特許第6152224号(P6152224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152224
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】ナイフ
(51)【国際特許分類】
   B26B 1/08 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   B26B1/08 A
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-532235(P2016-532235)
(86)(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公表番号】特表2016-527035(P2016-527035A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】DE2014000395
(87)【国際公開番号】WO2015018387
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年3月24日
(31)【優先権主張番号】202013007112.5
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592153148
【氏名又は名称】マルトール・コマンデイトゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ヘルリッツ・マルティン
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0154605(US,A1)
【文献】 特表2009−511138(JP,A)
【文献】 米国特許第08776380(US,B1)
【文献】 特表2009−516553(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0061444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 1/08
B26B 5/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(11)を有するナイフ(10)であって、このハウジング(11)内で、ブレードキャリヤ(12)は、前記ブレードキャリヤ(12)に保持されているブレード(17)が前記ハウジング(11)内に配置されている安全位置と、前記ブレード(17)が前記ハウジング(11)外へ突出する切断位置の間移動可能であり、前記ブレードキャリヤ(12)は、前記ブレード(17)が前記切断位置に対してより大きい長さで前記ハウジング(11)外へ突出するブレード交換位置にさらに移動可能であり、前記ナイフ(10)が、前記ブレードキャリヤ(12)を移動させるために操作装置を備え、この操作装置が、前記ブレードキャリヤ(12)を操作するために取手(13)を有する当該ナイフにおいて、
前記取手(13)は、前記ブレードキャリヤ(12)が前記安全位置に配置される非操作位置と前記ブレードキャリヤ(12)が前記切断位置に配置される操作位置との間で移動可能であること、
前記取手(13)は、前記操作位置を超えて、前記ブレードキャリヤ(12)が前記ブレード交換位置に配置される終端位置にさらに移動可能であること、
リセット装置が、前記ブレードキャリヤ(12)を前記切断位置と前記ブレード交換位置とから前記安全位置に移動させるために設けられていること、及び
前記ナイフ(10)は、ロック装置(16)を有し、前記ブレードキャリヤ(12)が、このロック装置(16)によって前記ブレード交換位置に間接的又は直接的に解離可能に固定可能である当該ナイフ。
【請求項2】
前記ロック装置(16)、固定位置と解離位置の間移動可能であること、前記ブレードキャリヤ(12)の移動が、前記固定位置ロックされていること、及び、前記ブレードキャリヤ(12)の移動が、前記解離位置可能であるこを特徴とする請求項1に記載のナイフ。
【請求項3】
前記ロック装置(16)は、前記固定位置摩擦係合式及び/又は噛合い係合式に前記ブレードキャリヤ(12)又は前記操作装置と係合しているこを特徴とする請求項2に記載のナイフ。
【請求項4】
前記ロック装置(16)は、前記固定位置噛合い係合式に前記取手(13)と係合しているこを特徴とする請求項2又は3に記載のナイフ。
【請求項5】
前記ブレードキャリヤ(12)又は前記操作装置は、前記切断位置第1のストッパ(14)と接触しているこを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナイフ。
【請求項6】
前記第1のストッパ(14)は、この第1のストッパ(14)が前記ブレードキャリヤ(12)の移動路内に配置されている封鎖位置と前記第1のストッパ(14)が前記ブレードキャリヤ(12)の移動路外に配置されている解放位置の間移動可能であるこを特徴とする請求項5に記載のナイフ。
【請求項7】
前記ブレードキャリヤ(12)又は前記操作装置前記ブレード交換位置第2のストッパ(21)と接触しているこを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のナイフ。
【請求項8】
前記第2のストッパ(21)前記ハウジング(11)のストッパ面によって構成されていること及び、取手(13)は、前記ブレード交換位置で前記ストッパ面と接触しているこを特徴とする請求項7に記載のナイフ。
【請求項9】
前記取手(13)前記ハウジング(11)に旋回可能支承されているこを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のナイフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部でブレードキャリヤが移動可能なハウジングを有するナイフに関する。ブレードキャリヤは、安全位置と、切断位置と、ブレード交換位置の間を移動可能である。例えば、切断位置は、安全位置とブレード交換位置の間のブレードキャリヤの移動路上に位置する。
【背景技術】
【0002】
安全位置で、ブレードキャリヤに保持されたブレードは、ハウジング内に配置されているので、ブレードは、ユーザにとって接近不能であり、負傷の危険がない。安全位置から、ブレードキャリヤは、ブレードがハウジング外へ突出する切断位置へ移動可能である。切断位置で、切断が実施可能である。
【0003】
加えて、安全位置から、ブレードキャリヤは、ブレードが切断位置と比べて大きい長さでハウジング外へ突出するブレード交換位置へ移動することができる。ブレード交換位置で、ブレードは、例えば部分的又は完全にハウジング外へ移動することができる。切断位置又はブレード交換位置から、ブレードキャリヤは安全位置へ逆に移動することができる。
【0004】
本発明によるナイフは、操作装置を備える。操作装置により、ブレードキャリヤが移動可能である。取手は、操作装置の一部である。取手は、ユーザによってブレードキャリヤを操作するために使用される。
【0005】
このようなナイフは、周知の常識から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第202 02 165号明細書
【特許文献2】米国特許第3 708 881号明細書
【特許文献3】米国特許第8 776 380号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2010 019 119号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10 2005 049 411号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、簡単なブレード交換を可能にし、ナイフが高い安全を保証するようなナイフを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を有するナイフによって解決される。
【0009】
ナイフは、ブレードキャリヤをブレード交換位置に解離可能に固定可能にするロック装置を有する。ブレードキャリヤは、間接的又は直接的に固定可能にすることができる。これは、例えば、ブレードキャリヤと挙動結合された部分、例えば操作装置の一部、特に操作装置の取手をロックすることによって、ブレードキャリヤを固定することもできることを意味する。
【0010】
ロック装置は、例えば固定位置と解離位置の間を移動可能であり、固定位置で、ブレードキャリヤの移動がロックされ、解離位置で、ブレードキャリヤの移動が可能である。固定位置と解離位置の間の移動は、例えば回転運動及び/又は並進運動とすることができる。
【0011】
固定位置で、ロック装置は、例えば摩擦係合式及び/又は噛合い係合式にブレードキャリヤ又は操作装置と係合している。固定位置で、ロック装置は、摩擦係合式及び/又は噛合い係合式に操作装置の取手と係合している。解離位置で、ロック装置は、ブレードキャリヤ又は操作装置と係合していない。
【0012】
1つの実施形態は、切断位置で、ブレードキャリヤ又は操作装置が、第1のストッパと接触していること、を特徴とする。第1のストッパは、ブレードキャリヤの切断位置を確定する。第1のストッパは、例えば、封鎖位置と解放位置の間を移動可能である。封鎖位置で、第1のストッパは、ブレードキャリヤが切断位置に存在する時にブレードキャリヤが第1のストッパのストッパ面と接触するように、ブレードキャリヤ又は操作装置の要素の移動路内へ移動されている。解放位置で、第1のストッパは、ブレードキャリヤ又は操作装置の要素の移動路外へ移動されている。第1のストッパによる切断位置の決定に関する特徴については、その開示をこの出願の開示内に取り入れるべき独国特許出願公開第10 2005 049 411号明細書を参照されたい。
【0013】
ナイフは、例えば、第1のストッパが、ブレードキャリヤの切断位置で開放位置へ変位されることを防止する安全装置を備えることができる。安全装置は、例えば、第1の噛合い係合手段を備えることができ、この第1の噛合い係合手段は、第1のストッパに対応付けられ、ブレードキャリヤに対応付けられた第2の噛合い係合手段を備える。
【0014】
ブレード交換位置で、ブレードキャリヤ又は操作装置は、例えば第2のストッパと接触している。第2のストッパは、例えばブレード交換位置を確定する。例えば、第2のストッパは、ハウジングよって構成され、ブレード交換位置で、取手が、第2のストッパと接触している。
【0015】
取手は、例えば非操作位置と操作位置の間を移動可能である。非操作位置で、ブレードキャリヤが、安全位置に配置され、操作位置で、ブレードキャリヤが、切断位置に配置されている。
【0016】
例えば、取手は、操作位置を超えて終端位置へ移動可能であり、終端位置で、ブレードキャリヤが、ブレード交換位置に配置されている。
【0017】
第1のストッパが封鎖位置に存在する場合、取手は、例えば非操作位置と操作位置の間でしか移動することができない。ブレード交換位置で、ブレード17は、例えば部分的又は完全にハウジング外へ移動することができる。
【0018】
取手は、例えば旋回可能にハウジングに支承されている。取手は、この場合、例えば非操作位置と、操作位置と、終端位置の間を旋回可能とすることができる。選択肢によれば、取手は、非操作位置と、操作位置と、終端位置の間を摺動可能とすることができる。
【0019】
更なる利点は、概略図に図示した実施例の説明によりわかる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ブレードキャリヤが安全位置に、第1のストッパが封鎖位置に、そしてロック装置が固定位置に存在する、ナイフの側面図
図2】ロック装置が解離位置に存在する、図1によるナイフ
図3】ブレードキャリヤが切断位置に、そして取手が操作位置に配置された、図2によるナイフ
図4】ブレードキャリヤがブレード交換位置に、取手が終端位置に、そして第1のストッパが開放位置に配置された、図2によるナイフ
図5】ロック装置が固定位置に配置された、図4によるナイフ
図6】ロック装置が解離位置に、そして取手が非操作位置に配置された、図5によるナイフ
【発明を実施するための形態】
【0021】
ナイフ全体が、それぞれの図で符号10によって指示される。異なる図内の同じ符号は、小さい文字が付加又は省略されている場合でも、一致した部分を示す。
【0022】
図1には、ナイフ10の側面図が示されている。ナイフ10は、ハウジング11を有し、このハウジング内で、ブレードキャリヤ12が、安全位置(例えば図1,2及び6参照)と、切断位置(図3参照)と、ブレード交換位置の間を移動可能に支承されている。安全位置から、ブレードキャリヤ12は、方向y1に切断位置及びブレード交換位置へ移動可能である。ブレード交換位置及び切断位置から、ブレードキャリヤ12は、方向y2に安全位置へ移動可能である。
【0023】
ブレードキャリヤ12には、ブレード17が、周知の方法で保持されている。安全位置で、ブレード17は、ハウジング11内に配置され、切断位置及びブレード交換位置で、ブレード17は、ハウジング11の前方の開口22外へ突出する。ブレード交換位置で、ンブレード17は、切断位置に対してさらにハウジング11外へ移動されている。ブレードキャリヤ12は、図示してないリセット装置によって安全位置へ負荷を受けている。ブレードキャリヤ12は、操作装置によって安全位置と切断位置の間を移動可能である。
【0024】
取手13は、操作装置の一部である。取手は、ハウジングと共に旋回ジョイントG1を構成し、このようにして非操作位置と終端位置の間を旋回可能である。取手13の非操作位置と終端位置の間に、操作位置(図3参照)が存在する。非操作位置から、取手13は、方向u1に操作位置及び終端位置へ旋回可能である。終端位置は、取手13の保持面23がハウジング11のストッパ21に当接し、方向u1の更なる移動を防止することを特徴とする。終端位置から、取手13は、方向u2に非操作位置へ旋回可能である。操作位置からも、取手は、方向u2に非操作位置へ旋回可能である。
【0025】
図1及び2に示した取手13の非操作位置で、ブレードキャリヤ12は、安全位置にある。図3による操作位置への取手13の旋回により、ブレードキャリヤ12は、切断位置へ移動される。取手13は、リセット装置によって非操作位置へ負荷を受けている。
【0026】
切断位置で、ブレードキャリヤ12は、ラッチ15の一部である第1のストッパ14に当接する。ラッチ15は、この実施例では、方向w1,w2へ封鎖位置(図1〜3参照)と解放位置(図4〜6参照)の間を旋回可能にハウジング11に保持されている。しかしながらまた選択的な実施例によれば、ラッチは、例えば摺動可能とすることもできる。図1及び2による封鎖位置から、ラッチ15方向w1に解放位置へ移動することができる。図6による解放位置から、ラッチ15は、方向w2に封鎖位置へ移動することができる。
【0027】
封鎖位置で、第1のストッパ14は、ブレードキャリヤ12の移動路内に存在する。従って、第1のストッパ14は、第1のストッパが封鎖位置に配置されている時に、ブレードキャリヤ12の切断位置を確定する。解放位置で、第1のストッパ14は、ブレードキャリヤ12の移動路外へ移動されているので、ブレードキャリヤ12は、取手が終端位置へ移動されることによって、切断位置を超えてブレード交換位置(図4及び5参照)へ移動可能である。この実施例の場合、安全装置は、ブレードキャリヤ12が切断位置に配置されている時に、ラッチ15が解放位置へ移動してしまうことを防止する。ブレードキャリヤ12のブレード交換位置で、ラッチ15は、方向w2に封鎖位置へ旋回することはできない。
【0028】
ロック装置16は、摺動可能にハウジング11に支承され、固定位置(図1及び5参照)及び解離位置(図2,3,4及び6参照)の間を移動可能である。取手13が、終端位置に存在し、ブレードキャリヤ12ブレード交換位置に配置されている場合、取手13は、ロック装置16が固定位置へ移動されることによって、ロックすることができる。固定位置で、ロック装置16の突起18が、噛合い係合式に取手13の空所19に係合し、これにより、取手13の移動が防止される。従って、ブレード交換は、取手をリセット装置のリセット力に反して終端位置へ保持する必要なしに、実施することができる。
【0029】
取手13の非操作位置で、ロック装置16も固定位置へ移動可能である。その場合、突起18は、噛合い係合式に取手13の空所20へ係合する。ロック装置が固定位置で空所20と係合している時は、ブレードキャリヤ12は、安全位置外へ移動することができず、取手13は、非操作位置外へ移動することができない。
【0030】
図1によれば、取手13は、非操作位置にあり、ロック装置16は、固定位置に配置されている。第1のストッパは、封鎖位置にある。
【0031】
図1による状態からのナイフ10の使用開始のため、ロック装置16は、方向x1に解離位置へ移動される(図2参照)。その場合、取手13は、図3による操作位置へ移動させることができ、この操作位置で、ブレードキャリヤ12は、方向y1に切断位置へ移動されており、第1のストッパ14に当接する。ブレードキャリヤ12の切断位置で、ラッチ15は、解放位置へ旋回可能でない。取手13がもはや操作されない場合には、リセット装置が、ブレードキャリヤ12を方向y2に安全位置へ移動させ、取手13を方向u2に非操作位置へ移動させる。
【0032】
ブレード交換を行なうべき時には、図1及び2によるナイフ10の状態から始めて、ロック装置16は、方向x1に解離位置へ移動させることができ、ラッチ15は、方向w1に解放位置へ変位させることができる。その場合、取手13は、終端位置へ移動させることができ、ブレードキャリヤ12が、方向y1にブレード交換位置へ移動される。ブレード交換位置は、図4に図示されている。取手13の終端位置(図4参照)で、ロック装置16は、方向x2に固定位置へ移動される(図5参照)。その場合、取手13は終端位置に、ブレードキャリヤ12はブレード交換位置に、残っており、ユーザが取手13をリセット装置のリセット力に反して操作する必要はない。ブレード交換は、簡単に実施可能である。
【0033】
ナイフをブレード交換位置から始めて再び図2による状態へ移すために、ロック装置16は、方向x1に解離位置へ移動される。その場合、リセット装置により、取手13は、方向u2に非操作位置へ移動され、ブレードキャリヤ12は、方向y2に安全位置へ移動される(図6参照)。図6による安全位置で、ラッチ15は、方向w2に封鎖位置へ旋回させることができる(図2参照)。
【符号の説明】
【0034】
10 ナイフ
11 ハウジング
12 ブレードキャリヤ
13 取手
14 第1のストッパ
15 突起
16 ロック装置
17 ブレード
18 突起
19 取手の空所
20 取手の空所
21 ハウジングのストッパ
22 開口
23 保持面
G1 旋回ジョイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6