特許第6153243号(P6153243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153243
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】薄膜形成装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/56 20060101AFI20170619BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20170619BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   C23C14/56 B
   C23C16/44 F
   C23C16/505
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-21518(P2013-21518)
(22)【出願日】2013年2月6日
(65)【公開番号】特開2014-152351(P2014-152351A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山下 雅充
(72)【発明者】
【氏名】陣田 敏行
【審査官】 宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/026242(WO,A1)
【文献】 特開昭61−092431(JP,A)
【文献】 特開昭59−173268(JP,A)
【文献】 特開2009−293124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/56
C23C 16/44
C23C 16/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧チャンバー内で帯状基材の両面に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
薄膜形成前の前記帯状基材を巻き出す巻出ロールと、
前記帯状基材を搬送する搬送部と、
前記帯状基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成部と、
薄膜形成後の前記帯状基材を巻き取る巻取ロールと、
前記薄膜形成部を収容するメインチャンバと、
前記巻出ロールを収容する第1サブチャンバと、
前記巻取ロールを収容する第2サブチャンバとを備え、
前記搬送部は、第1メインロールと第2メインロールとを備え、
前記第1メインロールと前記第2メインロールとは、異なる高さで配置されており、
前記薄膜形成部は、第1薄膜形成部と第2薄膜形成部とを備え、
前記第1薄膜形成部は、前記第1ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記第2薄膜形成部は、前記第2ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記搬送部には、前記第1メインロールと前記第2メインロールとの間に揺動ロールを備え、
前記揺動ロールは、
前記第1メインロールの外周面と前記第2メインロールの外周面より外側であって、
前記第1メインロールの外周面と前記第2メインロールの外周面に共通する外接平面よりも内側に配置されている
ことを特徴とする、薄膜形成装置。
【請求項2】
減圧チャンバー内で帯状基材の両面に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
薄膜形成前の前記帯状基材を巻き出す巻出ロールと、
前記帯状基材を搬送する搬送部と、
前記帯状基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成部と、
薄膜形成後の前記帯状基材を巻き取る巻取ロールと、
前記薄膜形成部を収容するメインチャンバと、
前記巻出ロールを収容する第1サブチャンバと、
前記巻取ロールを収容する第2サブチャンバとを備え、
前記搬送部は、第1メインロールと第2メインロールとを備え、
前記第1メインロールと前記第2メインロールとは、異なる高さで配置されており、
前記薄膜形成部は、第1薄膜形成部と第2薄膜形成部とを備え、
前記第1薄膜形成部は、前記第1ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記第2薄膜形成部は、前記第2ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記第1薄膜形成部及び前記第2薄膜形成部は、
成膜チャンバーと、前記成膜チャンバーをプラズマ発生室と成膜室とに区分けする導電性のメッシュ材とを備え、
前記プラズマ発生室には、高周波発生部と、原料ガスを導入する原料ガス導入部を備え、
前記成膜室には、成膜用の反応ガスを導入する反応ガス導入部を備えた
ことを特徴とする、薄膜形成装置。
【請求項3】
減圧チャンバー内で帯状基材の両面に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
薄膜形成前の前記帯状基材を巻き出す巻出ロールと、
前記帯状基材を搬送する搬送部と、
前記帯状基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成部と、
薄膜形成後の前記帯状基材を巻き取る巻取ロールと、
前記薄膜形成部を収容するメインチャンバと、
前記巻出ロールを収容する第1サブチャンバと、
前記巻取ロールを収容する第2サブチャンバとを備え、
前記搬送部は、第1メインロールと第2メインロールとを備え、
前記第1メインロールと前記第2メインロールとは、異なる高さで配置されており、
前記薄膜形成部は、第1薄膜形成部と第2薄膜形成部とを備え、
前記第1薄膜形成部は、前記第1ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記第2薄膜形成部は、前記第2ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記搬送部には、前記第1メインロールと前記第2メインロールとの間に揺動ロールを備え、
前記揺動ロールは、
前記第1メインロールの外周面と前記第2メインロールの外周面より外側であって、
前記第1メインロールの外周面と前記第2メインロールの外周面に共通する外接平面よりも内側に配置されており、
前記第1薄膜形成部及び前記第2薄膜形成部は、
成膜チャンバーと、前記成膜チャンバーをプラズマ発生室と成膜室とに区分けする導電性のメッシュ材とを備え、
前記プラズマ発生室には、高周波発生部と、原料ガスを導入する原料ガス導入部を備え、
前記成膜室には、成膜用の反応ガスを導入する反応ガス導入部を備えた
ことを特徴とする、薄膜形成装置。
【請求項4】
前記第1メインロールは、前記第2メインロールより高い位置で平行に配置されており、
前記巻出ロールは、前記第1メインロールの側方であって、前記第2メインロールよりも上方に配置されており、
前記巻取ロールは、前記第2メインロールの側方であって、前記第1メインロールよりも下方に配置されている
ことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の薄膜形成装置。
【請求項5】
前記第2メインロールは、前記第1メインロールより高い位置で平行に配置されており、
前記巻出ロールは、前記第1メインロールの側方であって、前記第2メインロールよりも下方に配置されており、
前記巻取ロールは、前記第2メインロールの側方であって、前記第1メインロールよりも上方に配置されている
ことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の薄膜形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
減圧雰囲気の中で、薄膜形成対象となる帯状基材(つまり、長尺フィルムシート)を搬送させながら、2つの薄膜形成部を通過させることにより、当該フィルムシートの両面に薄膜を形成する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻かれた長尺フィルムシートの表面に薄膜を形成するために、真空蒸着,スパッタ,CVDなどの薄膜形成装置が用いられている。このような薄膜形成装置は、巻出ロールから巻き出して供給されたフィルムシートを、減圧チャンバの中でメインロール(いわゆるキャンロール)と呼ばれる大径のドラム状ロールの表面に沿わせ、メインロールを回転させることによりフィルムシートを搬送させている。
【0003】
さらに、薄膜形成部がメインロールの搬送面と対向する位置に配置されており、メインロールに沿わせたフィルムシートを搬送させながら薄膜形成部を通過させることにより、フィルムシート表面上に薄膜を形成している。そして、薄膜の形成が済んだフィルムシートは、巻取ロールに巻き取ることにより回収される。
【0004】
このとき、メインロールを2つ備え、フィルムシートを1つ目のメインロールに沿わせて片方の面上に下方側から薄膜を形成した後、フィルムシートを2つ目のメインロールに沿わせて反対側の面上に上方側から薄膜を形成(つまり、両面成膜)する装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
または、薄膜形成が、メインロール外周面の側方及び下方から行われる形態が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】再公表特許第2008/26242号
【特許文献2】特開2011−255611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の薄膜形成装置では、上方から下方に向けて、或いは、側方上方から側方下方に向けて薄膜を形成する形態がとられていた。
このような形態では、薄膜を形成する材料以外の異物が落下して、基材の表面に付着することにより、均一な薄膜形成ができないという課題があった。
【0008】
しかし、文献2に記載されているような形態を採用して、メインロール外周面の側方及び下方から薄膜形成を行うと、フィルムシートの表面に薄膜形成をした後、その反対側の面に薄膜を形成するまでの間、複数の搬送ロールを経由させる必要があり、搬送経路長が長くなってしまう。このように、フィルムシートの搬送経路長が長くなることは、材料ロスが多く発生してしまうため、従来の薄膜形成装置における課題であった。
【0009】
そこで本発明は、高品質な成膜を行うとともに、装置内のシート搬送経路を短くして材料ロスを削減することができる、薄膜形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、第1の発明は、
減圧チャンバー内で帯状基材の両面に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
薄膜形成前の前記帯状基材を巻き出す巻出ロールと、
前記帯状基材を搬送する搬送部と、
前記帯状基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成部と、
薄膜形成後の前記帯状基材を巻き取る巻取ロールと、
前記薄膜形成部を収容するメインチャンバと、
前記巻出ロールを収容する第1サブチャンバと、
前記巻取ロールを収容する第2サブチャンバとを備え、
前記搬送部は、第1メインロールと第2メインロールとを備え、
前記第1メインロールと前記第2メインロールとは、異なる高さで配置されており、
前記薄膜形成部は、第1薄膜形成部と第2薄膜形成部とを備え、
前記第1薄膜形成部は、前記第1ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記第2薄膜形成部は、前記第2ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記搬送部には、前記第1メインロールと前記第2メインロールとの間に揺動ロールを備え、
前記揺動ロールは、
前記第1メインロールの外周面と前記第2メインロールの外周面より外側であって、
前記第1メインロールの外周面と前記第2メインロールの外周面に共通する外接平面よりも内側に配置されている
ことを特徴とする、薄膜形成装置である。
【0011】
第2の発明は、
減圧チャンバー内で帯状基材の両面に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
薄膜形成前の前記帯状基材を巻き出す巻出ロールと、
前記帯状基材を搬送する搬送部と、
前記帯状基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成部と、
薄膜形成後の前記帯状基材を巻き取る巻取ロールと、
前記薄膜形成部を収容するメインチャンバと、
前記巻出ロールを収容する第1サブチャンバと、
前記巻取ロールを収容する第2サブチャンバとを備え、
前記搬送部は、第1メインロールと第2メインロールとを備え、
前記第1メインロールと前記第2メインロールとは、異なる高さで配置されており、
前記薄膜形成部は、第1薄膜形成部と第2薄膜形成部とを備え、
前記第1薄膜形成部は、前記第1ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記第2薄膜形成部は、前記第2ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記第1薄膜形成部及び前記第2薄膜形成部は、
成膜チャンバーと、前記成膜チャンバーをプラズマ発生室と成膜室とに区分けする導電性のメッシュ材とを備え、
前記プラズマ発生室には、高周波発生部と、原料ガスを導入する原料ガス導入部を備え、
前記成膜室には、成膜用の反応ガスを導入する反応ガス導入部を備えた
ことを特徴とする、薄膜形成装置である。
【0012】
第3の発明は、
減圧チャンバー内で帯状基材の両面に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
薄膜形成前の前記帯状基材を巻き出す巻出ロールと、
前記帯状基材を搬送する搬送部と、
前記帯状基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成部と、
薄膜形成後の前記帯状基材を巻き取る巻取ロールと、
前記薄膜形成部を収容するメインチャンバと、
前記巻出ロールを収容する第1サブチャンバと、
前記巻取ロールを収容する第2サブチャンバとを備え、
前記搬送部は、第1メインロールと第2メインロールとを備え、
前記第1メインロールと前記第2メインロールとは、異なる高さで配置されており、
前記薄膜形成部は、第1薄膜形成部と第2薄膜形成部とを備え、
前記第1薄膜形成部は、前記第1ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記第2薄膜形成部は、前記第2ロールの外周面の重力下方若しくは側方に配置されており、
前記搬送部には、前記第1メインロールと前記第2メインロールとの間に揺動ロールを備え、
前記揺動ロールは、
前記第1メインロールの外周面と前記第2メインロールの外周面より外側であって、
前記第1メインロールの外周面と前記第2メインロールの外周面に共通する外接平面よりも内側に配置されており、
前記第1薄膜形成部及び前記第2薄膜形成部は、
成膜チャンバーと、前記成膜チャンバーをプラズマ発生室と成膜室とに区分けする導電性のメッシュ材とを備え、
前記プラズマ発生室には、高周波発生部と、原料ガスを導入する原料ガス導入部を備え、
前記成膜室には、成膜用の反応ガスを導入する反応ガス導入部を備えた
ことを特徴とする、薄膜形成装置である。
【0013】
の発明は、
前記第1メインロールは、前記第2メインロールより高い位置で平行に配置されており、
前記巻出ロールは、前記第1メインロールの側方であって、前記第2メインロールよりも上方に配置されており、
前記巻取ロールは、前記第2メインロールの側方であって、前記第1メインロールよりも下方に配置されている
ことを特徴とする、第1の発明〜第の発明のいずれかに係る薄膜形成装置である。
【0014】
の発明は、
前記第2メインロールは、前記第1メインロールより高い位置で平行に配置されており、
前記巻出ロールは、前記第1メインロールの側方であって、前記第2メインロールよりも下方に配置されており、
前記巻取ロールは、前記第2メインロールの側方であって、前記第1メインロールよりも上方に配置されている
ことを特徴とする、第1の発明〜第の発明のいずれかに係る薄膜形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
減圧雰囲気の中で帯状基材の両面に薄膜形成する装置において、高品質な成膜を行うとともに、装置内のシート搬送経路を短くして材料ロスを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を具現化する形態の一例を示す断面図である。
図2】本発明を具現化する形態の別の一例を示す断面図である。
図3】本発明を具現化する形態のさらに別の一例を示す断面図である。
図4】本発明を具現化する形態のさらに別の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る薄膜形成装置1について、図を用いながら説明をする。図中、水平方向をX,Y方向とし、これらに直交する重力上方方向をZ方向とする(以下、各図において同じ)。
図1は、本発明を具現化する形態の一例を示す断面図である。
薄膜形成装置1は、薄膜形成部2と、搬送部3と、巻出ロール4と、巻取ロール5と、第1サブチャンバ6と、第2サブチャンバ7と、メインチャンバ10とを備えている。メインチャンバ10は、薄膜形成部2と搬送部3とを収容しており、減圧調節弁を介して真空ポンプと接続されている。
【0018】
薄膜形成部2は、第1薄膜形成部2Aと、第2薄膜形成部2Bとを備え、薄膜形成対象物となる帯状基材(つまり、長尺フィルムシート。以下、シートSという)の表面s1及び裏面s2に薄膜を形成するものである。
【0019】
第1薄膜形成部2Aは、第1メインロール31と対向する位置に配置されており、シートSの第1メインロール31の外周面31fと接する面とは反対側の面(つまり、シートSの表面s1)に、薄膜を形成するものである。また、第1薄膜形成部2Aは、第1メインロール31の外周面31fの重力下方若しくは側方に配置されている。また、第1薄膜形成部2Aには、成膜チャンバ20が備えられ、メインチャンバ10内で隔離された状態で、シートSの表面s1に薄膜形成が行われる。
【0020】
一方、第2薄膜形成部2Bは、第2メインロール36と対向する位置に配置されており、シートSのメインロール36の外周面36fと接する面とは反対側の面(つまり、シートSの裏面s2)に、薄膜を形成するものである。また、第2薄膜形成部2Bは、第2メインロール36の外周面32fの重力下方若しくは側方に配置されている。また、第2薄膜形成部2Bには、成膜チャンバ25が備えられ、メインチャンバ10内で隔離された状態で、シートSの裏面s2に薄膜形成が行われる。
【0021】
なお、薄膜形成部2は、真空蒸着方式、スパッタ方式、或いは、詳細を後述するプラズマCVD方式などの薄膜形成方式であって、シートSに対して重力下方若しくは側方から重力上方若しくは側方に薄膜を形成する方式を用いることができる。
【0022】
搬送部3は、シートSを搬送するものである。具体的には、搬送部3は、第1メインロール31と、駆動モータ33と、第2メインロール36と、駆動モータ38とを備えている。第1メインロール31は、回転軸32を備え、駆動モータ33に接続されている。第2メインロール36は、回転軸37を備え、駆動モータ38に接続されている。
【0023】
より具体的には、第1メインロール31は、円筒状のロールで、回転軸32に取り付けられた駆動モータ33の回転/停止により、矢印31vの方向或いは、その逆方向に回転したり、静止する構造をしている。同様に、第2メインロール36は、円筒状のロールで、回転軸37に取り付けられた駆動モータ38の回転/停止により、矢印36vの方向或いは、その逆方向に回転したり、静止する構造をしている。
【0024】
搬送部3は、シートSを第1メインロール31の外周面31fと、第2メインロール36の外周面36fの外周面36fに架け渡たし、シートSを矢印31v,Sv,36vの方向に搬送させることができる。なお、シートSは、第1メインロール31で薄膜が形成された側(つまり、シートSの表面s1)が、第2メインロール36の外周面36fと接するように架け渡されている。
【0025】
なお、第1メインロール31と、第2メインロール36とは、異なる高さで配置されている。また、搬送部3には、シートSの搬送移動に追従して回転するサブロールR1,R2が、適宜備えられている。
【0026】
また、第1メインロール31と第2メインロール36とは、全体を冷却しておく。これは、薄膜形成時にシートSが高温となると、シートSが熱膨張するが、減圧チャンバー内で薄膜形成が行われるため、冷却が不十分になりがちである。そうすると、薄膜形成後のシートSが巻き取られたロールは、サブチャンバから取り出した後、さらに放熱しながらシートが収縮し、いわゆる巻き締まり現象が生じる。この様な巻き締まり現象が生じると、薄膜形成後のシートSにはしわが発生したり、形成した薄膜にクラックが入るなど不具合を生じる。
【0027】
このような不具合を防止するため、薄膜形成後のシートSを大気解放後の温度と同程度にする様に、第1メインロール31と第2メインロール36とは、全体を冷却しておく。そうすれば、第1メインロール31の外周面31fの内、シートSが巻き付けられた区間を冷却区間34とすることができる。同様に、第2メインロール36の外周面36fの内、シートSが巻き付けられた区間を冷却区間39とすることができる。
【0028】
巻出ロール4は、シートSを第1メインロール31へ供給するものである。具体的には、巻出ロール4は、回転軸41を備え、回転モータ42に接続されている。回転軸41は、長尺のシートSをロール状に巻き付けておくための円筒軸である。回転モータ42は、第1メインロール31の回転に同期させて回転軸41を矢印43の方向に回転させるものである。或いは、回転軸41と回転モータ42との間にパウダークラッチ(図示せず)を備え、回転モータ42を矢印43と逆方向に回転させつつ、パウダークラッチの伝達トルクを調節することにより、シートSに所定の張力を付与しつつ、回転軸41を矢印43の方向に回転可能な状態にしても良い。
【0029】
巻取ロール5は、シートSを第2メインロール36から回収するものである。具体的には、巻取ロール5は、回転軸51を備え、回転モータ52に接続されている。回転軸51は、長尺のシートSをロール状に巻き付けておくための円筒軸である。回転モータ52は、第2メインロール36の回転に同期させて回転軸51を矢印53の方向に回転させるものである。或いは、回転軸51と回転モータ52との間にパウダークラッチ(図示せず)を備え、回転モータ52を矢印53の方向により速く回転させつつ、パウダークラッチの伝達トルクを調節することにより、シートSに所定の張力を付与しつつ、回転軸51を矢印53の方向に回転可能な状態にしても良い。
【0030】
そのため、巻出ロール4は、回転軸41に巻き付けられた長尺のシートSを、第1メインロール31の回転に応じて矢印43,Svの方向に巻き出し、供給することができる。一方、巻取ロール5は、薄膜形成が済んだシートSを、第2メインロール36の回転に応じて矢印53,Svの方向に巻き取り、回転軸51に巻き付けて回収することができる。
【0031】
第1サブチャンバ6は、巻出ロール4を収容するもので、メインチャンバ10と互いに連通する開口部61を有している。さらに、開口部61には、ゲート開閉部62が備えられている。第1サブチャンバ6は、排気ポート、圧力切替バルブを介して真空ポンプ(いずれも図示せず)に接続されている。
【0032】
開口部61のゲート開閉部は、第1サブチャンバ6内が大気開放状態にある場合は閉状態(破線で示す位置)となっており、第1サブチャンバ6内が減圧状態にあれば、開放状態(図示する位置)に切り替えられる。そして、第1サブチャンバ6内を大気開放状態にするときは、予め開口部61のゲート開閉部が閉状態に切り替えられる。そのため、第1サブチャンバ6内が減圧状態或いは大気開放状態にあっても、メインチャンバ10内の圧力が、常に減圧状態に維持できるようになっている。
【0033】
また、第1サブチャンバ6には、巻出ロール4を交換するための開閉扉部(図示せず)が備えられている。このため、第1サブチャンバ6は、薄膜形成を行う際に内部をメインチャンバー10と同じく減圧状態にし、薄膜形成が終わればゲート開閉部62を閉状態にして、メインチャンバー10の減圧状態を維持しつつ、巻出ロール4を交換するために内部を大気開放状態に切り替え、巻出ロール4の交換が終われば再び内部を減圧状態に切り替えることができる。
【0034】
上述と同様に、第2サブチャンバ7は、巻取ロール5を収容するもので、メインチャンバ10と互いに連通する開口部71を有している。さらに、開口部71には、ゲート開閉部72が備えられている。第2サブチャンバ7は、排気ポート、圧力切替バルブを介して真空ポンプ(いずれも図示せず)に接続されている。
【0035】
開口部71のゲート開閉部は、第2サブチャンバ7内が大気開放状態にある場合は閉状態(破線で示す位置)となっており、第2サブチャンバ7内が減圧状態にあれば、開放状態(図示する位置)に切り替えられる。そして、第2サブチャンバ7内を大気開放状態にするときは、予め開口部71のゲート開閉部が閉状態に切り替えられる。そのため、第2サブチャンバ7内が減圧状態或いは大気開放状態にあっても、メインチャンバ10内の圧力が、常に減圧状態に維持できるようになっている。
【0036】
また、第2サブチャンバ7には、巻取ロール5を交換するための開閉扉部(図示せず)が備えられている。このため、第2サブチャンバ7は、薄膜形成を行う際に内部をメインチャンバー10と同じく減圧状態にし、薄膜形成が終わればゲート開閉部72を閉状態にして、メインチャンバー10の減圧状態を維持しつつ、巻取ロール5を交換するために内部を大気開放状態に切り替え、巻取ロール5の交換が終われば再び内部を減圧状態に切り替えることができる。
【0037】
[別の形態]
図2は、本発明を具現化する形態の別の一例を示す断面図であり、薄膜形成装置1bの概略を示している。
本発明に係る薄膜形成装置1bは、上述した薄膜形成装置1と基本構成を共通にしつつ、、搬送部3は、第1メインロール31と第2メインロール36との間に、揺動ロールR3を備えた構成としている。このとき、シートSは、符号S’で示す位置に架け渡される。そして、揺動ロールR3は、シートSの厚み方向(図2のレイアウトであればY方向やZ方向)に揺動できるような構成をしている。
【0038】
また、第1メインロール31と第2メインロール36との間には、破線S’で示すシートSに加わる張力を検知する手段を備え、シートSに加わる張力が一定になるように、サブロールR2の位置を調節する。そうすることで、第1メインロール31と第2メインロール36の回転速度差やシートSの伸縮により生じる、シートSの張力むらを軽減させることができる。
【0039】
揺動ロールR3は、第1メインロール31の外周面31fと第2メインロール36の外周面36fより外側であって、第1メインロール31の外周面31fと第2メインロール36の外周面36fに共通する外接平面TF1,TF2よりも内側(つまり、図中の網掛けで示す領域RE)に配置する。さらに、揺動ロールR3は、その可動範囲において、摺動ロールR3及びシートSが、他の部材(例えば、成膜チャンバ20,25や、第1メインロール31、第2メインロール36等)と干渉しない位置に配置される。
【0040】
そうすることで、揺動ロールR3を配置した場合であっても、第1メインロール31と第2メインロール36との間のシートSの搬送距離を短くすることができ、本発明の作用効果を奏することができる。なお、揺動ロールR3は、第1メインロール31と第2メインロール36の近傍に配置されることが、より好ましい。
【0041】
薄膜形成装置1は、このような構成をしているので、シートSの表面s1と裏面s2(つまり、両面)に高品質な成膜を行うとともに、装置内のシート搬送経路を短くして材料ロスを削減することができる。
【0042】
[具体的な薄膜形成方式]
本発明は、図3に示すような、薄膜形成部2がプラズマCVD方式の薄膜形成装置1bに適用することが好ましい。
図3は、本発明を具現化する形態のさらに別の一例を示す断面図であり、プラズマCVD方式の薄膜形成装置1cの概略を示している。
以下、プラズマCVD方式による薄膜形成部2について、詳細を述べる。
【0043】
第1薄膜形成部2Aは、具体的には、2組みの成膜チャンバ20(20a,20b)、原料ガス導入部21(21a,21b)、高周波発生部22(22a,22b)、メッシュ材23(23a,23b)、反応ガス導入部24(24a,24b)を備えている。また、成膜チャンバ20(20a,20b)は、メッシュ材23(22a,23b)にて、プラズマ発生室201(201a,201b)と、成膜室202(202a,202b)とに区分けされている。
【0044】
第1薄膜形成部2Aでは、成膜チャンバ20内に、原料ガス導入部21から原料ガスを導入し、高周波発生部22に高周波の電気エネルギーを印加する。メッシュ材23(23a,23b)は、格子状、網状、孔空き板材などからの材料であり、流体を通過させることができる。メッシュ材23は、金属若しくは非金属材料の表面に導電加工を施した、導電性を有する材料である。そのため、プラズマ発生室201内でイオン化された流体は、メッシュ材23を通過せず、メッシュ材23の表面に堆積し、電気的に中性なラジカル基がメッシュ材を通過して成膜室202に流入する。成膜室202に流入したラジカル基は、反応ガス導入部24から導入した反応ガスと反応させる。そうすることで、シートSの表面s1に、所望の薄膜を形成することができる。
【0045】
同様に、第2薄膜形成部2Bは、2組みの成膜チャンバ25(25a,25b)、原料ガス導入部26(26a,26b)、高周波発生部27(27a,27b)、メッシュ材28(28a,28b)、反応ガス導入部29(29a,29b)を備えている。また、成膜チャンバ25(25a,25b)は、メッシュ材28(28a,28b)にて、プラズマ発生室251(251a,251b)と、成膜室252(252a,252b)とに区分けされている。
【0046】
第2薄膜形成部2Bでは、成膜チャンバ25内に、原料ガス導入部26から原料ガスを導入し、高周波発生部27に高周波の電気エネルギーを印加する。メッシュ材28(28a,28b)は、格子状、網状、孔空き板材などからの材料であり、流体を通過させることができる。メッシュ材28は、金属若しくは非金属材料の表面に導電加工を施した、導電性を有する材料である。そのため、プラズマ発生室251内でイオン化された流体は、メッシュ材28を通過せず、メッシュ材28の表面に堆積し、電気的に中性なラジカル基がメッシュ材を通過して成膜室252に流入する。成膜室252に流入したラジカル基は、反応ガス導入部29から導入した反応ガスと反応させる。そうすることで、シートSの裏面s2に所望の薄膜を形成することができる。
【0047】
このようなプラズマCVD方式の薄膜形成装置1bにおいて、メッシュ材23,28には、メッシュ材を通過しない堆積物が付着している。この堆積物は、外部振動などにより剥がれ、下方に落下することがある。そのため、薄膜形成部2が、シートSよりも重力上方に位置していると、シートS上に剥がれた堆積物が落下し、高品質な成膜ができない。しかし、本発明を適用させれば、薄膜形成部2がシートSよりも重力下方若しくは側方に位置しているため、堆積物がシートSに落下することを防ぐことができ、高品質な成膜を行うことができる。
【0048】
なお、上述では成膜チャンバ20等が2組みである形態について説明したが、本発明を適用する上では、1組みであっても良いし、3つ以上の複数組みであっても良い。また、揺動ロールR3は、必要に応じて配置し、例えば図中の破線で示す様な位置に配置することができる。なお、揺動ロールR3を配置した場合、シートSは、上述の説明と同様に破線S’で示す位置に架け渡される。
【0049】
[具体的なレイアウト1]
本発明に係る薄膜形成装置1cは、図3に示すように、以下の形態とすることが好ましい。つまり、第1メインロール31は、第2メインロール36より高い位置で平行に配置されており、巻出ロール4は、第1メインロール31の側方であって、第2メインロール36よりも上方に配置されており、巻取ロール5は、第2メインロール36の側方であって、第1メインロール31よりも下方に配置されている。
【0050】
本発明に係る薄膜形成装置1は、このような構成をしているため、巻出ロール4と第1メインロール31の間の距離と、第1メインロール31と第2メインロール36の間の距離と、第2メインロール36と巻取ロール5の間の距離を、それぞれ最短に設定することができる。そのため、装置内のシート搬送経路を短くして材料ロスを削減することができる。
【0051】
[具体的なレイアウト2]
本発明に係る薄膜形成装置1dは、上述した薄膜形成装置1cと基本構成を共通にしつつ、細部が相違する構成としても良い。
図4は、本発明を具現化する形態の別の一例を示す断面図である。
薄膜形成装置1dは、薄膜形成部2と、搬送部3と、巻出ロール4と、巻取ロール5と、第1サブチャンバ6と、第2サブチャンバ7と、メインチャンバ10とを備えている。メインチャンバ10は、薄膜形成部2と搬送部3とを収容しており、減圧調節弁を介して真空ポンプと接続されている。つまり、薄膜形成装置1cの各部2〜7,10の基本構成は、薄膜形成装置1cと同様である。
【0052】
一方、薄膜形成装置1dは、第1メインロール31,第2メインロール36,巻出ロール4,巻取ロール5,第1サブチャンバ6,第2サブチャンバ7の配置と、シートSの搬送方向Sv等、細部については相違する構成となっている。
【0053】
つまり、第2メインロール36は、第1メインロール31より高い位置で平行に配置されており、巻出ロール4は、第1メインロール31の側方であって、第2メインロール36よりも下方に配置されており、巻取ロール5は、第2メインロール36の側方であって、第1メインロール31よりも上方に配置されている。
【0054】
本発明に係る薄膜形成装置1dは、このような構成をしているため、薄膜形成装置1cと同様に、高品質な成膜を行うとともに、装置内のシート搬送経路を短くして材料ロスを削減することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 薄膜形成装置
1b 薄膜形成装置
1c 薄膜形成装置
1d 薄膜形成装置
2 薄膜形成部
2A 第1薄膜形成部
2B 第2薄膜形成部
3 搬送部
4 巻出ロール
5 巻取ロール
6 第1サブチャンバ(巻出側)
7 第2サブチャンバ(巻取側)
10 メインチャンバ
20 成膜チャンバ
21 原料ガス導入部
22 高周波発生部
23 メッシュ材
24 反応ガス導入部
201 プラズマ発生室
202 成膜室
25 成膜チャンバ
26 原料ガス導入部
27 高周波発生部
28 メッシュ材
29 反応ガス導入部
251 プラズマ発生室
252 成膜室
31 第1メインロール
31f 外周面
31v 矢印(回転方向)
32 回転軸
33 駆動モータ
34 冷却区間
36 第2メインロール
36f 外周面
36v 矢印(回転方向)
37 回転軸
38 駆動モータ
39 冷却区間
41 回転軸
42 回転モータ
43 矢印
51 回転軸
52 回転モータ
53 矢印
61 開口部
62 ゲート開閉部
71 開口部
72 ゲート開閉部
S シート(帯状基材,長尺のフィルムシート)
s1 シートSの表面
s2 シートSの裏面
Sv 矢印(シート搬送方向)
R1 サブロール
R2 サブロール
R3 揺動ロール
TF1 外接平面
TF2 外接平面
RE 領域
図1
図2
図3
図4