【文献】
Yuehua Wen et al.,Investigation on the stability of electrolyte in vanadium flow batteries,Electrochimica Acta,2013年,96,pp. 268-273
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の実施形態の説明]
本発明者らは、電池反応の副反応などに起因するガス発生を低減するために、特に二次電池に用いる電解液に着目して検討した。ここで、電解液は、活物質イオン以外に、不純物元素イオンや不純物化合物イオンといった不純物イオンを含有し得る。電解液中の不純物イオンの主な由来は、電解液の原料、電解液の製造工程で使用する材料や部材、電解液の搬送や保管などに使用する部材など種々のものが挙げられる。その他、二次電池システムの運転時に電解液が接触し得る二次電池システムの構成部材からの由来も考えられる。このような不純物イオンの種類及び多寡とガス発生量の多寡とについて調べた結果、水素や硫化水素といった水素元素を含むガス(以下、H含有ガスと呼ぶことがある)の発生には、電解液中に含有し得る特定種の不純物元素イオンが多過ぎることが原因となり得るとの知見を得た。本発明は、これらの知見に基づくものである。以下、本発明の実施態様を列記して説明する。
【0015】
(1)本発明の一態様に係る電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンである周期表の第5周期の1族から8族の元素イオン及び13族から16族の元素イオンと、周期表の第6周期の1族、2族、4族から8族の元素イオン及び13族から15族の元素イオンとの合計濃度が610mg/L以下である。
【0016】
上記電解液は、第5周期の特定の元素イオンと、第6周期の特定の元素イオンとの双方を含み得るものの、その合計含有量が非常に少ない。そのため、上記電解液を二次電池システムの二次電池用電解液に利用すれば、ガス発生、特に負極におけるH含有ガスの発生を低減でき、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、上記電解液は、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量の少ない二次電池システムの構築に寄与できる。
【0017】
(2)本発明の一態様に係る電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンであるバリウムイオンの濃度が20mg/L以下である。
【0018】
上記電解液は、周期表の第6周期の2族元素イオンであるバリウムイオンを含有する場合でも、その含有量が非常に少ない。そのため、上記電解液を二次電池システムの二次電池用電解液に利用すれば、ガス発生、特に負極におけるH含有ガスの発生を低減でき、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、上記電解液は、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量の少ない二次電池システムの構築に寄与できる。
【0019】
(3)本発明の一態様に係る電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンであるモリブデンイオンの濃度が510mg/L以下である。
【0020】
上記電解液は、周期表の第5周期の6族元素イオンであるモリブデンイオンを含有する場合でも、その含有量が非常に少ない。そのため、上記電解液を二次電池システムの二次電池用電解液に利用すれば、ガス発生、特に負極におけるH含有ガスの発生を低減でき、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、上記電解液は、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量の少ない二次電池システムの構築に寄与できる。
【0021】
(4)本発明の一態様に係る電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンであるタングステンイオンの濃度が30mg/L以下である。
【0022】
上記電解液は、周期表の第6周期の6族元素イオンであるタングステンイオンを含有する場合でも、その含有量が非常に少ない。そのため、上記電解液を二次電池システムの二次電池用電解液に利用すれば、ガス発生、特に負極におけるH含有ガスの発生を低減でき、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、上記電解液は、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量の少ない二次電池システムの構築に寄与できる。
【0023】
(5)本発明の一態様に係る電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンであるレニウムイオンの濃度が5mg/L以下である。
【0024】
上記電解液は、周期表の第6周期の7族元素イオンであるレニウムイオンを含有する場合でも、その含有量が非常に少ない。そのため、上記電解液を二次電池システムの二次電池用電解液に利用すれば、ガス発生、特に負極におけるH含有ガスの発生を低減でき、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、上記電解液は、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量の少ない二次電池システムの構築に寄与できる。
【0025】
(6)本発明の一態様に係る電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンであるインジウムイオンの濃度が5mg/L以下である。
【0026】
上記電解液は、周期表の第5周期の13族元素イオンであるインジウムイオンを含有する場合でも、その含有量が非常に少ない。そのため、上記電解液を二次電池システムの二次電池用電解液に利用すれば、ガス発生、特に負極におけるH含有ガスの発生を低減でき、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、上記電解液は、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量の少ない二次電池システムの構築に寄与できる。
【0027】
(7)本発明の一態様に係る電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンであるアンチモンイオンの濃度が10mg/L以下である。
【0028】
上記電解液は、周期表の第5周期の15族元素イオンであるアンチモンイオンを含有する場合でも、その含有量が非常に少ない。そのため、上記電解液を二次電池システムの二次電池用電解液に利用すれば、ガス発生、特に負極におけるH含有ガスの発生を低減でき、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、上記電解液は、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量の少ない二次電池システムの構築に寄与することができる。
【0029】
(8)本発明の一態様に係る電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンであるビスマスイオンの濃度が20mg/L以下である。
【0030】
上記電解液は、周期表の第6周期の15族元素イオンであるビスマスイオンを含有する場合でも、その含有量が非常に少ない。そのため、上記電解液を二次電池システムの二次電池用電解液に利用すれば、ガス発生、特に負極におけるH含有ガスの発生を低減でき、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、上記電解液は、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量の少ない二次電池システムの構築に寄与できる。
【0031】
(9)上記電解液の一形態として、バナジウムイオンの濃度が1mol/L以上3mol/L以下、フリーの硫酸の濃度が1mol/L以上4mol/L以下、リン酸の濃度が1.0×10
−4mol/L以上7.1×10
−1mol/L以下、アンモニウムの濃度が20mg/L以下、ケイ素の濃度が40mg/L以下であることが挙げられる。
【0032】
上記形態は、バナジウムイオンを活物質として含み、硫酸及びリン酸を含む溶液を主体とする全バナジウム系電解液である。上記形態は、特定の組成であるため、1.電池反応の副反応によるガス発生を低減し易い、2.正負極の価数バランスに優れて電池効率などの電池特性に優れる、3.アンモニウム−バナジウム化合物といった活物質元素を含む化合物の析出を抑制できる、4.ケイ素に起因する電解液のゲル化などを抑制できる、といった種々の効果を奏する。従って、上記形態は、電池反応の副反応などに起因するガス発生をより低減できる上に、活物質元素イオンに由来する活物質元素を含む析出物の析出をも抑制できて、優れた電池特性を有する二次電池システムの構築に寄与する。
【0033】
(10)本発明の一態様に係る二次電池用電解液は、上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の電解液を備える。
【0034】
上記二次電池用電解液は、ガス発生を低減できる上記電解液を備えるため、二次電池システムの二次電池用電解液に利用すれば、ガス発生、特に負極におけるH含有ガスの発生を低減でき、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、上記二次電池用電解液は、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量の少ない二次電池システムの構築に寄与できる。
【0035】
(11)本発明の一態様に係る二次電池システムは、上記(10)に記載の二次電池用電解液と、前記二次電池用電解液が供給される二次電池とを備える。
【0036】
上記二次電池システムは、上記二次電池用電解液を用いるため、電池反応の副反応などに起因するガスの発生量が少ない。
【0037】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る電解液、二次電池用電解液、及び二次電池システムをより詳細に説明する。まず、
図1を参照して、実施形態の二次電池システムを説明し、次に電解液(二次電池用電解液)を詳細に説明する。
図1において正極タンク106,負極タンク107内に示すイオンは、電解液中に活物質として含むイオン種の一例を示し、実線矢印は、充電、破線矢印は、放電を意味する。
【0038】
(二次電池システムの概要)
実施形態の二次電池システムSは、二次電池1と、電解液(二次電池用電解液)とを備える。ここでは、二次電池1には、電解液を二次電池1に供給するための循環機構(後述)が接続されている。即ち、この二次電池システムSは、ここでは電解液流通型電池システムとしている。二次電池1は、代表的には、交流/直流変換器200や変電設備210などを介して、発電部300と、電力系統や需要家などの負荷400とに接続され、発電部300を電力供給源として充電を行い、負荷400を電力提供対象として放電を行う。発電部300は、例えば、太陽光発電機、風力発電機、その他一般の発電所などが挙げられる。
【0039】
(二次電池の基本構成)
二次電池1は、正極電極10cと、負極電極10aと、両電極10c,10a間に介在される隔膜11とを備える電池セル100を主な構成要素とする。
【0040】
二次電池1は、代表的には、複数の電池セル100が積層されて、セルスタックと呼ばれる形態で利用される。セルスタックは、一面に正極電極10c、他面に負極電極10aが配置される双極板(図示せず)と、上記双極板の外周に形成された枠体(図示せず)とを備えるフレームアッシーを用いた構成が代表的である。双極板には、電解液が流通する溝などの流路が形成されていてもよい。枠体には、双極板上に配置された各極の電極に各極の電解液を供給する給液孔及び電解液を排出する排液孔を有する。複数のフレームアッシーを積層することで給液孔及び排液孔は電解液の流通管路を構成し、この管路に後述の配管108〜111がそれぞれ接続される。セルスタックは、あるフレームアッシーの双極板、正極電極10c、隔膜11、負極電極10a、別のフレームアッシーの双極板、…と順に繰り返し積層されて構成される。
【0041】
(循環機構)
循環機構は、正極電極10cに循環供給する正極電解液を貯留する正極タンク106と、負極電極10aに循環供給する負極電解液を貯留する負極タンク107と、正極タンク106と二次電池1との間を接続する配管108,110と、負極タンク107とRF電池1との間を接続する配管109,111と、上流側(供給側)の配管108,109に設けられたポンプ112,113とを備える。
【0042】
二次電池システムSは、正極タンク106及び配管108,110を備える正極電解液の循環経路と、負極タンク107及び配管109,111を備える負極電解液の循環経路を利用して、正極電極10cに正極電解液を循環供給すると共に負極電極10aに負極電解液を循環供給する。この循環供給によって、各極の電解液中の活物質イオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。二次電池システムSの基本構成は、公知の構成を適宜利用可能である。実施形態の二次電池システムSは、電解液として、以下の実施形態1〜実施形態9のいずれか1つの電解液(二次電池用電解液)を備えることを特徴の一つとする。
【0043】
(電解液)
実施形態の電解液は、活物質となるイオンを含有するイオン溶液であり、この点は従来の電解液と共通する。実施形態の電解液は、不純物イオンとして、電池反応の副反応などに起因するガス発生に関与する特定の不純物元素イオンを含み得るものの、その含有量が非常に少ない点を特徴の一つとする。まず、この特定の不純物元素イオンを説明する。
【0044】
・不純物元素イオン
・・実施形態1
実施形態1の電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンとして、周期表の第5周期の1族から8族の元素イオン及び13族から16族の元素イオンと、周期表の第6周期の1族、2族、4族から8族の元素イオン及び13族から15族の元素イオンとを含む場合にこれらの合計濃度が610mg/L以下である。これらの不純物元素イオンの含有量(合計濃度)が上記の範囲を満たすことで、実施形態1の電解液を用いて二次電池システムSを運転した場合にガス発生を低減できる。特に負極での水素、硫化水素などの水素を含有するH含有ガスの発生を効果的に低減できる。
【0045】
周期表の第5周期の1族から8族の元素とは、ルビジウム(Rb、1族)、ストロンチウム(Sr、2族)、イットリウム(Y、3族)、ジルコニウム(Zr、4族)、ニオブ(Nb、5族)、モリブデン(Mo、6族)、テクネチウム(Tc、7族)、ルテニウム(Ru、8族)である。
周期表の第5周期の13族から16族の元素とは、インジウム(In、13族)、錫(Sn、14族)、アンチモン(Sb、15族)、テルル(Te、16族)である。
周期表の第6周期の1族、2族、4族から8族の元素とは、セシウム(Cs、1族)、バリウム(Ba、2族)、ハフニウム(Hf、4族)、タンタル(Ta、5族)、タングステン(W、6族)、レニウム(Re、7族)、オスミウム(Os、8族)である。
周期表の第6周期の13族から15族の元素とは、タリウム(Tl、13族)、鉛(Pb、14族)、ビスマス(Bi、15族)である。
以下、これらの元素をまとめてガス発生不純物元素群と呼ぶことがある。
【0046】
上記合計濃度が低いほどガス発生を低減できて好ましく、600mg/L以下、更に550mg/L以下、500mg/L以下がより好ましい。後述する試験例に示すように、少なくとも未使用の電解液について、上記合計濃度が上記の範囲を満たすことが好ましいと考えられる。上記合計濃度は0(ゼロ)が好ましいが、ガス発生を十分に低減できる許容量として、上記の上限値を規定する。
【0047】
上述のように上記合計濃度が低いほどガス発生を低減できるものの、二次電池システムSとして許容できる程度の量のガスが発生する。このガスは、例えば、燃料電池の燃料などに利用することもできる。例えば、上記合計濃度が550mg/L超610mg/L以下、更に570mg/L以上610mg/L以下、特に580mg/L以上610mg/L以下であれば、ガスを利用することもできる。即ち、実施形態1の電解液は、上記合計濃度が550mg/L超610mg/L以下のとき、電池反応とガス発生とに兼用することもでき、上記合計濃度が550mg/L以下のとき、更には500mg/L以下のとき、電池反応に好適に利用できる。
【0048】
上記ガス発生不純物元素群の元素イオンの合計濃度が低い場合でも、上記ガス発生不純物元素群の元素イオンのうち、特定の元素イオンについては、その含有量が多過ぎるとガスが発生し易いとの知見を得た。そこで、上記ガス発生不純物元素群のうち、特定の元素イオンについて、以下のように含有量を規定する。
【0049】
・・実施形態2
実施形態2の電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンとして、バリウムイオンを含む場合にその濃度が20mg/L以下である。電解液に含み得る不純物イオンのうち、特にバリウムイオンの含有量が上記の範囲を満たすことで、実施形態2の電解液を用いて二次電池システムSを運転した場合にガス発生を低減できる。特に負極でのH含有ガス、特に硫化水素ガスの発生を効果的に低減できる。
【0050】
バリウムイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できて好ましく、18mg/L以下、更に16mg/L以下、10mg/L以下がより好ましい。後述する試験例に示すように、少なくとも未使用の電解液について、バリウムイオンの濃度が上記の範囲を満たすことが好ましいと考えられる。バリウムイオンの濃度は0(ゼロ)が好ましいが、ガス発生を十分に低減できる許容量として、上記の上限値を規定する。
【0051】
上述のようにバリウムイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できるものの、二次電池システムSとして許容できる程度の量のガスが発生する。例えば、バリウムイオンの濃度が15mg/L超20mg/L以下、更に16mg/L以上20mg/L以下、特に17mg/L以上20mg/L以下であれば、ガスを燃料電池の燃料などに利用することもできる。即ち、実施形態2の電解液は、バリウムイオンの濃度が15mg/L超20mg/L以下のとき、電池反応とガス発生とに兼用することもでき、バリウムイオンの濃度が15mg/L以下のとき、更には10mg/L以下のとき、電池反応に好適に利用できる。
【0052】
・・実施形態3
実施形態3の電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンとして、モリブデンイオンを含む場合にその濃度が510mg/L以下である。電解液に含み得る不純物イオンのうち、特にモリブデンイオンの含有量が上記の範囲を満たすことで、実施形態3の電解液を用いて二次電池システムSを運転した場合にガス発生を低減できる。特に負極でのH含有ガス、特に硫化水素ガスの発生を効果的に低減できる。
【0053】
モリブデンイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できて好ましく、500mg/L以下、更に495mg/L以下、450mg/L以下、400mg/Lがより好ましい。後述する試験例に示すように、少なくとも未使用の電解液について、モリブデンイオンの濃度が上記の範囲を満たすことが好ましいと考えられる。モリブデンイオンの濃度は0(ゼロ)が好ましいが、ガス発生を十分に低減できる許容量として、上記の上限値を規定する。
【0054】
上述のようにモリブデンイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できるものの、二次電池システムSとして許容できる程度の量のガスが発生する。例えば、モリブデンイオンの濃度が480mg/L超510mg/L以下、更に490mg/L以上510mg/L以下、特に500mg/L以上510mg/L以下であれば、ガスを燃料電池の燃料などに利用することもできる。即ち、実施形態3の電解液は、モリブデンイオンの濃度が480mg/L超510mg/L以下のとき、電池反応とガス発生とに兼用することもでき、モリブデンイオンの濃度が480mg/L以下のとき、更には400mg/L以下のとき、電池反応に好適に利用できる。
【0055】
・・実施形態4
実施形態4の電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンとして、タングステンイオンを含む場合にその濃度が30mg/L以下である。電解液に含み得る不純物イオンのうち、特にタングステンイオンの含有量が上記の範囲を満たすことで、実施形態4の電解液を用いて二次電池システムSを運転した場合にガス発生を低減できる。特に負極でのH含有ガス、特に硫化水素ガスの発生を効果的に低減できる。
【0056】
タングステンイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できて好ましく、29mg/L以下、更に26mg/L以下、20mg/Lがより好ましい。後述する試験例に示すように、少なくとも未使用の電解液について、タングステンイオンの濃度が上記の範囲を満たすことが好ましいと考えられる。タングステンイオンの濃度は0(ゼロ)が好ましいが、ガス発生を十分に低減できる許容量として、上記の上限値を規定する。
【0057】
上述のようにタングステンイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できるものの、二次電池システムSとして許容できる程度の量のガスが発生する。例えば、タングステンイオンの濃度が26mg/L超30mg/L以下、更に27mg/L以上30mg/L以下、特に28mg/L以上30mg/L以下であれば、ガスを燃料電池の燃料などに利用することもできる。即ち、実施形態4の電解液は、タングステンイオンの濃度が26mg/L超30mg/L以下のとき、電池反応とガス発生とに兼用することもでき、タングステンイオンの濃度が26mg/L以下のとき、更には20mg/L以下のとき、電池反応に好適に利用できる。
【0058】
・・実施形態5
実施形態5の電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンとして、レニウムイオンを含む場合にその濃度が5mg/L以下である。電解液に含み得る不純物イオンのうち、特にレニウムイオンの含有量が上記の範囲を満たすことで、実施形態5の電解液を用いて二次電池システムSを運転した場合にガス発生を低減できる。特に負極でのH含有ガス、特に水素ガスの発生を効果的に低減できる。
【0059】
レニウムイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できて好ましく、4.8mg/L以下、更に4.6mg/L以下、4mg/Lがより好ましい。後述する試験例に示すように、少なくとも未使用の電解液について、レニウムイオンの濃度が上記の範囲を満たすことが好ましいと考えられる。レニウムイオンの濃度は0(ゼロ)が好ましいが、ガス発生を十分に低減できる許容量として、上記の上限値を規定する。
【0060】
上述のようにレニウムイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できるものの、二次電池システムSとして許容できる程度の量のガスが発生する。例えば、レニウムイオンの濃度が4.6mg/L超5mg/L以下、更に4.7mg/L以上5mg/L以下、特に4.8mg/L以上5mg/L以下であれば、ガスを燃料電池の燃料などに利用することもできる。即ち、実施形態5の電解液は、レニウムイオンの濃度が4.6mg/L超5mg/L以下のとき、電池反応とガス発生とに兼用することもでき、レニウムイオンの濃度が4.6mg/L以下のとき、更には4.0mg/L以下のとき、電池反応に好適に利用できる。
【0061】
・・実施形態6
実施形態6の電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンとして、インジウムイオンを含む場合にその濃度が5mg/L以下である。電解液に含み得る不純物イオンのうち、特にインジウムイオンの含有量が上記の範囲を満たすことで、実施形態6の電解液を用いて二次電池システムSを運転した場合にガス発生を低減できる。特に負極でのH含有ガスの発生を効果的に低減できる。
【0062】
インジウムイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できて好ましく、4.8mg/L以下、更に4.6mg/L以下、4mg/Lがより好ましい。後述する試験例に示すように、少なくとも未使用の電解液について、インジウムイオンの濃度が上記の範囲を満たすことが好ましいと考えられる。インジウムイオンの濃度は0(ゼロ)が好ましいが、ガス発生を十分に低減できる許容量として、上記の上限値を規定する。
【0063】
上述のようにインジウムイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できるものの、二次電池システムSとして許容できる程度の量のガスが発生する。例えば、インジウムイオンの濃度が4.6mg/L超5mg/L以下、更に4.7mg/L以上5mg/L以下、特に4.8mg/L以上5mg/L以下であれば、ガスを燃料電池の燃料などに利用することもできる。即ち、実施形態6の電解液は、インジウムイオンの濃度が4.6mg/L超5mg/L以下のとき、電池反応とガス発生とに兼用することもでき、インジウムイオンの濃度が4.6mg/L以下のとき、更には4.0mg/L以下のとき、電池反応に好適に利用できる。
【0064】
・・実施形態7
実施形態7の電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンとして、アンチモンイオンを含む場合にその濃度が10mg/L以下である。電解液に含み得る不純物イオンのうち、特にアンチモンイオンの含有量が上記の範囲を満たすことで、実施形態7の電解液を用いて二次電池システムSを運転した場合にガス発生を低減できる。特に負極でのH含有ガスの発生を効果的に低減できる。
【0065】
アンチモンイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できて好ましく、9mg/L以下、更に8mg/L以下、6mg/Lがより好ましい。後述する試験例に示すように、少なくとも未使用の電解液について、アンチモンイオンの濃度が上記の範囲を満たすことが好ましいと考えられる。アンチモンイオンの濃度は0(ゼロ)が好ましいが、ガス発生を十分に低減できる許容量として、上記の上限値を規定する。
【0066】
上述のようにアンチモンイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できるものの、二次電池システムSとして許容できる程度の量のガスが発生する。例えば、アンチモンイオンの濃度が7mg/L超10mg/L以下、更に8mg/L以上10mg/L以下、特に9mg/L以上10mg/L以下であれば、ガスを燃料電池の燃料などに利用することもできる。即ち、実施形態7の電解液は、アンチモンイオンの濃度が7mg/L超10mg/L以下のとき、電池反応とガス発生とに兼用することもでき、アンチモンイオンの濃度が7mg/L以下のとき、更には6mg/L以下のとき、電池反応に好適に利用できる。
【0067】
・・実施形態8
実施形態8の電解液は、ガス発生に関与する不純物元素イオンとして、ビスマスイオンを含む場合にその濃度が20mg/L以下である。電解液に含み得る不純物イオンのうち、特にビスマスイオンの含有量が上記の範囲を満たすことで、実施形態8の電解液を用いて二次電池システムSを運転した場合にガス発生を低減できる。特に負極でのH含有ガスの発生を効果的に低減できる。
【0068】
ビスマスイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できて好ましく、19mg/L以下、更に16mg/L以下、15mg/Lがより好ましい。後述する試験例に示すように、少なくとも未使用の電解液について、ビスマスイオンの濃度が上記の範囲を満たすことが好ましいと考えられる。ビスマスイオンの濃度は0(ゼロ)が好ましいが、ガス発生を十分に低減できる許容量として、上記の上限値を規定する。
【0069】
上述のようにビスマスイオンの濃度が低いほどガス発生を低減できるものの、二次電池システムSとして許容できる程度の量のガスが発生する。例えば、ビスマスイオンの濃度が16mg/L超20mg/L以下、更に17mg/L以上20mg/L以下、特に18mg/L以上20mg/L以下であれば、ガスを燃料電池の燃料などに利用することもできる。即ち、実施形態8の電解液は、ビスマスイオンの濃度が16mg/L超20mg/L以下のとき、電池反応とガス発生とに兼用することもでき、ビスマスイオンの濃度が16mg/L以下のとき、更には15mg/L以下のとき、電池反応に好適に利用できる。
【0070】
・・実施形態9
実施形態9の電解液は、上述の実施形態1〜実施形態8の全ての規定を満たす。このような実施形態9の電解液を用いて二次電池システムSを運転した場合にガスの発生、特に負極でのH含有ガスの発生を更に効果的に低減できる。
【0071】
・不純物元素イオンの低減方法
電解液中に存在し得る上述のガス発生不純物元素群の元素イオンの濃度を低減するには、例えば、以下の対策を利用できる。
(1)電解液の製造過程で、ガス発生不純物元素群の元素の含有量が少ない、好ましくは含んでいない原料(活物質、溶媒など)を用いる。
(2)電解液の製造過程に利用する部材として、その構成成分にガス発生不純物元素群の元素の含有量が少ない、好ましくは含んでいないものを用いる。
(3)電解液の搬送、保管などの過程で利用する部材(輸送タンクや保管タンクなど)として、その構成成分にガス発生不純物元素群の元素の含有量が少ない、好ましくは含んでいないものを用いる。
(4)電解液に対して、ガス発生不純物元素群の元素イオンを除去する後述の除去操作を行う。
(5)二次電池システムSを構築する部材のうち、上述した電解液と接触し得る部材として、その構成成分にガス発生不純物元素群の元素の含有量が少ない、好ましくは含んでいないものを用いる。
【0072】
上記(4)の除去操作は、凝集沈殿、溶媒抽出、イオン交換樹脂やキレート樹脂を用いた濾過、電解析出、膜分離などといった元素イオンの除去が可能な種々の方法を利用できる。公知の方法を利用してもよい。特に、キレート樹脂を用いた濾過では、キレート樹脂の物性や電解液のpHなどを調整することで、特定の元素イオンを選択的に濾過できる。この濾過は、キレート樹脂製のフィルタ、又はキレート樹脂をビーズ状にして充填したカラムなどに電解液を通液することで行える。この除去操作を行うことで、電解液中に存在するガス発生不純物元素群の元素イオンのうち、複数の元素イオンを同時に除去することがある。
【0073】
上述の除去操作は、任意の時期に行える。即ち、電解液を二次電池システムSに供給する運転前だけでなく、システムSの運転中であって待機期間や停止期間などに電解液中の成分分析を行い、その結果に応じて、上述の除去操作を行うことができる。こうすることで、システムSの運転前は勿論、運転中においても、ガス発生不純物元素群の元素イオンの濃度を特定の範囲に維持できて、システムSを長期に亘り運転してもガスを発生し難くできる。
【0074】
・活物質
実施形態の電解液は、種々の活物質を含むことができる。例えば、両極の活物質がバナジウムイオンである全バナジウム系電解液(
図1参照)、正極活物質が鉄イオン、負極活物質がクロムイオンである鉄−クロム系電解液、正極活物質がマンガンイオン、負極活物質がチタンイオンであるマンガン−チタン系電解液(二液型)、両極にマンガンイオン及びチタンイオンを含むマンガン−チタン系電解液(一液型)などとすることができる。特に全バナジウム系電解液では、電解液の製造過程などでガス発生不純物元素群の元素を含む可能性があり、上述の(4)の除去操作などを適宜行うことが望まれる。
【0075】
実施形態の電解液を全バナジウム系電解液とする場合、正極電解液及び負極電解液におけるバナジウムイオン濃度は1mol/L以上3mol/Lが好ましく、1.2mol/L以上2.5mol/L以下、更に1.5mol/L以上1.9mol/L以下がより好ましい。この効果は後述する。
【0076】
実施形態の電解液を全バナジウム系電解液とする場合、バナジウムイオンの平均価数は3.3以上3.7以下、更に3.4以上3.6以下が好ましい。この場合、両極の価数バランスに優れ、電池反応を良好に行えて、電池効率やエネルギー密度といった電池特性に優れる。また、価数バランスに優れることで、電池反応の副反応の発生を低減し易くなり、副反応に起因するガス発生を低減し易い。
【0077】
・溶媒など
実施形態の電解液は、上記活物質を含む酸溶液、特に酸の水溶液とすることができる。酸溶液は、例えば、硫酸(H
2SO
4)、K
2SO
4、Na
2SO
4、リン酸(H
3PO
4)、H
4P
2O
7、K
2HPO
4、Na
3PO
4、K
3PO
4、硝酸(HNO
3)、KNO
3、塩酸(HCl)及びNaNO
3から選択される少なくとも1種の酸又は酸塩を含むものが挙げられる。その他、有機酸溶液とすることができる。
【0078】
実施形態の電解液を、リン酸を含む硫酸溶液の全バナジウム系電解液とする場合、バナジウムイオン濃度が上述の特定の範囲を満たすと共に、フリーの硫酸の濃度が1mol/L以上4mol/L以下、リン酸の濃度が1.0×10
−4mol/L以上7.1×10
−1mol/L以下、アンモニウムの濃度が20mg/L以下、ケイ素(Si)の濃度が40mg/L以下を満たすことが好ましい。
バナジウムイオンの濃度及びフリーの硫酸の濃度が上述の範囲を満たせば、上述の価数バランスに優れる電解液とすることができる。
バナジウムイオン濃度、硫酸濃度、リン酸濃度が上述の特定の範囲を満たす組合せは、活物質元素を含むバナジウム化合物などの析出物が析出し難く、長期に亘り、優れた電池性能を有することができる。
アンモニウム濃度が上述の特定の範囲を満たせば、上記バナジウム化合物のうち、アンモニウム−バナジウム化合物の析出を抑制し易い。
ケイ素が上述の特定の範囲を満たせば、隔膜11に悪影響を与え得る現象の発生を低減できる。
この形態は、不純物元素イオンに由来するガス発生の抑制効果に加えて、活物質元素イオンに由来する析出物の発生をも低減できて、電池反応を良好に行えるといえる。
【0079】
フリーの硫酸の濃度は、1.5mol/L以上3.5mol/L以下がより好ましい。リン酸の濃度は、1.0×10
−3mol/L以上3.5×10
−1mol/L以下がより好ましい。アンモニウムの濃度は、10mg/L以下がより好ましい。ケイ素の濃度は、30mg/L以下がより好ましい。アンモニウムの濃度及びケイ素の濃度を低減するには、フィルタを用いた濾過など公知の手法(特許文献1など参照)が利用できる。
【0080】
(用途)
実施形態の二次電池システムSは、太陽光発電、風力発電などの自然エネルギーの発電に対して、発電出力の変動の安定化、発電電力の余剰時の蓄電、負荷平準化などを目的とした蓄電池に利用できる。また、実施形態の二次電池システムSは、一般的な発電所に併設されて、瞬低・停電対策や負荷平準化を目的とした蓄電池にも利用できる。実施形態1〜実施形態9の電解液及び二次電池用電解液は、上述の二次電池システムに利用できる。また、実施形態1〜実施形態9の電解液は、水素や硫化水素の発生を抑制したい電解槽用電解液及び電解槽システムにも利用できる。
【0081】
[試験例1]
種々の電解液を用意して、二次電池(ここでは電解液流通型電池)に循環供給して充放電試験を行ってガスの発生状態を調べた。
【0082】
この試験では、二次電池として電池セルを複数積層したセルスタックと、セルスタックに電解液を循環供給する循環機構とを備える二次電池システムを構築した(
図1参照)。
セルスタックの各電池セルは、電極面積が500cm
2であるカーボンフェルト製の電極と、隔膜と、フレームアッシーとによって構築した。
この二次電池システムは、出力1kWで5時間の容量を有するものである。
【0083】
この試験で用意した電解液は、両極の活物質としてバナジウムイオンを含む硫酸水溶液、つまり全バナジウム系電解液とした。各試料について用意した電解液量はいずれも、正極電解液が175リットル、負極電解液が175リットルである(正負合計で350リットル)。各試料の電解液はいずれも、以下の成分を共通成分とした。
【0084】
電解液中の濃度(各試料について共通)
・バナジウムイオンの濃度:1.7mol/L
・バナジウムイオンの平均価数:3.5
・フリーの硫酸の濃度:2.0mol/L
・リン酸の濃度:0.14mol/L(1.4×10
−1mol/L)
・アンモニウムの濃度:20mg/L以下
・ケイ素の濃度:40mg/L以下
【0085】
試料No.1−1,1−2,1−3の電解液は、キレート樹脂を充填したカラムに通液させて、不純物元素イオンの濃度調整を行ったものを後述の濃度測定に供した。
試料No.1−101〜1−107の電解液は、試料No.1−1とは異なるキレート樹脂を充填したカラムや、別のイオン除去方法などを用いたり、特定の不純物元素イオンを添加したりして、不純物元素イオンの濃度調整を行ったものを後述の濃度測定に供した。
試料No.1−108の電解液は、不純物元素イオンの濃度調整を行っていない。
【0086】
後述する充放電試験前に、用意した各試料の電解液の成分分析を行い、周期表の第5周期の1族から8族及び13族から16族、周期表の第6周期の1族、2族、4族から8族及び13族から15族に規定される元素について、各元素イオンの濃度(mg/L)を測定した。その結果を表1に示す。濃度の測定には、ICP質量分析装置(Agilent Technologies. Inc.製、Agilent 7700x ICP−MS)を用いた。
【0087】
用意した各試料の電解液を作製した二次電池に循環供給して、以下の条件で、充放電試験を行った。ここでは、充放電中に負極で発生したガスを採集して成分を分析し、水素及び硫化水素の発生率を調べることでガスの発生状態を調べた。水素の発生率が10cc/h/m
2未満である場合を発生無し、10cc/h/m
2以上である場合を発生ありと評価し、硫化水素の発生率が5.0×10
−3cc/h/m
2未満である場合を発生無し、5.0×10
−3cc/h/m
2以上である場合を発生ありと評価した。その評価結果とその発生率(cc/h/m
2)の数値とを表1に示す。
【0088】
(充放電条件)
充放電方法 :定電流の連続充放電
電流密度 :70(mA/cm
2)
充電終了電圧:1.55(V)/セル
放電終了電圧:1.00(V)/セル
温度 :室温(25℃)
【0090】
表1に示すように、電解液中に含み得る不純物元素イオンが以下の(1)〜(8)の少なくとも一つを満たせば、繰り返しの充放電運転中にガス発生を低減できることが分かる。この試験では、負極での水素や硫化水素の発生を効果的に低減できる。
(1)周期表の第5周期の1族から8族の元素イオン及び13族から16族の元素イオンと、周期表の第6周期の1族、2族、4族から8族の元素イオン及び13族から15族の元素イオンとの合計濃度が610mg/L以下である。
(2)バリウムイオンの濃度が20mg/L以下である。
(3)モリブデンイオンの濃度が510mg/L以下である。
(4)タングステンイオンの濃度が30mg/L以下である。
(5)レニウムイオンの濃度が5mg/L以下である。
(6)インジウムイオンの濃度が5mg/L以下である。
(7)アンチモンイオンの濃度が10mg/L以下である。
(8)ビスマスイオンの濃度が20mg/L以下である。
【0091】
一方、上記(1)〜(8)のいずれか一つを満たさない場合には、水素や硫化水素といったガスが発生し易いことが分かる。
【0092】
この試験から、上記(1)〜(8)に規定する各元素イオンを電池反応の副反応などに起因するガス発生に関与する不純物元素イオンとして扱い、その濃度を特定の範囲とすることで、ガス発生を低減できることが確認できた。特に、この試験から、二次電池システムの運転前(未使用の状態)において、電解液中にガス発生不純物元素群の元素イオンの濃度を特定の範囲にすることが好ましいといえる。また、この点から、二次電池システムの運転開始から、使用期間が短い間(二次電池の容量などにもよるが、例えば、容量が10kWh以上の電池では、100サイクル以内程度)に、濃度調整を行うことが好ましいと考えられる。なお、二次電池システムの充放電中、充放電後に電解液中のガス発生不純物元素群のうち、少なくとも一種の元素イオンの濃度が変化する可能性があるため、上述の除去作業などを適宜な時期に行うとよい。
【0093】
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、上記の試験例において、活物質の種類・濃度、各極の電解液の酸の種類・酸濃度、電解液の量、電極の大きさや二次電池の容量などを適宜変更することができる。
【解決手段】ガス発生に関与する不純物元素イオンである周期表の第5周期の1族から8族の元素イオン及び13族から16族の元素イオンと、周期表の第6周期の1族、2族、4族から8族の元素イオン及び13族から15族の元素イオンとの合計濃度が610mg/L以下である電解液。