特許第6152344号(P6152344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6152344ニッキングエンドヌクレアーゼを用いるアッセイ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152344
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】ニッキングエンドヌクレアーゼを用いるアッセイ方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20170612BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20170612BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20170612BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   C12Q1/68 AZNA
   C12N15/00 A
   G01N33/483 E
   G01N37/00 101
【請求項の数】28
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-530398(P2013-530398)
(86)(22)【出願日】2011年9月26日
(65)【公表番号】特表2013-539973(P2013-539973A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】US2011053274
(87)【国際公開番号】WO2012047589
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年9月24日
(31)【優先権主張番号】12/891,343
(32)【優先日】2010年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515353718
【氏名又は名称】ナブシス 2.0 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オリバー, ジョン エス.
【審査官】 田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/002883(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/028140(WO,A1)
【文献】 特表2001−514483(JP,A)
【文献】 特表2010−514420(JP,A)
【文献】 特開平11−056380(JP,A)
【文献】 NANO LETTERS,2009年,vol.9,no.9,p.3089-3095
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
C12N 15/00−15/90
CAplus/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
PubMed
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的被検体を調製し、かつ、該標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニタリングするための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、
c.該ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、
d.該二本鎖DNA鋳型および該一本鎖フラップを、該二本鎖DNA鋳型および該一本鎖フラップの電気的検出を増強するタンパク質でコーティングし、それにより、該標的被検体を調製するステップと、
e.該標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示し、ここで、(i)一対の検出電極が、該一対の検出電極の間に検出ボリュームを画定するために該流体チャネルに沿って間隔をあけた関係で該流体チャネルに対して垂直に位置され、そして、(ii)該一対の検出電極の間の該検出ボリュームにおける電気的性質がモニターされる、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nb.BbvCI、Nb.BsmI、NbBsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、およびNt.CviPIIからなる群から選択される1種またはそれより多くのエンドヌクレアーゼを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基伸長反応が、前記第1のDNA鎖を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タンパク質が、RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質からなる群から選択される1種またはそれより多くのタンパク質を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記流体チャネルが、マイクロチャネルまたはナノチャネルを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの一本鎖フラップ領域が二本鎖DNA鋳型から伸長している該二本鎖DNA鋳型を含み、該二本鎖DNA鋳型および該一本鎖フラップ領域の少なくとも一部分が該二本鎖DNA鋳型および該一本鎖フラップ領域の電気的検出を増強するタンパク質でコーティングされている標的被検体。
【請求項8】
前記タンパク質が、RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質からなる群から選択される1種またはそれより多くのタンパク質を含む、請求項に記載の標的被検体。
【請求項9】
標的被検体を調製し、かつ、該標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニタリングするための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的な場所に複数のニックを形成するステップと、
c.各ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する第1の塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップ領域を形成するステップと、
d.少なくとも1つのフラップ領域において第2の塩基伸長反応を行って少なくとも1つの二本鎖フラップを形成し、それにより、該標的被検体を調製するステップと、
e.該標的被検体を、該鋳型および該フラップの電気的検出を増強するタンパク質でコーティングするステップと、
.該標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示し、ここで、(i)一対の検出電極が、該一対の検出電極の間に検出ボリュームを画定するために該流体チャネルに沿って間隔をあけた関係で該流体チャネルに対して垂直に位置され、そして、(ii)該一対の検出電極の間の該検出ボリュームにおける電気的性質がモニターされる、ステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nb.BbvCI、Nb.BsmI、NbBsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、およびNt.CviPIIからなる群から選択される1種またはそれより多くのエンドヌクレアーゼを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の塩基伸長反応が、前記第1のDNA鎖を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させるステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の塩基伸長反応が、少なくとも1つのフラップ領域を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させるステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記標的被検体の二本鎖領域とフラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記タンパク質が、RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質からなる群から選択される1種またはそれより多くのタンパク質を含む、請求項に記載の標的被検体。
【請求項15】
標的被検体を調製し、かつ、該標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニタリングするための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、
c.該ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、
d.該一本鎖フラップを、一本鎖DNAに選択的に結合して該一本鎖フラップの電気的検出を増強するタンパク質でコーティングし、それにより、該標的被検体を調製するステップと、
e.該標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示し、ここで、(i)一対の検出電極が、該一対の検出電極の間に検出ボリュームを画定するために該流体チャネルに沿って間隔をあけた関係で該流体チャネルに対して垂直に位置され、そして、(ii)該一対の検出電極の間の該検出ボリュームにおける電気的性質がモニターされる、ステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nb.BbvCI、Nb.BsmI、NbBsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、およびNt.CviPIIからなる群から選択される1種またはそれより多くのエンドヌクレアーゼを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記塩基伸長反応が、前記第1のDNA鎖を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させるステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
標的被検体を調製し、かつ、該標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニタリングするための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的な場所に複数のニックを形成するステップと、
c.各ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する第1の塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップ領域を形成するステップと、
d.少なくとも1つの一本鎖フラップ領域において第2の塩基伸長反応を行って、少なくとも1つの二本鎖フラップを形成するステップと、
e.該二本鎖フラップに一本鎖の伸長物を付加するステップと、
f.1種またはそれより多くのプローブを該一本鎖の伸長物とハイブリダイズさせ、それにより、該標的被検体を調製するステップと、
g.該標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示し、ここで、(i)一対の検出電極が、該一対の検出電極の間に検出ボリュームを画定するために該流体チャネルに沿って間隔をあけた関係で該流体チャネルに対して垂直に位置され、そして、(ii)該一対の検出電極の間の該検出ボリュームにおける電気的性質がモニターされる、ステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記二本鎖フラップに付加される前記一本鎖の伸長物が一本鎖ポリT伸長物である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記プローブがポリAオリゴマーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記二本鎖フラップに付加される前記一本鎖の伸長物が一本鎖ポリA伸長物である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記プローブがポリTオリゴマーを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記プローブがタグ付けされている、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記プローブが金粒子を用いてタグ付けされている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記一本鎖の伸長物が、ターミナルトランスフェラーゼを使用して前記二本鎖フラップに付加される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記一本鎖の伸長物が少なくとも100塩基の長さである、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2010年9月27日に出願された米国特許出願第12/891,343号の利益および優先権を主張し、この米国仮特許出願の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、バイオポリマーを分析するためのアッセイ方法およびデバイスに関する。本明細書では、そのようなバイオポリマーをマッピングすることが意図されている。
【背景技術】
【0003】
背景
ヒトDNAなどの種々の生体分子の組成物および配列を正確かつ特異的に同定することは非常に重要である。しかし、マッピングおよび配列決定の技術は、開発し、実行するために時間と費用がかかる。例えば、ヒトゲノムプロジェクトとして単一個体のDNAについて配列決定するためには、30億ドルを超える財源が必要であった。
【0004】
各人のDNAは、互いに、およそ1000塩基に1塩基が異なると推定される。ヒト集団におけるそのような遺伝子変異の知見により、科学団体が、種々の医学的素因、状態、または疾患に関連づけられる遺伝的傾向を同定することが可能になり得、また、所与の個体のために、その個体のDNAに基づいて処置がカスタマイズされる、正確に個別化された医療が実現され得る。そのような知見を発展させ、個々の患者の遺伝子構造に基づいた医学的診断および処置を適合させるためには、DNAマッピングおよび配列決定の時間と費用を縮小することが必要である。
【0005】
新しいDNA配列決定技術により多くの短い読み取り(short read)(配列決定されたDNAの長さ)が生じ、次いでそれを用いて試料全体の配列を組み立てる。これらの「短い読み取り」技術により、25塩基から400塩基までの長さの読み取りが配列決定されている。サイズまたは複雑さがそれほど大きくないゲノムについては、これらの短い読み取りでは、配列内に繰り返しが出現するので、試料の配列を正確に組み立てることができない。組み立てを先導するためにDNAマッピングを用いることができる。例えば、短い読み取りデータの組み立てを補助するために制限マップを用いることができる。短い読み取り技術によりデータを組み立てることを可能にするためには、より迅速かつより密度の高いマップが有用であると思われる。
【0006】
ハイブリダイゼーション補助ナノポアシーケンシング(Hybridization Assisted Nanopore Sequencing)(HANS)は、ナノポアに基づく、DNAおよび他の生体分子のゲノムの長さについて配列決定するための方法である。この方法は、配列決定しようとしている、または特徴付けようとしている生体分子の特定の部分にプローブがハイブリダイズする位置を検出することに依拠する。
【0007】
この方法では、2つの溶液のレザバーを、寸法が分かっている流体狭窄部(fluidic constriction)としての機能を果たすナノメートルサイズの穴、またはナノポアによって分離する。2つのレザバーの間に一定のDC電圧を加えることにより、測定されるベースラインのイオン電流がもたらされる。被検体をレザバーに導入すると、被検体が流体チャネル(fluidic channel)を通過し、電解質溶液と被検体では導電率が違うことにより、観察される電流が変化し得る。電流の変化の大きさは、被検体が流体チャネル内にある間に、その被検体で置き換えられる電解質の体積に左右される。電流の変化の持続時間は、被検体がナノポア狭窄部を通過するのにかかる時間に関連する。生体分子におけるプローブの位置の決定には電流信号が使用されている。プローブの位置を測定することにより、コンピュータアルゴリズムを用いて生体分子の配列を正確に再建することが可能になる。ヒトゲノムを新規に組み立てるために、迅速かつ正確に核酸をマッピングし、配列決定することができる効率的な方法およびデバイスが必要とされている。長い読み取り長を有すること、できるだけ少ない核酸鋳型を使用することが望ましい。
【0008】
マッピングおよび配列決定は、流体ナノチャネルおよび流体マイクロチャネルに基づくデバイスを用いて実現することもできる。これらの系では、被検体を、ナノチャネルまたはマイクロチャネルを通して移行させ、その通過をチャネルの長さに沿って位置させた電極によって検出する。2010年5月28日に出願され、その教示全体が参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許出願第12/789,817号に記載の一実施形態では、第1の電極対が、その間の参照電圧を与えるようにチャネルに沿って縦方向に位置させている。第2の電極対は検出ボリュームを定義するためにチャネル全体にわたって位置させている。被検体が検出ボリュームを通過するときに、電気的性質の検出可能な変化、例えば、参照電圧の変化が引き起こされる。被検体とハイブリダイズしたプローブが検出ボリューム内に入ると、それにより電気的性質のさらなる変化が引き起こされる。したがって、被検体がいつ検出ボリュームに存在しているか、ならびに、ハイブリダイズしたプローブが検出ボリューム内に入ると、その絶対的な位置または相対的な位置を検出することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のことにもかかわらず、そのようなバイオポリマーについてマッピングし、配列決定するための改善されたアッセイ方法を含めた、バイオポリマーを分析するための改善された方法およびデバイスが依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
要旨
本発明の実施形態は、ナノポア、マイクロチャネルまたはナノチャネル分析デバイスを用いてマッピングするために適した標的被検体試料を調製するためのアッセイ方法に関する。
【0011】
一実施形態では、該方法は、a)それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、b)二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼ(nicking endonuclease)と接触させて、第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、c)ニックにおいて開始し、第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、第1のDNA鎖において、第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、鋳型上に、ニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、d)二本鎖DNA鋳型を、鋳型および一本鎖フラップの電気的検出を増強する結合性部分でコーティングし、それにより、標的被検体を調製するステップとを含む。
【0012】
別の実施形態では、該方法は、a)それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、b)鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、第1のDNA鎖上の配列特異的な場所に複数のニックを形成するステップと、c)各ニックにおいて開始し、第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する第1の塩基伸長反応を、第1のDNA鎖において、第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、二本鎖DNA鋳型上に、配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップ領域を形成するステップと、d)少なくとも1つのフラップ領域において第2の塩基伸長反応を行って少なくとも1つの二本鎖フラップを形成し、それにより、標的被検体を調製するステップとを含む。この実施形態では、生じた被検体の全部または一部を、結合性部分でコーティングすることができる。したがって、この実施形態では、二本鎖フラップ、ならびに二本鎖DNA鋳型を、結合性部分でコーティングする追加のステップを用いることができる。
【0013】
さらに別の実施形態では、該方法は、a)それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、b)二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、c)ニックにおいて開始し、第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、第1のDNA鎖において、第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、二本鎖DNA鋳型上に、配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、d)一本鎖フラップを、一本鎖DNAに選択的に結合して一本鎖フラップの電気的検出を増強する結合性部分でコーティングし、それにより、標的被検体を調製するステップとを含む。
【0014】
別の実施形態では、該方法は、a)それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、b)鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、第1のDNA鎖上の配列特異的な場所に複数のニックを形成するステップと、c)各ニックにおいて開始し、第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する第1の塩基伸長反応を、第1のDNA鎖において、第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、二本鎖DNA鋳型上に、配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップ領域を形成するステップと、d)少なくとも1つの一本鎖フラップ領域において第2の塩基伸長反応を行って、少なくとも1つの二本鎖フラップを形成するステップと、e)二本鎖フラップに一本鎖の伸長物を付加するステップと、f)1種またはそれより多くのプローブを上記一本鎖の伸長物とハイブリダイズさせ、それにより、標的被検体を調製するステップとを含む。一本鎖の伸長物は少なくとも100塩基の長さであってよく、ポリTポリマーまたはポリAポリマーを含んでよい。この伸長物は、ターミナルトランスフェラーゼを使用して二本鎖フラップに付加することができる。プローブは金粒子でタグ付けされていてよく、また、ポリAオリゴマー(ポリT伸長物の場合)、またはポリTオリゴマー(ポリA伸長物の場合)を含んでよい。
【0015】
上記の各実施形態では、分析される生体分子は二本鎖DNAであってよい。ニッキングエンドヌクレアーゼは、単独で、または種々に組み合わせて使用されるNb.BbvCI、Nb.BsmI、NbBsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、およびNt.CviPIIであってよいが、任意のニッキングエンドヌクレアーゼを単独で、または組み合わせて用いることができる。塩基伸長反応は、DNA鎖を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させることによって実現することができる。結合性部分は、タンパク質であってよい。適切なタンパク質の例としては、RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質が挙げられる。
【0016】
本発明の別の実施形態は、1つまたはそれより多くの二本鎖DNAフラップを有する二本鎖DNA断片を含む標的被検体、および結合性部分でコーティングされた1つまたはそれより多くの一本鎖DNAフラップまたは二本鎖DNAフラップを有する二本鎖DNA断片を含む標的被検体に関する。一本鎖の伸長物を有する1つまたはそれより多くの二本鎖フラップを有するDNA断片も意図されている。上記伸長物は、オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせることができ、プローブは、金粒子などのタグを含んでよい。
【0017】
本発明の方法によって調製された標的被検体は、ナノポア系、ならびにナノチャネルまたはマイクロチャネルを使用する流体チャネル系において位置情報が検出されるように構成される。したがって、本発明の実施形態は、上記の方法を用いて作製された標的被検体がナノポアまたは流体チャネルを通って移動するときに、ナノポアまたは流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターすることに関する。モニターされた変化により、標的被検体の二本鎖領域ならびにフラップ領域が示される。さらに、本発明の実施形態は、検出された電気的性質の変化を用いて、標的被検体における二本鎖領域とフラップ領域を区別することに関する。この区別を用いて、ニックの場所を決定し、それにより、DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングすることができる。
【0018】
したがって、一実施形態では、本発明は、a)それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供し、b)二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成し、c)ニックにおいて開始し、第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、第1のDNA鎖において、第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、鋳型上に、ニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成し、d)二本鎖DNA鋳型を、鋳型および一本鎖フラップの電気的検出を増強する結合性部分でコーティングし、それにより、標的被検体を調製し、e)標的被検体がナノポアを通ってまたは流体マイクロチャネルもしくは流体ナノチャネルを横切って移動するときの、標的被検体の二本鎖領域および一本鎖フラップ領域を示す電気的性質の変化をモニターする方法に関する。さらに、ニックの場所を決定し、二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするために、少なくとも一部は、検出された電気的性質の変化に基づいて、二本鎖鋳型と一本鎖フラップ領域を区別する追加のステップも用いることができる。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、a)それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供し、b)鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、第1のDNA鎖上の配列特異的な場所に複数のニックを形成し、c)各ニックにおいて開始し、第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する第1の塩基伸長反応を、第1のDNA鎖において、第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、二本鎖DNA鋳型上に、配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップ領域を形成し、d)少なくとも1つのフラップ領域において第2の塩基伸長反応を行って少なくとも1つの二本鎖フラップを形成し、それにより、標的被検体を調製し、e)標的被検体がナノポアを通ってまたは流体マイクロチャネルもしくは流体ナノチャネルを横切って移動するときの、標的被検体の二本鎖領域および二本鎖フラップ領域を示す電気的性質の変化をモニターする方法に関する。さらに、ニックの場所を決定し、二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするために、少なくとも一部は、検出された電気的性質の変化に基づいて、二本鎖鋳型と二本鎖フラップ領域を区別する追加のステップも用いることができる。
【0020】
さらに別の実施形態では、該方法は、a)それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、b)二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、c)ニックにおいて開始し、第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、第1のDNA鎖において、第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、二本鎖DNA鋳型上に、配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、d)一本鎖フラップの電気的検出を増強するために、一本鎖フラップを、一本鎖DNAに選択的に結合する結合性部分でコーティングし、それにより、標的被検体を調製するステップと、e)標的被検体がナノポアを通ってまたは流体マイクロチャネルもしくは流体ナノチャネルを横切って移動するときの、標的被検体の二本鎖領域および一本鎖フラップ領域を示す電気的性質の変化をモニターするステップとを含む。さらに、ニックの場所を決定し、二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするために、少なくとも一部は、検出された電気的性質の変化に基づいて、二本鎖鋳型と一本鎖フラップ領域を区別する追加のステップも用いることができる。
【0021】
別の実施形態では、該方法は、a)それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、b)鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、第1のDNA鎖上の配列特異的な場所に複数のニックを形成するステップと、c)各ニックにおいて開始し、第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する第1の塩基伸長反応を、第1のDNA鎖において、第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、二本鎖DNA鋳型上に、配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップ領域を形成するステップと、d)少なくとも1つの一本鎖フラップ領域において第2の塩基伸長反応を行って、少なくとも1つの二本鎖フラップを形成するステップと、e)二本鎖フラップに一本鎖の伸長物を付加するステップと、f)1種またはそれより多くのプローブを一本鎖の伸長物とハイブリダイズさせ、それにより、標的被検体を調製するステップとを含む。標的被検体がナノポアを通って、または流体マイクロチャネルもしくは流体ナノチャネルを横切って移動するときに、標的被検体の二本鎖領域および伸長したフラップ領域を示す、電気的性質の変化をモニターすることができる。さらに、ニックの場所を決定し、二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするために、少なくとも一部は、検出された電気的性質の変化に基づいて、二本鎖鋳型と伸長したフラップ領域を区別する追加のステップも用いることができる。
【0022】
別の実施形態では、該方法は、a)それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、b)二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、c)ニックにおいて開始し、第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、第1のDNA鎖において、第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、鋳型上に、ニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、d)標的被検体がナノポアを通ってまたは流体マイクロチャネルもしくは流体ナノチャネルを横切って移動するときの、標的被検体の二本鎖領域および一本鎖フラップ領域を示す電気的性質の変化をモニターするステップとを含む。さらに、ニックの場所を決定し、二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするために、少なくとも一部は、検出された電気的性質の変化に基づいて、二本鎖鋳型と一本鎖フラップ領域を区別する追加のステップも用いることができる。
【0023】
前述した通り、上記の各実施形態では、分析される生体分子は二本鎖DNAであってよい。ニッキングエンドヌクレアーゼは、単独で、または種々に組み合わせて使用されるNb.BbvCI、Nb.BsmI、NbBsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、およびNt.CviPIIであってよいが、任意のニッキングエンドヌクレアーゼを単独で、または組み合わせて用いることができる。塩基伸長反応は、DNA鎖を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させることによって実現することができる。使用する場合、結合性部分は、タンパク質であってよい。適切なタンパク質の例としては、RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質が挙げられる。
【0024】
二本鎖フラップ領域上に一本鎖の伸長物が形成される場合では、一本鎖の伸長物は少なくとも100塩基の長さであってよく、また、ポリTポリマーまたはポリAポリマーを含んでよい。この伸長物は、ターミナルトランスフェラーゼを使用して二本鎖フラップに付加することができる。プローブは、例えば金粒子を用いてタグ付けされていてよく、また、ポリAオリゴマー(ポリT伸長物の場合)、またはポリTオリゴマー(ポリA伸長物の場合)を含んでよい。
本願は特定の実施形態において例えば以下の項目を提供する:
(項目1)
標的被検体を調製するための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、
c.該ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、
d.該二本鎖DNA鋳型を、該二本鎖DNA鋳型および該一本鎖フラップの電気的検出を増強する結合性部分でコーティングし、それにより、該標的被検体を調製するステップと
を含む方法。
(項目2)
前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nb.BbvCI、Nb.BsmI、NbBsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、およびNt.CviPIIからなる群から選択される1種またはそれより多くのエンドヌクレアーゼを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記塩基伸長反応が、前記第1のDNA鎖を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させるステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記結合性部分がタンパク質を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記タンパク質が、RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質からなる群から選択される1種またはそれより多くのタンパク質を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記標的被検体が、ナノポア系において位置情報が検出されるように構成される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記標的被検体がナノポアを通って移動するときの該ナノポア全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記標的被検体が、流体チャネル系において位置情報が検出されるように構成される、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記流体チャネルが、マイクロチャネルまたはナノチャネルを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
少なくとも1つの一本鎖フラップ領域が二本鎖DNA鋳型から伸長している該二本鎖DNA鋳型を含み、該二本鎖DNA鋳型および該一本鎖フラップ領域の少なくとも一部分が該二本鎖DNA鋳型および該一本鎖フラップ領域の電気的検出を増強する結合性部分でコーティングされている標的被検体。
(項目14)
前記結合性部分がタンパク質を含む、項目13に記載の標的被検体。
(項目15)
前記タンパク質が、RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質からなる群から選択される1種またはそれより多くのタンパク質を含む、項目14に記載の標的被検体。
(項目16)
標的被検体を調製するための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的な場所に複数のニックを形成するステップと、
c.各ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する第1の塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップ領域を形成するステップと、
d.少なくとも1つのフラップ領域において第2の塩基伸長反応を行って少なくとも1つの二本鎖フラップを形成し、それにより、該標的被検体を調製するステップと
を含む方法。
(項目17)
前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nb.BbvCI、Nb.BsmI、NbBsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、およびNt.CviPIIからなる群から選択される1種またはそれより多くのエンドヌクレアーゼを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記第1の塩基伸長反応が、前記第1のDNA鎖を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させるステップを含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記第2の塩基伸長反応が、少なくとも1つのフラップ領域を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させるステップを含む、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記標的被検体が、ナノポア系において位置情報が検出されるように構成される、項目16に記載の方法。
(項目21)
前記標的被検体がナノポアを通って移動するときの該ナノポア全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記標的被検体の二本鎖領域とフラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記標的被検体が、流体チャネル系において位置情報が検出されるように構成される、項目16に記載の方法。
(項目24)
前記流体チャネルが、マイクロチャネルまたはナノチャネルを含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記標的被検体の二本鎖領域とフラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記標的被検体を、前記鋳型および前記フラップの電気的検出を増強する結合性部分でコーティングするステップ
をさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目28)
前記結合性部分がタンパク質を含む、項目27に記載の標的被検体。
(項目29)
前記タンパク質が、RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質からなる群から選択される1種またはそれより多くのタンパク質を含む、項目28に記載の標的被検体。
(項目30)
前記標的被検体が、ナノポア系において位置情報が検出されるように構成される、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記標的被検体がナノポアを通って移動するときの該ナノポア全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記標的被検体の二本鎖領域とフラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記標的被検体が、流体チャネル系において位置情報が検出されるように構成される、項目27に記載の方法。
(項目34)
前記流体チャネルが、マイクロチャネルまたはナノチャネルを含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目36)
前記標的被検体の二本鎖領域とフラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
1つまたはそれより多くの二本鎖フラップ領域が二本鎖DNA鋳型から伸長している該二本鎖DNA鋳型を含む標的被検体。
(項目38)
前記二本鎖鋳型の少なくとも一部分および前記二本鎖フラップ領域の1つまたはそれより多くが該鋳型および該フラップの電気的検出を増強する結合性部分でコーティングされている、項目37に記載の標的被検体。
(項目39)
前記結合性部分がタンパク質を含む、項目38に記載の標的被検体。
(項目40)
前記タンパク質が、RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質からなる群から選択される1種またはそれより多くのタンパク質を含む、項目39に記載の標的被検体。
(項目41)
標的被検体を調製するための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、
c.該ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、
d.該標的被検体がナノポアを通って移動するときの該ナノポア全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および該一本鎖フラップ領域を示すステップ、と
を含む方法。
(項目42)
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
標的被検体を調製するための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、
c.該ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、
d.該標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および該一本鎖フラップ領域を示すステップ、と
を含む方法。
(項目44)
前記流体チャネルが、マイクロチャネルまたはナノチャネルを含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目43に記載の方法。
(項目46)
標的被検体を調製するための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的なニッキング場所に1つのニックを形成するステップと、
c.該ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップを形成するステップと、
d.該一本鎖フラップを、一本鎖DNAに選択的に結合して該一本鎖フラップの電気的検出を増強する結合性部分でコーティングし、それにより、該標的被検体を調製するステップと
を含む方法。
(項目47)
前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nb.BbvCI、Nb.BsmI、NbBsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、およびNt.CviPIIからなる群から選択される1種またはそれより多くのエンドヌクレアーゼを含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記塩基伸長反応が、前記第1のDNA鎖を、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させるステップを含む、項目46に記載の方法。
(項目49)
前記結合性部分がタンパク質を含む、項目46に記載の方法。
(項目50)
前記標的被検体が、ナノポア系において位置情報が検出されるように構成される、項目46に記載の方法。
(項目51)
前記標的被検体がナノポアを通って移動するときの該ナノポア全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記標的被検体が、流体チャネル系において位置情報が検出されるように構成される、項目46に記載の方法。
(項目54)
前記流体チャネルが、マイクロチャネルまたはナノチャネルを含む、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目53に記載の方法。
(項目56)
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
少なくとも1つの一本鎖フラップ領域が二本鎖DNA鋳型から伸長している該二本鎖DNA鋳型を含み、該一本鎖フラップ領域がその電気的検出を増強する結合性部分でコーティングされている標的被検体。
(項目58)
標的被検体を調製するための方法であって、
a.それぞれ5’末端と3’末端を有する第1のDNA鎖と第2のDNA鎖を有する二本鎖DNA鋳型を提供するステップと、
b.該鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させて、該第1のDNA鎖上の配列特異的な場所に複数のニックを形成するステップと、
c.各ニックにおいて開始し、該第1のDNA鎖の3’末端に向かって進行する第1の塩基伸長反応を、該第1のDNA鎖において、該第2のDNA鎖の対応する領域に沿って行い、それにより、該二本鎖DNA鋳型上に、該配列特異的なニッキング場所に隣接した一本鎖フラップ領域を形成するステップと、
d.少なくとも1つの一本鎖フラップ領域において第2の塩基伸長反応を行って、少なくとも1つの二本鎖フラップを形成するステップと、
e.該二本鎖フラップに一本鎖の伸長物を付加するステップと、
f.1種またはそれより多くのプローブを該一本鎖の伸長物とハイブリダイズさせ、それにより、該標的被検体を調製するステップと
を含む方法。
(項目59)
前記二本鎖フラップに付加される前記一本鎖の伸長物が一本鎖ポリT伸長物である、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記プローブがポリAオリゴマーを含む、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記二本鎖フラップに付加される前記一本鎖の伸長物が一本鎖ポリA伸長物である、項目58に記載の方法。
(項目62)
前記プローブがポリTオリゴマーを含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記プローブがタグ付けされている、項目58に記載の方法。
(項目64)
前記プローブが金粒子を用いてタグ付けされている、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記一本鎖の伸長物が、ターミナルトランスフェラーゼを使用して前記二本鎖フラップに付加される、項目58に記載の方法。
(項目66)
前記一本鎖の伸長物が少なくとも100塩基の長さである、項目58に記載の方法。
(項目67)
1つまたはそれより多くの二本鎖フラップ領域が二本鎖DNA鋳型から伸長している該二本鎖DNA鋳型を含み、少なくとも1つの二本鎖フラップ領域に一本鎖の伸長物が付加された標的被検体。
(項目68)
前記一本鎖の伸長物とハイブリダイズした少なくとも1つのプローブをさらに含む、項目67に記載の標的被検体。
(項目69)
前記一本鎖の伸長物が一本鎖ポリT伸長物を含む、項目67に記載の標的被検体。
(項目70)
前記一本鎖の伸長物が一本鎖ポリA伸長物を含む、項目67に記載の標的被検体。
(項目71)
前記プローブがポリAオリゴマーまたはポリTオリゴマーを含む、項目68に記載の標的被検体。
(項目72)
前記プローブがタグ付けされている、項目68に記載の標的被検体。
(項目73)
前記プローブが金粒子を用いてタグ付けされている、項目72に記載の標的被検体。
(項目74)
前記標的被検体が、ナノポア系において位置情報が検出されるように構成される、項目58に記載の方法。
(項目75)
前記標的被検体がナノポアを通って移動するときの該ナノポア全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記標的被検体が、流体チャネル系において位置情報が検出されるように構成される、項目58に記載の方法。
(項目78)
前記流体チャネルが、マイクロチャネルまたはナノチャネルを含む、項目77に記載の方法。
(項目79)
前記標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの該流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化をモニターするステップであって、該電気的性質の該変化が、該標的被検体の二本鎖領域および前記一本鎖フラップ領域を示すステップ、
をさらに含む、項目77に記載の方法。
(項目80)
前記標的被検体の二本鎖領域と一本鎖フラップ領域を、少なくとも一部は、検出された前記電気的性質の前記変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、前記二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングするステップ
をさらに含む、項目79に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、DNA分子の概略図である。
図2a図2aは、ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BbvCIの認識およびニッキング部位が示されているDNA分子の概略図である。
図2b図2bは、ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BbvCIと反応させた後のDNA分子の概略図である。
図3図3は、ニッキング部位で始まる塩基伸長反応の後の、ニックが入ったDNA分子の概略図である。
図4a図4aは、図3のDNA分子を、一本鎖DNAおよび二本鎖DNAに結合する結合性部分と接触させた後の該分子の概略図である。
図4b図4bは、図3のDNA分子を、一本鎖DNAに優先的に結合する結合性部分と接触させた後の該分子の概略図である。
図5a図5aは、ニッキングエンドヌクレアーゼの認識およびニッキング部位が示されているDNA分子の概略図である。
図5b図5bは、ニッキングエンドヌクレアーゼと反応させた後のDNA分子の概略図である。
図5c図5cは、フラップを形成するための第1の塩基伸長反応の後の、ニックが入ったDNA分子の概略図である。
図5d図5dは、オリゴヌクレオチドプローブをフラップとハイブリダイズさせた後のDNA分子の概略図である。
図5e図5eは、二本鎖フラップを形成するための第2の塩基伸長反応の後のDNA分子の概略図である。
図5f図5fは、二本鎖フラップを有するDNA分子の概略図である。
図6図6は、図5fのDNA分子を結合性部分と接触させた後の該分子の概略図である。
図7a図7aは、ニッキングエンドヌクレアーゼと反応させた後の、複数の接近した間隔にある(closely−spaced)認識およびニッキング部位を有するDNA分子の概略図である。
図7b図7bは、複数のフラップを形成するための第1の塩基伸長反応の後の、図7aのDNA分子の概略図である。
図7c図7cは、単一のフラップの分離(isolation)を示す、図7bのDNA分子の一部の概略図である。
図7d図7dは、フラップにプローブをハイブリダイズさせ、塩基伸長反応を用いてフラップを二本鎖DNAに変換した後の、図7cのDNA分子の部分の概略図である。
図7e図7eは、一本鎖の伸長物をフラップに付加した後の、図7dのDNA分子の部分の概略図である。
図7f図7fは、上記伸長物に相補的なオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせた後の、図7eのDNA分子の部分の概略図である。
図7g図7gは、上記伸長物に、タグ付けされた相補的なオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせた後の、図7eのDNA分子の部分の概略図である。
図8a図8aは、ナノポア装置内のフラップを有するDNA分子の概略図である。
図8b図8bは、フラップを有するDNA分子が図8aのナノポア装置を通って移動するときの電流測定波形の概略図である。
図9図9は、本発明の被検体をマッピングするために有用な流体チャネル装置の概略図であり、流体チャネルは、ナノチャネルまたはマイクロチャネルであってよい。
図10a図10aは、フラップを有するDNA分子が図9の装置内の検出ボリューム内に入るときの電位測定の概略図である。
図10b図10bは、DNA分子上のフラップが図9の装置内の検出ボリュームに入るときの電位測定の概略図である。
図10c図10cは、DNA分子上のフラップが図9の装置内の検出ボリュームから出るときの電位測定の概略図である。
図10d図10dは、フラップを有するDNA分子が図9の装置内の検出ボリュームから出るときの電位測定の概略図である。
図11図11は、複数の検出ボリュームを有するナノチャネル装置またはマイクロチャネル装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、以下の用語 は、文脈によりそうでないことが示される場合を除き、与えられた意味を有するものとする。
【0027】
「被検体」または「標的」とは、二本鎖DNA生体分子を意味する。
【0028】
「DNA鋳型」とは、追加の分子構造を合成するための型としての機能を果たすDNA分子を意味する。
【0029】
「結合性部分」とは、被検体にコーティングをもたらすことができるタンパク質などの実体を意味する。
【0030】
「エンドヌクレアーゼ」とは、ホスホジエステル結合をポリヌクレオチド鎖の末端で切断するエキソヌクレアーゼとは対照的に、ホスホジエステル結合をポリヌクレオチド鎖内で切断する酵素である。
【0031】
「制限エンドヌクレアーゼ」または「制限酵素」は、DNAを特定の部位で切断する。
【0032】
「ニッキングエンドヌクレアーゼ」または「ニッカーゼ」は、制限エンドヌクレアーゼの1つの形態である。制限エンドヌクレアーゼは、二本鎖DNA内の特異的なヌクレオチド配列を認識し、一般に、両方の鎖を切断する。しかし、いくつかの配列特異的なエンドヌクレアーゼは、鎖の一方のみを切断する。これらのエンドヌクレアーゼはニッキングエンドヌクレアーゼとして公知である。
【0033】
生体分子および生体分子/タンパク質複合体の、ナノポア配列決定系、ナノチャネル配列決定系またはマイクロチャネル配列決定系を通る移動は、生体分子がその系を通過していることを示す電気信号、ならびに生体分子上に形成された一本鎖フラップまたは二本鎖フラップがその系を通過していることを示す電気信号を検出することを含み得る。生体分子および/またはフラップは、タンパク質などの結合性部分でコーティングすることができる。移動の時間により、生体分子の長さが示され得る。検出ステップにより、コーティングされた領域は、コーティングされていない領域の信号の約10倍の信号を有し得るので、コーティングされた領域、コーティングされていない領域、または複合的にコーティングされた領域を識別することができる。信号対雑音比の増加により、生体分子上に形成されたフラップの検出の信頼度が増加し得る。標的生体分子上のフラップの位置情報を用いて、ニッキング部位を同定し、それにより、生体分子のマッピングを容易にすることができる。
【0034】
図1を参照すると、DNA分子10、例えば、二本鎖DNA鋳型が概略的に描かれている。分子10は、互いに逆平行関係で位置させている2本のDNA鎖、例えば、第1の鎖12と第2の鎖14を含む。この2本のDNA鎖は、上鎖(top strand)12、および下鎖(bottom strand)14とも称することができる。2本の向かい合う鎖12、14のそれぞれは、ヌクレオチド16の繰り返し群から逐次的に形成され得、各ヌクレオチド16は、リン酸基、2−デオキシリボース糖および4種の窒素を含有する塩基のうちの1つからなる。窒素を含有する塩基としては、シトシン(C)、アデニン(A)、グアニン(G)およびチミン(T)が挙げられる。各DNA鎖は5’末端と3’末端を有する。特に、DNA鎖12、14は、上部(5’または「5プライム(five prime)」末端と称される)から下部(3’または「3プライム(three prime)」末端と称される)への特定の方向で読み取られる。同様に、RNA分子はポリヌクレオチド鎖であり、これは、DNAのポリヌクレオチド鎖とは、デオキシリボースの代わりにリボース糖を有し、また、チミン塩基(T)の代わりにウラシル塩基(U)を有することで異なる。
【0035】
上記分子内の塩基は互いに同等の親和性を共有しない。チミン(T)塩基はアデニン(A)塩基との結合を好み、一方シトシン(C)塩基はグアニン(G)塩基との結合を好む。結合は、向かい合う塩基対の間に存在する水素結合に媒介される。例えば、塩基Aは、2つの水素結合を用いて塩基Tに結合し、一方、塩基Cは、3つの水素結合を用いて塩基Gに結合する。
【0036】
本発明の実施形態において有用なニッキングエンドヌクレアーゼとしては、単独で、または種々に組み合わせて使用されるNb.BbvCI、Nb.BsmI、NbBsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、およびNt.CviPIIが挙げられる。上記の通り、ニッカーゼは、認識部位において二本鎖DNAの一方の鎖のみを切断することを特徴とする配列特異的なエンドヌクレアーゼである。
【0037】
ニッカーゼNb.BbvCIは、Bacillus brevis由来のBbvCI制限遺伝子の変更された形態[Ra+:Rb(E177G)]を発現しているE.coli株に由来する。Nb.BbvCIは、以下の認識部位にニックを入れる(
【0038】
【化1】
はニッキング部位を示し、「N」はC、A、GまたはTのうちの任意の1つを示す):
【0039】
【化2】
ニッカーゼNb.BsmIはBacillus stearothermophilus NUB36由来のクローニングされたBsmI遺伝子を担持するE.coli株に由来する。Nb.BsmIは、以下の認識部位にニックを入れる:
【0040】
【化3】
ニッカーゼNb.BsrDIは、Bacillus stearothermophilus D70由来のBsrDI制限遺伝子の大サブユニットのみを発現しているE.coli株に由来する。Nb.BsrDIは、以下の認識部位にニックを入れる:
【0041】
【化4】
ニッカーゼNb.BtsIは、Bacillus thermoglucosidasius由来のBtsI制限遺伝子の大サブユニットのみを発現しているE.coli株に由来する。Nb.BtsIは、以下の認識部位にニックを入れる:
【0042】
【化5】
ニッカーゼNt.AlwIは、上鎖の認識配列の3’末端を越えた4つの塩基のところでの一本鎖切断を触媒するAlwIの、工学的に作製された誘導体である。Nt.AlwIは、AlwIのDNA認識ドメインおよびNt.BstNBIの切断/二量体形成ドメインをコードするキメラ遺伝子を含有するE.coli株に由来する。Nt.AlwIは、以下の認識部位にニックを入れる:
【0043】
【化6】
ニッカーゼNt.BbvCIは、Bacillus brevis由来のBbvCI制限遺伝子の変更された形態[Ra(K169E):Rb+]を発現しているE.coli株に由来する。Nt.BbvCIは、以下の認識部位にニックを入れる:
【0044】
【化7】
ニッカーゼNt.BsmAIは、Bacillus stearothermophilus A664由来のBsmAI制限遺伝子の変更された形態を発現しているE.coli株に由来する。Nt.BsmAIは、以下の認識部位にニックを入れる:
【0045】
【化8】
ニッカーゼNt.BspQIは、BspQI制限酵素由来の工学的に作製されたBspQI変異体を発現しているE.coli株に由来する。Nt.BspQIは、以下の認識部位にニックを入れる:
【0046】
【化9】
ニッカーゼNt.BstNBIは、認識配列の3’側を越えた4つの塩基のところでの一本鎖切断を触媒する。Nt.BstNBIは、Bacillus stereothermophilus 33M由来のクローニングされたNt.BstNBI遺伝子を担持するE.coli株に由来する。Nt.BstNBIは、以下の認識部位にニックを入れる:
【0047】
【化10】
ニッカーゼNt.CviPIIは、二本鎖DNA基質のDNAの一方の鎖を切断する。pUC19(プラスミドクローニングベクター)での最終産物は、25〜200塩基対のバンドのアレイである。CCTの切断はCCGおよびCCAの切断よりも効率的ではなく、CCT部位の一部は切断されないままである。Nt.CviPIIは、Mxe GyrAインテイン、キチン結合ドメインおよびクロレラウイルスNYs−1由来のNt.CviPIIニッキングエンドヌクレアーゼ遺伝子の切断形態の融合物を発現するE.coli株に由来する。Nt.CviPIIは、以下の認識部位にニックを入れる:
【0048】
【化11】
上記の制限エンドヌクレアーゼはそれぞれ、New England Biolabs of Ipswich、MAから入手可能である。
【0049】
本発明は、上記のニッキングエンドヌクレアーゼに限定されるものではなく、二本鎖DNA分子内にニックをもたらすことができる任意のエンドヌクレアーゼを本発明の方法に従って使用できることが予測されることが理解されるべきである。
【0050】
本発明の一実施形態が、図2a〜4aまたは図4bに示されている。図2aには、図1のDNA分子10が示されている。ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BbvCIの認識配列が枠に囲まれた領域18によって示され、そのニッキングエンドヌクレアーゼの特異的なニッキング部位20が識別される。二本鎖DNA鋳型をニッキングエンドヌクレアーゼと接触させる。図2bでは、ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BbvCIによりDNA分子の上鎖が切断され、上のDNA鎖12上の配列特異的なニッキング場所にニック20’が残されている。
【0051】
図3に示されているように、ニック部位(点で示されている)から始まる、例えば、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせを利用するプライマー伸長反応などの塩基伸長反応22を行う。塩基伸長反応は、上のDNA鎖において、下のDNA鎖の対応する領域に沿って(かつそれに準じて)行う。核酸鋳型と相補的な核酸を形成するそのような反応では、一本鎖DNA鋳型と相補的なプライマーが一般に使用される。プライマーから開始し、DNAポリメラーゼを使用して、プライマーの3’末端に鋳型と相補的なモノヌクレオチドを付加することができる。種々の塩基伸長反応は当業者には良く知られている。塩基伸長反応が上鎖の3’末端に向かって進行するにつれ、一本鎖DNAのフラップ24が元のDNA分子の上鎖から形成される。フラップ24は一本鎖であり、配列特異的なニッキング場所に隣接している。フラップ24が所望の長さに到達するまで塩基伸長反応を進行させ、それにより、二本鎖DNA分子とフラップとを含む標的被検体が形成される。フラップが存在することが、例えばHANS、または他のナノポアに基づく検出技法、ナノチャネルに基づく検出技法、またはマイクロチャネルに基づく検出技法による検出に役立つ。一実施形態では、フラップ24は少なくとも100塩基の長さであることが好ましいが、本発明は、そのように限定されることを意図するものではない。
【0052】
最後に、図4aおよび4bに示されているように、結合性部分を使用して、DNA分子またはその部分をコーティングすることができる。図4aでは、結合性部分30を使用してDNA分子の鎖12、14の両方ならびに一本鎖フラップ24がコーティングされている。あるいは、図4bに示されているように、一本鎖DNAに対する優先性を有する結合性部分30’を使用して、上記の方法によってDNA分子上に形成された一本鎖フラップのみをコーティングする。
【0053】
結合性部分30は、一本鎖DNAおよび/または二本鎖DNAに結合するタンパク質または他の組成物を含んでよい、または、それから本質的になってよい。一実施形態では、結合性部分はタンパク質RecAである。結合性部分により、二本鎖DNA鋳型およびフラップの、例えば、HANS、または他のナノポアに基づく検出技法、ナノチャネルに基づく検出技法、またはマイクロチャネルに基づく検出技法による電気的検出を増強することができる。
【0054】
E.coli由来のタンパク質RecAは、一般には、一本鎖DNAまたは二本鎖DNAに協同的な様式で結合して、タンパク質のコアおよび外側の鞘(sheath)にDNAを含有するフィラメントを形成する(McEntee, K.; Weinstock, G.M.; Lehman, I.R. Binding of the RecA Protein of Escherichia coli to Single− and Double−Stranded DNA. J. Biol. Chem. 1981年、256巻、8835頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。DNAの直径は約2nmであるが、RecAでコーティングされたDNAの直径は約10nmである。DNAの増大が持続する長さは約950nmであり、対照的に、一本鎖DNAでは0.75nmであり、二本鎖DNAでは50nmである。T4遺伝子32タンパク質は一本鎖DNAに協同的に結合することが公知である(Alberts, B.M.; Frey, L. T4 Bacteriophage Gene32:A Structural Protein in the Replication and Recombination of DNA. Nature、1970年、227巻、1313〜1318頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。E.coli一本鎖結合タンパク質は、塩濃度およびマグネシウム濃度に応じて、いくつかの形態で一本鎖DNAに結合する(Lohman, T.M.; Ferrari, M. E. Escherichia Coli Single−Stranded DNA−Binding Protein: Multiple DNA−Binding Modes and Cooperativities. Ann. Rev. Biochem. 1994年、63巻、527〜570頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。E.coli一本鎖結合タンパク質は、生体分子上に異なるコーティングを形成し得る。f1遺伝子Vタンパク質は一本鎖DNAをコーティングすることが公知であり(Terwilliger, T.C. Gene V Protein Dimerization and Cooperativity of Binding of poly(dA). Biochemistry 1996年、35巻、16652頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、ヒト複製タンパク質A(Kim, C; Snyder, R.O.; Wold, M.S. Binding properties of replication protein A from human and yeast cells. Mol. Cell Biol. 1992年、12巻、3050頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、Pf3一本鎖結合タンパク質(Powell, M.D.; Gray, D.M. Characterization of the Pf3 single−strand DNA binding protein by circular dichroism spectroscopy. Biochemistry 1993年、32巻、12538頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、およびアデノウイルスDNA結合タンパク質(Tucker, P.A.; Tsernoglou, D.; Tucker, A.D.; Coenjaerts, F.E.J.; Leenders, H.; Vliet, P.C. Crystal structure of the adenovirus DNA binding protein reveals a hook−on model for cooperative DNA binding. EMBO J. 1994年、13巻、2994頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)も同様である。次いで、二本鎖DNAに結合したRecAで実証されている通り、タンパク質でコーティングされたDNAを、ナノポアを通して移動させることができる(Smeets, R.M.M.; Kowalczyk, S.W.; Hall, A.R.; Dekker, N.H.; Dekker, C. Translocation of RecA−Coated Double−Stranded DNA through Solid−State Nanopores. Nano Lett. 2009年、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。タンパク質コーティングは、一本鎖DNA領域および二本鎖DNA領域に対して同じように機能する。
【0055】
本発明の別の実施形態では、図3に例示されている塩基伸長反応によって形成されたフラップは、一本鎖フラップから二本鎖フラップに変換することができる。この実施形態では、標的被検体を結合性部分と接触させる前に、一本鎖フラップを、少なくとも1つが、フラップの一部とハイブリダイズし、プライマーとしての機能を果たすことが予想されるオリゴマープローブの無作為の選択にさらす。そのようなハイブリダイゼーションの後、塩基伸長反応を行ってフラップを二本鎖にする。
【0056】
より詳細には、図5aに第1のDNA鎖12と第2のDNA鎖14を有する二本鎖DNA分子10が示されている。DNA分子10は、事前に選択したニッキングエンドヌクレアーゼのための、ニッキング部位20を同定する認識配列を有する。図5bに示されているように、ニッキングエンドヌクレアーゼにさらすと、DNA分子10上、すなわち、第1のDNA鎖上の配列特異的な場所にニック20’が形成される。公知の認識配列を有する所定のニッキングエンドヌクレアーゼを使用することにより、ニックの部位を同定することができれば、特異的な認識配列の場所を決定することができ、それにより、分子をマッピングすることが可能になる。
【0057】
ニック20’が形成された後、ニック部位(点で示されている)から始まる第1の塩基伸長反応22を行う。図5cには、塩基伸長反応が上鎖の3’末端に向かって進行するにつれ、一本鎖DNAのフラップ24が元のDNA分子の上鎖から形成される。フラップ24が所望の長さに到達するまで塩基伸長反応を進行させる。一実施形態では、フラップ24は少なくとも100塩基の長さであることが好ましいが、図3に関して考察されている通り、本発明は、そのように限定されることを意図するものではない。
【0058】
図5dでは、フラップ24をオリゴヌクレオチドプローブの無作為の選択にさらす。プローブの本質(identity)は既知である必要はなく、少なくとも1つのそのようなプローブ32がフラップ24の一部とハイブリダイズして、図5eに示されている第2の塩基伸長34を行うことができる部位を形成するプライマーとしての機能を果たすことが予想される。第2の塩基伸長は、フラップを、ポリメラーゼ、1つまたはそれより多くのヌクレオチド、リガーゼ、またはそれらの任意の組み合わせと接触させることによって実施することができる。その結果生じた、二本鎖フラップ24’を伴う二本鎖DNA塩基10を含む標的被検体50が図5fに示されている。
【0059】
図6では、結合性部分30を使用してDNA分子の鎖12、14の両方ならびに二本鎖フラップ24’がコーティングされている。前の実施形態の場合と同様に、結合性部分30は、一本鎖DNAおよび二本鎖DNAに結合するタンパク質または他の組成物、例えば、タンパク質RecA、T4遺伝子32タンパク質、f1遺伝子Vタンパク質、ヒト複製タンパク質A、Pf3一本鎖結合タンパク質、アデノウイルスDNA結合タンパク質、およびE.coli一本鎖結合タンパク質であってよい。結合性部分により、標的被検体の電気的検出が増強される。
【0060】
いくつかの場合には、認識部位とニッキング部位は互いに比較的接近した間隔にあってよい。これらの例では、上記の方法を用いることにより、小さな、容易に検出されにくいフラップがもたらされ得る。フラップはニック間の一本鎖で形成されるので、ニックが接近した間隔にある場合、フラップの長さは限定される。さらに、これらの例では、フラップをもたらす塩基伸長をあまり長く進行させると、一本鎖は被検体から完全に削除され、その結果、フラップ、したがってフラップによりもたらされるデータが失われる。この問題に対する解決が、図7a〜7gに示されている。
【0061】
図7aには、第1の鎖12と第2の鎖14を有するDNA分子10が示されている。鎖12は、接近した間隔にあるニック20’を生成するニッキングエンドヌクレアーゼと反応している。1つのフラップを形成する一本鎖DNAの短いセグメント12’がニック間に位置している。
【0062】
図7bでは、各ニックにおいて塩基伸長反応が行われてフラップ24が形成されている。ニック間の間隔が近いので、塩基伸長反応はセグメント12’が分子から完全に削除される前に終了することが好ましい。結果として、検出されにくい短いフラップが形成される。さらに、塩基伸長は、セグメント12’の単一の短いフラップだけ隔絶している(isolated)のではなく、分子全体に適用されるので、塩基伸長が早期に終結することにより、全てのフラップが小さく、容易に検出されにくいものになる。枠に囲まれた領域19は、図7c〜7gに示されている1つのフラップを含有する分子の部分を示すために使用される。
【0063】
図7cには、塩基伸長が終結した後の単一の短いフラップ24(枠19から切り離したもの)が示されている。
【0064】
図7dには、二本鎖フラップ24’が示されている。この二本鎖フラップは、図5eに示されている方法を用いて形成された。具体的に、一本鎖フラップはオリゴヌクレオチドプローブの無作為の選択にさらされ、そのようなプローブの1つがフラップとハイブリダイズし、プライマーとして働き、それにより第2の塩基伸長を行うことが可能になる。その結果、短い二本鎖フラップ24’が形成される。
【0065】
図7eには、フラップが伸長した後の図7dの分子が示されている。具体的には、二本鎖プローブを形成する塩基伸長反応の後に、分子をターミナルトランスフェラーゼと反応させて、二本鎖フラップを伸長させる。さらされた3’末端を有する鎖において伸長40が起こる。フラップ24’から任意の配列を伸長させることができるが、ポリA伸長物およびポリT伸長物を有する一塩基のポリマーとして伸長物を形成することが好ましい。図7eの実施形態ではポリT伸長物が示されているが、本発明はそのように限定されることを意図するものではない。伸長物の特異的な配列にかかわらず、伸長物は検出するために望ましい任意の長さであってよく、数百塩基の長さであることが好ましい。
【0066】
フラップ上に形成された伸長物の結果として、下記の方法を用いたフラップの検出は、そのような伸長物を欠く短いフラップと比較して増強される。フラップおよび分子検出のさらなる増強も想定される。例えば、図4aおよび4bにおいて概説されている方法を用いて分子を結合性部分と反応させることができる。あるいは、タグ付けされたプローブを、伸長物とハイブリダイズさせることができる。したがって、図7fに示されているように、伸長物の配列に特異性を有するオリゴヌクレオチドプローブを用いることができる。図7fでは、ポリT伸長物40が相補的なポリAオリゴヌクレオチドプローブ42とハイブリダイズしている。図7gに示されているように、これらのプローブ42により、リンカー46によってプローブ42とつながったタグ44がもたらされ得る。多種多様なタグの任意のものを用いることもができるが、好ましい一実施形態では、タグ44は金ビーズを含む。タグにより、元のニッキング部位のそれぞれにおいて形成されたフラップの検出が増強されることが意図されている。用いる増強方法にかかわらず、原理は同じである。すなわち、フラップを検出することにより、元のニッキング部位の相対的な位置を決定することが可能になる。ニックを形成するために使用される特定のニッキングエンドヌクレアーゼは公知であるので、ニッキング部位の本質および相対的な場所を決定することが可能である。
【0067】
本明細書に記載の標的被検体は、ナノポアおよび/または流体チャネル、すなわち、マイクロチャネル系またはナノチャネル系において位置情報が検出されるように構成することができる。標的被検体のマッピングは、ナノポア、ナノチャネルまたはマイクロチャネルを使用する電気的検出法を用いて、その教示が以前に参照により本明細書に組み込まれた2010年5月28日に出願された米国特許出願第12/789,817号に記載の方法を用いて行うことができる。そのような方法は、一本鎖フラップもしくは二本鎖フラップを有するコーティングされていない被検体、または一本鎖フラップもしくは二本鎖フラップを有し、塩基分子と一本鎖フラップもしくは二本鎖フラップのどちらか、または両方が結合性部分でコーティングされている被検体に適用することができることが意図される。
【0068】
一実施形態では、図8aに示されているように、DNA鎖がナノポアを通って移動する間にナノポア全体にわたる電流を測定する。本発明の実施形態において用いる場合、ナノポアの直径は、約1nm〜約1μmの範囲から選択することができる。ナノポアの直径は約2.3nmから約100nmの間であることがより好ましい。ナノポアの直径は約2.3nmから約50nmの間であることがなおより好ましい。標的被検体がナノポアを通って移動するときにナノポア全体にわたる電気的性質の変化をモニターすることができ、その電気的性質の変化により、標的被検体の二本鎖領域、および一本鎖フラップ領域または二本鎖フラップ領域が示される。
【0069】
具体的には、ナノポア100に対して、電極120、122によって生じる測定可能な電流が、標的被検体50、すなわち、フラップ24を有するDNA分子の動きと平行110に流れる。電流の変動は、標的被検体50がナノポア100を通過するときの該標的被検体50の相対的な直径の結果である。標的被検体50がナノポア100を通過するこの相対的な体積の増加により、ナノポアを通って流れる電流の流れの一過性の中断または減少が引き起こされ、その結果、測定可能な電流の変動が生じる。フラップ24を含む標的被検体50の部分はフラップを含まない標的被検体の部分よりも直径が大きい。その結果、フラップ24がナノポア100を通過すると、電極120と122の間の電流の流れのさらなる中断または減少が起こる。これらの電流の流れの変化が、図8bにおいて波形200で示されている。
【0070】
波形200を解析することにより、標的被検体の二本鎖領域とフラップ領域を、少なくとも一部は、検出された電気的性質の変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングすることが可能になる。図8bにおいて、波形200は、標的被検体がナノポアを通過するときの検出された電気的性質の変化を示し、以下の通り解釈することができる。電流測定値210は、フラップが形成されたDNA分子10、すなわち、標的被検体が、ナノポア100をシス側からトランス側に通過する前に測定された電流を表す。標的被検体がナノポアのシス側からナノポア100に入ると、電流は部分的に妨害され、記録された電流に第1のトラフ220が形成される。標的被検体のフラップ24がナノポア100に入ると、電流のさらなる減少が起こり、それにより、電流測定値に、より深い第2のトラフ230が引き起こされる。フラップ24がナノポア100を完全に通過した際、標的被検体の遠位部分がナノポア内に残っている可能性がある。これにより、測定された電流240がおよそ第1のトラフ220のレベルまで上昇する。最後に、標的被検体全体が完全にナノポア100のトランス側へ通過すると、測定された電流250は最初のレベル210に近いレベルに戻る。電流変動の測定値は時間の関数として記録される。結果として、定期的な電流の変動により、相対的位置または絶対的位置の関数として、標的被検体10上のどこにフラップ24が形成されるかが示される。フラップは、フラップ形成に使用される特異的なニッキングエンドヌクレアーゼの認識部位に形成されるので、使用される特定のニッキングエンドヌクレアーゼの認識部位に関連する特異的な配列の相対的位置または絶対的位置を決定することができる。これにより、標的被検体上のこれらの特異的な配列をマッピングすることが可能になる。複数のニッキングエンドヌクレアーゼを使用して複数のマップを作成することができる。
【0071】
タンパク質RecAなどの結合性部分を使用することにより、結合性部分でのコーティングに付加されたかさにより電流偏向が大きくなるので、標的被検体および標的被検体上のフラップ領域の検出がさらに増強され得る。
【0072】
別の実施形態では、図9〜11に示されている通り、DNA鎖がナノチャネルまたはマイクロチャネルを通って移動する間の電位または電流などの電気的性質を測定する。図9には流体チャネル装置の一実施形態が概略的に示されている。図9では、装置300は、流体マイクロチャネルまたは流体ナノチャネル302を含む。流体チャネルは、約1μm〜約25μmの範囲から選択される幅を有するマイクロチャネルまたは約10nm〜約1μmの範囲から選択される幅を有するナノチャネルであってよい。マイクロチャネルの場合では、深さは、約200nm〜約5μmの範囲から選択することができ、ナノチャネルの場合では、深さは、約10nm〜約1μmの範囲から選択することができる。いずれの場合も、チャネルの長さは、約1μm〜約10cmの範囲から選択することができる。
【0073】
第1の起電電極の対304、304’は電源306に接続されており、チャネル内で間隔をあけた関係で位置している。起電電極に電位を加えると、これらの電極により、チャネルを横切って電流がもたらされ、これを用いて、チャネル内の標的被検体50に駆動力308をもたらすこと、またはそれを増強することができる。他の駆動力、例えば、圧力または化学的勾配も意図されている。第2の電極対312、312’、すなわち、検出電極は、検出ボリューム314を画定するために間隔をあけた関係でチャネルに対して実質的に垂直に位置させることが好ましい。第2の検出電極の対312、312’は、電圧計などの検出器316に接続されており、これにより検出ボリューム314における電気的性質をモニターする。検出器316が電圧計である実施形態では、検出電極の対312、312’間の電位を検出ボリューム314全体にわたって測定する。
【0074】
このデバイスの動作については図10a〜10dに概略的に描かれており、標的被検体が流体チャネルを通って移動するときの流体チャネル全体にわたる電気的性質の変化がモニターされ、その電気的性質の変化により、標的被検体の二本鎖領域、およびフラップ領域が示される。図10a〜10dでは、明瞭にするために、第1の起電電極の対304、304’および電流源306は省略されている。図10aでは、流体チャネル302は、それを通って進む標的被検体50を含有する。電気的性質、この場合は電位を、検出電極312、312’および検出器316により、検出ボリューム314全体にわたって測定し、記録する。標的被検体50は、上記の方法を用いてその上にフラップ24が形成されたDNA断片である。検出を増強するために、DNA断片および/またはフラップをタンパク質RecAなどの結合性部分でコーティングすることができる。
【0075】
標的被検体50が検出ボリューム314に入る前に、検出ボリューム全体にわたる実質的に一定の電圧322を測定する。この電圧は図10aの波形320に示されている。標的被検体50が検出ボリューム314に入ると、それにより、検出ボリュームにおいて測定される電気的性質の中断または減少が引き起こされる。この中断または減少により、波形320に示される第1のトラフ324が引き起こされる。
【0076】
図10bには、フラップ311を含む標的被検体50の部分が検出ボリューム314に入ったときのデバイスおよび波形320が示されている。フラップ311が検出ボリューム314に入ることにより、検出ボリュームにおいて測定される電気的性質のさらなる中断または減少が引き起こされる。このさらなる中断または減少により、波形320に示される第2のトラフ326が引き起こされる。
【0077】
図10cでは、フラップ311を含有する標的被検体50の部分は検出ボリューム314を出ているが、標的被検体50の遠位の部分はまだ検出ボリューム内に存在する可能性がある。その結果、波形320は、上記被検体の最初の部分が最初に検出ボリュームに入った際に検出されたレベルに近いレベル328まで戻る。
【0078】
最後に、図10dに示されているように、標的被検体50は検出ボリューム314から完全に出る。その結果、波形320は、上記被検体が最初に検出ボリュームに入る前に検出されたレベルに近いレベル330まで戻る。波形320を分析することにより、標的被検体の二本鎖DNAとフラップ領域を、少なくとも一部は、検出された電気的性質の変化に基づいて区別し、それにより、ニックの場所を決定し、二本鎖DNA鋳型の少なくとも一部分をマッピングすることが可能になる。
【0079】
流体チャネル装置の別の実施形態が図11に示されている。図11では、装置400は、流体マイクロチャネルまたは流体ナノチャネル402を含む。前述した通り、流体チャネルは、約1μm〜約25μmの範囲から選択される幅を有するマイクロチャネルまたは約10nm〜約1μmの範囲から選択される幅を有するナノチャネルであってよい。マイクロチャネルの場合では、深さは、約200nm〜約5μmの範囲から選択することができ、ナノチャネルの場合では、深さは、約10nm〜約1μmの範囲から選択することができる。いずれの場合も、チャネルの長さは約1μm〜約10cmの範囲から選択することができる。
【0080】
第1の起電電極の対404、404’は電源406に接続されており、チャネル内に間隔をあけた関係で位置させている。起電電極に電位を加えると、これらの電極により、チャネルを横切って電流がもたらされ、これを用いて、チャネル内の被検体410に駆動力408をもたらすこと、またはそれを増強することができる。他の駆動力、例えば、圧力または化学的勾配も意図されている。多数の検出電極412、414、416、418は、隣接する検出電極間の複数の検出ボリュームを画定するために、間隔をあけた関係でチャネルに対して垂直に位置させることが好ましい。したがって、図11において見られるように、検出電極412および414により検出ボリューム420が画定され、検出電極414および416により検出ボリューム422が画定され、検出電極416および418により検出ボリューム424が画定される。検出電極は、それぞれ電圧計などの検出器426、428、430に接続されており、これにより、各検出ボリュームにおける電気的性質をモニターする。検出器が電圧計である実施形態では、各検出ボリューム全体にわたって電位の降下を測定する。この装置の動作は、追加の検出ボリュームが存在することにより追加の波形が生成されることを除いて図10の系の動作と同様である。追加の波形を組み合わせて、デバイスにより生成されるデータの質をさらに改善することができる。
【0081】
検出電極および検出ボリュームの数は、図11に示されている数に限定されることが意図されるものではないことが理解されるべきである。そうではなく、流体チャネルの長さに沿った任意の数の検出ボリュームを含めることができる。さらに、検出電極および検出ボリュームは一様の間隔で配置する必要はなく、一様のサイズである必要はなく、または、互いに直接隣接する必要はない。種々の検出ボリュームサイズ、間隔および立体配置が意図されている。
【0082】
ナノポア装置および流体チャネル装置のどちらによっても、被検体を検出すること、ならびにその被検体上に形成されたフラップを検出することが可能になる。さらに、フラップの相対的な位置情報または絶対的な位置情報を得ることができる。ゆえに、特異的な認識配列が既知である公知のニッキングエンドヌクレアーゼを使用すると、フラップの場所を決定することにより既知の認識配列の場所を決定することが可能になる。これにより、今度は、生体分子をマッピングすることが可能になる。異なるニッキングエンドヌクレアーゼを繰り返し使用することにより、さらなる複雑性、すなわち、多数の認識配列を組み合わせてマッピングすることが可能になる。
【0083】
等価物
示された例のいくつかには、単一のニックが形成され、その後、単一のフラップが形成されたDNA鋳型が示されている。本発明の実施形態は、そのように限定されることを意図するものではなく、ニッキングエンドヌクレアーゼにより、第1のDNA鎖上の配列特異的な場所に複数のニックを形成することができることが意図される。
【0084】
本明細書において列挙されている全てのパラメータは例示的なものであり、実際のパラメータは、本発明の実施形態の方法および材料が用いられる特定の適用に左右されることを意味することは、当業者には容易に理解されよう。したがって、前述の実施形態は単に例として示されていること、および添付の特許請求の範囲およびそれに対する等価物の範囲内で、具体的に記載されているものとは別のやり方で本発明を実施することができることが理解されるべきである。したがって、多数の変形および改変が当業者に明らかになるであろう。そのような変形および改変は全て、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲内であることが意図されている。
図1
図2a-2b】
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図11
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]