(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本発明の種々の態様に対して詳細に言及がなされ、その1つのまたは複数の実施例を記載してある。各実施例は、本発明の説明によって提供され、本発明の限定ではない。実際に、種々の改変およびバリエーションを本発明の範囲または精神を逸脱しない範囲で本発明に行ってもよいことは、当業者にとって明らかだろう。たとえば、一つの態様の一部として図示され、または記述された特徴をもう一つの態様に使用して、なおさらなる態様を得てもよい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびこれらの均等物の範囲内にはいるこのような改変およびバリエーションを包含することが意図される。
【0010】
一般的に言って、本発明は、熱可塑性組成物から形成されるフィルムに向けられる。熱可塑性組成物は、強固な再生可能なポリエステルおよび重合体強化添加物を含む。本発明者らは、成分の特定の性質を慎重に制御して、望ましい形態学的特徴を有する組成物を達成し得ることを発見した。より詳細には、強化添加物は、再生可能なポリエステルの連続マトリックス内に分離した物理的ドメインとして分散させることができる。低い引張り歪みでの外力の最初の適用の間、組成物は、高い硬性および引張
弾性率を示す一体となった材料として挙動することができる。しかし、変形力および引張り歪みの増大は、分離したドメインに隣接して位置したこれらの領域にて再生可能なポリエステルマトリックスに生じさせるように剥離を引き起こす。これにより、分離したドメインに隣接した複数の空隙の形成を生じさせることができ、負荷の下でエネルギーを分散させ、および引張り伸びを増大するのを補助することができる。フィルムがこの様式でエネルギーを分散する能力をさらに増加させるために、本発明者らは、中間モディファイアーを使用して、強化添加物と再生可能なポリエステルとの間の結合性および摩擦の程度を減少させ、したがってフィルムの剛性(引張
弾性率)を減少させ得ることを発見した。また、重合体間の結合性および摩擦の減少は、剥離の程度および均一性を増強し、これが生じる空隙を組成物の全体にわたって実質的に均一な様式で分布するのを補助することができる。たとえば、空隙は、一般に応力が適用される方向に対して垂直な方向に向けて柱状に分布され得る。理論によって拘束されることは意図しないが、このような均一に分布された空隙系の存在が負荷の下での有意なエネルギー散逸およびしたがって、有意に増強された伸びを生じることができると考えられる。
【0011】
本発明の種々の態様がここでより詳細に記述されるだろう。
【0012】
I. 熱可塑性組成物
A.再生可能なポリエステル
再生可能なポリエステルは、典型的には熱可塑性組成物の約70重量%から約99重量%、いくつかの態様において約80重量%から約95重量%およびいくつかの態様において約75重量%から約98重量%を構成する。一般に以下などの多様な再生可能なポリエステルのいずれも熱可塑性組成物に使用し得る:脂肪族ポリエステルなど、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリ乳酸(PLA)およびその共重合体(ポリグリコール酸、ポリアルキレンカルボナート(たとえば、ポリエチレンカルボナート)、ポリ−3−ヒドロキシブチラート(PHB)、ポリ−3−ヒドロキシバレラート(PHV)、ポリ−3−ヒドロキシブチラート−コ−4−ヒドロキシブチラート(hydroybutyrate)、ポリ−3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシバレラート共重合体(PHBV)、ポリ−3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシヘキサノアート、ポリ−3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシオクタノン酸、ポリ−3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシデカノアート、ポリ−3−ヒドロキシブチラート−コ−3−ヒドロキシオクタデカノアートおよびスクシナートに基づいた脂肪族重合体(たとえば、ポリブチレンスクシナート、ポリブチレンスクシナートアジパート、ポリエチレンスクシナート、その他);脂肪族−芳香族共ポリエステル(たとえば、ポリブチレンアジパートテレフタラート、ポリエチレンアジパートテレフタラート、ポリエチレンアジパートイソフタラート、ポリブチレンアジパートイソフタラート、その他);芳香族ポリエステル(たとえば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタレート、その他);など。
【0013】
典型的には、熱可塑性組成物は、天然において強固であり、およびしたがって相対的に高いガラス転移温度を有する少なくとも1つの再生可能なポリエステルを含む。たとえば、ガラス転移温度(「T
g」)は、約0℃以上、いくつかの態様において約5℃から約100℃、いくつかの態様において約30℃から約80℃およびいくつかの態様において約50℃から約75℃でもよい。また、再生可能なポリエステルは、約140℃から約260℃、いくつかの態様において約150℃から約250℃およびいくつかの態様において約160℃から約220℃の融解温度を有してもよい。融解温度は、ASTM D−3417にしたがって示差走査熱量測定(「DSC」)を使用して決定してもよい。ガラス転移温度は、ASTM E1640−09にしたがって動的機械分析によって決定してもよい。
【0014】
一つの特に適した強固なポリエステルは、ポリ乳酸であり、これは一般に左旋性ポリ−乳酸(「L乳酸」)、右旋性乳酸(「D−乳酸」)、メゾ−乳酸またはこれらの混合物などの乳酸の任意の異性体の単量体ユニットに由来してもよい。また、単量体ユニットは、L−ラクチド、D−ラクチド、メゾ−ラクチドまたはこれらの混合物を含む、乳酸の任意の異性体の無水物から形成されてもよい。また、このような乳酸および/またはラクチドの環状の二量体を使用してもよい。重縮合または開環重合などの任意の公知の重合方法を、乳酸を重合させるために使用してもよい。また、小量の鎖伸長薬(たとえば、ジイソシアナート化合物、エポキシ化合物または酸無水物)を使用してもよい。ポリ乳酸は、ホモポリマーまたはL乳酸に由来する単量体ユニットおよびD−乳酸に由来する単量体ユニットを含むもののなどの共重合体でもよい。必須とされないが、L乳酸に由来する単量体ユニットおよびD−乳酸に由来する単量体ユニットの一方の含量の比は、好ましくは約85mole%以上、いくつかの態様において約90mole%以上およびいくつかの態様において約95mole%以上である。複数のポリ乳酸は、それぞれL乳酸に由来する単量体ユニットとD−乳酸に由来する単量体ユニットとの間で異なる比を有し、任意の比で混合してもよい。もちろん、ポリ乳酸は、また重合体のその他のタイプ(たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、その他)と混合してもよい。
【0015】
一つの特定の態様において、ポリ乳酸は、以下一般的な構造を有する:
【0017】
本発明において使用してもよい適したポリ乳酸重合体の一つの具体的な例は、名称BIOMER(商標)L9000の下でBiomer、KraillingのInc., Germanyから市販されている。その他の適したポリ乳酸重合体は、ミネトンカ、ミネソタのNatureworks LLC(NATUREWORKS(登録商標))またはMitsui Chemical(LACEA(商標))から市販されている。さらに他の適したポリ乳酸は、米国特許第4,797,468号;第5,470,944号;第5,770,682号;第5,821,327号;第5,880,254号および第6,326,458号に記述され得るし、これらは、全ての目的のためにその参照によってこれらの全体が本明細書に援用される。
【0018】
ポリ乳酸は、典型的にはモルあたり約40,000から約160,000グラム、いくつかの態様においてモルあたり約50,000から約140,000グラムおよびいくつかの態様においてモルあたり約80,000から約120,000グラムの範囲であるように数平均分子量(「M
n」)を有する。同様に、重合体は、また典型的にはモルあたり約80,000から約200,000グラム、いくつかの態様においてモルあたり約100,000から約180,000グラムおよびいくつかの態様においてモルあたり約110,000から約160,000グラムの範囲であるように重量平均分子量(「Mw」)を有する。また、重量平均分子量と数平均分子量の比(「M
w/M
n」)、すなわち「多分散性指数」)は、相対的に低い。たとえば、多分散性指数は、典型的には約1.0から約3.0、いくつかの態様において約1.1から約2.0およびいくつかの態様において約1.2から約1.8の範囲である。重量および数平均分子量は、当業者に公知の方法によって決定し得る。
【0019】
また、ポリ乳酸は、190℃の温度および1000秒
−1のずり速度にて決定される、約50から約600パスカル秒(Pa・s)、いくつかの態様において約100から約500Pa・sおよびいくつかの態様において約200から約400Pa・sの見かけ上の粘性を有してもよい。また、ポリ乳酸のメルトフローレート(乾燥基準で)は、2160グラムの負荷にて、および190℃にて決定される、10分あたり約0.1から約40グラム、いくつかの態様において10分あたり約0.5から約20グラムおよびいくつかの態様において10分あたり約5から約15グラムの範囲であってもよい。
【0020】
純粋なポリエステルのいくつかのタイプ(たとえば、ポリ乳酸)は、開始ポリ乳酸の乾燥重量に基づいて、それが約500から600パーツ・パー・ミリオン(「ppm」)以上の含水量を有するように、周囲環境から水を吸収することができる。含水量は、ASTM D 7191−05にしたがってなど、下記に記述したものなど、当技術分野において公知のとおりの多様な方法で決定してもよい。溶融加工の間に水が存在すると、加水分解でポリエステルを分解し、その分子重量を減少させ得るので、混合の前にポリエステルを乾燥させることが時には望まれる。大部分の態様において、たとえば、再生可能なポリエステルは、強化添加物と混合する前に約300パーツ・パー・ミリオン(「ppm」)以下、いくつかの態様において約200ppm以下、いくつかの態様において約1から約100ppmの含水量を有することが望まれる。ポリエステルの乾燥は、たとえば約50℃から約100℃およびいくつかの態様において約70℃から約80℃の温度にて生じてもよい。
【0021】
B.重合体強化添加物
上記のように、本発明の熱可塑性組成物は、また重合体強化添加物を含む。その重合体の性質のため、強化添加物は、熱可塑性組成物の融解強度および安定性を改善するのを補助することができる相対的に高い分子重量を有する。必須とされないが、重合体強化添加物は、一般に再生可能なポリエステルと混ざらなくてもよい。この様式において、強化添加物は、再生可能なポリエステルの連続相内の分離した相ドメインとして、よりうまく分散することができる。分離したドメインは、外力から生じるエネルギーを吸収することができ、これが生じる材料の全体の耐久性および強度を増加させる。ドメインは、楕円、球状、円柱状、その他などの多様な異なる形状を有してもよい。一つの態様において、たとえば、ドメインは、実質的に楕円形状を有する。個々のドメインの物理的な寸法は、典型的には外部の応力の適用による重合体材料を介したひびの伝播を最小限にするほど十分小さいが、微細な塑性変形を開始し、および剪断帯を粒子封入体にておよびその周辺に生じさせるほど十分大きい。
【0022】
重合体は、混ざらなくてもよいが、強化添加物は、それにもかかわらず再生可能なポリエステルのものと相対的に類似する溶解パラメーターを有するように選択され得る。これは、界面相容性、並びに分離および連続した相の境界の物理的な相互作用を改善することができ、したがって、組成物が破断するであろう可能性を減少させる。この点において、再生可能なポリエステルについての溶解パラメーターと強化添加物のものの比は、典型的には約0.5から約1.5およびいくつかの態様において約0.8から約1.2である。たとえば、重合体強化添加物は、約15から約30 Mジュール
1/2/m
3/2およびいくつかの態様において約18から約22Mジュール
1/2/m
3/2の溶解パラメーターを有してもよく、一方、ポリ乳酸は、約20.5Mジュール
1/2/m
3/2の溶解パラメーターを有してもよい。本明細書に使用される「溶解パラメーター」という用語は、「ヒルデブラント溶解度パラメーター」をいい、これは凝集エネルギー密度の二乗根であり、および以下方程式にしたがって算出される:
式中:
ΔHv=蒸発の熱
R=理想気体常数
T=温度
Vm=分子量。
【0023】
多くの重合体についてのヒルデブラント溶解度パラメーターは、またWyeych(2004)による、プラスチックの溶解ハンドブックから入手でき、これは参照により本明細書に援用される。
【0024】
また、重合体強化添加物は、分離したドメインおよび生じる空隙を確実に適切に維持することができるように一定のメルトフローレート(または粘性)を有してもよい。たとえば、強化添加物のメルトフローレートが高すぎる場合、それは連続相を介して制御の及ばないほど流れ、および分散する傾向がある。これにより、維持するのが困難で、およびまた、早期に破裂する可能性が高い薄板状または板状ドメインを生じる。逆に、強化添加物のメルトフローレートが低すぎる場合、それは共に凝集して非常に大きな楕円ドメインを形成する傾向があり、これは混合の間に分散するのが困難である。これは、連続相の全体にわたって強化添加物の偏在を生じさせ得る。この点において、本発明者らは、強化添加物のメルトフローレートと再生可能なポリエステルのメルトフローレートの比が典型的には約0.2から約8、いくつかの態様において約0.5から約6およびいくつかの態様において約1から約5であることを発見した。重合体強化添加物は、たとえば2160グラムの負荷にて、および190℃にて決定される、10分あたり約0.1から約250グラム、いくつかの態様において10分あたり約0.5から約200グラムおよびいくつかの態様において10分あたり約5から約150グラムのメルトフローレートを有してもよい。
【0025】
上で注目した特性に加えて、重合体強化添加物の機械的特性は、また所望の耐久性の増大を達成するように選択してもよい。たとえば、再生可能なポリエステルおよび強化添加物の混合物に外力が適用されるときに、強化添加物および再生可能なポリエステルの
引張弾性
率の相違により生じる応力集中の結果として、剪断または可塑性を生むゾーンが、分離した相ドメインにて、およびその周辺で引き起こされ得る。より大きな応力集中では、ドメインにてより集中的な局在化された塑性流れを促進し、応力が与えられるときに、これらを有意に伸長させる。これらの伸長されたドメインは、組成物をさもなければ強固なポリエステル樹脂よりも柔軟かつより柔らかい挙動を示させることができる。応力集中を増強するために、強化添加物は、再生可能なポリエステルと比較して相対的に低い
引張弾性率(ヤン
グ率)を有するように選択される。たとえば、再生可能なポリエステルと強化添加物のものの弾性率の比は、典型的には約1から約250、いくつかの態様において約2から約100およびいくつかの態様において約2から約50である。強化添加物の弾性率は、たとえば約2から約500メガパスカル(MPa)、いくつかの態様において約5から約300MPaおよびいくつかの態様において約10から約200MPaの範囲であってもよい。それとは反対に、ポリ乳酸の弾性率は、典型的には約800MPaから約2000MPaである。
【0026】
所望の耐久性の増大をもたらすために、重合体強化添加物は、また再生可能なポリエステルよりも大きい破壊時の伸び(すなわち、その屈伏点における重合体のパーセント伸び)を示してもよい。たとえば、本発明の重合体強化添加物は、約50%以上、いくつかの態様において約100%以上、いくつかの態様において約100%から約2000%およびいくつかの態様において約250%から約1500%の破壊時の伸びを示してもよい。
【0027】
上で同定した特性を有する多種多様な重合体の添加剤を使用してもよいが、特にこのような重合体の適した例は、たとえば以下を含み得る:ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、その他);スチレン共重合体(たとえば、たとえば、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、その他);ポリテトラフルオロエチレン;ポリエステル(たとえば、再生されたポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、その他);ポリビニルアセテート(たとえば、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリビニルクロライドアセテート、その他);ポリビニルアルコール(たとえば、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)、その他;ポリビニルブチラール;アクリル樹脂(たとえば、ポリアクリラート、ポリメチルアクリラート、ポリメチルメタクリラート、その他);ポリアミド(たとえば、ナイロン);ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリスチレン;ポリウレタン;その他。適したポリオレフィンは、たとえばエチレン重合体(たとえば、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、直鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、その他)、プロピレンホモポリマー(ジンジオタクチックで、アタクチックたとえば、アイソタクチック、その他)、プロピレン共重合体などを含み得る。
【0028】
一つの特定の態様において、重合体は、ホモポリプロピレンまたはプロピレン共重合体などのプロピレン重合体である。プロピレン重合体は、たとえば約10重量%以下のその他の単量体、すなわち少なくとも約90重量%のプロピレンを含む実質的にアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーまたは共重合体から形成してもよい。このようなホモポリマーは、約160℃から約170℃の融点を有してもよい。
【0029】
さらにもう一つ態様において、ポリオレフィンは、C
3−C
20−オレフィンまたはC
3−C
12α−オレフィンなどのもう一つのα−オレフィンとエチレンまたはプロピレンの共重合体でもよい。適したα−オレフィンの具体例は、以下を含む:1−ブテン;3−メチル−1−ブテン;3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ペンテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−ペンテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−ヘキセン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−ヘプテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−オクテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−ノネン;エチル、メチルまたはジメチル置換された1−デセン;1−ドデセン;およびスチレン。特に望まれるα−オレフィンコモノマーは、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンである。このような共重合体のエチレンまたはプロピレン含量は、約60mole%から約99mole%、いくつかの態様において約80mole%から約98.5mole%およびいくつかの態様において約87mole%から約97.5mole%であってもよい。α−オレフィン含量は、同様に約1mole%から約40mole%、いくつかの態様において約1.5mole%から約15mole%およびいくつかの態様において約2.5mole%から約13mole%の範囲である。
【0030】
本発明に使用するための例示的なオレフィン共重合体は、ヒューストン、テキサスのExxonMobil Chemical Companyから名称EXACT(商標)の下で入手できるエチレンに基づいた共重合体を含む。その他の適したエチレン共重合体は、ミッドランド、ミシガンのDow Chemical Companyから名称ENGAGE(商標)、AFFINITY(商標)、DOWLEX(商標)(LLDPE)およびATTANE(商標)(ULDPE)の下で入手できる。その他の適したエチレン系重合体は、Ewenらに対する米国特許第4,937,299号;Tsutsuiらに対する第5,218,071号;Laiらに対する第5,272,236号およびLaiらに対する第5,278,272号において記述されており、これらは、全ての目的のためにその参照によってこれらの全体が本明細書に援用される。適したプロピレン共重合体は、またヒューストン、テキサスのExxonMobil Chemical社から名称VISTAMAXX(商標);フェリュ、ベルギーのAtofina ChemicalsからのFINA(商標)(たとえば、8573);Mitsui Petrochemical Industriesから入手できるTAFMER(商標);およびミッドランド、ミシガンのDow Chemical社から利用できるVERSIFY(商標)の下で市販されている。適したプロピレンポリマーのその他の例は、Dattaらに対する米国特許第6,500,563号;Yangらに対する第5,539,056号;およびResconiらに対する第5,596,052号において記述されおり、これらは、全ての目的のためにその参照によってこれらの全体が本明細書に援用される。
【0031】
公知の多様な技術のいずれを一般に使用してオレフィン共重合体を形成してもよい。たとえば、オレフィンポリマーは、フリーラジカルまたは配位触媒(たとえば、Ziegler−Natta)を使用して形成してもよい。好ましくは、オレフィン重合体は、メタロセン触媒などの単一部位配位触媒から形成される。このような触媒系は、コモノマーがランダムに分子鎖内に分布され、かつ異なる分子重量画分にわたって一様に分布されるエチレン共重合体を生じる。メタロセンで触媒されるポリオレフィンは、たとえばMcAlpinらに対する米国特許第5,571,619号;Davisらに対する第5,322,728号;Obijeskiらに対する第5,472,775号;Laiらに対する第5,272,236号;およびWheatらに対する第6,090,325において記述され、これらは、全ての目的のためにその参照によってこれらの全体が本明細書に援用される。メタロセン触媒の例は、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)スカンジウムクロライド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、コバルトセン、シクロペンタジエニルチタントリクロライド、フェロセン、ハフノセンジクロライド、イソプロピル(シクロペンタジエニル,−1−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、モリブドセンジクロライド、ニッケロセン、ニオボセンジクロライド、ルテノセン、二塩化チタノセン、ジルコノセン塩化物水素化物、二塩化ジルコノセンなどを含む。メタロセン触媒を使用して作製される重合体は、典型的には狭い分子量範囲を有する。たとえば、メタロセン触媒された重合体は、4以下の多分散数(Mw/Mn)、制御された短鎖分岐形成分布および制御されたアイソタクシティーを有し得る。
【0032】
使用される材料に関係なく、熱可塑性組成物における重合体強化添加物の相対的な割合は、生じる組成物の再生可能生に有意に影響を与えることなく所望の特性を達成するように選択される。たとえば、強化添加物は、典型的には、組成物において使用される再生可能なポリエステルの重量に基づいて約1重量%から約30重量%、いくつかの態様において約2重量%から約25重量%およびいくつかの態様において約5重量%から約20重量%の量の熱可塑性組成物で使用される。熱可塑性組成物全体における強化添加物の濃度は、同様に約0.1重量%から約30重量%、いくつかの態様において約0.5重量%から約25重量%、およびいくつかの態様において約1重量%から約20重量%を構成してもよい。
【0033】
C.中間モディファイアー
中間モディファイアーは、また強化添加物と再生可能なポリエステルマトリックスとの間の相互作用を変化させるために、熱可塑性組成物において使用される。モディファイアーは、一般に室温(たとえば、25℃)にて液体または半固体形態であり、その結果これは、相対的に低い粘性を有し、より容易に熱可塑性組成物に組み込まれ、および容易に重合体表面に移動させることができる。この点において、中間モディファイアーの動粘度は、典型的には、40℃にて決定される、約0.7から約200センチストーク(「cs」)、いくつかの態様において約1から約100csおよびいくつかの態様において約1.5から約80csである。加えて、中間モディファイアーは、また典型的には疎水性であり、その結果これは、重合体強化添加物に対する親和性を有し、再生可能なポリエステルと強化添加物との間の界面張力における変化を生じる。ポリエステルと強化添加物の間の界面における物理的な力を減少させることによって、モディファイアーの低粘性、疎水性は、外力の適用によるポリエステルマトリックスからの剥離を容易にするのを補助することができると考えられる。本明細書に使用される、「疎水性である」という用語は、典型的には約40°以上の、およびいくつかの場合約60°以上の空気中における水の接触角を有する材料をいう。対照的に、「親水性である」という用語は、典型的には約40°未満の空気中における水の接触角を有する材料をいう。接触角を測定するための一つの適した試験は、ASTM D5725−99(2008)である。
【0034】
適した疎水性の、低い粘性の中間モディファイアーは、たとえば、シリコーン、シリコーン−ポリエーテル共重合体、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、アルキレングリコール(たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、その他)、アルカンジオール(たとえば、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、その他)、アミンオキシド(たとえば、オクチルジメチルアミンオキシド)、脂肪酸エステルなどを含み得る。一つの特に適した中間モディファイアーは、BASF Corpから商品名PLURIOL(登録商標)WIの下で市販などのポリエーテルポリオールである。もう一つの適したモディファイアーは、Hallstarから商品名HALLGREEN(登録商標)IMの下で市販などの部分的に再生可能なエステルである。
【0035】
実際の量は、変更してもよいが、中間モディファイアーは、典型的には組成物において使用される再生可能なポリエステルの重量に基づいて約0.1重量%から約20重量%、いくつかの態様において約0.5重量%から約15重量%およびいくつかの態様において約1重量%から約10重量%の量の熱可塑性組成物で使用される。熱可塑性組成物全体における中間モディファイアーの濃度は、同様に約0.05重量%から約20重量%、いくつかの態様において約0.1重量%から約15重量%およびいくつかの態様において約0.5重量%から約10重量%を構成してもよい。
【0036】
上で注目した量で使用されるときに、中間モディファイアーは、容易に重合体の界面表面に移動し、および熱可塑性組成物の全体の融解特性を乱すことなく剥離を容易にすることを可能にする特徴を有する。たとえば、中間モディファイアーは、典型的にはそのガラス転移温度を減少させることによって重合体に対して可塑化する効果を有さない。全くそれとは反対に、本発明者らは、熱可塑性組成物のガラス転移温度が実質的に最初の再生可能なポリエステルと同じでもよいということを発見した。この点において、組成物のガラス温度とポリエステルのものの比は、典型的には約0.7から約1.3、いくつかの態様において約0.8から約1.2およびいくつかの態様において約0.9から約1.1である。熱可塑性組成物は、たとえば約35℃から約80℃、いくつかの態様において約40℃から約80℃およびいくつかの態様において約50℃から約65℃ガラス転移温度を有してもよい。また、熱可塑性組成物のメルトフローレートは、再生可能なポリエステルのものに類似していてもよい。たとえば、組成物のメルトフローレート(乾燥基準で)、2160グラムの負荷にて、および190℃の温度にて決定される、10分あたり約0.1から約70グラム、いくつかの態様において10分あたり約0.5から約50グラムおよびいくつかの態様において10分あたり約5から約25グラムであってもよい。
【0037】
D.相容化剤
上記のように、重合体強化添加物は、一般にそれが再生可能なポリエステルのものに相対的に近い溶解パラメーターを有するように選択される。とりわけ、これは、相の相容性を増強すること、および連続相内で分離したドメインの全体の分布を改善することができる。それにもかかわらず、一定の態様において、再生可能なポリエステルと重合体強化添加物との間にさらに相容性を増強するために、相容化剤を任意に使用してもよい。これは、重合体強化添加物がポリウレタン、アクリル樹脂、その他などの極性部分を有するときに、特に望ましいであろう。使用されるときに、相容化剤は、典型的には約0.5重量%から約20重量%、いくつかの態様において約1重量%から約15重量%およびいくつかの態様において約1.5重量%から約10重量%の熱可塑性組成物を構成する。適した相容化剤の一つの例は、官能性をもたせたポリオレフィンである。極性成分は、たとえば、1つまたは複数の官能基によって提供されてもよく、および無極生成分は、オレフィンによって提供されてもよい。相容化剤のオレフィン成分は、一般に上記したものなどの、オレフィン単量体に由来する任意の直鎖または分枝α−オレフィン単量体、オリゴマーまたは重合体(共重合体を含む)から形成してもよい。
【0038】
相容化剤の官能基は、分子に極性のセグメントを提供する任意の基でもよい。特に適した官能基は、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイミド、マレイン酸の酸ヒドラジド、無水マレイン酸およびジアミンの反応製品、メチルナディック酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、マレイン酸アミドなどである。無水マレイン酸修飾ポリオレフィンは、特に本発明に使用するために適する。このような修飾ポリオレフィンは、典型的には重合体のバックボーン材料に対して無水マレイン酸をグラフトすることによって形成される。このようなマレイン酸化された(maleated)ポリオレフィンは、Pシリーズ(化学修飾ポリプロピレン)、Eシリーズ(化学修飾ポリエチレン)、Cシリーズ(化学修飾エチレンビニルアセテート)、Aシリーズ(化学修飾エチレンアクリラート共重合体または三元共重合体)またはN Series(化学修飾エチレン−プロピレン、エチレン−プロピレンジエン単量体(「EPDM」)またはエチレン−オクテン)などの名称Fusabond(登録商標)の下でE. I. du Pont de Nemours and Companyから入手できる。あるいは、マレイン酸化されたポリオレフィンは、また名称Polybond(登録商標)の下でChemtura Corp.および名称Eastman Gシリーズの下で、Eastman Chemical Companyから入手できる。
【0039】
一定の態様において、相容化剤は、また反応性であってもよい。このような反応性の相容化剤の一つの例は、平均で、分子あたり少なくとも2つのオキシラン環を含むポリエポキシドモディファイアーである。理論によって拘束されることは意図しないが、このようなポリエポキシド分子が一定の条件下で再生可能なポリエステルの反応を誘導すること、これによって、有意にガラス転移温度を低下することなくその融解強度を改善することができると考えられる。反応は、鎖伸長、側鎖分岐形成、グラフティング、共重合体形成などを含んでいてもよい。鎖伸長は、たとえば多様な異なる反応経路を介して生じてもよい。たとえば、モディファイアーは、再生可能なポリエステルのカルボキシル末端基を介して(エステル化)またはヒドロキシル基を介して(エーテル化)求核開環反応を可能にしてもよい。オキサゾリン副反応が生じて、同様にエステルアミド部分を形成し得る。このような反応を介して、再生可能なポリエステルの分子重量が増加して、たいてい溶融加工の間に観察される分解を妨げ得る。上記の通りに再生可能なポリエステルとの反応を誘導することが望ましいが、本発明者らは、多すぎる反応がポリエステルバックボーン間の架橋を引き起こし得ることを発見した。このような架橋が、有意な程度に進むことができる場合、生じる重合体混合物は、もろくなり、所望の
引張弾性率および伸び特性でフィルムに形成するのが困難になり得る。
【0040】
この点において、本発明者らは、相対的に低いエポキシ官能基を有するポリエポキシドモディファイアーが特に有効であるということを発見し、これはその「エポキシ当量」によって定量化され得る。エポキシ当量は、エポキシ基の1つの分子を含む樹脂の量を反映し、およびこれは、モディファイアーの数平均分子量を分子におけるエポキシ基の数によって割ることによって算出し得る。本発明のポリエポキシドモディファイアーは、典型的にはモルあたり約7,500から約250,000グラム、いくつかの態様においてモルあたり約15,000から約150,000グラム、いくつかの態様においてモルあたり約20,000から100,000グラムの数平均分子量を有し、典型的には2.5から7の範囲の多分散性指数である。ポリエポキシドモディファイアーは、50未満、いくつかの態様において5から45およびいくつかの態様において15から40のエポキシ基を含んでいてもよい。次に、エポキシ当量は、モルあたり約15,000グラム未満、いくつかの態様においてモルあたり約200から約10,000グラムおよびいくつかの態様においてモルあたり約500から約7,000グラムであってもよい。
【0041】
ポリエポキシドは、末端エポキシ基、骨格オキシランユニットおよび/またはペンダントエポキシ基を含む、直線または分枝の、ホモポリマーまたは共重合体(たとえば、ランダム、グラフト、ブロック、その他)であってもよい。このようなポリエポキシドを形成するために使用される単量体は、変更してもよい。一つの特定の態様において、たとえば、ポリエポキシドモディファイアーは、少なくとも1つのエポキシ−官能性(メタ)アクリル酸単量体成分を含む。本明細書に使用される、「(メタ)アクリル酸の」という用語は、アクリラートおよびメタクリラート単量体などのアクリル酸およびメタクリル酸単量体、並びにこれらの塩またはエステルを含む。たとえば、適したエポキシ−官能性(メタ)アクリル酸単量体は、アクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルなどの1,2−エポキシ基を含むものを含み得るが、限定されない。その他の適したエポキシ−官能単量体は、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエチルアクリラートおよびグリシジルイタコナート(itoconate)を含む。
【0042】
ポリエポキシドは、典型的には上記のように相対的に高い分子重量を有し、その結果、これは、再生可能なポリエステルの鎖伸長を生じることができるだけでなく、所望の混合物形態を達成するのを補助することもできる。したがって、生じる重合体のメルトフローレートは、典型的には、2160グラムの負荷にて、および190℃の温度にて決定される、10分あたり約10から約200グラム、いくつかの態様において10分あたり約40から約150グラムおよびいくつかの態様において10分あたり約60から約120グラムである。
【0043】
必要に応じて、さらなる単量体を、また所望の分子重量を達成するのを補助するためにポリエポキシドに使用してもよい。このような単量体は、異なっていてもよく、およびたとえば、エステル単量体、(メタ)アクリル酸単量体、オレフィン単量体、アミド単量体などを含んでいてもよい。一つの特定の態様において、たとえば、ポリエポキシドモディファイアーは、2から20炭素原子および好ましくは2から8炭素原子を有するものなどの少なくとも1つの直鎖または分枝−オレフィン単量体を含む。具体例は、以下を含む:エチレン、プロピレン、1−ブテン3−メチル−1−ブテン;3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ペンテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−ペンテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−ヘキセン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−ヘプテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−オクテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基をもつ1−ノネン;エチル、メチルまたはジメチル置換された1−デセン;1−ドデセン;およびスチレン。特に望まれるα−オレフィンコモノマーは、エチレンおよびプロピレンである。
【0044】
もう一つの適した単量体は、エポキシ−官能性でない(メタ)アクリル酸単量体を含んでいてもよい。このような(メタ)アクリル酸単量体の例は、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−プロピルアクリラート、i−プロピルアクリラート、n−ブチルアクリラート、s−ブチルアクリラート、i−ブチルアクリラート、t−ブチルアクリラート、ペンチルアクリラート、i−アミルアクリラート、イソボルニルアクリラート、n−ヘキシルアクリラート、2−エチルブチルアクリラート、2‐エチルヘキシルアクリラート、n−オクチルアクリラート、n−デシルアクリラート、メチルシクロヘキシルアクリラート、シクロペンチルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、n−プロピルメタクリラート、n−ブチルメタクリラート、i−プロピルメタクリラート、i−ブチルメタクリラート、ペンチルメタクリラート、n−ヘキシルメタクリラート、i−アミルメタクリラート、s−ブチル−メタクリラート、t−ブチルメタクリラート、2−エチルブチルメタクリラート、メチルシクロヘキシルメタクリラート、シンナミルメタクリラート、クロチルメタクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、シクロペンチルメタクリラート、2−エトキシエチルメタクリラート、イソボルニルメタクリラート、その他、並びにこれらの組み合わせを含み得る。
【0045】
本発明の一つの特に望ましい態様において、ポリエポキシドモディファイアーは、エポキシ−官能性(メタ)アクリル酸単量体成分、α−オレフィン単量体成分および非エポキシ官能性(メタ)アクリル酸単量体成分から形成される三元共重合体である。たとえば、ポリエポキシドモディファイアーは、ポリ(エチレン−コ−メチルアクリラート−コ−グリシジルメタクリラート)でもよく、これは、以下の構造を有する:
【0046】
【化2】
式中、x、yおよびzは、1以上である。
【0047】
エポキシ官能性単量体は、公知の多様な技術を使用して、重合体に形成してもよい。たとえば、極性官能基を含む単量体を重合体バックボーンにグラフトしてグラフト共重合体を形成してもよい。このようなグラフティング技術は、当該技術分野において周知であり、たとえば米国特許第5,179,164号において記述され、これは全ての目的のためにその参照によりその全体が本明細書に援用される。その他の態様において、高圧反応、チーグラー‐ナッタ触媒反応系、単一部位触媒(たとえば、メタロセン)反応系、その他などの公知のフリーラジカル重合技術を使用して、エポキシ官能基を含む単量体を単量体と共重合して、ブロックまたはランダムな共重合体を形成してもよい。
【0048】
単量体成分(類)の相手部分は、エポキシ−反応性とメルトフローレートとの間の釣合いを達成するように選択してもよい。より詳細には、高いエポキシ単量体含量はでは、再生可能なポリエステルとの優れた反応性を生じ得るが、含量が高すぎると、ポリエポキシドモディファイアーが重合体混合物の融解強度に悪影響を与える程度までメルトフローレートを減少させ得る。したがって、大部分の態様において、エポキシ−官能性(メタ)アクリル酸単量体は、共重合体の約1重量%から約25重量%、いくつかの態様において約2重量%から約20重量%およびいくつかの態様において約4重量%から約15重量%を構成する。α−オレフィン単量体は、同様に共重合体の約55重量%から約95重量%、いくつかの態様において約60重量%から約90重量%およびいくつかの態様において約65重量%から約85重量%を構成してもよい。使用されるときに、その他の単量体成分(たとえば、非エポキシ官能性(メタ)アクリル酸単量体)は、共重合体の約5重量%から約35重量%、いくつかの態様において約8重量%から約30重量%およびいくつかの態様において約10重量%から約25重量%を構成してもよい。本発明において使用してもよい適したポリエポキシドモディファイアーの一つの具体例は、名称LOTADER(登録商標)AX8950またはAX8900の下でArkemaから市販されている。LOTADER(登録商標)AX8950は、たとえば、70から100g/10分のメルトフローレートを有し、および7重量%から11重量%のグリシジルメタクリラート単量体含量、13重量%から17重量%のメチルアクリラート単量体含量および72重量%から80重量%のエチレン単量体含量を有する。
【0049】
ポリエポキシドモディファイアーを形成するために使用される単量体のタイプおよび相対的含量を制御することに加えて、また全体の重量パーセントを制御して所望の利益を達成してもよい。たとえば、修飾レベルが低すぎる場合、融解強度および機械的特性における所望の増大は達成され得ない。しかし、本発明者らは、また修飾レベルが高すぎる場合、フィルムを形成する能力は、分子相互作用(たとえば、架橋すること)およびエポキシ官能基による強力な物理的ネットワーク形成のために制限され得ることを発見した。したがって、ポリエポキシドモディファイアーは、典型的には、組成物において使用される再生可能なポリエステルの重量に基づいて、約0.05重量%から約10重量%、いくつかの態様において約0.1重量%からから約8重量%、いくつかの態様において約0.5重量%から約5重量%およびいくつかの態様において約1重量%から約3重量%の量で使用される。また、ポリエポキシドモディファイアーは、組成物の総重量に基づいて、約0.05重量%から約10重量%、いくつかの態様において約0.05重量%から約8重量%、いくつかの態様において約0.1重量%から約5重量%およびいくつかの態様において約0.5重量%から約3重量%を構成してもよい。
【0050】
使用されるときに、ポリエポキシドモディファイアーは、また再生可能なポリエステルとのその反応性をさらに増強する方法で熱可塑性組成物の形態に影響し得る。より詳細には、生じる形態は、連続的なポリエステルマトリックスの全体にわたって分布されたポリエポキシドモディファイアーの複数の分離したドメインを有し得る。これらの「二次」ドメインは、楕円、球状、円柱状、その他などの多様な異なる形状を有してもよい。しかし、形状に関係なく、個々の二次ドメインのサイズは、混合後に小さく、再生可能なポリエステルとの反応のために増加した表面領域を提供する。たとえば、二次ドメインのサイズ(たとえば、長さ)は、典型的には約10から約1000ナノメートル、いくつかの態様において約20から約800ナノメートル、いくつかの態様において約40から約600ナノメートルおよびいくつかの態様において約50から約400ナノメートルの範囲である。上記の如く、強化添加物は、またポリエステルマトリックス内に分離したドメインを形成し、これが組成物の「一次」ドメインにおいて考慮される。もちろん、ドメインは、ポリエポキシド、強化添加物および/または混合物のその他の成分の組み合わせによって形成され得ることも十分に理解されるはずである。
【0051】
ポリエポキシドに加えて、また、オキサゾリン官能性をもたせた重合体、シアン化物官能性をもたせた重合体、その他などのその他の反応性の相容化剤を本発明において使用してもよい。使用されるときに、このような反応性の相容化剤は、ポリエポキシドモディファイアーについて上で言及した濃度で使用してもよい。一つの特定の態様において、オキサゾリン環を含む単量体でグラフトされたポリオレフィンである、オキサゾリンがグラフトされたポリオレフィンを使用してもよい。オキサゾリンは、2−ビニル−2−オキサゾリン(たとえば、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)、2−脂肪酸−アルキル−2−オキサゾリン(たとえば、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸および/またはアラキドン酸のエタノールアミドから得られる)およびこれらの組み合わせなどの2−オキサゾリンを含んでいてもよい。もう一つの態様において、オキサゾリンは、たとえば、リシノロキサゾリンマレイナート、ウンデシル−2−オキサゾリン、ソヤ−2−オキサゾリン、トウゴマ−2−オキサゾリンおよびこれらの組み合わせから選択してもよい。さらにもう一つの態様において、オキサゾリンは、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリンおよびこれらの組み合わせから選択される。
【0052】
E.その他の成分
本発明の一つの有益な側面は、名称Carbowax(商標)の下でDow Chemicalから入手できるなどの、固体または半固体ポリエチレングリコールなどの、従来の可塑剤を必要とすることなく優れた機械的特性(たとえば、伸び)を提供し得ることである。熱可塑性組成物は、一般にこのような可塑剤がなくてもよい。それにもかかわらず、可塑剤を本発明の一定の態様において使用してもよいことを理解すべきである。しかし、利用されるときに、可塑剤は、典型的には熱可塑性組成物の約10重量%未満、いくつかの態様において約0.2重量%から約5重量%およびいくつかの態様において約0.1重量%から約2重量%の量で存在する。もちろん、その他の成分を多様な異なる理由のために利用してもよい。たとえば、使用してもよい材料は、触媒、色素、抗酸化剤、安定剤、表面活性物質、ろう、固体の溶媒、充填剤、成核剤(たとえば、酸化チタン(IV)、炭酸カルシウム、その他)、微粒子および熱可塑性組成物の加工性を増強するために添加されるその他の材料を含むが、限定されない。利用されるときに、通常、これらのさらなる成分の量は、最適な相容性および対費用効果を確実にするために最小限にされることが望まれる。したがって、たとえば、通常、このような成分は、熱可塑性組成物の約10重量%未満、いくつかの態様において約8重量%未満およびいくつかの態様において約5重量%未満を構成することが望まれる。
【0053】
II. 混合
原材料(たとえば、再生可能なポリエステル、強化添加物および中間モディファイアー)は、公知の多様な技術のいずれかを使用して混合してもよい。一つの態様において、たとえば、原材料は、別々に、または組み合わせて供給してもよい。たとえば、原材料は、本質的に均一な乾燥混合物を形成するために、共に最初に乾燥混合させてもよい。原材料は、同様に材料を分散混合する溶融加工装置に同時に、または順番に、いずれかで供給してもよい。バッチおよび/または連続的な溶融加工技術を使用してもよい。たとえば、ミキサー/ニーダー、バンブリーミキサー、ファレル連続ミキサー、単一スクリュー押出成形機、双軸スクリュー押出成形機、ロールミル、その他を利用して、材料を混合および溶融加工してもよい。特に適した溶融加工装置は、共回転、双軸スクリュー押出成形機(たとえば、ラムゼー、ニュージャージーのWerner & Pfleiderer Corporation of Wernerから入手できるZSK−30押出成形機またはThermo Electron Corp.、ストーン、イングランドから利用できるThermo Prism(商標)USALAB 16押出成形機)であり得る。このような押出成形機は、供給および排出口を含み、および高強度分配および分散の混合を提供し得る。たとえば、原材料を双軸スクリュー押出成形機の同じまたは異なる供給ポートに供給し、および溶融混合して実質的に均一な溶解した混合物を形成してもよい。必要に応じて、その他の添加剤を、また重合体融解物に注入してもよく、および/またはその長さに沿って異なる位置にて別々に押出成形機に入れてもよい。あるいは、添加剤は、再生可能なポリエステル、強化添加物および/または中間モディファイアーと共に事前に混合されていてもよい。
【0054】
選択された特定の処理技術に関係なく、原材料を十分な剪断/圧下で混合およびし、十分な分散を確実にするように、しかし、逆に分離したドメインのサイズを減少させ、その結果これらが所望の耐久性および伸びを達成することができなくなるほど高くなく加熱する。たとえば、混合は、典型的には、約180℃から約260℃、いくつかの態様において約185℃から約250℃およびいくつかの態様において約190℃から約240℃の温度にて生じる。同様に、溶融加工の間の見かけの剪断速度は、約10秒
−1から約3000秒
−1、いくつかの態様において約50秒
−1から約2000秒
−1およびいくつかの態様において約100の秒
−1から約1200秒
−1の範囲であってもよい。見掛けの剪断速度は、4Q/pR
3に等しく、式中Qは、重合体融解物の体積流量(「m
3/s」)であり、およびRは、それを介して融解した重合体が流れるキャピラリー(たとえば、押出ダイ)の半径(「m」)である。もちろん、またスループット速度に反比例する溶融加工の間の滞留時間などのその他の変数を制御して、所望の均一性の程度を達成してもよい。
【0055】
所望の剪断状態(たとえば、速度、滞留時間、ずり速度、溶融加工温度、その他)を達成するために、押出スクリューの速度を一定の範囲で選択してもよい。一般に、製品温度の増大は、系へのさらなる機械エネルギー入力のためにスクリュー速度の増加と共に観察される。たとえば、スクリュー速度は、分あたり約50から約500回転(「rpm」)、いくつかの態様において約70から約300rpmおよびいくつかの態様において約100から約200rpmの範囲であってもよい。これにより、生じるドメインのサイズに悪影響を与えることなく強化添加物および中間モディファイアーを分散させるのに十分な高温を生じ得る。また、溶融剪断速度および次いで重合体が分散される程度は、押出成形機のミキシングセクション内で1つまたは複数の分配および/または分散混合部材を用いることにより増加してもよい。単一スクリュー押出機のための適した離散ミキサーは、たとえば、Saxon, Dulmage, Cavity Transferミキサーなどを含み得る。同様に、適した分散ミキサーは、Blister ring, Leroy/Maddock, CRDミキサーなどを含み得る。当業者に周知のように、混合は、Buss Kneader押出成形機、Cavity TransferミキサーおよびVortex Intermeshing Pin(VIP)ミキサーにおいて使用されるものなどの、重合体融解物の折り重ねおよび再延伸を生じさせるバレルにおいてピンを使用することによってさらに改善してもよい。
【0056】
III. フィルム構築
吹込成形、キャスト、平型押出加工などを含む任意の公知の技術を使用して、混合された組成物からフィルムを形成してもよい。一つの特定の態様において、フィルムは、環状型を介して押し出された重合体混合物の泡を膨張するために気体(たとえば、空気)を使用する吹込加工によって形成してもよい。次いで、泡をつぶして、平らなフィルム形態で収集する。吹込フィルムを作製するための工程は、たとえば、Raleyに対する米国特許第3,354,506号;Schippersに対する第3,650,649剛;およびSchrenkらに対する第3,801,429号、並びにMcCormackらに対する米国特許出願公開第2005/0245162号およびBoggsらに対する第2003/0068951号に記述される。しかし、さらにもう一つの態様において、フィルムは、キャスト技術を使用して形成される。
【0057】
図1を参照し、たとえば、キャストフィルムを形成するための方法の一つの態様を示してある。この態様では、原材料(図示せず)を押出成形機80に供給し、および次いでキャスティングロール90上にキャストして単一層の前駆フィルム10aを形成する。多層フィルムが製造される場合、複数層をキャスティングロール90上へ共に共押出成形する。キャスティングロール90は、フィルムにパターンをつけるために、任意にエンボス部材と共に提供してもよい。典型的には、キャスティングロール90は、約20から60℃などの、それが形成されたときにシート10aを凝固させて、クエンチするために十分な温度に保持させる。必要に応じて、ロール表面90の近くに前駆フィルム10aを保持するのを補助するために、真空箱をキャスティングロール90に隣接して配置してもよい。加えて、エアナイフまたは静電ピンナーにより、キャスティングロール90の表面に対して前駆フィルム10aを押し込み、それが回転しているロールの周りを動くように補助してもよい。エアナイフは、フィルムの端をピンでとめるように非常に速い流速にて気流を集める技術において公知の装置である。
【0058】
一旦キャストし、次いでフィルム10aを任意に1つまたは複数の方向に延伸してさらにフィルム均一性を改善し、および厚みを減少させる。フィルムは、フィルムにおける1つまたは複数の重合体の融点以下、しかし組成物を引張り、または延伸するのを可能にするほど十分に高い温度に即時に再加熱してもよい。連続延伸の場合において、「軟化された」フィルムを、シートが長手方向(縦方向)に所望の引張り比に伸びるように、異なる回転速度にて回転するロールによって延伸する。次いで、この「一軸」延伸されたフィルムを繊維ウェブに積層してもよい。加えて、一軸延伸されたフィルムを幅方向に延伸して「二軸延伸」フィルムを形成してもよい。たとえば、フィルムをチェーンクリップによってその外縁部に固定して、テンターオーブンに運んでもよい。テンターオーブンにおいて、フィルムを再加熱し、およびこれらの前方の移動時にチェーンクリップをそらせることによって所望の延伸比に幅方向に引っ張ってもよい。
【0059】
図1を再度参照し、たとえば、一軸延伸されたフィルムを形成するための一つの方法を示してある。図示したように、前駆フィルム10aは、プロビデンス、ロードアイランドのMarshall and Willams, Co.から市販のものなどの、フィルム延伸ユニット100または縦方向オリエンター(「MDO」)に向けられる。MDOは、
図1で示したプロセスを介したフィルムの移動方向である縦方向のフィルムを連続的に延伸して薄くする複数の延伸ロール(5から8など)を有する。MDO 100は、8本のロールで図示してあるが、ロールの数は、望まれる伸びのレベルおよび各ロール間の伸長の程度に応じて、多くてもまたは少なくてもよいことを理解すべきである。フィルムは、いずれの単一または複数の別々の伸長操作のいずれで延伸されてもよい。MDO装置におけるロールのいくつかは、次第により高速で作動されなくてもよいことに注意すべきである。必要に応じて、MDO 100のロールのいくつかは、予熱ロールとして機能してもよい。存在する場合、これらの最初のいくつかのロールは、室温以上(たとえば、125Fに)にフィルム10aを加熱する。MDOにおいて隣接するロールの速度が次第に速いので、フィルム10aを延伸すように作用する。延伸ロールが回転する速度が、フィルムにおける延伸の量および最終的なフィルム重量を決定する。
【0060】
次いで、生じるフィルム10bを引き取りロール60に巻いて、および保管してもよい。本明細書に図示してないが、スリットを入れること、処理すること、孔開け、プリンティンググラフィックスまたはその他の層(たとえば、不織布ウェブ材料)とフィルムのラミネーションなどの当該技術分野において公知の種々のさらなる可能性のある加工および/または仕上げを本発明の精神と範囲から逸脱することなく行ってもよい。
【0061】
本発明のフィルムは、単層または多層でもよい。多層フィルムは、層の共押出、押出塗工によって、または任意の従来の重層過程によって製造してもよい。たとえば、フィルムは、2から15層、いくつかの態様において3から12層を含んでいてもよい。このような多層フィルムは、通常少なくとも1つの基部層および少なくとも1つのさらなる層(たとえば、スキン層)を含むが、所望の多くの層を含んでいてもよい。たとえば、多層フィルムは、基部層および1つまたは複数のスキン層から形成してもよく、基部層は、本発明の熱可塑性組成物から形成される。大部分の態様において、スキン層は、上で記述したものなどの熱可塑性組成物から形成される。しかし、ポリオレフィンポリマー(たとえば、直鎖状の低圧ポリエチレン(LLDPE)またはポリプロピレン)などのその他の重合体も、スキン層に使用してもよいことを理解すべきである。
【0062】
本発明のフィルムの厚さは、柔軟性を増加させるために相対的に薄くてもよい。たとえば、フィルムは、約1から約200マイクロメートル、いくつかの態様において約2から約150マイクロメートル、いくつかの態様において約5から約100マイクロメートルおよびいくつかの態様において約10から約60マイクロメートルの厚さを有してもよい。このような薄い厚みを有することにもかかわらず、本発明のフィルムは、それにもかかわらず使用の間に優れた機械的特性を保持することができる。たとえば、フィルムは、相対的に引き延ばしやすい。フィルムの延性を示す一つのパラメーターは、23℃にてASTM標準D638−10にしたがって得られるものなどの、応力‐歪み曲線によって定まる、その破壊点でのフィルムのパーセント伸び率である。たとえば、縦方向(「MD」)におけるフィルムの破壊時のパーセント伸び率は、約10%以上、いくつかの態様において約50%以上、いくつかの態様において約80%以上およびいくつかの態様において約100%から約600%であってもよい。同様に、幅方向(「CD」)におけるフィルムの破壊時のパーセント伸び率は、約15%以上、いくつかの態様において約40%以上、いくつかの態様において約70%以上およびいくつかの態様において約100%から約400%であってもよい。延性を示すもう一つのパラメーターは、フィルムの引張
弾性率であり、これは引張り応力と引張変形率の比と同等であり、および応力‐歪み曲線の勾配から決定される。たとえば、フィルムは、典型的には約2500メガパスカル(「MPa」)以下、いくつかの態様において約2200MPa以下、いくつかの態様において約50MPaから約2000MPaおよびいくつかの態様において約100MPaから約1000MPaのMDおよび/またはCD引張
弾性率を示す。引張
弾性率は、23℃にてASTM D638−10にしたがって決定してもよい。
【0063】
フィルムは、引き延ばせるが、これはなおも相対的に強力であり得る。フィルムの相対的強度を示す一つのパラメーターは、極限引張強さであり、これは、ASTM標準D638−10にしたがって得られるものなどの応力‐歪み曲線で得られるピーク応力と同等である。たとえば、本発明のフィルムは、約5から約65MPa、いくつかの態様において約10MPaから約60MPaおよびいくつかの態様において約20MPaから約55MPaのMDおよび/またはCDピーク応力を示し得る。また、フィルムは、約5MPaから約60MPa、いくつかの態様において約10MPaから約50MPaおよびいくつかの態様において約20MPaから約45MPaのMDおよび/またはCD破壊応力を示し得る。ピーク応力および破壊応力は、23℃にてASTM D638−10にしたがって決定され得る。
【0064】
必要に応じて、本発明のフィルムは、1つまたは複数のさらなる加工工程に供してもよい。このような工程の例は、たとえば、溝ロール伸長すること、穿孔すること、エンボス加工すること、コーティングなどを含む。また、フィルムは、その特性を改善するために公知の多様な技術のいずれかを使用して表面処理してもよい。たとえば、高エネルギービーム(たとえば、プラズマ、X線、e−ビーム、その他)は、フィルム上に形成された任意のスキン層を除去し、または減少させて、表面極性、多孔度、トポグラフィなどを変化してもよい。
【0065】
また、フィルムは、1つまたは複数の不織ウェブフェーシングに積層して、摩擦係数を減少させて、複合体表面の布様の感触を増強させてもよい。不織布ウェブフェーシングの形成に使用するための例示的な重合体は、たとえばポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、その他;ポリテトラフルオロエチレン;ポリエステル、たとえばポリエチレンテレフタラートなど;ポリビニルアセテート;ポリビニルクロライドアセテート;ポリビニルブチラール;アクリル樹脂(たとえば、ポリアクリラート、ポリメチルアクリラート、ポリメチルメタクリラート)など;ポリアミド、たとえばナイロン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリスチレン;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ポリ乳酸;これらの共重合体;などを含んでいてもよい。必要に応じて、上で記述したものなどの、再生可能な重合体を、また使用してもよい。セルロースエステル;セルロースエーテル;セルロースニトラート;セルロースアセテート;セルロースアセテートブチラート;エチルセルロース;ビスコースなどの再生されたセルロース、レーヨンなどの、合成または天然のセルロースの重合体を、また使用してもよい。また、重合体(類)は、繊維、溶媒の残留量、色素または着色剤などの所望の特性を与えるために、加工助剤または処理組成物などのその他の添加剤を含んでいてもよいことに注意すべきである。
【0066】
単成分および/または多成分繊維を、不織布ウェブフェーシングを形成するために使用してもよい。単成分繊維は、一般に単一の押出成形機から押出加工された重合体または重合体の混合物から形成される。多成分繊維は、一般に別々の押出成形機から押出加工された二つ以上の重合体(たとえば、二成分繊維)から形成される。重合体は、繊維の横断面全体にわたって実質的にコンスタントに配置された異なるゾーンに配置されてもよい。成分は、外筒−コア、並んで、パイ、海の孤島、3つ島、まん中の弾丸または当該技術において公知である種々のその他の配置などの任意の所望の配置に配置してもよい。また、種々の不規則な形状を有する多成分繊維を形成してもよい。
【0067】
短繊維、連続紡錘糸、その他などの任意の所望の長さの繊維を使用してもよい。一つの特定の態様において、たとえば、約1から約150ミリメートル、いくつかの態様において約5から約50ミリメートル、いくつかの態様において約10から約40ミリメートルおよびいくつかの態様において約10から約25ミリメートルの範囲の繊維長を有する短繊維を使用してもよい。必須とされないが、カージング技術を、当該技術において周知のように短繊維で線維層を形成するために使用してもよい。たとえば、繊維は、繊維を分離するピッカーに繊維の束を置くことによって、カード状のウェブに形成されもよい。次に、繊維は、コーミングまたはカージングユニットを介して送られ、さらにばらばらにして、および縦方向延伸された繊維不織布ウェブを形成するように縦方向に繊維を整列させる。次いで、カード状のウェブを公知の技術を使用して結合して、結合されたカード状の不織布ウェブを形成してもよい。
【0068】
必要に応じて、複合体の不織布を形成するために使用される不織布ウェブフェーシングは、多層構造を有してもよい。適した多層材料は、たとえば、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(SMS)積層体およびスパンボンド/メルトブロー(SM)積層体を含み得る。多層構造のもう一つの例は、複数のスピンバンクマシンで生成されるスパンボンドウェブであり、スピンバンクは、以前のスピンバンクから堆積された繊維の層の上に堆積される。このような個々のスパンボンド不織布ウェブは、また多層構造と考えられ得る。この状況において、不織布ウェブに堆積される繊維の種々の層は、同じでもよく、またはこれらは、基礎重量において、および/または生成される繊維の組成、タイプ、サイズ、波形のレベルおよび/または形状に関して異なっていてもよい。もう一つの例として、単一の不織布ウェブを、不織布ウェブを形成するため共に結合されたスパンボンドウェブ、カード状のウェブ、その他の2つ以上の個々に生成された層として提供してもよい。これらの個々に生成された層は、上で議論したように生成方法、基礎重量、組成物および繊維に関して異なっていてもよい。また、不織布ウェブフェーシングは、さらなる繊維の成分を含んでいてもよく、その結果これは、複合体のものと考えられる。たとえば、不織布ウェブは、当該技術において公知の多様な技術(たとえば、液圧、空気、機械的、その他)のいずれかを使用して、もう一つの繊維の成分と共に絡ませてもよい。一つの態様において、不織布ウェブは、液圧絡ませを使用してセルロース繊維と一体的に絡ませられる。典型的な液圧絡ませ工程は、繊維を絡ませるために水の高圧ジェット流を利用して高度にもつれて固まった繊維構造(たとえば、不織布ウェブ)を形成する。複合体の繊維成分は、任意の所望の量の生じる基体を含んでいてもよい。
【0069】
不織布ウェブフェーシングの基礎重量は、1平方メートルあたり約5グラム(「gsm」)から120gsm、いくつかの態様において約8gsmから約70gsmおよびいくつかの態様において約10gsmから約35gsmなど、一般に変化してもよい。複数の不織布ウェブフェーシングを使用されるときに、このような材料は、同じまたは異なる基礎重量を有してもよい。
【0070】
IV. 用途
本発明のフィルムは、パッケージングフィルムなど、多様な物品の処理のための個別ラップ、パッケージングポーチまたはバッグなど、食品製品、紙製品(たとえば、組織、ワイプ、紙タオル、その他)、吸収性製品、その他などの広く多様な用途に使用してもよい。吸収性製品のための種々の適したポーチ、ラップまたはバッグ配置は、たとえばSoreboらに対する米国特許第6,716,203号およびModerらに対する第6,380,445号、並びにSoreboらに対する米国特許出願公開第2003/0116462号に開示されている。
【0071】
また、フィルムは、その他の用途に使用してもよい。たとえば、フィルムは、吸収性製品に使用してもよい。「吸収性製品」は、一般に水またはその他の液体を吸収することができる任意の物品をいう。いくつかの吸収性製品の例は、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性パンツ、失禁用製品、女性衛生製品(たとえば、生理用ナプキン、パンチライナー、その他)、スイムウェア、乳児ワイプ、その他などの個人ケア吸収性製品;衣類、開窓術材料、アンダーパッド、ベッドパッド、包帯、吸収性ドレープおよび医用ワイプなどの医用吸収性製品;食品サービスワイパー;衣料品;などを含むが、限定されない。このような吸収性製品のいくつかの例は、DiPalmaらに対する米国特許第5,649,916号;Kielpikowskiに対する第6,110,158号;Blaneyらに対する第6,663,611号に記述されている。さらに他の適した物品は、Fellらに対する米国特許出願公開第2004/0060112号A1、並びにDamicoらに対する米国特許第4,886,512号まで;Sherrodらに対する第5,558,659号;Fellらに対する第6,888,044号;およびFreiburgeらに対する第6,511,465号に記述されている。このような吸収性製品を形成するために適した材料および工程は、当業者に周知である。
【0072】
この点において、本発明のフィルムを使用してもよい吸収性製品の一つの特定の態様をここでより詳細に記述してあるだろう。たとえば、吸収性製品は、トップシートを含む本体部分、外側カバーまたはバックシート、バックシートとトップシートの間に配置された吸収性コアおよび本体部分の両長手方向側から伸びる一対のフラップを含んでいてもよい。トップシートは、吸収性製品の体に面した表面を定義する。吸収性コアは、吸収性製品の外面から内部へ配置され、およびトップシートに隣接して配置された体に面した側およびバックシートに隣接して配置された衣服に面した表面を含む。本発明の一つの特定の態様において、バックシートは、本発明の熱可塑性組成物から形成されるフィルムであり、および一般に液体不透過性および任意に水蒸気透過性である。バックシートを形成するために使用されるフィルムは、また上で記述されたものなどの1つまたは複数の不織ウェブフェーシングに積層されてもよい。
【0073】
トップシートは、使用者の体に接触するように一般に設計されており、および液体透過性である。トップシートは、それが吸収性製品を完全におおうように、吸収性コアを囲んでいてもよい。あるいは、トップシートおよびバックシートは、吸収性コアを越えて伸びてもよく、および公知の技術を使用して完全にまたは部分的に共に周囲に接続してもよい。典型的には、トップシートおよびバックシートは、当該技術分野において公知の接着結合、超音波結合または任意のその他の適した接続方法によって接続される。トップシートは、衛生的で、外見がきれいで、並びに吸収性コアによって収集められ、および吸収される身体放出を隠すためにいくぶん不透明である。トップシートは、迅速に吸収性コアにトップシートを介して透過するが、体液がトップシートを介して着用者の皮膚へ戻って流れることができないように、身体の放出を可能にする優れた滲み通りおよび再度湿る(rewet)特徴をさらに示す。たとえば、トップシートのために使用し得るいくつかの適した材料は、不織布材料、穴をあけた熱可塑性フィルムまたはこれらの組み合わせを含む。ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、二成分、ナイロン、レーヨンまたはその他の繊維から作製された不織布を利用してもよい。たとえば、色がそれを通過した月経を隠すための優れたマスキング特性を示すので、白い一定のスパンボンド材料が特に望ましい。Dattaらに対する米国特許第4,801,494号およびSukiennikらに対する第4,908,026号は、本発明に使用してもよい種々のその他のカバー材料を教示する。
【0074】
また、トップシートは、体液がより容易に吸収性コアに通過できるように、それによって形成された複数の開口部を含んでいてもよい。開口部は、トップシートの全体にわたってランダムにまたは一様に配置してもよく、またはこれらは、吸収性製品の縦軸に沿って配置された狭い長手方向バンドまたは条片にのみ位置してもよい。開口部は、吸収性コア内に下に体液の迅速な透過を可能にする。開口部のサイズ、形状、直径および数は、特定の需要に合うように変更してもよい。
【0075】
また、吸収性製品は、トップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアを含んでいてもよい。吸収性コアは、単一の吸収部材または別々の、および異なる吸収性部材を含む複合体を形成してもよい。しかし、多くの吸収部材を本発明に利用してもよいことを理解すべきである。たとえば、ある態様において、吸収性コアは、トップシートと移動遅延部材との間に配置された取入れ部材を含んでいてもよい。取入れ部材は、トップシートに送達される体液をz−方向に迅速に移動することができる材料で作製してもよい。取入れ部材は、一般に任意の所望形状および/またはサイズを有してもよい。一つの態様において、取入れ部材は、吸収性製品の全長および吸収性製品の幅よりも少ない幅以下の長さで、矩形の形状を有する。たとえば、約150mmから約300mmの間の長さおよび約10mmから約60mmの間の幅を利用してもよい。
【0076】
多様な異なる材料のいずれを、上述した機能を達成するために取入れ部材のために使用してもよい。材料は、合成の、セルロース系または合成およびセルロース系材料の組み合わせでもよい。たとえば、風成のセルロース系組織は、取入れ部材に使用するために適し得る。風成セルロース系組織は、1平方メートルあたり約10グラム(gsm)から約300gsmの範囲で、およびいくつかの態様において約100gsmから約250gsmの間の基礎重量を有してもよい。一つの態様において、風成セルロース系組織は、約200gsmの基礎重量を有する。風成組織は、硬材および/または軟木繊維から形成してもよい。風成組織は、微細多孔構造を有し、および特に月経のためには優れたウイッキング能を提供する。
【0077】
必要に応じて、移動遅延部材は、取入れ部材の下に垂直に配置されてもよい。移動遅延部材は、その他の吸収部材よりも親水性ではない材料を含んでいてもよく、および一般に実質的に疎水性であると特徴づけられてもよい。たとえば、移動遅延部材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルまたは同様のものなどの、相対的に疎水性材料で構成された不織布繊維ウェブでもよく、およびまた、このような材料の混合物で構成されてもよい。移動遅延部材に適した材料の一つの例は、ポリプロピレン、多ローブ繊維で構成されたスパンボンドウェブである。適した移動遅延部材材料のさらなる例は、ポリプロピレン繊維で構成されたスパンボンド巣を含み、これは断面形状が円形、トリローブまたはポリ−ローブでもよく、およびこれは構造が中空でまたは固体でもよい。典型的には、ウェブは、熱接着によるなど、ウェブ領域の約3%から約30%にわたって結合される。移動遅延部材のために使用してもよい適した材料のその他の例は、Meyerらに対する米国特許第4,798,603号およびSerbiakらに対する第5,248,309号に記述されている。本発明の性能を調整するために、移動遅延部材は、またその最初の湿潤性を増加させるために、表面活性物質の選択された量で処理してもよい。
【0078】
移動遅延部材は、約150mmから約300mmの長さなど、任意のサイズを一般に有してもよい。典型的には、移動遅延部材の長さは、吸収性製品の長さにほぼ等しい。また、移動遅延部材は、幅が取入れ部材と同等でもよいが、典型的にはより広い。たとえば、移動遅延部材の幅は、約50mmから約75m間および特に約48mmでもよい。移動遅延部材は、典型的にはその他の吸収部材のものよりも少ない基礎重量を有する。たとえば、移動遅延部材の基礎重量は、典型的には1平方メートルあたり約150グラム(gsm)より少なく、およびいくつかの態様において約10gsmから約100gsmの間である。一つの特定の態様において、移動遅延部材は、約30gsmの基礎重量を有するスパンボンドウェブから形成される。
【0079】
上述した部材の他に、吸収性コアは、また共形成する材料などの複合吸収部材を含んでいてもよい。この例において、液体は、移動遅延部材から複合吸収部材に吸い取られてもよい。複合吸収部材は、取入れ部材および/または移動遅延部材から別々に形成されてもよく、またはそれと共に同時に形成してもよい。一つの態様において、たとえば、複合吸収部材は、移動遅延部材または取入れ部材上に形成してもよく、これは上で記述した共形成工程の間に運搬の役割を果たす。
【0080】
種々の吸収性製品の配置を上で記述してあるが、その他の配置も本発明の範囲内に含まれることを理解すべきである。さらに、本発明は、バックシートに限られない手段により、および本発明のフィルムは、吸収性製品の多様な異なる成分に組み込まれてもよい。たとえば、吸収性製品の剥離ライナーは、本発明のフィルムを含んでいてもよい。
【0081】
本発明は、以下の実施例に関してより十分に理解され得る。
【0082】
試験方法
メルトフローレート:
メルトフローレート(「MFR」)は、典型的には190℃または230℃にて10分で2160グラムの負荷に供されるときに、押出式流動計開口部(0.0825インチの直径)を介して強制される重合体の重量(グラムで)である。特に明記しない限り、メルトフローレートは、Tinius Olsen Extrusion PlastometerでASTM 試験法D1239にしたがって測定してある。
【0083】
熱特性:
ガラス転移温度(T
g)は、ASTM E1640−09にしたがって動的機械分析(DMA)によって決定してもよい。TA InstrumentsからのQ800機器を使用してもよい。実験の実行は、張力/張力形状で、3℃/分の加熱割合で−120℃から150℃の範囲の温度スイープモードで実行してもよい。歪み振幅頻度は、試験の間に一定で(2Hz)保持してもよい。3回の独立した試料を試験して、平均ガラス転移温度を得てもよく、これはtanδ曲線のピーク値によって定義され、tanδは、損失弾性率の貯蔵弾性率に対する比(tanδ=E"/E')として定義される。
【0084】
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって決定してもよい。示差走査熱量計は、DSC Q100 Differential Scanning Calorimeterでもよく、これは液体窒素冷却アクセサリを、およびUNIVERSAL ANALYSIS 2000(バージョン4.6.6)解析ソフトウエアプログラムを装備し、その両方ともニューキャッスル、デラウエアのT.A. Instruments Inc.から入手できる。直接試料を扱うことを回避するために、ピンセットまたはその他のツールが使用される。試料をアルミニウムパンに置いて、化学天秤で0.01ミリグラムの精度で計量する。蓋をパン上で材料試料の上にクリンプする。典型的には、樹脂ペレットをウェーパンに直接置く。
【0085】
示差走査熱量計は、標準的なインジウム金属を使用して較正し、および示差走査熱量計のための手動オペレーティングに記載されているように、ベースライン修正を行う。材料試料を試験のために示差走査熱量計の試験チャンバに置いて、空のパンを参照として使用する。全ての試験は、試験チャンバ上で毎分55立方センチメートルの窒素(工業等級)パージして実行する。樹脂ペレット試料については、加熱冷却プログラムは、2サイクルの試験であり、これは−30℃までチャンバの平衡を開始し、続いて200℃の温度まで毎分10℃の加熱割合にて第1の加熱期間を行い、続いて3分間200℃にて試料の平衡を行い、続いて−30℃の温度まで1分あたり10℃の冷却割合にて第1の冷却期間を行い、続いて3分間−30℃にて試料の平衡を行い、および次いで200℃の温度まで1分あたり10℃の加熱割合で第2の加熱期間を行う。全ての試験は、試験チャンバで毎分55立方センチメートルの窒素(工業等級)パージして実行する。
【0086】
屈折ガラス転移温度(T
g)、吸熱および発熱性ピーク、並びにDSCプロット上のピーク下の領域を同定して、定量化した結果を、UNIVERSAL ANALYSIS 2000解析ソフトウエアプログラムを使用して評価する。ガラス転移温度をプロット線上の領域として同定し、この場合、生じた傾きの異なる変化、および融解温度を自動屈折算出を使用して決定する。
【0087】
引張り特性
フィルムは、MTS Synergie200引張りフレームで引張り特性(ピーク応力、
引張弾性率、破壊に時の歪みおよび破壊時の容積あたりエネルギー)について試験した。試験は、ASTM D638−10にしたがって(約23℃にて)行った。フィルム試料は、試験の前に3.0mmの中心幅でイヌの骨形に切断した。イヌ骨フィルム試料を18.0mmの標点距離でMTS Synergie 200装置上のグリップを使用して所定の位置に保持する。フィルム試料を破損が生じるまで5.0in/分のクロスヘッド速度にて延伸した。5つの試料を、縦方向(MD)および横方向(CD)に各フィルムについて試験した。TestWorks 4と呼ばれているコンピュータプログラムを使用して試験の間のデータを収集して、応力対歪み曲線を生成し、ここから
引張弾性率、ピーク応力、伸びおよび破損するためのエネルギーを含む多数の特性を決定した。
【0088】
含水量
含水量は、Arizona Instruments Computrac Vapor Pro水分アナライザー(モデル番号3100)を使用して、ASTM D 7191−05に実質的したがって決定してもよく、これは全ての目的のためにその参照によりその全体が本明細書に援用される。試験温度(§X2.1.2)は、130℃でもよく、試料サイズ(§X2.1.1)は、2から4グラムでもよく、およびバイアルパージ時間(§X2.1.4)は、30秒でもよい。さらに、終了基準(§X2.1.3)は、「予測」モードとして定義してもよく、これは、一体型のプログラムされた基準(エンドポイント含水量を数学的に算出する)が満たされるときに試験を終えることを意味する。
【実施例1】
【0089】
100%のポリ乳酸(PLA)から形成したフィルムを、PLA 6201D(Natureworks(登録商標)、190℃にて10g/10分のメルトフローレート)をフィルムに押し出すことによって対照として形成した。ペレットを25:1のL/D比で、Rheomix 252シグナルスクリュー押出機に大量供給して、これを約208℃の温度まで加熱して、ここで融解した混合物を6インチの幅のキャストフィルムダイを介して出して、41.9μmから48.3μmの範囲のフィルムの厚さにHaakeテイクアップローラを介して延伸した。
【実施例2】
【0090】
88.7重量%ポリ乳酸(PLA 6201D、Natureworks(登録商標))、9.9重量%の強化添加物および1.4%ポリエポキシドモディファイアーの混合物からフィルムを形成する能力が証明された。強化添加物は、Vistamaxx(商標)2120(ExxonMobil)であり、これは、ポリオレフィン共重合体/エラストマーであり、29g/10分(190℃、2160g)のメルトフローレートおよび0.866g/cm
3の密度である。ポリエポキシドモディファイアーは、70から100g/10分(190℃/2160g)のメルトフローレートを有するポリ(エチレン−コ−メチルアクリラート−コ−メタクリル酸グリシジル)(Lotader(登録商標)AX8950、Arkema)、7から11重量%のメタクリル酸グリシジル含量、13から17重量%のメチルアクリラート含量および72から80重量%のエチレン含量だった。重合体を、Werner and Pfleiderer Corporation of Ramsey、ラムゼー、ニュージャージーによって製造された調合するための共回転、双軸スクリュー押出成形機(ZSK−30、30mmの直径、1328ミリメートルの長さ)に供給した。押出成形機は、14ゾーンを有し、供給ホッパーからダイまで連続的に1−14の番号をつけた。第1のバレルゾーン#1には、毎時15ポンドの総スループットにて重量計のフィーダーを介して樹脂を受けた。樹脂を押出加工するために使用したダイは、4ミリメートルで分離された3つのダイ開口部(直径が6ミリメートル)を有した。形成時に、押出樹脂を送風機を冷却したコンベヤーベルト上で冷却して、Conairペレタイザーによってペレットに形成した。押出スクリュー速度は、毎分200回転数(「rpm」)であった。次いで、ペレットを25:1のL/D比で、Rheomix 252シグナルスクリュー押出機に大量供給して、これを約212℃の温度まで加熱して、ここで融解した混合物を6インチの幅のキャストフィルムダイを介して出して、39.4μmから50.8μmの範囲のフィルムの厚さにHaakeテイクアップローラを介して延伸した。
【実施例3】
【0091】
混合物が85.3重量%ポリ乳酸(PLA 6201D、Natureworks(登録商標))、9.5重量%の強化添加物Vistamaxx(商標)2120(ExxonMobil)、1.4重量%ポリエポキシドモディファイアー(Lotader(登録商標)AX8950、Arkema)および3.8重量%の内部界面モディファイアー(BASFからのPLURIOL(登録商標)WI 285 Lubricant Basestock)を含んだことを除き、フィルムを実施例2に記載されているように形成した。PLURIOL(登録商標)WI285を、注射器ポンプを介してバレルゾーン#2に添加した。フィルムを、38.1μmから45.7μmの範囲の厚みに延伸した。SEM顕微鏡写真を、試験の前後に実施例3で撮った。結果を
図2−3に示してある。示したとおり、実施例3のPLAマトリックスは剥離を受け、これは、Vistamaxx(商標)重合体の分離したドメインに隣接して複数の空隙の形成を生じた。
【実施例4】
【0092】
フィルムを、これらを110.5μmから171.5μmの厚さに延伸したことを除き、実施例3に記載されているように形成した。
【0093】
種々の機械的特性を、上記の通りに実施例1−4のフィルムについて試験した。結果を表1にて後述してある。
【0094】
【表1】
【0095】
本発明は、その具体的態様に関して詳細に記述してあるが、当業者は、前述の理解を達成すると、これらの態様への変化、の変異、およびに対する均等物を容易に思いつき得ることは明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のものおよびその任意の均等物として評価されるべきである。