(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.941g/cm
3以上)と、中密度ポリエチレン(MDPE、密度:0.926〜0.940g/cm
3)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度:0.910〜0.925g/cm
3)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度:0.910〜0.925g/cm
3)に分けられる。ASTM−D4976−98:ポリエチレンプラスチック押出成型材料の標準規格を参照。
【0003】
LLDPEは、工業的に液相プロセス(溶液またはスラリー)または気相プロセスで製造されている。液相プロセスと気相プロセスの両方で、通常、MgCl
2に担持されたチーグラー・ナッタ触媒が使用されている。LLDPE樹脂は、5〜10質量%のオレフィンコモノマーとの、例えば1−ブテンや1−ヘキセン、1−オクテンとのコポリマーである。これらの触媒はコモノマー分布が均一なLLDPE樹を与える必要があることが多い。コモノマー分布はLLDPEの性質を、例えば引張特性や耐衝撃性、キシレン可溶性を決定する。
【0004】
LLDPEの主用途はフィルム用途であり、具体的には袋やごみ袋、ストレッチラップ、買い物袋、工業用ライナー、パン袋などの透明フィルム、食品用シュリンクフィルムである。この産業が直面する課題の一つがLLDPE中のゲルの削減である。ゲルはいろいろな原因に由来し、例えばゲルは、重合中の架橋反応で形成されるゲルや、溶融混練時の不十分な混合や均一化、フィルム押出中の均一化と架橋により形成される。一般的にはゲルはフィルム性能と外観に悪影響を及ぼすため望ましくない。例えば高ゲルの場合、フィルム製造ライン中にあるいは続くコンバータでの延伸中にフィルムが切断することがある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
このチーグラー・ナッタ触媒のMg/Tiモル比は7以上である。好ましくはこのTi(IV)錯体がTiCl
4である。この担持触媒は、2θ回折角が5.0°〜20.0°の範囲に少なくとも3つの主回折ピーク(2θが7.2±0.2°と11.5+0.2°と14.5±0.2°)を持つエックス線回折スペクトルを示すことが好ましい。2θが7.2±0.2°のピークが最も強く、11.5±0.2°のピークの強度が2θが7.2±0.2°のピークの強度の90%未満であることが好ましい。
【0009】
本発明の方法で使用するのに適当なチーグラー・ナッタ触媒は、MgCl
2支持体とTi(IV)錯体と内部電子供与体としての環状エーテルとを含む。好ましくはこの環状エーテルがテトラヒドロフラン(THF)である。この触媒のMg/Tiモル比は7以上である。好ましくはこの触媒のMg/Tiモル比が10〜100の範囲であり、より好ましくは10〜50の範囲である。この触媒の環状エーテル/Tiモル比は、好ましくは0.5〜20の範囲であり、より好ましくは5〜20の範囲、最も好ましくは10〜20の範囲である。適当なTi(IV)錯体は、TiX
4とTiX
n(OR)
4−n(式中、Xはハロゲンであり、RはC
1−10アルキル基であり、nは0〜3の数字である)からなる群から選ばれることが好ましい。好ましくは、Xは塩素である。好ましくは、このTi(IV)錯体はTiCl
4である。MgCl
2は、前もって成形されていても触媒製造中に成形されてもよい。特に好ましいのは活性形のMgCl
2である。チーグラー・ナッタ触媒の担持に活性型MgCl
2を用いることは公知である。例えば、米国特許4,298,718と4,495,338を参照。これらの特許の内容を引用として本明細書に採用する。
【0010】
ある特に好ましい担持触媒が、2010年8月24日に共出願の出願番号FE2265(US)に開示されている。この共出願の担持触媒とその製造を引用として本明細書に採用する。この担持触媒は、2θ回折角が5.0°〜20.0°の範囲に、少なくとも3つの主回折ピーク(2θが7.2±0.2°と11.5±0.2°と14.5±0.2°)を持つエックス線回折スペクトルを示すことが好ましい。2θが7.2±0.2°のピークが最も強く、11.5±0.2°のピークの強度が2θが7.2±0.2°のピークの強度の90%未満であることが好ましい。
【0011】
この触媒の一般的な製造方法が米国特許7,592,286に見出される。この’286特許の内容を引用として本明細書に採用する。この触媒は、まず溶媒の存在下でTi(IV)錯体をMgCl
2に接触させて中間体を得て製造することが好ましい。この中間体を溶媒から分離する。この中間体を次いでTHFと接触させる。このTHFで処理した中間体を溶媒で洗浄してチーグラー・ナッタ触媒を得る。この触媒製造のより詳細の説明が、本明細書の実施例中に開示されている。
【0012】
エチレンとα−オレフィンの共重合は触媒の存在下で行われる。さらにアルキルアルミニウム共触媒を用いることが好ましい。適当なアルキルアルミニウム共触媒には、トリアルキルアルミニウムやアルキルアルミニウムハライド等、またこれらの混合物が含まれる。トリアルキルアルミニウムの例には、トリメチルアルミニウム(TMA)やトリエチルアルミニウム(TEAL)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等、またこれらの混合物が含まれる。アルキルアルミニウムハライドの例には、ジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)や、ジイソブチルアルミニウムクロリド、アルミニウムセスキクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド(DMAC)等やこれらの混合物が含まれる。TEAL/DEAC混合物とTIBA/DEAC混合物が特に好ましい。この共重合に他の電子供与体(即ち、外部供与体)を加えてもよい。外部供与体は、エーテルとエステル、アミン、ケトン、ニトリル、シラン等やこれらの混合物からなる群から選ばれることが好ましい。
【0013】
適当なC
3−10α−オレフィンには、プロピレンや1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等、またこれらの混合物が含まれる。好ましくはこのα−オレフィンは、1−ブテン、1−ヘキセン、またはこれらの混合物である。使用するα−オレフィンの量は、望ましいLLDPEの密度により決まる。α−オレフィンは、エチレンの5〜10質量%の範囲の量で使用することが好ましい。LLDPEの密度は、好ましくは0.865〜0.940g/cm
3の範囲であり、より好ましくは0.910〜0.940g/cm
3の範囲、最も好ましくは0.915〜0.935g/cm
3の範囲である。
【0014】
この共重合を一台以上の重合器中で行い、そのうち少なくとも一つの反応器が気相で運転されることが好ましい。この気相反応器は、攪拌していても流動化させていてもよい。
【0015】
この気相重合は、水素と炭化水素系溶媒の存在下で行うことが好ましい。水素はLLDPEの分子量の制御に用いられている。このLLDPEのメルトインデックスMI
2は、好ましくは0.1〜10dg/分の範囲であり、より好ましくは0.5〜8dg/分の範囲である。特に好ましいLLDPE樹脂は、エチレンと1−ブテンのコポリマーで、1−ブテン含量が5〜10質量%の範囲にあるものである。このエチレン−1−ブテンコポリマーの密度は、好ましくは0.912〜0.925g/cm
3であり、より好ましくは0.915〜0.920g/cm
3である。このエチレン−1−ブテンコポリマーのMI
2は、好ましくは0.5〜15dg/分の範囲であり、より好ましくは1〜10dg/分である。密度とMI
2は、それぞれASTM−D1505とD1238(条件190/2.16)により測定する。
【0016】
この炭化水素系溶媒の沸点が、エチレンとα−オレフィンコモノマーの沸点より高いことが好ましい。適当な溶媒の例には、トルエンやキシレン、プロパン、ペンタン、ヘキサン等、またこれらの混合物が含まれる。この溶媒は重合中に凝縮する。これにより重合から熱を奪い、気相反応器中にモノマーを維持するのを助ける。必要ならこの気相重合を、窒素や二酸化炭素などの不活性ガスの存在下で行う。
【0017】
ある実施様態においては、この方法を単一の気相反応器中で行う。直接、あるいは一台以上の前活性化装置を経由して触媒を連続的に反応器に供給する。モノマーと他の成分を連続的に反応器に供給して、反応器圧力と気相の組成を実質的に一定に保つ。この反応器から生成物流を連続的に抜き出す。生成物流からLLDPEを分離し、未反応モノマーと他の成分を循環させる。反応器中に含まれるガスを、重合床が流動状態に維持されるような循環速度で循環させるために、流動化圧縮機がしばしば用いられる。
【0018】
もう一つの実施様態においては、本方法が二台の気相反応器中で連続的に行われる。この触媒を、直接、または一台以上の前活性化装置を経由して連続的に第一の反応器に供給する。第一の反応器の気相は、エチレンと一種以上のα−オレフィンコモノマーと水素と炭化水素系溶媒を含むことが好ましい。モノマーと他の成分を連続的に第一の反応器に供給して、反応器の圧力と気相の組成を実質的に一定に維持する。生成物流を第一の気相反応器から抜き出し、第二の気相反応器に供給する。第二の反応器内の気相は、第一反応器のものとは異なっており、このため第二の反応器中でできたLLDPEが、組成または分子量の点で、あるいはその両方で第一の反応器中でできたLLDPEと異なっていることが好ましい。第一と第二の反応器でできたLLDPEを含む最終生成物流が、第二の反応器から抜き出される。
【0019】
本発明は、本方法で製造されるLLDPEを含む。本発明のLLDPEのゲル欠陥面積は25ppm以下であり、好ましくは20ppm以下である。その密度は0.910〜0.940g/cm
3の範囲であり、メルトインデックス(MI
2)は0.1〜10dg/分の範囲である。本発明のLLDPEは、フィルムやパイプ、容器、接着剤、ワイヤとケーブル、成型部材などの多くの用途で使用できる。低ゲルのLLDPEは、特にフィルム用途に有用である。これによりフィルムを破断させることなくより薄く延伸できるようになる。特に本発明のLLDPEは、ゲル粒子がフィルム外観や加工、物性の大きな影響を及ぼすストレッチラップや、パン袋などの透明フィルム、シュリンクフィルム用途に適している。
【0020】
LLDPEフィルムの製造方法は公知である。例えば二軸延伸シュリンクフィルムの製造に、フィルムブロー成形法を使用できる。この方法では、LLDPE溶融物を環状ダイのダイ間隙から押出機により押し出して、実質的に上向きに押し出された溶融チューブを作る。このチューブの内側に加圧空気を供給してチューブ径を増加させ、「風船」状とする。このチューブに注入される空気の体積が、チューブの大きさ、即ち得られるブロー比(通常、ダイ直径の1〜3倍)をコントロールする。押出チューブ径が小さい場合には、そのチューブは、外部表面上で、また必要ならフィルムの内部表面上で冷却リングにより急速冷却される。「フロストライン高」は、溶融押出物が固化する点と定義される。この高さは、ダイ直径の約0.5〜4倍である。ダイ間隙の厚みから最終の膜厚までの延伸とチューブ径の拡大によりフィルムが二軸延伸され、所望のバランスのフィルム性質が得られる。一対のニップローラー間で風船を閉じ(平坦化させ)、フィルムワインダーでフィルムロールに巻き付ける。チューブの平坦化は、壁面表面が相互に付着しない点にまで冷却した後で行われる。
【0021】
表1の例のブローフィルムは、2インチ径の滑腔式押出機、24:1L/Dのバリアスクリューとダイ間隙が0.100インチである4インチ径螺旋マンドレルダイを有するブローフィルム製造ラインで製造されたものである。ブローフィルムの加工条件は、次の通りである。加工速度:63lb/時、溶融温度:215〜220℃、ブロー比:2.5、フロストライン高:12インチ、膜厚:1mil(25ミクロン)。
【0022】
落槍衝撃強度とエルメンドルフ引裂強度、ヘーズ、透明性(NASまたは小角散乱)は、それぞれASTM−D1709とD1922、D1003、D1746により測定する。
【0023】
フィルム中のゲルは、ブローフィルム製造ラインの平坦化装置とフィルムワインダーの間に直接設けられた走査型光学カメラシステムで測定する。ゲル測定期間中は、膜厚を50ミクロン(2mil)に設定し、光学走査は、平坦化したチューブに対して、合計で100ミクロン(4mil)となる二層のフィルムを効果的に走査して行われる。用いるゲル計測システムは、ハードウェアとソフトウェア共に、OCS社から販売されているシステムである「光学的制御システム」フィルム走査システムFS−5である。FS−5は、特別な高速でデジタルのエリアセンサーと、別に設けられた保護用容器内に収められた光照射ユニットからなる。透明材料を検査には透過光を使用し、互に反対側に設けられたエリアセンサーと光照射ユニットにより、その内側を通るフィルムを検査する。このシステムで、フィルム中のゲルを光学認識可能な欠陥として検出することが容易となる。ゲルは、予め定められた範囲の大きさに分類される。次いで、これらの欠陥をストリップの各部分に帰属させる。OCSゲル分析ソフトウェア用のソフトウェア設定は次の通りである。
【0024】
カメラ:ピクセル/ライン:4096、ライン/フレーム:256、分解能:X軸=59μm、Y軸=63μm、オフセット:左=416ピクセル、右=464ピクセル、走査距離:距離[ピクセル]=5、最大ピクセル=0
【0025】
レベル
1.レベルneg.:50
2.レベルneg.:5
欠陥の種類:2レベルの汚染
形状係数
カウント:3
形状係数1:1.5
形状係数2:2.5
サイズの等級
カウント:5
等級1:100
等級2:200
等級3:400
等級4:800
等級5:1600
画像取り込み
シェーディング補正 モード:自動 インターバル[mm]:1000
輝度:自動 バッファーサイズ:32
グレイ値: 170
マトリックスサイズ X軸[ピクセル]:11
Y軸[ピクセル]:11
フィルター
パーセル長[mm]:96.768
平均フィルターサイズ:50
レーン
カウント:10
極限値
極限値モード:クラシカル
クラシカル極限値 最小レベル:レベル0
レベル1/レベル0比:0.5
カウンターモード
面積[m
2]:28.0
開始遅延[s]:0
特別な欠陥
カウント:1
【0026】
OCSゲル分析の標準的な報告書には、上記「欠陥サイズの等級」の各ゲルサイズでの、単位面積当りのゲルまたは欠陥の数が含まれる。例えば表1において、ゲルサイズの等級は、<100ミクロンと、100〜200、200〜400、400〜800、800〜1600ミクロンである。このソフトウェアで、全てのゲルの断面積の総計を試験フィルムの表面積で割ったものを計算し、「ゲル欠陥面積」(無次元の比率、単位:ppm)として与えた。本明細書では、この「ゲル欠陥面積」をフィルム中のゲルの定量的な尺度として用いている。
【実施例】
【0027】
以下の実施例は、本発明を説明するためだけのものである。本発明の精神と請求の範囲内で多くの改変が可能であることは、当業界の熟練者に自明であろう。
【0028】
実施例1〜2
チーグラー・ナッタ触媒を次のように製造する。
【0029】
WO98/44009の実施例2に記載の方法で、ただしより大きな規模で、初期量の微小球状MgCl
2・2.8C
2H
5OHを製造する。所望の平均粒度が得られるように製造時の攪拌条件を調整する。この微小球状のMgCl
2−EtOH付加物を、窒素流下で50〜150℃の温度範囲で熱処理にかけ、そのアルコール含量を減らす。この付加物は、28.5質量%のEtOHを含み、平均粒度は23ミクロンである。
【0030】
500mlの4つ口丸底フラスコを窒素パージし、0℃で250mlのTiCl
4を投入し、次いで攪拌下で10グラムの上記付加物を加える。温度を130℃に上げ、その温度で2時間維持する。攪拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液をサイホンで除く。残る量のTiCl
4をフラスコに加えて初期の液体体積とする。温度を110℃で1時間維持する。もう一度固体を沈降させて液体をサイホンで除く。次いでこの固体を無水ヘキサンを用いて60℃で3回(それぞれ100ml)、40℃で2回洗浄する。最後にこの固体中間体成分を真空乾燥させ分析する。これは、4.2質量%のTiと20.5質量%のMgを含んでいる。
【0031】
機械攪拌器を備えた500mlの4つ口丸底フラスコを窒素パージし、室温で300mlの無水ヘキサンと21gの上記固体中間体を投入した。攪拌下で、モル比Mg/THFが1.25となる量でTHFを滴下させる。温度を50℃に上げ、混合物を2時間攪拌する。攪拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液をサイホンで除く。この固体を、40℃で2回、無水ヘキサン(それぞれ100ml)で洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0032】
350mlの4つ口丸底フラスコを窒素パージし、25℃で280mlのヘプタンと19.8gの上記固体を投入する。攪拌下で温度を約30分間で95℃に上げ、2時間維持する。次いで温度を80℃に下げ、攪拌を停止する。この固体生成物を30分間沈降させ、上澄み液をサイホンで除く。
【0033】
この固体のX線スペクトルは、2θ回折角の5°〜20°の範囲に、回折角2θが7.2°(100)、8.2°(40)、11.5°(60)に主たる回折ラインと14.5°(15)にサイドピーク、また18°(25)にもう一つのサイドピークをもつ。なお、カッコ内の数字は最大強度ラインに対する強度比I/I
0である。この固体触媒は、15.7%のMgと1.6%のTi、31.1%のTHFを含み、Mg/THF比率は1.49で、Mg/Tiが19.1である。
【0034】
気相重合プロセスでLLDPE(エチレン−1−ブテンコポリマー)を製造する。この方法は、単一のガス循環圧縮機を備えた流動床反応器を使用する。反応器内の重合床が流動条件下に維持されるような速度で反応器の気相を循環させる。この気相は、エチレンと1−ブテン、水素、窒素、イソペンタンを含む。エチレン濃度は、ポリマー形状を維持しながら(微粉形成、層形成、塊成形など)、高重合速度を示すように調整され、約30モル%に維持される。1−ブテン/エチレン比率は、生成ポリマーの密度が目標値となるように制御される。水素/エチレン比率は、生成ポリマーの分子量またはMI
2が目標値となるように制御される。
【0035】
上記の触媒を連続的に前活性化部に送り、ここで触媒をトリヘキシルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロリドに接触させる。この前活性化部から上記気相反応器に触媒を連続的に供給する。前活性化された触媒とは別に、トリエチルアルミニウムを連続的にこの重合系に投入する。反応器内の圧力を約22bargに維持し、反応器内の重合温度は86℃に調整する。反応器床からLLDPEポリマーを抜き出し、脱泡させる。
【0036】
このLLDPEのゲル欠陥面積は、実施例1では15ppmであり、実施例2では16ppmである。他の樹脂特性とフィルム特性を表1に示す。
【0037】
比較例3
ICPのポリマーの金属分析により測定したMg/Tiモル比が約5.8であるチーグラー・ナッタ触媒を用いてLLDPEを製造する。このLLDPEのゲル欠陥面積は28ppmである。他の樹脂特性とフィルム特性を表1に示す。
【0038】
実施例4〜5
実施例4と5は、実施例1と2と同様に製造する。仕上げとペレット化の際に、この樹脂粉末にスリップ剤とアンチブロック剤も加える。実施例4と5のゲル欠陥面積は、それぞれ12ppmと16ppmである。他の樹脂特性とフィルム特性を表1に示す。
【0039】
比較例6〜7
比較例6と7は比較例3と同様に製造する。仕上げとペレット化の際に、この樹脂粉末にスリップ剤とアンチブロック剤も加える。比較例6と7のゲル欠陥面積はそれぞれ53ppmと110ppmである。他の樹脂特性とフィルム特性を表1に示す。
【0040】
【表1】