【実施例】
【0027】
本発明のコイルユニットに係る実施例を、図面に基づいて説明する。尚、以下の図では、部材を認識し易いように、部材ごとに縮尺を変更している。
【0028】
先ず、実施例に係るコイルユニットの構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、実施例に係るコイルユニットの構成を示す図である。尚、
図1には、コイルユニットの上方から平面的に見た平面図と、該コイルユニットの側面図とが記載されている。
【0029】
図1において、コイルユニット100は、コイル10、コア20、支持部材30及び遮蔽板40を備えて構成されている。
【0030】
コア20は、例えばフェライト等の軟磁性体を含んで構成されている。尚、当該コイルユニット100が、例えば電気自動車等の車両に搭載されたバッテリの充電のための非接触の電力伝送装置に搭載される場合、当該コイルユニット100の大きさが比較的大きくなるので、コア20は、例えば、複数のフェライトの板状部材が相互に組み合わされることで(具体的には例えば、接着剤で貼り合わされることで)構成されてもよい。
【0031】
支持部材30は、例えばアルミニウムや銅等の、電気抵抗率が比較的低く、且つ熱伝導率の比較的高い金属を含んで構成されている。支持部材30は、例えば接着剤や両面テープ等により、コア20の一方の面に貼りつけられている。尚、接着剤や両面テープは、熱伝導の比較的良いシリコン系のものが望ましい。
【0032】
コイル10は、コア20及び支持部材30の巻き回された導線により構成されている。当該コイルユニット100のような所謂角型コイルは、非接触の電力伝送時に、当該コイルユニット100と対向配置される他のコイルユニットとの間の位置ずれの影響を受けにくいという効果を奏する。
【0033】
遮蔽板40は、例えばアルミニウム等の金属からなり、当該コイルユニット100に電力が供給された際に、該コイルユニット100の周囲に発生する磁界を遮蔽する。
【0034】
ここで、当該コイルユニット100が、送電側及び受電側各々に用いられる場合、送電側のコイルユニット100と、受電側のコイルユニット100とは、
図2に示すように、互いに対向して配置される。
【0035】
図2に示すように、送電側のコイルユニット100の支持部材30は、コア20の受電側のコイルユニット100に対向する面とは反対側の面側に配置されている。同様に、受電側のコイルユニット100の支持部材30は、コア20の送電側のコイルユニット100に対向する面とは反対側の面側に配置されている。
【0036】
このように、金属を含んでなる支持部材30をコア20の一方の面側のみに配置することにより、
図3に示すように、送電側のコイルユニット100に電力が供給されることにより発生する磁束のうち、受電側のコイルユニット100には、支持部材30の影響はほとんど或いは全く及ばない。
【0037】
実施例に係るコイルユニット100の効果を検証するために、本願発明者は、金属製の支持部材を有しないコイルユニット(
図4(a)参照)、実施例に係るコイルユニット100(
図4(b)参照)、及び、コアの他のコイルユニットと対向する側に金属製の支持部材が配置されているコイルユニット(
図4(c)参照)各々について、シミュレーションによりQ値と結合係数とを演算した。
【0038】
尚、コイルユニットは、40cm角の角型コイルであり、送電側のコイルユニット及び受電側のコイルユニット間のギャップは、50mmであるとする。
【0039】
図4下段に示すように、実施例に係るコイルユニット100のQ値及び結合係数各々は、「182」、「0.40」である。金属製の支持部材を有しないコイルユニット(
図4(a)参照)のQ値及び結合係数各々は、「195」、「0.40」である。
【0040】
このように、実施例に係るコイルユニット100は、金属製の支持部材を有しないコイルユニットに比べてQ値が多少劣るものの、結合係数は同等である。つまり、支持部材30に起因して、コイルユニット100の電力伝送効率が大幅に低下することはないといえる。
【0041】
これに対して、
図4(c)に示すコイルユニットのQ値及び結合係数各々は、「94」、「0.20」であり、電力伝送効率が大幅に低下していることがわかる。
【0042】
ところで、実施例に係るコイルユニット100が製品として製造される際には、
図5に示すように、樹脂等により形成されたケース50内に、コイル10、コア20及び支持部材30が格納される。また、支持部材30は、遮蔽板40に接続される。
【0043】
他方、金属製の支持部材を有しないコイルユニット200(
図6参照)では、フェライトコアを支持するために樹脂製のボビンケースが用いられることが多い。このようなボビンケースが用いられる場合、コイルユニットを備える装置の動作時にフェライトコアに発生する熱を効率的に放出することが困難である。
【0044】
しかるに実施例に係るコイルユニット100では、上述の如く、支持部材30が金属を含んで構成されている。このため、コイルユニット100を備える装置の動作時にコア20に発生する熱を効率的に放出することができる。
【0045】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うコイルユニットもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。