(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、椅子の脚の下面と床面との間に配置される防音具が知られている。この種の防音具の例としては、例えば特許文献1(特開2001−286361号公報)の
図1および
図2に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1の
図1および
図2に記載された防音具では、椅子の脚の下面と床面との間に弾性体が配置される。そのため、特許文献1の
図1および
図2に記載された防音具では、椅子が引き摺られる時に発生する椅子の脚のびびり音を低減することができる。
【0004】
ところで、特許文献1の
図1および
図2に記載された防音具では、椅子が引き摺られる時のみならず、椅子の使用時にも、椅子の脚の下面と床面との間に弾性体が介在する。そのため、特許文献1の
図1および
図2に記載された防音具では、椅子の使用時における椅子の座り心地が不安定になってしまう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の防音具の第1の実施形態について説明する。
図1は第1の実施形態の防音具100を示した図である。詳細には、
図1は第1の実施形態の防音具100の鉛直断面図である。
図2は第1の実施形態の防音具100を構成する部品の単品図である。詳細には、
図2(A)は
図1に示す第1の実施形態の防音具100の一部を構成する、釘100dがインサートされた上側部材100bの鉛直断面図である。
図2(B)は
図1に示す第1の実施形態の防音具100の一部を構成する圧縮コイルばね100aの正面図である。
図2(C)は
図1に示す第1の実施形態の防音具100の一部を構成する下側部材100cの鉛直断面図である。
【0013】
図3は椅子の使用時における第1の実施形態の防音具100と椅子の脚200と床面との関係などを示した図である。詳細には、
図3(A)は椅子の使用時における第1の実施形態の防音具100と椅子の脚200と床面との関係を示した図である。
図3(B)は椅子が引き摺られる時における第1の実施形態の防音具100と椅子の脚200と床面との関係を示した図である。
【0014】
第1の実施形態の防音具100は、
図3に示すように、椅子の脚200の下面と床面との間に配置される。
【0015】
詳細には、第1の実施形態の防音具100では、
図1および
図2に示すように、圧縮コイルばね100aと、圧縮コイルばね100aの上側に配置される上側部材100bと、圧縮コイルばね100aの下側に配置される下側部材100cとが設けられている。また、例えばナイロン、ポリエチレン、ポリウレタン、ABSなどの樹脂材料のような、圧縮コイルばね100aより変形しづらい材料によって、上側部材100bが形成されている。更に、例えばナイロン、ポリエチレン、ポリウレタン、ABS、フッ素樹脂、軟質塩化ビニルなどの樹脂材料のような、圧縮コイルばね100aより変形しづらい材料によって下側部材100cが形成されている。
【0016】
また、第1の実施形態の防音具100では、
図3に示すように、上側部材100bにインサートされた釘100dによって、上側部材100bと椅子の脚200とが接続されている。つまり、第1の実施形態の防音具100では、
図3に示すように、上側部材100bの上面100b4(
図2(A)参照)と椅子の脚200の下面とが、直接接触している。すなわち、第1の実施形態の防音具100では、上側部材100bが椅子の脚200の下面に対して直接的に接続されている。
【0017】
更に、第1の実施形態の防音具100では、
図2(A)に示すように、圧縮コイルばね100a(
図2(B)参照)の上端部100a1(
図2(B)参照)に当接するばね座部100b1と、圧縮コイルばね100a(
図2(B)参照)の外周面に対向する壁部100b2と、壁部100b2の外側に位置する外周部100b3とが、上側部材100bに形成されている。また、上側部材100bの壁部100b2の下端部にフック部100b2bが形成されている。
【0018】
第1の実施形態の防音具100では、
図2(A)に示すように、上側部材100bの壁部100b2の下端部のフック部100b2bが、例えば周方向に90°間隔で4箇所に設けられているが、第2の実施形態の防音具100では、代わりに、上側部材100bの壁部100b2の下端部のフック部100b2bを、複数(4を除く、2以上の任意の数)箇所に設けることも可能である。
【0019】
更に、第1の実施形態の防音具100では、
図2(C)に示すように、床面(
図3参照)に当接する底部100c1と、上側部材100b(
図2(A)参照)の外周部100b3(
図2(A)参照)に対向する壁部100c2とが、下側部材100cに形成されている。また、圧縮コイルばね100a(
図2(B)参照)が延びた時に上側部材100b(
図2(A)参照)の壁部100b2(
図2(A)参照)のフック部100b2b(
図2(A)参照)に係止するフック部100c2bが、下側部材100cの壁部100c2の上端部に形成されている。
【0020】
第1の実施形態の防音具100の製造時には、
図1に示すように、上側部材100bのばね座部100b1(
図2(A)参照)と圧縮コイルばね100aの上端部100a1(
図2(B)参照)とが対向せしめられ、下側部材100cのばね座部100c1b1(
図2(C)参照)と圧縮コイルばね100aの下端部100a2(
図2(B)参照)とが対向せしめられ、上側部材100bのフック部100b2b(
図2(A)参照)が下側部材100cのフック部100c2b(
図2(C)参照)を乗り越えるように、上側部材100bが下側部材100cに対して押し下げられ、上側部材100bと下側部材100cとがスナップフィットによって結合される。
【0021】
このように製造された第1の実施形態の防音具100が椅子の脚200(
図3参照)の下面に取り付けられておらず、椅子の重さ相当の荷重が圧縮コイルばね100a(
図2(B)参照)にかかっていない時には、
図1に示すように、圧縮コイルばね100aが延びており、上側部材100b(
図2(A)参照)の壁部100b2(
図2(A)参照)の下端部のフック部100b2b(
図2(A)参照)の上面100b2b1(
図2(A)参照)と、下側部材100c(
図2(C)参照)の壁部100c2(
図2(C)参照)の上端部のフック部100c2b(
図2(C)参照)の下面100c2b1(
図2(C)参照)とが当接している。
【0022】
第1の実施形態の防音具100が椅子の脚200(
図3参照)の下面に取り付けられ、椅子が使用される時、つまり、椅子の使用者の体重および椅子の重さ相当の荷重が圧縮コイルばね100a(
図2(B)参照)にかかった時には、
図3(A)に示すように、圧縮コイルばね100aが押し潰されて、上側部材100b(
図2(A)参照)の下面100b2a,100b3a(
図2(A)参照)と、下側部材100c(
図2(C)参照)の上面100c1b,100c2a(
図2(C)参照)とが当接する。
【0023】
つまり、第1の実施形態の防音具100では、
図3(A)に示すように、椅子の使用時に、圧縮コイルばね100aより変形しづらい材料によって形成された上側部材100bの下面100b2a,100b3a(
図2(A)参照)と、圧縮コイルばね100aより変形しづらい材料によって形成された下側部材100cの上面100c1b,100c2a(
図2(C)参照)とが当接する。
【0024】
すなわち、第1の実施形態の防音具100では、
図3(A)に示すように、椅子の使用時に、変形しづらい材料によって形成された上側部材100bの下面100b2a,100b3a(
図2(A)参照)と、変形しづらい材料によって形成された下側部材100cの上面100c1b,100c2a(
図2(C)参照)とが当接する。
【0025】
換言すれば、第1の実施形態の防音具100では、
図3(A)に示すように、椅子の使用時に、変形しやすい材料によって形成された圧縮コイルばね100aが、椅子の脚200の下面と床面との間に実質的に介在しない。
【0026】
そのため、第1の実施形態の防音具100によれば、変形しやすい材料によって形成された部材が椅子の脚200の下面と床面との間に介在する場合よりも、椅子の座り心地を安定させることができる。
【0027】
一方、椅子が引き摺られる時には、圧縮コイルばね100a(
図2(B)参照)にかかる椅子の使用者の荷重が減少し、
図3(B)に示すように、圧縮コイルばね100aが延びて、上側部材100bの下面100b2a,100b3a(
図2(A)参照)と、下側部材100cの上面100c1b,100c2a(
図2(C)参照)とが離間する。
【0028】
つまり、第1の実施形態の防音具100では、
図3(B)に示すように椅子が引き摺られる時に、床面と下側部材100cとの擦れに伴う下側部材100cの振動が、圧縮コイルばね100aによって遮られ、上側部材100bおよび椅子の脚200に殆ど伝わらない。
【0029】
そのため、第1の実施形態の防音具100によれば、椅子が引き摺られる時に発生する椅子の脚200のびびり音を低減することができる。
【0030】
換言すれば、第1の実施形態の防音具100によれば、椅子が引き摺られる時に発生する椅子の脚200のびびり音を低減しつつ、椅子の座り心地を安定させることができる。
【0031】
詳細には、第1の実施形態の防音具100では、椅子が引き摺られる時に、
図3(B)に示すように、圧縮コイルばね100aが延びて、上側部材100bの壁部100b2(
図2(A)参照)の下面100b2aと、下側部材100cの底部100c1(
図2(C)参照)の上面100c1b(
図2(C)参照)とが離間すると共に、上側部材100bの外周部100b3(
図2(A)参照)の下面100b3aと、下側部材100cの壁部100c2(
図2(C)参照)の上面100c2aとが離間する。
【0032】
一方、第1の実施形態の防音具100では、椅子の使用時に、
図3(A)に示すように、圧縮コイルばね100aが押し潰されて、上側部材100bの壁部100b2(
図2(A)参照)の下面100b2a(
図2(A)参照)と、下側部材100cの底部100c1(
図2(C)参照)の上面100c1b(
図2(C)参照)とが当接すると共に、上側部材100bの外周部100b3(
図2(A)参照)の下面100b3a(
図2(A)参照)と、下側部材100cの壁部100c2(
図2(C)参照)の上面100c2a(
図2(C)参照)とが当接する。
【0033】
そのため、第1の実施形態の防音具100によれば、椅子の使用時に上側部材100bの壁部100b2の下面100b2aと、下側部材100cの底部100c1の上面100c1bとが当接するものの、上側部材100bの外周部100b3の下面100b3aと、下側部材100cの壁部100c2の上面100c2aとが当接しない場合や、椅子の使用時に上側部材100bの外周部100b3の下面100b3aと、下側部材100cの壁部100c2の上面100c2aとが当接するものの、上側部材100bの壁部100b2の下面100b2aと、下側部材100cの底部100c1の上面100c1bとが当接しない場合よりも、椅子の座り心地の安定性を向上させることができ
る。
【0034】
第1の実施形態の防音具100では、
図3に示すように、釘100dによって上側部材100bと椅子の脚200の下面とが接続されているが、第
3の実施形態の防音具100では、例えば接着、ねじ止めなどのような釘100d以外の任意の手段によって、上側部材100bと椅子の脚200の下面とを接続することも可能である。
【0035】
図4は第
4の実施形態の防音具100を示した図である。詳細には、
図4は第
4の実施形態の防音具100の鉛直断面図である。第1の実施形態の防音具100では、
図1に示すように、釘100dが上側部材100bにインサートされているが
、図4に示すように、釘100dが中間部材100eにインサートされ、例えばスナップフィット、接着等によって、中間部材100eが上側部材100bに接続され
た構成にしてもよい。すなわち、第
4の実施形態の防音具100では、上側部材100b(
図4参照)が椅子の脚200(
図3参照)の下面に対して間接的に接続されている。
【0036】
第
5の実施形態では、上述した第1から第
4の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。