(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダの各内面には、当該内面を摺動する魚体に対する摩擦抵抗を低減する凹凸面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚体活け締め装置。
前記魚体カッタ部は、前記カッタが魚体を切断する位置に、前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダ、前記頭部ホルダで保持された魚体の上に表示するレーザ光を照射するレーザ光照射装置を備えていることを特徴とする請求項1〜5のうち、何れか1項に記載の魚体活け締め装置。
前記魚体カッタ部は、前記頭部ホルダが魚体の頭部を保持した状態を検知する検知センサと、前記検知センサにて検知した検知信号で前記カッタを作動可能に制御する安全制御装置と、を備えていることを特徴とする請求項1〜6のうち、何れか1項に記載の魚体活け締め装置。
前記魚体カッタ部は、前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダと、前記頭部ホルダとの間で、前記カッタによる魚体の切断位置に対向する位置において、前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダ、前記頭部ホルダで保持された魚体の下面と当接する受け面と、当該受け面において前記カッタの下降端との当接を回避する逃げ溝と、を備えたカッタ用受け台を設けたことを特徴とする請求項1〜7のうち、何れか1項に記載の魚体活け締め装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の特許文献1及び特許文献2に記載された発明は、基本的に魚が生きている状態で固定して活け締めを行なうように構成されており、このため、保持手段や魚体押さえ具及び押圧機構によって、魚体を固定するようになっている。固定された魚体は、電気ショックや空気圧駆動のハンマーによる気絶化手段で気絶させた状態で、魚体の鰓にある鰓弓の箇所を切断する。
しかしながら、魚は気絶化手段で気絶するまでの間、非常に暴れるので、保持手段や魚体押さえ具及び押圧機構にて魚体を固定することは容易ではない。特に、特許文献2記載の発明の場合、魚体押さえ具に電極を形成しているが、魚体の頭部が当て止めに接触しないと通電されないので、魚がテーブル上を移動している間、魚の動きを止めることはできない。
上述のように、いずれの特許文献記載の発明においても、気絶化手段で魚が気絶するまでの間に暴れるので、気絶させた時点で魚体の位置・状態が一定しない。したがって、刃物で魚を瞬殺する作業に時間を要し、確実な脱血作業が難しいという課題があった。
【0007】
また、特許文献2記載の発明は、固定された魚の所定位置に対し、切り込み用の刃物を進退させる切り込み機構を備え、この切り込み機構の移動によって刃物が魚体の鰓弓に位置するように工夫されている。しかし、上述のように気絶した時に、魚の姿勢や頭部の位置が一定せず、様々であるために、確実に魚体の鰓弓を切断することは簡単ではない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、魚体を所定位置に容易に位置決めし、ほぼ確実に魚体の鰓弓を切断して活け締めすることが可能な魚体活け締め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、
平板状のベースプレートを備えた装置本体を構成するベース部と、前記ベース部の上方で、魚体をほぼ水平方向に配置した状態で、魚体の背部と腹部を左右方向から挟み込む
左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダと、
前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダ、前記ベースプレートの間に設置され、これらの左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダを、前記ベースプレートの上方に離れた状態で支持し、且つベースプレート上を左右方向に移動可能とする左側ホルダ移動体並びに右側ホルダ移動体と、前記ベース部の上方で、前記
左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダより前方で魚体の頭部を保持する頭部ホルダと、
前記頭部ホルダ及び前記ベースプレートの間に設置され、該頭部ホルダをベースプレートから上方に離れた状態で支持し、且つ該ベースプレート上を前後方向に移動可能とする頭部ホルダ移動体と、前記
左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダ、前記頭部ホルダによって保持された魚体の鰓弓を切断するべく上下動するカッタを有する魚体カッタ部と、
魚体に電気を通電することで魚体を気絶させる陽極側接触部及び陰極側接触部を有し、該陽極側接触部及び陰極側接触部は、絶縁用手袋の上から少なくとも掌の面に着脱可能に配置されてなる電気麻酔装置と、を具備する魚体活け締め装置であって、
前記陽極側接触部及び前記陰極側接触部のいずれか一方が、前記頭部ホルダの内面に配置されていることを特徴としている。
【0020】
請求項
2記載の発明は、上記1項において、前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダの各内面には、当該内面を摺動する魚体に対する摩擦抵抗を低減する
凹凸面が形成されていることを特徴としている。
【0021】
請求項
3記載の発明は、上記2項において、前記凹凸面は、前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダの前後方向に垂直な断面で波形のライン状であることを特徴としている。
【0022】
請求項
4記載の発明は、上記2項において、前記凹凸面は、前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダの各内面に形成した多数の凹凸からなるイボ状であることを特徴としている。
【0023】
請求項5記載の発明は、
上記1項において、前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダは、前後方向に延伸する複数の線条体を並列した構造体であることを特徴としている。
【0024】
請求項
6記載の発明は、上記1項〜5項のうち、何れか1項において、前記魚体カッタ部は、前記カッタが魚体を切断する位置に、
前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダ、前記頭部ホルダで保持された魚体の上に表示するレーザ光を照射するレーザ光照射装置を備えていることを特徴としている。
【0025】
請求項
7記載の発明は、上記1項〜6項のうち、何れか1項において、前記魚体カッタ部は、前記頭部ホルダが魚体の頭部を保持した状態を検知する検知センサと、前記検知センサにて検知した検知信号で前記カッタを作動可能に制御する安全制御装置と、を備えていることを特徴としている。
【0026】
請求項8記載の発明は、
上記1項〜7項のうち、何れか1項において、前記魚体カッタ部は、
前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダと、前記頭部ホルダとの間で、前記カッタによる魚体の切断位置に対向する位置において、
前記左側魚体ホルダ並びに右側魚体ホルダ、前記頭部ホルダで保持された魚体の下面と当接する受け面と、当該受け面において前記カッタの下降端との当接を回避する逃げ溝と、を備えたカッタ用受け台を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
請求項1記載の発明によれば、魚体ホルダ及び頭部ホルダは、ベース部の上方で魚体を保持するので、魚体に付いた水などの液体や、魚体カッタ部のカッタで魚体の鰓弓を切断して脱血した時の血液は、魚体ホルダ及び頭部ホルダから下方へ落下する。
また、魚体は左側魚体ホルダと右側魚体ホルダにて左右方向から挟まれて保持されるので、魚体を、魚体ホルダを構成する左側魚体ホルダと、右側魚体ホルダとの間へ、スムーズに挿入することが可能であるとともに、逆にスムーズに引き抜くことができる。その結果、魚体の活け締め作業を容易に行うことができる。
【0030】
請求項2記載の発明によれば、魚体ホルダ移動機構を構成する左側ホルダ移動体と右側ホルダ移動体は、左側魚体ホルダと右側魚体ホルダとを、ベースプレートから上方に離れた状態で安定して移動させる効果がある。したがって、左側魚体ホルダと右側魚体ホルダがベースプレートから上方に浮いたフローティング状態で、上下及び左右にぐらつかないで移動させることができる。
【0031】
請求項3記載の発明によれば、左側ホルダ移動体と右側ホルダ移動体が互いに近づく方向に常時付勢されているので、魚体を、左側ホルダ及び右側ホルダによって常時適度な力で左右方向から挟み込むようにして、挿入することができる。
【0032】
請求項4記載の発明によれば、シリンダ駆動機構が、左側魚体ホルダと右側魚体ホルダをベースプレートから上方に離れた状態で支持し、かつ、左側魚体ホルダ、右側魚体ホルダを移動させるようにしている。
かかる構成によれば、左側ホルダ移動体と右側ホルダ移動体を備えている場合、シリンダ駆動機構は左側魚体ホルダと右側魚体ホルダを移動する機能だけでよい。その理由は、左側魚体ホルダと右側魚体ホルダは、それぞれ対応する左側ホルダ移動体又は右側ホルダ移動体によって、ベースプレートから上方に離れた状態で支持されているからである。
【0033】
請求項5記載の発明によれば、頭部ホルダは、頭部ホルダ移動体によってベースプレートより上方に浮いたフローティング状態で支持されていることから、上下方向及び前後方向にぐらつかないで移動させることができる。
【0034】
請求項6記載の発明によれば、左側ホルダ移動体及び右側ホルダ移動体は、低摩擦移動機構によって、ベースプレート上をスムーズに移動することができる。
【0035】
請求項7記載の発明によれば、左側ホルダ移動体及び右側ホルダ移動体を、それぞれ上側低摩擦移動機構と下側低摩擦移動機構とによって移動させ、その際、上側低摩擦移動機構及び下側低摩擦移動機構は、それらの間にベースプレートが位置した状態で移動するように構成されている。この構成により、左側ホルダ移動体及び右側ホルダ移動体を、上下方向及び左右方向へのぐらつきを防止しつつ、安定した状態で移動させることができるようになる。
【0036】
請求項8記載の発明によれば、頭部ホルダ移動体を、低摩擦移動機構によって、ベースプレート上でスムーズに移動させることができる。
【0037】
請求項9記載の発明によれば、頭部ホルダ移動体を、上側低摩擦移動機構と下側低摩擦移動機構によって、ベースプレートを間に挟み込んだ状態で移動するようにしているので、上下方向及び前後方向にぐらつくことなく、安定させることができる。
【0038】
請求項10記載の発明によれば、低摩擦移動機構は、車輪機構、スライド機構、レール機構などの幅広い適用範囲で対応することができる。
【0039】
請求項11記載の発明によれば、互いに接近した左側魚体ホルダと右側魚体ホルダが、魚体の断面形状にほぼ対応した楕円形状を形成しているので、魚体を十分に安定した状態で保持することができる。その結果、魚体の鰓弓をカッタの切断位置へ容易に位置決めすることができる。
【0040】
請求項12〜14記載の発明によれば、左側魚体ホルダと右側魚体ホルダの内面が滑りやすい凹凸面であるので、魚体をスムーズに移動することができる。
【0041】
請求項15記載の発明によれば、左側魚体ホルダと右側魚体ホルダとが、複数の線条体による構造体であるので、魚体に付いた水などの液体は魚体ホルダから下方へ落下させることができる。また、左側魚体ホルダと右側魚体ホルダの内面が滑りやすい凹凸形状となるので、魚体をスムーズに移動することができる。
【0042】
請求項16記載の発明によれば、レーザ光照射装置からのレーザ光が魚体の表面に表示されるので、魚体の鰓弓の位置をカッタの切断線に位置決めすることを容易に行うことが可能である。
【0043】
請求項17記載の発明によれば、頭部ホルダが魚体の頭部を保持した状態で初めて、カッタが作動可能となるので、安全な作業を実施することができる。
【0044】
請求項18記載の発明によれば、カッタ用受け台は、カッタによる魚体の切断位置に対向する位置で、魚体の下面を当接して支持するので、カッタの刃先が魚体にスムーズに突き刺さって、鰓弓を切断することができる。その結果、魚体にかかる押圧力を小さくすることができる。
【0045】
請求項19記載の発明によれば、陽極側接触部及び陰極側接触部は、ゴム手袋などの絶縁用手袋の上から着脱することができるので、電気麻酔装置としての耐久性を向上させることができる。
【0046】
請求項20記載の発明によれば、陽極側接触部及び陰極側接触部のいずれか一方を頭部ホルダの内面に配置したので、頭部ホルダへ挿入した魚体の頭部は陽極側接触部又は陰極側接触部に接触することから、魚体の麻酔状態を維持できる。そのため、魚体の鰓弓をカッタの切断位置へ位置決めすることが容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態に係る魚体活け締め装置について図面を参照して説明する。
本実施形態の魚体活け締め装置1は、
図1〜
図3に示すように、装置本体を構成するベース部2を備えている。ベース部2は、上部に種々の装置を配置するために、平面でほぼ長方形状に形成され、例えばステンレス鋼を組み合わせたフレーム構造などで構成することができる。
【0049】
ベース部2は、そのエリアのほぼ半分が、例えば
図12に示すような魚体Fを保持し、カッタ41にて前記魚体Fを活け締めする作業エリアである。残りのエリアは、前記カッタ41を上下動するためのカッタ駆動装置42に駆動源のエアを供給するエアタンクや、電気を供給するバッテリなどの種々の装置を収容する収納ボックス3を備えている。収納ボックス3の一方の側壁面には、
図1に示すように、魚体Fに電気を通電して一時的に気絶させるための電気麻酔装置50が備えられている。
【0050】
魚体活け締め装置1は、簡単に移動できるように、ベース部2の一端側の下部に2つの車輪4を備えており、ベース部2の他端側に、容易に牽いて移動させるための取っ手5を備えている。この取っ手5は、ベース部2から、牽く方向に長く延伸して引き出せる構造である。
【0051】
ベース部2の作業エリアには、基本的には、前記ベース部2の上方で、魚体Fの胴部を保持する魚体ホルダ10と、魚体Fの頭部を保持する頭部ホルダ30と、魚体Fの鰓弓Faを切断するために上下動するカッタ41を有する魚体カッタ部40とを備えている。
なお、本実施形態では、頭部ホルダ30で保持する魚体Fの頭部側を前方とし、前記魚体Fの尾部側を後方とし、前方に向いた状態で左側及び右側を定義して説明する。
【0052】
魚体Fの鰓弓Faは、
図4(a)に示すように、魚体Fの目Fbから距離La(10mmほど)だけ下方へ下がり、この位置から距離Lb(40〜50mm)だけ、後方に位置している。ここでの魚体Fは、鮭、鱒などを想定している。
魚体活け締め装置1は、
図4(b)に示すように、上記のカッタ41が下降して魚体Fの鰓弓Faを突き刺して瞬時に切断することで、魚体Fを瞬殺して十分に脱血する装置である。
【0053】
魚体ホルダ10は、魚体Fをほぼ水平方向に寝かして配置した状態で前記魚体Fの背部と腹部を左右方向から挟み込む左側魚体ホルダ11と、右側魚体ホルダ12とを備えている。しかも、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12とは、前記ベース部2から上方に離れた位置で、いわゆる浮いたフローティング状態で、左右方向で互いに接近・離反自在に設置されている。
これにより、魚体Fに付いた水などの液体は、左側魚体ホルダ11及び右側魚体ホルダ12から下方へ落下するので、魚体Fの活け締め作業が行い易くなる。
【0054】
魚体ホルダ10のフローティング構造の一例としては、
図6に示すように、ベース部2の上部に、平板状のベースプレート6を備えている。左側魚体ホルダ11は、
図5及び
図6に示すように、ベースプレート6の左側で、前後に配置した2つの左側ホルダ移動体14,14によってベースプレート6から上方に離れた状態で支持されており、各左側ホルダ移動体14,14が互いに独立して左右方向に移動する。つまり、左側魚体ホルダ11は、ベースプレート6から上方に浮いた姿勢で左右方向に移動する構成である。
一方、右側魚体ホルダ12は、
図5及び
図6に示すように、ベースプレート6の右側で、前後に配置した2つの右側ホルダ移動体15,15によってベースプレート6から上方に離れた状態で支持されており、各右側ホルダ移動体15,15が互いに独立して左右方向に移動する。つまり、右側魚体ホルダ12は、ベースプレート6から上方に浮いた姿勢で左右方向に移動する構成である。
なお、上記の左側ホルダ移動体14と右側ホルダ移動体15は、魚体ホルダ10における魚体ホルダ移動機構13を構成している。
【0055】
また、左側ホルダ移動体14及び右側ホルダ移動体15は、本実施形態では、ベースプレート6上でスムーズに移動するために、キャスタ18などの車輪機構17による低摩擦移動機構16を介して移動する構成である。
【0056】
また、左側魚体ホルダ11及び右側魚体ホルダ12は、ベースプレート6に沿って左右方向に移動する時、上下及び左右にぐらつかないで安定した動きをするように工夫している。
そのぐらつき防止の一例としては、
図5、
図6及び
図7に示すように、左側ホルダ移動体14及び右側ホルダ移動体15が、それぞれ、ベースプレート6上で移動する上側キャスタ18aによる上側低摩擦移動機構16aと、ベースプレート6下で移動する下側キャスタ18bによる下側低摩擦移動機構16bとを備える。しかも、ベースプレート6に左右方向に延出する長孔6aを形成しており、上下に対応する上側低摩擦移動機構16aと下側低摩擦移動機構16bとが、前記長孔6aを通過する連結部材19,19を介して一体的に連結されている。
【0057】
より詳しく説明すると、例えば、
図5及び
図7において前側の左側ホルダ移動体14では、
図2、
図5〜
図7に示すように、上下に対応する4対の上側キャスタ18a,・・・,18aと下側キャスタ18b,・・・,18bがほぼ4隅に配置されており、ベースプレート6の長孔6aは4対の上側キャスタ18a,・・・,18aと下側キャスタ18b,・・・,18bの間で前後方向のほぼ中央を、左右方向に長く形成されている。他の前後の左側ホルダ移動体14,・・・,14及び右側ホルダ移動体15,・・・,15においても同様の構成である。
【0058】
したがって、左側ホルダ移動体14及び右側ホルダ移動体15は、それぞれ、上側低摩擦移動機構16aと下側低摩擦移動機構16bがベースプレート6を挟み込んだ状態で一体的に長孔6aに沿って左右方向に移動可能となる。その理由で、左側魚体ホルダ11及び右側魚体ホルダ12は、それぞれ対応する左側ホルダ移動体14又は右側ホルダ移動体15を介して上下及び左右にぐらつかないで安定した動きとなる。
【0059】
さらに加えて、上記の魚体ホルダ移動機構13は、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12が魚体Fを常時挟み込む方向に移動すべく、左側ホルダ移動体14と右側ホルダ移動体15が互いに近づく方向に常時付勢される構成である。
【0060】
その付勢構造の一例としては、
図6及び
図7に示すように、左側ホルダ移動体14,14の連結部材19,19と右側ホルダ移動体15,15の連結部材19,19が、ベースプレート6の下方において各引張スプリング21,21で連結される。これによって、左側ホルダ移動体14,14と右側ホルダ移動体15,15が互いに近づく方向に常時付勢されることとなる。
【0061】
また、上記の魚体ホルダ移動機構13は、例えばエアシリンダなどのシリンダ駆動機構によって、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12が魚体Fを挟み込む方向に接近・離反せしめることができる。
【0062】
この場合は、前述の左側ホルダ移動体14,14及び右側ホルダ移動体15,15を備えていなくても、シリンダ駆動機構が左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12をベースプレート6から上方に離れた状態で支持し、かつ、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12を互いに接近・離反せしめるように移動することができる。
【0063】
あるいは、前述の左側ホルダ移動体14,14及び右側ホルダ移動体15,15を備えている場合、シリンダ駆動機構は左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12を互いに接近・離反せしめるように移動する機能だけでよい。その理由は、左側魚体ホルダ11及び右側魚体ホルダ12が、それぞれ対応する左側ホルダ移動体14,14又は右側ホルダ移動体15,15によって、ベースプレート6から上方に離れた状態で支持されるからである。
【0064】
魚体ホルダ10は、
図1、
図2及び
図6に示すように、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12が互いに接近した状態で、横に寝かせた姿勢の魚体Fの胴部における断面形状にほぼ対応した楕円形状を形成している。左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12は、板状部材を湾曲形状に形成しており、例えば、鋼材、ステンレス材、アルミ材、樹脂材などの材質で形成することができるが、その材質は特に限定されない。
【0065】
また、左側魚体ホルダ11及び右側魚体ホルダ12の各後端部には、上記の楕円形状の間へ魚体Fを挿入し易くするために、それぞれ対応して後方の外側に向けて広がる傾斜面を備えたガイド部11a,12aを形成している。
【0066】
さらに、左側魚体ホルダ11及び右側魚体ホルダ12の各内面には、挿入される魚体Fが摺動する際の摩擦抵抗を低くするために、凹凸面を形成することができる。
その一例として、左側魚体ホルダ11及び右側魚体ホルダ12は、
図8に示すように、それぞれ対応して前後方向に垂直な断面で波形の凹凸形状11b,12bを形成し、その凹凸形状を前後方向にライン状に形成した内面とすることができる。あるいは、左側魚体ホルダ11及び右側魚体ホルダ12の各内面には、多数の凹凸からなるイボ状の凹凸面、あるいは他の形態の凹凸面を形成することができる。
【0067】
また、魚体ホルダ10は、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12が、前述のように板状部材の湾曲形状に限定されず、例えば、
図9(a),(b) に示すように、前後方向に延伸する複数のワイヤ22,・・・,22などの線条体を並列した構造体とすることができる。この場合も、前記線条体の材質は特に限定されない。
上記の複数の線条体による構造体は、魚体に付いた水などの液体を下方へ落下させることができる。また、複数の線条体の内面が滑りやすい凹凸形状となるので、魚体をスムーズに移動することができる。
【0068】
頭部ホルダ30は、前述の魚体ホルダ10より前方で、魚体Fの頭部を保持する構造であり、本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、魚体Fの頭部を覆うような椀形状に形成されている。頭部ホルダ30は、魚体Fが左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12で形成した楕円形状の間に挿入されて前進する前方に位置し、魚体Fの頭部を入り易くするために間口が広がっている。
なお、頭部ホルダ30は、板状部材を湾曲形状に形成しており、例えば、鋼材、ステンレス材、アルミ材、樹脂材などの材質で形成することができるが、その材質は特に限定されない。
【0069】
さらに、頭部ホルダ30は、本実施形態では、基本的には前述の魚体ホルダ10と同様に、ベース部2から上方に離れた位置で、いわゆる浮いたフローティング状態で、前後方向に移動自在に構成されている。
頭部ホルダ30のフローティング構造の一例としては、ベースプレート6の前側で、頭部ホルダ移動体31によってベースプレート6から上方に離れた状態で支持されて浮いた姿勢である。さらに、前記の頭部ホルダ移動体31は、所定位置に向けて常時付勢された状態で前後方向に移動する構成である。
【0070】
また、本実施形態における頭部ホルダ移動体31は、ベースプレート6上でスムーズに移動させるために、キャスタ34などの車輪機構33により構成される低摩擦移動機構32を介して移動するようになっている。
【0071】
さらに、頭部ホルダ30は、ベースプレート6に対し、上下及び前後にぐらつかないで安定した動きをするように工夫している。
その一例として、頭部ホルダ移動体31は、ベースプレート6上で移動する上側キャスタ34aによる上側低摩擦移動機構32aと、ベースプレート6下で移動する下側キャスタ34bによる下側低摩擦移動機構32bとを備える。しかも、ベースプレート6には、前後方向に長い長孔6bを形成しており、上側低摩擦移動機構32aと下側低摩擦移動機構32bが前記長孔6bを通過する連結部材35を介して一体的に連結されている。
【0072】
したがって、頭部ホルダ移動体31は、上側低摩擦移動機構32aと下側低摩擦移動機構32bがベースプレート6を挟み込んだ状態で、一体的に長孔6bに沿って前後方向に移動可能となる。これによって、頭部ホルダ30は頭部ホルダ移動体31を介して上下及び前後にぐらつかないで安定した動きとなる。
【0073】
上記の魚体ホルダ10における低摩擦移動機構16は、前述のキャスタ18などの車輪機構17に限定されず、スライド機構、レール機構あるいはその他の機構とすることができる。
一方、上記の頭部ホルダ30における低摩擦移動機構32は、前述のキャスタ34などの車輪機構33に限定されず、スライド機構、レール機構あるいはその他の機構とすることができる。
【0074】
前記のスライド機構は、例えば、摺動部材がベースプレート6上をスライドする機構である。前記のレール機構は、例えば、ベースプレート6上に形成したレールと、当該レール上でローラを介して移動するガイド体と、を備える機構である。
【0075】
頭部ホルダ30は、前述のように所定位置に向けて常時付勢される構造である。その付勢構造の一例としては、
図5及び
図7に示すように、頭部ホルダ移動体31の左右方向のほぼ中央で、ベースプレート6の長孔6cから下方へ突出したフック部36aと、ベースプレート6の下面に設けたフック部36bが、ベースプレート6の下方において引張スプリング37で連結される。これによって、頭部ホルダ移動体31が後方に向けて常時付勢されることとなる。
【0076】
魚体カッタ部40は、
図1〜
図3及び
図12に示すように、収納ボックス3の後部壁面に取り付けられており、安全上の保護カバー48にて覆われている。魚体カッタ部40は、上下動するカッタ41を備えている。カッタ41は最下降位置まで下降して、魚体ホルダ10と頭部ホルダ30で保持された魚体Fの鰓弓Faを切断する構成である。
【0077】
本実施形態では、
図12に示すように、カッタ41を上下動するエアシリンダを備えたカッタ駆動装置42が収納ボックス3の後部壁面にブラケット43を介して取り付けられている。エアシリンダは収納ボックス3内のエアタンクから供給されるエアによって駆動される。また、カッタ41は、エアシリンダのピストンの先端に取付けられて常時は上方位置で停止しており、魚体Fを切断する際に、下降して上昇する往復動作する構成である。
【0078】
カッタ41は、魚体Fの鰓弓Faを切断するために、魚体Fの前後方向に対して直交する方向に幅広く形成されている。カッタ41の下部の先端は、カッタ幅の中央に向けて凹形状に形成され、カッタ幅の左右端が下方に向けて鋭く突起した刃の形状となっている。
【0079】
魚体カッタ部40は、カッタ41が魚体Fを切断する位置に、魚体ホルダ10と頭部ホルダ30で保持された魚体Fの上に表示するレーザ光45を照射するレーザ光照射装置44を備えている。
【0080】
レーザ光照射装置44は、本実施形態では、カッタ駆動装置42を保持するブラケット43の空間部に取り付けられており、レーザ光45はカッタ41の上下動に対して斜めから照射される。したがって、レーザ光45は、魚体ホルダ10と頭部ホルダ30で保持された魚体Fの表面におけるカッタ41の切断線に照射して表示するように調整している。なお、レーザ光照射装置44としては、公知の一般的な構造であるので詳しい説明は省略する。
【0081】
また、魚体カッタ部40は、頭部ホルダ30が魚体Fの頭部を保持した状態を検知する検知センサ46aと、前記検知センサ46aにて検知した検知信号でカッタ41を作動可能に制御する安全制御装置46と、を備えている
【0082】
検知センサ46aは、本実施形態では、
図5に示すように、頭部ホルダ30を支持する頭部ホルダ移動体31の右側面を検知する近接センサである。すなわち、頭部ホルダ30が所定位置に位置している時は、魚体Fが挿入されていない状態である。近接センサ46aは、頭部ホルダ30が所定位置に位置している時の頭部ホルダ移動体31の右側面から外れた前方位置に配置している。
【0083】
魚体Fが左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12で形成した楕円形状の間に挿入されて前進し、魚体Fの頭部が頭部ホルダ30に挿入し、さらに前進すると、
図5の矢印のように、頭部ホルダ30が頭部ホルダ移動体31と共に前方へ移動する。近接センサ46aは、前方へ移動した頭部ホルダ移動体31の右側面を検知することで、頭部ホルダ30が魚体Fの頭部を保持した状態を検知する構成である。この近接センサ46aの検知信号が安全制御装置46に出力されると、安全制御装置46からカッタ駆動装置42を駆動可能とする指令が与えられる。
【0084】
したがって、例えばカッタ駆動装置42を作動させるフットスイッチを踏むと、カッタ駆動装置42のエアシリンダが作動してカッタ41が上下動する。しかし、魚体Fが魚体ホルダ10と頭部ホルダ30に保持されなければ、頭部ホルダ移動体31は原位置に位置しているので近接センサ46aにて検知せず、カッタ41が作動しないため、安全に作業を行なうことに寄与する。
【0085】
上記の魚体カッタ部40は、
図4(b)に示すように、魚体ホルダ10と頭部ホルダ30との間に、ベースプレート6上にカッタ用受け台47を設けることが望ましい。カッタ用受け台47は、カッタ41による魚体Fの切断位置に対向する位置において、魚体ホルダ10と頭部ホルダ30で保持された魚体Fの下面を当接する受け面47aと、当該受け面47aにおいてカッタ41の下降端との当接を回避する逃げ溝47bと、を備える。
【0086】
カッタ用受け台47を備えていない場合、魚体Fは下降するカッタ41の押圧力で下方へ沈んでからカッタ41の先端が突き刺さるので、魚体Fにかかる押圧力が大きくなる。しかし、カッタ用受け台47は、魚体Fを受け面47aで下方から支えるために魚体Fが下方へ逃げないので、カッタ41の刃先が魚体Fにスムーズに突き刺さって切断する。その結果、魚体Fにかかる押圧力が小さくなるために、魚体Fに対するカッタ41の押圧力による悪影響を小さくする効果がある。
【0087】
次に、本実施形態の電気麻酔装置50について説明する。
電気麻酔装置50は、魚体Fに電気を通電して一時的に気絶させる装置である。電気麻酔装置50は、
図1に示すように、収納ボックス3の側壁面にコネクタ56が備えられている。このコネクタ56は収納ボックス3の内部のバッテリに導通している。
図1及び
図10に示すように、陽極側接触部51に接続する陽極側コード54と、陰極側接触部52に接続する陰極側コード55がコネクタ56に接続される。
【0088】
本実施形態の電気麻酔装置50の電気回路は、
図11に示すように、陽極側接触部51とバッテリ57間の陽極側の配線回路において、ヒューズ58、電源切断スイッチ59、大電流自動カット回路61、微小電流制限回路62、非常時電流切断スイッチ63などを介設している。一方、陰極側接触部52とバッテリ57間の陰極側の配線回路においては特に何も介設していない。なお、陽極側接触部51と陰極側接触部52の間は、漏電時の安全性を確保するためにバイパス導線64で接続している。
【0089】
陽極側接触部51及び陰極側接触部52は、いずれも
図10(a)に示すように柔軟性を有する導電性部材でリング状に形成しており、
図10(b)に示すようにゴム手袋等の絶縁用手袋65の上から少なくとも掌に着脱可能に配置されるものである。陽極側接触部51及び陰極側接触部52は、魚体Fとの接触面積を大きくすることが望ましい。また、陽極側接触部51及び陰極側接触部52には、絶縁用手袋65の親指に挿脱可能な補助リング53が連結されている。
【0090】
なお、従来の電気麻酔装置における陽極側接触部及び陰極側接触部は、軍手などの繊維手袋の掌側に張り付けているものが多かった。そのため、作業する人は両手にゴム手袋などの絶縁用手袋を嵌めてから、上記の陽極側接触部を張り付けた軍手と、陰極側接触部を張り付けた軍手とを嵌めて通電させるようになっていた。軍手は魚体の歯が引っかかるので破れたり、魚体の表面のぬめりで軍手が目詰まりするために耐久性が低いという課題があった。
【0091】
本発明の実施形態の電気麻酔装置50においては、陽極側接触部51及び陰極側接触部52は、ゴム手袋などの絶縁用手袋65の上から嵌め込むので、ゴム手袋が魚体Fの歯に引っかかることがないために、軍手などの繊維手袋のようには破れない。また、魚体Fの表面のぬめりで目詰まりすることもない。つまり、軍手などの繊維手袋に比べて耐久性に富み、又、補助リング53を親指に装着することで、リング状の陽極側接触部51及び陰極側接触部52が掌から外れにくくなるというメリットがある。
【0092】
なお、陽極側接触部51及び陰極側接触部52のいずれか一方は、さらに追加して頭部ホルダ30の内面に設置しても良い。すなわち、魚体Fの尾部側をつかむ電極が陰極側接触部52であれば、頭部ホルダ30の内面に配置する電極は陽極側接触部51aとし、又、その逆もあり得る。
【0093】
魚体Fを魚体ホルダ10に挿入した後は、魚体Fの頭部側の陽極側接触部51が魚体Fから離れるので、魚体Fの尾部側を陰極側接触部52で掴んでいても、通電が断たれ、時間の経過と共に魚体Fが麻酔状態から覚めると暴れる。
しかし、頭部ホルダ30の内面に陽極側接触部51aを配置することで、魚体Fの頭部が頭部ホルダ30へ挿入して陽極側接触部51aに接触するので、再び魚体Fへ通電され、麻酔状態を維持できる。したがって、魚体Fの鰓弓Faをカッタ41の切断位置へ位置決めすることが容易になる。
【0094】
次に、本発明の実施形態に係る魚体活け締め装置1の作用について説明する。
まず、鮭などの魚は、
図12に示すように、電気麻酔装置50によって電気麻酔をかける。作業する人は両手に絶縁用手袋65としてゴム手袋を嵌めてから、左手にはリング形状の陽極側接触部51を掌に当てるように嵌める。右手にはリング形状の陰極側接触部52を掌に当てるように嵌める。右手で魚体Fの尾部側をつかんで、左手で魚体Fの頭部をつかむと、電流が陽極側接触部51から魚体Fを通過して陰極側接触部52へ流れる。これにより、魚体Fは電気麻酔がかかって気絶して暴れなくなるので、容易に活け締め作業しやすくなる。
【0095】
次いで、上記の魚体Fは横に寝かせた姿勢で頭部側から、魚体ホルダ10の左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12が互いに接近した楕円形状の中へ挿入する。この時、
図13に示すように、右手は魚体Fの尾部側を陰極側接触部52で掴んでいるが、左手の陽極側接触部51は魚体Fから離れるために通電が断たれる。しかし、魚体Fは麻酔がかかった状態である。右手で魚体Fを魚体ホルダ10へ挿入すると、魚体Fの形状に応じて、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12が引張スプリング21,21の付勢力に抗して外側へ移動する。
【0096】
魚体Fがさらに前進すると、
図14に示すように、魚体Fの頭部が頭部ホルダ30へ挿入される。この時、魚体Fの頭部が頭部ホルダ30の内面に配置した陽極側接触部51aに接触するので、再び魚体Fへ通電され、麻酔状態が維持される。また、魚体Fの前進動作に応じて、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12が引張スプリング21,21の付勢力によって引っ張られ、魚体Fを左右方向から押さえる。以上のように、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12が互いに近づく方向に常時付勢されているので、魚体Fが適当な力で左右から押さえられながら挿入される。
【0097】
また、魚体ホルダ10を構成する左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12とは、ベースプレート6から上方に浮いたフローティング構造であるので、魚体Fに付いた水などの液体は魚体ホルダ10より下方へ落下する。これにより、魚体Fの活け締め作業が行い易くなる。
【0098】
魚体Fの頭部が頭部ホルダ30に挿入された時点では、
図14に示すように、レーザ光照射装置44からのレーザ光45が魚体Fの目Fbの付近にレーザ光ライン45aで表示されているので、魚体Fをさらに前進させる必要がある。右手で押して魚体Fを、さらに前進させると、
図5及び
図15の矢印のように、頭部ホルダ30が頭部ホルダ移動体31と共に前方へ移動する。検知センサ46aは、前方へ移動した頭部ホルダ移動体31の右側面を検知することで、頭部ホルダ30が魚体Fの頭部を保持した状態を検知する。この検知センサ46aの検知信号が安全制御装置46に出力され、カッタ駆動装置42が駆動可能となる。
【0099】
作業する人は右手で魚体Fを押して、
図15に示すように、レーザ光ライン45aが魚体Fの鰓弓Faの位置に表示されるように位置決めする。このようにレーザ光45が魚体Fの表面に表示されるので、魚体Fの鰓弓Faの位置を、カッタ41の切断線に位置決めするのを容易に行うことができる。
魚体Fの鰓弓Faの位置は、個々の魚体Fによって様々であるが、魚体Fが魚体ホルダ10の中を前進方向へ移動し、頭部ホルダ30によって魚体Fの頭部が保持されて前進移動するので、魚体Fの鰓弓Faの箇所、つまり切断位置をレーザ光ライン45aによって示すようにしていることから、切断時における魚体Fの位置決めを容易且つ確実に行うことができる。
【0100】
この時点で、例えばカッタ駆動装置42を作動させるフットスイッチを踏むと、カッタ駆動装置42のエアシリンダが作動し、これによりカッタ41が下降して魚体Fの鰓弓Faの箇所を切断する。切断終了後、カッタ41は最下降端から上昇して原位置に戻る。魚体Fは瞬殺されて魚体Fから瞬時に十分に脱血されるので、魚体Fの鮮度が保持される。また、魚体ホルダ10及び頭部ホルダ30がフローティング構造であるので、脱血時の血液が下方へ落下するので、魚体Fの活け締め作業が行い易くなる。
【0101】
次いで、上記の活け締めした魚体Fを魚体ホルダ10から引き抜くために、尾部側をつかんでいる右手で魚体Fを後方へ引っ張ると、頭部ホルダ30は引張スプリング37の付勢力によって原位置へ復帰し、左側魚体ホルダ11及び右側魚体ホルダ12は魚体Fの動きに応じて左右方向へ移動するので、活け締めした魚体Fを魚体ホルダ10から簡単に引き抜くことができる。
【解決手段】 魚体活け締め装置1は、装置本体を構成するベース部2と、このベース部2の上方で、魚体Fをほぼ水平方向に配置した状態で魚体Fの背部と腹部を左右方向から挟み込む魚体ホルダ10と、前記ベース部2の上方で、魚体ホルダ10より前方で魚体Fの頭部を保持する頭部ホルダ30と、魚体ホルダ10と頭部ホルダ30で保持された魚体Fの鰓弓Faを切断するべく上下動するカッタ41を有する魚体カッタ部40と、を備える。前記魚体ホルダ10は、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12を備え、かつ、左側魚体ホルダ11と右側魚体ホルダ12が左右方向で互いに接近・離反自在に構成されている。