(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152605
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20170619BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20170619BHJP
F01P 3/18 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
E02F9/00 M
B60K11/04 E
F01P3/18 G
B60K11/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-216204(P2013-216204)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2015-78524(P2015-78524A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】今野 徹
(72)【発明者】
【氏名】原 桂吾
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−139952(JP,A)
【文献】
特開2004−196191(JP,A)
【文献】
特開2012−192824(JP,A)
【文献】
特開平08−183350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B60K 11/04
F01P 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過給機用熱交換器を含む複数の熱交換器をクーリングユニットとして建屋カバー内に配設すると共に、該クーリングユニットの冷却風流れ方向上流側の建屋カバー上面部および側面部に空気取入口を開設してなる建設機械において、前記クーリングユニットの複数の熱交換器には、冷却風の流れに対して上流側に位置するものと下流側に位置するものとがあり、上流側に位置する上流側熱交換器は、該上流側熱交換器の最も上側に配設される過給機用熱交換器と該過給機用熱交換器の下側に配される下側の上流側熱交換器とが上下に並設するよう配される一方、最も上側の過給機用熱交換器と該過給機用熱交換器の下側の上流側熱交換器とのあいだに、過給機用熱交換器の冷却風流れ方向上流側の空気取入口から流入し、過給機用熱交換器の上流側を通って前記下側の上流側熱交換器に向かおうとする冷却風の流れを規制して該規制された冷却風を過給機用熱交換器に導入するための整流板を設けたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1において、整流板を、過給機用熱交換器の下側に配設される熱交換器をクーリングユニットのフレームに取り付けるための取付部材の上端部に取付けたことを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1または2において、過給機用熱交換器の上側に、建屋カバー上面部の空気取入口から流入して過給機用熱交換器の上方に向かう冷却風の流れを規制して冷却風を過給機用熱交換器に導入するための規制板を設けたことを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項3において、建屋カバー上面部の空気取入口は、建屋カバー上面部に設置されたグレーチングに形成されると共に、該グレーチングに規制板を取付けたことを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項において、過給機用熱交換器の冷却風流れ方向上流側の建屋カバー側面部の空気取入口に、該空気取入口から流入する冷却風を過給機用熱交換器に向けて流すためのルーバーを設けたことを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項において、建屋カバー上面部の空気取入口に、該空気取入口から流入する冷却風を過給機用熱交換器に向けて流すためのルーバーを設けたことを特徴とする建設機械。
【請求項7】
請求項6において、建屋カバー上面部の空気取入口は、建屋カバー上面部に設置されたグレーチングのフラットバー間の間隙により形成されると共に、該フラットバーを傾斜させてルーバーを形成したことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱交換器がクーリングユニットとして一纏めに搭載された油圧ショベル等の建設機械の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械のなかには、エンジン冷却水を冷却するためのラジエータ、作動油を冷却するためのオイルクーラー、タ−ボ過給機で生じる圧縮空気を冷却するための過給機クーラー(インタークーラー、吸気エアクーラー、アフタークーラー、ATTACとも称される)、空調用コンデンサ等の複数の熱交換器をクーリングユニットとして一纏めにして搭載すると共に、これら熱交換器を、冷却ファンの回転で流入する冷却風によって冷却するように構成したものがある。このものにおいて、クーリングユニットに複数の熱交換器を配置するにあたり、過給機クーラーや空調用コンデンサは、ラジエータやオイルクーラーと比べてより低温まで冷却する必要があって冷却風の流れ方向上流側に配されることが好ましく、また、過給機クーラーは、エンジンの過給機に接続される配管のレイアウト上、過給機クーラーの上側に他の熱交換器が配されていないことが好ましく、そこで、従来、過給機クーラーを空調用コンデンサの上側に配すると共に、これら過給機クーラーおよび空調用コンデンサをラジエータおよびオイルクーラーの冷却風流れ方向上流側に配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、前記クーリングユニットは、建設機械の建屋カバー内に配されると共に、クーリングユニットの冷却風流れ方向上流側の建屋カバー上面部や側面部には、冷却風となる空気を取り入れるための空気取入口が開設される。この場合、空気取入口とクーリングユニットとの間のスペース、つまり、クーリングユニットの冷却風流れ方向上流側のスペースは、機体のスペースに余裕がある場合には空きスペースにしておくことができる(例えば、特許文献2参照。)が、小旋回型油圧ショベルのように機体にスペースの余裕がない場合には、エアクリーナ等の部材の配設スペースとして利用されることがある(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−196191号公報
【特許文献2】特開2006−28873号公報
【特許文献3】特開2010−77634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献3のように、クーリングユニットの冷却風の流れ方向上流側のスペースにエアクリーナ等の部材が配設されている場合、該冷却風の流れ方向上流側に配された部材によって冷却風の流れが阻害されて熱交換器への風量が不足してしまう惧れがある。特に、過給機クーラーは、前述したように、ラジエータやオイルクーラーと比べてより低温まで冷却する必要があって冷却風の流れ方向上流側に配されているにも拘わらず、該過給機クーラーの上流側に部材が配設されていることによって所期の冷却風量を確保できない惧れがあり、さらに、過給機クーラーへの冷却風量が不足してしまうと過給機クーラーの冷却風流れ方向下流側に配される熱交換器への冷却風量も不足してしまうという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、過給機用熱交換器を含む複数の熱交換器をクーリングユニットとして建屋カバー内に配設すると共に、該クーリングユニットの冷却風流れ方向上流側の建屋カバー上面部および側面部に空気取入口を開設してなる建設機械において、前記クーリングユニットの複数の熱交換器
には
、冷却風の流れに対して上流側に位置するものと下流側に位置するものとがあり、上流側に位置する上流側熱交換器は、該上流側熱交換器の最も上側に配設される過給機用熱交換器と該過給機用熱交換器の下側に配される下側の上流側熱交換器とが上下に並設するよう配される一方、
最も上側の過給機用熱交換器
と該過給機用熱交換器の下側の上流側熱交換器とのあいだに、過給機用熱交換器の冷却風流れ方向上流側の空気取入口から流入し
、過給機用熱交換器の上流側を通って前記下側の上流側熱交換器に向かおうとする冷却風の流れを規制して
該規制された冷却風を過給機用熱交換器に導入するための整流板を設けたことを特徴とする建設機械である。
請求項2の発明は、請求項1において、整流板を、過給機用熱交換器の下側に配設される熱交換器をクーリングユニットのフレームに取り付けるための取付部材の上端部に取付けたことを特徴とする建設機械である。
請求項3の発明は、請求項1または2において、過給機用熱交換器の上側に、建屋カバー上面部の空気取入口から流入して過給機用熱交換器の上方に向かう冷却風の流れを規制して冷却風を過給機用熱交換器に導入するための規制板を設けたことを特徴とする建設機械である。
請求項4の発明は、請求項3において、建屋カバー上面部の空気取入口は、建屋カバー上面部に設置されたグレーチングに形成されると共に、該グレーチングに規制板を取付けたことを特徴とする建設機械である。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか一項において、過給機用熱交換器の冷却風流れ方向上流側の建屋カバー側面部の空気取入口に、該空気取入口から流入する冷却風を過給機用熱交換器に向けて流すためのルーバーを設けたことを特徴とする建設機械である。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか一項において、建屋カバー上面部の空気取入口に、該空気取入口から流入する冷却風を過給機用熱交換器に向けて流すためのルーバーを設けたことを特徴とする建設機械である。
請求項7の発明は、請求項6において、建屋カバー上面部の空気取入口は、建屋カバー上面部に設置されたグレーチングのフラットバー間の間隙により形成されると共に、該フラットバーを傾斜させてルーバーを形成したことを特徴とする建設機械である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、整流板によって、過給機用熱交換器の冷却風流れ方向上流側の空気取入口から流入した冷却風が過給機用熱交換器の下方に流れてしまうことを規制して冷却風を過給機用熱交換器に導入できることになり、而して、過給機用熱交換器に必要な風量の冷却風を確実に供給することができる。
請求項2の発明とすることにより、整流板を取付けるための専用の取付部材や取付けスペースを必要とせず、過給機用熱交換器の下側に配される熱交換器用の取付部材を利用して整流板を設けることができることになって、構造の簡略化、コストダウンに貢献できる。
請求項3の発明とすることにより、規制板によって、建屋カバー上面部の空気取入口から流入した冷却風が過給機用熱交換器の上方に流れてしまう無駄をなくすことができることになって、過給機用熱交換器に供給される冷却風の風量を増加させることができる。
請求項4の発明とすることにより、規制板を取付けるための専用の取付部材や取付けスペースを必要とせず、グレーチングを利用して規制板を設けることができることになって、構造の簡略化、コストダウンに貢献できる。
請求項5の発明とすることにより、建屋カバー側面部の空気取入口から流入した冷却風を、確実に過給機用熱交換器に供給することができる。
請求項6の発明とすることにより、建屋カバー上面部の空気取入口から流入した冷却風を、確実に過給機用熱交換器に供給することができる。
請求項7の発明とすることにより、ルーバーのための別途部材やスペースを必要とせず、グレーチングのフラットバーを用いてルーバーを形成できることになって、構造の簡略化、コストダウンに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】エンジンルーム内左部を後方側から視た図である。
【
図5】エンジンルーム左部の平面斜視図(エンジンフードは省略)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は建設機械の一例である油圧ショベルの上部旋回体であって、該上部旋回体1は、前半側左右方向中央部にフロント作業部2の基端部が起倒自在に軸支されていると共に、前半側左部にはキャブ3が搭載され、また、前半側右部には、コントロールバルブ等の機器(図示せず)が収納される機器収納室4や、燃料タンク5、作動油タンク6等が配設されている。さらに、上部旋回体1の後半側には後述するエンジンルーム7が配設され、該エンジンルーム7の後方にはカウンタウエイト8が装着されている。尚、以下の説明において、機体(上部旋回体1)の前後左右を前後左右として説明する。
【0009】
前記エンジンルーム7は、左右方向中央部にエンジン9が収納されると共に、該エンジン9の右側にはエンジン9により駆動される油圧ポンプ10が収納され、また、エンジン9の左側には後述するクーリングユニット11が収納されているが、前記エンジン9は、エンジン9への吸気を圧縮する過給機(図示せず)を備えて構成されている。
【0010】
前記クーリングユニット11は、フレーム12に複数の熱交換器を組付けてユニット化したものであって、本実施の形態では、複数の熱交換器として、過給機で圧縮された空気を冷却するための過給機クーラー(本発明の過給機用熱交換器に相当する)13と、空調用コンデンサ14と、エンジン冷却水を冷却するためのラジエータ15と、作動油を冷却するためのオイルクーラー16とが設けられている。そして、これら熱交換器は、エンジン9のクランクシャフトに連結される冷却ファン17の回転で流入する冷却風によって冷却されるようになっている。尚、図中、17aは冷却ファンとフレーム12との間を囲って冷却風の流れを整えるシュラウドである。また、13aは過給機クーラー13と過給機とを接続する配管であって、該配管13aは、過給機クーラー13およびラジエータ15、オイルクーラー16の上方を通ってエンジン9の過給機に至るように配されている。
【0011】
ここで、前記クーリングユニット11の複数の熱交換器は、過給機クーラー13が上側に位置し空調用コンデンサ14が下側に位置する状態で過給機クーラー13と空調用コンデンサ14とが上下に並設されていると共に、これら過給機クーラー13および空調用コンデンサ14が冷却風の流れ方向上流側に位置し、その下流側(冷却ファン17に近い側)にラジエータ15およびオイルクーラー16が位置するように配置されている。尚、前記過給機クーラー13および空調用コンデンサ14は本発明の上流側熱交換器に相当する。
【0012】
一方、19はエンジンルーム7の左面部を形成する開閉自在なサイドカバー(本発明の建屋カバー側面部に相当する)であって、該サイドカバー19は、クーリングユニット11に対して冷却風の流れ方向上流側に位置しているが、該サイドカバー19と過給機クーラー13との間、つまり、過給機クーラー13の冷却風流れ方向上流側のスペースにはエアクリーナ20が配設されている。該エアクリーナ20は、空気中のダストを分離して清浄な空気をエンジン9の過給機に供給するものであって、円筒形状をしているが、過給機クーラー13に対して傾斜状となるように配されていて、機体前側に位置する円筒底が過給機クーラー13に近接し、機体後側に位置する円筒底がサイドカバー19に近接している。尚、図中、20aはプレクリーナである。
【0013】
前記サイドカバー19には、エンジンルーム7内に冷却風を取り入れるための第一、第二、第三空気取入口19a、19b、19cが開設されている。これら第一、第二、第三空気取入口19a、19b、19cは、複数の横長のスリットを縦横に並設することで形成されているが、第一、第二空気取入口19a、19bはサイドカバー19の上半側、つまり過給機クーラー13の冷却風流れ方向上流側に上下に並設する状態で設けられ、第三空気取入口19cはサイドカバー19の下半側、つまり空調用コンデンサ14の冷却風流れ方向上流側に設けられていると共に、第一、第二空気取入口19a、19bは横方向に長く、第三空気取入口19cは第一、第二空気取入口19a、19bよりも横幅が狭く形成されている。さらに、過給機クーラー13の冷却風流れ方向上流側に設けられる第一、第二空気取入口19a、19bの下側には、これら第一、第二空気取入口19a、19bから流入した冷却風を過給機クーラー13に向けて流すべく、先端側が上向きとなるように傾斜したルーバー21が取付けられている。そして、これらルーバー21によって過給機クーラー13に向けて冷却風が流れることで、第一、第二空気取入口19a、19bから流入した冷却風を確実に過給機クーラー13に供給することができるようになっている。一方、過給機クーラー13の下側に配される空調用コンデンサ14には、第三空気取入口19cから流入した冷却風が供給されるようになっている。尚、図中、21aはルーバー21をサイドカバー19に取り付けるためのルーバー取付部である。 また、第一空気取入口19aの下側に設けられるルーバー21は、エアクリーナー20との干渉を回避するために横方向中間部で二つに分割されている。
【0014】
一方、エンジンルーム7の上側は、エンジン9およびクーリングユニット11の上方が開閉自在なエンジンフード22によって覆蓋されていると共に、該エンジンフード22の左側から前記サイドカバー19に至る部分のエンジンルーム7上面部(本発明の建屋カバー上面部に相当する)には、グレーチング23が設置されている。該グレーチング23は、枠体23a内に複数の平行なフラットバー23bが間隙を存する状態で組込まれたものであって、これらフラットバー23b間の間隙がエンジンルーム7内に空気を取り入れるための空気取入口23cになっており、これにより、クーリングユニット11の冷却風流れ方向上流側のエンジンルーム7上面部に空気取入口23cが形成されている。ここで、前記フラットバー23bは、該フラットバー23b間の空気取入口23cから流入した冷却風を過給機クーラー13に向けて流すべく、先端側が過給機クーラー13を向くように傾斜状に設けられていると共に、上下長さが枠体23aの上下長さよりも長く形成されている。そして、該傾斜状のフラットバー23bによって過給機クーラー13に向けて冷却風が流れることで、エンジンルーム7上面部の空気取入口23cから流入した冷却風を確実に過給機クーラー13に供給することができるようになっている。尚、本実施の形態において、前記グレーチング23の傾斜状のフラットバー23bは、本発明の建屋カバーの上面部の空気取入口に設けられるルーバーに相当する。
【0015】
また、前記グレーチング23の前側には、エアクリーナ取付部24がグレーチング23と一体的に形成されている。そして、該エアクリーナ取付部24には、プレークリーナ20aからエアクリーナ20に至る配管20bが貫通されると共に、エアクリーナ取付部24の上側にはプレクリーナ20aが配置され、エアクリーナ取付部24の下側にはエアクリーナ20が取付け支持されている。
【0016】
さらに、前記グレーチング23の右側の枠体23aには、過給機クーラー13の上面部13bに間隙を存して平行状に対向する支持プレート25が取付けられており、該支持プレート25の上面に、開閉自在なエンジンフード22の左側縁部が上側から当接するように構成されているが、該支持プレート25には、過給機クーラー13の上面部13bに向けて延設されて支持プレート25と過給機クーラー上面部13bとの間の間隙を塞ぐ規制板26が一体形成されている。そして、該規制板26によって、グレーチング23の空気取入口23cから流入した冷却風が、過給機クーラー13を通過せずに支持プレート25と過給機クーラー上面部13bとの間隙を通って過給機クーラー13の上方に抜けてしまうことを規制できると共に、規制板26によって上方への流れが規制された冷却風は過給機クーラー13に導入されるようになっており、この様にして、過給機クーラー13の上側に、グレーチング23の空気取入口23cから流入して過給機クーラー13の上方に向かう冷却風の流れを規制して冷却風を過給機クーラー13に導入するための規制板26が設けられている。
【0017】
一方、27は過給機クーラー13の下側に配される空調用コンデンサ14をクーリングユニット11のフレーム12に取付けるための取付プレート(本発明の取付部材に相当する)であって、該取付プレート27は、空調用コンデンサ14の左右縁部が取付けられる左右の取付辺27a、27bと、これら左右の取付辺27a、27bの上部間を連結する上辺27cとから形成されている。さらに、該取付プレート27の上辺27cの上端部には、サイドカバー19側に向けて水平状に突出する整流板28が一体的に取付けられている。そして、該整流板28によって、過給機クーラー13の冷却風流れ方向上流側に設けられた前記サイドカバー19の第一、第二空気取入口19a、19bおよびグレーチング23の空気取入口23cから流入した冷却風が過給機クーラー13
の上流側を通って下方の空調用コンデンサ14側に流れてしまうことを規制すると共に、整流板28にあたって下方への流れが規制された冷却風は過給機クーラー13に導入されるようになっており、この様にして、過給機クーラー13の下側に、サイドカバー19の第一、第二空気取入口19a、19bおよびグレーチング23の空気取入口23cから流入して過給機クーラー13の下方に向かう冷却風の流れを規制して冷却風を過給機クーラー13に導入するための整流板28が設けられている。
【0018】
而して、エンジンルーム7上面部に設置されたグレーチング23の空気取入口23cから流入した冷却風は、傾斜状のフラットバー23bによって過給機クーラー13に向けて流れ、また、サイドカバー19の第一、第二空気取入口19a、19bから流入した冷却風はルーバー21によって過給機クーラー13に向けて流れ、さらに、過給機クーラー13の上側に設けられた規制板26によって、グレーチング23の空気取入口23cから流入して過給機クーラー13の上方に向かう冷却風の流れが規制され、また、過給機クーラー13の下側に設けられた整流板28によって、グレーチング23の空気取入口23cおよびサイドカバー19の第一、第二空気取入口19a、19bから流入して過給機クーラー13の下方に向かう冷却風の流れが規制されるようになっており、これらにより、過給クーラー13の冷却風流れ方向上流側にエアクリーナ20が配設されていても、過給機クーラー13に必要な風量の冷却風を供給できるようになっている。
【0019】
叙述の如く構成された本形態において、油圧ショベル1には、過給機クーラー13、空調用コンデンサ14、ラジエータ15、オイルクーラー16の複数の熱交換器がクーリングユニット11として一纏めにされてエンジンルーム7内に配設されると共に、クーリングユニット11の冷却風流れ方向上流側のエンジンルーム7上面部(建屋カバー上面部)およびサイドカバー19(建屋カバー側面部)には空気取入口23c、19a、19b、19c(エンジンルーム7上面部に設置されたグレーチング23に形成の空気取入口23c、サイドカバー19に形成の第一、第二、第三空気取入口19a、19b、19c)が開設されているが、前記クーリングユニット11の複数の熱交換器は、過給機クーラー13および空調用コンデンサ14が冷却風の流れ方向に対して最も上流側に配され、且つ、過給機クーラー13が空調用コンデンサ14の上側に配設されていると共に、過給機クーラー13の下側には、過給機クーラー13の冷却風流れ方向上流側に位置する空気取入口23c、19a、19c(エンジンルーム7上面部に設置されたグレーチング23に形成の空気取入口23c、サイドカバー19の上半側に形成の第一、第二空気取入口19a、19b)から流入して過給機クーラー13の下方に向かう冷却風の流れを規制して冷却風を過給機クーラー13に導入するための整流板28が設けられている。
【0020】
この結果、前記整流板28によって、過給機クーラー13の冷却風流れ方向上流側の空気取入口23c、19a、19cから流入した冷却風が過給機クーラー13の下方に流れてしまうことを規制して冷却風を過給機クーラー13に導入できることになり、而して、例えば本実施の形態のエアクリーナ20のように過給機クーラー13の冷却風流れ方向上流側に冷却風の流れを妨げる部材が配設されていても、過給機クーラー13に必要な風量の冷却風を確実に供給できることになる。そして、該過給機クーラー13に必要な風量の冷却風が供給されることによって、過給機クーラー13の冷却風流れ方向下流側に配設されるラジエータ15やオイルクーラー16にも必要な風量の冷却風を供給できることになる。
【0021】
このものにおいて、前記整流板28は、過給機用クーラー13の下側に配設される空調用コンデンサ14をクーリングユニット11のフレーム12に取付けるための取付プレート27の上端部に取付けられている。而して、整流板28を取付けるための専用の取付部材や取付けスペースを必要とせず、空調用コンデンサ14用の取付プレート27を利用して容易に整流板28を設けることができることになって、構造の簡略化、コストダウンに貢献できる。
【0022】
さらにこのものでは、過給機クーラー13の上側に、エンジンルーム7上面部の空気取入口23cから流入して過給機クーラー13の上方に向かう冷却風の流れを規制して冷却風を過給機クーラー13に導入するための規制板26が設けられている。而して、該規制板26によって、エンジンルーム7上面部の空気取入口23cから流入した冷却風が過給機クーラー13の上方に流れてしまう無駄をなくすことができることになって、過給機クーラー13に供給される冷却風の風量を増加させることができる。
【0023】
しかもこのものにおいて、エンジンルーム7上面部の空気取入口23cは、エンジンルーム7上面部に設置されたグレーチング23に形成されると共に、該グレーチング23に前記規制板26が取付けられている。この結果、規制板26を取付けるための専用の取付部材や取付けスペースを必要とせず、グレーチング23を利用して容易に規制板26を設けることができることになって、構造の簡略化、コストダウンに貢献できる。
【0024】
さらにこのものにおいて、サイドカバー19の第一、第二空気取入口19a、19bには、該第一、第二空気取入口19a、19bから流入する冷却風を過給機クーラー13に向けて流すためのルーバー21が設けられている。この結果、過給機クーラー19の冷却風流れ方向上流側に位置するサイドカバー19の第一、第二空気取入口19a、19bから流入した冷却風を、確実に過給機クーラー13に供給することができる。
【0025】
さらにこのものにおいて、エンジンルーム7上面部の空気取入口23cには、該空気取入口23cから流入する冷却風を過給機クーラー13に向けて流すためのルーバー(傾斜状のフラットバー23b)が設けられている。この結果、過給機クーラー19の冷却風流れ方向上流側のエンジンルーム7上面部の空気取入口23cから流入した冷却風を、確実に過給機クーラー13に供給することができる。
【0026】
しかも、前記エンジンルーム7上面部の空気取入口23cに設けられるルーバーは、空気取入口23cを形成するグレーチング23のフラットバー23bを傾斜させることで形成されている。この結果、ルーバーのための別途部材やスペースを必要とせず、グレーチング23のフラットバー23bを用いてルーバーを形成できることになって、構造の簡略化、コストダウンに貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械において、過給機用熱交換器を含む複数の熱交換器をクーリングユニットとして一纏めに搭載する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
7 エンジンルーム
11 クーリングユニット
12 フレーム
13 過給機クーラー
14 空調用コンデンサ
15 ラジエータ
16 オイルクーラー
19 サイドカバー
19a、19b、19c 第一、第二、第三空気取入口
20 エアクリーナ
21 ルーバー
23 グレーチング
23b フラットバー
23c 空気取入口
26 規制板
27 取付プレート
28 整流板