【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、
発明の詳細な説明及び図面に記載された発明は以下の構成を備える。
【0016】
(1) イオン化傾向の異なる少なくとも2種類の材料の部材と、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材とを具備した生体電池治療具であって、
前記イオン化傾向の異なる材料の部材のうち、イオン化傾向が相対的に大きな第1部材とイオン化傾向が相対的に小さな第2部材とは、前記導電性を有し電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材を介在して配置されており、かつ、
前記第1部材と第2部材とがそれぞれ皮膚に接触した時に、前記第1部材と第2部材との間で皮膚を通して電流が流れるように、前記第1部材、第2部材及び導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材が配置されている、
生体電池治療具。
【0017】
(2) (1)生体電池治療具において、
前記第1部材と前記第2部材の一方は板状をなし、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材は、一部を残して、前記板状をなす部材の表面に被覆形成され、前記第1部材と第2部材の他方は、前記板状をなす一方の部材の表面に被覆形成された導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材の表面に分散して配置されており、
前記他方の部材を皮膚側に配置して、前記他方の部材及び前記一方の部材のうち前記導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材で被覆されていない部分を皮膚に接触させることにより、前記他方の部材と前記一方の部材との間で皮膚を通して、電流が流れるように配置されている、
生体電池治療具。
【0018】
(3) (2)生体電池治療具において、
前記板状の部材の表面に被覆形成された導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材中に、
イオン化傾向が第1部材と第2部材との間にある第3部材が分散して含有されている、
生体電池治療具。
【0019】
(4) (1)生体電池治療具において、
前記第1部材、前記第2部材及び導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材は、それぞれ粒状をなし、各部材がそれぞれ複数個分散してバインダ内に配置されており、
バインダ内の前記第1部材及び前記第2部材を皮膚に接触させることにより、前記第1部材と第2部材との間で皮膚を通して、電流が流れるように配置されている、
生体電池治療具。
【0020】
(5) (4)の生体電池治療具において、
前記バインダ内に、イオン化傾向が第1部材と第2部材との間にある第3部材が分散して含有されている、
生体電池治療具。
【0021】
(6) 前記バインダは基材に貼り付けられている(4)又は(5)に記載の生体電池治療具。
【0022】
(7) (1)生体電池治療具において、
基材上に、前記第1部材と前記第2部材とが互いに離間して配置され、
互いに離間して配置された第1部材と第2部材との間に、前記導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材が配置されており、
前記第1部材と前記第2部材とを皮膚に接触させることにより、第1部材と前記第2部材との間で皮膚を通して、電流が流れるように配置されている、
生体電池治療具。
【0023】
(8) (7)の生体電池治療具において、
互いに離間して配置された第1部材と第2部材との間に、イオン化傾向が第1部材と第2部材との間にある第3部材が分散して含有されている、
生体電池治療具。
【0024】
(9) 第1基材に第2基材を貼り付けてなり、イオン化傾向の異なる少なくとも2種類の材料の部材と、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材とを具備した生体電池治療具であって、
第1基材には、互いに離間して、イオン化傾向が第2部材に対して相対的に大きな第1部材と、イオン化傾向が第1部材に対して相対的に小さな第2部材とが配置され、かつ、第1部材と第2部材との間に導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材が配置され、
第2基材は、イオン化傾向が第2部材に対して相対的に大きな第1部材と、イオン化傾向が第1部材に対して相対的に小さな第2部材と、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材が配置され、少なくとも第1部材及び第2部材の配置領域以外の箇所において、第1基材に被覆されており、
前記第2基材と、前記第1部材及び第2部材とをそれぞれ皮膚に接触させることにより、少なくとも、前記第1部材と第2部材との間で皮膚を通して、電流が流れるように配置されている、
生体電池治療具。
【0025】
(10) (9)生体電池治療具において、
前記第1基材には、互いに離間して配置された第1部材と第2部材との間に、前記導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材とともに、イオン化傾向が第1部材と第2部材との間にある第3部材が分散して含有されている、
生体電池治療具。
【0026】
上記(1)〜(10)の生体電池治療具は、上述した「発明が解決しようとする課題」を解決することができるのみならず、以下の課題を解決することができる。すなわち、本発明者は、生体電池治療具の皮接面に、微小な段差や隙間や空隙があると、それが触っても判らないようなものであったとしても、長時間接していると、そこに皮膚が入り込み、挟まれることで毛細血管が圧迫されて血流が止まり壊死する事を解明した。上記(1)〜(10)の生体電池治療具は、皮膚に接する表面を段差や空隙のない平滑な構造とすることができるので、生体電池貼付による皮膚の損傷を防止することができるという顕著な効果を発揮することができる。
【0027】
(11) イオン化傾向の異なる少なくとも2種類の材料の部材と、導電性を有し且つ電
池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材とを具備した生体電池治療具であって、
孔を形成した台座の少なくとの一方の表面に、イオン化傾向が第2部材に対して相対的に大きな第1部材と、イオン化傾向が第1部材に対して相対的に小さな第2部材と、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材が配置され、
前記イオン化傾向の異なる材料の部材のうち、イオン化傾向が相対的に大きな第1部材とイオン化傾向が相対的に小さな第2部材とは、前記導電性を有し且つイオン化傾向を有しない材料からなる部材を介在して配置されており、かつ、
前記第1部材と第2部材とがそれぞれ皮膚に接触した時に、前記第1部材と第2部材との間で皮膚を通して電流が流れるように、前記第1部材、第2部材及び導電性を有し且つ
電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない、イオン化傾向を有しな
い部材が配置されている、
生体電池治療具。
【0028】
(12) イオン化傾向の異なる少なくとも2種類の材料の部材と、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材とを具備した生体電池治療具であって、
孔を形成した第1台座と、この台座に被せられる第1被覆部材とを具備し、この第1被覆部材の表面に、イオン化傾向が第2部材に対して相対的に大きな第1部材を配置し、孔を形成した第2台座と、この台座に被せられる第2被覆部材とを具備し、この第2被覆部材の表面に、イオン化傾向が第1部材に対して相対的に小さな第2部材とを配置し、かつ、
第1台座の孔と第2台座の孔を通して、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材を第1台座及び第2台座にそれぞれ取り付けて、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材を、第1部材と第2部材とに接続させて成り、
前記第1部材と第2部材とがそれぞれ皮膚に接触した時に、前記第1部材と第2部材との間で皮膚を通して電流が流れるようにした、
生体電池治療具。
【0029】
上記(11)及び(12)の生体治療具も、上記(1)〜(10)の生体電池治療具と同様に、上述した「発明が解決しようとする課題」を解決するのみならず、皮膚に接する表面を段差や空隙のない平滑な構造とすることができるので、
生体電池貼付による皮膚の損傷を防止することができる。
【0030】
(13) イオン化傾向の異なる少なくとも2種類の材料の部材と、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材とを具備した連鎖型の生体電池治療具であって、
各鎖は、それぞれ複数個、任意に間隔をおいて配置され、各鎖の少なくとも表面は、前記イオン化傾向の異なる少なくとも2種類の材料の部材のいずれかで形成され、
各鎖間は、前記導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材で形成され、
当該部材の各鎖と連結接触する部分は外部に露出していない、
生体電池治療具。
【0031】
(14) 皮膚に接する振動子部と手で持つ把持部とを備え、イオン化傾向の異なる少なくとも2種類の材料の部材と、導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材とを具備した生体電池治療具であって、
前記振動子部をイオン化傾向が相対的に低い材料の部材と導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材とで構成し、前記把持部をイオン化傾向が相対的に高い材料で形成してなる、生体電池治療具。
【0032】
上記(13)及び(14)の生体電池治療具は、複数のN型半導体(陰極)と貴金属(陽極)の組み合わせにおいて、陰極の数を多くした(又は陽極の数を多くした)、いわゆる連鎖型生体電池の発明である。N型半導体(陰極)と貴金属(陽極)の組み合わせにおいて、その数の比率は陰極数が多い方が遥かに電池の構成数(回線数)が多いのである。理由は不安定状態のN型半導体(陰極)と安定金属である貴金属(陽極)では陰極リッチな状況の方が全体として起電数が多いのであり、陽極は適切な場所に配置して電流の回線数(電束)を集中してコリなどの要因となる筋肉などの部位に刺激を加えた方が効率的である。
【0033】
しかし、酸化亜鉛(ZnO)や酸化チタンは導電性において難があるため、接触抵抗の塊である鎖状の連鎖型生体電池においてはその数を増やす事は電気特性上も容易ではない。
【0034】
上記(13)及び(14)の生体電池治療具は、陰極リッチであることと接触抵抗を低減するということの相反する特性を満たす発明である。このことを下位概念で具体的に説明する。
【0035】
(1)高価で加工の難しいチタンを、導電性が高く比較的安価な加工が容易な鋼合金でジョイントして少しでも接触抵抗を軽減させて、適切な場所に金・銀等の貴金属を連結もしくは塗布などの適切な方法で施工し、連鎖型生体電池とする。
【0036】
(2)クサリ全体を導電性の高い金(Au)や銀(Ag)あるいは銅合金等で作成したもの、あるいは銅合金等で作成し更に導電率の高い金(Au)や銀(Ag)で表面を被覆あるいはメッキ等で処理することで導電性が向上するだけでなく見た目も美しく価値が上がる効果が被覆銅合金による鎖が構成される。
【0037】
この銅合金もしくは被覆鋼合金鎖を、導電性のある酸化亜鉛もしくはチタンを例えばイオンプレーティングで覆い全体としてN型半導体の鎖をいったん作成して、さらに適切な場所にN型半導体被膜の上から、金・銀等の貴金属を被せるように接続させて、もしくは貴金属を印刷その他適切な方法で塗布して連鎖型生体電池とする。酸化チタンは亜鉛と違い安定した酸化チタン膜(N型半導体)による連鎖型生体電池が出来る。チタンを例えばイオンプレーティングさせた場合、その表面はチタン色となり、せっかく下地が金や銀であっても、その美しさは失われてしまう。しかし、導電性酸化亜鉛(ZnO)をイオンプレーティングさせた場合は、被膜はほぼ透明で下地の美しさを活かせるメリットがある。
【0038】
(3)あるいは、この銅合金もしくは被覆銅合金鎖自体が陽極特性を持っているため、導電性のある酸化亜鉛もしくはチタンを例えばイオンプレーティングで覆う以前に、適切な方法で必要な部分にマスキングを施してからイオンプレーティングすることで、マスキングされた部分が陽極となる連鎖型生体電池が作成できる。
【0039】
以上の手段を適用することにより、陰極リッチであることと接触抵抗を低減するということの相反する特性を同時に得ることが可能となる。
【0040】
当然ながら、イオンプレーティングに限らず適当な方法で行えば良い。逆の手法を講じれば、陽極リッチな連鎖型生体電池を得ることができる。
【0041】
また、上記(13)の連鎖型生体電池治療具は、量産が可能となる工業生産上の利点がある。すなわち、本発明者は、一般的に想定される連鎖型生体電池の構造では以下のような製造上の問題点があることに気付いた。
【0042】
一般的に想定される連鎖型生体電池は、互いに連鎖する鎖相互の連結接触部分が外部に露出しているものである。この連結接触部は高導電性を保つために、その材質が陰極材質ではなく、導電性が高い銀・金・銅およびそれらの合金が好適である。
【0043】
しかし、このような一般的に想定される連鎖型生体電池は、湿式鍍金、乾式鍍金の何れを適用しても、連結接触部の高導電性を保ちつつ、陰極を加工することは困難であり、全く量産には不適である。
【0044】
また、連鎖型生体電池においては、電気が流れる鎖の本体(芯材)が良導電性物質であることは当然ながら必要である。
【0045】
そこで本発明者らは、上記の問題点を解決するために、連結接触部が露出していない鎖、例えばボールチェーンを作成し、これを連鎖型生体電池の基材とすることを提案する。この鎖の連結接触部はボール状の部材で覆われており、露出していない形状である(例えば
図13(b)、符号84a参照)。このようなボールチェーンを基材として適用した連鎖型生体電池は、一例として以下の工程により製造される。
【0046】
まず、導電性を良くするためにチェーン自体を導電性が高い銀・金・銅およびそれらの合金、又はこれらと同等の導電性を有する材料で作成する。もしくは安価な材料で作成した鎖を導電性が高い銀・金・銅およびそれらの合金等で表面処理する。この場合の表面処理の方法としては湿式鍍金で行うことで連結接触部までが電解液に浸かり鍍金されるため好適である。
【0047】
次に、表面処理により陰極材料を被覆形成する。この表面処理は、乾式鍍金で行うのが好適であり、乾式鍍金の中でも特にスパッタリング法、イオンプレーティング法を用いるのが好適である。
【0048】
第1に、イオンプレーティング法は蒸発粒子をプラズマ中に通過させることでプラスの電荷を帯びさせ、基材にマイナスの電荷を印加して蒸発粒子を引き付けて堆積させ膜を作成する方法である。蒸発粒子は直進性が非常に強いため、影の部分に入り込めない。従って、連結接触部が露出していない構造の鎖(例えば、ボールチェーン)を基材に使うことで連結接触部は良導電性のままで、生体電池として皮膚に触れる外側のみを陰極物質で覆うことができる。スパッタリング法についても、同様のことが言える。
【0049】
第2に、陰極材料として好適であるアルミ等でドープされた『導電性酸化亜鉛』や『チタン』はスパッタリング法、イオンプレーティング法を用いることで有効に乾式鍍金されるからである。なお、生体電池の陽極部分は適切にマスキング処置をすることで陰極材料の付着を防ぐ事が出来る。
【0050】
以上の手法で連結接触部および鎖の芯材は良導電性を保ち皮膚に触れる部分は負極材料(N型半導体)で構成される連鎖型生体電池が簡単に安価で製作する事が出来る。
【0051】
なお、表面処理を湿式鍍金で行った場合、ボールの隙間から電解質液が侵入してボールの内側にある連結接触部が導電性の良くない陰極材料に覆われてしまうので、乾式鍍金に比べて好ましくはない。
【0052】
ここではボールチェーンを例に説明したが、それ以外にも、連結接触部が隠れているような、例えば『ボールジョイント』のような構造、あるいは関節を持つような構造の鎖を開発して使用しても良い。要は、鎖の連結接触部が実質的に外部に露出していない形状の鎖を基材とするものであればどのような形状でもよい。
【0053】
なお、この明細書、特許請求の範囲において、
「イオン化傾向が相対的に大きな部材」(第1部材)とは、本発明で使用される「イオン化傾向が相対的に小さな部材」に対して、それよりもイオン化傾向が大きい部材を意味する。以下の記載では、具体的に、負極(フィラー)、陰極(フィラー)、或はN型半導体と表現することもあるが、これらは、「イオン化傾向が相対的に大きな部材」の範疇に含まれるものである。その材料は特に限定されるものではないが、実用性の高い材料として、特にN型半導体を構成する酸化亜鉛が挙げられる。「酸化亜鉛」は、少なくとも表面が酸化亜鉛である微粒子等を含む。
また、本発明の第1部材は、全体を陰極構成部材で構成したものに限らず、台座(基材)に陰極を構成する材料を被覆したものも包含する。すなわち、台座自体を、例えば無垢の亜鉛やチタンで作り、表面の酸化物例えば酸化亜鉛(ZnO)や酸化チタン(TiO
2)で覆うことによりN型半導体として陰極に使用することはできる。しかし、これは不経済な上、特に亜鉛表面の酸化亜鉛(ZnO)は、その後、炭酸化亜鉛や水酸化亜鉛あるいは塩酸化亜鉛などに変質する不安定な物質であるため陰極として好適とは言えない。
【0054】
そこで、台座(基材)に、イオンプレーティングやスパッタリングを用いて、ドーブされた導電性酸化亜鉛(ZnO)や酸化チタン(TiO
2)を覆うことも可能である。このようにすれば台座(基材)自体を陽極にするのと同様に、安定した陰極を安易かつ安価に作成することができる。しかし、導電性酸化亜鉛(ZnO)や酸化チタン(TiO
2)それ自体が半導体であり、薄膜での陰極形成となるため、生体電池として構成させたときに電気抵抗値が大きいという欠点がある。特に、プラスティック等の非導電性の物質にこれらの酸化物を覆って陰極を形成させるとなおさら電気抵抗が大きい。
【0055】
そこで、アルミニウムや鉄といった安価で且つある程度導電性の高い無垢の金属で台座(基材)を形成し、この台座(基材)の表面にイオンプレーティングやスパッタリングで導電性酸化亜鉛(ZnO)や酸化チタン(TiO
2)を覆うことにより陰極を形成することで、通電時の電気抵抗を飛躍的に下げることが可能である。またプラスティック等の非導電性の物質にこれらの方法で陰極を形成させる場合には、イオンプレーティングやスパッタリングの前に下地処理として良導電性の物質で台座(基材)を覆うことが好適である。例えば、プラスティック製の台座をあらかじめ、例えば銅(Cu)もしくはその合金で下処理することで、半導体である銅で導電性酸化亜鉛(ZnO)や酸化チタン(TiO
2)等によって薄膜での陰極形成した場合でも、電池として通電させた場合良導電性となる。下地処埋の方法はメッキ、蒸着、イオンプレーティングやスパッタリングその他塗装も含めた適切な方法で行えばよい。
【0056】
「イオン化傾向が相対的に小さな部材」(第2部材)とは、本発明で使用される「イオン化傾向が相対的に大きな部材」に対して、それよりもイオン化傾向が小さい部材を意味する。以下の記載では、具体的に、正極(フィラー)、陽極(フィラー)、或は貴金属と表現することもあるが、これらは、「イオン化傾向が相対的に小さな部材」の範疇に含まれるものである。その材料は特に限定されるものではないが、実用性の高い材料として、特に貴金属が挙げられる。「貴金属」は、少なくとも表面領域がメッキなどにより貴金属で覆われているものや陽樹脂などを含む。例えば、銀コート銅粉等はこの発明に係る貴金属である。
【0057】
「導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材」とは、「導電性を有するが、材料自体が生体電池の正極や負極を構成しない材料からなる
、イオン化傾向を有しない部材又はこの材料を含む部材」更には「導電性を有し、材料自体は生体電池の正極や負極を構成しうる材料であるが、実質的に皮膚に接触しないため、生体電池の正極や負極を構成しない
、イオン化傾向を有しない部材」を意味する。「導電性を有するが、材料自体が生体電池の正極や負極を構成しない
、イオン化傾向を有しない部材」は特に限定されるものではないが、実用性の高い材料として、特にカーボンや導電性ポリマー等が挙げられる。カーボンの場合、通常、例えば、カーボン塗料、バインダ、印刷などにより形成される。また、ゲル状の導電性ポリマーを適用すれば、それ自体に接着効果があり、粘着剤、バインダ,フィラー等と組み合わせる必要がなくなる。
【0058】
更に追加すれば、前記「導電性を有し且つ電池の陽極、陰極の何れも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材」とは、その材料(物質)本来に導電性はなくとも、前記第1部材と第2部材とがそれぞれ皮膚に接触した時に、前記第1部材と第2部材との間で皮膚を通して電流が流れるような構造及び/又は加工がなされて、結果的に電池を構成するものであって、電池の電極の陽極及び陰極の何れも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材が配置されているものも含まれる。
【0059】
その一例を挙げれば、先に説明したカーボン以外の物質でも、薄膜構造で、スパッタリングもしくはイオンプレーティング等によって前記第1部材又は第2部材に置換され、結果的に電池を形成する物質、若しくは、発泡体や有孔体であって結果的に前記第1部材若しくは第2部材が含浸若しくは浸透し、結果的に電池を形成する物質でもよく、それ自体が皮膚に触れても陽極、陰極の何れも形成しない物質であればよい。
【0060】
本発明において、「導電性を有し且つ電池の陽極及び陰極のいずれも形成しない
、イオン化傾向を有しない部材」における「導電性を有する」とは、下式で求められる電気抵抗R[Ω]
R=ρ・L/A(R:電気抵抗、L:長さ[m]、A:断面積[m
2])
における電気抵抗率ρ[Ωm]が、好ましくは1Ωm以下、より好ましくは、10
−2Ωm以下、特に好ましくは10
−4Ωm以下が望ましく、特に、金属を含有させれば、この部材を10
−5〜10
−8Ωmとすることもできる。ちなみに、人の皮膚の電気抵抗率ρは、約5.0×10
5Ωmである。
【0061】
イオン化傾向が第1部材と第2部材との間にある第3部材は、生体電池の正極や負極を構成しうる材料を意味し、第1部材が酸化亜鉛、第2部材が金の場合、例えば銀が挙げられる。
「皮膚」とは、広い意味での生体(人体や動物等)の皮膚、粘膜等を意味し、本発明に係る生体電池治療具を取り付けることが可能な箇所を意図している。
「微粒子」とは、本発明に係る生体電池治療具を構成するのに必要な大きさの粒径を有する粒子をいう。
酸化亜鉛微粒子(第1部材)の平均粒径は、BET計で比表面積から算出した値である。
【0062】
銀粉等の貴金属微粒子(第2部材)の平均粒径は、レーザー回折法によって測定したD50の値である。