(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
指挿通部を備え少なくとも人さし指の指挿通部の先端側は開放されて人さし指を出せるようになっている装着体本体と、人さし指を覆う指カバー部と、手首に巻付けられる手首バンド部とを備え、
前記指カバー部は、その先端側部に設けられ装着者の人さし指の先端側を覆うカバー本体と、基端側部に設けられ装着体本体において装着者の手の甲に相当する領域内にある取付部とを備え、
該取付部において、装着体本体と縫着される縫目が手首バンド部よりも手先側にあってしかも手幅方向に沿って形成され、
前記カバー本体が、前記縫目回りに回動自在とされ、
縫目の手幅方向の長さは、親指と人さし指との間に相当する部位から中指に相当する部位まで延長されることで、カバー本体の手幅方向の長さに比べて長く形成されていることを特徴とする釣用装着体。
手首バンド部は装着者の手首全体を締付け可能なよう帯状に形成されるとともに、手首における親指側を覆う部分に比べて手首における小指側を覆う部分の幅は太く設定されている請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の釣用装着体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、釣用手袋を装着したうえで釣用指カバーを装着するといった作業は、釣人にとって扱いが面倒で不便である。そこで本発明は、扱いがきわめて楽で便利な釣用装着体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の釣用装着体は、指挿通部を備え少なくとも人さし指の指挿通部の先端側は開放されて人さし指を出せるようになっている装着体本体と、人さし指を覆う指カバー部と、手首に巻付けられる手首バンド部とを備え、前記指カバー部は、その先端側部に設けられ装着者の人さし指の先端側を覆うカバー本体と、基端側部に設けられ装着体本体において装着者の手の甲に相当する領域内にある取付部とを備え、該取付部において、装着体本体と縫着される縫目が手首バンド部よりも手先側にあってしかも手幅方向に沿って形成され、前記カバー本体が、前記縫目回りに回動自在とされ
、縫目の手幅方向の長さは、親指と人さし指との間に相当する部位から中指に相当する部位まで延長されることで、カバー本体の手幅方向の長さに比べて長く形成されていることを特徴としている。
【0007】
上記構成において、装着者は指挿通部に各指が挿通するよう装着体本体を手に装着し、手首バンドを手首に巻いてからカバー本体を取付部の縫目回りに回動させてカバー本体を人さし指の先端側に被せることで釣用装着体を手に装着したり、カバー本体を人さし指の先端側に被せてから手首バンドを手首に巻いて釣用装着体を手に装着したりできる。また、手首バンドを手首から外し、カバー本体を人さし指の先端側から外して装着者の手から釣用装着体を外したり、カバー本体を取付部の縫目回りに回動させてカバー本体を人さし指の先端側から外し、手首バンドを手首から外すことで装着者の手から釣用装着体を外したりでき、装着体本体とカバー本体とは、縫着されることで一体化されているから装着体本体とカバー本体とを別々に扱わなくてよい。
また、縫目の手幅方向の長さが所定の長さだけ確保されているから、縫目の手幅方向の長さに比べて短い手幅方向のカバー本体を取付部回りに回動させる場合に、その動作を安定させられる。
【0010】
本発明の釣用装着体では、取付部は、指の長さ方向に伸縮する構成を採用することができる。この構成によれば、取付部の伸縮性を利用して取付部を伸ばすようにすれば、カバー本体の着脱がしやすい。
【0011】
本発明の釣用装着体では、取付部は、装着体本体に比べて厚手の生地で形成された構成を採用することができる。この構成によれば、取付部の伸縮量を充分に確保することが可能である。
【0012】
本発明の釣用装着体では、手首バンド部は装着者の手首全体を締付け可能なよう帯状に形成されるとともに、手首における親指側を覆う部分に比べて手首における小指側を覆う部分の幅は太く設定された構成を採用することができる。この構成のように、手首バンド部において小指側を覆う部分の幅を太く設定することで、手首バンド部を手首に巻いた際に良好なフィット感が得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の釣用装着体では、装着体本体とカバー本体とは、取付部の縫目で縫着されることで一体化されているから、装着体本体とカバー本体とを別々に扱わなくてよく、装着および取外しが楽で、利便性が良い。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の釣用装着体(以下、「釣用グローブ」と称する)の一実施形態を、
図1ないし
図6を参照して説明する。なお、これらは、釣用グローブ1は右手装着用(右利き用)の場合の説明図である。左手装着用(左利き用)の釣用グローブ1の構成は、右手装着用の釣用グローブ1とは左右対称となるので、左手装着用の釣用グローブ1は、以下の右手装着用の釣用グローブ1の説明に兼用される。
【0016】
図1ないし
図5に示すように、釣用グローブ1は、一体に形成された装着体本体2、手首バンド部3、および指カバー部4を備える。装着体本体2は、装着者である釣人の手のひら側(表側)および手の甲側(裏側)を覆う被覆部5と、五本の指F1、F2、F3、F4、F5を挿通するための指挿通部S1、S2、S3、S4、S5とを備える。被覆部5および指挿通部S1、S2、S3、S4、S5は、例えば皮生地によって一体的に形成されている。装着体本体2は手の甲側装着部6と手のひら側装着部7とを備えている。手の甲側装着部6および手のひら側装着部7は縁部で縫着されて装着体本体2となっている。装着体本体2において、手のひら側を主に、滑り止め加工が施されている。
【0017】
図6に示すように、手の甲側装着部6には、後に詳述する手首バンド部3が縫着されるが、手首バンド部3に相当する部位が、指先側に略凸となるような線形をもって省かれており、一般的な釣用グローブに比べて手の甲側装着部6(手のひら側装着部7も同様)の面積は小さくなっている。なお、
図6では、手の甲側装着部6と、手首バンド部3に、A、B、C、Dの符号を付しており、これらの対応する符号の位置どうしが縫着によって一致する部位である。
【0018】
指挿通部S1、S2、S3、S4、S5のうち、親指(母指)F1、人さし指(示指)F2、および中指F3のための指挿通部S1、S2、S3は、長さ方向途中で切断されて先端側が開放されている。このため、釣人が装着体本体2を装着すると、親指F1、人さし指F2、および中指F3の先端側が露出する。
【0019】
図6に示すように、手首バンド部3は帯状に形成され、釣人の手首全体を締付け可能な長さに設定されている。具体的には、手首バンド部3は、後に詳述する取付部8を一体的に備えており、取付部8は手首バンド部3の長手方向一方寄り領域に配置されている。手首バンド部3における取付部8との連設縁部分は、取付部8に向けて湾曲することで、手首バンド部3の幅は大きくなっている。換言すれば、手首バンド部3の幅は、長手方向一方寄り領域(取付部8と連設する部分)が最も大きく、端側へ遠のくほど順次小さくなるよう形成されている。
【0020】
すなわち、手首バンド部3は、手首における親指F1側を覆う部分(以下、「親指側部分」と称する)30に比べ、手首における小指F5側を覆う部分(以下、「小指側部分」)31の幅は、太く設定されている。手首バンド部3の長手方向一端側は、手首バンド部3の長手方向に対して傾斜するよう直線状にカットされている。手首バンド部3の長手方向他端側である親指側部分30は、手首バンド部3を手首に巻付ける際の把手とされ、この把手の表面には、面ファスナのフック部9が縫着されている。
【0021】
手首バンド部3は伸縮性、柔軟性に富んだ生地、例えば発泡ネオプレーン系の発泡合成樹脂素材によって形成されている。この生地は、装着体本体2に比べて厚手である。手首バンド部3の表面全体には、面ファスナのループ部として用いることができるように表面加工が施されている。
【0022】
指カバー部4は、カバー本体10および取付部8を備える。カバー本体10は、例えば皮生地によって形成されている。したがって、カバー本体10は手首バンド部3および取付部8に比べて伸縮性は乏しい。カバー本体10は人さし指F2の先端側に着脱自在な袋状に形成されている。
【0023】
カバー本体10は、一枚の生地を半折りして指の甲側で接合部を縫着して形成される。この構成により、カバー本体10は、指の甲側に、釣人が摘み易い背部11を備える。カバー本体10は、指の甲側が指の腹側に比べて長く形成されて、取付部8側に延長されている。この延長部分が、取付部8の先端部8aの裏側に縫着されている。すなわち、カバー本体10と取付部8とは釣人の人さし指F2の長さ方向途中に相当する位置で一体化されている。
【0024】
装着体本体2を手に装着し、カバー本体10を人さし指F2に装着した状態で、一般的な体型の釣人の人さし指F2の腹の一部(例えば第二関節近傍)が露出するようになっている。
【0025】
取付部8は、カバー本体10と手首バンド部3を繋ぐ部分である。取付部8は、指カバー部4の基端側部である。取付部8は、装着体本体2において釣人の手の甲に相当する領域から人さし指F2の甲に至るよう延長されている。また、取付部8は、装着体本体2に一体化される部分であり、具体的には、取付部8と装着体本体2とは、
図1、3、4に示すように、取付部8において手首バンド部3寄りに形成された縫目12(縫着)によって一体化されている。
【0026】
そして前述したように、取付部8は手首バンド部3に一体的に形成(一体形成)されている。取付部8は、装着体本体2に比べて厚手の生地である。取付部8において人さし指F2の甲に相当する領域には、長手方向に沿う切欠13が形成されている。
図6に示すように、取付部8の先端は親指F1の手首方向へ向けて傾斜している。そして、取付部8および手首バンド部3の縁には、その材質に比べて伸縮性の劣る生地が縫着されている。
【0027】
縫目12は、装着体本体2における手の甲に相当する部分にあって、手首バンド部3よりも手先側で、手幅方向に沿って形成されている。換言すれば、縫目12は、カバー本体10と手首バンド部3の間にあって、しかも釣用グローブ1を釣人が手に装着した際には手首側に位置するよう配置されている。なお、ここで述べる縫目12は、手の甲側装着部6と、手首バンド部3に付した、A、B、C、Dの符号のうち、B−C間の縫目12に相当する。
【0028】
取付部8において、縫目12側の手幅方向長さは、指先側の手幅方向長さに比べて大きくなるよう設定されている。縫目12は、親指F1と人さし指F2との間に相当する部位から中指に相当する部位まで直線状に延長され、カバー本体10の手幅方向の長さに比べて長く形成されている(カバー本体10の手幅方向の長さは、縫目12の手幅方向の長さに比べて短い)。
【0029】
縫目12について、手の甲において親指F1と人さし指F2との間(母指内転筋)に相当する部位から中指に相当する部位まで延長されている状態を、人体骨を用いて表現すれば、親指の中手骨と小指の中手骨の間において、大菱形骨と小菱形骨の中間あたりに相当する領域から、有鉤骨に至る領域まで延長された状態でということである。そして
図6に示すように、縫目12は、親指F1側から小指F5側へ向けて、指先側へ傾くようわずかに傾斜している。カバー本体10および取付部8の一部は、縫目12を基準に回動自在とされている。
【0030】
図2に示すように、カバー本体10を人さし指F2の先端側から外してカバー本体10を返した状態で、カバー本体10を、釣人の人さし指F2から離れた位置で取付部8または手首バンド部3に保持可能とする保持部を備えている。
図1、3、4に示すように、保持部は、切欠13の指先側で取付部8の表面に縫着された面ファスナのフック部14と、手首バンド部3の生地であって、フック部14と係止する前記ループ部から構成される。すなわちフック部14は、カバー本体10と取付部8との一体化部分に設けられている。
【0031】
上記構成の釣用グローブ1において、釣人は指挿通部S1〜S5に各指を挿通するよう装着体本体2を手に装着し、手首バンド部3を手首に巻くことで、釣用グローブ1を手に装着することができる。この釣用グローブ1では、手首バンド部3は、釣人の手首全体を締付け可能なよう帯状に形成されるとともに、手首における親指側を覆う親指側部分30に比べて手首における小指側を覆う小指側部分31の幅は太く設定されている。このように、手首バンド部3において小指側部分31の幅を太く設定することで、手首バンド部3を手首に巻いた際に良好なフィット感が得られる。
【0032】
手首バンド部3では、親指側部分30に比べ、小指側部分31の幅が太く設定され、手首バンド部3の長手方向他端側である親指側部分30は、手首バンド部3を手首に巻付ける際の把手とされている。このため釣人は、親指側部分30を把持して手首バンド部3を手首に巻付けるようにすることで、手首バンド部3を手首に巻付け易い。そして、把手の表面には、面ファスナのフック部9が縫着されている。このため、このフック部9を手首バンド部3の表面のループ部に押圧することで、ループ部にフック部9が係止されて、
図2に示すように、手首バンド部3を手首に巻付けた状態を確実に保持することができる。
【0033】
図1に示すように、釣人は、装着体本体2を手に装着する際に、同時にカバー本体10を人さし指F2の先端側に被せることができるが、
図3に示すように、装着体本体2を手に装着し、手首バンド部3を手首に巻付けてから、カバー本体10を人さし指F2の先端側に被せて装着することもできる。
【0034】
装着体本体2を手に装着し、手首バンド部3を手首に巻付けてからカバー本体10を人さし指F2に装着するには、釣人がカバー本体10の背部11を摘むことで、カバー本体10を人さし指F2に装着し易くなっている。この場合では、カバー本体10は伸縮性に乏しい生地で形成されているものの、取付部8は、伸縮性に富んだ生地から形成されており厚手の生地であることから、その伸び量(指の長さ方向での伸び量)が確保されている。このため、その伸縮性を利用して、釣人はカバー本体10を人さし指F2に容易に装着することができる。
【0035】
図5に示すように、カバー本体10を人さし指F2に装着することで、人さし指F2が保護される。このため、スピニングリールを使用した投げ釣り等において、釣糸を保持しておく際に、釣人の人さし指F2に働く負荷(例えば、釣糸による剪断力)から、人さし指F2を保護することができる。
【0036】
取付部8において、人さし指F2の甲に相当する領域には、長手方向に沿う切欠13が形成されている。釣人が釣竿を握るとその手は拳状になり、人さし指F2の付根部分は最も突出する部位の一つとなる。しかしながら、取付部8は伸縮性、柔軟性に富んだ生地であり、しかも
図4に示すように、切欠13内に該最も突出する部位が入り込むので、釣竿をグリップした姿勢でも該最も突出する部位が痛くない。
【0037】
釣糸を結び、釣針に餌を取付ける等、指先を使う細かい作業を行う場合では、カバー本体10は邪魔になる。このため釣人は、
図2に示すように、カバー本体10を人さし指F2の先端側から外して手の甲側に返すようにする。そして、取付部8は伸縮性に富んだ生地で形成されているから、その伸縮性を利用して、釣人はカバー本体10の背部11を摘んでカバー本体10を人さし指F2の長さ方向へ引くことでカバー本体10を人さし指F2から離脱させて、カバー本体10を取付部の縫目12回りに回動するよう返すことで、カバー本体10を人さし指F2の先端側から取外すことができる。カバー本体10および取付部8は一体であるから、カバー本体10を人さし指F2から外して返すようにすると、カバー本体10の動きに伴って取付部8そのものも連なって動く。
【0038】
カバー本体10を人さし指F2の先端側に着脱(装着する場合および取外す場合)する際に、この釣用グローブ1では、縫目12の手幅方向の長さが所定の長さだけ確保されている。また、縫目12は、親指F1側から小指F5側へ向けて、指先側へ傾くようわずかに傾斜している。したがって、カバー本体10の手幅方向の長さは短く、それ自体の挙動は不安定であっても、縫目12の手幅方向の長さが充分に確保され、しかも、カバー本体10を縫目12回りに回動させる動作を安定して行うことができる。
【0039】
カバー本体10を取付部8の表面、または手首バンド部3の表面に保持部によって保持すると、カバー本体10は、釣人の人さし指F2から離れた位置で保持されることになる。具体的には、釣人の人さし指F2から外して返されたカバー本体10は、カバー本体と取付部8の一体化部分に設けた面ファスナのうちのフック部14を、取付部8および手首バンド部3のうちの一方において、釣人の人さし指F2から離れた位置の表面に設けた面ファスナのうちのループ部に当接させることで、ループ部にフック部14が係止して、カバー本体10を保持できる。
【0040】
このようにすることにより、親指F1、人さし指F2、および中指F3の先端側が露出し、指先を使う細かい作業を行う場合でも、カバー本体10が人さし指F2から離れた位置で保持されて、人さし指F2の動きを邪魔するものがないから、該作業を楽に行うことができる。しかも、手首バンド部3および取付部8は全体の表面がループ部で形成されているため、フック部14を、取付部8あるいは手首バンド部3という広い範囲で保持することができる。このため釣人は、カバー本体10を、使用感の良い所望の位置に保持するようにできる。
【0041】
手首バンド部3を手首から外し、カバー本体10を人さし指F2の先端側から外して釣人の手から釣用グローブ1そのものを釣人の手から外すことができる。あるいは、カバー本体10を取付部の縫目12回りに回動させてカバー本体10を人さし指F2の先端側から外して、手首バンド部3を手首から外すことで釣人の手から釣用グローブ1を外すことができる。
【0042】
本実施形態の釣用グローブ1では、装着体本体2とカバー本体10とは、取付部8の縫目12で縫着されることで一体化されているから、装着体本体2とカバー本体10とを別々に扱わなくてよく、装着および取外しが楽で、きわめて利便性が良い。
【0043】
本発明の釣用グローブ1は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、縫目12の長さについて、親指の中手骨と小指の中手骨の間において、大菱形骨と小菱形骨の中間あたりに相当する領域から、有鉤骨に至る領域まで延長された場合を説明した。しかしながらこれに限定されず、縫目12を上記実施形態に比べて指先側に位置させ、大菱形骨と小菱形骨の中間あたりに相当する領域から有頭骨に至るように、上記実施形態に比べて短く設定することもできる。
【0044】
逆に、縫目12を上記実施形態に比べて手首側に位置させ、大菱形骨と小菱形骨の中間あたりに相当する領域から三角骨に至るように、上記実施形態に比べて長く設定することもできる。縫目12は、手首バンド部3よりも手先側にあってしかも手幅方向に沿って形成されていればよく、縫目12はその親指側が手先側となり、小指側が手首側になるよう傾斜していてもよい。