【文献】
Synthesis and Reactivity in Inorganic and Metal-Organic Chemistry,1993年,23(9),1571-1584
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
神経保護用の抗酸化化合物は、次の一般化学式を有するか、又はそれらの薬学的に許容される塩であり、
【化3】
ここで、R
1は、CH
2又はC
2H
4であり、R
2は、H又は−OR
4であり、R
4は、H、カルボニルアルキル又はカルボニルアリールであり、R
3a及びR
3bは、独立してH及び−O−アルキルからなる群から選択される。R
2がヒドロキシル基(OH)である場合、化合物は多機能活性を示す。すなわち、化合物は、独立して金属(Fe、Cu又はZnなど)をキレートし、かつ種々の発生源から生成された遊離基を捕捉するそれらの能力によって、神経保護活性を示す。多機能抗酸化物質の単機能類似体は、R
2が水素である場合、ROS形成の一因となり得るFe、Cu又はZnなどの金属をキレートすることのみによって、神経保護の抗酸化活性を示す。
【0027】
第一のグループの構造的な類似体である構造的に類似な神経保護用の抗酸化化合物の更なる類は、次の化学式を有するか、又はそれらの薬学的に許容される塩であり、
【化4】
ここで、R
1は、CH
2又はC
2H
4であり、R
2は、H又は−OR
4であり、R
4は、H、カルボニルアルキル又はカルボニルアリールであり、R
3a及びR
3bは、独立してH及び−O−アルキルからなる群から選択される。−OR
4を備えたこれらの化合物は、遊離基を捕捉するのに効果的であり、更に活性酸素種(ROS)によって少なくとも部分的に組織損傷を媒介する神経疾患の治療のために使用されることができる。
【0028】
本明細書で用いられる用語「アルキル」は、直鎖において約1〜10の炭素、好ましくは1〜8の炭素、更に好ましくは1〜4の炭素(低級アルキル)を含有する直鎖、分枝鎖、及び環状鎖(下記のシクロアルキル参照)の炭化水素を含む。アルキルは、ヒドロカルビルとして言及されることができる。安定したアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4ジメチルフェニル、オクチル、2,2,4トリメチルペンチル、ノニル、デシル、それらの様々な分枝鎖の異性体などを含む。それぞれのアルキル基は、例えばハロ(F、Cl、Br、Iなど)、ハロアルキル(CCl
3若しくはCF
3)、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、シクロアルキル、アルキルアミノ、アルカノイルアミノ、オキソ、アシル、アリールカルボニルアミノ、アミノ(−NH2)、置換アミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ(−COOH)、カルボニル(−C(=O))、エポキシ、尿素(−NHCONH
2)、チオール(−SH)、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル(−−−C(=O)−OR)、アルキルカルボニルオキシ(−−−OC(=O)−R)、カルバモイル(NH2C(=O)−若しくはNHRC(=O)−)、及び/又はアルキル尿素(−NHCONHR)などの1〜4の置換基で任意に置換されてもよい。ここで前記置換基のRは、アルキルラジカルを示す。アルキル基は、1つ以上の炭素炭素二重結合を任意で含んでもよい(すなわち、アルキル基は不飽和のことがある)。アルキルは、炭化水素鎖内に少なくとも1つの(例えば1〜約4の)硫黄、酸素、窒素のヘテロ原子を含んでもよい。例えば、アルキルは−OR、−SR、又は−NHRであることができ、ここでRは炭化水素鎖である。
【0029】
本明細書で用いられる用語「シクロアルキル」は、1〜3の環を含有する飽和又は不飽和の環状炭化水素基、つまり単環式アルキル、二環式アルキル及び三環式アルキルを含む。シクロアルキル基は、環を形成する合計3〜20の炭素、好ましくは環を形成する合計3〜10の炭素を含有することができ、そして以下で「アリール」について記載されるように、任意で1又は2の芳香環に縮合されることができる。不飽和シクロアルキル基は、1つ以上の二重結合又は三重結合を含むことができる。シクロアルキル基は、限定ではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル及びシクロドデシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロヘキサジエニル、並びにシクロヘプタジエニルを含む。それぞれのシクロアルキル基は、任意でハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、シクロアルキル、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、オキソ、アシル、アリールカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、ニトロ、シアノ、チオール及び/又はアルキルチオなどの置換基で置換されてもよい。
【0030】
本明細書で用いられる用語「アリール」は、環部に6〜10の炭素を含有する単環式及び二環式の芳香族基を指す。アリール基の例は、限定ではないが、フェニル若しくは1−ナフチル及び2−ナフチルなどのナフチル、又はインデニルを含む。アリール基は、シクロアルキル環又は複素環に縮合される1〜3の更なる環を任意で含んでもよい。アリール基は、利用可能な炭素原子を介して、水素、ハロ、アルキル、ポリハロアルキル、アルコキシ、アルケニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキニル、アリール、ヘテロシクロ、アラルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アラルコキシ、アリールチオ、アリールアゾ、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、スルホニルアニオン、アミノ、又は置換アミノから選択される1つ、2つ、又は3つの基で任意で置換されてもよい。
【0031】
用語「ハロゲン」、「ハロ」、及び「ハロゲン化物」は、塩素、臭素、フッ素又はヨウ素を指す。
【0032】
本明細書で用いられる用語「多機能」は、化合物がFe、Cu又はZnなどの金属をキレートすること及び遊離基を捕捉することの両方をすることができ、それによって金属との反応によって生成し得る活性酸素種(ROS)の形成を防ぐこと又は抑制することを助け、そして更に遊離基を捕捉し、それによって直接的にROSをより害が少ない形態に変えることを意味する。
【0033】
代表的な神経保護用の多機能抗酸化物質及びそれらの単機能類似体は、
図1A〜1Hに示される化合物K−1〜HK−8である。化合物K−1〜HK−8は、
図2の反応スキームに示されるように、市販の無水コハク酸17又はグルタル酸無水物18と結合し、その後に水素化することによって、アミノピリミジン19、20、21、22から合成されることができる。アミノピリミジン19、20(
図3)は、以前にKador, Pら,Multifunctional Antioxidants and Methods of Use Thereof, U.P. Office, Editor 2012, Board of Regents of the University of Nebraska: USA, p. 33に記載されたようにして得られた。
【0034】
化合物21(
図3)は市販されている。化合物22は、
図4の反応スキームに示されるように、市販の2−クロロ−4,6−ジメトキシピリミジンをその2−塩素原子をベンジルアミンと求核置換し、その後に水素化することによって得ることができる。
【0035】
以下の実施例は、神経保護用の多機能及び単機能抗酸化物質の調製を説明する。
【実施例1】
【0036】
N−ベンジル−4,6−ジメトキシピリミジン−2−アミン(化合物28)
ジオキサン(1.0L)中の2−クロロ−4,6−ジメトキシピリミジン(27)(50.0g、0.29mol)、BnNH
2(93.3mL、0.85mol)及びK
2CO
3(2.5g、0.45mol)の混合物を、4日間還流させた。反応物を濾過し、濾液を真空下で濃縮して黄色油を得た。それを20:1〜10:1のヘキサン:EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーの後に、61.7g(87%)の白色固体28を得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 7.36-7.27 (m, 5H), 5.42 (s, 1H), 5.25 (s, 1H), 4.61 (d, J=5.86Hz, 2H), 3.83 (s, 6H)。
【実施例2】
【0037】
2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン(化合物22)
5.4gの20%Pd(OH
2)触媒の存在下で、400mLのMeOH中の化合物28(27.0g、0.11mol)を、室温で2日間水素化した。濾過及び溶媒蒸発後に、白色固体を得た。それを50:1のCHCl
3:MeOHを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーの後に、16.8g、*98%)の22を得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 5.47 (s, 1H, 4.90 (s, 2H), 3.84 (s. 6H)。
【実施例3】
【0038】
HK−1、HK−3、HK−5、及びHK−7の合成
下記は、1−(2−ピリミジル)ピロリジン−2,5−ジオン(HK−1)、1−(4,6−ジメトキシ−2−ピリミジル)ピロリジン−2,5−ジオン(HK−3)、1−(2−ピリミジル)ピペリジン−2,6−ジオン(HK−5)、1−(4,6−ジメトキシ−2−ピリミジル)ピペリジン−2,6−ジオン(HK−7)、1−(5−ベンジルオキシ−2−ピリミジル)ピロリジン−2,5−ジオン(化合物23)、1−(5−ベンジルオキシ−2−ピリミジル)ピペリジン−2,6−ジオン (化合物24)、1−(4,6−ジメトキシ−5−ベンジルオキシ−2−ピリミジル)ピロリジン−2,5−ジオン(化合物25)、及び1−(4,6−ジメトキシ−5−ベンジルオキシ−2−ピリミジル)ピペリジン−2,6−ジオン(化合物26)の一般的合成を記載する。
【0039】
図3を参照すると、300mLのトルエンに溶解された42.0g(0.42mol)の無水コハク酸(17)に、200mLのアセトンに溶解された20g(0.21mol)の2−アミノピリミジン(21)を加え、混合物を3日間85℃に加熱した。室温に冷却後、生成物は沈殿し、生成物を濾過してトルエンで洗浄した。濾液を真空下で乾燥させ、次に乾燥生成物を300mLの無水Ac
2Oに溶解し、再び3日間85℃に加熱した。真空下で残ったAc
2Oを除去した後、CHCl
3を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって生成物を精製し、EtOAcから再結晶化して、白色固体としてHK−1を得た。融点148.5〜149.5℃、収率32%。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.92 (d, J=4.88Hz, 2H), 7.42 (t, J=4.88Hz, 1H), 2.96 (s, 4H); Anal. Calcd for C
8H
7N
3O
2: C, 54.24; H, 3.98; N, 23.72。Found: C, 54.29; H, 4.19: N, 23.90。
【0040】
化合物21の代わりに化合物22を用いて、白色固体としてHK−3を得た。融点166.9〜168.7℃、収率60%。
1H NMR (CDCl
3) δ 6.09 (s, 1H), 3.94 (s, 6H), 2.92 (s, 4H): Anal. Calcd for C
10H
11N
3O
4: C, 50.63; H, 4.67; N, 17.71。Found: C, 50.78; H, 4.80; N, 17.80。
【0041】
HK−1についてのスキームにおいて化合物17の代わりに化合物18を用いて、白色固体としてHK−5を得た。融点220.8〜221.3℃、収率51%。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.88 (d, J=4.88Hz, 2H), 7.40 (t, J=4.88Hz, 1H), 2.83 (t, J=4.59Hz, 4H), 2.18-2.15 (m, 2H); Anal. Calcd for C
9H
9N
3O
2; C, 56.54; H, 4.74; N, 21.98。Found: C, 56.77; H, 4.85; N, 21.70。
【0042】
HK−1についてのスキームにおいて化合物17の代わりに化合物18を用い、かつ化合物21の代わりに化合物22を用いて、白色固体としてHK−7を得た。融点229.2〜232.4℃、収率63%。
1H NMR (CDCl
3) δ 6.06 (s, 1H), 3.92 (s, 6H), 2.79 (t, J=6.59Hz, 4H), 2.15-2.12 (m, 2H): Anal. Calcd for C
11H
13N
3O
4: C, 52.59; H, 5.22; N, 16.73。Found: C, 52.60; H, 5.40; N, 16.63。
【0043】
図3に示される化合物17の化合物19との反応によって、化合物23を、溶離液として100:1のCHCl
3:MeOHを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体として収率86%で得た。
1H NMR (CDCl
3) δ8.57 (s, 2H), 7.44-7.43 (m, 5H), 5.21 (s, 2H), 2.93 (s, 4H)。
【0044】
図3に示される化合物18の化合物19との反応によって、化合物24を、溶離液として100:1のCHCl
3:MeOHを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体として収率70%で得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.54 (s, 2H), 7.44-7.39 (m, 5H), 5.19 (s, 2H), 2.81 (t, J=6.59Hz, 4H), 2.17-2.13 (m, 2H)。
【0045】
図3に示される化合物17の化合物20との反応によって、化合物25を、溶離液として100:1のCHCl
3:MeOHを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体として収率73%で得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 7.44-7.31 (m, 5H), 5.07 (s, 2H), 3.96 (s, 6H), 2.28 (s, 4H)。
【0046】
図3に示される化合物18の化合物20との反応によって、化合物26を、溶離液として100:1のCHCl
3:MeOHを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体として収率63%で得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 7.47-7.35 (m, 5H), 5.03 (s, 2H), 3.96 (s, 6H), 2.80 (t, J=6.59Hz, 4H), 2.15-2.13 (m, 2H)。
【実施例4】
【0047】
HK−2、HK−4、HK−6、及びHK−8の合成
下記は、1−(5−ヒドロキシ−2−ピリミジル)ピロリジン−2,5−ジオン(HK−2)、1−(4,6−ジメトキシ−5−ヒドロキシ−2−ピリミジル)ピロリジン−2,5−ジオン(HK−4)、1−(5−ヒドロキシ−2−ピリミジル)ピペリジン−2,6−ジオン(HK−6)、及び1−(4,6−ジメトキシ−5−ヒドロキシ−2−ピリミジル)ピペリジン−2,6−ジオン(HK−8)の一般的合成を記載する。
【0048】
図3の反応スキームを参照すると、750mLのアセトンに溶解された化合物23(14.7g、51.9mmol)を、3.7gの10%Pd/C触媒により、室温で12時間に亘って水素化した。濾過及び溶媒蒸発の後、HK−2を白色の綿毛状の固体として得た。i−PrOHでの再晶化の後に、10gのHK−2を得た。融点278.0〜280.0℃、収率76%。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 11.02 (s, 1H), 8.46 (s, 2H), 2.85 (s, 4H): Anal. Calcd for C
8H
7N
3O
3; C, 49.74; H, 3.65; N, 21.75。Found. C, 50.00; H, 3.69; M. 21.54。
【0049】
HK−1の合成において化合物23の代わりに化合物25を用いて、Et
2Oからの再晶化の後に白色固体としてHK−4を得た。融点193.7〜195.0℃、収率91%。
1H NMR (CDCl
3) δ 5.15 (s, 1H), 4.03 (s,6H), 2.91 (s, 4H); Anal. Calcd for C
10H
11N
3O
5: C, 47.43; H, 4.38; N, 16.59。Found: C, 47.53; H, 4.48; N, 16.58。
【0050】
HK−1の合成において化合物23の代わりに化合物24を用いて、アセトンからの再晶化の後に白色固体としてHK−6を得た。融点243.5〜244.3℃、収率89%。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 10.85 (s, 1H), 8.39 (s, 2H), 2.75 (t, J=6.35Hz, 4H), 1.99-1.96 (m, 2H); Anal. Calcd for C
9H
9N
3O
3; C, 52.17; H, 4.38; N, 20.28 Found C, 52.14; H, 4.52; N, 20.04。
【0051】
HK−1の合成において化合物23の代わりに化合物26を用いて、Et
2Oからの再晶化の後に白色固体としてHK−8を得た。融点222.0〜224.0℃、収率86%。
1H NMR (CDCl
3) δ 6.06(s, 1H), 3.92 (s, 6H), 2.80 (t, J=6.59Hz, 4H), 2.15-2.13 (m, 2H); Anal. Calcd for C
11H
13N
3O
5; C, 49.44; H, 4.90; N 15.72。Found: C, 49.52; H, 4.99; N, 15.65。
【実施例5】
【0052】
HK−9、HK−11、HK−13、及びHK−15の合成
下記は、2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン(HK−9)、4,6−ジメトキシ−2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン(HK−11)、2−(ピペリジン−1−イル)ピリミジン(HK−13)、4,6−ジメトキシ−2−(ピペリジン−1−イル)ピリミジン(HK−15)、5−ベンジルオキシ−2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン(化合物35)、5−ベンジルオキシ−2−(ピペリジン−1−イル)ピリミジン(化合物36)、5−ベンジルオキシ−4,6−ジメトキシ−2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン(化合物37)、及び5−ベンジルオキシ−4,6−ジメトキシ−2−(ピペリジン−1−イル)ピリミジン(化合物38)の一般的合成を記載する。
【0053】
図5の反応スキームを参照すると、400mLの無水THFに溶解された9.53mL(116mmol)のピロリジン(29)に、2.78gの水素化ナトリウム(116mmol)を添加し、混合物を0.5時間還流させた。室温に冷却後、12g(105mmol)の2−クロロピリミジン(33)を滴下し、混合物を2日間還流させ、そして氷浴中で冷却した。次に冷却された反応混合物に水(200mL)を添加し、真空下でTHFを除去した。水性残渣をCHCl
3で抽出し、混合したCHCl
3抽出物を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして濾過した。真空下での溶媒の除去後に、溶離液として20:1のヘキサン:EtOAcを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製した。その次に生成物をジエチルエーテル(Et
2O)から再結晶化して、黄色固体として12.0g(76%)のHK−9を得た。融点39.0〜39.6℃。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.31 (d, J=4.88Hz, 2H), 6.45 (t, J=4.88Hz, 1H), 3.57 (t, J=4.4Hz, 4H), 2.01-1.98 (m, 4H). Anal. Calcd for C
8H
11N
3: C, 64.40; H, 7.43; N, 28.16。Found: C, 64.42; H, 7.53; N, 27.97。
【0054】
HK−9の合成において化合物33の代わりに化合物34を用いて、Et
2Oからの再晶化の後に白色固体としてHK−11を得た。融点63.3〜63.7℃、収率71%。
1H NMR (CDCl
3) δ 5.34 (s, 1H), 3.87 (s, 6H), 3.56 (t, J=6.59Hz, 4H), 1.93-1.96 (m, 4H); Anal. Calcd for C
10H
15N
3O
2: C, 57.40; H, 7.23; N, 20.08。Found: C, 57.20; H, 7.03; N, 19.91。
【0055】
HK−9の合成において化合物29の代わりに化合物30を用いて、0.25mmHg下における90℃での真空蒸留後に、無色油としてHK−13を収率90%で得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.22 (d, J=4.64Hz, 2H), 6.35 (t, J=4.64Hz, 1H), 3.71 (t, J=5.37Hz, 4H), 1.64-1.58 (m, 2H), 1.56-1.51 (m, 4H); Anal. Calcd for C
9H
13N
3: C, 66.23; H, 8.03; N, 25.74。Found: C, 66.49; H, 7.95; N, 25.81。
【0056】
HK−9の合成において化合物29の代わりに化合物30を用い、かつ化合物33の代わりに化合物34を用いて、白色固体としてHK−15を得た。融点59.8〜60.4℃、収率74%。
1H NMR (CDCl
3) δ 5.25 (s, 1H), 3.77 (s, 6H), 3.68 (t, J=5.49Hz, 4H), 1.60-1.55 (m, 2H), 1.52-1.48 (m, 4H); Anal. Calcd for C
11H
17N
3O
2: C, 59.17; H, 7.67; N, 18.82。Found: C, 58.94; H, 7.49; N, 18.56。
【0057】
図5に示される化合物29の化合物31との反応によって、化合物35を収率86%で得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.06 (s, 2H), 7.34-7.25 (m, 5H), 4.93 (s, 2H), 3.45 (t, J=6.59Hz, 4H), 1.58-1.52 (m, 6H)。
【0058】
図5に示される化合物30の化合物31との反応によって、化合物36を収率75%で得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.04 (s, 2H), 7.33-7.25 (m, 5H), 4.94 (s, 2H), 3.63 (t, J=4.88Hz, 4H), 1.93-1.90 (m, 4H)。
【0059】
図5に示される化合物29の化合物32との反応によって、化合物37を収率80%で得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 7.47-7.32 (m, 5H), 4.84 (s, 2H), 3.90 (s, 6H), 3.51 (t, J=6.59Hz, 4H), 1.95-1.92 (m, 4H)
【0060】
図5に示される化合物30の化合物32との反応によって、化合物38を収率75%で得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 7.46-7.27 (m, 5H), 4.85 (s, 2H), 3.89 (s, 6H), 3.69 (t, J=5.49Hz, 4H), 1.66-1.57 (m, 6H)。
【実施例6】
【0061】
HK−10、HK−12、HK−14、及びHK−16の合成
下記は、5−ヒドロキシ−2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン(HK−10)、5−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−2−(ピロリジン−1−イル)ピリミジン(HK−12)、5−ヒドロキシ−2−(ピペリジン−1−イル)ピリミジン(HK−14)、及び5−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−2−(ピペリジン−1−イル)ピリミジン(HK−16)の調製の一般的手順を記載する。
【0062】
図5の反応スキームを参照すると、350mLのアセトンに溶解された化合物38(17.6g、53.4mmol)を、室温で12時間に亘って4.4gの10%Pd/C触媒で水素化することによって、濾過及び溶媒蒸発の後に、淡い赤色固体としてHK−16を得た。Et
2Oから再結晶化して、12.7g(80%)のHK−16を得た。融点120.1〜120.5℃。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.63 (brs, 1H), 3.81 (s, 6H), 3.59 (t, J=5.25Hz, 4H), 1.60-1.56 (m, 2H), 1.52-1.47 (m, 4H); Anal. Calcd for C
11H
17N
3O
3: C, 55.22; H, 7.16; N, 17.56。Found: C, 55.15; H, 7.21; N, 17.48。
【0063】
図5に示されるように、化合物38の代わりに化合物37を用いて、Et
2Oからの再晶化の後に黄色固体としてHK−12を得た。融点108.7〜109.2℃、収率78%。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.49 (brs, 1H), 3.82 (s, 6H), 3.41 (t, J=6.47Hz, 4H), 1.89-1.86 (m, 4H); Anal. Calcd for C
10H
15N
3O
3: C, 53.32; H, 6.71; N, 18.66。Found: C, 53.51; H, 6.80; N, 18.80。
【0064】
図5に示されるように、化合物38の代わりに化合物35を用いて、Et
2Oからの再晶化の後に淡い黄色固体としてHK−10を得た。融点151.5〜151.8℃、収率84%。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.05 (s, 2H), 3.55-3.75 (m, 4H), 1.96-1.92 (m, 4H). Anal. Calcd for C
8H
11N
3O: C, 58.17; H, 6.71; N, 25.44。Found: C, 57.92; H, 6.67; N, 25.18。
【0065】
図5に示されるように、化合物38の代わりに化合物36を用いて、Et
2Oからの再晶化の後に淡い赤色固体としてHK−14を得た。融点94.3〜94.7℃、収率79%。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.06 (s, 2H), 3.47 (t, J=6.59Hz, 4H), 1.70-1.40 (m, 6H). Anal. Calcd for C
9H
13N
3O: C, 60.32; H, 7.31; N, 23.45。Found: C, 60.15; H, 7.25; N, 23.26。
【実施例7】
【0066】
5−アミノ−2−クロロピリミジン(化合物40)の合成
図6の反応スキームを参照すると、700mLのEtOHに溶解された140g(0.88mol)の2−クロロ−5−ニトロピリジン(39)に、1400mLの酢酸、700mLの水及び197gの鉄粉(70mメッシュ、<212μm)の混合物を添加した。混合物を70℃で一晩加熱し、室温に冷却し、そして濾過した。EtOHを真空下で濾液から除去し、12NのNaOHでpHを8に調整した。EtOAcでの連続液液抽出で生成物を一晩抽出した。生じた濾過ケーキをEtOAcで洗浄し、混合したEtOAc層を水、次に塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして濾過した。真空下での溶媒の除去及びEtOHでの再結晶化後に、97.2g(85%)の淡い茶色固体の生成物39を得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 8.94 (s, 2H), 5.77 (brs, 2H)。
【実施例8】
【0067】
2−クロロピリミジン−5−オール(化合物41)の合成
図6の反応スキームを参照すると、2Nの硫酸中の化合物40(40g、0.31mol)を2時間還流させた。室温に冷却後、反応混合物をEtOAcにより一晩連続の液液抽出で抽出した。混合したEtOAc層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして濾過した。真空下での溶媒の除去及びEtOHでの再結晶化後に、10g(25%)の黄色固体41を得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 10.93 (brs, 1H), 6.45 (t, J=4.88Hz, 1H), 3.57 (t, J=4.4Hz, 4H), 2.01-1.98 (m, 4H)。
【実施例9】
【0068】
2−クロロ−5−ベンジルオキシ−ピリミジン(化合物31)の合成
図6の反応スキームを参照すると、500mLのMeOH中で10gのアルコール40(76.6mmol)に炭酸カリウム(11.6g、84.3mmol)を添加し、次に臭化ベンジル(10.1mL、84.3mmol)を添加した。室温で14時間攪拌した後に、水(300mL)の添加によって反応を停止させた。MeOHを蒸発させ、残った水層をCHCl
3で抽出した。混合したCHCl
3層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして濾過した。溶媒の除去に続いて、溶離液として100:1のCHCl
3:MeOHを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、白色固体として15g(89%)の2−アミノ−5−ベンジルオキシ−ピリミジン(31)を得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 8.27 (s, 2H), 7.37-7.30 (m, 5H), 5.09 (s, 2H)。
【実施例10】
【0069】
金属低減−キレート化作用
HK−1からHK−8の化合物は、酸化還元活性な金属であるCu
1+、Cu
2+、Fe
2+、Fe
3+及びZn
2+と容易に複合体を形成するが、Ca
2+及びMg
2+とは容易に複合体を形成しない(
図7)。連続変化法(Job plot)を用いて定められた化学量論は、多機能なJHX−化合物について観察されたものと類似した。それぞれの化合物及び関心のある金属イオンのいくつかの溶液を、HK−1からHK−8及びイオンの一定の総濃度で、しかし1つの成分の異なるモル分率で調製した。平衡後、金属イオンのモル分率に応じて、各化合物について最大吸収の変化を記録した。2つの線形の依存性が得られ、一方は金属イオンの低モル分率において、他方は高モル分率においてであった。傾向線が交差するモル分率(又はその欠如)を、化学量論比を見い出すために計算した。この過程を上記イオンのすべてにおいて、すべての化合物について3度繰り返した。
図7において一連のHK−1からHK−8について集約されたその結果は、化合物が金属と1:2又は2:1のいずれかの比で結合し、マグネシウム及びカルシウムのどちらとも相互作用しないことを示す。
【実施例11】
【0070】
細胞培養試験
多機能抗酸化物質及びそれらの単機能類似体は、過酸化物、ヒドロキシル基、及びスーパーオキシドラジカルによって生成されたROSを低減するそれらの能力について、細胞生存試験、スーパーオキシド試験、及びLIVE/DEAD生存率/細胞毒性アッセイによって、次のとおり検査された。
【0071】
体外での細胞生存率試験は、これまでに説明されているように、SH−SY5Y神経芽腫細胞(ATCC)を使用して実施され、10%のウシ胎仔血清(FBS)を含有する1:1のアール平衡塩類溶液を備えたイーグル最小必須培地及びハムF−12(EMEM−F12)培地で、5%のCO
2雰囲気下において37℃で培養した。細胞生存試験は、0.16%のDMSOに溶解された1mMの各化合物又はクリオキノール(PBT1)で、Cell Titer 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(MTS, Promega社, Madison, WI)を使用して、96ウェルプレートで24時間の期間に亘って実施された。クリオキノールは、東京化成工業株式会社(98%、東京、日本)から購入し、再結晶化によって更に精製した。これは、フェナジンメチルスルファート(PMS)の存在下で、1つの溶液(One Solution)がMTS(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム)を含有する増殖又は細胞毒性分析において、生存細胞の数を明らかにするための比色法である。MTS化合物は、490nmの吸光度の値によって測定されるように、着色されたホルマザン生成物に細胞によって生体還元され、生存する培養細胞の数に正比例する。DMSOで処理された細胞と比較して、Troloxに曝された場合、リードである5員環HK−2及びHK−4、並びに6員環HK−6については、24時間での細胞生存率は20%低下したが、HK−8では30%の低下が観察された。クリオキノールへ曝すと、細胞生存率において最大(50%)の低下をもたらした。H
2O
2及びフェントン反応によって生成されたヒドロキシルラジカルに対するこれらの化合物の保護作用が検査された。酸化剤なしでは、クリオキノールでやはり細胞生存率において同様の低下が観察された。しかし、この影響は、酸化剤の存在下ではそれほど顕著でなかった。H
2O
2単独に曝された場合、酸化的損傷はすべての処理された細胞で低下し、未処理の細胞(DMSO及びH
2O
2のみ)に比べて細胞生存率での上昇が観察された。フェントン反応では、クリオキノールで処理された細胞での生存率は、使用濃度でのクリオキノールの特有の毒性に加えて、何の薬物効果も示さずに、DMSOの対照よりも低かった。
【0072】
多機能及び単機能抗酸化化合物である一連のHKの、特に生細胞においてスーパーオキシドラジカルを低減する能力を、SH−SY5Y神経芽腫細胞及びARPE−19網膜色素上皮細胞の両方で評価した。ミトコンドリアによるスーパーオキシドの生成を、生細胞に浸透し、選択的にミトコンドリアを標的にするMitoSOXの赤試薬(Invitrogen Life Sciences社, Grand Island, NY)を使用して、蛍光顕微鏡検査法で可視可した。それは、スーパーオキシドによってすぐに酸化されるが、他の活性酸素種(ROS)及び反応性窒素種(RNS)によっては酸化されない。酸化された生成物は、核酸と結合すると強い蛍光を発する。これらの試験では、細胞を96ウェルプレートに播種し、5%のCO
2雰囲気下において37℃で、80%のコンフルエンスに達するまで(約24時間)、標準的な培地(ヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞については10%のウシ胎仔血清(FBS)を含有する1:1のアール平衡塩類溶液を備えたイーグル最小必須培地及びハムF−12(EMEM−F12)培地、又はヒトARPE−19網膜色素上皮細胞については4%のFBSを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)))で増殖させた。次に、細胞培地をそれぞれのウェルから除去し、ウェルをPBSで洗浄した。そして、化合物(DMSO(10μL)に溶解された一連のHK及び一連のJHX並びに酸化防止剤の普及品(ハイドロキノン(HQ)、Trolox(T)、ビタミンE(VE)、ビタミンC(VC))を、血清アルブミン(FBS)を含まない新たな培地(140μL)と一緒にそれぞれのウェルに加えた。追加の対照としてスーパーオキシドジスムターゼ(SOD、500μg/mL、10μL)を使用し、すべてのグループ(対照、薬物処理、及びSOD処理グループ)における細胞を同量のDMSOに加えた。添加後に、5%のCO
2雰囲気下において37℃で1時間、細胞を培養した。そして、キサンチン酸化酵素(XO)を添加して(25mU/mL)、おおよそ100μMのスーパーオキシドを生成し、培養を更に1時間継続した。そして、培地を再び除去し、細胞をPBSで洗浄した。最後に細胞を100μLのMitoSOXの赤試薬(5μM)で染色し、2時間更に培養し、蛍光のマイクロプレートリーダーを用いて、Ex/Em=510/580nmでそれぞれのウェルの蛍光を測定した。
【0073】
これらの実験条件でのスーパーオキシドの生成は、両方の抗酸化物質で低下した。保護用の多機能抗酸化物質を、SH−SY5Y神経芽腫細胞及びARPE−19網膜色素上皮細胞の両方で、用量に依存した方法で試験した。SH−SY5Y神経芽腫細胞では、HK−2、HK−4及びクリオキノールは、同様のスーパーオキシドラジカルの低減を示した。一方で、化合物HK−9及びHK−11(必要なヒドロキシル基を有しない類似体)は、スーパーオキシドアニオンラジカルの低減において効果がなかった。単機能抗酸化物質であるHK−10、HK−12、HK−14及びHK−16もまた保護を示したが、単機能のキレート剤であるHK−1、HK−3、HK−5及びHK−7は保護を示さなかった。ARPE−19網膜色素上皮細胞では、クリオキノール並びに多機能抗酸化物質HK−2、HK−4及びJHX−4は、抗酸化物質Troloxと同じように、同様の用量に依存したスーパーオキシドアニオンラジカルの低減を示す。
【0074】
多機能抗酸化化合物である一連のHKの、特にヒドロキシルラジカル誘発の細胞死を防ぐ能力を、LIVE/DEAD生存率/細胞毒性アッセイ(Invitrogen Life Sciences社, Grand Island, NY)を用いて、SH−SY5Y神経芽腫細胞及びARPE−19網膜色素上皮細胞の両方で評価した。細胞を96ウェルプレートに播種し、5%のCO
2雰囲気下において37℃で、80%のコンフルエンスに達するまで(約24時間)、標準的な培地(ヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞については10%のFBSを含有する1:1のEMEM−F12培地、又はヒトARPE−19網膜色素上皮細胞については4%のFBSを含有するDMEM)で増殖させた。そして培地を除去し、細胞をPBSで洗浄した。化合物(DMSO(10μL)に溶解された一連のHK及び一連のJHX又は酸化防止剤の普及品(ハイドロキノン(HQ)、Trolox(T)、ビタミンE(VE)、ビタミンC(VC))を、FPSを含まない適切な培地と共に改めて細胞に加えた。5%のCO
2雰囲気下における37℃での1時間の培養に続いて、フェントン試薬(FPSを含まない適切な培地で溶解されて、100μMの最終濃度となるFe
2+及び過酸化水素)をそれぞれのウェルに添加し、培養を継続した。フェントン試薬を加えての2時間の培養後、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄した。カルセインAM(AM、NBについて8μM)及びエチジウムホモダイマー(EthD−1、NBについて16μM)を含有する100μLのLIVE/DEAD試薬で、37℃で1時間に亘って細胞を染色した。蛍光のマイクロプレートリーダーを用いて、Ex/Em=494/517nm(生細胞についてのFsam)及びEx/Em=528/617nm(死細胞についてのFsam)でそれぞれのウェルの蛍光を測定した。対照試料の蛍光も次のとおり測定した。生細胞についてのFmax(AMのみで標識化された生細胞試料におけるEx/Em=494/517nmでの蛍光)、生細胞についてのFmin(EthD−1のみで標識化された生細胞試料におけるEx/Em=494/517nmでの蛍光)、死細胞についてのFmax(EthD−1のみで標識化された死細胞試料におけるEx/Em=528/617nmでの蛍光)、死細胞についてのFmin(Amのみで標識化された死細胞試料におけるEx/Em=528/617nmでの蛍光)、ブランクの494/517(染料及び細胞のないEx/Em=494/517nmでの蛍光)、ブランクの528/617(染料及び細胞のないEx/Em=528/617nmでの蛍光)。死細胞の対照については、70%のエタノールで、37℃で30分間細胞を培養した。生細胞の割合を蛍光の測定値から次の式を用いて計算した。
【数1】
死細胞の割合を蛍光の測定値から次の式を用いて計算した。
【数2】
【0075】
LIVE/DEAD生存率/細胞毒性アッセイで得られた結果は、生細胞での同様の用量に依存した増加と対応しており、そして死細胞における減少が、多機能抗酸化化合物及び酸化防止剤の普及品の両方で観察された。SH−SY5Y神経芽腫細胞及びARPE−19網膜色素上皮細胞の両方において1mMのフェントン試薬によって生成されたヒドロキシルラジカルに2時間曝すことは、生細胞の減少及び死細胞の増加をもたらした。SH−SY5Y神経芽腫細胞では、多機能抗酸化物質HK−2及びHK−4、並びに多機能キレート剤HK−10、HK−12、HK−14及びHK−16は、クリオキノールと同様に、ヒドロキシルラジカルに2時間曝すことに対して、同様に用量に依存した保護を有する。一方で、化合物HK−9及びHK−11(必要なヒドロキシル基を有しない類似体)は、細胞を保護する効果を有しない。ARPE−19網膜色素上皮細胞では、抗酸化物質は、多機能抗酸化物質のHK−2、HK−4及びJHX−4並びにクリオキノールと同様に、ヒドロキシルラジカルに2時間曝すことに対して、同様に用量に依存した保護を示す。単機能抗酸化物質であるHK−10、HK−12、HK−14及びHK−16もまた、用量に依存した保護を示した。
【実施例12】
【0076】
ミトコンドリアの生存性/毒性
レーザ色素のローダミン123は、生細胞でのミトコンドリアの位置を特定するための特異的プローブであることが示されている。そのミトコンドリアについての選択性により、この染料は、薬物によって誘発されたミトコンドリアでの変化を探るために使用されることができる。したがって、多機能抗酸化物質が、遷移金属をキレートするその能力によってミトコンドリアの機能を悪い方向に変えるかどうかを明らかにするために、試験を実施した。
【0077】
ヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞を、8ウェルの顕微鏡プレート(BD Falcon社、800マイクロスライド)に播種し、10%のFBSを含有するEMEM−F12培地で、5%のCO
2雰囲気下において37℃で細胞を培養した。各ウェルにおいて細胞がおおよそ80%のコンフルエンスになったら、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄した。次に、FBSを含まずに、DMSOに溶解されたJHX−1、−4、−5、−8、HK−2、−4、−9、−11、又はクリオキノールを含有し、4%のDMSOにおいて1mMの最終的な薬物濃度となるようにされた200μLのHBSS培地で、5%のCO
2雰囲気下において37℃で1時間、細胞を前培養(プレインキュベート)した。次に、1mMの最終的な濃度になるようにMnCl
2を適切な細胞グループに添加して、そのグループを更に2時間培養した。マンガンに3時間曝した後、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄した。そして細胞を、ウェルごとに100μLの蛍光色素のローダミン123(Rh123)(20μM)及びヘキスト33342(8μM)で、5%のCO
2雰囲気下において37℃で30分間に亘って染色した。次に、細胞をメディアで5分間で3度洗浄し、最後に殺菌されたHPLCグレードの水で洗浄した。最終的にプレートシェルフを除去し、10%のFBSを含有する10マイクロリットルの細胞培地を各ウェルに添加し、そしてウェルを長方形のカバーガラスでカバーした。カバーガラスとスライドガラスとの間の隙間はマニキュア液で塞がれ、そして細胞を共焦点蛍光顕微鏡法によって検査した。同様の手順をRPE細胞試験について用いた。しかし、ARPE−19RPE細胞は、4%のFBSを含有するDMEMで培養した。
【0078】
検査された神経芽腫及び網膜色素上皮細胞の両方が、ミトコンドリアの赤のローダミン123の染色、及び青の染色のヘキスト33342での細胞核におけるDNAの存在を示した。多機能抗酸化物質又はその単機能類似体を細胞に添加した時に、ローダミンの染色での変化は観察されなかった。しかし、これらの細胞に1mMのMnCl
2を加えると、ミトコンドリアの機能障害を示す、ローダミンの染色の消失をもたらした。このローダミン123の染色の消失は、多機能抗酸化物質の類似体又はクリオキノールを含有する細胞にMnCl
2を加えた時には観察されなかった。これらの試験は、多機能抗酸化物質の類似体はミトコンドリアに有毒でないことを示す。代わりに、それは、クリオキノールと同様に、明らかにMnと複合体を形成することによってミトコンドリアの機能を保護する。
【実施例13】
【0079】
多機能抗酸化物質は、Aβ
1-42/Zn複合体を変化させることができる
Aβ斑は、ADである患者の脳、水晶体及び網膜に存在する。アミロイド斑へのペプチドアミロイドベータ(Aβ)の凝集は、アルツハイマー病における重要事象である。アミロイドカスケード仮説によれば、Aβの凝集は、活性酸素種の生成によってニューロンに有毒であり、したがってその疾患の原因に直接関与する。亜鉛イオンは、Aβに結合して凝集の特性に影響し得るので、重要な役割を果たす。アルツハイマー病の治療法であるクリオキノール及びPBT2は、複合体から亜鉛を放出させることによって、アミロイドベータの分解を促進する。
【0080】
アミロイドベータ/亜鉛の複合体から亜鉛を放出させる多機能抗酸化物質の能力を、American Peptide Company, Inc.(Vista, CA)からのAβ
1-42を使用して調査した。Aβ
1-42/Zn複合体は、次のとおり調製された。ZnSO4溶液(200μM)及びAβ
1-42(200μM)を一緒に混合し、37℃で培養した。48時間の培養後、混合物を14000xgで3分遠心分離し、凝集したAβ
1-42のペレットを得た。次に、凝集したAβ
1-42を水又は200μMの薬物に再懸濁した。その複合体をハンクス平衡塩溶液(HBSS)で希釈して、各成分を10μMの最終濃度にした。そして、この複合体を、ヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞及びARPE−19網膜色素上皮細胞を用いる下記の試験に使用した。その試験は、2〜4回繰り返された。
【0081】
ヒトSH−SY5Y神経芽腫細胞を、8ウェルの顕微鏡プレート(BD Falcon社、800マイクロスライド)に播種し、10%のFBSを含有するEMEM−F12培地で、5%のCO
2雰囲気下において37℃で細胞を培養した。各ウェルにおいて細胞がおおよそ80%のコンフルエンスになったら、培地を除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。次に、10μMの薬物(DMSOに溶解されたJHX−1、−4、−5、−8、HK−2、−4、−9、−11、又はクリオキノール)を含有し、FBSを含まない200μLのHBSS培地で、5%のCO
2雰囲気下において37℃で1時間に亘って細胞を前培養(プレインキュベート)した。各薬物に1時間曝した後、その培地を10μMのAβ
1-42/Zn/薬物(1/1/1)を含有する200μLのHBSS培地と交換し、対照グループについては、Aβ
1-42/Zn、Zn/薬物、Aβ
1-42/薬物、又はAβ
1-42を含有するHBSS培地と交換した。そして、細胞を5%のCO
2雰囲気下において37℃で1時間に亘って更に培養した。培地を再び除去し、PBSで洗浄し、ウェルごとにEMEM−F12(1:1)において100μLの蛍光染料ジンキン(zinquin)(10μM)で細胞を染色した。5%のCO
2雰囲気下において37℃で30分の培養後、ジンキン培地を除去し、4%のパラホルムアルデヒドを含有するPBSと交換した。そして、亜鉛の細胞局在を評価するために、DAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)、DAPIフィルタセットを用いて共焦点蛍光顕微鏡法によって、固定細胞におけるジンキンの蛍光を測定した。その試験は、2〜4回繰り返された。
【実施例14】
【0082】
生物学的利用能試験
0.05%の各薬物(平均用量90mg/kg/日)を含有する食事を14日間与えたC57BL/6マウスで生物学的利用能試験を実施した。犠牲時に全身の灌流に続いて、水晶体、神経網膜及び脳を取り出して、HPLC−MSによって分析した。これらの化合物は、JHX−4及び−8に比べて著しく高い薬物の脳内濃度を達成した。しかし、一連のJHXと対照的に、これらのHK化合物は、水晶体において適正な濃度に到達しなかった(平均±SEM)。グラフは、すべての多機能抗酸化物質が少なくとも1つの標的組織に対して良好な経口での生物学的利用能を有することを示す。JHX−8を除いて、すべての化合物はリピンスキーの法則にも適合したので、このことは予想された。リピンスキーの法則は、経口での生物学的利用能は次のパラメータに関連することを述べる。(1)水素結合供与体(NH又はOH)≦5、(2)水素結合受容体(N又はO)≦10、(3)分子量≦500、及び(4)オクタノール−水分配係数logP=log(C
オクタノール/C
水)≦5。JHX−8は、12の水素結合受容体を有するにもかかわらず、やはり良好な生物学的利用能を示す。
【実施例15】
【0083】
分子記述子での予測される脳/水晶体の取り込み
分析される眼組織及び神経組織へのこれらの多機能抗酸化物質の摂取及び分布の分析は、多くの複雑な薬物動態学的な段階を必要とする。水晶体については、これは血液房水関門(BAB)を通過し、水に入り、最終的に拡散によって水晶体に入る。一方で、神経網膜及び脳については、これはそれぞれ血液網膜関門(BRB)又は血液脳関門(BBB)を通ることを必要とする。これらの化合物は親油性で、特定の取り込み又は排出受容体と相互作用することは予測されないが、水晶体の取り込みと薬物の親油性との間での予想される関係も、予想される同様のBBB及びBRB透過性の親油性との関係も、観察されない。代わりに、分子記述子での有望な回帰分析は、水晶体、脳及び網膜における親油性の多機能抗酸化物質の取り込みにおける顕著な相違が、選ばれた分子記述子の分析によって予測され得ることを示す。これらの化合物の物理的特性を検査した。
【0084】
Molecular Operating Environment(MOE 2007.09、Chemical computing group, CO., Ltd.,)を用いて各化合物についての3次元(3D)構造を生成し、次にハミルトニアン(MMFF94X)エネルギー最小化プログラムを使用して3次元構造を最小化した。次に、この最低エネルギー構造で多くの分子記述子を計算した。これらは、n−オクタノールと水との間における化合物の分配係数の対数であるlog(C
オクタノール/C
水)であり、そして親水性又は親油性を説明するlogPを含む。高いオクタノール/水の分配係数を備えた疎水性薬物は、細胞の脂質二重層などの疎水性の区画に選択的に分散する。一方で、親水性薬物(低いオクタノール/水の分配係数)は、選択的に血清などの親水性の区画において見つかる。また、結合した水素を含めて、すべての極性原子(N、O、S)の表面の合計として定められる位相幾何学的極性表面積(TPSA)も計算した。このパラメータは、吸収を予測するために使用された。140Å
2より大きな極性表面積を有する分子は、通常は細胞膜を通過する能力が劣ると考えられる。BBBを貫通する分子については、TPSAは60Å
2より小さいべきである。また、分子における電荷系の電気極性の大きさである双極子モーメント(DM:μ、AM1_μ、MNDO_μ、PM3_μ)も計算した。分子の双極子モーメントは、その極性を明らかにし、このパラメータは、薬物−受容体相互作用及び定量的構造活性相関研究においてよく使用される。また、分子の分極率を推測する分子屈折率(MR)も計算した。それは、定量的構造活性相関研究において使用される最も古くかつ最も良好な記述子の1つである。MRは、しばしばリガンド結合と強い相関関係を示し、logPと相補的である。MRは、非親油性の相互作用の尺度を与える。MRは、分子容だけでなく、薬物−受容体相互作用において作用するロンドン分散力にも関係する。
【0085】
また、平均分子分極率の概算量である原子分極率(apol)も計算した。原子分極率は化合物の構造に基づき、したがって使用されるプローブの数及びタイプとは無関係である。また、水に接触可能な分子の表面積である水接触可能表面積(ASA)も計算した。極性表面積及び疎水性表面積(PSA、HSA)については、極性領域の寄与の合計によってPSAを計算し、一方で疎水性領域の寄与の合計によってHSAを計算した。また、全電荷を加重した部分的に負又は正に帯電した分子の表面積である、電荷を加重した負電荷/正電荷表面積(CASA−/+)を計算した。また、引力の疎水性相互作用を発生させる分子エンベロープとして定められる疎水性体積(D)を計算した。8つの異なるエネルギーレベルでの疎水性記述子を、疎水性相互作用の通常のエネルギー範囲(−0.2〜−1.6kcal/mol)に適用する。また、水分子に接近し易く、水分子と引力相互作用する分子エンベロープを表す親水性体積(W)を計算した。Wは、相互作用エネルギーのレベルに伴って変化する。−0.2〜−1.0kcal/molの分子場から計算されたW1〜W3は、分極率及び分散力の主要因である。−2.0〜−6.0kcal/molの分子場からのW4〜W8は、極性領域及び強力なH結合ドナーアクセプター領域の主要因である。また、分子の極性基の体積である極性体積(Wp)も計算した。また、分子の分岐の大きさの尺度であり、立体的かさ高さの尺度を与えるカッパ形状指数(Kier1−3)も計算した。
【0086】
また、体積の球の表面領域から外れた分子表面の比として定められ、分子の撓み性に関係する分子球形(G)も計算した。完全な球形分子については、Gは1.0である。また、分子の親水性及び親油性部分の間の比を定める臨界充填パラメータ(CP)も計算した。親水性−親油性の均衡とは異なり、CPは単に分子形状を意味する。それは、体積(親油性部分)/[(表面(親水性部分)×(親油性部分の長さ)]として定められる。また、化合物の構造の複雑性を、その全体寸法に対するその分子骨格(MF)の寸法に基づいて表すトポロジー記述子(f
MF)を計算した。f
MFは、分子全体寸法に対する分子骨格寸法の割合として定められる。非特異性は、タンパク質と非特異的に多数の相互作用を形成する分子の能力として定められ、f
MFの値が大きいときにf
MFと関連がある。水晶体、神経網膜、及び脳のいずれでも、それぞれの上記物理化学的記述子及びトポロジー記述子と、6つの多機能抗酸化物質及び類似体の濃度との間で観察された個々の相関が示された。回帰分析は有意な関係を示すが、多くの場合においてこれらの相関は、グラフのいずれかの端に集まった点の不均等な分布に起因する偽りのものかもしれない(例えば、水晶体におけるlogP、CASA−CASA+)。したがって、点の広い分布を示すグラフだけが、肯定的に検討された(例えば、水晶体におけるTPSA、DM、PSA、f
MF)。水晶体及び脳における同様の分子記述子は逆相関を与えるが、神経網膜では観察された相関は何もなかった。
【実施例16】
【0087】
ヒトARPE−19網膜色素上皮細胞に曝されたZnの細胞局在のジンキン分析
この試験のために、ARPE−19網膜色素上皮細胞が4%のFBSを含有するDMEMで培養されたことを除き、神経芽腫細胞株について記載されたものと同じ手順を利用した。
【0088】
青の蛍光を有するジンキン染色は細胞質における不安定なZn
2+の存在を示し、この染色は、細胞にAβ
1-42/Zn複合体を添加した後に消える。これは、不安定な亜鉛がこの時点でもはや利用できなくなること又は複合体から放出されることを示す。これは、細胞が多機能抗酸化物質又はクリオキノールと一緒に培養されたときには起こらない。このことは、これらの化合物が凝集したAβ
1-42/Zn複合体の存在下において、不安定な亜鉛の濃度を維持することを示唆する。同様の効果は、神経芽腫細胞株及びRPE細胞株の両方で観察された。同様の作用は、PBT2についても同様であった。
【0089】
まとめると、HK−2、HK−4、HK−6、及びHK−8は、不活性酸素種を活性酸素種(ROS)に変える可能性のある遷移金属をキレートすると共に、遊離基を捕捉してROSをより害の少ない化合物に変える、多機能な神経保護用の抗酸化物質である。HK−1、HK−3、HK−5、及びHK−7は、不活性酸素種を活性酸素種(ROS)に変える可能性のある遷移金属をキレートする単機能な神経保護用の抗酸化物質である。HK−10、HK−12、HK−14、及びHK−16は、遊離基を捕捉してROSをより害の少ない化合物に変える単機能な神経保護用の抗酸化物質である。これらの化合物はすべて、エステル型プロドラッグとして経口で投与されても良く(親油性をもたらしかつエステル基の追加によって活性化合物の水素結合性基を覆うエステル型プロドラッグへの変更は、当分野で周知技術である。)、それはすべて血液脳関門を通過することができることが示されている。
【0090】
HK−2、HK−4、HK−6、及びHK−8は、Fe、Cu、又はZnなどの金属を独立してキレートし、種々の発生源から生成された遊離基を捕捉するそれらの能力によって、神経を保護し、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSなどの様々な神経疾患の治療、外傷性脳損傷、白内障、緑内障、加齢黄斑変性症及び他の網膜変性などの眼疾患、並びに糖尿病性合併症の進行の緩和に有益である。これらの化合物はまた、選択された疾患におけるFe、Cu、又はZnの蓄積を減らすのに有益であり得る。
【0091】
単機能抗酸化物質HK−1、HK−3、HK−5、HK−7及びそれらの類似体は、Fe、Cu、又はZn金属をキレートするそれらの能力によって、ハンチントン病及びアルツハイマー病、並びに銅中毒及び鉄中毒の治療に有益である。
【0092】
単機能の遊離基捕捉剤HK−10、HK−12、HK−14、HK−16及びそれらの類似体は、遊離基を捕捉するそれらの能力によって、上記の加齢に伴う病気だけでなく、電離放射線に対する放射線防護剤としても有益である。
【0093】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、添付する特許請求の範囲内であるいずれか及びすべての実施形態を包含することが理解されるべきである。