特許第6153375号(P6153375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153375
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】電子部品装着装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
   H05K13/08 Q
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-96211(P2013-96211)
(22)【出願日】2013年5月1日
(65)【公開番号】特開2014-220269(P2014-220269A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 修
(72)【発明者】
【氏名】駒池 国宗
(72)【発明者】
【氏名】亀田 真希夫
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 主章
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−212947(JP,A)
【文献】 特開2007−096128(JP,A)
【文献】 特開2008−228265(JP,A)
【文献】 特開2010−161824(JP,A)
【文献】 特開2003−249795(JP,A)
【文献】 特開2010−087062(JP,A)
【文献】 特開2010−010352(JP,A)
【文献】 特開2011−009336(JP,A)
【文献】 特開2012−043874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
G01C 1/00− 1/14
G01C 5/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着ヘッド体に駆動手段に駆動されて回転可能に設けられた装着ヘッドの周辺に設けられた複数本の保持具により電子部品を部品供給部より取出し保持して基板に装着する電子部品装着装置であって、
前記装着ヘッドの外方の装着ヘッド体に固定され保持具に保持された電子部品が、前記装着ヘッドの回転により撮影位置を移動しながら通過する際に、前記電子部品の側面画像を内蔵する撮像素子に露光させて撮像する撮像カメラと、
前記保持具に保持される電子部品を照明する照明手段と、
前記装着ヘッドの所定の回転角度位置を記憶する記憶手段と、
前記装着ヘッドの回転角度位置を検出する回転角度位置検出手段と、
前記回転角度検出手段による前記装着ヘッドが前記記憶手段に記憶された回転角度位置に達したことの検出に基づき前記照明を点灯させ前記撮像素子を露光させ電子部品の側面画像を撮像させるよう前記照明手段及び前記撮像カメラを制御する撮像制御手段とを設けたことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項2】
前記撮像制御手段は前記記憶手段に記憶された回転角度位置における電子部品の側面画像の撮像に先立って所定時間前に撮像カメラに撮像動作をさせるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の電子部品装着装置。
【請求項3】
装着ヘッドの次の回転角度位置とこれから前記装着ヘッドの回転のため前記駆動手段に指令される駆動波形に基づき次の回転角度位置から所定時間前の撮像用の回転角度位置を算出する算出手段を備え、前記撮像制御手段は前記算出手段の算出した撮像用の回転角度位置を検出手段が検出したことに基づき撮像カメラに撮像をさせるよう制御することを特徴とする請求項2に記載の電子部品装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着ヘッド体に駆動手段に駆動されて回転可能に設けられた装着ヘッドの周辺に設けられた複数本の保持具により電子部品を部品供給部より取出し保持して基板に装着する電子部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、例えば特許文献1に開示するように、電子部品の吸着動作後、吸着ノズルに電子部品が吸着されているか否かの検出や、吸着姿勢の不良の検出のために装着ヘッドの中央部に設けた発光ユニットと、該発光ユニットとの間に選択された吸着ノズルに吸着保持された電子部品を位置させたときの発光ユニットからの光を受光する受光ユニットとから成るラインセンサユニットとを設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−332791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来技術はカメラで部品側面の2次元画像を撮像して取り込み画像データの認識処理をするものではなかった。
また、画像を撮像する場合、常に光を露光して電荷をチャージする撮像素子の場合には本来の電子部品等を撮像するタイミングの前に撮像素子に蓄えた電荷を出力して電荷が蓄えられていない状態(画像としては黒一色の状態)にリセットする必要がある。また、いつそのようなリセットを行うかを正確に制御することは難しかった。
そこで、本発明は回転する装着ヘッドに設けられた保持具が保持する部品の画像をカメラで撮像するときのタイミングを確実に制御することを目的とする。
また、露光して電荷をチャージする撮像素子を使用して画像を撮像をする前の撮像素子のリセットを適切なタイミングで行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため第1の発明は、装着ヘッド体に駆動手段に駆動されて回転可能に設けられた装着ヘッドの周辺に設けられた複数本の保持具により電子部品を部品供給部より取出し保持して基板に装着する電子部品装着装置であって、前記装着ヘッドの外方の装着ヘッド体に固定され保持具に保持された電子部品の側面画像を内蔵する撮像素子に露光させて撮像する撮像カメラと、前記保持具に保持される電子部品を照明する照明手段と、前記装着ヘッドの所定の回転角度位置を記憶する記憶手段と、前記装着ヘッドの回転角度位置を検出する回転角度位置検出手段と、前記回転角度検出手段による前記装着ヘッドが前記記憶手段に記憶された回転角度位置に達したことの検出に基づき前記照明を点灯させ前記撮像素子を露光させ電子部品の側面画像を撮像させるよう前記照明手段及び前記撮像カメラを制御する撮像制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、第1の発明において、前記撮像制御手段は前記記憶手段に記憶された回転角度位置における電子部品の側面画像の撮像に先立って所定時間前に撮像カメラに撮像動作をさせるよう制御することを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第2の発明において、装着ヘッドの次の回転角度位置とこれから前記装着ヘッドの回転のため前記駆動手段に指令される駆動波形に基づき次の回転角度位置から所定時間前の撮像用の回転角度位置を算出する算出手段を備え、前記撮像制御手段は前記算出手段の算出した撮像用の回転角度位置を検出手段が検出したことに基づき撮像カメラに撮像をさせるよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、回転する装着ヘッドに設けられた保持具が保持する部品の画像をカメラで撮像するときのタイミングを確実に制御することができる。
また、カメラで装着ヘッドに設けられた保持具が保持する部品の撮像をする前の撮像素子のリセットを適切なタイミングで行い、部品の撮像を良好な画質で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子部品装着装置の平面図である。
図2】電子部品装着装置における装着ヘッドの側面図である。
図3】LEDが発光した状態における装着ヘッドの底面図である。
図4】電子部品装着装置における、特に電子部品の撮像及び認識処理に係わる制御ブロック図である。
図5】側面部品認識関連データを示す図である。
図6】部品保持姿勢認識カメラ撮像タイミングを算出するための装着ヘッドを駆動する駆動波形を示す図である。
図7】側面部品認識関連データを示す図である。
図8】部品保持姿勢認識カメラによる撮像タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図1に基づいて、基板としてのプリント基板P上に電子部品を装着する電子部品装着装置1について、本発明の実施の形態を説明する。この電子部品装着装置1には、各プリント基板Pの搬送を行なう搬送装置2と、装置本体の手前側と奥側に配設され電子部品を供給する部品供給装置3A、3Bと、駆動源により一方向に移動可能(Y方向に往復移動可能)な一対のビーム4A、4Bと、前記各ビーム4A、4Bに沿った方向に各駆動源により別個に移動可能な装着ヘッド体6とが設けられている。この装着ヘッド体6については、図2に基づいて後述する。
【0011】
搬送装置2は供給コンベア2Aと、プリント基板Pを位置決め固定する位置決め部2Bと、排出コンベア2Cとを備えている。そして、供給コンベア2Aは上流より受けた各プリント基板Pを位置決め部2Bに搬送し、この各位置決め部2Bで位置決め装置により位置決めされた各基板P上に電子部品が装着された後、排出コンベア2Cに搬送され、その後下流側装置に搬送される構成である。
【0012】
そして、部品供給装置3A、3Bは搬送装置2の奥側位置と手前側位置に配設され、取付台であるカート台7A、7Bのフィーダベース上に部品供給ユニット8を多数並設したものである。各カート台7A、7Bは部品供給ユニット8の部品供給側の先端部がプリント基板Pの搬送路に臨むように前記装置本体に連結具を介して着脱可能に配設され、各カート台7A、7Bが正規に装置本体に取り付けられるとカート台7A、7Bに搭載された部品供給ユニット8に電源が供給され、また連結具を解除して把手を引くと下面に設けられたキャスタにより移動できる構成である。
【0013】
そして、X方向に長い前後一対のビーム4A、4Bは、各リニアモータから構成されるY方向移動駆動源の駆動により左右一対の前後に延びたガイドに沿って前記各ビームに固定されたスライダが摺動して個別にY方向に移動する。Y方向移動駆動源は、左右一対の基体1A、1Bに沿って固定された上下一対の固定子と、ビーム4A、4Bの両端部に設けられた取付板の下部に固定された可動子9Aとから構成される。
【0014】
また、ビーム4A、4Bにはその長手方向(X方向)にリニアモータから構成されるX方向移動駆動源によりガイドに沿って移動する前記装着ヘッド体6が夫々内側に設けられており、X方向移動駆動源は各ビーム4A、4Bに固定された前後一対の固定子と、各固定子の間に位置して装着ヘッド体6に設けられた可動子とから構成される。
【0015】
従って、各装着ヘッド体6は向き合うように各ビーム4A、4Bの内側に設けられ、奥側の装着ヘッド体6は対応する奥側の部品供給装置3Aの部品供給ユニット8から電子部品の取出し作業を行い、搬送装置2上のプリント基板Pに装着することができ、手前側の装着ヘッド体6は対応する手前側の部品供給装置3Bから電子部品を取り出して前記プリント基板Pに装着することができる。
【0016】
そして、各装着ヘッド体6はヘッド取付体6Aと円柱状を呈して平面視円形状の装着ヘッド6Bとから構成され、取付け部材6Cを介して前記ビーム4A、4Bに移動可能に取り付けられる。そして、装着ヘッド6Bの周縁部には、部品保持具としての吸着ノズル5が同心円上に所定間隔を存して複数本配設され。この吸着ノズル5は上下軸駆動源により上下動可能であり、θ軸駆動源により回転可能であり、前記部品供給ユニット8から電子部品を取出して、プリント基板P上に取出した電子部品を装着する。
【0017】
ここで、部品供給ユニット8は、カート台7A、7Bに回転自在に載置した供給リールに巻回した状態で順次繰り出される収納テープに所定間隔で開設した送り孔にその歯が嵌合した送りスプロケットを所定角度回転させて収納テープを電子部品の部品吸着取出位置まで送りモータにより間欠送りするテープ送り機構と、剥離モータの駆動により吸着取出位置の手前でキャリアテープからカバーテープを引き剥がすためのカバーテープ剥離機構とを備え、カバーテープ剥離機構によりカバーテープを剥離してキャリアテープの収納部に装填された電子部品を順次部品吸着取出位置へ供給する。
【0018】
また、各部品認識カメラ10は、各装着ヘッド6Bに設けられた各吸着ノズル5に吸着保持された電子部品をプリント基板P上に装着する前に下方から一括して撮像する。
【0019】
また、30は、タッチパネルスイッチを備えたモニタであり、作業者がこのモニタ30画面に形成された種々のタッチパネルスイッチを押すことで、電子部品装着装置1の運転の開始や停止等の操作をすることができる。
【0020】
以下、図2乃至図4に基づいて、詳細に説明する。先ず、前述したように、X方向移動駆動源及びY方向移動駆動源によりXY方向に装着ヘッド体6は移動可能であり、前記装着ヘッド6Bは前記ヘッド取付体6Aにサーボモータである駆動モータ11により回転可能に支持されている。駆動モータ11にはエンコーダ(図示せず)が備えられており、後述する装着ヘッド6Bの回転角度位置を示すエンコーダシグナル(encoder signal)が出力される。駆動モータ11は装着ヘッド体6に内蔵される構造とすることができるが、装着ヘッド体6の上部の外部に取付けてその回転軸に装着ヘッド6Bを取付け回転させるようにする構造とすること等ができる。
【0021】
そして、装着ヘッド6Bには照明装置が配設される。即ち、平面視円形状の装着ヘッド6Bの下部の中心部には光源であるLED12が下向きに光を照射するように埋設され、このLED12からの光を拡散しながら導く丸棒状の導光体13が前記LED12の下方に配設される。なお、前記導光体13は、例えば透明なアクリル材料の内部に光を拡散するための粒状の拡散体が混入されていて、乳白色を呈しており、より拡散光を外部へ放射するように、表面を粗面としてもよい。
【0022】
14は導光体13の上半部が挿入されてこれを囲むように配設された、例えばアルミニウム製の中空円筒状の遮光体としての遮光ケースで、この遮光ケース14により前記導光体13の上半部では光が外部に漏れることが防止され、この遮光ケース14より下方(下半部)へと導かれることとなる。
【0023】
また、導光体13の下面には、遮光体としての白色の塗装15が施されて拡散光が下方へ漏れずに上側に反射するようにし、更にこの塗装15下面の中央部には黒色の塗装16が白色塗装15に重ねて施されている。従って、前記LED12から放射された光は前記導光体13により下方へ拡散しながら導かれ、前記遮光ケース14により覆われていない部分から前記導光体13外部へ拡散光が放射されることとなる。以上のように、前記照明装置は、前記LED12、前記導光体13及び遮光ケース14等から構成される。前記導光体13は装着ヘッド6Bに固定されており装着ヘッド6Bと一体となって回転するが、図3において、この導光体13からの拡散光は、周囲360度全域に放射され、全ての吸着ノズル5に照射される。
【0024】
20は3個並設されたテレセントリックレンズ21と撮像素子22とを備えてヘッド取付体6Aに取付体23を介して固定される部品保持姿勢認識カメラ(以下、認識カメラという。)で、吸着ノズル5に吸着保持された電子部品Dの透過像を撮像する。認識カメラ20は電子部品Dの高さと同じになるようにしてある。詳述すると、吸着ノズル5に吸着保持された電子部品Dを撮像する際には、この吸着ノズル5は上下軸駆動源により、図2に示すように上昇して原点位置にあり、導光体13の下端レベルと吸着ノズル5の下端レベルとが同一の高さレベルにあり、導光体13からの拡散光が吸着ノズル5に吸着保持された厚さtを有する電子部品Dに照射され、電子部品Dの透過光のうちテレセントリックレンズ21により平行光が選択されて認識カメラ20に導かれ電子部品の透過像が撮像されることとなる。
【0025】
更に、詳細に説明すると、テレセントリックレンズ21により平行光が選択され、撮像素子22に取り出され、この画像は前記導光体13が白い背景となる透過像が得られることとなる。従って、電子部品Dの透過光のうち、テレセントリックレンズ21により平行光が選択されて撮像素子22で露光して画像が取り込まれ、撮像されることとなる。
撮像素子22は常にレンズ21から入射する光で露光されている。即ち、撮像素子22は画素に対応して単位となる撮像単位素子が2次元的に縦横に多数配置され構成されているが、入射した光の明るさに応じた電荷が撮像単位素子毎に蓄えられている。撮像指令が認識カメラ20になされると、この指令に応じて撮像単位素子毎に蓄えられた(チャージされた)電荷が認識カメラ20内の画像データを生成する図示しない回路に出力される。この回路にて出力された撮像単位素子毎即ち画素(ピクセル)毎の電荷の大きさにより画像データであるイメージデータ(Image data)が生成される。こうして認識カメラ20の撮像が実施されることとなる。この画像データは画素毎の照度情報を含むデジタルデータとして生成される(色の情報をさらに含んでもよい。)。撮像素子22にはCMOSセンサやCCDセンサが用いられ得る。
また、撮像素子22の電荷は撮像指令を受けて放出されると0となりリセットされることとなる。即ち、電荷が出力された後は新たな光がレンズ21から入射されない限り撮像素子22の電荷量はゼロで、その画像は「真黒(黒一色)」である。
【0026】
次に、図4の制御ブロック図に基づいて説明する。
【0027】
25は本電子部品装着装置の電子部品の装着に係る動作を統括制御する制御装置、種々の判定をする判定装置、種々の比較をする比較装置、実行装置等しての制御装置で、電子部品の装着ステップ番号順(装着順序毎)にプリント基板P内でのX方向、Y方向及び角度位置から成る装着座標情報や各部品供給ユニットの配置番号情報等から成る装着データ、部品供給ユニットの配置番号毎の部品IDに係る部品配置位置データ、電子部品毎の電子部品のサイズデータ、厚さデータ等から成る部品ライブラリデータ等を格納する記憶部(記憶装置)を備えている。
【0028】
そして、制御装置25は内蔵する記憶部に記憶されたデータに基づき、モータ制御回路26を介して装着ヘッド6Bを回転させる駆動モータ11や、装着ヘッド体1のX方向移動駆動源及びY方向移動駆動源、吸着ノズル5の上下軸駆動源及びθ軸駆動源等の駆動を制御する。
【0029】
28はインターフェース回路27を介して制御装置25に接続される認識制御回路で、認識カメラ20により前記吸着ノズル5に吸着保持された電子部品Dを撮像して得られた画像データを受信したり、制御装置25の指示に基づいて前記画像データの認識処理を行ったりする。この認識制御回路28はモータ制御回路26内のエンコーダからの駆動モータ11の現在の回転角度位置情報を受けて、LED12を点灯させるためのトリガー信号を照明駆動回路29に送信したり、撮像素子22に撮像を開始させるためのトリガー信号(撮像指令の信号)を認識カメラ20に送信したり、認識処理した結果の種々データを、インターフェース回路27を介して前記制御装置25に送信したりする。認識制御回路28には上記トリガー信号を送るタイミングのデータや認識結果のデータを格納する記憶装置(メモリ)が内蔵されている。この記憶装置に記憶される側面部品認識関連データについて図5に基づき詳述する。
【0030】
図5に示すように、認識制御回路28内の記憶装置にはノズル番号毎に種々のデータが格納される。これらを総称して側面部品認識関連データと呼ぶ。ノズル番号は装着ヘッド6Bに取り付けられる吸着ノズル5が取り付けられる位置の番号である。本実施形態の場合装着ヘッド6Bに取付けられるノズル本数は15本であるのでノズル番号は1から15までについてデータの保存ができるようにされている。例えば、図3に示す矢印の角度位置(認識カメラ20の位置から時計まわりに22.5度の角度位置)を吸着ノズル5による電子部品Dの吸着位置とすると、ノズル番号1の吸着ノズル5(ノズル番号1の取り付け位置に取り付けられた吸着ノズル)がこの吸着位置に位置する装着ヘッド6Bの回転位置を回転原点即ち0°の角度位置として図3の反時計まわりの方向を正方向の角度位置とする。本実施形態では装着ヘッド6Bは電子部品Dの吸着をした後次のノズル5が部品吸着をするため図3の反時計方向に回転する。
図5のデータで撮像角度位置のデータは照明駆動回路29へのLED点灯のためのトリガー信号を送信すると共に撮像素子22に撮像開始のトリガー信号を送信するためのタイミングを装着ヘッド6Bの回転角度位置として記憶するものである。ノズル番号毎にトリガー信号を出力すべき回転角度位置のデータが保存される。
捨て撮像オフセットは、撮像角度位置のデータに設定された角度位置での電子部品Dの撮像(本撮像)を実施する前に撮像素子22の電荷を放出させてリセットするための捨て撮像を行わせるタイミングを指定する。本撮像を実施するタイミングより所定時間前に捨て撮像が実施されるように回転角度のオフセット値として設定され記憶される。本撮像よりも前にするのでマイナスの角度位置で記憶され、本撮像の角度位置にこのオフセット角度を加算した角度位置(マイナスなので減算される。)で捨て撮像を実施させるためのデータである。
撮像有無のデータは電子部品Dの撮像を実施するかどうかのデータが格納され、次に当該ノズル番号の吸着ノズル5では部品Dの吸着を行わない場合には「0」を入力しておく。
計測値(最下端)には撮像された画像データを認識制御回路28が認識処理し図2のように吸着ノズル5に吸着保持された電子部品Dの最下端位置を記憶する。
また、計測値(横サイズ)は画像データを認識処理し、電子部品の横方向のデータを記憶する。
認識処理して得たその他の結果データを適宜保存することもできる。例えば、画像データよい電子部品Dの側面にキズやクラック(ヒビ)等があることを検出してその結果を記憶することもできる。
装着ヘッド6Bが電子部品Dの装着を開始する前に図5の記憶エリアはリセットされる。但し、撮像角度位置のデータは消去されず同じデータ内容にて保存されている。
また、図5の記憶内容は同じ内容が制御装置25の記憶装置にも設定され、制御装置25と認識制御回路28の間で一方が設定または生成したデータは瞬時にインターフェース回路27を介して転送され他方の記憶装置で対応する領域に保存される。
【0031】
以下、電子部品の装着動作について説明する。
【0032】
作業者がモニタ30のタッチパネルスイッチの運転開始スイッチ部を押すと、プリント基板Pを上流側装置より電子部品装着装置1の位置決め部2Bに搬入し、位置決め機構により位置決め動作を開始する。
【0033】
そして、前記制御装置25は前記記憶部に格納された当該プリント基板Pの装着すべきXY座標位置、鉛直軸線回りへの回転角度位置及び配置番号等が指定された装着データ等に従い、電子部品装着装置の各装着ヘッド体6の吸着ノズル5が装着すべき電子部品を各部品供給ユニット8から吸着して取出すように制御する。
具体的には、先ず、装着ヘッド体6による電子部品Dの吸着動作に先立って側面部品認識関連データ(図5参照)の撮像角度位置のデータを除くデータを制御装置25及び認識制御回路28の両方について消去してリセットする。次に、制御装置25は今回の装着ヘッド体6について部品吸着をする吸着ノズル5について撮像有無に1を格納し、部品吸着をしない吸着ノズル5のノズル番号には「0」を制御装置25内の記憶装置に保存すると共にそのデータを、インターフェース回路27を介して認識制御回路28に転送する。認識制御回路28内では転送されたデータを記憶装置に保存して側面部品認識関連データを制御装置25内と同じ状態にする。
次に、前記X方向移動駆動源及び前記Y方向移動駆動源によりXY方向に移動させて前記装着ヘッド体6を移動させ、前記駆動モータ11により前記装着ヘッド6Bを図3における反時計方向に回転させて、前記各吸着ノズル5の前記上下軸駆動源及び前記θ軸駆動源を駆動させて、図2における白抜きの矢印の位置において、前記各部品供給ユニット8から各吸着ノズル5がそれぞれ電子部品を取出す。最初にノズル番号1の吸着ノズル5が電子部品Dの吸着を行い、順次ノズル番号2からノズル番号の順番の吸着ノズル5により電子部品Dの吸着・取出しが実行されるものとする。この場合、前記各吸着ノズル5が下降して部品供給ユニット8から電子部品を取出した後は、上昇する。この場合、記憶部に格納された部品ライブラリデータを構成する厚さデータに基づいて、前記吸着ノズル5の下端レベルは前記上下軸駆動源により前記導光体13の下端レベルと同一の高さレベルになるように、前記制御装置25により制御される。
【0034】
そして、前記制御装置25は、前記駆動モータ11により前記装着ヘッド6Bを撮像位置まで回転させるように制御する。即ち、前記駆動モータ11により装着ヘッド6Bが回転(旋回)すると、この装着ヘッド6Bに設けられた照明装置及び各吸着ノズル5が一緒に回転しながら移動して、撮像位置である照明装置と認識カメラ20とを結ぶ線上に、前述したように部品供給ユニット8から取出した撮像したい電子部品Dを吸着保持している吸着ノズル5が位置することなる。
【0035】
この時、ノズル番号1の吸着ノズル5が部品Dを取出した後、ノズル番号2の吸着ノズル5が部品の取出しを実施するために図3の反時計方向に装着ヘッド6Bは回転し24°の回転角度位置で停止して部品Dの取出しが実施される。この次にはさらに装着ヘッド6Bは反時計方向に回転しノズル番号3のノズル5が電子部品Dを吸着することとなる。即ち現在の24°の回転角度位置から48°の回転角度位置に向かって回転するための例えば図6の駆動波形が制御装置25で決定される。この駆動波形は横軸が時間であり縦軸が装着ヘッド6Bの回転速度である。従って、台形波形の面積は移動距離(この場合は即ち移動回転角度)を示している。この時、ノズル番号1の吸着ノズル5が吸着する電子部品Dを撮像する回転角度位置である36°の撮像角度位置が移動途中に存在するが、制御装置25は自身の記憶装置にある側面部品認識関連データの撮像角度位置の中から移動途中に通過する撮像角度位置が無いかどうかを判断し、36°が該当しその撮像有無のデータが撮像することを示す「1」であることから捨て撮像オフセットの値を算出する。
【0036】
その算出について説明すると先ず、図6に示すように現在位置と次の停止位置までの移動距離(この場合は移動回転角度24°)のグラフの何れの時間に撮像角度位置(この場合36°は中間の12°回転した「撮像」と記載のある位置)に達するかを設定する。次に、予め決められて制御装置25の図示しない記憶領域に記憶された時間「t1」分移動する距離を図6の駆動波形から算出する。この「t1」は部品Dの本撮像前に撮像指令を出すことにより撮像動作を認識カメラ20にさせ本撮像の直前には撮像素子22からチャージしていたすべての電荷が出力され電荷「0」(露光無し)の状態になることが可能な時間として固定した所定時間が設定記憶されている。図6に示すようにこのt1秒前の位置を撮像角度位置である駆動波形の12°(駆動波形は左右に対照な台形波形とすると全体の面積が24°を表すのでちょうど半分の位置が12°の位置であり、横軸の時間軸も波形中央の位置となる。)の前側に設定すると(捨て撮像の位置)駆動波形のうち捨て撮像から撮像までのハッチングした部分の面積がt1秒移動するのに要する移動距離(移動角度)と算出できる。
【0037】
この算出された移動角度にマイナスの符号を付けた「A1」を側面部品認識関連データの捨て撮像オフセットのノズル番号1に図7に示すように保存する。また、直ちにインターフェース回路27を介して認識制御回路28にこのデータ「A1」を転送し、認識制御回路28内の側面部品認識関連データのノズル番号1にも図7に示すように保存される。
【0038】
次に、装着ヘッド6Bが24°の角度位置で電子部品Dを吸着して吸着ノズル5が上昇して図2に示す高さ位置となり回転を開始し、側面部品認識関連データから算出した36度の角度位置より手前の「36+A1」度の角度位置に達するとモータ制御回路のエンコーダの出力がこの角度位置となり、この角度位置を回転角度位置検出手段としての認識制御回路28が検出して、図8(b)に示すように撮像制御手段としての認識制御回路28は捨て撮像するよう撮像カメラ20に対して撮像指令のトリガー信号を出力する。この信号に呼応して直ちに、撮像素子22にチャージ(畜電)された電荷は放出(出力)開始される本来の部品撮像をするときと同じ撮像の動作が実施される。
このとき(捨て撮像の場合)照明駆動回路にはトリガー信号を送出せず、照明の点灯はない。こうして、撮像素子22の電荷は「0」となり、真黒の状態となり次の部品Dの撮像に備えた状態となる(捨て撮像の場合に照明を点灯させても撮像をしてしまえば撮像素子22の電荷は「0」となるので、本撮像の場合と同様に照明を点灯するよう制御してもよい。)。
このように次に回転移動する駆動波形を決めた時に捨て撮像オフセットを算出するので、当初の回転速度より減速する制御をすることとなった場合でも的確に十分に撮像素子22の電荷を放出ができる時間で捨て撮像のタイミングを設定することができる。
次に、装着ヘッド6Bのさらなる回転により捨て撮像の指令がされてからt1秒経過するとモータ制御回路26からエンコーダが36°の角度位置を出力し、この36°の角度位置を回転角度位置検出手段としての認識制御回路28が検出すると、撮像制御手段としての認識制御回路28は側面部品認識関連データのノズル番号1の36°になったことを判断し電子部品Dの撮像をする制御を開始する。
この場合、駆動モータ11の回転に伴い、所定角度回転するとモータ制御回路26から回転角度位置情報を認識制御回路28が受けて、この認識制御回路28は前記LED12を点灯させるためのトリガー信号を照明駆動回路29に送信して点灯させる。
即ち、撮像制御手段としての認識処理回路28はエンコーダが36°になったことを検出すると直ちに図8(a)に示すように照明駆動回路29に照明を点灯させるトリガー信号を出力すると共に図8(b)に示すように撮像カメラ22に撮像を開始するようトリガー信号を出力する。
【0039】
トリガー信号を受け取った照明駆動回路29は直ちにLED12をフラッシュ点灯し、撮像位置である照明装置と認識カメラ20とを結ぶ線上を移動しながら通過する際に、前記吸着ノズル5が吸着保持している電子部品Dを撮像する。即ち、移動中の電子部品Dを撮像するため予め決められた短い時間に明るい照明をストロボ的に点灯してその部品Dの透過光が撮像素子22に撮像される。ストロボ的に瞬時に点灯する時間はその間の吸着ノズル5の移動距離が撮像される電子部品Dの側面画像を十分誤差なく認識処理できる長さとされている。少なくとも、最下端位置を算出することには支障がない。ストロボ的に点灯するために認識制御回路28から照明駆動回路29に点灯させるトリガー信号と消灯させるトリガー信号を送出するようにしてもよいし、認識制御回路28から点灯のためのトリガー信号を送出したならば照明駆動回路内で所定時間の後消灯するよう制御するようにしてもよい。
【0040】
この場合、LED12が点灯すると、このLED12からの光は遮光体14により導光体13が拡散しながら下方へ導かれることなる。即ち、導光体13により拡散された光は遮光体14により反射されながら、下方へ導かれ、前記導光体13の下面の遮光体としての前記塗装15により上方に反射され、結果としてこの遮光体14により覆われていない前記導光体13の下半部の周側面から360度全方向に拡散光が外部へ放射される。
【0041】
そして、この拡散光は前記吸着ノズル5が吸着保持している電子部品Dに照射し、その透過光は3個のテレセントリックレンズ21により平行光が選択され、撮像素子22により撮像されることとなる。
認識カメラ20内では撮像指令を受けて直ちに照明点灯により露光した撮像素子22の画像情報を示す電荷が出力され部品透過像の画像データに変換される。露光した電荷の撮像素子22からの出力はLEDのストロボ照明が終了した後には追加される露光がほとんどないため継続されていてもよい。あるいは、ストロボ照明が終了した直後から撮像素子22から電荷の出力そして画像データの生成が開始されてもよい。このようにして撮像カメラ20内で生成された画像データは直ちに認識制御回路28に送信され認識制御回路28内にて認識処理が行われる。
【0042】
認識処理により部品下端位置の中の最下端位置が算出され側面部品認識関連データのノズル番号1に計測値(最下端)に格納される。また部品Dの横サイズ(保持具としての吸着ノズル5に保持された状態での部品画像の水平方向の寸法)も格納される。この後、これらデータは制御装置25に送られ制御装置25内の記憶装置にも格納され電子部品装着装置の制御に使用される。
このようにして、装着ヘッド6Bに装着されたすべての部品Dについて側面部品認識関連データの撮像角度位置及び捨て撮像オフセットに基づき、部品側面の認識処理が終了すると図5に示すように制御装置25及び認識制御回路28内の記憶装置に側面部品認識関連データが保存されることとなる。
尚、ノズル番号4のように撮像有無データが「0」で撮像されない場合は捨て撮像オフセットは算出されず次の撮像されるノズル番号のノズル5が保持する部品Dの撮像のためにその撮像位置を通過する移動波形の決定の際に捨て撮像オフセットが算出される。
そして、夫々の部品Dについて得られた下面レベルに基づいて、正規の姿勢で保持しているか否かの判別を行うので、一層確実に判別を行うことができる。
すべての部品Dが正規の姿勢であると判別した場合には、前記装着ヘッド体6をXY方向に移動させて、前記吸着ノズル5に吸着保持された電子部品を部品認識カメラ10の上方に移動させて、吸着部品の撮像及びその画像取込を実行し、前記認識制御回路28により電子部品の位置認識処理をする。次に、プリント基板Pに付された位置決めマークを基板認識カメラが撮像し、前記認識制御回路28によりプリント基板Pの位置認識処理をする。そして、これらの認識処理結果に基づき、前記制御装置25は前記装着ヘッド体1のX方向移動駆動源及びY方向移動駆動源、前記吸着ノズル5のθ軸駆動源を制御してXYθ補正して、電子部品を前記位置決め部2Bにあるプリント基板P上に装着する。
部品Dの最下端位置(あるいは同一部品Dの画像のいくつかの下端位置の情報により)の情報により部品Dが斜めに吸着されていることが判別された場合や、部品Dの側面にキズやクラックがあることが認識された場合には部品認識カメラ10により認識処理することなく、またプリント基板Pに装着することなくこれらの部品Dを廃棄ボックス等に廃棄することができる。装着ヘッド6Bに同時に保持している他の部品Dにてキズ等がなく装着できる良部品がある場合には先ず斜めに吸着されている部品D及びキズ等がある部品Dを廃棄してから部品認識カメラ10の認識処理あるいは良部品の装着をしてもよいし、他の良部品を装着してから廃棄するようにしてもよい。但し、キズやクラックは認識カメラ20のレンズ21に隣接した位置等(上下或いは左右両側等)から部品Dに向けて照射される照明光による反射光を認識カメラ20により撮像することで明暗により判別が容易となる。反射光による撮像によっても部品Dの横サイズ及び下端位置を認識することは可能である。
【0043】
以上のように本発明は、前記吸着ノズル5により保持された電子部品に拡散光を照射しても、平行光として前記吸着ノズルに保持された電子部品の透過像を撮像して、前記電子部品の姿勢を判別できる電子部品装着装置を提供することでき、コスト高とならず実用的である。
【0044】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0045】
6 装着ヘッド体
6B 装着ヘッド
11 駆動モータ
12 LED
20 部品保持姿勢認識カメラ
25 制御装置
26 モータ制御回路
28 認識制御回路
29 照明駆動回路
図1
図2
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図8