(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
係合突起の中心部は筒部よりも外方に突出して形成されており、係合突起の縁部は筒部に向かって斜面が形成されている請求項1〜請求項4何れか1項記載のスプリンクラーヘッド用保護キャップ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1実施形態(
図1〜
図7)
第1実施形態のスプリンクラーヘッドSHは、WO2011/125169号に記載されているスプリンクラーヘッドと略同じ構成である。ここでは本発明に関する部分のみを説明し、その他の部分については説明を省略する。
【0018】
図1に示すスプリンクラーヘッドSHは、スプリンクラーヘッド本体1、筒部材2、カバープレートユニット3、保護キャップ4から構成される。
スプリンクラーヘッド本体1は、筒状をしており内部には給水配管Pから供給される水を放出するノズル11が設けられている。ノズル11の一端側には給水配管Pと接続する牡ネジ12が形成されており、他端側の端面はノズル11を閉塞する弁体13が当接する弁座14となっている。
【0019】
弁体13は円盤形状をしており、一面側は前述のようにノズル11の弁座14に当接される。反対側の面はコンプレッションスクリュー15により弁座側14へ押圧されている。コンプレッションスクリュー15は板状のサドル16の牝ネジにねじ込まれている。サドル16の下部には感熱分解部5が設置されており、
図1に示すように感熱分解部5のレバー51の端はスプリンクラーヘッド本体1の外周部からノズル11の放出方向に延出された筒状部の内側に形成された段部17に係止されている。
【0020】
これによりサドル16にコンプレッションスクリュー15をねじ込んでコンプレッションスクリュー15の先端を弁体13側に移動させると、弁体13が弁座14側に押圧されるとともに、サドル16の下方に配置された感熱分解部分5のレバー51の端はスプリンクラーヘッド本体1の段部17側に押圧される。弁体13によりノズル11が閉塞されるとともに感熱分解部5にも荷重が付与される。
【0021】
感熱分解部5の内部には、低融点合金52が組み込まれており、低融点合金52が火災の熱によって溶融すると感熱分解部5は分解作動して、レバー51等の構成部品はスプリンクラーヘッド本体1の外部に放出される。また感熱分解部5が分解するとサドル16およびコンプレッションスクリュー15、弁体13は脱落してノズル11が開放する。感熱分解部5の構成については公知であり、また特開平7−294545号公報に詳細な説明が記載されているのでここでの説明は省略する。
【0022】
ノズル11の放水方向の延長上には板状のデフレクター6が設置されている。該デフレクター6はスプリンクラーヘッド本体1の外部に形成された突起18の穴にピン61を挿通させて、該ピン61の下端側にデフレクター6を固定設置し、ピン61の上端側に形成した鍔部62により突起18の上面に鍔部62を係止することができる。デフレクター6はノズル11から放出された水を衝突させて四方へ飛散させる作用を有する。
【0023】
筒部材2は筒状をしており内部にスプリンクラーヘッド本体1が収容される。筒部材2の一端側には平面21が形成されスプリンクラーヘッド本体1と供回り可能に係止される。より具体的に説明すると牡ネジ12の根元に形成された多角形部19の外形と同じ形状の穴21Aを平面21に穿設し、多角形部19と穴21Aを嵌合する。該穴21Aの周縁には多角形部19の側面に沿って立ち上がる延出部2Bが形成されている。該延出部2Bは多角形部19に挿通された後に延出部2Bの先端を穴21Aの内側に向かって屈曲させ、筒部材2をスプリンクラーヘッド本体1に固定設置している。
【0024】
筒部材2の平面21から側面22にかけて複数の開口2Cが形成されている。開口2Cは同じ形状で均等間隔で配置されている。
開口2Cは平面21の周縁に均等間隔で配置されており、本実施形態においては開口2Cが6箇所設けられている。
【0025】
また、平面21には後述する締結工具Rとの係合部としてサポートベース23が設置されている。サポートベース23は
図3に示すように、板状で中心には前記穴21Aと同形状をした穴が穿設されており多角形部19に挿通される。サポートベース23の外形は、開口2Cの縁に沿った形状に切欠かれている。また、サポートベース23には平面21側に突出する突起23Cが形成されており、該突起23Cは隣り合う開口2Cの間に形成された梁部2Fに穿設された穴と係合され、筒部材2とサポートベース23が供回り可能となっている。
【0026】
本実施形態においては、サポートベース23は平面21の内側に設置されているが、これに限らず平面21の外側に設置することもできる。
【0027】
サポートベース23を介在させたことで後述する締結工具RによりスプリンクラーヘッドSHを給水配管へ取付・取外しする際に筒部材2に過負荷が加わり、締結工具係合部である開口2C(梁部2Fの縁)が変形・破損することを防止できる。また、サポートベース23により締結工具係合部の強度が上がるので筒部材2を薄肉に形成することができる。
【0028】
サポートベース23を設置しないで上記と同様の効果を得るために、開口2Cの縁を屈曲させて縁部を立設させたり、該立設部分を開口2C間の梁部2F側に屈曲させると開口2Cの縁部分の強度が向上する。また、締結工具RによりスプリンクラーヘッドSHを給水配管へ取付・取外しする際に梁部2Fの変形を防止するために筒部材2の穴2Aの近傍から平面21の縁に向かう補強用のリブを梁部2Fに形成してもよい。このようにサポートベース23を除いて構成する場合は、開口2Cの縁が保護キャップ4との係合部となる。
【0029】
筒部材2の側面22には、リテーナー31との接続手段として螺旋溝2Dが刻設されている。螺旋溝2Dは筒部材2を薄肉の部材にすることで転造加工が可能となる。螺旋溝2Dはリテーナー31の外周面に形成された突起3Aと螺合され、カバープレートユニット3の高さ位置調整が可能となっている。筒部材2の下部は開口2Eとなっている。
【0030】
カバープレートユニット3は、リテーナー31とカバープレート32から構成される。リテーナー31は前述の通り筒部材2と接続される。リテーナー31は筒形状をしており外周面には斜め下方へ屈曲して形成した突起3Aが設けられている。リテーナー31の下端には鍔部3Bが形成されている。さらに鍔部3Bから複数の脚3Cが下方に延出して設けられている。
【0031】
脚3Cの先端は鍔部3Bと略平行に折り曲げられており、カバープレート32との接続面3Dが形成されている。該接続面3Dとカバープレート32の間には低融点合金33が介在しており、低融点合金33によってカバープレート32と接続面3Dが接合されている。
【0032】
低融点合金33は火災時の熱で溶融され、カバープレート32をリリースすることから低融点合金33の溶融温度は、感熱分解部5に組み込まれた低融点合金52が溶融する温度よりも低い温度で溶融するものを選定する。
【0033】
カバープレート32は円盤状の薄板であり、周縁がリテーナー31側に屈曲している。カバープレート32のリテーナー31と接続される面と反対の面(室内側から見える面)は、天井ボードCの色と略同じ色で装飾されている。カバープレート32の材質は、低融点合金33との接合性が良い銅や銅合金が適している。またカバープレート32とリテーナー31の鍔部3Bとの間に板バネ34等の弾発体を設置すると、火災時に低融点合金33が溶融したときにカバープレート32の落下を促すことができる。
【0034】
保護キャップ4は底面と筒部とを有する有底筒状をしている。筒部は内筒41と、その内筒41の外側に配置された外筒42から構成される。内筒41の内側は「ヘッド収容部」であり、内部にスプリンクラーヘッド本体1およびデフレクター6を収容する。内筒41と外筒42の間の空間は「締結工具挿通部」であり、内筒41はヘッド収容部と締結工具挿通部を区切る「仕切り」として機能する。
【0035】
内筒41の底面41Aには水抜き穴43が穿設されており、水抜き穴43は内筒41の側面41Bから底面41Aまでを切欠いて立体的に形成されている。これにより水の表面張力を抑えて水抜き性を良好にしている。
【0036】
さらに、水抜き穴43を底面41の縁部に穿設したことで、水抜き穴43の近傍に形成した後述する拡張部47によって、天井Cを塗装する際に水抜き穴43内に塗料が浸入しにくい構成となっている。
【0037】
底面41Aの外部には、保護キャップ4をスプリンクラーヘッド本体1に着脱操作可能な把持部44が形成されている。把持部44は三又形状をしており、その下端は外筒42の下端よりも突出している。
【0038】
外筒42の外径は、筒部材2の内径寸法と略同じか僅かに小径に形成されており、筒部材2と嵌合可能である。外筒42を筒部材2と嵌合させることで筒部材2の内周部に天井塗装時の塗料の付着を防止することができる。外筒42は保護キャップ4が筒部材2に係合されている状態のときに、筒部材2の内周側の螺旋溝2Dを覆うように構成する。
【0039】
外筒42の外周部には係合突起45が所定間隔で複数形成されている。本実施形態では図
3に示すように係合突起45は3箇所、均等角度間隔で設けられている。係合突起45は外筒42の外周面に形成されている。係合突起45は
図3に一点鎖線で示す保護キャップ4の中心から筒部に向かって放射状に伸びる線Z上に配置され、線Z上には締結工具Rが挿通される貫通空間46Cが設けられている。
【0040】
係合突起45は外筒42の外周面から外側へ突出して形成されており、筒部材2の開口2Cの縁と係合される係合面45Aを備える。係合突起45の両脇に形成された斜面45B、45Bが形成されている。
【0041】
斜面45Bは筒部材2に挿入された保護キャップ4を保護キャップ4の仮想中心軸に対して周方向に回転させた場合、斜面45Bがガイドとなり係合突起45の保護キャップ4の内側への移動を促し、筒部材2の開口2Cの縁に係合突起45が引っかかりにくく構成することができる。
【0042】
外筒42において上記の複数形成された係合突起45の間には切欠き45Cが形成されている。切欠き45Cは保護キャップ4の仮想中心軸と平行に形成されている。切欠き45Cにより外筒42は保護キャップ4の内側に向かって弾性変形しやすい構造となる。これに伴い係合突起45も保護キャップ4の内側に向かって移動することが可能となる。より具体的に説明すると、保護キャップ4を筒部材2の内部へ挿通するときに係合突起45が保護キャップ4の内側に向かって移動することで保護キャップ4を筒部材2内にスムーズに挿入させることができる。
【0043】
係合突起45の作用として上記に説明した以外に、スプリンクラーヘッド本体1に対して保護キャップ4の装着位置を位置決めする「位置決め係合部」の作用を有する。
【0044】
より具体的に説明すると、係合突起45の内側は内筒41と外筒42とを接続する隣り合った連結部46、46の間に形成された貫通空間46Cとなっている。係合突起45を筒部材2の開口2Cから突出するように挿通すると、
図3に示すように貫通空間46C、46Cの間の連結部46と梁部2F、サポートベース23が重なるように配置される。また、係合突起45を目印として保護キャップ4の下端から締結工具Rの先端R1を係合突起45に沿うように挿通させると、先端R1は貫通空間46Cに挿通され、連結部46の側面46Aを介してサポートベース23に係合される。
【0045】
連結部46は、側面46Aと底面46Bを有しており、この側面46Aと底面46Bによって内筒41と外筒42とが連結される。
図4、
図5において側面46Aは一つの底面46Bに対して1箇所しか形成されていないが、これに限らず側面46Aと対向する側にも側面を設置することもできる。
【0046】
上記の連結部46の側面46Aと底面46Bは、後述する締結工具Rをスプリンクラーヘッド本体1の締結工具係合部であるサポートベース23まで導くガイド部の作用を有する。より具体的に説明すると、締結工具Rの先端部R1は連結部46、46の間を通過可能な幅となっており、さらにサポートベース23に係合可能な長さを有している。内筒41の底面41A側から差し込まれる締結工具Rの先端部R1は、連結部の底面46Aに当接すると、それ以上奥へ差し込むことができず、また締結工具Rを回転させても保護キャップ4が供回りしないので作業者は締結工具Rと保護キャップ4との係合が不十分であると判断して締結工具Rを保護キャップ4の奥側へ押しながら回転させることで締結工具Rが側面46Aの近傍の貫通空間46Cに導かれる。側面46Aに締結工具Rの先端部R1が当接した状態で開口2Cの縁およびサポートベース23と係合され、スプリンクラーヘッド本体1と締結工具Rを供回りさせることができる。
【0047】
締結工具Rを隣り合った連結部46、46の間の貫通空間46Cに導きやすいように、底面46Aと側面46Bの間に斜面を形成することも可能である。
【0048】
また、連結部46は内筒41と外筒42を接続するために形成されており、内筒41と外筒42の間の空間を全て埋めるように連結部46を形成することもできるが、こうすると内筒41に対して外筒42が変形しにくくなり、筒部材2から保護キャップ4を取外しにくくなる。内筒41と外筒42の間に保護キャップ4の一端側から他端側まで貫通可能な貫通空間46Cが形成されるように連結部46を部分的に形成すると、この貫通空間46Cにより外筒42が内筒41側に変形しやすくなり、これにより外筒42が内筒側へ柔軟に変形することで筒部材2から保護キャップ4を取外し易くなる。
【0049】
貫通空間46Cと前述の舌状部45とは、保護キャップ4の中心軸と平行な直線L上に配置されている。これにより舌状部45を目安に締結工具Rの先端部R1を保護キャップ4の底面41A側から内筒41と外筒42の間に挿通させると、先端部R1が貫通空間46Cを通過して舌状部45に沿って配置され、先端部R1がサポートベース23と係合可能な位置にセットされる。
【0050】
外筒42の外径は、筒部材2の内径寸法と略同じか僅かに小径に形成されており、筒部材2と嵌合可能である。外筒42を筒部材2と嵌合させることで筒部材2の内周部に天井塗装時の塗料の付着を防止することができる。外筒42は保護キャップ4が筒部材2に係合されている状態のときに、筒部材2の内周側の螺旋溝2Dを覆うように構成する。
【0051】
外筒42の下部には、内筒41の底面41A付近に筒部材2の外径と略同じかそれよりも大径をした拡張部47が形成されている。拡張部47と外筒42の境は段47Aとなっており、段47Aには筒部材2の下端が当接される。これにより、天井Cに穿設されたスプリンクラーヘッドSHが挿通される穴Hの周縁をパテで埋める際には、拡張部47の外周部と穴Hの内周部の間がパテによって埋められ、筒部材2の内部にパテの侵入や付着を防止することができる。
【0052】
また、拡張部47および締結工具Rには、締結工具Rの先端部R1を保護キャップ4に差し込む際のマーキングが施してある。具体的には拡張部47の内側に溝47Bを刻設した。溝47Bは締結工具Rの先端部R1よりやや底面側の外周面に形成された突起R2と係合可能となっている。
図6に示すように溝47Bは保護キャップ4の底面から目視可能となっている。さらに溝47Bは底面41A側から見て三又形状をした把持部44の先端方向に形成されている。これにより周囲が薄暗い場所で溝47Bが見えにくい場合は、把持部44の先端位置を目印として締結工具Rの先端部R1を溝47Bに差し込むことができる。また拡張部47の下端内側には、締結工具Rを拡張部47の内部に挿通させやすいように斜面47Cが形成されている。
【0053】
図7に示すように締結工具Rの先端部R1と突起R2は、保護キャップ4の中心軸と平行な直線L上に配置されており、溝47Bと隣り合った連結部46、46の間の貫通空間46C、係合突起45も直線L上に配置されている。これにより溝47Bを目印に締結工具Rの先端部R1を内筒41と外筒42の間に挿通させると、先端部R1は連結部46、46の間の貫通空間46Cに挿通されるとともに、先端部R1は係合突起45に沿って配置され、突起R2は溝47B内に収容される。また突起R2の先端部R1側の端が、拡張部47の段47Aの内側に係合され、保護キャップ4に対して締結工具Rの挿通可能な範囲を規制している。逆に、突起R2が拡張部47内に収容されていない場合は、締結工具Rの先端R1が保護キャップ4の連結部46、46の間に正しく挿通されていないことを示しており、作業者が保護キャップ4と締結工具Rとの係合状態が正しいかどうかを認識可能となっている。
【0054】
拡張部47の外周面には、天井下面位置に対してコンシールド型スプリンクラーヘッドSHの取付け範囲を表すマーキングが設置されている。マーキングは3本の線によって表されており、真ん中の線が取付け基準位置を示し、上下の線が取付け範囲の限界位置を示している。
【0055】
また、拡張部47の下端は内筒41の下端(底面41A)よりも下方に突出している。拡張部47の外周面の周囲をパテで埋める場合、拡張部47によって底面41Aにパテの付着を防止できる。さらにパテが乾いた後に底面41Aに設けられた把持部44を掴んで保護キャップ4を周方向に回転させたり、下方に移動させることができる。
【0056】
次に、上記のコンシールド型スプリンクラーヘッドSHの設置の手順について説明する。
【0057】
コンシールド型スプリンクラーヘッドSHは筒部材2に保護キャップ4を嵌合した状態となっており、筒部材2とカバープレートユニット3とは分離した状態で納入される。
【0058】
まずコンシールド型スプリンクラーヘッドSHを給水配管Pに接続する。保護キャップ4が筒部材2に嵌合された状態で締結工具Rを保護キャップ4の内筒41と外筒42の間に挿通させる。その際、締結工具Rの先端部R1を保護キャップ4の係合突起45または溝47Bの位置に合わせて挿通させると先端部R1が連結部46、46の間に導かれ、差込みがスムーズに行える。また、係合突起45や溝47Bを確認しないで締結工具Rの先端部R1を保護キャップ4に挿通させた場合においても、連結部46の底面46Aと締結工具Rの先端部R1との干渉を避けるように締結工具Rを回転させることで先端部R1を連結部46、46の間に導くことができる。これによりサポートベース23と締結工具Rの先端部R1とが係合され、締結工具Rを回転させて給水配管Pにスプリンクラーヘッド本体1の牡ネジ12を螺合する。
【0059】
上記においては、保護キャップ4に締結工具Rを挿通させてから給水配管Pに牡ネジ12を螺合させたが、これとは別に初めはコンシールド型スプリンクラーヘッドSHを手で持って給水配管Pに牡ネジ12をねじ込み、ある程度ねじ込んだら保護キャップ4に締結工具Rを挿通させてさらにねじ込むこともできる。
【0060】
次の工程として、天井ボードCが設置される。天井ボードCにおいてコンシールド型スプリンクラーヘッドSHが設置される場所には穴Hが穿設され、天井ボードCの設置後には保護キャップ4の拡張部47が天井ボードCの下面から突出した状態になる。
【0061】
次に、保護キャップ4を取外してカバープレートユニット3を筒部材2に設置するが、その前に天井ボードCにスプリンクラーヘッドSHを挿通させるための穴Hを穿設する。穴Hは天井ボードCを天井下地材に固定する前に穿設されるので、天井ボードCに穿設された穴Hが天井裏に設置されたスプリンクラーヘッドSHの位置とずれる場合がある。その際は、天井ボードCの適切な位置に穴をあけ、先に穿設した穴はパテで埋められる。その後、天井ボードCの表面をスプレー塗装する。このとき、外筒42により筒部材2の内周部が覆われているので、筒部材2の内周部に塗料が付着することを防止できる。
【0062】
保護キャップ4を外す際は、保護キャップ4の把持部44を掴むか、または拡張部47を掴んで回転させて下に引き抜くことで外すことができる。回転させるのは、前述のパテが保護キャップ4の側面に付着している場合に保護キャップ4を回転させずに引き抜くとパテが損傷して塞いだ穴が再び露出してしまうおそれがあり、これを防ぐためである。
【0063】
保護キャップ4を回転させて保護キャップ4の外周面に付着したパテを剥がしてから保護キャップ4を引き抜く作業を行う。まず保護キャップ4を保護キャップ4の仮想中心軸に対して周方向に回転させる。そのとき係合突起45が開口2Cから突出して係合しているので開口2Cの縁に引っかかり回転を阻害するおそれがあるが、斜面45Bおよび切欠き45Cを設けたことで係合突起45が開口2Cの縁に引っかからずに保護キャップ4の内側へ移動して保護キャップ4をスムーズに回転させることができる。係合突起45と開口2Cの係合が外れたら保護キャップ4を下方に引き抜く。
【0064】
次の工程として、カバープレートユニット3を筒部材2に設置する。リテーナー31の側面に形成された突起3Aを筒部材2の螺旋溝2Dに螺合させて、リテーナー31の下部に接続されている鍔部3Bが天井ボードCに接触する位置になるよう調整を行なう。これによりコンシールド型スプリンクラーヘッドSHの設置が完了する。
【0065】
上記スプリンクラーヘッドの作動については、特開2011−218062号公報や特開平7−284545号公報に記載されているので説明は省略する。
【0066】
第2実施形態(
図8)
続いて第2実施形態について説明する。第2実施形態のスプリンクラーヘッドの構成は第1実施形態のスプリンクラーヘッドと同様であり、保護キャップの構成のみが異なる。以下、保護キャップについて第1実施形態と構成が同じ箇所は同符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
第2実施形態の保護キャップ90は、筒部91と底部92から構成される。
【0068】
筒部91は、筒部材2の内側に嵌合される。筒部91の上端部には係合突起93が延出して形成されている。係合突起93の下方(底面方向)には貫通空間46Cが形成されており、係合突起93と貫通空間46Cは保護キャップ90の仮想中心軸と平行な直線L上に配置される。
【0069】
係合突起93の幅は開口2Cを通過可能な程度の幅であり、係合突起93が開口2Cに差し込まれた状態で係合突起93と開口2Cとの間には隙間を有する。係合突起93の両脇には切欠き部93A、93Aが形成されている。係合突起93を開口2Cに差込んで周方向に回転させて、一方の切欠き部93Aを開口2Cの縁と係合させておく。こうすることで保護キャップ90は開口2Cの縁との係合状態が維持できる。
【0070】
係合突起93の切り欠き部93A、93Aの間には溝93Bが刻設されている。溝93Bは筒部材2の平面21と平行に刻設されており係合突起93よりも薄く形成されている。溝93Bの断面は楔型をしている。本実施形態では溝93Bが係合突起93の両面に形成されているが、片面のみに形成してもよい。保護キャップ90を回転させると開口2Cの縁により溝93Bに沿って係合突起93が切り離される。これにより係合突起93による係合が解除され保護キャップ90を回転させることができる。
【0071】
本実施形態では溝93Bが「切断部」として作用する。また、係合突起93は筒部91の外筒42の上端に形成されているが、内筒41の上端に形成しても同様の効果を得ることができる。また
図8においては開口2Cの数と同じ6箇所に係合突起93が設置されているが、これに限らず2箇所や3箇所設置させることも可能である。
【0072】
第2実施形態の変形例(
図9)
第2実施形態の変形例を
図9に示す。
図9では前述の係合突起93を連結部46の側面46Aの上端に形成する。その際、開口2Cの縁と係合する爪94は開口2Cの縁に向けて形成する。また、溝93Bは保護キャップ90の上端よりもやや下方に形成し、保護キャップ90の上端から溝93Bの端まで切欠き、切欠き部95を形成する。切欠き部94および溝93Bは「変形許容部」として作用し、係合突起93が弾性変形しやすく構成している。
【0073】
図中において保護キャップを右方向に回転させると係合突起は開口2Cの縁またはサポートベース23に押圧され、図中二点鎖線で示すように弾性変形により屈曲して開口2Cの縁との係合が解除される。また、これとは逆に保護キャップを左方向に回転させると係合突起93の爪94が開口2Cの縁から離れ、係合突起93と開口2Cとの係合が解除される。
【0074】
以上、第1実施形態と第2実施形態について説明したが、これらの構成を一つの保護キャップに適用させることも可能である。