特許第6152959号(P6152959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6152959
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】傾き移送式真空包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/02 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
   B65B31/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-132341(P2016-132341)
(22)【出願日】2016年7月4日
【審査請求日】2016年10月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597123870
【氏名又は名称】株式会社トーヨー
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 均
【審査官】 二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−202881(JP,A)
【文献】 特開昭59−062426(JP,A)
【文献】 特開2003−072710(JP,A)
【文献】 特開平02−085112(JP,A)
【文献】 特開2002−249109(JP,A)
【文献】 実開昭54−014858(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋詰め部と、真空包装部と、前記袋詰め部と前記真空包装部に渡って配置されたコンベア台車とからなり、該コンベア台車は、前記袋詰め部側にタレ流下溝及び袋位置決め板を設けると共に、前記真空包装部側に受け枕を設け、さらに前記コンベア台車の全長に亘って進行方向に対してコンベアベルトの片側を高くし反対側を低くして傾いた状態で傾斜ベルトコンベアを懸架することを特徴とする傾き移送式真空包装装置。
【請求項2】
調味液を充填するタレ供給ノズルを備えた袋詰め部と、袋口部を拡開させる拡開装置及び真空チャンバーとからなる真空包装部と、前記袋詰め部と前記真空包装部に渡って配置されたコンベア台車とからなり、該コンベア台車は、前記袋詰め部側に前記タレ供給ノズルに対向してタレ流下溝及び袋位置決め板を設けると共に、前記真空包装部側に前記拡開装置に対向して受け枕を設け、さらに前記コンベア台車の全長に亘って進行方向に対してコンベアベルトの片側を高くし反対側を低くして傾いた状態で傾斜ベルトコンベアを懸架することを特徴とする傾き移送式真空包装装置。
【請求項3】
前記真空チャンバーは、前記コンベア台車の上面上に昇降する下方開口の箱体状からなり、内部に上下動する袋押え板と、該袋押え板と協働して袋口部を押える押え金と、さらに袋口側には上下動する熱圧着体とを設け、さらに、前記真空チャンバーの下端面には、前記コンベア台車の上面と傾斜ベルトコンベアとの段差部を完全密封するため、シリコンゴムからなる密封体を設けることを特徴とする請求項2記載の傾き移送式真空包装装置。
【請求項4】
前記受け枕は、ベルトコンベア枠に上下動可能に密封嵌合され、前記コンベア台車には、前記ベルトコンベア枠に設けた前記受け枕を上下動させる押上シリンダーを設け、前記受け枕は上下動する熱圧着体とで充填された袋の赤道の位置合わせで密封シールを行うことを特徴とする請求項2記載の傾き移送式真空包装装置。
【請求項5】
前記受け枕は、押上シリンダーで押し上げた時に前記受け枕の高さ位置が設定され、押上シリンダーを後退させた時に前記受け枕が自重で下降するように形成されていることを特徴とする請求項4記載の傾き移送式真空包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状物や流動物、例えば米、豆やカレー、シチューなどを、全ての作業が傾斜状態で行われる傾き移送式真空包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、袋ホッパーの空袋を取り上げて斜めに空袋を開口保持して被包装物を傾斜状態で袋詰し、袋詰した袋を傾斜状態でそのまま移送し真空密封包装し、真空密封した包装袋を連続的に搬出する真空包装装置が知られている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、袋詰めした袋を下方に待機している移動テーブルに載せ、前記移動テーブルを真空包装部へ移動させ、前記真空包装部では最初にエアー噴射ノズルが作動して袋口を予備開口し、その後、拡開爪が前進して拡開し、袋口部を左右に拡げて袋口を揃え、その後、真空バケットを被せることにより移動テーブル上面と真空バケット内面とで形成したチャンバーの内部を減圧し、押圧パッドにより袋詰された袋を押圧することで袋詰めされた袋を平坦にし、平坦にした状態で上下動するヒーター作動シリンダーロッドの下端に設けたヒーターにより袋口部を完全に真空包装する真空包装装置である。
【0003】
上記公知技術の真空包装装置は、移動テーブルが袋詰め部と真空包装部とを往復動しなければならないため、大量に処理しなければならない場合には往復時間のタイムロスが大きく改善が望まれていた。
そこで、本出願人は、前記真空包装装置を改良し、袋詰め部と真空包装部とを傾斜ベルトコンベアにより連続的に包装できる真空包装装置を開発した。
【0004】
また、袋口部のシールを皺なく、綺麗に仕上げるために、充填された袋の赤道(袋詰めされた袋の厚さの二等分線)の位置合わせで密封シールを行うように改善した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−246134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、袋詰め部と真空包装部とを傾斜ベルトコンベアにより連続的に移送できる傾き移送式真空包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の傾き移送式真空包装装置は、調味液を充填するタレ供給ノズルを備えた袋詰め部と、袋口部を拡開させる拡開装置及び真空チャンバーとからなる真空包装部と、前記袋詰め部と前記真空包装部に渡って配置されたコンベア台車とからなり、該コンベア台車は、前記袋詰め部側に前記タレ供給ノズルに対向してタレ流下溝及び袋位置決め板を設けると共に、前記真空包装部側に前記拡開装置に対向して受け枕を設け、さらに前記コンベア台車の全長に亘って進行方向に対してコンベアベルトの片側を高くし反対側を低くして傾(かたむ)いた状態で傾斜ベルトコンベアを懸架する。
前記真空チャンバーは、前記コンベア台車の上面上に昇降する下方開口の箱体状からなり、内部に上下動する袋押え板と、該袋押え板と協働して袋口部を押える押え金と、さらに袋口側には上下動する熱圧着体とを設け、さらに、前記真空チャンバーの下端面には、前記コンベア台車の上面と傾斜ベルトコンベアとの段差部を完全密封するため、シリコンゴムからなる密封体を設ける。
前記受け枕は、ベルトコンベア枠に上下動可能に密封嵌合され、前記コンベア台車には、前記ベルトコンベア枠に設けた前記受け枕を上下動させる押上シリンダーを設け、前記受け枕は上下動する熱圧着体とで充填された袋の赤道の位置合わせで密封シールを行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明の傾き移送式真空包装装置は、袋詰め部と真空包装部とを傾斜ベルトコンベアにより連続的に移送できるため、往復時間のタイムロスなく、かつ大量に処理することができる効果がある。
また、充填された袋の赤道(袋詰めされた袋の厚さの二等分線)の位置合わせで密封シールを行うため、袋口部のシールを皺なく、綺麗に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の傾き移送式真空包装装置の傾斜ベルトコンベアに直面して表示した概略配置平面図である。
図2】真空チャンバーを(a)下から見た底面図、(b)A−A矢視部分断面図である。
図3】真空チャンバーを袋詰め部側から見た右側面図である。
図4】受け枕の(a)作動時、(b)待機時の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の傾き移送式真空包装装置の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の概略平面図に示すように、本発明の傾き移送式真空包装装置は、調味液を充填するタレ供給ノズル1を備えた袋詰め部2と、袋口部を拡開させる拡開装置3及び真空チャンバー4とからなる真空包装部5と、前記袋詰め部2と前記真空包装部5に渡って配置されたコンベア台車6とからなり、該コンベア台車6は、前記袋詰め部2側に前記タレ供給ノズル1に対向してタレ流下溝7及び袋位置決め板8を設けると共に、前記真空包装部5側に前記拡開装置3に対向して受け枕9を設け、さらに前記コンベア台車6の全長に亘って進行方向に対してコンベアベルトの片側を高くし反対側を低くして傾いた状態で傾斜ベルトコンベア10を懸架する。
【0011】
前記袋詰め部2は、従来周知の袋詰め部のように、斜め上方位置に配置された往復移動可能な供給トレーと、該供給トレー内部に収納された被包装物を押し出す往復動可能なプッシャーと、前記供給トレーの先端下部に設けられ、袋詰め位置の空袋の袋口部に挿入される開口補助舌片と、該開口補助舌片に向かって斜め上方からエアーを吹き付けるエアーノズルとからなるものでも良いが、この実施例では、予め袋詰めされた魚卵(例えば、数の子)にタレ供給ノズル1により、調味液を充填する袋詰め部としている。
【0012】
前記拡開装置3は、前記袋詰め部2の下流側に配置され、袋詰めされた袋Bに挿入され拡開することにより袋口を揃える左右の拡開爪11と、該拡開爪11をリンク機構により拡げる動作を行う拡開ロッド12と、該拡開ロッド12を前後に移動させる拡開動作シリンダー13からなる。
前記真空チャンバー4は、図2(a)の下から見た底面図に示すように、前記コンベア台車6の上面上に昇降する下方開口の箱体状からなり、内部に上下動する袋押え板14と、該袋押え板14と協働して袋口部を押える押え金15と、さらに袋口側には上下動する熱圧着体16とを設ける。
さらに、前記真空チャンバー4の下端面には、図2(b)のA−A矢視部分断面図に示すように、前記コンベア台車6の上面と傾斜ベルトコンベア10との段差部を完全密封するため、シリコンゴムからなる密封体17を設ける。なお、番号18は、真空度を調節するための真空調整バルブである。
【0013】
前記コンベア台車6は、前記袋詰め部2側に前記タレ供給ノズル1に対向して、こぼれた液を受け取るタレ流下溝7及び袋口を当接する袋位置決め板8を設けると共に、前記真空包装部5側に前記拡開装置3に対向した位置に受け枕9を設け、さらに前記コンベア台車6の全長に亘って進行方向に対してコンベアベルトの片側を高くし反対側を低くして傾いた状態で傾斜ベルトコンベア10を懸架する。
前記コンベア台車6は、図1に示すように、前記袋詰め部2と前記真空包装部5に渡って配置される長さに形成され、図3袋詰め部側から見た右側面図に示すように、脚部にキャスター19を設けて移動自在とし、前記コンベア台車6を前記真空包装部5の支持フレーム20内へ出し入れ自在にする。
また、前記コンベア台車6の上部には左右方向に長さの違う支柱21、22を配置し、進行方向に対してコンベアベルトの片側を高くし反対側を低くして傾(かたむ)き移送できるようにベルトコンベア枠23を設け、図1に示すように、両端に傾斜プーリー24を配置して傾斜ベルトコンベア10を懸架する。
前記真空包装部5側の傾斜プーリー24には噛合いクラッチ25を介してモーター26を配置し、前記コンベア台車6を移動する際には、前記モーター26を後退させて噛合いクラッチ25を外し、移動可能にする。
図3に示すように、前記コンベア台車6には、前記ベルトコンベア枠23に設けた受け枕9を上下動させる押上シリンダー27を設ける。
前記受け枕9は、前記ベルトコンベア枠23に上下動可能に密封嵌合され、充填された袋Bの赤道(袋詰めされた袋の厚さの二等分線)の位置合わせで密封シールを行うようにする。
図4(a)の説明図に示すように、押上シリンダー27で押し上げた時に前記受け枕9の高さ位置が設定される。また、図4(b)の説明図に示すように、押上シリンダー27を後退させた時には前記受け枕9が自重で下降するように形成されている。
したがって、充填された袋Bの厚さに応じて前記受け枕9の高さ位置を変える場合は、前記受け枕9を引き抜き、高さ調節した別の受け枕9を挿入することで新しい充填された袋Bの厚さに対応することができる。
なお、図128はエアーホース、図329はエアーシリンダーである。
【0014】
次に、本発明の傾き移送式真空包装装置の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、あらかじめ被包装物(例えば、数の子)を袋詰めした袋Aをそれぞれのタレ供給ノズル1に、袋位置決め板8に袋口縁を当接させて位置決めする。袋詰めされた袋Aがセッテングされたことをセンサーで検知すると、袋詰め部2が動作して前記タレ供給ノズル1から調味液が前記袋詰めされた袋Aに充填される。
充填が終了すると、傾斜ベルトコンベア10が回転して前記袋詰めされた袋Aは真空包装部5へ送られる。その際、前記傾斜ベルトコンベア10は、図3に示すように進行方向に対してコンベアベルトの片側を高くし反対側を低くして袋口が上方を向き傾いた状態であるため、調味液が前記袋詰めされた袋Aからこぼれることはない。
前記真空包装部5では、拡開装置3の拡開動作シリンダー13が作動して拡開爪11が前進し、拡開ロッド12のリンク機構により前記拡開爪11が左右に拡開して充填された袋Bの袋口を拡げて平坦に揃える。
【0015】
真空チャンバー4がエアーシリンダー29により下降してベルトコンベア枠23と傾斜ベルトコンベア10との段差部を密封体17によりシールして密封状態を維持すると同時に、袋押え板14により前記充填された袋Bを押えて平坦状態にし、押え金15により平坦にされている袋口部を押える。
そして、図4(a)に示すように、押上シリンダー27で受け枕9を押し上げ、前記真空チャンバー4内の空気を抜いて減圧し、前記受け枕9と熱圧着体16により密封シールする。
その後、前記真空チャンバー4を大気圧に戻し、エアーシリンダー29により前記真空チャンバー4を上昇させて前記傾斜ベルトコンベア10を回転させて前記充填された袋Bを搬出する。その際、前記袋詰め部2では前記袋詰めされた袋Aへの調味液の充填が完了しており、引き続き、次の充填された袋Bの真空包装が行える。
【符号の説明】
【0016】
1 タレ供給ノズル
2 袋詰め部
3 拡開装置
4 真空チャンバー
5 真空包装部
6 コンベア台車
7 タレ流下溝
8 袋位置決め板
9 受け枕
10 傾斜ベルトコンベア
11 拡開爪
12 拡開ロッド
13 拡開動作シリンダー
14 袋押え板
15 押え金
16 熱圧着体
17 密封体
18 真空調整バルブ
19 キャスター
20 支持フレーム
21 支柱
22 支柱
23 ベルトコンベア枠
24 傾斜プーリー
25 噛合いクラッチ
26 モーター
27 押上シリンダー
28 エアーホース
29 エアーシリンダー
袋詰めされた袋
充填された袋
【要約】
【課題】本発明は、袋詰め部と真空包装部とをベルトコンベアにより連続的に移送できる傾き移送式真空包装装置を提供する。
【解決手段】コンベア台車6は、袋詰め部2側にタレ供給ノズル1に対向して、こぼれた液を受け取るタレ流下溝7及び袋口を当接する袋位置決め板8を設けると共に、真空包装部5側に拡開装置3に対向した位置に受け枕9を設け、さらに前記コンベア台車6の全長に亘って傾(かたむ)いた状態でベルトコンベア10を懸架する。また、前記コンベア台車6は、前記袋詰め部2と前記真空包装部5に渡って配置される長さに形成され、脚部にキャスター19を設けて移動自在とし、前記コンベア台車6を前記真空包装部5の支持フレーム20内へ出し入れ自在にする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4