又は下動中に、発熱部341の温度は蓋付容器2の材質や厚さなどに応じた適切なものとされる。
【0092】
抑え加熱装置34が接触位置まで移動すると、発熱部341とヒンジ部5における屈曲内側に対応する部分とが接触し、発熱部341によってヒンジ部5が抑えられつつ加熱された状態となる。
【0093】
次いで、図8に示すように、上下動折り曲げ装置351が、前記制御用データに基づく移動タイミング(発熱部341によるヒンジ部5の抑え時間により変動する)にて上動開始するとともに、外蓋部4を下方から押圧する。これにより、発熱部341によりヒンジ部5が抑えられた状態で、加熱状態にあるヒンジ部5において外蓋部4が容器部3に対し徐々に折り曲げられていく。
【0094】
そして、図9に示すように、上下動折り曲げ装置351は、相対角度αの目標値に対応する一時停止位置に到達すると、その位置において所定時間だけ一時停止する。また、抑え加熱装置34は、制御用データに基づいたタイミングで、すなわち、ヒンジ部5に対し付与すべき熱量を付与した段階で、上下動折り曲げ装置351の一時停止中又は上動中に退避位置へと戻る。そして、上下動折り曲げ装置351の一時停止により、ヒンジ部5がある程度冷却されるまでの間、外蓋部4は、相対角度αの目標値に対応する曲げ角度に折り曲げられた状態で保持される。その結果、ヒンジ部5に対し相対角度αの目標値に対応する「折りぐせ」がつけられることとなる。尚、発熱部341によるヒンジ部5の抑え時間の変動により、ヒンジ部5へと与えられる熱量が変動するが、相対角度αの目標値が比較的大きい場合には、抑え時間が比較的短いものとされ、ひいては比較的小さな熱量がヒンジ部5へと与えられる。
【0095】
一時停止時間が経過すると、上下動折り曲げ装置351は、上動を再開して最大リフト位置に到達する。
【0096】
次いで、図10に示すように、左右動折り曲げ装置352が、前記最大リフト位置に対する上下動折り曲げ装置351の到達に応じたタイミングで後退位置から移動開始し、前進位置まで移動する。これにより、図11に示すように、容器部3の開口の直上方に外蓋部4が配置された状態となる。尚、上下動折り曲げ装置351は、左右動折り曲げ装置352の移動開始前、移動中又は移動後に退避位置へと戻る。
【0097】
次に、図12に示すように、外蓋部抑え装置353が、前記前進位置に対する左右動折り曲げ装置352の到達に応じたタイミングで退避位置から下動開始し、前記最大下動位置まで移動する。尚、左右動折り曲げ装置352は、外蓋部抑え装置353の下動中又は下動完了後に、後退位置へと戻る。
【0098】
外蓋部抑え装置353が最大下動位置に配置されると、内嵌部3Cの外周に外嵌部4Aが嵌め込まれ、容器部3に対し外蓋部4が固定される。これにより、外蓋部4によって容器部3の開口が閉鎖されたブリスタパック1(蓋付容器2)が得られる。尚、外蓋部抑え装置353は、外蓋部4によって容器部3の開口が閉鎖された後に、退避位置へと戻ることとなる。
【0099】
次いで、相対角度αの目標値として比較的小さな値(例えば、前記第二角度以上前記第一角度未満)が入力された場合のクローズ装置31の動作について説明する。
【0100】
コンベア20によって移送されたブリスタパック1における蓋付容器2が支持台32によって支持されると、抑え加熱装置34が、下動開始し、前記接触位置まで移動して停止する(図7参照)。尚、抑え加熱装置34の下動前又は下動中に、発熱部341の温度は制御用データに基づく温度とされる。
【0101】
抑え加熱装置34が接触位置まで移動すると、発熱部341とヒンジ部5における屈曲内側に対応する部分とが接触し、発熱部341によってヒンジ部5が抑えられつつ加熱された状態となる。尚、相対角度αの目標値が比較的小さい場合におけるヒンジ部5の抑え時間は、相対角度αの目標値が比較的大きい場合におけるヒンジ部5の抑え時間と比べて長いものとされ、ヒンジ部5に対し比較的大きな熱量が与えられることとなる。
【0102】
次に、図13に示すように、上下動折り曲げ装置351が、前記制御用データに基づく移動タイミング(発熱部341によるヒンジ部5の加熱時間により変動する)にて上動開始し、一時停止することなく、外蓋部4を下方から押圧しつつ最大リフト位置まで移動する。これにより、発熱部341によりヒンジ部5が抑えられた状態で、加熱状態にあるヒンジ部5において外蓋部4が容器部3に対し折り曲げられる。尚、抑え加熱装置34は、制御用データに基づいたタイミングで、すなわち、ヒンジ部5に対し付与すべき熱量を付与した段階で、上下動折り曲げ装置351の上動完了後又は上動中に退避位置へと戻る。
【0103】
次いで、左右動折り曲げ装置352が、前記最大リフト位置に対する上下動折り曲げ装置351の到達に応じたタイミングで後退位置から移動開始する(図10参照)。そして、図14に示すように、左右動折り曲げ装置352は、相対角度αの目標値に対応する一時停止位置に到達すると、その位置において一時停止する。これにより、ヒンジ部5がある程度冷却されるまでの間、外蓋部4は、相対角度αの目標値に対応する曲げ角度に折り曲げられた状態で保持される。その結果、ヒンジ部5において、相対角度αの目標値に対応する「折りぐせ」がつけられることとなる。
【0104】
そして、一時停止時間が経過すると、左右動折り曲げ装置352は移動を再開して前進位置まで移動する。これにより、容器部3の開口の直上方に外蓋部4が配置された状態となる(図11参照)。
【0105】
以降においては、上述した、相対角度αの目標値として比較的大きな値が入力された場合と同様の動作が外蓋部抑え装置353や左右動折り曲げ装置352によって行われ、ひいては外蓋部4によって容器部3の開口が閉鎖されたブリスタパック1が得られることとなる。
【0106】
次いで、相対角度αの目標値として非常に小さな値(例えば、0°に近い値)が入力された場合のクローズ装置31の動作について説明する。
【0107】
コンベア20によって移送されたブリスタパック1における蓋付容器2が支持台32によって支持されると、抑え加熱装置34が、退避位置から接触位置へと移動し、発熱部341によってヒンジ部5を抑えつつ加熱した状態となる(図7参照)。尚、この場合におけるヒンジ部5の抑え時間は、設定上最も長いものとされる。
【0108】
次に、上下動折り曲げ装置351が、前記制御用データに基づく移動タイミング(発熱部341によるヒンジ部5の加熱時間により変動する)にて上動開始するとともに、一時停止することなく、外蓋部4を下方から押圧しつつ最大リフト位置まで移動する(図13参照)。これにより、発熱部341によりヒンジ部5が抑えられた状態で、加熱状態にあるヒンジ部5において外蓋部4が容器部3に対し折り曲げられる。尚、抑え加熱装置34は、制御用データに基づいたタイミングで、すなわち、ヒンジ部5に対し付与すべき熱量を付与した段階で、上下動折り曲げ装置351の上動完了後又は上動中に退避位置へと戻る。
【0109】
次いで、左右動折り曲げ装置352が、前記最大リフト位置に対する上下動折り曲げ装置351の到達に応じたタイミングで後退位置から移動開始し、一時停止することなく、前進位置まで移動する(図10,11参照)。これにより、容器部3の開口の直上方に外蓋部4が配置された状態となる。
【0110】
次に、外蓋部抑え装置353が、前記前進位置に対する左右動折り曲げ装置352の到達に応じたタイミングで退避位置から下動開始し、前記最大下動位置まで移動する。尚、左右動折り曲げ装置352は、外蓋部抑え装置353の下動中又は下動完了後に、後退位置へと戻る。
【0111】
以降においては、上述した、相対角度αの目標値として比較的大きな値が入力された場合と同様の動作が外蓋部抑え装置353や左右動折り曲げ装置352によって行われ、ひいては外蓋部4によって容器部3の開口が閉鎖されたブリスタパック1(蓋付容器2)が得られる。また、内嵌部3Cの外周に外嵌部4Aが嵌め込まれることで、ヒンジ部5が冷却されるまでの間、外蓋部4は、相対角度αの目標値に対応する曲げ角度に折り曲げられた状態で維持される。その結果、ヒンジ部5において、相対角度αの目標値に対応する「折りぐせ」がつけられることとなる。
【0112】
以上詳述したように、本実施形態によれば、発熱部341によるヒンジ部5の加熱具合や、折り曲げ用往復装置35による外蓋部4の折り曲げ角度を調節することで、相対角度αを180°未満の所定角度に設定した蓋付容器2を得ることができる。これにより、蓋付容器2の使用に際しての利便性を高めることができる。
【0113】
また、支持台32によって蓋付容器2を支持した状態で外蓋部4の折り曲げを行うことができるため、外蓋部4の折り曲げをより安定した状態で行うことができる。これにより、相対角度αを精度よく所期の角度とすることができるとともに、折り曲げ後の各蓋付容器2において、相対角度αにバラツキが生じてしまうことをより確実に防止できる。
【0114】
さらに、抑え加熱装置34(発熱部341)によりヒンジ部5を抑えながら外蓋部4の折り曲げを行うことができるため、より確実にヒンジ部5を回動中心として外蓋部4を折り曲げることができる。これにより、ヒンジ部5において、しっかりとした「折りぐせ」をより確実につけることができる。その結果、相対角度αを精度よく所期の角度とすることができる。また、折り曲げ後の各蓋付容器2において、相対角度αにバラツキが生じてしまうことを一層確実に防止できる。
【0115】
加えて、抑え加熱装置34(発熱部341)によってヒンジ部5が上方から抑えられるため、上下動折り曲げ装置351によって蓋付容器2が持ち上げられてしまうといった事態を抑制しつつ、より確実にヒンジ部5を回動中心として外蓋部4を折り曲げることができる。
【0116】
併せて、上下動折り曲げ装置351及び左右動折り曲げ装置352はそれぞれ直線移動するものとされるため、両装置351,352の機構を簡素化することができ、製造コストの低減を図ることができる。さらに、上下動折り曲げ装置351及び左右動折り曲げ装置352の動作が単純化されるため、両装置351,352の動作安定性を高めることができ、ひいては生産性の向上を図ることができる。
【0117】
また、左右動折り曲げ装置352により外蓋部4を押圧して折り曲げる際に、支持台32に設けられた容器部支持部321によって、蓋付容器2の前記押圧方向に沿った移動を規制することができる。従って、外蓋部4の折り曲げをより正確に行うことができる。
【0118】
加えて、上下動折り曲げ装置351及び左右動折り曲げ装置352は、一時停止することで、外蓋部4を容器部5に対して折り曲げた状態で保持することが可能とされている。従って、ヒンジ部5が冷却されるまでの間、相対角度αの目標値に対応する折り曲げ状態で外蓋部4を保持することができ、しっかりとした「折りぐせ」をより確実につけることができる。これにより、相対角度αを一層精度よく所期の角度とすることができる。また、折り曲げ後の各蓋付容器2において、相対角度αにバラツキが生じてしまうことをより一層確実に防止できる。
【0119】
さらに、本実施形態では、外蓋部抑え装置353によって内嵌部3Cの外周に外嵌部4Aを嵌め込むことで、容器部3に対し外蓋部4を固定し、容器部3の開口を完全に閉鎖した状態とすることができる。従って、容器部3の開口が閉鎖されたブリスタパック1を容易に得ることができる。
【0120】
また、相対角度αを非常に小さなものとしたい場合(例えば、相対角度αを0°に近い値としたい場合)には、ヒンジ部5が冷却されるまでの間、内嵌部3C及び外嵌部4Aにより容器部3の開口を完全に閉鎖した状態で保持することにより、相対角度αを非常に小さなものとすることができる。従って、ヒンジ部5が冷却されるまでの間、外蓋部抑え装置353によって外蓋部4を保持しておく必要はない。これにより、生産性の向上を一層図ることができる。
【0121】
さらに、本実施形態において、蓋付容器2は、打抜によって得られる。従って、ブリスタパック1(特に蓋付容器2)の外縁形状に関する設計自由度を高めることができる。また、ブリスタパック1を得るにあたって、打抜のみによってブリスタパック1の外縁形状を所望形状とすることができるため、角を丸くするための処理などを別途行う必要がなくなり、生産性をさらに高めることができる。
【0122】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0123】
(a)図15に示すように、上下動折り曲げ装置351によって容器部5に対し外蓋部4を折り曲げた状態で保持しているときに、上下動折り曲げ装置351との間で外蓋部4を挟む位置において外蓋部4を受ける受け手段としてのサポート板部361を設けることとしてもよい。
【0124】
また、図16に示すように、左右動折り曲げ装置352によって容器部5に対し外蓋部4を折り曲げた状態で保持しているときに、左右動折り曲げ装置352との間で外蓋部4を挟む位置において外蓋部4を受ける受け手段としてのサポート板部362を設けることとしてもよい。尚、サポート板部361,362は、外蓋部4の折り曲げを阻害しない位置へと退避可能に構成される。
【0125】
サポート板部361,362を設けた場合には、外蓋部4が過度に折り曲がった状態で保持されてしまうことをより確実に防止できる。従って、相対角度αをより精度よく所期の角度とすることができる。また、折り曲げ後の各蓋付容器2における相対角度αをより確実に揃えることができる。
【0126】
尚、図15に示すように、サポート板部361と抑え加熱装置34とを一体化する(つまり、受け手段をヒンジ部抑え手段と一体化する)ことで、機構の更なる簡素化を図ることができ、製造コストをより一層低減させることができる。
【0127】
(b)上記実施形態において、発熱部341の下端部(ヒンジ部5と接触する部位)は、丸みを帯びた形状とされているが、発熱部の形状は適宜変更可能である。例えば、図17に示すように、発熱部342の下端部に、ヒンジ部5側に向けて突出する尖端状の突条部342Aを設けることとしてもよい。この場合には、ヒンジ部5のうち特に突条部342Aと接触する部位を凹ませたり、屈曲させたりすることができるため、ヒンジ部5においてしっかりとした「折りぐせ」を一層確実につけることができる。
【0128】
(c)上記実施形態では、発熱部341によってヒンジ部5のみが加熱されるように構成されているが、図18図18では、内蓋フィルム6を実際よりも極端に厚くしている)に示すように、発熱部343によって、ヒンジ部5のみならず、容器部3における内蓋フィルム6の取着部位(被シール部3B)を加熱することとしてもよい。この場合には、容器部3に対し内蓋フィルム6をより強固に取着(融着)することができる。
【0129】
また、発熱部343によって、ヒンジ部5とともに、容器部3及び内蓋フィルム6を加熱することで、容器部3に対し内蓋フィルム6を取着(融着)するように構成してもよい。すなわち、発熱部343がシール装置17としての機能を備えることとしてもよい。この場合には、シール装置17を別途設けなくても済むため、ブリスタ包装機10における機構の簡素化を図ることができ、ひいては製造コストの低減を一層図ることができる。
【0130】
尚、発熱部によって、被シール部3Bの一部のみを加熱してもよいし、被シール部3Bの全周を加熱してもよい。
【0131】
(d)上下動折り曲げ手段の移動客体及び左右動折り曲げ手段の移動客体として、共通の客体を用いることとしてもよい。例えば、図19及び図20に示すように、上下方向及び水平方向に移動可能な上下左右動折り曲げ装置37(上下動折り曲げ手段及び左右動折り曲げ手段に相当する)を設け、当該上下左右動折り曲げ装置37によって外蓋部4の折り曲げを行うこととしてもよい。この場合には、更なる機構の簡素化を図ることができ、製造コストの低減を一層図ることができる。
【0132】
(e)上記実施形態におけるブリスタパック1の形状や構造は例示であって、ブリスタパック1の形状や構造については適宜変更してもよい。従って、例えば、図21に示すように、外蓋部4における外縁部分の一部を突出形状とすることで、外蓋部4を回動させる(容器部3の開口を開閉させる)際に利用可能な持ち手部4Bを形成することとしてもよい。尚、このように蓋付容器2における外縁形状を比較的複雑な形状とする場合であっても、打抜のみによって蓋付容器2の外縁形状を所望形状とすることができるため、良好な生産性を得ることができる。
【0133】
(f)上記実施形態では、容器部3のみに対し物品Wが収容されているが、図22に示すように、容器部103及び外蓋部104の双方に対し物品Wを収容してもよい。尚、この場合、容器部103に収容される物品Wと外蓋部104に収容される物品Wとを異なるものとしてもよい。また、この場合には、容器部103及び外蓋部104のそれぞれに対しその開口を塞ぐようにして内蓋フィルム6を取着することとしてもよい。
【0134】
(g)発熱部341によるヒンジ部5の加熱中に、発熱部341との間でヒンジ部5を挟む位置において、ヒンジ部5の屈曲外側に対応する部分を冷却する冷却手段を設けることとしてもよい。この場合には、外蓋部4により容器部3の開口を閉鎖した状態(つまり、販売や展示時などの状態)において特に視認しやすいヒンジ部5の屈曲外側部分に、熱による変形などが生じてしまうことをより確実に防止できる。その結果、得られたブリスタパック1(蓋付容器2)における外観品質をより高めることができる。
【0135】
(h)上記実施形態において、加熱折り曲げ装置33は、上下動折り曲げ装置351及び左右動折り曲げ装置352がそれぞれ一時停止可能とされることで、外蓋部4を容器部5に対して折り曲げた状態で保持可能に構成されているが、外蓋部4を折り曲げた状態で保持する機能を備えていなくてもよい。この場合には、例えば、上下動折り曲げ装置351及び左右動折り曲げ装置352によって外蓋部4が常に一定のタイミングで折り曲げられるように構成し、発熱部341からヒンジ部5に与えられる熱量の変動に伴い、相対角度αが調節されるように構成してもよい。
【0136】
(i)上記実施形態では、抑え加熱装置34(発熱部341)によるヒンジ部5の抑え時間(加熱時間)を変化させることで、ヒンジ部5へと与えられる熱量が変化するように構成されているが、発熱部341の温度を変化させることで、ヒンジ部5へと与えられる熱量を変化させることとしてもよい。勿論、ヒンジ部5の抑え時間(加熱時間)と発熱部341の温度との双方を調節することで、ヒンジ部5へと与えられる熱量を変化させることとしてもよい。
【0137】
(j)上記実施形態では、発熱部341によってヒンジ部抑え手段が構成されており、発熱部及びヒンジ部抑え手段が一体化された構成となっているが、発熱部とヒンジ部抑え手段とを別々に設けることとしてもよい。
【0138】
(k)上記実施形態において、ブリスタパック1は内蓋フィルム6を備えているが、内蓋フィルム6を備えないこととしてもよい。尚、この場合には、ブリスタ包装機10において、シール装置17を省略可能である。
【0139】
(l)上記実施形態において、ブリスタ包装機10は、折り曲げ前の蓋付容器2を得るために、加熱軟化装置12や形成装置13、打抜装置18を備えているが、これら装置を省略し、予め得られた折り曲げ前の蓋付容器2を収容装置14やシール装置17、クローズ装置31へと供給するように構成してもよい。
【0140】
(m)上記実施形態では、収容装置14により容器部3へと物品Wが収容されるように構成されているが、収容装置14を省略し、人手によって容器部3へと物品Wを収容するように構成してもよい。
【0141】
(n)上記実施形態で挙げた蓋付容器2(容器フィルム7)や内蓋フィルム6の材料や態様は例示であって、これらの材料などを適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0142】
1…ブリスタパック、2…蓋付容器、2F…蓋付容器対応部、3…容器部、3C…内嵌部(ロック部)、4…外蓋部、4A…外嵌部(ロック部)、5…ヒンジ部、6…内蓋フィルム、7…容器フィルム、10…ブリスタ包装機、12…加熱軟化装置(成形手段)、13…形成装置(成形手段)、14…収容装置(収容手段)、17…シール装置(シール手段)、18…打抜装置(打抜手段)、31…クローズ装置(蓋付容器製造装置)、32…支持台(支持手段)、33…加熱折り曲げ装置(角度調節手段)、34…抑え加熱装置(加熱手段、ヒンジ部抑え手段、折り曲げ手段)、35…折り曲げ用移動装置(折り曲げ手段)、321…容器部支持部(移動規制手段)、341…発熱部、351…上下動折り曲げ装置(上下動折り曲げ手段)、352…左右動折り曲げ装置(左右動折り曲げ手段)、353…外蓋部抑え装置(閉鎖手段)、361,362…サポート板部(受け手段)、W…物品。
【要約】
【課題】蓋付容器の使用に際しての利便性を高めることができる蓋付容器製造装置及びブリスタ包装機を提供する。
【解決手段】ブリスタ包装機は、蓋付容器製造装置としてのクローズ装置31を備える。クローズ装置31は、物品を収容する容器部3、容器部3の開口を開閉可能な外蓋部4、並びに、容器部3及び外蓋部4を連結するヒンジ部5を有し、容器部3に対する外蓋部4の相対角度が任意に設定された蓋付容器2を製造するために用いられる。クローズ装置31は、容器部3に対する外蓋部4の相対角度を180°未満の所定角度に調節可能な加熱折り曲げ装置33を備える。加熱折り曲げ装置33は、発熱可能な発熱部341を具備し、ヒンジ部5を加熱可能な抑え加熱装置34と、加熱状態にあるヒンジ部5において容器部3に対し外蓋部4を折り曲げ可能な折り曲げ用往復装置35とを有する。
【選択図】 図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22