(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の凹部を形成する工程において、前記複数の凹部のそれぞれの開口部分における中心軸に垂直な断面の寸法は、前記複数の凹部のそれぞれの前記複数の傾斜面同士の接続部分における中心軸に垂直な断面の寸法よりも長くされる請求項4記載の放電ランプの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の発明は、放電空間を内部に有する発光部と;前記発光部の端部に設けられた封止部と;一端が前記放電空間の内部に設けられ、他端が前記封止部の内部に設けられた電極と;前記封止部の内部に設けられ、前記電極と接合され、主面に複数の凹部を有する金属箔と;を具備した放電ランプである。
そして、前記複数の凹部のそれぞれの側壁には、互いに傾斜角度が異なる複数の傾斜面が設けられ、
前記金属箔の厚み方向において、前記複数の凹部のそれぞれの開口部分は、前記金属箔の表面の位置に設けられ、平面視において、隣接する前記凹部の外縁同士が接触している、または、隣接する前記凹部の外縁同士が離隔している。
この放電ランプによれば、放電ランプの長寿命化を図ることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記
複数の凹部の
それぞれの開口部分における中心軸に垂直な断面の寸法は、前記
複数の凹部の
それぞれの前記複数の傾斜面同士の接続部分における中心軸に垂直な断面の寸法よりも長い放電ランプである。
この放電ランプによれば、放電ランプの長寿命化を図ることができる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記金属箔の前記電極が接合される領域には、前記
複数の凹部が設けられていない放電ランプである。
この放電ランプによれば、金属箔と電極の接合強度が低下するのを抑制することができる。
【0011】
第4の発明は、上記の放電ランプを製造する方法であって、金属箔の主面における所定の位置に、ビーム形状の異なるレーザ光を順次照射することで、前記金属箔の主面に複数の凹部を形成する工程を具備し、前記複数の凹部を形成する工程において、前記複数の凹部のそれぞれの側壁には、互いに傾斜角度が異なる複数の傾斜面が形成され、
前記金属箔の厚み方向において、前記複数の凹部のそれぞれの開口部分は、前記金属箔の表面の位置に設けられ、平面視において、隣接する前記凹部の外縁同士が接触している、または、隣接する前記凹部の外縁同士が離隔しているように形成される放電ランプの製造方法である。
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
本発明の実施形態に係る放電ランプは、例えば、自動車の前照灯に用いられるHID(High Intensity Discharge)ランプとすることができる。また、自動車の前照灯に用いられるHIDランプとする場合には、いわゆる水平点灯を行うものとすることができる。
【0013】
本発明の実施形態に係る放電ランプの用途は、自動車の前照灯に限定されるわけではないが、ここでは一例として、放電ランプが自動車の前照灯に用いられるHIDランプである場合を例に挙げて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る放電ランプ100を例示するための模式図である。
なお、
図1においては、放電ランプ100を自動車に取り付けた場合に、前方となる方向を前端側、その反対方向を後端側、上方となる方向を上端側、下方となる方向を下端側としている。
図1に示すように、放電ランプ100には、バーナー101、ソケット102が設けられている。
【0015】
バーナー101には、内管1、外管5、発光部11、封止部12、電極マウント3、サポートワイヤ35、スリーブ4、金属バンド71が設けられている。
内管1は、円筒状を呈し、透光性と耐熱性を有した材料から形成されている。内管1は、例えば、石英ガラスなどから形成することができる。
外管5は、内管1の外側に内管1と同芯に設けられている。すなわち、二重管構造となっている。
【0016】
外管5と内管1との接続は、内管1の円筒部14付近に外管5を溶着することにより行うことができる。内管1と外管5との間に形成された閉空間には、ガスが封入されている。封入されるガスは、誘電体バリア放電可能なガス、例えば、ネオン、アルゴン、キセノン、窒素から選択された一種のガス、またはこれらの混合ガスとすることができる。ガスの封入圧力は、例えば、常温(25℃)で0.3atm以下とすることができ、0.1atm以下とすることがより好ましい。
【0017】
外管5は、内管1の材料の熱膨張係数に近く、かつ紫外線遮断性を有する材料から形成することが好ましい。外管5は、例えば、チタン、セリウム、アルミニウム等の酸化物を添加した石英ガラスから形成することができる。
発光部11は、断面形状がほぼ楕円形を呈し、内管1の中央付近に設けられている。発光部11の内部には、中央部分がほぼ円柱状で、両端がテーパ状にすぼまっている放電空間111が設けられている。
【0018】
放電空間111には、放電媒体が封入されている。放電媒体は、金属ハロゲン化物2と、不活性ガスとを含む。
金属ハロゲン化物2は、例えば、インジウムのハロゲン化物、ナトリウムのハロゲン化物、スカンジウムのハロゲン化物、亜鉛のハロゲン化物などを含むものとすることができる。ハロゲンとしては、例えば、ヨウ素を例示することができる。ただし、ヨウ素の代わりに臭素や塩素などを用いることもできる。
なお、金属ハロゲン化物2の組成は、例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0019】
放電空間111に封入される不活性ガスは、例えば、キセノンとすることができる。不活性ガスは、目的に応じて封入圧力を調整することができる。例えば、全光束を増加させるためには、封入圧力を常温(25℃)で10atm以上、20atm以下にすることが好ましい。また、キセノンの他に、ネオン、アルゴン、クリプトンなどを用いたり、これらを組み合わせた混合ガスを用いることもできる。
【0020】
封止部12は、板状を呈し、発光部11の一対の電極32が延びる方向の両端部にそれぞれ設けられている。
封止部12は、例えば、ピンチシール法を用いて形成することができる。なお、封止部12は、シュリンクシール法により形成され、円柱状を呈したものであってもよい。
一方の封止部12の発光部11側とは反対側の端部には、境界部13を介して円筒部14が連続的に形成されている。
【0021】
電極マウント3は、封止部12の内部に設けられている。
電極マウント3には、金属箔31、電極32、コイル33、リード線34が設けられている。
金属箔31は、薄板状を呈し、例えば、モリブデン、レニウムモリブテン、タングステン、レニウムタングステンなどから形成することができる。
また、金属箔31は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
金属箔31の主面である面31aおよび面31bには、複数の凹部41がそれぞれ設けられている。
なお、凹部41に関する詳細は後述する。
【0022】
電極32は、断面が円形の線状を呈し、例えば、タングステンに酸化トリウムをドープした、いわゆるトリエーテッドタングステンから形成されている。なお、電極32の材料は、純タングステン、ドープタングステン、レニウムタングステンなどであってもよい。 電極32の一端は、金属箔31の発光部11側の端部近傍に溶接されている。電極32と金属箔31の溶接は、レーザ溶接により行うことができる。
【0023】
電極32の他端は、放電空間111内に突出している。一対の電極32は、先端同士が所定の距離を保って互い対向するように配置されている。
すなわち、一対の電極32は、放電空間111の内部にそれぞれ突出し、所定の距離を置いて対向配置されている。
電極32の先端同士の間の距離は、例えば、3.4mm以上4.4mm以下とすることができる。
【0024】
電極32の直径寸法は、0.2mm以上0.4mm以下とすることができる。
電極32の直径寸法が、0.2mm未満となると、点灯時に電極32の温度が高くなりすぎて、放電空間111内への電極材料の飛散(スパッタリング)が増加するおそれがある。放電空間111内への電極材料の飛散が増加すると、点灯中の光束維持率が低下するとともに、寿命が短くなる。
電極32の直径寸法が、0.4mmを超えると、封止部12における歪みが増加するおそれがある。封止部12における歪みが増加すると、放電ランプ100の製造時や点灯時に封止部12にクラックなどが発生するおそれがある。
【0025】
なお、電極32の直径寸法は、電極32が延びる方向に一定でなくてもよい。例えば、電極32の直径寸法は、先端部側が基端部側よりも長くなっていてもよい。また、電極32の先端部が球形となっていてもよい。また、直流点灯タイプのように、一方の電極の直径寸法と、他方の電極の直径寸法が異なるものであってもよい。
【0026】
コイル33は、例えば、ドープタングステンからなる金属線から形成することができる。コイル33は、封止部12の内部に設けられた電極32の外側に巻きつけられている。この場合、例えば、コイル33の線径は30μm〜100μm程度、コイルピッチは600%以下とすることができる。
【0027】
リード線34は、断面が円形の線状を呈し、モリブデンなどから形成されている。リード線34の一端側は、金属箔31の発光部11側とは反対側の端部近傍に溶接されている。リード線34と金属箔31の溶接は、レーザ溶接により行うことができる。リード線34の他端側は、内管1の外部にまで延びている。
【0028】
サポートワイヤ35は、L字状を呈し、放電ランプ100の前端側から出ているリード線34の端部に溶接されている。サポートワイヤ35とリード線34との溶接は、レーザ溶接により行うことができる。サポートワイヤ35は、例えば、ニッケルから形成することができる。
スリーブ4は、サポートワイヤ35の内管1と平行に延びる部分を覆っている。スリーブ4は、例えば、円筒状を呈し、セラミックから形成されたものとすることができる。
金属バンド71は、外管5の後端側の外周面に固定されている。
【0029】
ソケット102には、本体部6、取り付け金具72、底部端子81、側部端子82が設けられている。
本体部6は、樹脂などの絶縁性材料から形成されている。本体部6の内部には、リード線34、サポートワイヤ35、およびスリーブ4の後端側が設けられている。
【0030】
取り付け金具72は、本体部6の前端側の端部に設けられている。取り付け金具72は、本体部6から突出しており、金属バンド71を保持する。取り付け金具72により金属バンド71を保持することで、バーナー101がソケット102に保持される。
【0031】
底部端子81は、本体部6の後端部側の内部に設けられている。底部端子81は、導電性材料から形成され、リード線34と電気的に接続されている。
側部端子82は、本体部6の後端部側の側壁に設けられている。側部端子82は、導電性材料から形成され、サポートワイヤ35と電気的に接続されている。
【0032】
そして、底部端子81が高圧側、側部端子82が低圧側になるように図示しない点灯回路と接続される。自動車の前照灯の場合には、放電ランプ100の中心軸がほぼ水平の状態で、かつサポートワイヤ35がほぼ下端側(下方)に位置するように取り付けられる。そして、この様な方向に取り付けられた放電ランプ100を点灯することを水平点灯という。
【0033】
次に、金属箔31の面31aおよび面31bに設けられた複数の凹部41についてさらに例示をする。
図2は、金属箔31の面31aに設けられた複数の凹部41について例示をするための模式図である。
なお、金属箔31の面31bに設けられた複数の凹部41も同様とすることができる。
図2に示すように、凹部41は、金属箔31の面31aおよび面31bに複数設けられている。
面31aおよび面31bの電極32が接合される領域31cには、凹部41が設けられていない。領域31cには、例えば、電極32がレーザ溶接されるので、凹部41が設けられていると、接合強度(溶接強度)が低下するおそれがある。
そのため、領域31cには、凹部41を設けないようにしている。
なお、領域31cは、面31bにも設けられている。
【0034】
複数の凹部41は、面31aおよび面31bの領域31c以外の領域に設けられている。
この場合、面31aおよび面31bの領域31c以外の全領域に複数の凹部41を設けることもできるし、一部の領域に複数の凹部41を設けることもできる。
図2に表した具体例においては、金属箔31のエッジ(端部)に近い部分には、凹部41が設けられていない。金属箔31のエッジの厚みが薄い場合、凹部41を設けると金属箔31を貫通してしまう場合がある。これに対して、
図2に表したように金属箔31のエッジに近い部分に凹部41を設けないことにより、凹部41の貫通を防ぐことができる。
本発明者の得た知見によれば、面31aおよび面31bの電極32が延びる方向の長さをL1、複数の凹部41が設けられる領域の電極32が延びる方向の長さをL2とした場合に、L2をL1/2以上とすれば、金属箔31と封止部12の密着性を高めることができるので、金属箔31が封止部12から剥がれることを抑制することができる。
【0035】
すなわち、面31aおよび面31bのほぼ半分以上の領域に複数の凹部41を設けるようにすれば、金属箔31が封止部12から剥がれることを抑制することができる。
また、一部の領域に複数の凹部41を設ける場合には、
図2に例示をしたように、面31aおよび面31bの電極32が接合される側(放電空間111に近い側)の領域に複数の凹部41を設けるようにすることが好ましい。
一部の領域に複数の凹部41を設けるようにすれば、凹部41の加工数を減らすことができるので、製造コストの低減を図ることができる。
ただし、面31aおよび面31bの全域に複数の凹部41を設けるようにしてもよい。そのようにすれば、製造コストは高くなるものの、金属箔31と封止部12の密着性はより高くなる。
【0036】
また、複数の凹部41は、互いに重ならないように設けられている。
例えば、平面視において、隣接する凹部41の外縁同士がほぼ連続的に接触しているようにすることができる。
なお、隣接する凹部41の外縁同士がほぼ連続的に接触しているとは、隣接する凹部41の外縁同士が完全に接触している場合のみならず、隣接する凹部41の外縁同士が近接している場合も含む。
【0037】
隣接する凹部41の外縁同士がほぼ連続的に接触しているようにすれば、面31aおよび面31bにおける未加工領域(凹部41が形成されていない領域)が少なくなる。
そのため、金属箔31と封止部12との接触面積を増加させることができるので、金属箔31と封止部12との密着性を高めることができる。また、放電空間111に封入されていた金属ハロゲン化物2が、金属箔31と封止部12との間に拡散するのを抑制することができる。
【0038】
ここで、隣接する凹部41同士が重なっていれば、複数の凹部41の総表面積が小さくなり、封止部12との密着性が低下することになる。
この場合、平面視において、凹部41の面積の半分以上が重なっている状態では、複数の凹部41の総表面積の減少により、封止部12との密着性の低下が大きくなる。
【0039】
しかしながら、平面視において、隣接する凹部41の外縁同士が多少重なっている程度であれば、複数の凹部41の総表面積の減少により、封止部12との密着性は多少低下するものの許容範囲となる。
そのため、本明細書において、「互いに重ならないように」とは、隣接する凹部41同士が完全に重なっていない場合のみならず、隣接する凹部41同士が多少重なっている場合をも含むものとする。
【0040】
図3(a)〜(d)は、凹部41の配設形態を例示するための模式平面図である。
図3(a)に示すように、第1の方向Xにおいては、隣接する凹部41の外縁同士がほぼ連続的に接触し、第1の方向Xと垂直な第2の方向Yにおいては、隣接する凹部41の外縁同士が接触しないような配設形態とすることができる。
【0041】
この場合、第2の方向Yにおいては、隣接する凹部41の外縁同士の間に未加工領域が存在することになる。そして、未加工領域の面積が余り大きくなると、金属箔31と封止部12との密着性が低くなるので、箔リークが発生しやすくなる。そのため、放電ランプ100の長寿命化を図ることができなくなるおそれがある。
そこで、凹部41の外縁寸法(開口寸法)をD1、第2の方向Yにおける凹部41のピッチ寸法をPyとした場合に、D1<Py≦200μmとなるようにすることが好ましい。 この様な寸法関係とすれば、箔リークの発生を抑制することができるので、放電ランプ100の長寿命化を図ることができる。
【0042】
図3(b)に示すように、第1の方向Xおよび第2の方向Yにおいて、隣接する凹部41の外縁同士がほぼ連続的に接触するような配設形態とすることもできる。
この様な配設形態とすれば、未加工領域の面積を小さくすることができる。また、凹部41の加工数を増やすことができる。そのため、箔リークの発生をより抑制することができるので、放電ランプ100のさらなる長寿命化を図ることができる。
【0043】
図3(c)に示すように、複数の凹部41を最密充填となる配設形態(単位面積あたりにおける凹部41の加工数が最も多くなる配設形態)、すなわち、1つの凹部41の外縁に最も多くの他の凹部41の外縁が接触する配設形態とすることもできる。
この様な配設形態とすれば、未加工領域の面積をさらに小さくすることができる。また、凹部41の加工数をさらに増やすことができる。そのため、箔リークの発生をさらに抑制することができるので、放電ランプ100のさらなる長寿命化を図ることができる。
【0044】
図3(d)に示すように、第1の方向Xおよび第2の方向Yにおいて、隣接する凹部41の外縁同士が接触しない配設形態とすることもできる。
この場合、凹部41の外縁の周囲に未加工領域が存在することになる。そして、未加工領域の面積が余り大きくなると、箔リークが発生しやすくなる。
そのため、この様な配設形態とする場合には、隣接する凹部41同士の間の寸法をなるべく短くすることが好ましい。
【0045】
また、
図3(a)〜(d)に例示をしたように、複数の凹部41の配置は、ほぼ規則的なものとなるようにすることができる。すなわち、複数の凹部41の配置は、一定の規則性を有するようにすることができる。
複数の凹部41の配置に規則性を持たせれば、複数の凹部41をランダムに配置した場合と比べて、作用効果の再現性および信頼性を向上させることができる。
なお、凹部41を設ける効果が著しく低くならないのであれば、誤差または意図的に規則的でない部分が存在していてもよい。
【0046】
また、
図3(a)〜(d)において例示をした凹部41の外縁形状は円形であるが、真円、楕円のほか、一部の輪郭は直線状であるが大部分の輪郭が円または楕円であるようなものであってもよい。
【0047】
次に、凹部41の断面形状について例示をする。
図4は、凹部41の断面形状について例示をするための模式断面図である。
なお、
図4は、
図2におけるA−A線断面図である。
図4に示すように、凹部41は、金属箔31の主面(面31a、面31b)から金属箔31の内部に向かうに従い、凹部41の中心軸41cに垂直な断面の面積が漸減する形状を有している。
【0048】
また、凹部41の側壁には、互いに傾斜角度が異なる複数の傾斜面が設けられている。 例えば、凹部41の側壁には、傾斜角度θaを有する傾斜面41aと、傾斜角度θaよりも大きな傾斜角度θbを有する傾斜面41bとが設けられている。また、傾斜面41aと傾斜面41bとは連続的に形成されている。
なお、傾斜角度は、凹部41の中心軸41cと傾斜面とがなす角度である。
また、傾斜面41a、41bは、曲面であってもよいし、平面であってもよいし、曲面と平面を含むものであってもよい。
【0049】
また、凹部41の開口部分における中心軸41cに垂直な断面の寸法D1は、凹部41の傾斜面41aと傾斜面41bとの接続部分における中心軸41cに垂直な断面の寸法D2よりも長くなっている。
また、
図4に例示をしたものは、互いに傾斜角度が異なる2つの傾斜面が設けられた場合であるが、互いに傾斜角度が異なる3つ以上の側壁面が設けられていてもよい。
【0050】
また、金属箔31の主面に近い傾斜面ほど傾斜角度が大きくなっている。
また、金属箔31の主面に近い傾斜面同士の接続部分であるほど、中心軸41cに垂直な断面の寸法が長くなっている。
【0051】
凹部41の側壁に互いに傾斜角度が異なる複数の傾斜面が設けられていれば、金属箔31と封止部12との接触面積を増加させることができる。そのため、金属箔31と封止部12との密着性を高めることができるので、箔リークの発生をさらに抑制することができる。その結果、放電ランプ100のさらなる長寿命化を図ることができる。
【0052】
また、
図4に示すように、面31a側に設けられる凹部41の中心軸41cと、面31b側に設けられる凹部41の中心軸41cとが互いにずれているようにすることができる。凹部41の中心軸41cが互いにずれているようにすれば、面31a側に設けられる凹部41と、面31b側に設けられる凹部41とが繋がりにくくなる。そのため、金属箔31の強度が弱くなることを抑制することができる。
なお、面31a側に設けられる凹部41の中心軸41cと、面31b側に設けられる凹部41の中心軸41cとの間の寸法(ずれ寸法)をD1/2とすれば、凹部41の深さ寸法をさらに長くすることができるので、金属箔31と封止部12との接触面積をさらに増加させることができる。
【0053】
図5は、互いに傾斜角度が異なる複数の傾斜面を設ける効果について例示するためのグラフ図である。
図5の縦軸は、放電ランプ100の残存率(%)である。すなわち、不灯に至っていない放電ランプ100の数÷試験を行った放電ランプ100の総数×100(%)である。
【0054】
また、
図5中の201は、1つの傾斜面を有する比較例に係る凹部の場合である。
202は、互いに傾斜角度が異なる2つの傾斜面を有する凹部41の場合である。
203は、互いに傾斜角度が異なる3つの傾斜面を有する凹部41の場合である。
【0055】
図5から分かるように、互いに傾斜角度が異なる複数の傾斜面を設けるようにすれば、同じ残存率に達するまでの時間を大幅に延ばすことができる。このことは、放電ランプ100の長寿命化を図ることができることを意味する。
【0056】
次に、互いに傾斜角度が異なる複数の傾斜面の形成方法について例示をする。
図6(a)、(b)は、互いに傾斜角度が異なる複数の傾斜面の形成方法について例示をするための模式図である。
まず、
図6(a)に示すように、金属箔31の面31aまたは面31bの所望の位置にレーザ光Laを照射して、傾斜面41aを形成する。
この際、傾斜角度θaを有する傾斜面41aが形成されるようにレーザ光のビーム形状を制御する。
レーザ光のビーム形状は、例えば、レーザ光の絞り、レーザ光照射装置と面31aまたは面31bまでの距離、レーザ光照射装置における電流値などを制御することで変化させることができる。
【0057】
次に、
図6(b)に示すように、レーザ光Laを照射した位置に、レーザ光Lbを照射して、傾斜面41aに繋がる傾斜面41bを形成する。
この際、傾斜角度θbを有する傾斜面41bが形成されるようにレーザ光のビーム形状を制御する。
以上のようにして、互いに傾斜角度が異なる傾斜面41aと傾斜面41bとを形成することができる。
【0058】
なお、互いに傾斜角度が異なる3つ以上の傾斜面を形成する場合には、ビーム形状が異なるレーザ光の照射をさらに繰り返すようにすればよい。
以上に例示をしたように、凹部41は、金属箔31の主面(面31aまたは面31b)における所定の位置に、ビーム形状の異なるレーザ光を順次照射することで形成されてなる。
【0059】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。