特許第6152297号(P6152297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152297
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】滑り止めストッパーを有する運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   B62B5/00 L
   B62B5/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-100628(P2013-100628)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-218230(P2014-218230A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】504156795
【氏名又は名称】株式会社ネオスター
(74)【代理人】
【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章
(74)【代理人】
【識別番号】100188525
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 超史
(72)【発明者】
【氏名】星川 和胤
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−327125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00 − 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置する荷台と、
前記荷台の下面に備えられた車輪と、
前記荷台の上面に設けられた受入溝と、
前記受入溝に対して嵌入し又は取り外す滑り止めストッパーと、
前記受入溝に連設された取出溝と、
を備え、
前記滑り止めストッパーの頂部は、前記荷台の上面より突出しており、
前記滑り止めストッパーを前記車輪の周囲に置くことで該車輪の動きを規制することを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
前記滑り止めストッパーは、該滑り止めストッパーの中心に前記車輪を包接するための空間が形成されていることを特徴とする請求項1記載の運搬台車。
【請求項3】
前記受入溝は、断面凹状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の運搬台車。
【請求項4】
前記滑り止めストッパーは、環状リング状又は多角形リング状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の運搬台車。
【請求項5】
前記滑り止めストッパーは、断面逆凹状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の運搬台車。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬に用いる運搬台車に関し、特に荷台の滑り止め機能と、車輪のストッパー機能を兼ね備える滑り止めストッパーを有する運搬台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を載置、運搬できる運搬台車における荷台の滑り止め機能としては、特許文献1に示す滑り止めゴム等が知られている。また、滑り止めゴムは種々の形状が提案されており、例えば、特許文献2の様な形状も公開されている。
【0003】
ところで、運搬台車の車輪の動きを規制するためのストッパー機能としては、レバーハンドル型の特許文献3に示すストッパーや、ペダル型の特許文献4に示すストッパー等が知られている。これらは、車輪に一定の押圧を加えることにより、車輪の動きを規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3016714号公報
【特許文献2】特開2006−111221号公報
【特許文献3】特開2008−273418号公報
【特許文献4】特開平8−207504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜4に記載される様な従来の運搬台車においては、荷台の滑り止め機能と、車輪のストッパー機能の両方を具備するような運搬台車を製造する場合、滑り止め機能の部材、ストッパー機能の部材をそれぞれ製造する必要があった。そのため、滑り止め機能の部材の設計、製造、品質管理等を行い、ストッパー機能の部材の設計、製造、品質管理等を行うため、製造コスト、製造工程共に多くの負担が必要であった。
【0006】
本発明は上記のような従来の問題を解決するもので、本発明の目的は、荷台の滑り止め機能と、車輪のストッパー機能の両方の機能を備える滑り止めストッパーを有する運搬台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る運搬台車は、物品を載置する荷台と、前記荷台の下面に備えられた車輪と、
前記荷台の上面に設けられた受入溝と、前記受入溝に対して嵌入し又は取り外す滑り止めストッパーと、前記受入溝に連設された取出溝と、を備え、前記滑り止めストッパーの頂部は、前記荷台の上面より突出しており、前記滑り止めストッパーを前記車輪の周囲に置くことで該車輪の動きを規制することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の本発明の運搬台車は、前記滑り止めストッパーは、該滑り止めストッパーの中心に前記車輪を包接するための空間が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明の運搬台車は、前記受入溝は、断面凹状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の本発明の運搬台車は、前記滑り止めストッパーは、環状リング状又は多角形リング状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の本発明の運搬台車は、前記滑り止めストッパーは、断面逆凹状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の運搬台車によれば、荷台の滑り止め機能と、車輪のストッパー機能を兼ね備える滑り止めストッパーを有することから、滑り止めストッパーが荷台に設置された場合は、荷台に載置された物品の滑りを抑制することができると共に、滑り止めストッパーを荷台から取り外し車輪の周囲に置いた場合は、その車輪の動きを規制することができる。したがって、一つの部材により、滑り止め機能とストッパー機能の両方を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例における運搬台車を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例における運搬台車を示す平面図である。
図3】本発明の一実施例における運搬台車の滑り止めストッパーを示す斜視図である。
図4図3における滑り止めストッパーを示す平面図である。
図5図3における滑り止めストッパーを示す側面図である。
図6図2における滑り止めストッパーと荷台の関係を示す拡大A−A断面図である。
図7図2における滑り止めストッパーと荷台の関係を示す斜視A−A断面図である。
図8】本発明の一実施例における運搬台車において、滑り止めストッパーを取り外した状態の運搬台車を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施例における運搬台車において、滑り止めストッパーをストッパーとして使用した状態を示す斜視図1である。
図10】本発明の一実施例における運搬台車において、滑り止めストッパーをストッパーとして使用した状態を示す斜視図2である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例における運搬台車10の構成について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例における運搬台車の斜視図を示す。図2は、本発明の一実施例における運搬台車の平面図を示す。
【0016】
図1〜2の運搬台車10は、物品を載置することが可能な荷台20を有しており、荷台20の下面には4つの車輪40が設けられている。荷台20は、合成樹脂製であり、平面形状が一方に長い略矩形状に形成されている。
【0017】
荷台20の上面には、滑り止めストッパー30を嵌入するための受入溝21が2つ形成されおり、その受入溝21には、それぞれ1つの滑り止めストッパー30が嵌入されている。また、荷台20の上面には、前記受入溝21と連設され、滑り止めストッパー30を取り出すために指等を入れる取出溝22が2つ形成されている。なお、本実施例では、滑り止めストッパー30、受入溝21、取出溝22はそれぞれ2つであるが、これらはそれぞれ1つ以上であればいくつであってもよい。
【0018】
図3は、本発明の一実施例における運搬台車の滑り止めストッパーの斜視図を示す。図4は、本発明の一実施例における運搬台車の滑り止めストッパーの平面図を示す。図5は、本発明の一実施例における運搬台車の滑り止めストッパーの側面図を示す。図6は、本発明の一実施例における運搬台車の滑り止めストッパーと荷台の関係を示す拡大A−A断面図を示す。図7は、本発明の一実施例における運搬台車の滑り止めストッパーと荷台の関係を示す斜視A−A断面図を示す。
【0019】
図3図7に示す滑り止めストッパー30は、エラストマー製(合成樹脂エラストマー製又はゴム製)であり、環状リング状で断面逆凹型に形成されている。また、環状リング状の中心に形成されている円形の空間は車輪40を包接するためのものである。なお、滑り止めストッパー30の形状は、本実形態に限定されるものではなく、様々な形状が考えられる。例えば、環状リング状ではなく、多角形リング状でもよい。さらに、滑り止めストッパー30の外形が三角形、四角形、五角形若しくは六角形等の多角形又は円形であり、中心の空間が三角形、四角形、五角形若しくは六角形等の多角形又は円形である形状が考えられる。
【0020】
図6図7に示す受入溝21は、滑り止めストッパー30を嵌入させるための溝であり、環状リング状で断面は凹型に形成されている。この受入溝21の形状は、滑り止めストッパー30を嵌入させることができればよく、例えば、滑り止めストッパー30の形状が多角形リング状である場合は、その形状に沿った多角形リング状の溝にすることにより、滑り止めストッパーを嵌入させるという機能を確保することができる。
【0021】
図8は、本発明の一実施例における運搬台車において、滑り止めストッパーを取り外した状態の運搬台車の斜視図を示す。
【0022】
図6図8に示す取出溝22は、受入溝21に嵌入された滑り止めストッパー30を取り外すために指等を入れるための溝である。また、取出溝22は、受入溝21と連設している。
【0023】
滑り止めストッパー30は、その断面の水平方向の寸法が、それに対応する受入溝21の断面の水平方向の寸法より大きくなるように形成されている(図6)。また、受入溝21の断面は凹型に、滑り止めストッパー30の断面は逆凹型に形成されている(図6、7)。滑り止めストッパー30と受入溝21は上記の様に構成されているため、滑り止めストッパー30を受入溝21に嵌入しようとした場合、滑り止めストッパー30の側壁部31は、受入溝21から内側方向(例えば図6のx方向)の力を受け、弾性変形する。その反力として、滑り止めストッパー30が受入溝21を押圧する弾性力が発生するため、両者は嵌合する。それにより、荷台20に載置された物品が滑り止めストッパー30に接触した場合であっても、滑り止めストッパー30が受入溝21から外れることや、受入溝21に嵌入されている滑り止めストッパー30が「がたつく」ことを防止することができる。
【0024】
次に、本発明の一実施例における滑り止めストッパー30の2つの使用方法について説明する。
【0025】
図9は、本発明の一実施例における運搬台車において、滑り止めストッパーをストッパーとして使用した状態の斜視図1を示す。図10は、本発明の一実施例における運搬台車において、滑り止めストッパーをストッパーとして使用した状態の斜視図1を示す。
【0026】
荷台20に載置された物品の滑りを防ぐための滑り止め機能として、滑り止めストッパー30を使用する方法について説明する。
【0027】
まず、図1図2に示される様に、滑り止めストッパー30を受入溝21に嵌入する。その後、物品を荷台20の上面に載置することにより、滑り止め機能として滑り止めストッパー30を使用することができる。なお、滑り止めストッパー30の上部に載置された物品を滑り止めストッパー30に接触させるために、滑り止めストッパー30の頂部32を、前記荷台20の上面より突出させるように形成している。なお、その突出量は1mmが好ましい。
【0028】
次に、運搬台車10の動きを規制するためのストッパー機能として、滑り止めストッパー30を使用する方法について説明する。
【0029】
図1図2に示される様に、滑り止めストッパー30が受入溝21に嵌入されている場合、まず、取出溝22に指等を入れ、滑り止めストッパー30を下から引っ掛け、上方に持ち上げて、滑り止めストッパー30を受入溝21から取り出す。その後、滑り止めストッパー30を地面等に置き、車輪40を滑り止めストッパー30の中心の空間に配置する。これにより、車輪40が滑り止めストッパー30に包接されるため、車輪40の動きが規制される。上記の様に使用することで、ストッパー機能として滑り止めストッパー30を使用することができる。
【0030】
なお、滑り止めストッパー30が2つの場合は、図9図10の様に対角線上の車輪40にそれぞれ包接するように滑り止めストッパー30を置くことが好ましい。運搬台車10の回転を抑えることができるからである。また、滑り止めストッパー30は1つでもストッパー機能として効果はあるが、運搬台車10の回転を止めるためには2つ以上が好ましい。
【0031】
滑り止めストッパーの形状は、環状リング状や多角形リング状の他にも、半環状やコの字型の形状も考えられる(不図示)。この様な形状の場合は、滑り止めストッパーを少なくとも2つ以上の車輪に設置することによって、車輪の動きを規制することができる。いずれの場合も滑り止めストッパーを車輪の周囲に置くことにより、車輪の動きを規制し、ストッパー機能を発揮することができる。
【0032】
このように本発明の運搬台車は、荷台の滑り止め機能と車輪のストッパー機能を、滑り止めストッパーという一つの部材により達成することができるため、従来の運搬台車よりも製造コスト等の面で非常に有利になる。
【符号の説明】
【0033】
10 運搬台車
20 荷台
21 受入溝
22 取出溝
30 滑り止めストッパー
31 側壁部
32 頂部
40 車輪



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10