(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152284
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20170612BHJP
B41J 2/15 20060101ALI20170612BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/15
B41J11/42
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-49553(P2013-49553)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-172365(P2014-172365A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】395003187
【氏名又は名称】株式会社OKIデータ・インフォテック
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 直樹
【審査官】
村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−272700(JP,A)
【文献】
特開2001−001617(JP,A)
【文献】
特開2011−083949(JP,A)
【文献】
特開平11−193152(JP,A)
【文献】
特開2006−036429(JP,A)
【文献】
特開2009−234101(JP,A)
【文献】
特開平4−344275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
B41J 11/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録ヘッドを搭載し、前記記録媒体の搬送方向に交差する方向に往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、検出領域に前記記録媒体がある場合に、第1レベルの信号を出力し、該検出領域に該記録媒体がない場合に該第1レベルと異なる第2レベルの信号を出力するエッジセンサと、
前記キャリッジの移動方向に沿って配置されたスケールと、
前記スケールの目盛を検出するスケールセンサと、
前記スケールセンサの検出結果に基づき値をカウントするカウンタと、
前記センサが出力した信号のレベルが変化したときに前記カウンタの値を取得するメモリーと、
前記搬送手段によって前記記録媒体が所定量搬送される毎に前記メモリーに取得されたカウント値を取得し、前記記録媒体の前記搬送方向に交差する方向の変位量を演算する演算手段と、
前記演算手段で演算された前記変位量が、予め決められた範囲を超えた場合に、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への記録を停止する制御を行う制御手段と、
を有し、
前記変位量は、前記記録媒体に前記記録ヘッドからインクを吐出して画像を記録する前に、前記記録媒体のエッジを前記エッジセンサによって検出し、該検出された前記記録媒体の前記エッジの位置に対して、その後検出される前記記録媒体の前記エッジの位置に基づく第1変位量と、前記記録媒体が前記所定量搬送される前と後に前記エッジセンサによって検出する前記記録媒体の前記エッジの位置に基づく第2変位量とを含み、
前記予め決められた範囲は、該範囲内である第1許容量と前記第1許容量より小さい第2許容量を含み、
前記制御手段は、演算された前記第1変位量と前記第2変位量を夫々前記第1許容量と前記第2許容量と比較し、前記第1変位量が前記第1許容量を超えた場合または前記第2変位量が前記第2許容量を超えた場合には、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への記録を停止する制御をし、前記第1変位量が前記第1許容量以下の場合であり、前記第2変位量が前記第2許容量以下の場合には、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への記録を継続する制御をすることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第2許容量が前記第1許容量の半分であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記変位量は、前記記録媒体の1回の搬送毎に検出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体のエッジを検出するエッジ検出機能を備える記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録装置として、記録媒体である記録用紙を記録用紙の搬送方向(副走査方向)に間歇的に送っていくとともに、インクジェット式の記録ヘッドを記録用紙の搬送方向に交差する方向(主走査方向)にスキャン(走査)させながら印刷を行っていくインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
このプリンタには、記録用紙の横幅を検出したり、記録用紙の横方向のズレ(スキュー)を検出したりするために、プラテン上にセットされた記録用紙の左右のエッジを検出するエッジ検出装置が備わっている。
【0004】
ここで、従来のエッジ検出装置について簡単に説明する。
エッジ検出装置には、反射型フォトマイクロセンサなどのエッジ検出用フォトセンサが、プラテンと対向するように、キャリッジに設けられている。
【0005】
エッジ検出装置は、フォトセンサが、プラテン上にセットされた記録用紙と対向する状態で記録用紙のエッジを横切るように、キャリッジを横方向にスキャンさせ、記録用紙の反射光量と記録用紙から外れた位置にあるプラテン上の無反射テープとの違いによりフォトセンサのセンサ出力が所定のしきい値以下に変化した点を、記録用紙のエッジとして検出していた。
【0006】
具体的にはエッジ検出装置内のCPUが、フォトセンサのセンサ出力を所定周期(たとえば10ms周期)で取得し、そのセンサ出力と所定のしきい値とを比較して、記録用紙のエッジを検出していた。
【0007】
このほか特開2007−210747号公報には、印字中でもエッジ検知が可能となるように、記録用紙のエッジを横切る際のフォトセンサからのステップ応答をAC結合し、微分波形とし、オペアンプで増幅、フィルタリングした後にその微分波形をコンパレータで検波する提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−210747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし従来の方法では、フォトセンサのセンサ出力が所定周期(たとえば、10ms周期)で取得されていたため、キャリッジの移動速度が速くなるにつれて、所定周期の間にフォトセンサが移動する距離が長くなる。よって、キャリッジの移動速度が速くなるにつれて、エッジの検出精度が低下してしまう。
【0010】
このため、従来のエッジ検出装置付きプリンタは、記録用紙のエッジを検出する際、キャリッジの移動速度を印字時の移動速度より遅くして、エッジ検出の精度を保っていた。よって、印字中に高速でキャリッジを移動しながらエッジ検知を行うことができず、スループットの低下とチェック頻度の低下が生じていた。
また、センサ自体に感度ばらつきがあり、このばらつきを抑えるためにセンサの発光電流や受光感度を可変とすると、これらを選択するのに時間がかかってしまう。
【0011】
また、特開2007−210747号公報が提案する印字中にエッジを検知する手法では、表面状態が粗かったり、メッシュメディアのような穴があいていたりする記録用紙を使った場合には、記録用紙上のあらゆる箇所をエッジとして検知してしまい、適正なエッジ位置が検知できない場合がある。
【0012】
また、上記印字中にエッジを検知する手法では、キャリッジが1スキャンする間に、無反射テープから記録用紙と、記録用紙から無反射テープの両端のエッジで出力されるインパルス信号の向きが逆となり、どちらか一方のエッジしか検知できない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の記録装置は、記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録ヘッドを搭載し、前記記録媒体の搬送方向に交差する方向に往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、検出領域に前記記録媒体がある場合に、第1レベルの信号を出力し、該検出領域に該記録媒体がない場合に該第1レベルと異なる第2レベルの信号を出力するエッジセンサと、前記キャリッジの移動方向に沿って配置されたスケールと、前記スケールの目盛を検出するスケールセンサと、前記スケールセンサの検出結果に基づき値をカウントするカウンタと、前記センサが出力した信号のレベルが変化したときに前記カウンタの値を取得するメモリーと、前記搬送手段によって前記記録媒体が所定量搬送される毎に前記メモリーに取得されたカウント値を取得し、前記記録媒体の前記搬送方向に交差する方向の変位量を演算する演算手段と、前記演算手段で演算された前記変位量が、予め決められた範囲を超えた場合に、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への記録を停止する制御を行う制御手段と、を有
し、前記変位量は、前記記録媒体に前記記録ヘッドからインクを吐出して画像を記録する前に、前記記録媒体のエッジを前記エッジセンサによって検出し、該検出された前記記録媒体の前記エッジの位置に対して、その後検出される前記記録媒体の前記エッジの位置に基づく第1変位量と、前記記録媒体が前記所定量搬送される前と後に前記エッジセンサによって検出する前記記録媒体の前記エッジの位置に基づく第2変位量とを含み、前記予め決められた範囲は、該範囲内である第1許容量と前記第1許容量より小さい第2許容量を含み、前記制御手段は、演算された前記第1変位量と前記第2変位量を夫々前記第1許容量と前記第2許容量と比較し、前記第1変位量が前記第1許容量を超えた場合または前記第2変位量が前記第2許容量を超えた場合には、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への記録を停止する制御をし、前記第1変位量が前記第1許容量以下の場合であり、前記第2変位量が前記第2許容量以下の場合には、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への記録を継続する制御をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、センサが出力した信号のレベルに基づいて記録媒体の有無を演算し、エッジを検出するので、センサが記録媒体のエッジを横切る速度が速くなっても正確に検出できる。また、印刷中でも記録媒体のエッジを検出することで、記録媒体の蛇行による記録ミスを防止でき、記録媒体の所定の位置に精度よく印刷を行うことが可能になる。る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、記録装置の主要構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、記録装置の構成の例を示す図である。
【
図3】
図3は、搬送される記録媒体の例を示す図である。
【
図4】
図4は、動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図4を用いて説明する。
図1は、記録装置の主要構成を示すブロック図である。
制御手段1は、予め記憶されているプログラムに従って動作し、装置の全体の各種制御を行う制御手段である。ROM2は不揮発性メモリーであり、制御手段1のプログラム、初期設定値等の情報を記憶するメモリーである。RAM3は制御手段1の演算等に用いるワークメモリー、一時的な記憶を行うメモリーである。
【0017】
搬送モータ5は、記録紙やプラスチックフィルムなどの記録媒体を搬送するローラを備える搬送手段を駆動するモータである。この搬送モータ5はモータドライバ4からの駆動信号に基づいて動作し、モータドライバ4は制御手段1からの制御信号によって動作する。
【0018】
キャリッジモータ7は、インクを吐出する記録ヘッド11を搭載し、記録媒体の幅方向に往復移動するキャリッジを駆動するモータである。このキャリッジモータ7はモータドライバ6からの駆動信号に基づいて動作し、モータドライバ6は制御手段1からの制御信号によって動作する。
【0019】
エッジセンサ9はキャリッジに搭載され、移動するキャリッジから記録媒体を検出するセンサである。光を出射し、はね返る光の強弱によって記録媒体の有無を検出する。このエッジセンサ9はセンサドライバ8からの駆動信号に基づいて動作し、センサドライバ8へ検出したアナログ信号を出力する。センサドライバ8はアナログ信号をAD変換し、デジタル化して制御手段1へ出力する。またセンサドライバ8は制御手段1の制御信号によって動作する。
【0020】
記録ヘッド11はヘッド駆動回路10に駆動信号に基づいてインクの吐出動作を行う。ヘッド駆動回路10は制御手段1からの制御信号に基づいて動作する。
【0021】
リニアセンサ13はキャリッジの移動方向に沿って直線状に配置されたリニアスケールの目盛を光学的に検出するセンサである。センサドラドライバ12は制御手段1からの制御信号に基づいて動作する。リニアセンサ13はセンサドライバ12からの駆動信号により動作し、検出結果をセンサドライバ12に出力する。センサドライバ12は入力した検出結果をAD変換して制御手段1に出力する。
【0022】
カウンタ回路14は、制御手段1によって制御される。リニアセンサ13によって検出された値に基づいてカウントを行う。このカウント値によって、キャリッジの位置が特定できる。
【0023】
トリガー回路15は、制御手段1によって制御される。トリガー回路15は、エッジセンサ9の検出結果に基づいて動作する。カウンタメモリー16はカウンタ回路14でカウントされた値をトリガー回路15の指示に従って記憶するメモリーである。すなわち、エッジセンサ9によって記録媒体のエッジを検出するとトリガー回路15を動作させ、その時のカウンタ回路14のカウント値をカウンタメモリー16に記憶させる。カウンタメモリー16に記憶されたカウント値は、エッジセンサ9によって記録媒体のエッジを検出した時の値であり、これを制御手段1が取得して各種演算に用いる。トリガー回路15、カウンタ回路14、カウンタメモリー16によって、印刷中などでキャリッジが移動中であっても正しいキャリッジ位置を取得できる。そのため、印刷中の記録媒体の異常搬送を見つけることが容易となり、未然にジャム等の大きな問題を回避できる。
【0024】
図2は、記録装置の構成の例を示す図である。
記録装置20はインクジェット式のプリンタである。プーリー21は記録装置のほぼ両端に配置され、2つのプーリーには無端ベルト24が掛け回されている。この無端ベルト24にキャリッジ22が固定されている。無端ベルト24を移動することでそれに連動してキャリッジ22が移動する。プーリー21の一方にはキャリッジモータ7が接続され、このキャリッジモータ7の駆動により、無端ベルト24が回転する。キャリッジ22には記録ヘッド11が搭載されている。記録ヘッド11はカラー印刷を行うため、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色に対応して4台搭載されている。さらに多色にすることもできる。
【0025】
点線で示されている一方のキャリッジ23は往復移動の一方の折り返し位置を示している。点線で示されている他方のキャリッジ29は往復移動の他方の折り返し位置を示している。他方の折り返し位置の直下にはキャップ35が配置されている。このキャップ35は、記録ヘッド11のノズル面に、ノズルを囲うように密着し、インクの乾燥を防止することができ、また、負圧をかけることで記録ヘッド11からインクを吸引することができる。
【0026】
リニアスケール25はキャリッジ22の移動方向に沿って配置されている直線状のスケールである。このリニアスケール25をリニアセンサ13によって読取る。
【0027】
記録媒体28は、記録紙、プラスチックフィルムなどであり、記録ヘッド11から吐出されるインクによって画像が記録される。記録媒体28は、記録媒体28の幅方向に複数配置された搬送ローラ27によって図の紙面奥行き方向に搬送される。プラテン26は移動する記録ヘッド11に対して対向するように配置された平板である。プラテン26は吸引孔をそなえ、記録媒体28を吸い付けることで記録時に位置ずれをおこさないように固定する。プラテン26の紙面奥側、すなわち記録媒体28の搬送方向上流側に搬送ローラ27が配置されている。
【0028】
エッジ検出信号34は、エッジセンサ9によって検出された記録媒体28の検出信号を示す。すなわち、キャリッジ22が往復移動して、位置31にエッジセンサ9が移動するとエッジ検出信号34が切替わる。また、位置32にエッジセンサ9が移動するとエッジ検出信号34が切替わる。記録媒体28を検出している間はエッジ検出信号34がONとなり、検出していないときはOFFとなる。
【0029】
キャリッジ速度を示す線35は、キャリッジ22の折り返し位置では速度が0となる。図では点線で示さるキャリッジ23の位置から位置30に到達するまで加速し、キャリッジ26の配置されている区間を一定の速度で移動する。位置33はプラテン26の端で、ここから減速し、キャップ35の位置で速度が0となり、折り返す。記録媒体28を検出する区間は、プラテン26のある区間であり、そこでは、キャリッジ22は一定の速度で移動する。キャリッジ22の速度を一定とすることで、検出時の条件を一定にすることで検出の誤差を小さくできる。
【0030】
図3は、搬送される記録媒体の例を示す図である。
記録媒体28の搬送方向を矢印40で示している。1回目の検出で位置41および位置43が記録媒体28のエッジであることが検出された。また、位置42および位置44は、記録媒体28が紙面右方向に蛇行した場合の許容できる限界の位置である。紙面左側については示していないが、右側同様に許容範囲がある。2回目と3回目の検出では、この許容範囲に入っている。しかし、4回目の検出では、許容範囲から外れている。この許容範囲から外れた場合は、印刷が停止される。記録媒体28の搬送異常の処理がされる。
【0031】
最初の検出位置からの許容範囲と、最新の検出結果から所定回数以内の、例えば5回以内の、検出結果との差が所定範囲内であることが、記録を継続できる条件となっている。
すなわち、所定距離搬送する毎にずれ量が予め決められた範囲内にあることを印刷の継続の条件としている。
【0032】
最新の検出結果から所定回数以内のずれ量を条件とするのは、急激に搬送ずれが生じた場合に、そのことで生じるジャム等や巻取り異常を防ぐためである。最初の検出位置からの許容範囲は、徐々にずれて用紙外に印刷してしまう事や記録媒体の巻取り異常となることを防止する。印刷中であっても記録媒体のエッジを検出できるので、定期的あるいは、所定距離搬送する毎に予め決められた範囲内にあるかを判断し、異常搬送を未然に予見し、印刷継続するか否かを判断することができる。
【0033】
図4は、動作を説明するフローチャートである。制御手段1の制御によって動作し、その動作を説明する。
ステップS1では、エッジ検出がされる。キャリッジ22を走査して、記録媒体28の端を検出する。位置31におけるカウント値と位置32におけるカウント値をカウンタメモリー16から制御手段1が両端の位置を一時的に取得する。
【0034】
記録装置20は、搬送と走査を繰り返して画像を記録する。記録媒体28の検出のタイミングは、毎走査毎または、記録媒体28が搬送された直後の走査にでも良いし、例えば3走査毎、3回搬送される度になど、複数回走査あるいは搬送が行われた後など定期的に行っても良い。また走査の回数で無く、1分毎とかの時間単位で行っても良い。
【0035】
次に、ステップS2では、検出が初回であるか、2回目以降であるかを判断する。これは、制御手段1によって判断される。初回ならばステップS3に移行し、2回目以降ならステップS5に移行する。
【0036】
ステップS3では、初回の検出から順に、検出順に対応してカウント値をRAM3に記憶する。ステップS3では初回の位置として記憶する。この位置が基準となり、以降の検出される位置に応じて各種の処理がされる。
【0037】
ステップS4では、キャリッジ22を走査して記録ヘッド11から記録媒体28にインクを吐出し、画像を記録し、この処理が終わる。
ステップS5では、初回の検出から順に、検出順に対応してカウント値をRAM3に記憶する。検出順に応じて取得した記録媒体の端の位置を記憶する。
ステップS6では、初回の検出位置から最新の検出位置がどの程度変位したかを演算する。演算した変位量を一時的に記憶する。
【0038】
ステップS7では、前回の検出位置から最新の検出位置がどの程度変位したかを演算する。演算した変位量を一時的に記憶する。この演算は、最新の検出結果から所定回数以内の検出結果の変位量が、予め決められた許容範囲にあるか比較する処理をするためのものであるが、この所定回数を1回とした場合の例である。例えば所定回数を2回以上の複数回としても良い。この演算結果を使って急激に搬送が曲がっているか否かを判断する。
【0039】
ステップS8では、ROM2に記憶されている許容範囲の値とステップS6とステップS7とで演算された値とを比較する。比較の結果許容範囲内ならばステップS4へ、範囲外ならばステップS9へ処理が移行する。
【0040】
ステップS9では、これ以上印刷しないように記録処理を停止し、この処理を終わらす。これは、許容範囲を超える記録媒体の搬送ズレを検出したことにより、正しく記録できない可能性があるので、記録媒体への記録を停止する。
【0041】
また、すぐに印刷を停止せずに、操作パネルに印刷を続行するかどうかを選択する表示を行い、ユーザーの入力によって処理を決めてもよい。これは、仮に許容範囲を超える変位が検出されたとしても、残りの印刷があと僅かであれば、最後まで印刷できる可能性もあるので、印刷を続行するかどうかをユーザーが判断できるようにします。この場合、ステップS9の処理の前に、処理を継続するか否かの表示を図示していない表示手段に表示し、図示していない入力手段から印刷を実行するか、停止するかの入力を行い、制御手段1はその入力に従って、印刷を実行する場合はステップS4へ、停止する場合はステップS9へ処理を移行する。
【0042】
例えば、許容範囲の考え方としては、初回からの変位の許容量を1cmとし、前回からの変位の許容量を5mmとする。5mmを超えない徐々に変位量が変化した場合には直ぐには印刷が終了しないが、1回前に比べて5mmを超えるような大きな変化があった場合に、何かしらの問題が発生したと考えられるので、印刷を停止する処理を行う。小さな変化が続く場合は、蛇行が直る可能性があるので、許容範囲内ならば印刷を継続する。すなわち徐々に変化した場合の許容値の半分以上の急激な変化があることを停止の条件としている。
【0043】
記録ヘッド11からインクを吐出する印刷中であっても、同じキャリッジ22に搭載しているエッジセンサ9を用いて記録媒体28の検出を行い、記録媒体28の蛇行などの異常搬送を監視でき、許容範囲を超えた場合に直ぐに印刷をやめ、ジャムなどの大きな問題を未然に防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、大判の記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンタに利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 制御手段
2 ROM
3 RAM
5 搬送モータ
7 キャリッジモータ
9 エッジセンサ
11 記録ヘッド
13 リニアセンサ
14 カウンタ回路
15 トリガー回路
16 カウンタメモリー
20 記録装置
21 プーリー
22 キャリッジ
24 無端ベルト
25 リニアスケール
28 記録媒体
27 搬送ローラ
26 プラテン
35 キャップ