【実施例】
【0021】
(第1実施例)
図1を参照し、蓄電装置100の構造を説明する。蓄電装置100は、ケース28と、電極組立体62と、正極端子18と、負極端子46と、電流遮断装置58を備えている。ケース28は、金属製であり、略直方体形状である。ケース28は、蓋部28aと本体部28bを備えている。ケース28の内部には、電極組立体62と電流遮断装置58が収容されている。電極組立体62は、正極と負極を備えている(図示省略)。正極タブ26が正極に固定されており、負極タブ34が負極に固定されている。ケース28の内部は、電解液で満たされており、大気が除去されている。
【0022】
正極端子18と負極端子46は、ケース28の同一側(蓋部28aが設けられている側)に配置されている。すなわち、正極端子18と負極端子46の双方が、電極組立体62に対して同じ方向に配置されている。正極端子18は、ボルト16と金属板14を備えている。正極端子18は、正極カシメ部材6に接続されている。具体的には、正極カシメ部材6とボルト16が、金属板14によって接続されている。負極端子46は、ボルト42と金属板44を備えている。負極端子46は、負極カシメ部材52に接続されている。負極カシメ部材52とボルト42が、金属板44によって接続されている。負極カシメ部材52は、第1通電部材の一例である。正極カシメ部材6と負極カシメ部材52は、ケース28の内外を通じている。また、正極カシメ部材6と負極カシメ部材52は、ケース28に固定されている。なお、正極端子18及び正極カシメ部材6を併せて「正極端子」と捉えることもできる。同様に、負極端子46及び負極カシメ部材52を併せて「負極端子」と捉えることもできる。
【0023】
正極端子18は、絶縁部材8によってケース28から絶縁されている。絶縁部材8は、突出部8aと平板部8bを備えている。ボルト16の一部(ケース28側)が突出部8aに囲まれている。金属板14は、突出部8a及び平板部8bの上面に配置されており、絶縁部材8の形状に倣って屈曲した形状を有している。負極端子46は、絶縁部材48によってケース28から絶縁されている。絶縁部材48は、突出部48aと平板部48bを備えている。ボルト42の一部(ケース28側)が突出部48aに囲まれている。金属板44は、突出部48a及び平板部48bの上面に配置されており、絶縁部材48に形状に倣って屈曲した形状を有している。なお、正極端子18と負極端子46のいずれか一方がケース28と導通していてもよい。
【0024】
正極カシメ部材6に、正極リード24が接続されている。正極リード24は、正極タブ26に接続されている。正極カシメ部材6は、正極リード24を介して、正極タブ26に電気的に接続されている。すなわち、正極端子18は、電極組立体62の正極に電気的に接続されている。正極リード24は、絶縁シート22によってケース28から絶縁されている。正極カシメ部材6のケース28内に位置する部分は、絶縁部材2によってケース28から絶縁されている。正極カシメ部材6とケース28の間に絶縁性のシール部材4が配置されている。正極カシメ部材6とケース28の隙間は、シール部材4によってシールされている。
【0025】
負極カシメ部材52は、電流遮断装置58に接続されている。電流遮断装置58の詳細は後述する。電流遮断装置58は、金属製の接続部材38を介して、負極リード36に接続されている。負極カシメ部材52は、負極リード36を介して、負極タブ34に電気的に接続されている。すなわち、負極カシメ部材52は、電極組立体62の負極に電気的に接続されている。負極リード36は、絶縁シート32によってケース28から絶縁されている。負極カシメ部材52のケース28内に位置する部分は、絶縁部材56によってケース28から絶縁されている。負極カシメ部材52とケース28の間に絶縁性のシール部材54が配置されている。負極カシメ部材52とケース28の隙間は、シール部材54によってシールされている。
【0026】
蓄電装置100は、ケース28内の圧力が所定値以下のときは、負極端子46と負極タブ34が、電流遮断装置58を介して電気的に接続している。すなわち、負極端子46と負極の間が導通している。ケース28内の圧力が所定値を超えると、電流遮断装置58が、負極端子46と負極タブ34の導通を遮断し、蓄電装置100に電流が流れることを防止する。
【0027】
図2は、
図1の二点鎖線IIで囲った部分の拡大図である。
図2に示すように、負極カシメ部材52は、カシメ部52aと、柱状部52bと、基部52cを備えている。カシメ部52aがケース28の外部に位置しており、柱状部52bがケース28の内外を通過しており、基部52cがケース28内に位置している。柱状部52bの一端はケース28の内部に位置しており、他端はケース28の外部に位置している。柱状部52bは、中空の円筒状である。カシメ部52a及び基部52cは、柱状部52bに接続されている。具体的には、カシメ部52a,柱状部52b及び基部52cは一体の部品であり、カシメ部52a及び基部52cが、柱状部52bが延びている方向とは異なる方向に屈曲している。カシメ部52a及び基部52cの外縁は、柱状部52bの外縁より大きい。
【0028】
柱状部52bの外面を柱状部52bが延びる方向に延長した面を第1仮想面94とし、基部52cの外面(ケース28側の面)を基部52cが広がる方向に延長した面を第2仮想面92としたときに、負極カシメ部材52の外面が、第1仮想面94と第2仮想面92が交わる位置より外側に位置する。換言すると、第1仮想面94と第2仮想面92とが交わる交差部86が、負極カシメ部材52の外面よりも内側に位置する。具体的には、負極カシメ部材52の外面は、柱状部52bから基部52cにかけて傾斜している。
【0029】
柱状部52bと基部52cの間の傾斜面93は、製造過程で不可避に形成される傾斜面と異なる。交差部86と傾斜面93との距離の最小値は、基部52cの厚みt1(基部52cの厚みが最も薄い部分の厚み)の10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。また、交差部86と傾斜面93との距離の最小値は、基部52cの厚みt1の200%以下であることが好ましく、より好ましくは100%以下である。なお、カシメ部52aは、負極カシメ部材52をケース28に固定した後は柱状部52bに対して屈曲しているが、負極カシメ部材52をケース28に固定する前は柱状部52bと同じ方向に延びている(図示省略)。
【0030】
カシメ部52aとケース28の間には、金属板44及び絶縁部材48の平板部48bが配置されている。絶縁部材48によって、カシメ部52a及び金属板44が、ケース28から絶縁されている。なお、絶縁部材48は、柱状部52bとケース28間にも介在しており、柱状部52bとケース28を絶縁している。基部52cとケース28の間には、絶縁部材56が配置されている。絶縁部材56によって、基部52cが、ケース28から絶縁されている。負極カシメ部材52は、絶縁部材48,56によって、ケース28から絶縁されている。
【0031】
基部52cの破断板78に対向する対向面64は、中央に向かって窪んでいる。すなわち、破断板78とは反対側に窪んでいる窪み部76が、対向面64に設けられており、対向面64自体が窪んだ面となっている。より具体的には、基部52cの対向面64が、端部から中央に向かうに従って、破断板78から離れるように傾斜している。窪み部76が設けられていることにより、基部52cの厚みは、端部から中央に向かうに従って薄くなっている。なお、対向面64とは、基部52cの破断板78に対向する面のうち、変形部材66が固定されていない面のことを意味する。破断板78の詳細については後述する。
【0032】
負極カシメ部材52をケース28に固定するときは、基部52cとケース28の間に絶縁部材56を配置し、金属板44と絶縁部材48を所定の位置に配置した状態で、カシメ部52aに力を加える。カシメ部52aが
図2に示すように変形し、ケース28,金属板44及び絶縁部材48,56が、カシメ部52aと基部52cに挟まれる。これにより、負極カシメ部材52がケース28にカシメ固定される。なお、窪み部76の厚みt1は、カシメ部52aの厚みt2よりも厚い。より詳細には、基部52cの厚みの最小値t1が、カシメ部52a厚みの最大値t2よりも厚い。また、厚みt1は、柱状部52bの厚みt3よりも厚い。なお、正極カシメ部材6は、柱状部が中実であること、基部に窪み部が設けられていないことを除き、実質的に負極カシメ部材52と同じ構造である。そのため、正極カシメ部材6についての詳細な説明は省略する。
【0033】
電流遮断装置58は、負極カシメ部材52と、金属製の破断板78と、金属製の変形部材66を備えている。上記したように、基部52c(負極カシメ部材52)は、ケース28に固定されている。破断板78は、基部52cと間隔を有して基部52cに対向する位置に配置されている。破断板78は、第2通電部材の一例である。電極組立体62(
図1も参照)とケース28の間において、電極組立体62の上方に、破断板78,変形部材66,基部52cの順に配置されている。
【0034】
破断板78には、接続部材38が固定されている。破断板78は、接続部材38,負極リード36を介して、負極タブ34と導通している(
図1も参照)。破断板78の中央部78aの厚みは、端部78bの厚みより薄い。また、中央部78aには、破断溝82が設けられている。破断溝82は、中央部78aで連続的に一巡している。破断板78の基部52c側に、溝74が設けられている。
【0035】
絶縁部材72が、基部52cと破断板78の間に配置されている。絶縁部材72は、基部52cと破断板78の間隔を維持している。絶縁部材72は、基部52cと破断板78が直接接することを防止している。すなわち、絶縁部材72は、基部52cと破断板78が直接導通することを防止している。絶縁部材72の一部が、溝74内に位置している。溝74は、絶縁部材72が位置ずれすることを防止している。
【0036】
支持部材85が、基部52cと破断板78を支持している。支持部材85は、金属製の外側部90と、絶縁性の第1内側部88と、絶縁性の第2内側部84を備えている。第1内側部88は、外側部90の内側に配置されており、第2内側部84の上方(ケース28側)に配置されている。第1内側部88は、絶縁部材56と一体に形成されている。第2内側部84は、外側部90の内側に配置されており、第1内側部88の下方(電極組立体62側)に配置されている。外側部90によって、基部52cと破断板78が位置決めされている。具体的には、第1内側部88と第2内側部84を所定の位置に配置した後、外側部90をかしめることによって、破断板78を基部52cに固定している。なお、内側部84,88は、基部52cと破断板78を絶縁している。
【0037】
変形部材66は、金属性のダイアフラムである。変形部材66は、基部52cと破断板78の間に配置されている。変形部材66の端部66bは、基部52cに固定されている。より具体的には、変形部材66の端部66bは、基部52cに溶接されている。変形部材66の中央部66aが、基部52cから離れるように破断板78に向けて突出している。換言すると、変形部材66は、端部66bから中央部66aに向かうに従って、破断板78に近づいている。
【0038】
変形部材66の中央部66aは、破断溝82の内側で、破断板78に固定されている。より具体的には、電流遮断装置58を平面視すると(
図2の上から見ると)、中央部66aが、破断溝82に囲まれた範囲で、破断板78に溶接されている。
【0039】
シール部材68が、基部52cと破断板78の間に配置されている。シール部材68は、絶縁性のOリングである。シール部材68は、絶縁部材72の外側に配置されている。シール部材68は、基部52cと破断板78を絶縁するとともに、電流遮断装置58の内部を気密に保っている。すなわち、シール部材68は、基部52cと破断板78をシールして、電流遮断装置58の内部の空間を、電流遮断装置58の外部の空間(ケース28内の空間)と遮断している。
【0040】
ケース28の内圧が所定値以下のときは、負極端子46は、負極カシメ部材52、変形部材66,破断板78,接続部材38,負極リード36,負極タブ34を介して、負極と導通している(
図1も参照)。例えば、蓄電装置100が過充電状態になったり、過昇温状態になると、ケース28の内圧が上昇し、所定値を超える。ケース28の内圧が所定値を超えると、破断溝82を起点として破断板78が破断する。その結果、変形部材66と破断板78が分離し、変形部材66と破断板78が非導通となる。負極端子46と負極が非導通になるので、正極端子18と負極端子46(
図1も参照)の間に電流が流れることを防止することができる。なお、破断板78が破断すると、変形部材66の中央部66aが、破断板78側から基部52c側に向けて移動する。換言すると、変形部材66が反転する。上記したように、基部52cに窪み部76が設けられているので、変形部材66の反転が基部52c(負極カシメ部材52)に妨げられることはない。破断板78が破断した後に、変形部材66と破断板78が再導通することを防止することができる。すなわち、ケース28内の圧力が上昇して電流遮断装置58が作動した後に、正極端子18と負極端子46の間に再度電流が流れることを防止することができる。
【0041】
蓄電装置100の利点を説明する。負極カシメ部材52をケース28にカシメ固定するときは、基部52cを支持した状態でカシメ部52aに力を加える。そのため、カシメ部52aだけでなく、基部52cにも力が加わる。しかしながら、上記したように、蓄電装置100では、基部52cの厚みt1が、カシメ部52aの厚みt2及び柱状部52bの厚みt3より厚い。そのため、カシメ部52aと基部52cの双方に力が加わっても、基部52cが変形する前にカシメ部52aが変形する。換言すると、負極カシメ部材52をケース28に固定するときに、基部52cが変形しない。変形部材66を基部52cに固定したときに、変形部材66の位置が設計値からずれることを抑制することができる。
【0042】
また、上記したように、負極カシメ部材52の外面は、柱状部52bから基部52cにかけて傾斜している。柱状部52bと基部52cの境界部分において、基部52cの厚みが極度に薄くなることを抑制している。基部52cに窪みを確保しならが、基部52cの強度が弱くなることを抑制している。
【0043】
上記したように、絶縁部材72の一部が溝74内に位置している。そのため、絶縁部材72は、変形部材66及びシール部材68に向けて移動することが規制されている。絶縁部材72が、変形部材66に接触すること防止することができる。同様に、絶縁部材72がシール部材68に接触することを防止することもできる。
【0044】
(第2実施例)
図3及び
図4を参照し、蓄電装置200について説明する。蓄電装置200は、蓄電装置100の変形例であり、電流遮断装置258の構造が蓄電装置100の電流遮断装置58と異なる。蓄電装置200について、蓄電装置100と同じ部品は、蓄電装置100と同じ参照番号を付すことにより、説明を省略することがある。なお、
図4は、
図3の二点鎖線IVで囲った部分の拡大図である。
【0045】
蓄電装置200の電流遮断装置258は、変形部材66に加え、第2の変形部材201を備えている。以下の説明では、第1変形部材66,第2変形部材201と称する。第2変形部材201は、破断板78に対して、第1変形部材66とは反対側に配置されている。すなわち、破断板78は、第1変形部材66と第2変形部材201の間に配置されている。第2変形部材201の端部201bが、破断板78に固定されている。具体的には、第2変形部材201の端部201bが、破断板78の端部78bに溶接されている。
【0046】
電流遮断装置258では、基部52c,破断板78及び第2変形部材201が、支持部材285によって支持されている。すなわち、破断板78及び第2変形部材201が、支持部材285によって、基部52cに固定されている。第2変形部材201の破断板78側には、絶縁性の突起203が設けられている。突起203は、第2変形部材201の中央部201aに配置されており、破断板78に向けて突出している。突起203は、破断板78の中央部78aに対向している。より具体的には、電流遮断装置258を平面視(
図4の上下方向から観察)したときに、突起203が、破断溝82で囲まれた範囲内に位置している。
【0047】
第2変形部材201は、端部201bから中央部201aに向かうに従って、破断板78から離れるように突出している。ケース28の内圧が所定値以下のときは、突起203と破断板78の間には隙間が設けられている。ケース28の内圧が所定値を超えると、第2変形部材201が、破断板78に向かって変形する。すなわち、中央部201aが、破断板78の中央部78aに向けて移動する。換言すると、第2変形部材201が、端部201bを支点として反転する。より具体的には、ケース28の内圧が所定値以下のときは第2変形部材201の中央部201aは破断板78から離れる方向に突出している第1位置に存在しており、ケース28の内圧が所定値を超えたときは第2変形部材201の中央部201aは破断板78に向けて突出している第2位置に存在している。突起203が破断板78に接触し、破断板78が破断溝82を起点として破断する。破断板78と第1変形部材66が非導通となり、負極端子46と負極が非導通になる(
図3も参照)。
【0048】
支持部材285は、金属製の外側部90と、絶縁性の第1内側部88と、絶縁性の第2内側部284を備えている。第2内側部284は、第2変形部材201の下方にまで延びている。これにより、第2変形部材201と電極組立体(
図3も参照)が接触し、電流遮断装置258が誤作動することを防止することができる。なお、第2内側部284の中央には貫通孔284aが設けられている。そのため、ケース28の内圧が第2変形部材201に加わることは妨げられない。
【0049】
第2変形部材201が反転すると、突起203の一部が、破断板78の上方に位置する。換言すると、突起203が、破断板78の中央部分を通過する。突起203は、第1変形部材66が下方(破断板78側)に移動することを規制する。そのため、第1変形部材66と破断板78が再導通することをより確実に防止することができる。
【0050】
電流遮断装置258では、第2変形部材201が、電流遮断装置258の内部と外部を隔てている。そのため、第2変形部材201には、ケース28の内圧変化が直接作用する。ケース28の内圧に応じて反転する第2変形部材201を用いることによって、ケース28の内圧が所定値を超えたときに、破断板78をより確実に破断することができる。また、第2変形部材201を用いることによって、破断板78を電流遮断装置258の外部(ケース28の内部)から遮断することができる。破断板78が破断したときにアークが発生しても、アークがケース28内のガス(例えば水素)と接することを防止することができる。
【0051】
上記した電流遮断装置58,258では、負極カシメ部材52の外面は、柱状部52bから基部52cにかけて傾斜している。しかしながら、負極カシメ部材52の外面は、柱状部52bから基部52cにかけて曲面を形成していてもよい。第1仮想面94と第2仮想面92とが交わる交差部86が負極カシメ部材52の外面よりも内側に位置するように、負極カシメ部材52の外面が形成されていればよい。
【0052】
上記した電流遮断装置58,258では、基部52cの厚みの最小値t1が、カシメ部52a厚みの最大値t2よりも厚く形成されていればよい。そのため、電流遮断装置の構造、及び、蓄電装置を構成する部品の材料は様々なものを使用することができる。以下に、蓄電装置の一例であるリチウムイオン二次電池について、蓄電装置を構成する部品の材料を例示する。
【0053】
電極組立体について説明する。電極組立体は、正極と、負極と、正極と負極の間の位置に介在しているセパレータを備えている。正極は、正極用金属箔と、正極用金属箔上に形成されている正極活物質層を有する。正極タブは、正極活物質層が塗布されていない正極用金属箔に相当する。負極は、負極用金属箔と、負極用金属箔上に形成されている負極活物質層を有する。負極タブは、負極活物質層が塗布されていない負極用金属箔に相当する。なお、活物質層に含まれる材料(活物質、バインダ、導電助剤等)には特に制限がなく、公知の蓄電装置等の電極に用いられる材料を用いることができる。
【0054】
正極用金属箔として、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ステンレス鋼又はそれらの複合材料を用いることができる。特に、アルミニウム又はアルミニウムを含む複合材料であることが好ましい。また、正極リードの材料として、正極用金属箔と同様の材料を用いることができる。
【0055】
正極活物質は、リチウムイオンが侵入及び脱離可能な材料であればよく、Li
2MnO
3、Li(NiCoMn)
0.33O
2、Li(NiMn)
0.5O
2、LiMn
2O
4、LiMnO
2、LiNiO
2、LiCoO
2、LiNi
0.8Co
0.15Al
0.05O
2、Li
2MnO
2、LiMn
2O
4等を使用することができる。また、正極活物質としてリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、あるいは、硫黄などを用いることもできる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。正極活物質は、必要に応じて導電材,結着剤等とともに正極用金属箔に塗布される。
【0056】
負極用金属箔として、アルミニウム、ニッケル、銅(Cu)等、又はそれらの複合材料等を使用することができる。特に、銅又は銅を含む複合材料であることが好ましい。また、負極リードの材料として、負極用金属箔と同様の材料を用いることができる。
【0057】
負極活物質として、リチウムイオンが侵入及び脱離可能な材料を用いる。リチウム(Li)、ナトリウム(Na)等のアルカリ金属、アルカリ金属を含む遷移金属酸化物、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、高配向性グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料、シリコン単体又はシリコン含有合金又はシリコン含有酸化物を使用することができる。なお、負極活物質は、電池容量を向上させるため、リチウム(Li)を含まない材料であることが特に好ましい。負極活物質は、必要に応じて導電材,結着剤等とともに負極用金属箔に塗布される。
【0058】
セパレータは、絶縁性を有する多孔質を用いる。セパレータとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、あるいは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布を使用することができる。
【0059】
電解液は、非水系の溶媒に支持塩(電解質)を溶解させた非水電解液であることが好ましい。非水系の溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状エステルを含んでいる溶媒、酢酸エチル、プロピロン酸メチルなどの溶媒、又はこれらの混合液を使用することができる。また、支持塩(電解質)として、例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6等を使用することができる。
【0060】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。