(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1部材の前記第2部材と対向する面は、前記破断方向と平行になるように形成されるか、前記破断方向の平行方向に対して前記第2部材から離脱するほど、前記第2部材と対向する方向の平行方向に対して前記第2部材から離脱するように、傾斜して形成され、
前記第2部材の前記第1部材と対向する面は、前記破断方向と平行になるように形成されるか、前記破断方向の平行方向に対して前記第1部材から離脱するほど、前記第1部材と対向する方向の平行方向に対して前記第1部材から離脱するように、傾斜して形成され、
前記第1部材の前記第2部材と対向する面と、前記破断方向とのなす角度が、
前記第2部材の前記第1部材と対向する面と、前記破断方向とのなす角度を少なくとも下回らない請求項1に記載の包装部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の包装部材や容器の場合には、キャップのプルオープン栓やキャップの外筒に形成されたスコア及びサイドスコアの破断に要する力は総じて小さいものとは言い難い。このため、小児や高齢者等の非力な者にとってキャップの注ぎ口を開放したり、キャップを容器本体から分離したりすることが容易でなかった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、例えばキャップのプルオープン栓や外筒に形成されたスコア及びサイドスコアのように、2つの部材同士を連結する薄肉な連結部を小さな力で容易に破断できるようにすることにより、小児や高齢者等の非力な者であってもキャップの注ぎ口を開放したり、キャップを容器本体から脱離したりすることが簡単にできる包装部材及びこれを備えた容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る包装部材は、前記包装部材の本体である本体部と、力を加えることにより破断する破断部と、を備え、前記破断部は、第1部材と、第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを連結する薄肉の連結部とを有し、前記第1部材と前記第2部材とは、対向する位置から互いに平行移動して対向しなくなる所まで、または、対向している部分の平行移動した方向の長さが前記連結部の厚みと同じ長さになるところまでずれた位置に配置され、前記連結部は、前記第1部材のエッジと前記第2部材のエッジのうち、互いにもっとも近接しているエッジ同士を連結し、前記第1部材に対して、前記第2部材と対向する位置に移動する方向、または、対向する部分の面積が増加する方向である破断方向に力を加えることにより、前記連結部が破断されることを特徴とする。
【0009】
本発明の包装部材によれば、第1部材と、第2部材と、第1部材と第2部材とを連結する薄肉の連結部とを有する破断部の構造として、第1部材と第2部材とは、対向する位置から互いに平行移動して対向しなくなる所まで、または、対向している部分の平行移動した方向の長さが連結部の厚みと同じ長さになるところまでずれた位置に配置されている。そして、連結部は、第1部材のエッジと第2部材のエッジのうち、互いにもっとも近接しているエッジ同士を連結している。
【0010】
これにより、第1部材に対して、第2部材と対向する位置に移動する方向、または、対向する部分の面積が増加する方向である破断方向に力を加えることにより、薄肉な連結部に対して逆向の平行な力が加わる。この結果、第1部材と第2部材との隙間部分に挟まれた連結部に対してずれを生じさせる剪断力を付与することができるので、連結部が小さな力で破断される。この破断のメカニズムは、第1部材の端面で形成される刃と、第2部材の端面で形成される刃とにより、連結部を切断する鋏のメカニズムに近いので、連結部を小さな力で破断することが可能となる。
【0011】
なお、本発明の破断メカニズムと、背景技術の欄で述べた隔壁にV字溝を形成した隔壁(破断される部分)の破断メカニズムとの違いは、発明を実施するための形態の欄で詳しく説明する。
【0012】
また、本発明の包装部材の好ましい態様は、包装部材が容器の口に装着されるキャップであって、前記本体部は、前記容器の口と接合される中空円筒状の外筒と、前記外筒と中空部分が連通するように接続された、前記容器の内容物を外に出すための中空円筒状の吐出部と、を有し、前記第1部材には、前記第1部材に対して前記破断方向に力を加えるためのプルリングが接続され、前記第2部材は、前記外筒または前記吐出部の内周面に沿って設置され、前記第1部材は、前記第2部材よりも前記容器側に、前記第2部材が設置されている中空部分をふさいで前記容器を密封するように設置され、前記プルリングを引っ張ることにより、前記第1部材に対して前記破断方向に力が加えられ、前記連結部が破断して前記第1部材が前記キャップから脱離し、前記容器の密封状態が開放される構成である。
【0013】
この態様は、プルオープン式のキャップ構造に、本発明の特徴である破断部の構成を適用したものであり、破断部を構成する第1部材と、第2部材と、第1部材と第2部材とを連結する薄肉の連結部とにおいて、第1部材にプルリングを設けたものである。
【0014】
これにより、プルリングを引っ張ると、上述した破断メカニズムによって、第1部材と第2部材とを連結する連結部を小さな力で破断することができるので、破断部の第2部材から第1部材を簡単に脱離させることができる。したがって、小児や高齢者等の非力な者であってもキャップの注ぎ口を簡単に開放することができる。
【0015】
また、本発明の包装部材の好ましい別の態様は、包装部材が容器の口に装着されるキャップであって、前記第1部材は、指を引っかけて引っ張るための引っかけ部と、指でつかんで引っ張るための摘み部のいずれか一方を有し、前記第2部材は、中空の円筒状またはC字状を成すようにして前記本体部と接続されるとともに、前記第1部材が前記第2部材よりも内径寄りに配置され、前記第1部材と、前記第2部材とのうち少なくともいずれか一方が前記容器の口と接合するための接合手段を有し、前記引っかけ部または前記摘み部を引っ張ることにより前記第1部材に対して、前記破断方向に力が加えられて前記連結部が破断し、前記容器の口と前記接合手段との接合がゆるむ構成である。
【0016】
この態様は、サイドスコアの構造として、本発明の特徴である破断部の構成を適用したものであり、第2部材を中空の円筒状またはC字状を成すようにして容器本体に接続し、第1部材を引っ張ることにより薄肉な連結部を破断するように構成したものである。
【0017】
これにより、第1部材を引っ張ると、上述した破断メカニズムによって、第1部材と第2部材とを連結する連結部を小さな力で破断することができ、容器の口に対する接合手段の接合力がゆるむので、小児や高齢者等の非力な者であっても、キャップを容器本体から簡単に分離することができる。
【0018】
また、本発明の包装部材の好ましい更に別の態様は、包装部材が容器の口に装着されるキャップであって、前記破断部は、前記第1部材が前記第2部材よりも前記キャップの外側に配置された段差形状を成すとともに、前記第1部材を前記破断方向である前記キャップの内側に向けて移動させることにより、前記破断部が破断されるように構成されるか、または、前記破断部は、前記第1部材が前記第2部材よりも内側に向けて配置された段差形状を成すとともに、前記第1部材を前記破断方向である前記キャップの外側に向けて移動させることにより、前記破断部が破断されるように構成したものである。
【0019】
この態様は、破断部を構成する第1部材と第2部材との間に段差形成が形成されるようにし、破断部から脱離される第1部材そのものを指で外側から内側に押し込んだり、内側から外側に押し上げたりすることで、破断部が破断されて開口が形成されるタイプのキャップに、本発明の特徴である破断部の構成を適用したものである。この場合にも、上述した破断メカニズムによって、破断部を小さな力で簡単に破断して開口を形成することができる。
【0020】
前記目的を達成するために、本発明に係る包装部材を備えた容器は、請求項2から4のいずれか一項に記載の包装部材を、備えた構成である。本発明の包装部材を備えた容器は、請求項2から4のいずれか一項に記載の包装部材を、備えて構成されるので、小児や高齢者等の非力な者であってもキャップの注ぎ口を開放したり、キャップを容器本体から分離したりすることが簡単にできる。
【0021】
また、本発明の好ましい態様の包装部材を供えた容器は、包装部材としてキャップを供えた容器であり、前記破断部が、前記第1部材が前記第2部材よりも前記キャップの外側に配置された段差形状を成すとともに、前記第1部材を前記破断方向である前記キャップの内側に向けて移動させることにより、前記破断部が破断されるように構成されるか、または、前記破断部は、前記第1部材が前記第2部材よりも内側に向けて配置された段差形状を成すとともに、前記第1部材を前記破断方向である前記キャップの外側に向けて移動させることにより、前記破断部が破断されるように構成したものである。
【0022】
本発明の容器に供えられたキャップは、上述したように、第1部材と第2部材とが段差形状を成すように構成された破断部を備えるように構成することによって、上述した破断メカニズムによって、破断部を小さな力で簡単に破断して開口を形成できる。これにより、小児や高齢者等の非力な者であってもキャップの注ぎ口を容易に開放することのできる容器を提供できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の包装部材及び容器によれば、例えばキャップのプルオープン栓や外筒に形成されたスコア及びサイドスコアのように、2つの部材同士を連結する薄肉な連結部を小さな力で容易に破断できるようにしたので、小児や高齢者等の非力な者であってもキャップの注ぎ口を開放したり、キャップを容器本体から脱離したりすることが簡単にできる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下添付図面に従って、本発明に係る包装部材及びこれを備えた容器の好ましい実施の形態について詳述する。
【0026】
[本発明の第1の実施の形態]
図1、
図2、
図3は、本発明の包装部材の第1の実施の形態であり、包装部材が容器の口に装着されるキャップであって、本発明の特徴である破断部の構成をプルオープン式のキャップ構造に適用した場合である。
図1は要部を部分的に断面で示した斜視図であり、
図2は
図1のa−a線に沿った断面斜視図、
図3は
図1のb−b線に沿った断面図である。
【0027】
図1〜
図3に示すように、キャップ10は、キャップ本体部12と、キャップ本体部12の一部を構成し、力を加えることにより破断する破断部14と、を備えるとともに、キャップ本体部12に上蓋16が被さる。キャップ10の材質はプラスチック製に限定されないが、一般的にはプラスチック製のキャップを本発明に適用することが好ましい。
【0028】
キャップ本体部12は、図示しない容器本体(ボトル部分)の口に嵌合して接続される中空円筒状の外筒18と、破断部14を破断することにより、外筒18と中空部分が連通するように接続されて、容器本体に充填されている内容物(例えば液体や粉体)を外に出すための中空円筒状の吐出部20と、を有する。容器本体の材質は、プラスチック製に限らず、ガラス、金属、セラミックス等の各種の材質を使用することができる。
【0029】
外筒18は、容器本体の口の外周面に接する外殻部18Aと口の内周面に接する内殻部18Bとによるリング状の嵌合溝18Cが形成され、外殻部18Aの下端部内周面には、稜線部18Fが形成される。そして、キャップ本体部12の嵌合溝18Cに容器本体の口が挿入されることにより、キャップ本体部12が容器本体の口に嵌め込まれる。
【0030】
破断部14は、破断部14を破断することによりキャップ本体部12から脱離される円板状の第1部材14Aと、吐出部20の内周面に沿って形成されたリング板状の第2部材14Bと、第1部材14Aと第2部材14Bとを連結する薄肉な連結部14Cとで構成される。なお、第1部材14Aの形状として円板状に限定するものではなく、例えば三角形、四角形、多角形等でもよい。
【0031】
そして、第1部材14Aは、第2部材14Bよりも容器本体側に段差を有して配置され、外筒18から吐出部20に至る中空部分をふさいで容器本体を密封するように設けられる。なお、薄肉な連結部14Cの薄肉とは、第1部材14Aや第2部材14Bの厚みよりも顕著に薄く形成されることを言い、例えば既存のプルオープン式のキャップに形成されるスコア(薄肉部)の厚みと同等とすることができる。また、第1部材14Aや第2部材14Bの厚みも、既存のプルオープン式のキャップと同等の厚みであることが好ましい。
【0032】
図4は、
図1〜
図3の丸い一点鎖線で囲んだ部分を拡大した破断部14の要部断面図である。
図4に示すように、第1部材14Aと第2部材14Bとは、対向する位置(第1部材14Aを1点鎖線で示す位置)から互いに平行移動して、対向している部分の平行移動した方向の長さが連結部14Cの厚みと同じ長さになるところまでずれた位置に配置される。
【0033】
また、
図5は、
図1〜
図3の丸い破線で囲んだ部分を拡大した破断部14の要部断面図の別態様であり、第1部材14Aと第2部材14Bとは、対向する位置(第1部材14Aを1点鎖線で示す位置)から互いに平行移動して、対向しなくなる所(位置)までずれた位置に配置される。
【0034】
更に、
図4及び
図5に示すように、連結部14Cは、第1部材14AのエッジX(端面X)と第2部材14BのエッジY(端面Y)とのうち、互いにもっとも近接しているエッジ同士を連結している。即ち、連結部14Cは第1部材14Aのエッジ上端部と第2部材14Bのエッジ下端部とを連結している。
【0035】
そして、破断部14を破断するときには、第1部材14Aを矢印方向S(破断方向と同義)に引っ張って、第1部材14Aを、第2部材14Bと対向する位置に移動する方向、または、対向する部分の面積が増加する方向である破断方向に力を加える。即ち、第1部材14Aを1点鎖線で示した方向に移動させる。これにより、連結部14Cが破断される。
【0036】
図4及び
図5における連結部14Cの長さLは、短ければ短いほど好ましく、0mmを超えて連結部14Cの厚み寸法以下であることが好ましく、さらに連結部14Cの厚み寸法の半分以下であることが一層好ましい。連結部14Cの長さLが0mmの場合には、破断部14の破断のために第1部材14Aを矢印方向Sに移動させる際に、第1部材14AのエッジXと第2部材14BのエッジYとが擦れてしまい、スムーズな移動を阻害する。また、連結部14Cの長さLが連結部14Cの厚み寸法の半分以下を超えて長くなると、連結部14Cの剛性が減少して高い可撓性や塑性変形性を有するようになるので、破断部14の破断の際に破断しにくくなる。
【0037】
また、
図4に示すように、第1部材14A及び第2部材14BのエッジX,Yは、第1部材14Aの移動方向Sと平行な端面(角度がゼロ)を形成することが好ましい。また、
図5のように、第1部材14Aの移動方向Sに対して第1部材14A及び第2部材14BのエッジX,Yを傾斜させる場合には、第2部材14BのエッジYの傾斜角度αよりも第1部材14AのエッジXの傾斜角度βを大きくすることが好ましい。
【0038】
また、
図1〜
図3に示すように、第1部材14Aの表面(
図1の場合には上面)には、第1部材14Aに対して破断方向に力を加えるためのプルリング22が支柱22Aを介して接続される。
【0039】
これにより、容器本体の内容物(例えば液体や粉体)を一度も消費していない初期状態においては、破断部14は外筒18及び吐出部20との中空部分を遮断している。したがって、容器本体は密封されている。そして、プルリング22を引っ張ることにより、第1部材14Aに対して破断方向に力が加えられ、連結部14Cが破断して第1部材14Aがキャップ本体部12から脱離する。これにより、容器本体の密封状態が開放される。
【0040】
図1及び
図2に示すように、上蓋16は、天面16Aが閉鎖された外筒蓋16Bと、外蓋筒16Bの内側に設けられた内筒蓋16Cとで二重筒構造に形成される。また、上蓋16とキャップ本体12とは、柔軟性を有する接続部17によって接続される。そして、キャップ本体部12に対して上蓋16を閉成する場合には、上蓋16の内筒蓋16Cが吐出部20の内周面に接するように納められる。更に、外筒18の嵌合部18Eに上蓋16が嵌合することで、内筒蓋16Cと吐出部20とが圧接するようにして弾性的に付勢される。これにより、破断部14が破断されて第1部材14Aがキャップ本体部12から脱離された状態であっても、容器本体に充填されている内容物が吐出部20から流出しないようにできる。
【0041】
次に、破断部14を破断させる本発明の破断メカニズムと、背景技術の欄で述べた隔壁(破断される部分)にV字溝を形成した従来の破断メカニズムとの違いについて説明する。
図6は、従来の破断メカニズムを説明するための隔壁24(破断される部分)の図であり、第1部材24Aと第2部材24Bとの間にV字溝24Dが形成され、これにより第1部材24Aと第2部材24Bとを連結する薄肉な連結部24Cが形成される。
【0042】
上記説明した本発明における
図4及び
図5の破断部14と、従来における
図6の隔壁24との違いは、
図4及び
図5で説明したように、破断部14の連結部14Cは第1部材14Aのエッジ上端部と第2部材14Bのエッジ下端部とを連結しているのに対して、隔壁24の連結部24Cは第1部材24Aのエッジ上端部と第2部材24Bのエッジ上端部を連結している、即ち、隔壁24は、第1部材24A、連結部24C、第2部材24Bの表面(
図6の上面)が面一になっていることである。
【0043】
図7は従来の破断メカニズムの説明図である。
図7(A)に示すように、隔壁24を破断するためにプルリング22を引っ張る場合、引張力の作用点Mはプルリング22の支柱22Aの根元の第1部材24Aと連結部24Cとの境界位置となり、支点Nは作用点Mから最も遠い位置の連結部24Cと見なすことができる。なお、キャップ本体12は容器本体に嵌合し、容器本体は人の手により固定されているので、第2部材24Bは引張力に対して動かないものとする。即ち、第2部材24Bと連結部24Cとの境界位置が反力の作用点P(連結部14Cの復元力の起点)になる。
【0044】
そして、
図7(B)に示すように、プルリング22を矢印方向Sに引っ張ると、
図7(C)の拡大図に示すように、作用点Mと反力の作用点Pとの距離が離れようとする方向に背中合わせの力S1,S2が働く。即ち、連結部24Cを引き伸ばそうとする張力が働く。
【0045】
しかし、プラスチック材料のような塑性材料は張力に対しては比較的大きな耐性を有するため、連結部24Cが引き伸ばされて破断する(引きちぎる)までに大きな張力を必要とする。
【0046】
これに対して、
図8は本発明における破断メカニズムの説明図である。本発明の破断メカニズムにおける、作用点M、支点N、反力の作用点P(連結部14Cの復元力の起点)の位置を、
図8(A)に示す。そして、
図8(B)に示すように、プルリング22を矢印方向Sに引っ張ると、第1部材14Aは第2部材14Bに対して、全く対向していない位置(
図5の状態)又は連結部14Cの厚み分だけ対向している位置(
図4の状態)から、対向する面積が大きくなるように移動する。即ち、第2部材14Bに対する第1部材14Aの移動によって、作用点Mと反力の作用点Pとが近接した状態で反対方向に擦れ違うことになる。これにより、
図8(C)の拡大図に示すように、薄肉な連結部14Cに対して平行な逆向の力S1、S2が付与される。したがって、第1部材14AのエッジXと第2部材のエッジYとの隙間に挟まれる連結部14Cに対してずれを生じさせる剪断力を付与することができる。
【0047】
プラスチック材料のような塑性材料は剪断力に対しては比較的耐性が小さいため、従来の破断メカニズムで必要であった破断強さよりも小さな力で連結部14Cを破断することができる。
【0048】
この破断メカニズムは、第1部材14AのエッジXで形成される刃と、第2部材14BのエッジYで形成される刃とにより、連結部14Cを切断する鋏のメカニズムに近いので、連結部14Cを小さな力で破断することが可能となる。この場合、連結部14Cの長さLが短いほど剪断効率が大きくなり、小さな力で連結部14Cを破断することができる。
【0049】
[本発明の第2の実施の形態]
図9、
図10、
図11は、本発明の包装部材の第2の実施の形態であり、包装部材が容器の口に装着されるキャップであって、キャップを容器本体の口から分離して分別廃棄するためのサイドスコア構造に、本発明の特徴である破断部の構成を適用した場合である。したがって、第1の実施の形態における破断部14と区別するために、第2の実施の形態の破断部は、分別用破断部30と言うことにする。
【0050】
図9はキャップ100の斜視図であり、
図10は
図9のc−c線に沿った断面斜視図であり、
図11は
図10の楕円状の一点鎖線で囲んだ部分を拡大した分別用破断部30の要部断面図である。第2の実施の形態のキャップ100は、キャップ本体部12における外筒18の外殻部18Aにサイドスコア構造の分別用破断部30を設けた点で第1の実施の形態と相違し、その他の構成は同様である。したがって、第2の実施の形態のキャップ100の説明では、外殻部18Aの構成について説明し、その他の構成の説明は省略する。
【0051】
図9〜
図11に示すように、中空円筒状に形成された外殻部18Aの下側部分に分別用破断部30が一体的に形成される。即ち、分別用破断部30は、分別用破断部30を破断することによりキャップ本体部12から脱離されるC字型の円弧形状に形成された第1部材30Aと、外殻部18Aの中空円筒形状から第1部材30Aの円弧形状を切り取った形状の第2部材30Bと、第1部材30Aと第2部材30Bとを連結する薄肉な連結部30C(破線で示す部分)とで構成される。そして、第1部材30Aは第2部材30Bよりも内径寄り(内径が小さい)に配置されている。
【0052】
第1部材30Aには、指でつかんで引っ張るための摘み部30Dを有する。摘み部30Dの代わりに、指で引っかけて引っ張るためのリング状の引っかけ部(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0053】
なお、第1部材30Aは、円弧形状にすることに限定されず、外殻部18Aの略中央高さ位置の全周に薄肉な連結部30Cを形成して、連結部30Cの上側部分を第2部材30Bとし、下側部分を第1部材30Aとすることもできる(以下、「全周型」という)。また、分別用破断部30の破断の際の軽快性を良くするために、薄肉な連結部30Cに断続的に切欠き孔を形成することが好ましい。
【0054】
更に、少なくとも第1部材30Aには、容器本体の口に嵌合して接合するための接合手段を有する。本実施の形態では、接合手段として、少なくとも第1部材30Aの内周面側の下端部に円弧状の稜線部30Eを形成して、この稜線部30Eが容器本体の口に嵌まるようにした。これにより、キャップ100と容器本体の口とが強固に接続され、搬送時や内容物の消費時に容器本体からキャップ100が脱離することを防止する。
【0055】
なお、第1部材30AをC字型の円弧形状に形成する場合には、稜線部30Eは第1部材30Aと第2部材30Bの両方の下端部に形成することが好ましい。また、第1部材30Aを全周型にする場合には、第1部材30Aの下端部に稜線部30Eを形成する。
【0056】
これにより、
図10に示すように、摘み部30Dを矢印方向Sに引っ張ることにより、
図11に示すように、薄肉な連結部30Cに対して平行な逆向の力S1、S2が付与される。したがって、第1部材30AのエッジXと第2部材30BのエッジYとの隙間に挟まれる連結部30Cに対してずれを生じさせる剪断力を付与することができる。
【0057】
この結果、第1の実施の形態の
図8で説明した、本発明の破断メカニズムと同様に、従来の破断メカニズムで必要であった破断強さよりも小さな力で連結部30Cを破断することができる。
【0058】
したがって、
図12に示すように、分別用破断部30が破断されるので、第1部材30Aがキャップ本体部12から脱離され、外筒18と容器本体の口と接合がゆるむので、キャップ100を容器本体の口から分離させて分別廃棄することができる。
【0059】
[本発明の第3の実施の形態]
上記説明した第1の実施の形態及び第2の実施の形態は、引っ張り力によって破断部14や分別用破断部30を破断するように構成されたものであるが、押し込み力によって破断部を破断するようにしてもよい。
【0060】
図13は、押し込み力によって破断部を破断する包装部材40の一例であり、
図13(A)は斜視図、
図13(B)は部分断面斜視図である。
なお、第1の実施の形態の破断部14及び第2の実施の形態の分別用判断部30と区別するために、第3の実施の形態の破断部を押込用破断部44という。また、
図14は、
図13の丸い一点鎖線で囲んだ部分を拡大した押込用破断部44の要部断面図である。
【0061】
図13に示すように、包装部材40は、上面が開放され箱状の容器本体42と、容器本体42に被さるドーム状の押込用破断部44とで構成される。包装部材40には、例えばお菓子等が入っている。
【0062】
なお、容器本体42と押込用破断部44とは別部材として形成されてもよく、あるいは一体形成されてもよい。そして、押込用破断部44は、第1部材44A、第2部材44B、及び第1部材44Aと第2部材44Bとを連結する薄肉な連結部44Cとで構成されるとともに、第1部材44Aの表面は第2部材44Bの表面よりも外側に張り出している。
【0063】
即ち、
図14に示すように、第1部材44Aが第2部材44Bよりも外側に配置された段差形状を成すとともに、第1部材44Aを矢印方向Q(破断方向と同義)である内側に向けて移動させることにより、押込用破断部44が破断されるように構成される。また、第1部材44Aの所定位置には、押し込み力を付与する位置を示す凹凸状のマーク44Dが形成される。
【0064】
上記の如く構成された包装部材40によれば、
図14に示すように、第1部材44Aのマーク44Dの位置を矢印方向Qに押し込むことにより、薄肉な連結部44Cに対して平行な逆向の力Q1、Q2が付与される。したがって、第1部材44AのエッジXと第2部材44BのエッジYとの隙間に挟まれる連結部44Cに対してずれを生じさせる剪断力を付与することができる。
【0065】
これにより、第1の実施の形態の
図8で説明した、本発明の破断メカニズムと同様に、従来の破断メカニズムで必要であった破断強さよりも小さな力で連結部44Cを破断することができる。これにより、包装部材40に入っているお菓子等を取り出すことができる。
【0066】
なお、
図13、
図14では、第1部材44Aを外側から内側に押し込むようにしたが、包装部材40の中に指を入れることが可能なものでは、第1部材44Aを内側から外側に押し上げることで連結部44Cを破断する構成も可能である。
【0067】
[本発明の第4の実施の形態]
図15は、押し込み力によって破断部を破断する包装部材40の一例として、プッシュオープン式のキャップ50の縦断面斜視図を示すものである。
図15に示すように、プッシュオープン式のキャップ50は、キャップ本体部52と、キャップ本体部52の一部を構成し、力を加えることにより破断する破断部54と、を備える。
【0068】
キャップ本体部52は、図示しない容器本体(ボトル部分)の口に嵌合して接続される中空円筒状の外筒58を有する。外筒58は、容器本体の口の外周面に接する外殻部58Aと口の内周面に接する内殻部58Bとによるリング状の嵌合溝58Cが形成されるとともに、外殻部58Aの下端部内周面には稜線部58Dが形成される。
【0069】
そして、キャップ本体部52の嵌合溝58Cに容器本体の口が挿入されることにより、キャップ本体部52が容器本体の口に嵌め込まれる。また、内殻部58Bの内周面に形成される中空円筒部分が破断部54を破断したときに、容器本体の内容物を出すための吐出部60となる。
【0070】
破断部54は、破断部54を破断することによりキャップ本体部52から脱離される円板状の第1部材54Aと、吐出部60の内周面に沿って形成されたリング板状の第2部材54Bと、第1部材54Aと第2部材54Bとを連結する薄肉な連結部54Cとで構成されるとともに、第1部材54Aの表面は第2部材54Bの表面よりも外側に張り出している。
【0071】
上記の如く構成されたプッシュオープン式のキャップ50の場合も、第3の実施の形態における
図14で説明したと同様に、第1部材54Aを押し込むことにより、薄肉な連結部54Cに対して平行な逆向の力Q1、Q2が付与される。したがって、第1部材54AのエッジXと第2部材54BのエッジYとの隙間に挟まれる連結部54Cに対してずれを生じさせる剪断力を付与することができる。これにより、第1の実施の形態の
図8で説明した、本発明の破断メカニズムと同様に、従来の破断メカニズムで必要であった破断強さよりも小さな力で連結部54Cを破断することができる。なお、
図15では、キャップ本体部52に被せる上蓋16(
図1参照)は設けなかったが、設けるようにすることもできる。
【0072】
[本発明の第5の実施の形態]
図16及び
図17は、第2の実施の形態で説明したキャップ100におけるサイドスコア構造の変形例を示すものであり、
図16は斜視図、
図17は
図16のd−d線に沿った断面図である。
【0073】
そして、第2の実施の形態とは、キャップ本体部12のサイドスコア構造が形成される外殻部18Aが相違し、その他の構成は同一である。したがって、
図16及び
図17では、第2の実施の形態と同一の部材には、同じ符号を付して説明するとともに、第2の実施の形態と重複する説明は省略する。
【0074】
図16及び
図17に示すように、中空円筒状の外殻部18Aに、分別用破断部30が一体的に形成される。即ち、外殻部18AはC字型をした円弧形状の第2部材30Bと、第2部材30BのC字型の切れ目を補充するとともに、分別用破断部30を破断することによりキャップ本体部12から脱離される第1部材30Aと、第1部材30Aと第2部材30Bとを連結する薄肉な連結部30Cとで形成される。第1部材30Aの表面H2は第2部材の表面H1よりも内径寄りに配置されているとともに、連結部30Cは、第1部材30Aのエッジと第2部材30Bのエッジのうち、互いに近接しているエッジ同士を連結している。即ち、内径寄りに配置された第1部材30Aは、外径寄りに配置された第2部材に対して段差Wを有して連結部30Cに連結される。
【0075】
また、第1部材30Aの下端部には、分別用破断部30を破断する際に指で摘む摘み部30D(
図16参照)が形成される。上記の如く構成された第5の実施の形態のキャップ100によれば、第1部材30Aの摘み部30Dを指で摘んで矢印方向Sに引っ張ることにより、第1部材30A両端の連結部30Cが下から上に向かって破断される。これにより、キャップ本体部12の外殻部18Aから第1部材30Aが脱離されるので、外殻部18AにはC字型の第2部材30Bのみが残存することになる。これにより、容器本体の口に対するキャップ本体部12の接合手段(
図10の稜線部30E参照)の接合力がゆるむので、容器本体の口からキャップ本体部12を容易に取り外して分別することができる。
【0076】
この第5の実施の形態の場合にも、分別用破断部30は、
図8における本発明の破断メカニズムが適用されるので、従来の破断メカニズムに必要であった破断強さよりも小さな力で連結部30Cを破断することができる。なお、連結部30Cは、単に薄肉にしてもよいが、断続的に図示しない切欠き孔を形成することにより、より小さな力で連結部30Cを破断することができる。
【0077】
(包装部材の定義)
上記したキャップ等は包装部材の一例であり、本発明は以下に述べる包装部材の定義に該当する全てのものに適用することができる。
【0078】
包装とは、物品の大部分または全てに対して覆いを設けて外部から遮蔽することにより、搬送時や販売時、保管時等における物品の形状、状態や性質、品質等の価値を維持する措置、または物品の散乱、流出、揮発や拡散等の物理的移動を阻止・制限する措置、または物品の審美性や秘匿性を高める措置をいう。
【0079】
したがって、包装部材とは、上記包装の措置をとるための覆い部材を言い、物品の形状を維持するための包装(ブリスターパック等)、物品の状態や性質を維持するための包装(耐圧ボトルや保温容器等)、物品の品質を維持するための包装(各種密閉容器、レトルトパウチ等)、物品の散乱を防止・制限する包装(化粧用コンパクト容器等)、物品の流出を防止・制限する包装(ボディーソープ容器等)、物品の揮発や拡散を防止・制限する包装(マーカーペン筒等)、物品の審美性を高める包装(化粧用品等のオーバーキャップ、ギフト包装等)、物品の秘匿性を高める包装(福袋、カプセルトイ等)が含まれる。また、包装部材の材質としては上記実施の形態のようにプラスチックが一般的であるが、紙、金属、繊維、セラミクス、ガラス等であってもよい。