特許第6152823号(P6152823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152823
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20170619BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20170619BHJP
   H01B 17/58 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   H02G3/22
   B60R16/02 622
   H01B17/58 C
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-76983(P2014-76983)
(22)【出願日】2014年4月3日
(65)【公開番号】特開2015-198557(P2015-198557A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆史
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−130085(JP,A)
【文献】 特開2012−170223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
B60R 16/02
F16J 15/06
H01B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要形状に成形された樹脂インナーと、ゴムまたはエラストマーからなり前記樹脂インナーに被されたグロメット本体とを有し、車体パネルのバーリング付き貫通孔に挿通するワイヤハーネスに対して前記バーリングが無い側にて外装され、前記樹脂インナーと前記グロメット本体とで協働して前記バーリング付きの貫通孔に防水状態に嵌着するグロメットであって、
前記グロメット本体が、所要の筒状に形成され前記ワイヤハーネスを挿通し保持するワイヤハーネス保持部と、
前記ワイヤハーネス保持部の外周部に延在され前記樹脂インナーのフランジ部が嵌まり込む嵌合溝部を有する樹脂インナー保持部と、
前記樹脂インナー保持部の前記車体パネル側の内周縁部より、前記車体パネルに接近する方向に突出して前記樹脂インナーを周方向に取り巻き、かつ前記樹脂インナーの径方向外側に向けて漸次広がるよう延在する内側錐状筒部と、
前記内側錐状筒部の先端部より、U字断面形状を有して前記樹脂インナーを周方向に取り巻く環状に延在され、前記車体パネルに当接する頂上部と、
前記頂上部の前記内側錐状筒部と反対側の端縁部より、前記樹脂インナー保持部に向かう方向に突出して前記内側錐状筒部を周方向に取り巻き、かつ前記樹脂インナーの径方向外側に向けて漸次広がるよう延在する外側錐状筒部と、
前記頂上部に前記樹脂インナーを周方向に取り巻く1条または複数条の凸条部となるよう形成され、前記車体パネルに前記グロメットを装着する際に、前記車体パネルに密着するシールリップと
前記樹脂インナー保持部の前記車体パネル側の面部の外周縁部より、前記外側錐状筒部の端部外面部の外側に所要間隔を開けて延在するストッパ部と、を備え、
前記ストッパ部は、前記車体パネルに前記グロメットを装着する際に、前記外側錐状筒部の端部外面部に当接して、前記外側錐状筒部が外側へ広がる変形を抑制するよう構成されていることを特徴とするグロメット。
【請求項2】
前記外側錐状筒部の端部外面部が、前記樹脂インナー保持部の前記車体パネル側の面部の外周縁部よりも内方側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体パネルのバーリング付き貫通孔に通す電線群を保護しかつ雨水の浸入を防止するグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自動車のエンジンルームと車内空間とを区画する車体パネルには貫通孔が設けられ、貫通孔にゴムまたはエラストマー等の弾性部材(以下、「グロメット」と称する)が嵌め込まれ、グロメットにワイヤハーネスが通され保持されている。これにより、貫通孔における車内側と車外側との防水が確保されている。
【0003】
グロメットは、貫通孔の径が大きい場合、グロメット本体と、グロメット本体に装着される樹脂インナーと、を備えて、貫通孔に対する嵌着力を大きく確保された構成とされている。
【0004】
車体パネルに形成した貫通孔は、簡単な打ち抜きによる貫通孔のほかに、貫通孔の縁部の強度を大きくするために、貫通孔の開口縁部を一方側に屈曲して突出させたバーリング付きの貫通孔としたものがあり、バーリング付き貫通孔に装着するグロメットが提供されている(特許文献1参照)。
【0005】
具体的には、図6に示すように、グロメット100は、ゴムまたはエラストマーの成形品であるグロメット本体101を樹脂成形品である樹脂インナー102に組み付けている。グロメット100に挿通されたワイヤハーネス200は、例えば、粘着テープTによってグロメット本体101に固定される。
【0006】
グロメット本体101は、樹脂インナー102を周方向に取り囲むよう環状に延在する第1のシールリップ103と、第1のシールリップ103を周方向に取り囲むよう環状に延在する第2のシールリップ104と、を有している。樹脂インナー102は、先端部にバーリング係止片105を有している。
【0007】
図7に示すように、グロメット100は、車体パネルPの貫通孔HにバーリングBが突出していない側(図中下側)からバーリングBが突出している側(図中上側)に向けて挿入され、バーリング係止片105にバーリングBの先端部が係止され、車体パネルPの下側の面に第1のシールリップ103および第2のシールリップ104が貫通孔Hの周囲を二重に取り囲むように密着して防水性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−336224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年、コスト低減のため、バーリングB付きの貫通孔Hの加工精度が低い車体パネルPが採用されている現状があり、バーリングBの高さ寸法が大小さまざまに異なっている事情がある。
【0010】
このため、図8に示すように、バーリングBの高さ寸法が小さい場合には、車体パネルPに対して第1のシールリップ103は密着せず、第2のシールリップ104が密着した状態となり、全体としてシール不良となる。また、図9に示すように、バーリングBの高さ寸法が大きい場合には、車体パネルPに対して第1のシールリップ103と第2のシールリップ104がいずれも押し潰された状態に密着し、これもシール不良となる。
【0011】
そこで、本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、車体パネルに形成された高さ寸法が種々異なるバーリング付きの貫通孔に良好に装着できるグロメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るグロメットは、上記目的を達成するため、所要形状に成形された樹脂インナーと、ゴムまたはエラストマーからなり前記樹脂インナーに被されたグロメット本体とを有し、車体パネルのバーリング付き貫通孔に挿通するワイヤハーネスに対して前記バーリングが無い側にて外装され、前記樹脂インナーと前記グロメット本体とで協働して前記バーリング付き貫通孔に防水状態に嵌着するグロメットであって、前記グロメット本体が、所要の筒状に形成され前記ワイヤハーネスを挿通し保持するワイヤハーネス保持部と、前記ワイヤハーネス保持部の外周部に延在され前記樹脂インナーのフランジ部が嵌まり込む嵌合溝部を有する樹脂インナー保持部と、前記樹脂インナー保持部の前記車体パネル側の内周縁部より、前記車体パネルに接近する方向に突出して前記樹脂インナーを周方向に取り巻き、かつ前記樹脂インナーの径方向外側に向けて漸次広がるよう延在する内側錐状筒部と、前記内側錐状筒部の先端部より、U字断面形状を有して前記樹脂インナーを周方向に取り巻く環状に延在され、前記車体パネルに当接する頂上部と、前記頂上部の前記内側錐状筒部と反対側の端縁部より、前記樹脂インナー保持部に向かう方向に突出して前記内側錐状筒部を周方向に取り巻き、かつ前記樹脂インナーの径方向外側に向けて漸次広がるよう延在する外側錐状筒部と、前記頂上部に前記樹脂インナーを周方向に取り巻く1条または複数条の凸条部となるよう形成され、前記車体パネルに前記グロメットを装着する際に、前記車体パネルに密着するシールリップと、前記樹脂インナー保持部の前記車体パネル側の面部の外周縁部より、前記外側錐状筒部の端部外面部の外側に所要間隔を開けて延在するストッパ部と、を備え、前記ストッパ部は、前記車体パネルに前記グロメットを装着する際に、前記外側錐状筒部の端部外面部に当接して、前記外側錐状筒部が外側へ広がる変形を抑制するよう構成されている。
【0013】
この構成により、本発明に係るグロメットは、車体パネルに形成された高さ寸法が小さいバーリング付きの貫通孔にグロメットを装着すると、バーリングの高さ寸法に応じて内側錐状筒部が、錐角を広げるよう弾性変形してバーリングの高さ寸法の相違を吸収し、頂上部のシールリップが、内側錐状筒部の復元力により車体パネルに密着して防水機能を発揮する。
【0014】
また、本発明に係るグロメットは、車体パネルに形成された高さ寸法が中位であるバーリング付きの貫通孔にグロメットを装着すると、バーリングの高さ寸法に応じて頂上部が、U字断面形状から若干扁平な形状に弾性変形してバーリングの高さ寸法の相違を吸収し、頂上部のシールリップが、内側錐状筒部の復元力により車体パネルに強く密着して防水機能を発揮する。
【0015】
また、本発明に係るグロメットは、車体パネルに形成された高さ寸法が大きいバーリング付きの貫通孔にグロメットを装着すると、バーリングの高さに応じて内側錐状筒部が錐角を広げるように撓むとともに、外側錐状筒部が樹脂インナー保持部に当接し、頂上部がU字断面形状から扁平な形状に大きく弾性変形してバーリングの高さ寸法の相違を吸収し、頂上部のシールリップが、車体パネルに一層強く密着して防水機能を発揮する。
また、本発明に係るグロメットは、車体パネルに形成された高さ寸法が一層大きいバーリング付きの貫通孔にグロメットを装着するときに、バーリングの高さに応じて内側錐状筒部が錐角を広げるように撓み、樹脂インナーの径方向外側へ向けて移動する外側錐状筒部がストッパ部に当接して樹脂インナー保持部の車体パネル側の面部の外周縁部から脱出しない。よって、頂上部を内側錐状筒部と外側錐状筒部とで支えて、頂上部のシールリップを車体パネルに強く密着する状態を保持できる。
【0016】
上述した構成のグロメットにおいて、前記外側錐状筒部の端部外面部が、前記樹脂インナー保持部の前記車体パネル側の面部の外周縁部よりも内方側に位置している構成とすることが好ましい。
【0017】
この構成により、本発明に係るグロメットは、車体パネルに形成された高さ寸法が大きいバーリング付きの貫通孔にグロメットを装着するときに、外側錐状筒部が樹脂インナーの径方向外側へ向けて移動しても、外側錐状筒部が樹脂インナー保持部の車体パネル側の面部の外周縁部から脱出しない。よって、頂上部を内側錐状筒部と外側錐状筒部とで支えて、頂上部のシールリップを車体パネルに強く密着する状態を保持できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、車体パネルに形成された高さ寸法が種々異なるバーリング付きの貫通孔に良好に装着できるグロメットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係るグロメットの斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るグロメットの部分切断斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係るグロメットの縦断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るグロメットを車体パネルに形成された高さ寸法が種々異なるバーリング付きの貫通孔に装着した状態を示す縦断面図であり、(A)はバーリング高さ寸法が小さい場合、(B)はバーリング高さ寸法が中位の場合、(C)はバーリング高さ寸法が大きい場合を表している。
図5】本発明の実施の形態に係るグロメットを車体パネルに形成されたバーリングなしの貫通孔に装着した状態を示す縦断面図である。
図6】従来のグロメットの断面図である。
図7】従来のグロメットの第1のシールリップと第2のシールリップが車体パネルに適正に密着されている状態を示す縦断面図である。
図8】従来のグロメットの第1のシールリップのみが車体パネルに密着されているシール不良状態を示す縦断面図である。
図9】従来のグロメットの第1のシールリップと第2のシールリップが車体パネルに座屈して密着されているシール不良状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係るグロメットについて、図面を参照して説明する。
【0023】
図1図2に示すように、本実施の形態に係るグロメット1は、所要形状に成形された樹脂インナー2と、ゴムまたはエラストマーからなり樹脂インナー2に被されたグロメット本体3とを有している。
【0024】
樹脂インナー2は、図3に示すように、筒状空間を有する円筒部2aと、円筒部2aの一端部から径方向外側に向けて突出するフランジ部2bと、円筒部2aの他端部から突出するバーリング係止片2cとを含んで構成され、図4(A)、図4(B)、図4(C)、図5に示すように、車体パネルPに開口した貫通孔Hに車体パネルPの一側(図中下側)から他側(図中上側)へ向けて挿入されるようになっている。図4(A)、図4(B)、図4(C)における貫通孔Hは、開口縁部から車体パネルPの他側へ突出するバーリングBを有している。
【0025】
バーリング係止片2cは、車体パネルPの一側から他側へ向けて貫通孔Hを通過するときに、円筒部2aに近接するよう弾性変形し、貫通孔Hを通過した後、円筒部2aから離隔して元の形状に戻り、貫通孔Hの開口縁部から車体パネルPの他側へ突出しているバーリングBの端面部に当接するようになっている。
【0026】
グロメット本体3は、ワイヤハーネス保持部31と、樹脂インナー保持部32と、内側錐状筒部33と、頂上部34と、外側錐状筒部35と、ストッパ部36と、シールリップ37とを含んで構成されている。
【0027】
ワイヤハーネス保持部31は、所要の筒状に形成されワイヤハーネスWを挿通して保持するようになっている。樹脂インナー保持部32は、ワイヤハーネス保持部31の外周部に延在され、樹脂インナー2のフランジ部2bが嵌まり込む嵌合溝部32aを有している。樹脂インナー2およびグロメット本体3は、嵌合溝部32aにフランジ部2bが嵌まり込むことにより、一体化されている。
【0028】
内側錐状筒部33は、樹脂インナー保持部32の車体パネルP側の内周縁部より、車体パネルPに接近する方向に突出して樹脂インナー2の円筒部2aを周方向に取り巻き、かつ樹脂インナー2の径方向外側に向けて漸次広がるよう延在している。
【0029】
頂上部34は、内側錐状筒部33の先端部より、U字断面形状を有して樹脂インナー2の円筒部2aを周方向に取り巻く環状に延在され、車体パネルPに一側(図中下側)から当接するようになっている。
【0030】
外側錐状筒部35は、頂上部34の内側錐状筒部33と反対側の端縁部より、樹脂インナー保持部32に向かう方向に突出して内側錐状筒部33を周方向に取り巻き、かつ樹脂インナー2の径方向外側に向けて漸次広がるよう延在している。外側錐状筒部35の端部外面部35aは、樹脂インナー保持部32の車体パネルP側の面部32bの外周縁部よりも内方側(樹脂インナー2側)に位置するようになっている。
【0031】
ストッパ部36は、樹脂インナー保持部32の車体パネルP側の面部32bの外周縁部より、外側錐状筒部35の端部外面部35aの外側に所要間隔を開けて延在され、車体パネルPにグロメット1を装着する際に、ストッパ部36に外側錐状筒部35の端部外面部35aが当接して、外側錐状筒部35が外側へ広がる変形を抑制するようになっている。
【0032】
シールリップ37は、頂上部34に樹脂インナー2を周方向に取り巻く複数条の凸条部となるよう形成され、車体パネルPにグロメット1を装着する際に、車体パネルPに密着するようになっている。
【0033】
本実施の形態に係るグロメット1は、図4(A)、図4(B)、図4(C)に示すように、樹脂インナー2とグロメット本体3とを有し、車体パネルPに形成されたバーリングB付きの貫通孔Hに挿通するワイヤハーネスWに対してバーリングBが突出していない車体パネルPの一側にて外装され、樹脂インナー2のバーリング係止片2cとグロメット本体3のシールリップ37とが協働して車体パネルPのバーリングBを挟んで、貫通孔Hに防水状態に嵌着している。グロメット本体3は、内側錐状筒部33が錐角を拡げるよう撓んで、樹脂インナー保持部32の車体パネルP側の面部32bに外側錐状筒部35の端部外面部35aが当接して、これら面部32bと端部外面部35aとの間に摩擦力が発生し、内側錐状筒部33と外側錐状筒部35との復元力により頂上部34が上向きに付勢されて、車体パネルPにシールリップ37が密着することになる。
【0034】
本実施の形態に係るグロメット1は、図4(A)に示すように、車体パネルPに形成された高さ寸法が小さいバーリングB付きの貫通孔Hにグロメット1を装着すると、バーリングBの高さ寸法に応じて内側錐状筒部33が、錐角を広げるよう撓んでバーリングBの高さ寸法の相違を吸収し、頂上部34のシールリップ37が、内側錐状筒部33および外側錐状筒部35の復元力により車体パネルPに密着して防水機能を発揮する。
【0035】
また、本実施の形態に係るグロメット1は、図4(B)に示すように、車体パネルPに形成された高さ寸法が中位であるバーリングB付きの貫通孔Hにグロメット1を装着すると、バーリングBの高さ寸法に応じて頂上部34が、U字断面形状から若干扁平な形状に弾性変形するとともに、内側錐状筒部33が錐角をより広げるよう撓んでバーリングBの高さ寸法の相違を吸収し、頂上部34のシールリップ37が、内側錐状筒部33および外側錐状筒部35の復元力により車体パネルPに強く密着して防水機能を発揮する。
【0036】
また、本実施の形態に係るグロメット1は、図4(C)に示すように、車体パネルPに形成された高さ寸法が大きいバーリングB付きの貫通孔Hにグロメット1を装着すると、バーリングBの高さ寸法に応じて頂上部34が、U字断面形状からより扁平な形状に弾性変形し、外側錐状筒部35が樹脂インナー保持部32に当接するまで内側錐状筒部33が錐角を更に広げるよう撓んでバーリングBの高さ寸法の相違を吸収し、頂上部34のシールリップ37が、内側錐状筒部33および外側錐状筒部35の復元力により車体パネルPに一層強く密着して防水機能を発揮する。
【0037】
また、本実施の形態に係るグロメット1は、図5に示すように、車体パネルPに形成されたバーリングなし貫通孔Hにグロメット1を装着すると、車体パネルPの厚み寸法に応じて内側錐状筒部33が、錐角を広げるよう弾性変形し、頂上部34のシールリップ37が、内側錐状筒部33の復元力により車体パネルPに密着して防水機能を発揮する。
【0038】
また、本実施の形態に係るグロメット1は、車体パネルPに形成された高さ寸法が大きいバーリングB付きの貫通孔Hにグロメット1を装着するときに、外側錐状筒部35が樹脂インナー2の径方向外側へ向けて移動しても、外側錐状筒部35が樹脂インナー保持部32の車体パネルP側の面部の外周縁部から脱出しない。よって、頂上部34を内側錐状筒部33と外側錐状筒部35とで支えて、頂上部34のシールリップ37を車体パネルPに強く密着する状態を保持できる。
【0039】
また、本実施の形態に係るグロメット1は、車体パネルPに形成された高さ寸法が一層大きいバーリングB付きの貫通孔Hにグロメット1を装着するときに、バーリングBの高さに応じて内側錐状筒部33が錐角を広げるように撓み、樹脂インナー2の径方向外側へ向けて移動する外側錐状筒部35がストッパ部36に当接して樹脂インナー保持部32の車体パネルP側の面部32bの外周縁部から脱出しない。よって、頂上部34を内側錐状筒部33と外側錐状筒部35とで支えて、頂上部34のシールリップ37を車体パネルPに強く密着する状態を保持できる。
【0040】
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
【0041】
以上のように、本発明に係るグロメットは、車体パネルに形成された高さ寸法が種々異なるバーリング付きの貫通孔に良好に装着できるという効果を有し、車体パネルのバーリング付き貫通孔に取り付けるグロメット全般に有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 グロメット
2 樹脂インナー
2b フランジ部
3 グロメット本体
31 ワイヤハーネス保持部
32 樹脂インナー保持部
32b 車体パネル側の面部
33 内側錐状筒部
34 頂上部
35 外側錐状筒部
35a 外側錐状部の端部外面部
36 ストッパ部
37 シールリップ
B バーリング
H 貫通孔
P 車体パネル
W ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9