【文献】
小山 淳,新しい世界へのICT活用−データ活用基盤サービス,FUJITSU,日本,富士通株式会社,2013年 1月10日,第64巻 第1号,pp.22〜26
【文献】
津田 宏,研究開発最前線−安全なクラウド連携のためのデータセキュリティ,FUJITSU,日本,富士通株式会社,2011年 9月 9日,第62巻 第5号,pp.531〜537
【文献】
牛田 芽生恵,ゲートウェイによるクラウド間のデータ秘匿集計技術,2011年 暗号と情報セキュリティシンポジウム SCIS2011 [CD−ROM],日本,電子情報通信学会情報,2011年 1月25日,pp.1〜8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
データビジネスゲートウエイ基盤事業者システムに対して、情報のInput側から見れば、サービス提供事業者システムと、外部システムと、サードパーティシステムとが接続されており、情報のOutput側から見れば、データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システムと、サードパーティシステムとが接続されているデータ流通システムであって、
前記データビジネスゲートウエイ基盤事業者システムは、サブシステムとして、サービス提供事業者システムに対して本来業務の支援サービスをするサービス基盤提供システムと、データ収集・提供及びデータ開示の可否判断を行うゲートウエイシステムと備えており、
前記ゲートウエイシステムは、複数の前記サービス提供事業者システムからの夫々のシステムに閉じられたクローズドデータと、前記外部システムからの公開された外部データとを受入・蓄積しておき、前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求があったときには、前記受入・蓄積してあるデータを検索・抽出・ブレンドし、そのデータの開示可否を判断し、それが開示可と判断された場合には、当該データを要求した前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムに対してデータを提供し、
前記ゲートウエイシステムは、データ送信者としての前記サービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからデータを受け取った際には、その受け入れの証として電子割符を付与しておき、前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求に前記電子割符と同一の電子割符が付されている場合には、前記電子割符を付与した受入情報に関連した情報の提供を可とするとともに前記電子割符を付与した受入情報の匿名化データを匿名化前のオリジナルユーザ情報と紐付けた上での提供を可とすることを特徴とするデータ流通システム。
前記ゲートウエイシステムは、データ送信者としての前記サービス提供事業者システム又は当該サービス提供事業者システムのユーザ或いは前記サードパーティシステムから積極的にプッシュするべきデータを受け取った際には、特定のデータ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム又は当該サービス提供事業者システムのユーザ或いはサードパーティシステムに対して当該プッシュするべきデータを送信することを特徴とする請求項1記載のデータ流通システム。
データビジネスゲートウエイ基盤事業者システムに対して、情報のInput側から見れば、サービス提供事業者システムと、外部システムと、サードパーティシステムとが接続されており、情報のOutput側から見れば、データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システムとサードパーティシステムとが接続されているデータ流通システムを実現するゲートウエイシステムであって、
前記ゲートウエイシステムは、複数の前記サービス提供事業者システムからの夫々のシステムに閉じられたクローズドデータと、前記外部システムからの公開された外部データとを受入・蓄積しておき、前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求があったときには、前記受入・蓄積してあるデータを検索・抽出・ブレンドし、そのデータの開示可否を判断し、それが開示可と判断された場合には、当該データを要求した前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムに対してデータを提供し、かつ、前記ゲートウエイシステムは、データ送信者としての前記サービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからデータを受け取った際には、その受け入れの証として電子割符を付与しておき、前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求に前記電子割符と同一の電子割符が付されている場合には、前記電子割符を付与した受入情報に関連した情報の提供を可とするとともに前記電子割符を付与した受入情報の匿名化データを匿名化前のオリジナルユーザ情報と紐付けた上での提供を可とするものであり、
前記受入・蓄積されるデータを提供するデータ提供側が、自らのシステム内には業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションも備えておらず、基盤事業者内の各アプリケーションの機能を活用するシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行い、
(1)業務アプリケーション提供の要求(データ提供者)
(2)業務アプリケーション機能の提供(基盤事業者)
(3)データの提供(データ提供者)
(4)受入データをユーザデータDBに登録(基盤事業者)
(5)データのオープン化を要求(データ提供者)
(6)データのオープン化処理(基盤事業者)
(7)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
前記データ提供側が、前記基盤事業者から提供を受けた業務アプリケーションをシステム内に備え、前記基盤事業者内のデータ処理アプリケーションの機能を活用するシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行い、
(1)業務アプリケーション提供の要求(データ提供者)
(2)業務アプリケーション機能の提供(基盤事業者)
(3)業務の遂行によりデータの生成と登録(データ提供者)
(4)業務データの送信(データ提供者)
(5)ユーザの業務データの登録(基盤事業者)
(6)データのオープン化を要求(データ提供者)
(7)データのオープン化処理(基盤事業者)
(8)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
前記データ提供側が、前記基盤事業者から提供を受けた業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションもシステム内に備えているシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行い、
(1)業務アプリケーション提供の要求(データ提供者)
(2)業務アプリケーションの提供(基盤事業者)
(3)業務の遂行によりデータの生成と登録(データ提供者)
(4)データのオープン化処理(データ提供者)
(5)オープン化処理後のデータの提供(データ提供者)
(6)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
前記データ提供側が、前記基盤事業者から業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションも提供は受けておらず、かつ前記基盤事業者内の両アプリケーションを利用しないシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行い、
(1)システム内でのデータの蓄積(データ提供者)
(2)データのオープン化処理(データ提供者)
(3)オープン化処理後のデータの提供(データ提供者)
(4)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
前記データ提供側が、前記基盤事業者からデータ処理アプリケーションの機能の提供受けたシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行う
(1)システム内でのデータの蓄積(データ提供者)
(2)データ処理アプリケーション機能の要求(データ提供者)
(3)データ処理アプリケーション機能の提供(基盤事業者)
(4)データのオープン化処理(データ提供者)
(5)オープン化処理後のデータの提供(データ提供者)
(6)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
ことを特徴とするデータ流通システムを実現するゲートウエイシステム。
前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求があったときには、前記データ享受者システムからのデータ要求におけるデータの利用履歴を学習蓄積しておき、その学習結果に応じたデータのリコメンドあるいは提供を行うことを特徴とする請求項3記載のデータ流通システムを実現するゲートウエイシステム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して接続されている種々の業種の企業・団体、又は個人が所有するデータを適正且つ有効に利用するためのデータ流通システムであって、夫々が独立してデータを授受する複数のデータ取扱いシステム間でのデータのトレーディングのためのシステムに関する。別の言い方をすれば、各々のシステム内にクローズしたデータのやり取りをオープンなデータ流通マーケットとして構築するために、各種のデータの流通をオープン化するデータ流通システムに関する。
【0002】
さらに、本発明は、夫々が独立したシステム間であってもデータのトレーディング(データの流通)を可能にすることを実現し、それを促進するためのデータビジネスゲートウエイシステムに関する。さらにまた、本発明は、夫々が独立したシステム間でのデータのトレーディングを可能にするデータ流通方法に関する。
【0003】
本出願人は、既に先願(特願2012−149943)として出願したように、例えば、ポータルサイトにおいてネットワークを介して、サービス享受事業者に対し業務アプリケーションや情報などのサービスを提供するサービス提供システムについて説明している。それは、更に詳しく説明すれば、サービス提供事業者が、例えば、飲食業界の飲食店や、宿泊業界のホテル・旅館や、娯楽業界の映画館などをサービス享受事業者として集めてポータルサイトを運営し、それらのサービス享受事業者が必要とする機能、例えば予約機能(予約サービス)や業務システム機能(業務SaaS)などの本来業務支援サービス機能を提供するサービス提供システムに関するものである。
【0004】
更に詳しく説明すれば、本発明は、特定のサービス提供事業者が契約者としての複数のサービス享受事業者に対してサービスを提供する際の閉じられたシステム内のクローズドデータの流通ではない。本発明は、相違した事業を目的とした複数のサービス提供事業者が、夫々の契約者である複数のサービス享受事業者に対してサービスを提供する際の情報を、閉じられたシステム内のクローズドデータとしてではなく、オープンなデータ流通マーケットとして流通を可能とするシステム及び方法を提供するものである。
【0005】
更に具体的に説明すれば、例えば、(a)特定のサービス事業者から特定の契約者に対してサービスを提供する当該特定のシステムに閉じたクローズドデータ(closed data)、(b)当該特定のサービスシステムとは別のシステムで閉じたクローズドデータ、(c)サービス提供事業者に対してサービス基盤を提供するサービス基盤事業者が管理する顧客データ(お客様データ)、(d)第三者事業者(third party)からの第三者データ、(e)業種に関係なくネット上に公開されている公共機関、団体、企業、個人から発信されるオープンデータ等のあらゆるデータ、及び(f)これらのデータを検索・ブレンドしたデータの流通を可能にし、公正なデータの流通を促進するためのジャンクション機能を備えたデータビジネスゲートウエイシステム(以下、簡略化のために「DBGシステム」と称する場合がある)に関する。
【0006】
つまり、先願(特願2012−149943)は、サービス享受事業者が必要とする機能(例えば予約機能や業務システム機能)などの本来業務支援サービス機能を提供するサービス提供システムを主体にした発明に関するものであるが、本願発明は、閉じられたシステム内でのクローズドデータを、適正でオープンなデータ流通マーケットを構築しようとするものである。つまり本発明は、そのためのデータビジネスゲートウエイシステム、及びデータ流通方法を提供するものである。
【0007】
本明細書では、使用する用語が複雑に関連してくるので、先に利用する用語を以下ように定義して用いるものとする。なお、この用語の定義は、先願(特願2012−149943)に沿って定義をするが、必ずしも完全同一なものではなく、相違した場合は以下の定義が優先するものである。
【0008】
「ユーザ」:システムを利用するエンドユーザとしての個人、団体、企業であり、特定ユーザ(個人、団体、企業が特定可能なユーザ)と不特定ユーザ(個人、団体、企業が特定不可能又は特定困難なユーザ)を含む。ユーザがシステムで使用する端末等を「ユーザ側端末」と言う。ユーザに関して「個人」とした用語は、ユーザとしての団体及び企業を含むものである。以下に定義する「サービス提供事業者」等を介さずにシステムを利用する個人、団体、企業は、特別に「サードパーティ」と称することがある。
【0009】
「サービス享受事業者」:システムによる業務サービス機能の提供を受けてユーザにサービスを提供する事業体であり、一般的には、店舗や営業所や事務所などのSMB(Small and Medium Business)企業体である。当該サービス享受事業者側に設けられたシステム構成装置を「サービス享受事業者装置」と言う。また、「側に設ける」との用語の意義は、必ずしもサービス享受事業者内に設けることのみを意味するものではない。この「側に設ける」との用語は、以下同様に用いる。
【0010】
「サービス提供事業者」:システムによる業務サービス機能を提供する事業体であり、当該サービス提供事業者側に設けられたシステム構成装置を「サービス提供事業者装置」と言う。
【0011】
「サービス基盤事業者」:業務サービス機能実現のための基盤をサービス提供事業者、サービス享受事業者に提供する事業体であり、データビジネスゲートウエイ基盤事業者と同じ意味合いで用いる。
「サービス基盤事業者」がサービス機能実現のために提供する基盤には2種類のものがあり、その一つは本来的業務支援のための業務アプリケーションを提供するものであり、他の一つはデータの匿名化や正規化のためのデータ処理アプリケーションを提供するものである。
「サービス基盤事業者」は、一般的には、契約に基づきサービス享受事業者装置、サービス提供事業者装置から情報を随時収集し、それ等の情報を加工して、サービス享受事業者、サービス提供事業者に加工情報を提供する。
加えて、「サービス基盤事業者」は、クローズドなデータをオープンなデータとしてデータ流通システムに提供するためのゲートウエイシステムを運用しており、そのためのデータ処理機能をユーザ、サービス享受事業者側、サービス提供事業者側、サードパーティに提供する。つまり、「サービス基盤事業者」の提供するサービスには通常の業務機能を提供するサービスと、データの公正な流通を図るためのサービスとがある。
当該サービス基盤事業者側に設けられたシステム構成装置を「サービス基盤事業者装置」と言う。
【0012】
「本来業務支援サービス」:サービス提供事業者がサービス享受事業者に対して提供する予約機能や業務SaaSなどの本来業務を支援するサービス。(予約機能や業務システム機能など)
【0013】
「データ処理サービス」:データの流通を図るための主要なサービスであり、各種データ(クローズドデータ及びオープンデータ)を、本DBGシステムにおいてのデータ授受を可能にするためのサービスであり、「サービス基盤事業者装置」のデータゲートウエイシステムを介して行われる。データゲートウエイシステムは、サービス享受事業者、サービス提供事業者、ユーザに対してデータ処理アプリケーション(匿名化処理、正規化処理等を行う)を提供することができる。
【0014】
「データ(情報)の受け入れ(受入)」:データ(情報)を受信することに加え、外部システムの動作により基盤事業者装置内においてデータ(情報)が形成されることも含む。それは、データ(情報)の伝送が「ある」か「ない」かにより相違するものの、外部のデータ(情報)が基盤事業者装置のシステム内に取り込まれ、或いは新たに形成され、データベースとしては同一のものができあがるからである。
【0015】
また、各データに関して、サービス提供事業者から提供されるクローズドデータとは、例えば匿名化されたユーザデータや業務データなどであり、サービス基盤事業者から提供される顧客データとは、サービス提供事業者の顧客(契約者である店舗などの小規模企業)データであり、サードパーティから提供される第三者データとは、サービス提供事業者とは関係のないシステムからのデータであって、例えばネット上のクローリングデータ(crawling data)や販売データ(POSデータ、統計データ、位置情報、行動履歴情報など)である。また、オープンデータ(open data)とは、ネット上や書籍、出版物などで公開されているオープンなデータである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
特許文献2(特開平9−319791号公報)には、店舗の消費者への販売を支援する販売促進システムの仕組みが記載されている。具体的には、当該店舗における仕入商品、在庫過多の商品、在庫過多になりそうな商品、賞味期限が迫っている商品といった、販売促進商品を効果的にアピールできる組合せを選定できる情報を提供することにより、販売促進担当者の意思決定を支援すること、選定した料理メニューを店頭に設置している情報端末から消費者に提供することで、売り手側にとって効率的、かつ効果的な販売促進の支援を行うことが記載されている。
【0025】
しかし、特許文献2(特開平9−319791号公報)の販売促進支援システムは、一つの店舗に関する各種情報の有効な組合せ、選定に適するものであって、所謂一つの店舗から得られる限られた範囲での情報に基づき、一つの店舗での販売促進に過ぎず、販売促進も限定的な用途に過ぎなかった。
【0026】
また、従来のトレーディングシステムにおけるデータ提供事業は、閉じられた企業・団体・個人間での1つのグループとしての物品やサービスの提供におけるトレーディングの仕組みであった。つまり、多くの提携企業を有してはいても限られた1つのシステムにクローズされたトレーディングシステムであった。さらに、データ提供事業者から特定顧客へというPULL型で、一方向(One Way)のトレーディングであることなど、物品やサービスの限られたトレーディングしか行えなかった。
【0027】
特許文献2(特開平9−319791号公報)の販売促進支援システムは、複数の店舗及び店舗グループから売上POSデータを収集し、当該システムを介して売上POSデータを売買する仕組みである。従って、当該システムから異なる企業間でデータ(売上POSデータ)の売買は可能である。しかし、データを享受する側は、当然ながら、当該システムを採用し導入していないと、当該システムからのデータ提供を受けることができなかった。換言すれば、他のシステムを採用している企業や店舗のデータやオープンデータを取り込んだり、かつ取り込んだデータをブレンドミックスしたりすることはできず、データ流通には制約があり、データをより有効に活用することができないという課題があった。
【0028】
また、このような既存のシステムでは、売上POSデータの収集が中心であり、他のデータ、例えば予約データ、仕入れデータ等の取り込みは想定していない。
【0029】
一方、メリットがあれば自らのデータを提供しても良いとする企業・団体も存在し、付加価値がついたデータであれば受け取りたい企業・団体も存在する。しかし、現在のシステムでデータを利活用しようとした場合で、例えば、データを提供したい企業側が店舗などのSMB企業である場合には、そのSMB企業数は数十万社以上となり、各々のSMB企業では個々にデータを管理している。従って、有効なデータとして利用するためにはそれらの膨大なデータをマージする必要があり、それにはSMB企業システム毎にSQL(Structured Query Language リレーショナルデータベース管理システムにおいて、データの操作や定義を行うためのデータベース言語(問い合わせ言語)である)文を作成すること、若しくはSMB企業に標準フォーマットに沿ってデータを作成する必要がある。これらは技術的にもスキル的にも難しく、実現するのが難しい。
【0030】
また、更にデータ利活用事業においては、現在一般公開されている公共データ、例えば各省庁のデータ、気象データ、各種団体からのデータ等を付加することは、データ提供事業者において一般に行われている。しかし、従来のデータ利用事業は、顧客企業毎に個別に公開データをカスタマイズして提供する方法であった。従って、顧客企業が公共の公開データを検索し、それに自社所有のデータと融合させる等の自由度が低かった。これは、そもそも公開されたデータ或いはそれから加工されたデータは、顧客企業の自社データとのブレンドミックスすることを想定していないことに起因する。つまり、従来のデータ利活用事業は、顧客事業毎に個別に公開データをカスタマイズして提供する方法であった故である。またこれは、公共データも他のデータとブレンドミックスして利用されることを想定して検索可能な状態に整備されていないことにも起因する。
【0031】
また、従来のデータ提供事業においては、特定顧客からの要求に応えてデータ提供事業者がデータを分析して結果を提供するというデータ提供事業者から特定顧客へというPULL型で、一方向のビジネスであった。この場合、どのようなプロフィールの顧客企業から、どのようなリクエストでデータ分析のリクエストがあったか等という知識がシステム的に蓄積されることはなく、当然にその知識が活用されることもなかった。
【0032】
しかし、データの流通を自由化するには、公正化が確保されたシステムの構築が絶対的に必要なものとなる。しかし、データ流通の自由化が図られたとしても、野放図なデータの流通を許していいものではない。それ故に、従来におけるデータの流通は、特定の契約において守られた範囲内での閉じられたシステム内でのクローズドな流通に限られていたものであった。データ流通の公正化が確保されたシステムにおいて必須なことは、個人情報の保護と著作権の保護である。つまり、前者は、個人情報が知られない状態で、個人に関する情報を如何にして匿名化された情報、個人が特定されない情報に加工して流通させるかである。また、後者は、利用する情報のトレーサビリティが可能であり、基にしているオリジナルな情報が分かることである。
【0033】
そこで、本発明は、複数の個人、企業、団体、システム又はシステム群(以下、これらを「システム等」と称する場合がある)がオープンな状態で参画可能であり、参画したシステム等に対して公正なデータトレーディングをすることができるデータビジネスゲートウエイシステム(DBGシステム)を提供するものである。
【0034】
これにより、本発明は、複数の事業者間での双方向のデータ流通の自由化を可能とし、公正なデータ流通を促進するジャンクション機能を有するDBGシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明のデータ流通システムは、データビジネスゲートウエイ基盤事業者システムに対して、情報のInput側から見れば、サービス提供事業者システムと、外部システムと、サードパーティシステムとが接続されており、情報のOutput側から見れば、データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システムと、サードパーティシステムとが接続されているデータ流通システムであって、
前記データビジネスゲートウエイ基盤事業者
システムは、サブシステムとして、サービス提供事業者システムに対して本来業務の支援サービスをするサービス基盤提供システムと、データ収集・提供及びデータ開示の可否判断を行うゲートウエイシステムと備えており、
前記ゲートウエイシステムは
、複数の
前記サービス提供事業者システムからの夫々のシステムに閉じられたクローズドデータと、前記外部システムからの公開された外部データとを受入・蓄積しておき、前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求があったときには、前記受入・蓄積してあるデータを検索・抽出・ブレンドし、そのデータの開示可否を判断し、それが開示可と判断された場合には、当該データを要求した前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムに対してデータを提供
し、
前記ゲートウエイシステムは、データ送信者としての前記サービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからデータを受け取った際には、その受け入れの証として電子割符を付与しておき、前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求に前記電子割符と同一の電子割符が付されている場合には、前記電子割符を付与した受入情報に関連した情報の提供を可とするとともに前記電子割符を付与した受入情報の匿名化データを匿名化前のオリジナルユーザ情報と紐付けた上での提供を可とすることを特徴とする。
【0038】
さらに、本発明のデータ流通システムは、前記ゲートウエイシステムは、データ送信者としての前記サービス提供事業者システム又は当該サービス提供事業者システムのユーザ或いは前記サードパーティシステムから積極的にプッシュするべきデータを受け取った際には、特定のデータ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム又は当該サービス提供事業者システムのユーザ或いはサードパーティシステムに対して当該プッシュするべきデータを送信することを特徴とする。
【0039】
本発明のデータ流通システムを実現するゲートウエイシステムは、データビジネスゲートウエイ基盤事業者システムに対して、情報のInput側から見れば、サービス提供事業者システムと、外部システムと、サードパーティシステムとが接続されており、情報のOutput側から見れば、データ享受者システムとして
のサービス提供事業者システムとサードパーティシステムとが接続されているデータ流通システムを実現するゲートウエイシステムであって、
前記ゲートウエイシステムは
、複数の
前記サービス提供事業者システムからの夫々のシステムに閉じられたクローズドデータと、前記外部システムからの公開された外部データとを受入・蓄積しておき、前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求があったときには、前記受入・蓄積してあるデータを検索・抽出・ブレンドし、そのデータの開示可否を判断し、それが開示可と判断された場合には、当該データを要求した前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムに対してデータを提供
し、かつ、前記ゲートウエイシステムは、データ送信者としての前記サービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからデータを受け取った際には、その受け入れの証として電子割符を付与しておき、前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求に前記電子割符と同一の電子割符が付されている場合には、前記電子割符を付与した受入情報に関連した情報の提供を可とするとともに前記電子割符を付与した受入情報の匿名化データを匿名化前のオリジナルユーザ情報と紐付けた上での提供を可とするものであり、
前記
受入・蓄積されるデータを提供するデータ提供側が、自らのシステム内には業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションも備えておらず、基盤事業者内の各アプリケーションの機能を活用するシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行い、
(1)業務アプリケーション提供の要求(データ提供者)
(2)業務アプリケーション機能の提供(基盤事業者)
(3)データの提供(データ提供者)
(4)受入データをユーザデータDBに登録(基盤事業者)
(5)データのオープン化を要求(データ提供者)
(6)データのオープン化処理(基盤事業者)
(7)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
前記データ提供側が、前記基盤事業者から提供を受けた業務アプリケーションをシステム内に備え、前記基盤事業者内のデータ処理アプリケーションの機能を活用するシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行い、
(1)業務アプリケーション提供の要求(データ提供者)
(2)業務アプリケーション機能の提供(基盤事業者)
(3)業務の遂行によりデータの生成と登録(データ提供者)
(4)業務データの送信(データ提供者)
(5)ユーザの業務データの登録(基盤事業者)
(6)データのオープン化を要求(データ提供者)
(7)データのオープン化処理(基盤事業者)
(8)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
前記データ提供側が、
前記基盤事業者から提供を受けた業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションもシステム内に備えているシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行い、
(1)業務アプリケーション提供の要求(データ提供者)
(2)業務アプリケーションの提供(基盤事業者)
(3)業務の遂行によりデータの生成と登録(データ提供者)
(4)データのオープン化処理(データ提供者)
(5)オープン化処理後のデータの提供(データ提供者)
(6)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
前記データ提供側が、前記基盤事業者から業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションも提供は受けておらず、かつ前記基盤事業者内の両アプリケーションを利用しないシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行い、
(1)システム内でのデータの蓄積(データ提供者)
(2)データのオープン化処理(データ提供者)
(3)オープン化処理後のデータの提供(データ提供者)
(4)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
前記データ提供側が、前記基盤事業者からデータ処理アプリケーションの機能の提供受けたシステムの場合は以下の順序でデータの受け入れ手順を行う
(1)システム内でのデータの蓄積(データ提供者)
(2)データ処理アプリケーション機能の要求(データ提供者)
(3)データ処理アプリケーション機能の提供(基盤事業者)
(4)データのオープン化処理(データ提供者)
(5)オープン化処理後のデータの提供(データ提供者)
(6)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
ことを特徴とする。
【0040】
さらに、本発明のデータ流通システムを実現するゲートウエイシステムは、前記データ享受者システムとしてのサービス提供事業者システム或いは前記サードパーティシステムからのデータ要求があったときには、前記データ享受者システムからのデータ要求におけるデータの利用履歴を学習蓄積しておき、その学習結果に応じたデータの推奨(リコメンド)を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、複数のシステム(幾つかのシステム群)、例えばサービス提供事業者やサードパーティ事業者、公共機関の各システムと連携することにより、より多くの多目的なデータ(売上、予約、在庫、仕入、他、等)を取り込み、かつこれらのデータをブレンドして分析することが可能となり、当該分析結果を幅広いデータ享受者側に提供することができ、そのデータの流通(授受)をもって、データ流通を自由化でき、幅広い利活用を図ることができる。
また、授受するものがデータであることに起因して、その授受はサーバ上で処理可能である。また、従来の物品やサービスの授受とは異なり、データの権利や管理責任、及び取引をすべて本データビジネスゲートウエイシステム側で制御することも可能である。
上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明のデータビジネスゲートウエイシステムは、上記課題を解決するために、例えば、サービス提供事業者システムから提供されるクローズドデータ及びサービス基盤事業者システムから提供されるクローズドデータに加えて、サードパーティシステムから提供される第三者データ及びオープンシステムから提供されるオープンデータを取り込む(取得・収集)。その取り込んだデータは正規化した上でデータベースに格納・蓄積して管理し、さらにその正規化データは抽出・ブレンドミックスして、同様にデータDBに格納・蓄積して管理する。この正規化データ及び/又はブレンドミックスデータは、それを活用したいとするデータ享受者システム側からのデータアクセス要求があった場合、アクセス要求に応じたデータを検索・抽出し、そのアクセス要求者に対して検索・抽出したデータを開示する否かの開示可否を判定し、データ開示可と判定した場合には、検索・抽出結果をデータ享受者側に対して提供する。このようにして、本発明のデータ流通システムは、データジャンクション機能を有し、データ流通の公正化と自由化を促進する。
【0044】
この場合のデータ正規化は、例えば、粒度管理システムをもって行なう。データの授受は、物品やサービスと異なり、基本的にサーバ上で全て可能である。このデータ授受の基盤は、データ流通におけるデータジャンクションとしての機能を有するものである。
【0045】
本発明のデータビジネスゲートウエイでのデータの原始的権利者としては、ユーザ(個人消費者等)、団体・企業等(店舗等)、サービス提供事業者、サービス基盤事業者であり、特に個人情報及び企業情報は共に機密性が高く、各々のシステムでの責任においてデータの厳格な管理を行なう必要がある。本発明のデータ流通システムにおいては、各システム間でのデータの流通を公正かつ自由に行なうことを可能とするデータジャンクション機能を有する。このデータジャンクション機能は、サービス基盤事業者で行えるようにすることが望ましいがこれに限定される必要はない。
【0046】
データジャンクション機能を有するゲートウエイとしては、例えば、個人情報ゲートウエイ、店舗情報ゲートウエイ、サービス事業者情報ゲートウエイ、サービス基盤事業者ゲートウエイとする。例えば、個人情報ゲートウエイ及び店舗情報ゲートウエイでは、匿名化データ管理(仮名化ID管理等)でゲートウエイ管理される。また、データビジネスゲートウエイでは、データを受け取った証として電子割符を付与して管理すると良い。この仮名化IDは、データ権利者であることが確認(例えば電子割符により確認)できれば識別子IDに復元可能にすることが可能である。
【0047】
データの授受・管理等は、サービス基盤事業者からデータ処理アプリケーションの提供を受けて、サービスを提供する個々のサービス提供事業者側において管理してもよいが、各データを一括で管理することが可能なサービス基盤事業者側で行なうことが望ましい。
【0048】
公共データを含めてデータの利活用性を高めるという課題に対しては、どのようなシステムにも対応可能なように公共データを含めたデータを予め構造化して提供する。例えば、具体的には、オンライン分析処理(online analytical processing)で利用可能なキューブ型のデータ構造を持ったデータセットにして提供する(
図3)。ここで、キューブ型のデータセットは、各システム(群)と対応した軸(時間軸、地域軸、業種軸)、及び粒度(原点、単位(幅))を設定することで、どのシステム(群)に属するデータともマージ可能なデータの取得及び検索が可能となる。つまり、軸と粒度を合わせる粒度管理システムをもって行なう。
【0049】
データの整備からデータ授受、利用結果のフィードバックまで、いわゆるPDCAサイクル(Plan‐Do‐Check‐Act Cycle)を管理するシステムを含み、それらのPDCAサイクルから得られる知識を管理するナレッジベースを、本システムは有する。例えば、具体的には、元データに対して、それを要求する企業のプロフィール(業種、部署、規模、等)を管理し、その企業がよく使う検索キーワードや、定期的に要求するデータの項目を保存する。これをナレッジベースとする。例えば、このナレッジベースから、検索キーワードのランキングや要求データのランキングを要求企業のプロフィール毎に比較することで、元データの構造(軸や値や期間)の見直しや追加、また類似プロフィールの顧客企業へのPUSH型のサービスであるリコメンド(予測機能)などが可能になる。その結果をナレッジベースに再度取り込むことで、PDCA可能なシステムとなる。
【0050】
以下、本発明のDBGシステムの実施例を図面を用いてより詳細に説明する。しかし、本発明は、図面に開示された実施例のみ限定されるものではなく、当業者において容易に可能な設計変更が含まれるものである。
【0051】
本発明の実施例では、(a)業務サービス基盤を提供している複数のサービス提供事業者装置からのユーザデータ、業務データ、(b)業務サービス基盤を提供していない複数のサービス提供事業者装置からのユーザデータ、業務データ、(c)外部システムで公開されているオープンデータ(d)複数のサードパーティからの第三者データ等の各種データの流通について説明する。つまり、データを提供する側の装置からデータを要求して享受する側の装置との間でのデータの流通を公正化し、自由化し、促進を図る具体的構成と手法について説明する。
【0052】
図1は、本発明のDBGシステム100(
図1に示す全体)の主要部分であるデータゲートウエイ基盤事業者のゲートウエイシステム400を含むシステム全体を示すシステム構成図であり、Input側と表記した上半分が情報を入手する側及び場面での構成図であり、Output側と表記した下半分が情報を出力する側及び場面での構成図である。
なお、
図1には、凡例として表記した図形の意味が記載されている。これらの図刑は他の図においても同じ意味で表記している。
【0053】
DBGシステム100では、データビジネスゲートウエイ基盤事業者システム400が、ネットワーク(
図1には示さず)を介して、サービス基盤を提供している複数のサービス提供事業者システム200A、サービス基盤を提供していない複数のサービス提供事業者装置システム200B、外部データ、SNS(social networking service)、ブログ等の公開されている外部システム300、及び流通するデータの享受を受けようとするサードパーティシステム600が接続されている。
図1の上半分(Input側)と下半分(Output側)に記載されている200A、200Bは同一システムである。
【0054】
サービス提供事業者システム200A内のサービス提供事業者210は、通常、サービス基盤事業者400との間で特定のサービス基盤を提供する契約を結んでおり、提供された事業サービス基盤により複数の店舗等a1〜amのSMB企業230のデータを扱う。さらにサービス提供事業者システム200Aは、SMB企業の業務データ等に加えて、当該SMB企業230のユーザにあたる複数の消費者250から収集したユーザデータも取り扱う。ユーザは消費者(個人、団体、企業を問わない)等の当該サービスの最終ユーザである。それに対して、サービス提供事業者システム200B内のサービス提供事業者215は、サービス基盤事業者400との間で事業サービス基盤を提供する契約を結んでいないが、その点を除けば、サービス提供事業者システム200Bは、サービス提供事業者システム200Aと同様の機能を備えている。
【0055】
サードパーティシステム600も、Input側(上半分)とOutput側(下半分)の両方に記載されているが、同一システムであっても良いし、別システムであっても良い。サードパーティシステム600(Output側)は、特に、本システム内において自らの情報を提供することが求められているわけではないが、本DBGシステム100において流通するデータを入手しようとするシステムとして表記している。
【0056】
勿論、サードパーティシステム600(Input側)は、自らの情報を本システム100にプッシュ式に供給することは可能である。この場合、サードパーティシステム600は、複数の取引先の取引データを扱うものであっても良いが、本システムにおいてデータを流通させるためにはデータの公正化が担保される必要がある。例えば、取引先のユーザにあたる複数の消費者から収集したユーザデータや当該取引先の業務データ等の流出は厳に避けられなければならない。つまり、顧客や取引先等の販売データ等をオープンデータ化するには細心の注意が必要である。何故ならば、販売データには、個人が特定可能な秘密性の高いPOSデータ、統計データ、位置情報、消費者の行動履歴情報等が含まれ得るからである。
【0057】
外部システム300は、外部からの公開されている外部データを扱うものである。つまり、外部システム300は、オープンシステムであり、例えば、ネット上に公開されている公共データ、SNSやブログ等のソーシャルメディア上のデータ、又は書籍や出版物なども含めたオープンデータを扱うものである。しかし、これであっても本システムにおいて自由に流通させて良いものではない。外部の公開データであってもデータオープン化の処理は必要となるものである。
【0058】
以上のように、本発明のDBGシステム100においては、接続された個々のシステムは、常に業務サービスの提供を受ける側として接続される場合もあり、またオープン化処理されたデータの供給を受けるサービス享受側として接続される場合もある。
【0059】
本発明のDBGシステム100の構成と手順を説明する前に、まず、既に本出願人が出願済の先願(特願2012−149943)の主要な発明である事業サービス基盤を提供するシステムの概要について説明する。この部分については、本発明の主要な特徴点ではないが、本発明においても同様な構成と手順を備えている。
【0060】
本発明のDBGシステム100におけるデータビジネスゲートウエイ基盤事業者400のサービス基盤提供システム410は、サービス提供事業者システム200Aに対して、予約管理、販売管理、顧客管理等の業務サービスを実現する業務アプリケーションを提供する装置770を有する。
【0061】
サービス提供事業者210は、一例として、予約管理サービスをサービス享受事業者であるユーザ企業群230の要望に沿ってカスタマイズし、サービス享受事業者230からユーザ(消費者)250の予約情報を受付け管理するアプリケーションサーバ(詳細図示なし)を有する。つまり、サービス基盤事業者装置400とサービス提供事業者210との協働をもって、サービス享受事業者230のビジネスを支援する仕組みである。
【0062】
このような業務支援仕組みを提供するシステムは、一般的にサービス提供事業者毎に対応するものである。従って、サービス基盤事業者装置400は、サービス提供事業者210に対して、予約管理、販売管理、顧客管理等の本来業務支援サービスを提供し、サービス提供事業者210は、サービス享受事業者230に対して、カスタマイズした本来業務支援サービスを提供(サービスの開始)し、また該提供した本来業務支援サービスに基づくオリジナルなユーザ情報を管理する。
【0063】
このサービス提供方法としては、例えばSaaSが挙げられる。SaaSとは、情報システム(ソフトウェア)が提供する機能(本来業務支援サービス)を、サービス提供事業者やサービス享受事業者が、特に新たなシステムを構築・導入することなく、ネットワーク経由で利用することを可能にするICT活用環境である。
【0064】
一般的には、SaaSでは、必要なときに必要なサービスを、特別なシステム構築の必要もなく素早く利用できるというメリットがある。また、SaaSでは、社内に特別な環境を用意する必要はないことから、その機能(サービス)の運用開始時間を早め、コストも低減できる。また、インターネットやWANを使用することになるが、ネットワークやブラウザの技術革新により、社内システムを利用するのとほぼ同等の操作が可能である。
また、サービス基盤事業者400から提供されるSaaSやSIおよび運用・保守を利用するサービス提供事業者装置やサービス享受事業者にとっては、コスト削減、売上拡大を図ることが期待できる。
【0065】
従来は、各サービス提供事業者装置210は、サービス享受事業者230から収集したユーザ(含個人、団体、企業)250に関する特定ユーザのオリジナルユーザ情報をそれぞれ単独に管理する構成となっている。つまり、オリジナルユーザ情報を用いて特定ユーザに対して販促に繋がるようなサービスを積極的に行うことができる仕組みにはなっていなかった。換言すれば、オリジナルユーザ情報を積極的に利用することまで考慮されていなかった。
【0066】
その理由の一つとして、各サービス提供事業者装置210がサービス享受事業者230から収集するオリジナルユーザ情報には、それぞれ特定ユーザ250の個人や団体、企業などを特定する個人情報などが含まれていることに起因する。従って、これまでは、サービス基盤事業者400とサービス提供事業者210間では、両者の約款によっては、オリジナルユーザ情報の送受は可能であるも、一般的には個人情報を含むオリジナルユーザ情報を、サービス提供事業者装置210から第三者となるサービス基盤事業者装置400やその他のサービス提供事業者装置に対して提供することはできなかった。
【0067】
つまり、従来のサービス提供事業者装置では、日本国内の個人情報保護法などの制約もあって、サービス基盤事業者とサービス提供事業者間では、個別ベースで独立的に機能するように構成されていた。このことから、各サービス提供事業者とサービス基盤事業者間では、合法的に各サービス提供事業者装置が収集、管理するオリジナルユーザ情報を相互利用することは不可能な状態にあった。
【0068】
一方、現代は情報社会であり、膨大な情報がネット上を駆け巡り時には情報量が伝送可能容量を超えることもある。これらの情報が日々蓄積されていくが、このようなビッグデータを公正な手法により有効に利用・活用できる手法は確立されるべきである。
本発明は、係る点に鑑み、サービス享受事業者やそのユーザから収集したオリジナルユーザデータ(情報)を匿名化ユーザデータ(情報)に加工し、該匿名化ユーザデータ(情報)を分析し、該分析結果に応じて匿名化されたユーザに提供するものである。例えば、行動、嗜好等で分類化され匿名化された一群のユーザに対して広告行動をとることは企業にとっては有用である。例えば、メールやネットなどの通信手段を介してユーザに対して狙い撃ちしたサービスを提供することができる。
【0069】
本発明のDBGシステム100は、情報のInput側から見れば、サービス提供事業者システム200A,200B、外部システム300、サードパーティシステム600が接続されており、情報のOutput側から見れば、サービス提供事業者システム200A,200B、サードパーティシステム600が接続されている。データビジネスゲートウエイ基盤事業者400は、サブシステムとして、本来業務の支援サービスをするサービス基盤提供システム410と、データ収集・提供(検索・抽出・ブレンド)や開示可否判断や学習を行うゲートウエイシステム450を備えている。
【0070】
サービス基盤提供システム410は、サービス提供事業者200Aに対して点々矢印で示すように、業務アプリケーションを提供する。このゲートウエイシステム450は、各システムからデータを収集するために、サービス提供事業者200Aに対してハッチング矢印で示すように、データ処理アプリケーションを提供する。サービス基盤提供システム410は、オープンシステムからの各種公開データも収集し、必要に応じて、ゲートウエイシステム内の受信データオープン化処理手段を用いるか、或いはデータ処理アプリケーション提供装置770を利用して提供した受信データオープン化処理手段を用いるかして適切にデータのオープン化(匿名化・正規化等)をする。そして、収集しオープン化処理されたデータは、データ開示要求者側の要求に従ってマージ(ブレンドミックス)して、開示要求者に対して提供される。
【0071】
各システムから矢印(点線)で示したデータ開示要求に対しては、ゲートウエイシステム450内で開示可否判定をした上で、開示可のデータのみを開示する。この開示可否判定の手順は、詳細には説明しないが、例えば、データ提供者に対して提供するデータの開示可否(開示可能範囲を指定、特定、限定等)を選択させておいて、検索・ブレンド時に開示可の情報のみが含まれるデータを開示可とする手法が一般的である。また、各システムからの特定のデータ入手時に電子割符(特殊な割符データやユニークIDや電子鍵)を渡しておき、各システムからのデータ要求が情報提供者と同一の電子割符が付された情報要求か否かで開示可否を判断する手法も考えられる。
【0072】
また、サービス提供事業者200A,200B(210,215)やサードパーティシステム600が自らのデータを積極的に本システムのデータ享受者に対して提供し利活用を図りたい場合には、予めその旨の意思を示しておき、本システム介して積極的なデータ(情報)流通を目指すプッシュ型のデータ提供方法も考えられる。例えば、提供するデータに対して、当該データ(情報)を積極的に供給したい意思を示すフラグを付与させておき、当該プッシュ型情報提供者の意図に沿ったユーザであると判断した場合、当該ユーザに対してそのデータ(情報)を積極的に提供しようとするものである。
【0073】
図2に示すように、本発明のDBGシステム100のサービス基盤事業者400は、サブシステムとして、サービス基盤提供システム410とゲートウエイシステム450を備えている。
図2は、特に、ゲートウエイシステム450の構成を詳細に示したものである。
【0074】
ゲートウエイシステム450は、サービス提供事業者210,215或いは店舗等のサービス享受事業者230,235からのデータを入手するためのシステムであり、データの受入登録を管理・制御する制御装置710、データを受け入れて登録するデータ受入登録部720及び記憶装置730、データの検索やブレンドのための検索・ブレンド装置740、検索履歴等から学習をして検索・ブレンド等のナレッジを高めるナレッジ装置750、情報をプッシュ型で発信するプッシュ型情報発信装置760及びデータ処理業務を支援するためのデータ処理アプリケーション提供装置770を備えている。
【0075】
外部システムから入力されたデータは、インターフェイスを介してデータ受入登録部720に受け入れられる。制御装置710は、匿名化データ管理部711により入力データの匿名化に関する処理一切が管理され、データ正規化管理部713によりデータの正規化処理一切が管理されてデータは登録される。
図2には、個人情報、店舗情報、サービス事業者情報、基盤事業者情報毎にデータの管理と処理が別々に機能することを図示している。データの処理としては、電子割符処理、受信データオープン化処理、データの検索・抽出・ブレンド化処理、データ開示判定処理が記載されている。基盤事業者400がデータを受け入れた場合には、電子割符管理部712の管理による処理として、データを受け入れた証として特異な電子割符をデータ送信元に送付する。これは、データを正規に受け入れた通知となり、後に当該データの正規の送信元であることを証明するキーとしても使用できる。この送信した電子割符は登録したユーザデータと関連つけて記憶しておく。
【0076】
データ受入登録部720は、データ登録部721、データ属性登録部722、開示可否情報登録部723及び電子割符登録部724からなる。データ受入登録部720により受け入れられたデータは記憶装置730に記憶される。記憶装置730は、ユーザデータDB731、ユーザ情報マスタDB732、データ・データ属性DB733、利用履歴DB734及び各マスタDB735からなる。
【0077】
データを提供しようとするシステムにデータ処理アプリケーションが用意されていない場合には、ゲートウエイシステム450のデータ処理アプリケーション提供装置770は、外部システムのデータ処理業務を支援するために、
図2のハッチング矢印で示すように、データ処理アプリケーションを提供することができる。この場合の「アプリケーションの提供」とは、アプリケーション全てを基盤事業者システム400からサービス提供事業者200等に対して提供し、サービス提供事業者200等内に当該アプリケーションを滞在させて当該アプリケーションが動くようにすることのみを意味するものではない。アプリケーション自体は、サービス提供事業者200に取り込まれることはないが、基盤事業者システム400にある当該アプリケーションを動作させて、あたかも自らのシステム内で当該アプリケーションが機能しているようにすることも含むものである。これはデータ処理アプリケーションの提供、及び業務アプリケーションの提供ともに同じである。
【0078】
サービス提供事業者210からデータ提供の要求(矢印(点線))がなされる場合には、そのデータ要求には利用者IDが付され、電子割符がある場合には電子割符が付される。その電子割符は、先にデータを提供した際に得たものであり、データ要求に関係した情報を既に提供したことを証明するためのものである。ゲートウエイシステム450の制御装置710は、電子割符管理部712により正当な電子割符かどうかを判定し、正当な電子割符と判断した場合にはデータ要求に応じたデータを提供することができる。
【0079】
図3は、本発明のDBGシステムにおいて、データの授受に焦点を当てシステム構成図中に処理手順を示した説明図である。
図3では、サービス提供事業者(サービス提供事業者システム)200からクローズドデータが提供され、外部システム300からはオープンデータが提供されている。データ享受者(データ享受者システム)は符号を500として示しており、データのリクエストがなされ、その要求に応じたデータが抽出されて提供されている。また、プッシュ型情報発信装置760によりプッシュ型情報の検索処理が行われ、データの開示可否判定により開示可能な場合にプッシュ型情報が発信されている。
【0080】
ゲートウエイシステム450は、サービス提供事業者(サービス提供事業者システム)200からクローズドデータが提供されると、当該ゲートウエイシステム450でのデータの処理が行われる。ゲートウエイシステム450でのデータの処理は、各データが個人情報ゲートウエイでの管理による処理、店舗情報ゲートウエイでの管理による処理、サービス事業者情報ゲートウエイでの管理による処理、又は基盤事業者情報ゲートウエイでの管理による処理が行われる。個人情報ゲートウエイでの管理による処理及び店舗情報ゲートウエイでの管理による処理では、匿名化のデータ管理が行われる。夫々の情報ゲートウエイでの管理による処理では、提供されたデータに対してデータの受け入れを証する電子割符が与えられる。また、受け入れられたデータは、受け入れデータのオープン化処理(匿名化処理、正規化処理)が施され、データベース730にデータキューブとして蓄積される。
【0081】
ゲートウエイシステム450が蓄積したデータをデータ享受者(データ享受者システム)500が特定の目的に沿ったデータをリクエストすると、ゲートウエイシステム450はその要求を受け取り、その目的に沿ったデータの検索、抽出、ブレンドを行う。目的のデータが抽出されると、データの開示可否判定が開示可否判定手段780により行われ、開示可のデータのみが提供される。
【0082】
特定のデータ享受者(データ享受者システム)500のデータ要求はナレッジ装置750により利用履歴DB734に記録蓄積されて、特定のデータ享受者(データ享受者システム)500のデータ利用傾向が学習されていく。さらには、当該データ享受者のユーザプロファイルをもとに、当該プロファイルに属する企業のデータ利用傾向が学習されていく。ゲートウエイシステム450は、特定のデータ享受者(データ享受者システム)500のデータ検索履歴に応じた検索を学習する。
【0083】
ナレッジ装置750とプッシュ型情報発信装置760は、
図2では別の装置として設けられているが、
図3に示すようにナレッジ装置750の中にプッシュ型情報発信装置760を設けても良い。これにより、プッシュ型の情報発信もナレッジ装置750によって学習された情報検索履歴に応じた特定のデータ享受者(データ享受者システム)500に対する情報発信が可能となる。ゲートウエイシステム450からデータが発信される場合には、発信データのオープンデータ化がなされる。
【0084】
図4(A)(B)(C)及び
図5(A)(B)は、本発明のデータ提供手順を示すシーケンス図であり、
図4(A)はデータ提供側が、自らのシステム内には業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションも備えておらず、基盤事業者内の各アプリケーションの機能を活用するシステムの場合のデータの受け入れ手順であり、
図4(B)はデータ提供側が、基盤事業者から提供を受けた業務アプリケーションをシステム内に備え、基盤事業者内のデータ処理アプリケーションの機能を活用するシステムの場合のデータ受け入れ手順であり、
図4(C)はデータ提供側が、基盤事業者から提供を受けた業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションもシステム内に備えているシステムの場合のデータ受け入れ手順であり、
図5(A)はデータ提供側が、基盤事業者から業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションも提供は受けておらず、かつ基盤事業者内の両アプリケーションを利用しないシステムの場合のデータの受け入れ手順であり、
図5(B)はデータ提供側が、基盤事業者から業務アプリケーションもデータ処理アプリケーションも提供は受けていないが、基盤事業者からデータ処理アプリケーションの機能の提供受けたシステムの場合のデータの受け入れ手順である。
図4(A)の場合のデータ受け入れ手順1
(1)業務アプリケーション提供の要求(データ提供者)
(2)業務アプリケーション機能の提供(基盤事業者)
(3)データの提供(データ提供者)
(4)受入データをユーザデータDBに登録(基盤事業者)
(5)データのオープン化を要求(データ提供者)
(6)データのオープン化処理(基盤事業者)
(7)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
図4(B)の場合のデータ受け入れ手順2
(1)業務アプリケーション提供の要求(データ提供者)
(2)業務アプリケーション機能の提供(基盤事業者)
(3)業務の遂行によりデータの生成と登録(データ提供者)
(4)業務データの送信(データ提供者)
(5)ユーザの業務データの登録(基盤事業者)
(6)データのオープン化を要求(データ提供者)
(7)データのオープン化処理(基盤事業者)
(8)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
図4(C)の場合のデータ受け入れ手順3
(1)業務アプリケーション提供の要求(データ提供者)
(2)業務アプリケーションの提供(基盤事業者)
(3)業務の遂行によりデータの生成と登録(データ提供者)
(4)データのオープン化処理(データ提供者)
(5)オープン化処理後のデータの提供(データ提供者)
(6)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
図5(A)の場合のデータ提供手順4
(1)システム内でのデータの蓄積(データ提供者)
(2)データのオープン化処理(データ提供者)
(3)オープン化処理後のデータの提供(データ提供者)
(4)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
図5(B)の場合のデータ提供手順5
(1)システム内でのデータの蓄積(データ提供者)
(2)データ処理アプリケーション機能の要求(データ提供者)
(3)データ処理アプリケーション機能の提供(基盤事業者)
(4)データのオープン化処理(データ提供者)
(5)オープン化処理後のデータの提供(データ提供者)
(6)オープン化処理後のデータの登録(基盤事業者)
【0085】
図6乃至
図12は、本発明のデータビジネスゲートシステムの各種の処理ステップを示すフローチャートである。
図6は、本発明のデータ流通システムにおいてデータの受け入れ手順を示す一つの実施例のフローチャートである(データ提供手順1の場合)。
同図において、ステップS600にて、データ収集を開始すると、データビジネスゲートウエイ基盤事業者側システムは、ステップS601にて、サービス事業者側システムに対して業務アプリケーションを提供する。次のステップS602にて、サービス提供側システム側から各店舗のデータを受信し、ステップS603にて、ユーザデータDBに登録する。次に、ステップS604にて、当該データをオープン化するオープン化処理要求を受信する。当該オープンか処理要求を受けたとき、ステップS605にて、データIDを発行し、またステップS606にて、電子割符を発行し、ステップS607にて、当該電子割符を当該サービス提供側システムに対して送信し、ステップS608にて、当該データ及び当該データの属性をデータ・データ属性DBに登録する。
次いで、ステップS609にて、サービス提供事業者側システムがデータプッシュ発行を希望しているか否かの判定を行なう。当該ステップにて、希望無の場合は、ステップS610にて、データ収集を終了する。希望ある場合には、ステップS1100に進み、後述するプッシュ型情報発信装処理を行う。
【0086】
図7は、本発明のデータ流通システムにおいてデータの受け入れ手順を示す別の実施例のフローチャートである(データ提供手順2の場合)。
同図において、ステップステップS700にて、データ収集を開始すると、サービス事業者側システムは、ステップS701にて、データビジネスゲートウエイ基盤事業者側システムからの業務アプリケーションを受信し、またステップS702にて、各店舗からのデータを受信する。そして、ステップS703にて、当該業務アプリケーションを元に当該データをデータビジネスゲートウエイ基盤事業者側システムに送信する。
データビジネスゲートウエイ基盤事業者側システムは、ステップS704にて、サービス事業者側システムからのデータを受け入れ、当該データをステップS705にて、ユーザデータDBに登録する。
次いで、ステップS706にて、オープン化処理要求を受信し、当該要求に基づきステップS707にて、オープン化処理、つまり正規化や匿名化等の処理を行う。正規化とは、例えば、データのクレンジング、粒度揃えなどの処理である。
次に、ステップS708にて、データIDを発行し、またステップS709にて、電子割符を発行し、ステップS710にて、当該電子割符を当該サービス事業者側システムに対して送信し、ステップS711にて、当該データ及び当該データの属性をデータ・データ属性DBに登録する。
次いで、ステップS712にて、サービス事業者側システムがデータプッシュ発行を希望しているか否かの判定を行なう。当該ステップにて、希望無の場合は、ステップS713にて、データ収集を終了する。希望ある場合には、ステップS1100に進み、後述するプッシュ型情報発信処理を行う。
【0087】
図8は、本発明のデータ流通システムにおいてデータの受け入れ手順を示すさらに別の実施例のフローチャートである(データ提供手順3の場合)。
同図において、
図7に示す処理と相違する点は、基盤事業者側システム側にデータをオープン化処理するためのアプリケーションを要求しS801、サービス提供事業者側システムにおいて、自前のデータ処理アプリケーションをもって、ステップS802にて、オープン化処理(S8021,S8022)を施し、当該オープン化処理されたデータをデータビジネスゲートウエイ基盤事業者側システムに送信S803している点にある。従って、
図7と同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0088】
図9は、本発明のデータ流通システムにおいてデータの受け入れ手順を示すさらに別の実施例のフローチャートである(データ提供手順4の場合)。
同図において、
図7に示す処理と相違する点は、サービス提供事業者側システムにおいて、ステップS901にて、オープン化処理が必要か否かを判定し、必要と判定した場合、次段のステップ902にて、自前の業務アプリケーションをもって、オープン化処理を施し、等がオープン化処理されたデータをデータビジネスゲートウエイ基盤事業者側システムに送信S903していることにある。また、サービス提供事業者側システムにおいて、一応のオープン化処理ステップS901を経ているが、本システムにてデータを流通させるためにオープン化処理が必要か否かを判別するステップS904を備えている。従って、
図7と同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0089】
図10は、本発明のデータ流通システムにおいてデータの受け入れ手順を示すさらに別の実施例のフローチャートである(データ提供手順5の場合)。
同図において、ステップS1000にて、データ収集を開始すると、サービス提供事業者側システムは、ステップS1001にて、プログラム要求をデータビジネスゲートウエイ基盤事業者システムに送信し、ステップS1002にて、当該要求に応じて、データビジネスゲートウエイ基盤事業者システムから送られてくるアプリケーションを受信する。そして、ステップS1003にて、オープン化処理、つまり正規化S10031や匿名化処理S10032を行い、ステップS1004にて、当該オープン化処理したデータをデータビジネスゲートウエイ基盤事業者システムに送信する。
以後のステップは、
図6、
図7、
図8と同一なので、同一符号を付して、その説明は省略する。
【0090】
図11は、本発明のデータ流通システムにおいてデータのプッシュ型情報発信処理の手順を示すフローチャートである。
同図において、ステップS1100にて、プッシュ型情報発信処理を開始すると、ステップS1101にて、ユーザを対象とした発信要求の有無を判断し、ユーザを対象とした発信要求と判断すると(有り)、ユーザ別利用履歴DBのデータ属性を固定として、値(カウンタ値)でソート(ステップS1102)し、ステップS1103にて、ランキング上位ユーザを抽出し、S1104にてユーザ毎に開示可否の判定を行い、開示可能なユーザへデータの発信を行う(S1105)。また、ステップS1101にて、ユーザを対象とした発信要求でないと判断され(s1101)、ステップS1106にて、プロフィールを対象とした発信要求と判断すると、ステップS1107にて、プロフィール別利用履歴DBのデータ属性を固定として、値(カウンタ値)でソートし、ステップS1108にて、ランキング上位プロフィールを抽出し、ステップS1109にて、当該1プロフィールのユーザを抽出し、S1110にてユーザ毎に開示可否の判定を行い、開示可能なユーザへデータの発信を行う(S1111)。本実施例では、ステップS1102〜ステップS1105の手順とステップS1107〜ステップS1111の手順を連続的に処理する方法を示している。
しかし、ステップS1102〜ステップS1105の手順とステップS1107〜ステップS1111の手順を並列で行うこともできる。この場合は、両方の処理の終了が判断されたたのちに、プッシュ型情報発信処理を終了する(S1112)。
【0091】
図12は、検索・ブレンド処理手順を示すフローチャートである。同図において、ステップS1200にて、検索・ブレンド処理を開始すると、ステップS1201にて、検索・ブレンド要求を受信し、ステップS1202にて、当該要求に応じてデータDBを検索する。
次に、ステップS1203にて、ユーザ別プロフィールテーブル有無を判定する。当該ステップS1203において、ユーザ別プロファイルテーブルが有る場合には、ステップS1204にて、利用者履歴DBのユーザ別テーブルを更新し、ステップS1205にて、ユーザを固定して値でソートする。続いて、ステップS1206にて、上位のデータ属性、ユーザプロフィールの条件に合致するデータがないか、データDBを検索し、ステップS1211にて、データ有無を判定し、ステップS1212にて、開示可否を判定する。当該ステップにて、開示可の場合は、サービス享受者側システムに対して、レコメンドを送信する。
また、ステップS1207にて、ユーザプロフィール別テーブル有無を判定する。当該ステップ1207にて、ユーザ別プロフィールテーブルが有る場合には、ステップS1208にて、利用者履歴DBのプロフィール別テーブルを更新し、ステップS1209にて、プロフィールを固定して値でソートする。次いで、ステップS12010にて、上位にくるデータ属性、ユーザプロフィールの条件に合致するデータがないか、データDBを検索し、ステップS1211にて、データ有無を判定し、ステップS1212にて、開示可否を判定する。当該ステップにて、開示可の場合は、サービス享受者側システムに対して、レコメンドを送信する。
ステップS1213にて、レコメンドを送信し終えたら、ステップS1214にて、検索・ブレンド処理を終了する。
なお、ステップ1203、ステップS1207において、テーブルが無い場合、またステップS1211にて、開示データが無い場合は、ステップS1214にて、検索・ブレンド処理を終了する。
【0092】
次に、本発明のデータ流通システムで流通するデータの各種形式について説明する。
図13は、ユーザ別テーブルの例を示す図である。
同図において、ユーザ別テーブルのディメンジョンには、ユーザID(U0001・・)、時間(T001・・)、データ種類(D001、・・・)、データ由来(U0001、・・)、業種(I001、・・)、年商(S001、・・)、従業員規模(E001、・・;ラベル)、件数、等を有する。ここで、時間、データ種類、データ由来は、検索したユーザの属性を示し、業種、年商、従業員規模は、データ由来の企業のプロフィールを示し、件数は、値(カウンタ値)を示している。
【0093】
図14は、プロフィール別テーブルの例を示す図である。同図において、プロフィール別テーブルのディメンジョンには、業種(I001、・・)、年商(S001、・・)、日付(2012/01/17)、データ種類(D001、・・)、データ由来(U0001、・・)、業種(I001、・・)、年商(S001、・・)、従業員規模(E001,・・;ラベル)、件数、等を有する。ここで、業種、年商は、日付、データ種類、データ由来は、検索したユーザ属性を示し、業種、年商、従業員規模は、検索したユーザが見たデータ由来のユーザのプロフィールを示し、件数は、値(カウンタ値)を示している。
【0094】
図15は、データ属性テーブルの例を示す図である。同図において、データ属性テーブルのディメンジョンには、データID(00000001、・・)、由来(U0003)、時間、種類(D001、・・)、割符、開示可能、等を有する。
【0095】
図16は、業務マスタDBの業種マスタテーブルの例を示す図である。同図において、ディメンジョンには、業種ID(I001、・・)、業種を有する。業種は、例えば、金融(銀行)、金融(信用金庫)、金融(証券)等である。
【0096】
図17は、業務マスタDBの業種マスタテーブルの例を示す図である。同図において、ディメンジョンには、年商ID(S001、・・)、年商を有する。
【0097】
図18は、データの種類マスタDBのデータの種類マスタテーブルの例を示す図である。同図において、ディメンジョンには、データの種類ID(D001、・・)、業種を有する。業種は、例えば、売上、販売、仕入、・・等である。
【0098】
図19は、従業員規模マスタDBの従業員数マスタテーブルの例を示す図である。同図において、ディメンジョンには、従業員規模ID(E001、・・)、人数を有する。
【0099】
図20は、時間マスタテーブルの例を示す図である。同図において、ディメンジョンには、時間ID(T001、・・)、時間幅を有する。時間幅は、例えば、日次、週次、月次、年次、・・等である。
【0100】
図21は、データ属性DBに格納されている情報を示す図である。同図において、データ属性DBには、ユーザ(ユニーク)ID、会社名、日付、期間、データ種類、データ粒度、データの由来、電子割符、等の各種情報が含まれている。ユーザ(ユニーク)IDには、例えば、プロフィール、業種、年商、従業員数(従業員規模)、所在地、他、等の情報が含まれる。また、データ種類には、売上、販売、仕入、出荷、集計、統計、人名(ID)、他、等の情報が含まれる。データの由来は、統計の元となったデータIDのリスト(オリジナル=0)を示す。
【0101】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。つまり、上述した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0102】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置き換えることができる。
【0103】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。