(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6153148
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】プロセス液の処理システム
(51)【国際特許分類】
B01D 35/00 20060101AFI20170619BHJP
B01D 35/16 20060101ALI20170619BHJP
B01D 29/11 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
B01D35/00
B01D35/16
B01D29/10 520Z
B01D29/10 530A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-16105(P2017-16105)
(22)【出願日】2017年1月31日
【審査請求日】2017年2月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315001682
【氏名又は名称】岩井ファルマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】島本 賢一
(72)【発明者】
【氏名】川北 賢
(72)【発明者】
【氏名】井出 雄一郎
【審査官】
菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−023866(JP,A)
【文献】
特開2015−171899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/00
B01D 35/00
B01D 36/00
B01D 67/00
B01J 4/00
A61L 2/00
F17D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタを収容する容器を備えたフィルタ装置と、
プロセス液を前記フィルタ装置に供給する供給配管と、
プロセス液を圧送するための気体を前記供給配管に供給する圧送手段と、
洗浄用流体を前記フィルタ装置に供給する洗浄手段と、を備え、
前記供給配管は、途中で分岐して、前記容器の側部又は上部に接続された第1配管、及び前記容器の底部に接続された第2配管を有し、
前記圧送手段により前記第1配管及び前記第2配管から前記フィルタ装置内にプロセス液を圧送し、
前記洗浄手段により前記フィルタ装置へ供給した洗浄用流体を前記第2配管から前記フィルタ装置の外部へ排出する
ことを特徴とするプロセス液の処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載するプロセス液の処理システムにおいて、
前記プロセス液を貯留する調製タンクを備え、
前記調製タンクは、前記圧送手段から前記気体が供給されるとともに、前記供給配管を介して前記フィルタ装置に接続され、
前記第1配管には、バルブが設けられ、
前記圧送手段により前記調製タンクに貯留された前記プロセス液を前記第1配管及び前記第2配管から前記フィルタ装置内に圧送する際に、前記調製タンクに貯留された前記プロセス液の残量が所定値以下となったとき、前記第1配管に設けられた前記バルブを閉鎖する
ことを特徴とするプロセス液の処理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するプロセス液の処理システムにおいて、
前記第2配管の口径は、前記第1配管の口径よりも狭い
ことを特徴とするプロセス液の処理システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載するプロセス液の処理システムにおいて、
前記プロセス液は、薬液である
ことを特徴とするプロセス液の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置に残留するプロセス液を削減することができるプロセス液の処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、注射剤、点眼剤等の液状のプロセス液を処理するプラントにおいては、プロセス液をフィルタ装置で濾過することで殺菌する工程が実施されている。プロセス液は、通常、圧縮空気により、タンクからフィルタ装置へ圧送される。圧縮空気を供給して圧送する場合、製造終了後に配管内にプロセス液が残留する場合がある。
【0003】
このような残留したプロセス液を回収するために、フィルタ装置よりも上流に設けられたバルブの開度を調整し、圧縮空気の流速を制御することで、配管内に残留するプロセス液を送液する送液方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような送液方法により、配管内に残留するプロセス液を低減することができる。
【0004】
しかしながら、フィルタ装置に接続されたドレインへ接続された配管にプロセス液が残留する場合がある。
図7に、従来のフィルタ装置の概略構成を示す。一般に、フィルタ装置110は、フィルタ112が配置された容器111を備えている。容器111の内部空間は、フィルタ112によって区画されており、上流側の空間が一次側113、下流側の空間が二次側114となっている。
【0005】
また、フィルタ装置110には、底部にドレン151へ接続した排水管150が接続されている。排水管150には弁装置152が設けられている。排水管150は、フィルタ装置110の容器111の内部を洗浄した洗浄液や水蒸気等などを、容器111の内部からドレン151へ排出するために用いられる。
【0006】
このようなフィルタ装置110は、上流からプロセス液が一次側113に供給され、プロセス液はフィルタ112により濾過され、二次側14から次の工程へ送られる。このようにフィルタ装置110でプロセス液を処理しているとき、弁装置152は閉鎖されている。
【0007】
プロセス液の全量をフィルタ装置110で処理し終えると、図中のハッチ部分に示すように、排水管150の一部(弁装置152から容器111との入口までの間の部分)には、プロセス液が残留してしまう。排水管150に残留したプロセス液は、弁装置152を開放し、ドレン151へ廃棄されている。特に注射剤等のプロセス液は、少量であっても非常に高価であることから、プロセス液を残留させ廃棄することは、大きな損失をもたらす。
【0008】
なお、このような問題は、注射剤等の医薬に関する液状のプロセス液だけではなく、フィルタによる濾過を必要とするプロセス液について一般に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5205158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、フィルタ装置に残留するプロセス液を削減することができるプロセス液の処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための第1の態様は、フィルタを収容する容器を備えたフィルタ装置と、プロセス液を前記フィルタ装置に供給する供給配管と、プロセス液を圧送するための気体を前記供給配管に供給する圧送手段と、洗浄用流体を前記フィルタ装置に供給する洗浄手段と、を備え、前記供給配管は、途中で分岐して、前記容器の側部又は上部に接続された第1配管、及び前記容器の底部に接続された第2配管を有し、前記圧送手段により前記第1配管及び前記第2配管から前記フィルタ装置内にプロセス液を圧送し、前記洗浄手段により前記フィルタ装置へ供給した洗浄用流体を前記第2配管から前記フィルタ装置の外部へ排出することを特徴とするプロセス液の処理システムにある。
【0012】
第1の態様では、第2配管が排水管と供給配管としての機能を兼用するので、洗浄用流体の排出を可能とし、かつ、供給配管に残留する薬液を低減することができる。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載するプロセス液の処理システムにおいて、
前記プロセス液を貯留する調製タンクを備え、前記調製タンクは、前記圧送手段から前記気体が供給されるとともに、前記供給配管を介して前記フィルタ装置に接続され、前記第1配管には、バルブが設けられ、前記圧送手段により
前記調製タンクに貯留された前記プロセス液を前記第1配管及び前記第2配管から前記フィルタ装置内
に圧送する際に、
前記調製タンクに貯留された前記プロセス液の残量が所定値以下となったとき、前記第1配管に設けられた前記バルブを閉鎖することを特徴とするプロセス液の処理システムにある。
【0014】
第2の態様では、プロセス液をより早く確実にフィルタ装置へ送ることができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載するプロセス液の処理システムにおいて、前記第2配管の口径は、前記第1配管の口径よりも狭いことを特徴とするプロセス液の処理システムにある。
【0016】
第3の態様では、第2配管の口径を、第1配管の口径よりも狭くすることで、送液速度を十分確保することができる。
【0017】
本発明の第4の態様は、第1から第3の何れか一つに記載するプロセス液の処理システムにおいて、前記プロセス液は、薬液であることを特徴とするプロセス液の処理システムにある。
【0018】
第4の態様では、プロセス液として薬液を対象とする。特に薬液は高価であることから、供給配管に残留する薬液を低減することによる経済的な効果は顕著である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フィルタ装置に残留するプロセス液を削減することができるプロセス液の処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】プロセス液の処理システムの概略構成図である。
【
図2】薬液を送液している状態における処理システムの概略図である。
【
図3】薬液を送液している状態における処理システムの概略図である。
【
図4】薬液を送液している状態における処理システムの概略図である。
【
図5】洗浄している状態における処理システムの概略図である。
【
図6】別形態のプロセス液の処理システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〈実施形態1〉
図1は本実施形態に係るプロセス液の処理システムの概略構成図である。本実施形態の処理システム1は、プロセス液の一例として液状の医薬品(以下、薬液)を製造するプラントの一部である。
【0022】
具体的には、処理システム1は、調製タンク2と、貯留タンク3と、フィルタ装置10と、供給配管20と、圧送手段30と、洗浄手段40とを備えている。
【0023】
調製タンク2は、薬液を調整するタンクである。特に図示しないが、調製タンク2は、製造する薬液の原料が投入される投入口、製造された薬液を排出する排出口を備えている。これらの投入口や排出口は、後述する制御装置からの制御信号により開閉可能となっている。
【0024】
貯留タンク3は、フィルタ装置10で濾過された薬液を貯留するタンクである。特に図示しないが、圧送された薬液が投入される投入口、薬液を排出する排出口を備えている。これらの投入口や排出口は、後述する制御装置からの制御により開閉可能となっている。また、貯留タンク3は、薬液を容器に詰める充填機に接続されており、当該充填機の排出口から薬液を排出し、充填機に供給することが可能となっている。
【0025】
フィルタ装置10は、箱状の容器11と、容器11の内部空間に設けられたフィルタ12とを備えている。フィルタ12は、液体を流通させ、薬液中の不純物や雑菌等を濾過するものである。ここでは、フィルタ12は円筒状に形成され、容器11の内部を二つに区分けしている。フィルタ12の外部、すなわち容器11の内部であり、かつフィルタ12の外側を一次側13とする。フィルタ12の内部を二次側14とする。
【0026】
供給配管20は、プロセス液を調製タンク2からフィルタ装置10へ供給する配管である。供給配管20は、鉛直方向において、容器11よりも下方に位置する分岐部25にて、二つに分岐している。供給配管20のうち、途中で分岐したそれぞれを第1配管21と第2配管22と称する。第1配管21及び第2配管22は、ともにフィルタ装置10の一次側13に接続している。
【0027】
第1配管21は、供給配管20のうち分岐部25からフィルタ装置10の容器11の側部に接続された配管である。具体的な第1配管21の形状や配置に特に限定はないが、ここでは、第1配管21は、分岐部25から上方へほぼ垂直に立ち上がり、折れ曲がって容器11の側部に接続している。
【0028】
第2配管22は、供給配管20のうち分岐部25からフィルタ装置10の容器11の底部に接続された配管である。具体的な第2配管22の形状や配置に特に限定はないが、ここでは、第2配管22は、分岐部25から水平に延び、上方に傾斜して容器11の底部に接続している。
【0029】
フィルタ装置10には、フィルタ装置10の二次側14に二次側配管26が接続されている。フィルタ12を透過したプロセス液は二次側14から二次側配管26を通り、貯留タンク3に送られる。
【0030】
また、フィルタ装置10の上部には、輸送配管27が接続されている。輸送配管27は、フィルタ装置10の一次側に接続された配管であり、洗浄用流体を容器11内に輸送するための配管であり、フィルタ装置10から空気抜きされた空気の流路として用いられる配管でもある。
【0031】
圧送手段30は、調製タンク2の内部に圧縮空気を供給するものである。例えば、空気を取り込み圧縮するポンプ等の装置から構成されている。圧送手段30は、後述する制御装置からの制御により、指定された圧力の空気を調製タンク2に供給する。このような圧送手段30により、調製タンク2から薬液を供給配管20へ圧送することができる。
【0032】
洗浄手段40は、洗浄用流体をフィルタ装置10に供給するものである。洗浄手段40は、洗浄用流体を供給する公知の装置から構成することができる。洗浄用流体とは、定置洗浄(Cleaning In Place;CIP)で用いる洗浄液や、定置滅菌(Sterilizing In Place;SIP)で用いる高温高圧の蒸気をいう。
【0033】
洗浄手段40は、輸送配管27を介して洗浄用流体をフィルタ装置10に供給し、フィルタ装置10を洗浄する。もちろん、輸送配管27を介してフィルタ装置10に洗浄用流体を供給する構成に限定されない。例えば、調製タンク2や貯留タンク3にも洗浄用流体を供給して、それらを洗浄する構成としてもよい。
【0034】
第1配管21には、第1弁装置61が設けられている。輸送配管27には第2弁装置62が設けられている。供給配管20にはドレン51へ分岐するドレン配管53が接続されており、ドレン配管53には第3弁装置63が設けられている。
【0035】
また、処理システム1は、処理システム1の処理を制御するプログラマブルロジックコントローラ(PLC)などの制御装置(図示せず)を備えている。制御装置は、圧送手段30に圧縮空気を調製タンク2へ供給・停止させる制御や、洗浄手段40に洗浄用流体の供給・停止をさせる制御が可能である。その他に、制御装置は、調製タンク2及び貯留タンク3の投入口や排出口の開閉や、第1弁装置61、第2弁装置62、及び第3弁装置63の開閉を制御することが可能である。制御装置は、処理システム1を構成するこれらの各装置を制御することで、薬液の処理(濾過)や各種装置の洗浄などのプロセスを実現する。
【0036】
上述した構成の処理システム1の動作について説明する。
図2は、調製タンク2から貯留タンク3に薬液を送液している状態における処理システム1の概略図である。なお、
図3のハッチは薬液を表している。各弁装置が開放された状態を白塗りで表し、閉鎖された状態を黒塗りで表している。
【0037】
送液時においては、制御装置は、第1弁装置61を開放し、第3弁装置63を閉鎖しておく。第2弁装置62については、当初は開放しておく。制御装置は、圧送手段30に圧縮空気を調製タンク2へ供給させる。このような制御により、調製タンク2から供給配管20を介してフィルタ装置10へ薬液が圧送される。第1配管21及び第2配管22は、何れも分岐部25から上方へ延びているが、圧縮空気の圧力により、薬液はフィルタ装置10へ圧送される。
【0038】
フィルタ装置10の容器11内に薬液が充填され始めると、容器11内の空気は輸送配管27から分岐した排出管(図示せず)から外部へ排出される。制御装置は、容器11内に所定量の薬液が充填されたとき、第2弁装置62を閉鎖する。
【0039】
そして、制御装置は、圧送手段30に調製タンク2の圧縮空気を供給させ続ける。これにより、供給配管20からフィルタ装置10へ薬液が圧送され、フィルタ装置10で濾過され、貯留タンク3に圧送される。
【0040】
図3及び
図4は、調製タンク2から貯留タンク3に薬液を送液している状態における処理システム1の概略図である。
図3に示すように、制御装置は、圧送手段30に調製タンク2の圧縮空気を供給させ続けた結果、調製タンク2の薬液は空となり、第2配管22に薬液が満たされる程度となっている。
【0041】
このように薬液の残量が所定量以下になったとき、制御装置は第1弁装置61を閉鎖する。第2配管22は、フィルタ装置10の底部よりも下方に位置しているが、圧送手段30からの圧縮空気により、薬液は第2配管22からフィルタ装置10へ圧送される。
【0042】
さらに、
図4に示すように、制御装置が圧送手段30に圧縮空気の供給を続けると、第2配管22(供給配管20)からほとんどの薬液がフィルタ装置10へ圧送される。
【0043】
図5は、洗浄手段40から洗浄用流体をフィルタ装置10へ供給している状態における処理システム1の概略図である。
図5のハッチは洗浄用流体を表している。
【0044】
図5に示すように、制御装置は、第1弁装置61、第2弁装置62、及び第3弁装置63を開放し、洗浄手段40に洗浄用流体をフィルタ装置10へ供給させる。これにより、フィルタ装置10の容器11内は、洗浄用流体により洗浄される。そして、洗浄後、洗浄用流体は、第1配管21及び第2配管22を通り、ドレン51へ排出される。なお、ここでは、フィルタ装置10を洗浄する構成について説明したが、このような構成に限定されない。洗浄手段40は、調製タンク2に洗浄用流体を供給するようにし、調製タンク2、供給配管20を洗浄するようにしてもよい。
【0045】
上述したように、処理システム1では、調製タンク2からフィルタ装置10へ供給配管20を介して薬液の送液が行われる。また、洗浄手段40からフィルタ装置10へ洗浄用流体が供給され、洗浄用流体は、供給配管20を介してドレン51へ排出される。
【0046】
ここで、供給配管20から分岐した第2配管22は、フィルタ装置10の底部に接続した構成となっている。このような構成とすることで、第2配管22は、フィルタ装置10内に供給された洗浄用流体を外部へ排出するための排水管(
図7の従来の排水管150に相当)として機能することができる(
図5参照)。
【0047】
そして、第2配管22は、供給配管20の一部であり、圧送手段30による圧縮空気が供給されるので、第2配管22に薬液を残留させることなく、フィルタ装置10へ薬液を圧送することができる(
図3〜
図4参照)。
【0048】
図7に示したように、従来では、排水管150が供給配管とは別であったので、排水管150に残留した薬液をフィルタ装置10へ圧送することができず、廃棄するしかなかった。しかしながら、本発明の処理システム1は、第2配管22が排水管と供給配管としての機能を兼用するので、洗浄用流体の排出を可能とし、かつ、供給配管20に残留する薬液を低減することができる。
【0049】
なお、供給配管20を分岐させずに、調製タンク2からフィルタ装置10の底部に接続した構成(第1配管21が無い構成)においても、上述した効果が得られるとも考えられる。しかし、第2配管22は、口径が広すぎると、圧送手段30による圧縮空気が薬液を圧送せずに抜けてしまい、薬液を十分にフィルタ装置10へ圧送できない。そのため、第2配管22をある程度狭くする必要がある。供給配管20が分岐していない場合は、狭い第2配管22のみで薬液を圧送することになり、薬液の送液速度が低下してしまう。
【0050】
しかしながら、本実施形態の処理システム1は、供給配管20を分岐させたので、一方の第2配管22を狭くしても、他方の第1配管21を広くすることができるので、供給配管20の全体として送液できる薬液の送液速度を十分確保することができる。換言すれば、第2配管22の口径を、第1配管21の口径よりも狭くすることで、送液速度を十分確保することができる。なお、第2配管22の口径は、薬液の粘性などの物性や、圧送手段30による圧縮空気の圧力にもよるが、圧縮空気が薬液を抜けずに薬液を圧送できるよう、調整することが好ましい。
【0051】
また、第1配管21に設けられた第1弁装置61を、薬液の残量が所定値以下となったときに閉鎖するようにした。これにより、圧縮空気を第2配管22に集中的に送られるので、第2配管22に残留する薬液により強い圧力を掛けることができ、薬液をより早く確実にフィルタ装置10へ送ることができる。なお、第1弁装置61は、必ずしも第1配管21に設けなくてもよい。第1弁装置61がない場合でも、圧縮空気は第2配管22にも供給されるからである。
【0052】
また、第2配管22をフィルタ装置10へ取り付ける角度については、特に限定はないが、傾斜していることが好ましい。すなわち、第2配管22は、垂直に延設されてフィルタ装置10の底部に接続されるよりも、本実施形態のように傾斜して底部に接続されていることが好ましい。第2配管22を傾斜させることで、薬液を第2配管22からフィルタ装置10へ圧送しやすくすることができる。
【0053】
また、本実施形態の処理システム1は、プロセス液として薬液を対象とする。特に薬液は高価であることから、供給配管20(第2配管22)に残留する薬液を低減することによる経済的な効果は顕著である。
【0054】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、勿論、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0055】
実施形態1に係る処理システム1は、調製タンク2から貯留タンク3へ薬液を送液した。しかし、供給配管20が接続される装置は調製タンク2に限定されず、フィルタ装置10の下流側に配置される装置は貯留タンク3に限定されない。熱交換器(殺菌器)や充填機など様々な装置を接続してもよい。
【0056】
実施形態1に係る処理システム1は、プロセス液として薬液を送液したが、これに限定されず、任意のプロセス液を送液する場合に適用できる。
【0057】
実施形態1に係る処理システム1は、第2配管22は分岐部25から水平に延び、傾斜して上方に折り曲げた構成としたが、これに限定されない。例えば、第2配管22は、分岐部25から水平に延び、ほぼ垂直方向に折れ曲がってフィルタ装置10の底部に接続されていてもよい。また、第1配管21は、フィルタ装置10の容器11の側部に接続されていたが、容器11の上部に接続されていてもよい。
【0058】
また、本実施形態の処理システム1では、供給配管20の分岐部25が容器11の底部よりも鉛直方向において下方に位置しているが、このような態様に限定されない。
図6に別形態の処理システム1を示す。例えば、容器11の底部よりも上方において、供給配管20を分岐部25で分岐させる。第2配管22を分岐部25から容器11の底部よりも下方に伸ばし、そこから折り返して容器11の底部に接続するようにしてもよい。この場合、第2配管22がローポイントとなるので、第2配管22にドレン51へ接続されるドレン配管53を設けておく。このような構成の供給配管20は、第2配管22が洗浄用流体をドレン51へ導く排水管として機能する。そして、圧送手段30からの圧縮空気により、第2配管22の薬液をフィルタ装置10へ送液することができるので、第2配管22に残留する薬液を低減することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…プロセス液の処理システム、10…フィルタ装置、12…フィルタ、13…一次側、14…二次側、20…供給配管、21…第1配管、22…第2配管、30…圧送手段、40…洗浄手段
【要約】
【課題】フィルタ装置に残留するプロセス液を削減することができるプロセス液の処理システムを提供する。
【解決手段】フィルタ12を収容する容器11を備えたフィルタ装置10と、プロセス液をフィルタ装置10に供給する供給配管20と、プロセス液を圧送するための気体を供給配管20に供給する圧送手段30と、洗浄用流体をフィルタ装置10に供給する洗浄手段40と、を備え、供給配管20は、途中で分岐して、容器11の側部又は上部に接続された第1配管21、及び容器11の底部に接続された第2配管22を有し、圧送手段30により第1配管21及び第2配管22からフィルタ装置10内にプロセス液を圧送し、洗浄手段30によりフィルタ装置10へ供給した洗浄用流体を第2配管22からフィルタ装置10の外部へ排出する。
【選択図】
図2