(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0018】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0019】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、
図2、
図3、
図5〜
図9は、表示領域911を大まかに記載するが、その形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0020】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0021】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0022】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0023】
大当たりの抽選(当否判定)は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口が複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。大当たりに当選した場合には大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、大入賞口906が頻繁に開放状態となり、遊技者が多くの遊技球(いわゆる出玉)を獲得することができるものであって、公知の遊技機と同様であるため詳細な説明を省略する。獲得できる遊技球の期待値が異なる複数種の大当たり遊技が設定されていてもよい。
【0024】
本実施形態では、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄10の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。識別図柄10は、当否判定結果の報知の開始とともに変動を開始する。
【0025】
当該識別図柄10として、複数の種類が設定されている。具体的には、識別図柄10として、少なくとも、一または複数種の通常図柄11と、一または複数種の特別図柄12が設定されている。
図2(a)に示すように、本実施形態における通常図柄11は、「1」から「9」までのいずれかの数字(文字)を表す部分を含む図柄である。つまり、通常図柄11として九種類の図柄が設定されている。一方、特別図柄12は、文字「V」を表す部分を含む図柄である。つまり、特別図柄12として一種類の図柄が設定されている。なお、これら識別図柄10は、各文字を表す部分とキャラクタ等が一体化されたものであってもよい。各図においては、当該文字部分のみ示す。
【0026】
かかる九種類の通常図柄11と一種類の特別図柄12が一の識別図柄群として変動表示される。なお、いずれかの図柄(特に特別図柄12)が、当否判定結果を報知する一連の演出開始時には表示されず(変動開始時には表示されず)、当否判定結果を報知する一連の演出の途中で表示されることがあってもよい(後述する第一具体例参照)。
【0027】
図2(b)に示すように、本実施形態では、このような識別図柄群が三つ変動表示され(以下、左側に表示される識別図柄群を左識別図柄群10L、中央に表示される識別図が群を中識別図柄群10C、右側に表示される識別図柄群を右識別図柄群10Rと称することもある)、各群から選択されたいずれか一つの識別図柄10が停止する。つまり、最終的には三つの識別図柄10から構成される組み合わせが表示される。大当たりに当選している場合には識別図柄10は最終的に所定の組み合わせで停止する。当該所定の組み合わせとしては、同じ識別図柄10の三つ揃いが例示できる。はずれである場合には識別図柄10は大当たりとなる組み合わせ以外の組み合わせで停止する。大当たりやはずれ以外を示す組み合わせ(例えば、いわゆる小当たりを示す組み合わせ)が設定されていてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(識別図柄10の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知が開始されていない数値(以下、保留情報と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大の保留情報の数は、一種の始動入賞口につき四つである。
【0029】
また、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなる。つまり、当否判定結果を報知するための演出(識別図柄10の変動表示)が開始される時点で、対象となる当否判定結果が大当たりとなるものかはずれとなるものなのかが判断される。当該情報(以下、変動中情報と称することもある)は、大当たりの成否を内部的に把握するためのいわゆる「フラグ」であって、保留情報ともに記憶手段に記憶される(本実施形態では、保留情報と変動中情報を記憶する記憶手段は同じであるが、各情報が異なる記憶手段に記憶される構成であってもよい)。なお、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されているか否かに拘わらず、取得された数値に基づき当否判定を行い、当該当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。かかる構成とする場合には、記憶される当否判定結果自体が、変動中情報や保留情報に相当することになる。
【0030】
当否判定結果を判断するために取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0031】
図2(b)に示すように、本実施形態では、保留情報のそれぞれに対応するマークである保留図柄20が、表示装置91の表示領域911に表示される。具体的には、数値が取得された順に並ぶよう、保留図柄20が表示装置91の表示領域911に表示される。なお、保留図柄20が表示される態様は、このようなものに限られるわけではない。例えば、メインの表示装置91とは異なる、保留図柄20が表示される表示装置が別途設けられていてもよい。
【0032】
本実施形態にかかる遊技機1は、大当たりの当否判定結果を報知する演出の一態様として「複数当選報知演出」が実行可能である。図示されない演出制御用の基板には、表示装置91を制御することで複数当選演出を実行する複数当選報知手段が設けられている。
【0033】
複数当選報知演出は、変動中情報に対応するものが当たりとなること、かつ一または複数の保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが大当たりであることを報知する演出である。すなわち、複数の大当たり当選が確定したことを報知するものである。
【0034】
本実施形態では、上述したように、同じ識別図柄10の三つ揃いにより、変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりとなったことが報知される。変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりとなったことのみを報知する通常の大当たり報知は、通常図柄11の三つ揃い(以下、通常態様と称することもある)が表示装置91の表示領域911に表示されることにより実行される(
図3(a)参照)。ただし、本実施形態では、通常態様が表示された場合であっても、一または複数の保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが大当たりである可能性が完全に否定されない設定としている。通常態様が表示された場合には、一または複数の保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが大当たりである可能性が完全に否定される設定としてもよい。
【0035】
一方、複数当選報知演出は、特別図柄12である「V」の三つ揃い(以下、特別態様と称することもある)が表示装置91の表示領域911に表示されることにより実行される(
図3(b)参照)。特別態様が表示されたときは、変動中情報に対応するものが大当たりであることと、一または複数の保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが大当たりであることが確定することになる。本実施形態における複数当選報知演出は、基本的には、変動中情報に対応する当否判定結果を報知するための演出の一部として実行される。より具体的にいえば、複数当選報知演出は、変動中情報に対応する当否判定結果を報知するための演出の結末部分を構成し、当該当否判定結果を報知する演出と同時に完了するものである。したがって、複数当選報知演出は、変動中情報に対応する当否判定結果の報知が完了するまでの間に実行されるものであるといえる。
【0036】
識別図柄10の停止態様を決定する制御(図柄決定フロー)の一例は
図4に示す通りである。変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりであるか否かが判断され(S1)、はずれと判断された場合(S1「No」)には、はずれを示す識別図柄10の停止態様が選択、設定される(S2)。はずれを示す停止態様の具体的な選択手法はどのようなものであってもよいため、説明を省略する。
【0037】
一方、変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりであると判断された場合(S1「Yes」)には、保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが大当たりであるか否かが判断される(S3)。本実施形態では、変動中情報に対応する当否判定結果を報知する演出が開始された時点において存在していた保留情報について、大当たりとなるものが存在しないかが判断される。ただし、変動中情報に対応する当否判定結果を報知する演出が開始された後であって、当該演出が完了する時点より前の所定時点までの間に取得された保留情報を含めて、大当たりとなるものが存在しないか判断するようにしてもよい。つまり、変動中情報に対応する当否判定結果を報知する演出が開始された時点においては、複数当選の事実は存在しなかったものの、上記所定時点に到達するまでの間に取得された保留情報の少なくともいずれか一つが大当たりであった場合には、「保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが大当たりである」と判断する設定としてもよい。かかる設定とする場合には、変動中情報に対応する当否判定結果を報知する演出を、演出の途中で書き換える(変更する)ことができるように構成されている必要がある。例えば、後述する第一具体例において説明するように、演出の途中で通常図柄11を特別図柄12に変化させることを当該書き換えの一態様として取り入れることができる。
【0038】
保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが大当たりであると判断された場合(S3「Yes」)、すなわち、変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりであり、かつ保留情報の少なくとも一つに対応する当否判定結果が大当たりであると判断されたときには、特別態様を停止させるか否かの抽選である特別態様停止抽選を実行する(S4)。当該特別態様停止抽選に当選した場合(S5「Yes」)には、識別図柄10の停止態様が特別態様に設定される(S6)。つまり、変動中情報に対応する当否判定結果を報知する演出の結末が、特別態様が停止する「複数当選報知演出」となる。遊技者が、特別態様が停止するということが、「大当たりの複数当選」という事象が発生することを報知するものとして認識していれば、遊技者は特別態様が停止した時点で当該「大当たりの複数当選」という事象が発生することを認識することとなる。なお、遊技機1には、「特別態様の停止」というものが、「大当たりの複数当選」という事象が発生することを報知するものであるという事実を、明確に遊技者に知らせるような紹介手段(例えば、待機中に当該事実を知らせる動画等を表示する)を設けてもよい。
【0039】
変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりであり、かつ保留情報の少なくとも一つに対応する当否判定結果が大当たりであると判断されたときには、特別態様停止抽選を実行せず(S4やS5の工程を排除し)、必ず特別態様が停止するような設定としてもよい。
【0040】
また、遊技者に付与する利益が異なる複数種の大当たりが搭載された構成である場合には、変動中情報に対応する大当たりと、保留情報の少なくとも一つに対応する大当たりの種類を踏まえて、特別態様を停止させるか否かを判断するようにしてもよい。
【0041】
例えば、変動中情報に対応する大当たりと、保留情報の少なくとも一つに対応する大当たりの両方ともが、遊技者に付与する利益が最も大きいものとなる場合に限り、特別態様が停止する、または特別態様が停止する可能性がある設定としてもよい。遊技者に付与する利益を形成する要素としては、大当たり遊技中に獲得できる遊技球(いわゆる出玉)の期待値、大当たり遊技終了後に移行する遊技状態(いわゆる確率変動状態となるか否か、いわゆる時間短縮状態となるか否か等)等が例示できる。例えば、変動中情報に対応する大当たりと、保留情報の少なくとも一つに対応する大当たりの両方ともが、大当たり遊技中に獲得できる遊技球(いわゆる出玉)の期待値が最大である大当たりとなるものである場合に限り、特別態様が停止する可能性がある設定としてもよい。このように、「特別態様の停止」が、複数の大当たりに当選したという事象の発生だけでなく、当該複数の大当たりによって遊技者に付与される利益が所定の利益以上となる事象の発生を確定させる設定としてもよい。
【0042】
特に、大当たりとして、大当たり遊技終了後の遊技状態がいわゆる確率変動状態(通常遊技状態よりも大当たりに当選する確率が高い状態)に移行する確率変動大当たりと、大当たり終了後の遊技状態が通常遊技状態(確率変動状態よりも大当たりに当選する確率が低い状態)移行する通常大当たりが設定された遊技機において、仮に、保留情報に対応する大当たりが通常大当たりであるとすると、当該保留情報に対応する大当たり遊技終了後に通常遊技状態に移行することは遊技者にとっては喜ばしくないことである。したがって、保留情報に対応する大当たりが通常大当たりであると判別できるときは、特別態様が停止しないようにすることが望ましい。つまり、保留情報に対応する大当たりが確率変動大当たりである場合に限り、特別態様が停止する場合があるようにすることが望ましい。
【0043】
一方、S5において特別態様停止抽選に当選しなかった場合(S5「No」)には、識別図柄10の停止態様として通常態様が設定される(S7)。つまり、本実施形態では、変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりであり、かつ保留情報の少なくとも一つに対応する当否判定結果が大当たりであると判断された場合であっても、識別図柄10の停止態様として通常態様が設定されることがある。また、S3において、保留情報の全部がはずれであると判断された場合(S3「No」)にも、識別図柄10の停止態様として通常態様が設定される(S7)。通常態様の具体的な選択手法はどのようなものであってもよい(例えば、大当たり遊技終了後の遊技状態がいわゆる確率変動状態に移行するかどうか等を踏まえて、通常態様を構成する通常図柄11が選択される)ため、説明を省略する。
【0044】
このように、本実施形態にかかる遊技機1によれば、複数当選報知手段により、変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりであることだけでなく、保留情報のいずれかに対応する当否判定結果が大当たりであること、すなわち二以上の大当たりに当選していることが変動中情報に対応する当否判定結果の報知が完了するまでの間に報知されるという、従来にない報知が実行されるものとすることが可能である。
【0045】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を変形、改良等した具体例について、上記実施形態にかかる遊技機1と異なる点を中心に説明する。
【0046】
1)第一具体例
上記実施形態では、通常図柄11と特別図柄12を含む各識別図柄群(左識別図柄群10L、中識別図柄群10C、右識別図柄群10R)が変動表示された後、当否判定結果を踏まえて所定の組み合わせで停止することを説明したが、「複数当選演出」が実行される可能性がある場合に限り、特別図柄12が表示されるようにしてもよい。つまり、常に特別図柄12が表示されている構成とする必要はない。
【0047】
本例では、通常時には、上記実施形態でいう通常図柄11のみによって各識別図柄群が構成される。そして、複数当選演出が実行される場合、変動中情報に対応する報知演出が実行されている際に通常図柄11が特別図柄12に変化することがある。通常図柄11が特別図柄12に変化する可能性があるタイミングは予め設定されていてもよいし、あらゆる時点で変化する可能性がある構成であってもよい。ただし、常に各識別図柄群に通常図柄11と特別図柄12の両方が含まれ、当該通常図柄11のいずれかが特別図柄12に変化する(特別図柄12が増える)ような構成であってもよい。通常図柄11が特別図柄12に変化する可能性があるタイミングとしては、以下に示すように種々考えられる。ただし、以下で説明するタイミング以外のタイミングで変化が発生することがあってもよい。
【0048】
・リーチ状態成立後
変動表示されている複数の識別図柄群のうち、少なくとも二つ以上の識別図柄群から選択されて停止した識別図柄10が同じ図柄である状態をリーチ状態とする。リーチ状態が成立したときは、未だ変動している識別図柄群から選択されて停止する識別図柄10が、リーチ状態を構成する停止した識別図柄10と同じ場合には大当たりとなる。例えば、上記実施形態と同様に、三つの識別図柄群(左識別図柄群10L、中識別図柄群10C、右識別図柄群10R)が変動表示される構成であって、二つの識別図柄群(例えば左識別図柄群10Lと右識別図柄群10R)から選択されて停止した識別図柄10が同じ図柄となることでリーチ状態が成立するものであるとする。
【0049】
各識別図柄群が変動した状態(
図5(a)参照)から、左識別図柄群10Lと右識別図柄群10Rから選択されて停止した識別図柄10が通常図柄11のリーチ状態(
図5(b)参照)が成立したとする。この場合、当該リーチ状態を構成する二つの通常図柄11が、特別図柄12に変化することがあるように設定することができる。つまり、複数当選演出発生の可能性を否定する通常のリーチ状態となったように見せかけて、複数当選演出発生の可能性を肯定するリーチ状態に変化するものである。なお、必ず、通常図柄11によるリーチ状態の成立と同時または直後に当該通常図柄11が特別図柄12に変化するものでなくてもよい。リーチ状態後であれば、あらゆるタイミングで変化する可能性があってもよい。例えば、リーチ状態の成立後、いわゆるスーパーリーチ演出に移行したときに変化するものであってもよい(
図5(c)参照)。
【0050】
また、このような通常図柄11が特別図柄12に変化する演出が発生し、特別図柄12によるリーチ状態が構成されたときは、通常図柄11によるリーチ状態が構成されたときよりも、当該リーチ状態を経て報知される当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高くなるように設定されているとよい。複数の大当たりの当選が確定するためには、リーチ状態を経て報知される当否判定結果が大当たりとなる必要があるのであるから、リーチ状態を構成する通常図柄11が特別図柄12に変化することで、当該リーチ状態を経て報知される当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まり、それとともに複数の大当たりに当選している蓋然性が高まるという、趣向性の高い演出とすることが可能である。
【0051】
・図柄停止時
変動している識別図柄群(
図6(a)参照)から選択された一の識別図柄10が停止する際に、特別図柄12が停止するかもしれないということをみせるように設定することができる。識別図柄群の変動開始時または変動している途中段階において、当該識別図柄群に特別図柄12が含まれたことが分かるような設定としてもよいし、一の識別図柄10が停止しようとする際に、当該停止しようとする識別図柄10としていきなり特別図柄12が表示されるような設定としてもよい。
【0052】
左識別図柄群10Lと右識別図柄群10Rから選択されて停止した識別図柄10が同じ図柄である場合にリーチ状態が構成される設定である場合には、左識別図柄群10Lの変動停止時や右識別図柄群10Rの変動停止時に、特別図柄12が停止するかもしれないということを煽る演出とすることができる(
図6(b)〜
図6(e)参照)。このような演出とは若干異なる演出ではあるが、先に停止することになる左の特別図柄12の停止はスムーズになされるものの、その後右に特別図柄12が停止するか否かが、左の特別図柄12の停止よりも時間をかけてなされる演出とすることもできる。また、左に特別図柄12が停止するかもしれないという煽りと、右に特別図柄12が停止するかもしれないという煽りを同時に行う演出(左右同時煽り演出)とすることもできる。いずれにせよ、特別図柄12によってリーチ状態が構成されるかもしれないという演出が発生することで、現在実行されている演出に対応する当否判定結果が大当たりとなるかもしれないという期待と、複数の大当たりに当選するかもしれないという期待を同時に抱かせる趣向性の高い演出とすることが可能である。
【0053】
・大当たり確定後
停止した識別図柄10の全てが同じ通常図柄11となって大当たりが確定したとする(
図7(a)参照)。その場合に、全ての通常図柄11が特別図柄12に変化することがあるように設定することができる(
図7(b)、(c)参照)。つまり、通常態様によって大当たりとなったことが報知されたかのように見せかけた上で、特別態様によって大当たりとなったことが報知される。このようなタイミングでの変化が発生するようにすれば、複数の大当たりに当選していることに最後まで期待がもてる。
【0054】
2)第二具体例(第一具体例を発展させた例)
上記第一具体例にて説明した特別図柄12によって構成されるリーチ状態が発生したとき(
図8(a)参照)には、例外なく、特別態様によって報知される大当たり(
図8(b)参照)が確定する設定とすることができる。つまり、複数の識別図柄群から選択されて停止した複数の識別図柄10のうちの所定数以上が特別図柄12となった場合には、最終的な識別図柄10の停止態様が特別態様となること、すなわち複数の大当たりに当選したことが確定するように設定してもよい。例えば、一つの特別図柄12が停止した場合に、複数の大当たりに当選することが確定するように設定してもよい。
【0055】
このように構成すれば、特別図柄12が停止することに対する価値が高まるから、特別図柄12に対する遊技者の注目度合を高めることが可能である。特に、上記第一具体例において説明したような、通常図柄11から特別図柄12への変化が発生することにより、特別図柄12によるリーチ状態が構成される演出への興味をより高めることが可能である。
【0056】
また、特別図柄12が表示されただけで、複数の大当たりに当選することが確定するように設定してもよい。つまり、通常時には、識別図柄10として通常図柄11が表示されているものの、当該通常図柄11のうちのいずれかが特別図柄12に変化したり、変動する識別図柄群に特別図柄12が加わったりしただけで、複数の大当たりに当選することが確定するように設定してもよい。また、特別図柄12が特定の態様で表示された場合(例えば、ある大きさ以上に拡大表示された場合)に、複数の大当たりに当選することが確定するように設定してもよい。このように、特別図柄12を、複数の大当たり当選の報知に利用したものであれば、その利用手法は適宜変更可能である。
【0057】
一旦表示された特別図柄12は、通常図柄11に変化する場合があってもよい。例えば、複数の識別図柄群から選択されて停止した複数の識別図柄10のうちの所定数以上が特別図柄12となったとき、複数の大当たりに当選することが確定する設定とする場合、特別図柄12が所定数停止したということは、もう既に複数当選の報知が完了しているということであるから、その後、特別図柄12が通常図柄11に変化するように設定されていてもよい。同様に、特別図柄12が表示されただけで、複数の大当たりに当選することが確定する設定とする場合、特別図柄12が表示されたということは、もう既に複数当選の報知が完了しているということであるから、その後、特別図柄12が通常図柄11に変化するように設定されていてもよい。
【0058】
3)第三具体例
上記実施形態では、複数の大当たりに当選したことを報知する特別態様を構成する識別図柄10の組み合わせは、停止した全ての識別図柄10が特別図柄12となるものであることを説明したが、特別態様を構成する組み合わせはこれに限られない。特別態様を構成する識別図柄10のうち、少なくとも一部が、通常図柄11とは異なる特別図柄12であればよい。本例は、上記実施形態と同様に、停止した一定数の識別図柄10の組み合わせによって当否判定結果が報知されるものであり、当該一定数の識別図柄10のうちの所定数以上の識別図柄10が特別図柄12である構成が特別態様として設定されるものである。
【0059】
本例のより具体的な例としては、特別図柄12がオールマイティな図柄として設定された構成が考えられる。つまり、特別図柄12(例えば「V」図柄)は、他の識別図柄10のどのような図柄としても機能しうる図柄として設定される。したがって、「V77」「V1V」といった組み合わせも、同じ識別図柄10が揃った状態として設定される。このような場合において、特別図柄12が所定数未満である場合には通常態様となり、所定数以上である場合には特別態様となる設定が考えられる。例えば、特別図柄12が二以上である場合には特別態様とする設定とし、
図9(a)に示す「V77」というような特別図柄12が二つ未満の組み合わせは通常態様であるが、
図9(b)に示す「V1V」というような特別図柄12が二つ以上の組み合わせは特別態様となるように構成する。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0061】
上記実施形態(各具体例)においては、複数当選報知演出によって、変動中情報だけでなく、保留情報の少なくとも一つに対応するものも大当たりであることが報知される(すなわち、複数の大当たりに当選していることが確定していることを報知する)ことを説明したが、当該演出は「示唆」に留まるものであってもよい。上記実施形態に則していえば、「V」の三つ揃いである特別態様が表示されたとき、保留情報の少なくとも一つに対応するものが大当たりである「可能性がある」ことを示すに留まる構成(保留情報の少なくとも一つに対応するものが大当たりであることが確定するものではない構成)としてもよい。例えば、「V」の三つ揃いである特別態様が表示されたときには、表示されなかった場合(通常態様が表示された場合)よりも、保留情報の少なくとも一つに対応するものが大当たりである蓋然性が高まったことを示すに留まる構成としてもよい。
【0062】
上記実施形態(各具体例)における識別図柄10は、当否判定結果を遊技者が容易に判別することができるよう表示装置91の表示領域911に表示される図柄であればよく、当否判定結果判別用の仮の図柄であってもよい。したがって、正確な当否判定結果を示す手段(遊技者が容易に当否判定結果を判別できるものであってもよいし、遊技者には判別が困難なものであってもよい)が別途設けられていてもよい。正確な当否判定結果を示す手段としては、一または複数のライトを有し、当該ライトの点灯態様(点灯パターン)によって当否判定結果を示す態様が例示できる。正確な当否判定結果を示す手段は、変動中情報に対応する当否判定結果の内容を示すもの(保留情報に対応する当否判定結果の内容を含まないもの)であるため、通常態様により当否判定結果が大当たりであることが示された場合と、特別態様により当否判定結果が大当たりであることが示された場合とで、正確な当否判定結果を示す手段による当否判定結果の報知態様は同じになることがあってもよい。
【0063】
上記実施形態(各具体例)では、変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりであり、かつ保留情報の少なくとも一つに対応するものが大当たりである場合に、識別図柄10の停止態様が特別態様となることを説明したが、特別態様は複数種設定されていてもよい。例えば、変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりであり、かつ保留情報の一つに対応するものが大当たりである場合に表示されうる第一特別態様と、変動中情報に対応する当否判定結果が大当たりであり、かつ保留情報の二以上に対応するものが大当たりである場合に表示されうる上記第一特別態様とは異なる第二特別態様が設定された構成としてもよい。また、変動中情報に対応する大当たりと保留中情報に対応する大当たりとが、遊技者に与える利益の大きさ等に応じてその都度変化しうる複数種の特別態様が設定されていてもよい。つまり、設定される特別態様は一種類に限られない
。
以下に上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を列挙する。
手段1にかかる遊技機は、当否判定に関する情報であって、既に当否判定結果を報知する演出が開始されているものに対応する変動中情報、および未だ当否判定結果を報知する演出が開始されていないものに対応する一または複数の保留情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段によって記憶される情報のうち、前記変動中情報に対応するものが当たりとなること、かつ前記一または複数の保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが当たりであることを示す場合に、これらの情報に対応するものが当たりとなることを、前記変動中情報に対応する当否判定結果の報知が完了するまでの間に報知または示唆する複数当選報知手段と、を備えることを特徴とする。
手段1にかかる遊技機によれば、複数当選報知手段により、変動中情報に対応する当否判定結果が当たりであることだけでなく、保留情報のいずれかに対応する当否判定結果が当たりであること、すなわち二以上の当たりに当選していることが変動中情報に対応する当否判定結果の報知が完了するまでの間に報知または示唆されるという、従来にない報知または示唆が実行されるものとすることが可能である。
なお、「変動中情報に対応する当否判定結果の報知が完了するまでの間」には、「変動中情報に対応する当否判定結果の報知と同時」を含むものとする。
手段2にかかる遊技機は、手段1に記載の遊技機において、前記当否判定結果を示すために用いられる識別図柄は、通常図柄およびこの通常図柄とは異なる特別図柄を含み、前記複数当選報知手段は、前記特別図柄により、前記変動中情報に対応するものが当たりとなること、かつ前記一または複数の保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが当たりとなることを報知または示唆することを特徴とする。
手段2にかかる遊技機のような構成とすれば、特別図柄に対する遊技者の関心を高めることが可能である。
手段3にかかる遊技機は、手段2に記載の遊技機において、前記当否判定結果は、前記識別図柄の停止態様によって示され、前記当否判定結果が当たりであることを示す前記識別図柄の停止態様として、前記変動中情報に対応するものが当たりであることを報知する通常態様と、前記変動中情報に対応するものが当たりとなること、かつ前記一または複数の保留情報の少なくともいずれか一つに対応するものが当たりとなることを報知または示唆する、前記特別図柄を含む特別態様と、が設定されていることを特徴とする。
手段3にかかる遊技機のように、変動中情報に対応するものが当たりであることと、変動中情報に対応するものが当たりとなること、およびいずれかの保留情報に対応するものが当たりとなることが、識別図柄の停止態様によって区別することができるようにすれば、識別図柄の停止態様に対する遊技者の関心を高めることが可能である。
手段4にかかる遊技機は、手段2または手段3に記載の遊技機において、前記通常図柄が、一または複数種の所定のタイミングで前記特別図柄に変化する図柄変化演出が実行可能であることを特徴とする。
手段4にかかる遊技機のように、通常図柄が特別図柄に変化することがあるようにすれば、当否判定結果を報知するための一連の演出に対する関心をさらに高めることが可能である。
手段5にかかる遊技機は、手段3または手段4に記載の遊技機において、前記当否判定結果を示す前記識別図柄の停止態様は、複数の前記識別図柄から構成されるものであり、当該複数の識別図柄のうちの所定数以上が、前記特別図柄となった場合には、最終的な前記識別図柄の停止態様が前記特別態様となることが確定することを特徴とする。
手段5にかかる遊技機のように、特別図柄が所定数以上となった場合に、特別態様となることが確定するようにすれば、停止した特別図柄の数(通常図柄から変化したものを含む)に対する遊技者の関心をさらに高めることが可能である。