特許第6152655号(P6152655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6152655高保水性ブロックおよび高保水性ブロックの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152655
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】高保水性ブロックおよび高保水性ブロックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 5/06 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
   E01C5/06
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-29932(P2013-29932)
(22)【出願日】2013年2月19日
(65)【公開番号】特開2014-159680(P2014-159680A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大和 功一郎
(72)【発明者】
【氏名】綿屋 晃希
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−075270(JP,A)
【文献】 特開昭61−102902(JP,A)
【文献】 特開2012−193079(JP,A)
【文献】 特開2011−184222(JP,A)
【文献】 特開2007−291783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00−17/00
C04B 2/00−32/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートから製造される高保水性ブロックであって、
前記コンクリートは、水、セメント、化学混和剤及び軟質高炉スラグ細骨材を含み、前記コンクリートの空隙容積量は300〜420L/mであり、前記コンクリートの水/セメント比は10〜30%であり、前記軟質高炉スラグ細骨材の空隙容積量が30〜80L/mであり、
前記高保水性ブロックは前記コンクリートを30〜50℃で蒸気養生して製造することを特徴とする高保水性ブロック。
【請求項2】
前記コンクリートは、さらに混和材を含む、請求項1に記載の高保水性ブロック。
【請求項3】
前記セメントが、早強ポルトランドセメントである、請求項1又は2に記載の高保水性ブロック。
【請求項4】
前記混和材は、無水石膏を含む、請求項2又は3に記載の高保水性ブロック。
【請求項5】
前記軟質高炉スラグ細骨材の吸水率が1%以上及び粗粒率が2.0〜4.0である、請求項1〜の何れか1項に記載の高保水性ブロック。
【請求項6】
前記コンクリートの単位水量が40〜60kg/m、単位セメント量が230〜350kg/m、単位細骨材量が1200〜1500kg/m及び単位化学混和剤量が3.0〜8.0kg/mである、請求項1〜の何れか1項に記載の高保水性ブロック。
【請求項7】
前記コンクリートの単位混和材量が20〜40kg/mである、請求項2〜の何れか1項に記載の高保水性ブロック。
【請求項8】
水、セメント、化学混和剤及び軟質高炉スラグ細骨材を含む材料を混合し、コンクリートを調製し型枠に入れる工程と、
前記コンクリートを加圧振動成形した後、30〜50℃で蒸気養生して請求項1〜の何れか1項に記載の高保水性ブロックを得る工程とを含む、高保水性ブロックの製造方法。
【請求項9】
前記コンクリートは、さらに混和材を含む、請求項に記載の高保水性ブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市部におけるヒートアイランド現象を緩和するために路面温度の上昇を抑制することおよびゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨における洪水を緩和することを目的とした高保水性ブロックおよび高保水性ブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路面温度の上昇を抑制することおよびゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨における洪水を緩和するためには,保水量が大きいブロックが好ましい。現状のプレキャスト無筋コンクリート製品のJIS A 5371:2010の保水性ブロックには,保水量は0.15g/cm以上,曲げ強度は3N/mm以上と規定されている。しかしながら,規格値の保水量0.15g/cmでは,路面温度の上昇抑制の機能を保つための灌水の頻度や必要性が高くなる。また,ゲリラ豪雨対策としても保水量0.15g/cmは十分ではない。この点を改善する既往のコンクリートの高保水化技術として,例えば,特許文献1のような保水性材料を用いる方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−308858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法では、保水量を大きくすると曲げ強度は小さくなる傾向にある。具体的には、特許文献1の表3には,保水量が0.24g/cmの場合,曲げ強度は3.2N/mmが得られているが,保水量が0.27g/cmの場合,曲げ強度は2.1N/mmであり,JIS A 5371の保水性ブロックの曲げ強度の規格を満足しない。
【0005】
そこで本発明は、JIS A 5371に規定する保水性ブロックよりも保水量を大きく、具体的には0.25g/cm以上とし、更に、曲げ強度3.0N/mm以上である高保水性ブロックを提供することを目的とする。また、上記保水性ブロックよりも保水量の大きい高保水性ブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、保水性ブロック用の細骨材中の空隙容積量とコンクリート中の空隙容積量の和を特定範囲にし、更に硬化促進材料を使用することによって、保水量が大きく、強度も高い高保水性ブロックが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、コンクリートから製造される高保水性ブロックであって、前記コンクリートは、水、セメント、化学混和剤及び軟質高炉スラグ細骨材を含み、前記コンクリートの空隙容積量は300〜420L/mであり、前記コンクリートの水/セメント比は10〜30%であり、前記高保水性ブロックは前記コンクリートを30〜50℃で蒸気養生して製造する、高保水性ブロックを提供する。
【0007】
この高保水性ブロックは、保水量を十分に多くすることができる。例えば、従来の保水性ブロックのJIS A 5371:2010規格値である保水量0.15g/cmよりも多い0.25g/cm以上の保水量を有することができる。また、曲げ強度も、3.0N/mm以上と十分ある。
【0008】
本発明の高保水性ブロックに使用するコンクリートは、さらに混和材を含むことが好ましい。これによって、本発明の高保水性ブロックは、一層曲げ強度を高めることができる。
【0009】
また、本発明は、水、セメント、化学混和剤及び軟質高炉スラグ細骨材を含む材料を混合し、コンクリートを調製し型枠に入れる工程と、前記コンクリートを加圧振動成形した後、30〜50℃で蒸気養生して高保水性ブロックを得る工程とを含む、高保水性ブロックの製造方法を提供する。
【0010】
このように製造された高保水性ブロックは、保水量を十分に多くすることができる。例えば、従来の保水性ブロックのJIS A 5371:2010規格値である保水量0.15g/cmよりも多い0.25g/cm以上の保水量を有することもできる。
【0011】
この製造方法では、コンクリートを調製する工程において、さらに混和材を含むことが好ましい。これによって、製造される高保水性ブロックの曲げ強度をより大きくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来の標準的な保水性ブロックよりも保水量が大きく、曲げ強度も十分にある高保水性ブロックを提供することができる。また、従来の標準的な高保水性ブロックよりも保水量が大きく、曲げ強度も十分にある高保水性ブロックの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
[高保水性ブロック]
本実施形態の高保水性ブロックに使用するコンクリートは、水、セメント、化学混和剤及び軟質高炉スラグ細骨材を含む。コンクリートは、更に混和材を含むとより好ましい。
【0015】
細骨材としては、軟質高炉スラグ細骨材を使用する。高炉水砕スラグには、スラグ温度、冷却水量、水圧をコントロールすることにより、軟質で軽いもの(軟質高炉スラグ)と、硬質で重いもの(硬質高炉スラグ)がある。軟質高炉スラグは、一般に微粉砕され、高炉セメント用の添加スラグ粉末として使用されたり、肥料として使用される。上記軟質高炉スラグ細骨材とは、このように骨材としてはあまり使用されていない軟質高炉スラグを粗粉砕したものである。細骨材として軟質高炉スラグ細骨材を使用することにより、硬質高炉スラグや他の細骨材よりもブロックの保水量を高めることが可能となる。
【0016】
軟質高炉スラグ細骨材の吸水率は、1%以上、好ましくは1.0〜8%、より好ましくは2.0〜7%、さらに好ましくは3.0〜6%、最も好ましくは3.5〜5.0%である。また、粗粒率が2.0〜4.0であるものを使用するのが好ましく、より好ましくは2.2〜3.8、さらに好ましくは2.4〜3.2である。これらの範囲であれば、コンクリートの充填率が低くなり、高保水性ブロックの保水量も多くでき、曲げ強度も十分な範囲に維持することが可能となる。
【0017】
化学混和剤としては、AE剤や高性能減水剤が使用出来る。AE剤としては、カチオン性、アニオン性、両性、ノニオン性の界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、ノニオン性の界面活性剤が好ましい。高性能減水剤としては、ナフタレンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系、ポリカルボン酸系、ポリエーテル系の化合物が挙げられる。これらの中でも、特にポリエーテル系またはポリカルボン酸系の化合物が好ましい。
混和材は、無水石膏、もしくは,無水石膏を主成分とする高強度混和材、例えばデンカΣ1000、Σ2000等を使用する。
【0018】
コンクリートの空隙容積量は、300〜420L/m、好ましくは310〜410L/m、より好ましくは320〜400L/m、さらに好ましくは325〜390L/mである。これらの範囲であれば、高保水性ブロックの保水量を多くし、適度な曲げ強度を保つことが可能となる。
ここで、コンクリートの空隙容積量とは、「コンクリートの空隙容積量−細骨材の空隙容積量」(コンクリートの空隙容積量から細骨材の空隙容積量を差し引いた空隙容積量)と細骨材の空隙容積量との和である。即ち、細骨材を含むコンクリート全体の空隙容積量の意味で、一般に使用される細骨材の空隙量を考慮しないコンクリートの空隙容積量とは異なる。具体的な算出方法は、以下の「実施例」に詳述する。
また、細骨材の空隙容積量は、30〜80L/m、好ましくは40〜70L/m、より好ましくは50〜60L/m、さらに好ましくは52〜58L/mである。これらの範囲であれば、高保水性ブロックの保水量を多くすることが可能となる。
【0019】
コンクリートの水/セメント比の範囲は、10〜30%であり、好ましくは、15〜20%である。水/セメント比が15%よりも小さいと、粘性が高くなり、成形しにくくなる。水/セメント比が30%よりも大きいと、単位細骨材容積を大きくした場合に、曲げ強度が低くなる傾向がある。
【0020】
コンクリートの単位水量は40〜60kg/m、好ましくは45〜55kg/m、より好ましくは48〜53kg/mであり、単位セメント量は200〜400kg/m、好ましくは220〜350kg/m、より好ましくは250〜300kg/mであり、単位細骨材量は1200〜1500kg/m、好ましくは1100〜1400kg/m、より好ましくは1200〜1350kg/mであり、単位化学混和剤量は3.0〜10.0kg/m、好ましくは3.5〜8.0kg/m、より好ましくは4.0〜6.5kg/mである。これらの範囲であれば、高保水性ブロックの成形性や曲げ強度も良好で、保水量も多くすることが可能となる。
【0021】
本実施形態の高保水性ブロックは、保水量が多いことから歩道や建築物の屋上等に設置し、水の気化熱により、真夏の温度上昇を防ぐことができ、ヒートアイランド対策に適している。
【0022】
[高保水性ブロックの製造方法]
本実施形態の高保水性ブロックは、上記使用材料を練混ぜ、型枠に入れて加圧振動成形し、脱型した後、30〜50℃の温度で蒸気養生することにより得られる。まず、セメントと軟質高炉スラグ骨材とを混合し、これに水及び化学混和剤を加えて練り混ぜ、コンクリートを調製する。コンクリートには、必要に応じて混和材を含ませることが出来る。
【0023】
次に、当該コンクリートを加圧振動成形機の型枠に入れ、振動締固めを行って、コンクリートの成形体を作製する。このとき、振動締固め後の細骨材中の空隙容積量とコンクリート中の空隙容積量の和が300〜400L/mとなる水準まで振動することが好ましい。コンクリートを振動締固め成形後に脱型し、30〜50℃の温度、好ましくは35〜45℃の温度で蒸気養生して高保水性ブロックを得る。蒸気養生する時間は0.5〜2日、好ましくは0.8〜1.5日とする。これらの温度、時間とすることで高い保水性、適度な曲げ強度が得られる。
【0024】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0026】
1.高保水性ブロックの製造
[使用材料]
高保水性ブロックを製造するために、以下に示す材料を準備した。
(1)セメント
・普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm,宇部三菱セメント株式会社製)
・早強ポルトランドセメント,密度3.14g/cm,宇部三菱セメント株式会社製)
(2)混和材
・高強度混和材,デンカΣ2000(無水石膏−シリカフューム系,密度2.49g/cm,電気化学工業株式会社製)
・高強度混和材,デンカΣ1000(無水石膏系,密度2.79g/cm,電気化学工業株式会社製)
・天然無水石膏(密度2.90g/cm,常陸化工株式会社製)
(3)細骨材
細骨材としては、軟質高炉スラグ細骨材を使用した。表1に軟質高炉スラグ細骨材の粒度、粗粒率、表乾密度、吸水率を示す。なお、粒度及び粗粒率は、JIS A 1102:2006の「骨材のふるい分け試験方法」に準じて測定した。また、表乾密度及び吸水率は、JIS A 1109:2006「細骨材の密度及び吸水率試験方法」に準じて測定した。
【0027】
【表1】
【0028】
(4)化学混和剤
・商品名:マイテイ21WH、ポリエーテル系、花王株式会社製
(5)練混ぜ水
・上水道水
【0029】
[コンクリートの配合]
上述のセメント、軟質高炉スラグ細骨材、化学混和剤及び水を、必要に応じて混和材を所定の比率で配合して、配合No.1〜10のコンクリートを調製した。それぞれのコンクリートの配合を表2に示す。表2の配合はコンクリート中の空隙容積量から細骨材の空隙容積量を差し引いた空隙容積量を330L/mとした場合の単位量である。
【0030】
[コンクリートの練混ぜ]
表2に示した配合No.1〜9のコンクリートの練り混ぜは次の手順で行った。すなわち、パドルミキサ内に、軟質高炉スラグ細骨材及びセメント、必要に応じて混和材を投入して30秒間空練りした後、水及び化学混和剤を加えて2分間練り混ぜた。
【0031】
[供試体の成形]
練り混ぜたコンクリートを以下の方法によって成形し、成形体を作製した。
(1)加圧振動成形機による成形
ILB成形機(株式会社タイガーマシン製作所製)を使用して以下の要領で供試体(成形体)を作製した。供試体寸法は、100×200×80mmとした。型枠内に一定量(設定充填率に相当する容積分)の試料を投入して上面を平坦に均した後、加圧振動成形した。加圧振動条件は、圧力5N/mm、振動数3600vpm、振動時間15秒間とした。
【0032】
[供試体の養生]
コンクリート供試体の養生は、所定の温度で蒸気養生し、材齢1日以降は20℃の恒温室で気中保管した。また、比較として、20℃の恒温室で材齢1日までシート養生し、材齢1日以降は気中保管した。
【0033】
以上で説明したように、表2に示す配合No.1〜9のコンクリートを用いて、実施例1〜5及び比較例1〜4の高保水性ブロックをそれぞれ製造した。
【0034】
2.高保水性ブロックの試験及び評価
【0035】
[保水性試験]
保水性試験は、材齢7日においてJIS A 5371:2010「プレキャスト無筋コンクリート製品」の保水性試験方法に準じて行い、保水量を求めた。
[吸水性試験]
吸水性試験は、材齢7日においてJIS A 5371:2010「プレキャスト無筋コンクリート製品」の吸水性試験方法に準じて行い、吸水率を求めた。
[曲げ強度試験]
曲げ強度試験は、ILB供試体から得られた高保水性ブロックについて実施した。材齢7日において、JIS A 5371:2010「プレキャスト無筋コンクリート製品(推奨仕様B−3 インターロッキングブロック)」の曲げ強度試験方法に準じて行った。
[コンクリートの空隙容積量−細骨材の空隙容積量]
「コンクリートの空隙容積量−細骨材の空隙容積量」は、式(1)により求めた。即ち、一般に使用される、細骨材の空隙量を考慮しないコンクリートの空隙容積量と同義である。
1000−(コンクリートの単位容積質量/空隙がないと仮定した場合のコンクリートの単位容積質量)×1000 (L/m)・・・(1)
ここに、
コンクリートの単位容積質量:コンクリートの質量/コンクリートの容積(kg/m
空隙がないと仮定した場合のコンクリートの単位容積質量:コンクリート中に空隙がないと仮定した場合のコンクリート1mあたりのコンクリートの質量(kg/m
[細骨材中の空隙容積量]
細骨材中の空隙容積量は、式(2)により求めた。
単位細骨材量×細骨材の吸水率/100 (L/m)・・・(2)
ここに、
単位細骨材量:コンクリート1mに含まれる細骨材質量(kg/m
細骨材の吸水率:JIS A 1109:2006「細骨材の密度及び吸水率試験方法」に準じて求めた。

[コンクリートの空隙容積量]
「コンクリートの空隙容積量−細骨材の空隙容積量」と細骨材の空隙容積量の和とした。即ち、一般に使用される細骨材の空隙量を考慮しないコンクリートの空隙容積量とは異なる。
【0036】
[試験結果]
コンクリートの配合および試験結果を表2に示す。
比較例1および実施例1は,セメントとして普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートについて,材齢1日までの養生を変えたものである。比較例2,実施例2および比較例3は,セメントとして早強ポルトランドセメントを使用したコンクリートについて,材齢1日までの養生を変えたものである。
実施例3および比較例4は,セメントとして早強ポルトランドセメント,混和材として無水石膏−シリカフューム系のデンカΣ2000を使用したコンクリートについて,材齢1日までの養生を変えたものである。実施例4は,セメントとして早強ポルトランドセメント,混和材として無水石膏系のデンカΣ1000を使用したコンクリートについて,材齢1日まで40℃で蒸気養生したものである。実施例5は,実施例4の混和材を天然無水石膏としたものである。なお、表中のセメント種別で、Nとは普通ポルトランドセメント、Hとは早強ポルトランドセメントを示す。
【0037】
[評価]
表2に示す実施例及び比較例の結果から、コンクリートの空隙容積量が300〜420L/mであり、コンクリートの水/セメント比が10〜30%であるコンクリートを使用すれば、従来の標準的な高保水性ブロックよりも保水量が大きく、また、曲げ強度も十分にあるブロックが得られることが確認された。
【0038】
【表2】