特許第6153448号(P6153448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6153448エレクトレットコンデンサヘッドホンユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153448
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】エレクトレットコンデンサヘッドホンユニット
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/01 20060101AFI20170619BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   H04R19/01
   H04R1/10 101Z
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-219189(P2013-219189)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-82723(P2015-82723A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(72)【発明者】
【氏名】秋野 裕
【審査官】 岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−117799(JP,A)
【文献】 特開昭50−090320(JP,A)
【文献】 特開昭56−029600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
11/00−11/06
11/14−15/02
19/00−19/04
21/00−21/02
23/00−23/02
31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板と、この振動板に対向して配置され表面にエレクトレット層が設けられている固定極とを備え、上記振動板を挟んで両側に上記固定極が配置され、両側の上記固定極間に音声信号が入力されるエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットであって、
上記固定極は、絶縁板と、この絶縁板の両面に独立して配置された電極板と、この電極板および上記絶縁板を含む上記固定極全体を覆って形成されたエレクトレット材料と、を有してなり、
上記振動板は2枚が互いに平行に配置され、
上記各振動板を挟んで上記固定極が配置され、
上記各固定極の少なくとも上記振動板との対向面にあるエレクトレット材料は帯電されてエレクトレット層になっており、
上記各固定極の上記エレクトレット層は、音声信号が上記各固定極の上記電極板に入力されることにより上記2枚の振動板を同期的に同じ向きに駆動するように構成されているエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【請求項2】
エレクトレット層の極性は、すべての固定極において同じ向きである請求項1記載のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【請求項3】
2枚の振動板と3つの固定極が、固定極、振動板、固定極、振動板、固定極の順に配置されている請求項1または2記載のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【請求項4】
両外側に配置された2つの固定極において、それぞれの外側に位置する電極板には音声信号が入力されない請求項3記載のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【請求項5】
両外側に配置された2つの固定極において、それぞれの外側に位置する電極板は接地されている請求項3記載のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【請求項6】
各固定極には音波を通すための孔が形成され、上記孔の周囲の壁面もエレクトレット材料で覆われている請求項1乃至5のいずれかに記載のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【請求項7】
エレクトレット材料は、有機エレクトレット材料からなる請求項1乃至6のいずれかに記載のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【請求項8】
音声信号入力用のトランスをさらに有し、トランスの2次巻き線から音声信号が入力される請求項1乃至7のいずれかに記載のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【請求項9】
上記2次巻き線はセンタータップを有し、このセンタータップは、両外側に配置された固定極において、それぞれの外側に位置する電極板に接続されている請求項8記載のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【請求項10】
固定極は、両面に導電パターンが形成された両面プリント配線基板をベースとして構成され、上記導電パターンが電極板を構成し、上記電極板を含む両面プリント配線基板全体がエレクトレット材料で覆われている請求項1乃至9のいずれかに記載のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面に独立した電極を持つ絶縁板を固定極とし、この固定極の表面にエレクトレット層を設けた、いわゆるプッシュプル型のエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
静電力を利用して振動板を振動させ、音声信号を音波に変換するコンデンサ型ヘッドホンがある。コンデンサ型ヘッドホンは、振動板と固定極を対向させて配置した構造になっていて、振動板と固定極との間に300〜600Vというような高電圧の成極電圧を印加するとともに、振動板と固定極との間に音声信号を入力する構成になっている。入力される音声信号に応じて振動板と固定極との間の静電力が変化し、静電力の変化に応じ振動板が振動して音波が放射される。
【0003】
コンデンサ型ヘッドホンから放射される音波の音圧は、振動板と固定極との間に印加される成極電圧と入力される音声信号の電圧に依存する。しかし、振動板と固定極との間に印加される成極電圧は、空気の絶縁破壊電圧以上になると振動板と固定極との間で放電するので、上記絶縁破壊電圧以下に制限される。また、入力される音声信号に応じ振動板が振動して振動板と固定極との間隔が狭まったとき、振動板と固定極との間で火花放電が生じないように、音声信号の入力電圧レベルが制限される。このような要因によって、コンデンサ型ヘッドホンから出力することができる音圧は制限を受ける。
【0004】
そこで、音声信号の一定の入力電圧レベルに対して約2倍の音圧出力を得ることができるように、振動板と固定極からなるコンデンサヘッドホンエレメントを、音響的に直列に配置することが提案されている。図5は、その例を示す。
【0005】
図5において、符号101はコンデンサヘッドホンエレメント(以下、単に「エレメント」という)を示している。2つのエレメント101が適宜の空間をおいて互いに平行に対向して配置され、コンデンサヘッドホンユニット100を構成している。各エレメント101は、振動板103とこの振動板103を挟んで両側に対向させて配置された固定極102を有してなる。したがって、コンデンサヘッドホンユニット100は、固定極102、振動板103、固定極102、固定極102、振動板103、固定極102がこの順に配置されることによって構成されている。各固定極102は、音波を通すための複数の孔124を有している。振動板103は外周縁部が保持リング131によって保持されている。
【0006】
振動板103には成極電圧として外部から直流の高電圧が印加され、固定極102に音声信号が入力される。具体的な電気的接続は以下の通りである。音声信号5はトランス6で昇圧されてコンデンサヘッドホンユニット100に入力される。トランス6の2次コイルはセンタータップ61を有し、センタータップ61を起点とする直流電圧源8が高抵抗9を経て各振動板103に接続されている。直流電圧源8は例えば500V程度の高電圧を出力し、この高電圧が成極電圧として各振動板103に印加される。トランス6の2次コイルの両端から音声信号の+側と−側が出力される。図5に示す例では、音声信号の+側が各振動板103の右側に位置する固定極102に接続され、音声信号の−側が各振動板103の左側に位置する固定極102に接続されている。換言すれば、それぞれの振動板103を挟んで両側に配置されている固定極102間に音声信号が入力される。
【0007】
図5に示す従来例において、音声信号5がトランス6を経てコンデンサヘッドホンユニット100に入力されると、音声信号5に対応して各エレメント101において静電力が同じ向きに生じる。したがって、一方のエレメント101で生じる音圧が他方のエレメント101で生じる音圧に重畳され、1つだけのエレメント101で生じる音圧の約2倍の音圧出力を得ることができる。
【0008】
しかし、上記従来のコンデンサヘッドホンユニットによれば、2つの振動板103の間に2つの固定極102が介在するため、2つの振動板103の間に存在する空気室の容積が大きくなる。この空気室の容積が大きくなると、2つの振動板103間の音響容量が大きくなるため、2つの振動板103による音圧重畳効果が低下し、コンデンサヘッドホンユニットの音圧出力が低下する難点がある。
【0009】
図5に示すコンデンサヘッドホンユニットの成極電圧印加回路に近似の回路を備えたコンデンサヘッドホンの例が特許文献1に記載されている。特許文献1記載のコンデンサヘッドホンは、ユーザーが成極電圧に感電しないように、使用状態においてユーザーの耳側に位置する固定電極が接地に接続されることを特徴とするものである。
【0010】
図5に示す従来のコンデンサヘッドホンユニットは、振動板と固定極との間に高電圧の成極電圧を印加するために、高電圧電源あるいは高電圧生成回路を設ける必要がある。しかし、エレクトレット材料を用いれば、振動板と固定極との間に300〜600Vというような高電圧の成極電圧を生成することができ、高電圧電源あるいは高電圧生成回路は不要になる。エレクトレット材料は電荷を閉じ込めることができる誘電体で、この誘電体を電極で挟み電極間に高電圧を加えると、電極表面に電荷が移動し、誘電体内部に電気双極子ができる。その後電極板間をショートしても、誘電体内部の電気双極子は残り、エレクトレット状態が維持される。
【0011】
固定極の表面にエレクトレット層を形成する方法が特許文献2に記載されている。特許文献2記載の発明は、エレクトレットコンデンサヘッドホンユニットの製造方法に関するもので、独特の方法で固定極の表面にエレクトレット層を形成するものである。特許文献2記載のエレクトレット層形成方法によれば、例えば、固定極に約−600V、振動板に約+600Vの表面電位を持たせることができ、振動板と固定極との間に印加する電圧源が不要となる。
【0012】
図5に示すように2つのエレメント101を音響的に直列に配置し、特許文献2に記載されているようなエレクトレットを用いれば、音圧出力の高いエレクトレットコンデンサヘッドホンが得られるはずである。しかしながら、このようなエレクトレットを図5のエレクトレットコンデンサヘッドホンに適用しても、依然として2つの振動板の間に2つの固定極が介在するため、前述のように空気室の容積が大きくなる。従って、2つの振動板による音圧重畳効果が低下して、音圧出力が低下する難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4533782号公報
【特許文献2】特許第4659703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、以上説明した従来のエレクトレットコンデンサヘッドホン技術に鑑みてなされたもので、高出力のエレクトレットコンデンサヘッドホンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、
振動板と、この振動板に対向して配置され表面にエレクトレット層が設けられている固定極とを備え、上記振動板を挟んで両側に上記固定極が配置され、両側の上記固定極間に音声信号が入力されるエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットであって、
上記固定極は、絶縁板と、この絶縁板の両面に独立して配置された電極板と、この電極板および上記絶縁板を含む上記固定極全体を覆って形成されたエレクトレット材料と、を有してなり、
上記振動板は2枚が互いに平行に配置され、
上記各振動板を挟んで上記固定極が配置され、
上記各固定極の少なくとも上記振動板との対向面にあるエレクトレット材料は帯電されてエレクトレット層になっており、
上記各固定極の上記エレクトレット層は、音声信号が上記各固定極の上記電極板に入力されることにより上記2枚の振動板を同期的に同じ向きに駆動するように構成されていることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
固定極は、絶縁板の両面に独立して配置された電極板を有し、これらの電極板はエレクトレット材料で覆われているため、一つの固定極の両側に振動板を配置し、各振動板の外側にはさらに別の固定極を対向させて配置することができる。2枚の振動板の両側に固定極があり、各固定極のエレクトレット層は、音声信号の入力により振動板を同期的に同じ向きに駆動するように構成されているため、一方の振動板の振動による音圧が他方の振動板の振動による音圧に重畳される。2枚の振動板間には、これらの振動板を駆動するための固定極が配置され、2枚の振動板間の空気室の容積は小さいため、上記2つの振動板の振動による音圧が効率よく重畳される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットの実施例1を示す縦断面および電気回路図である。
図2】本発明に係るエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットの実施例2を示す縦断面および電気回路図である。
図3】上記実施例中の固定極を拡大して示す縦断面図である。
図4】上記固定極の一部をさらに拡大して示す縦断面図である。
図5】従来のコンデンサヘッドホンユニットの例を示す縦断面および電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットの実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0019】
図1において、符号1はエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットを示している。エレクトレットコンデンサヘッドホンユニット1は、振動板3と、この振動板3に適宜の間隔をおいて対向して配置され表面にエレクトレット層23が設けられている固定極2とを備えている。図1に示す例では、2枚の振動板3と3つの固定極2が、固定極2、振動板3、固定極2、振動板3、固定極2の順に配置されている。1つの振動板3とこれを挟んで両側に配置された2つの固定極2によって1つのエレクトレットコンデンサヘッドホンエレメントを構成し、実質的に2つのエレメントが音響的に直列に配置されている。中央の固定極2は2つの振動板3に対して共通に作用する。
【0020】
図示されていないが、各固定極2は円板形、各振動板3は円形のフィルム状になっていて、図1にはこれらの縦断面が示されている。各振動板3は、適宜の張力が与えられた状態で周縁部が保持リング31で保持されている。
【0021】
図3図4に示すように、各固定極2は、絶縁板21と、絶縁板21の両面に独立して配置された電極板22と、電極板22および絶縁板21を含む固定極2全体を覆って形成されたエレクトレット層23と、を有してなる。各固定極2は、両面に導電パターンが形成された両面プリント配線基板をベースとして構成することができる。すなわち、プリント配線基板の絶縁基板が絶縁板21を構成し、絶縁基板の両面に形成されている導電パターンが電極板22を構成する。導電パターンからなる電極板22は、絶縁板21の一面と他方の面全面にベタの導電パターンとして形成されている。振動板3の振動によって放射される音波が固定極2を通り抜けるように、固定極2には電極板22も貫通して複数の孔24が形成されている。
【0022】
エレクトレット層23は、既に述べた通り、誘電体からなるエレクトレット材料を電極で挟み、電極間に高電圧を加えることによって、電荷が閉じ込められており、成極電圧源がなくても高電圧を保持している。電極板22および絶縁板21を含む固定極2全体をエレクトレット材料で覆うために、流動性を持たせた液状のエレクトレット材料の中に固定極2全体を浸漬するとよい。エレクトレット材料の中から固定極2を引き上げ、エレクトレット材料を滴下させて、固定極2を構成する両面プリント配線基板の表面全体にエレクトレット材料層を形成する。これによって上記孔24の周囲の壁面もエレクトレット材料で覆われる。
【0023】
エレクトレット材料として、有機質材料と無機質材料があり、それぞれ特徴を備えている。本発明では、エレクトレット材料で固定極全体を覆うため、エレクトレット層の厚みは制限されない。したがって、厚膜化が容易な有機エレクトレット材料、例えばフッ素樹脂などを用いるとよい。実施例においては、エレクトレット材料として、旭硝子株式会社製のCYTOP(CTL−107MK)を使用した。
【0024】
固定極2の平面を覆うエレクトレット材料を電極で挟み込み、電極間に高電圧を加えることによってエレクトレット層23が形成される。エレクトレット層23を形成する際の一方の電極として電極板22を利用することができる。エレクトレット層23を形成する際の極性はすべての固定極2において同じ向きとする。例えば、図4に示すように、固定極2の縦断面における左右のエレクトレット層23の極性はともに右側が−、左側が+となるように電荷を分極させる。
【0025】
図1に示すように、エレクトレット層23を上記のように形成した3つの固定極2を配置し、2枚の振動板3をそれぞれ2つの固定極2間に配置する。そして、2枚の振動板3のそれぞれ右側に位置する各固定極2の振動板3側の電極板22に音声信号の+側を入力し、2枚の振動板3のそれぞれ左側に位置する各固定極2の振動板3側の電極板22に音声信号の−側を入力する。この実施例では、音声信号5が音声信号入力用のトランス6で昇圧され、トランス6の2次巻き線から出力される音声信号の+側と−側が上記のように入力される。したがって、それぞれの振動板3を挟んで配置されている両側の固定極2間に音声信号が入力されるように接続されている。
【0026】
各固定極2の両面のエレクトレット層23に、図4に示すように電荷を分極させた状態で、図1に示すように音声信号を入力するものとする。また、2枚の振動板3は+に帯電しているものとする。順方向の音声信号が入力された瞬間を考えると、2枚の各振動板3の右側に位置するエレクトレット層23に+電圧が加算され、各振動板3には右側に反発力が生じる。一方、2枚の各振動板3の左側に位置するエレクトレット層23には−電圧が加算され、各振動板3には左側に吸引力が生じる。
【0027】
逆方向の音声信号が入力された瞬間を考えると、2枚の各振動板3の左側に位置するエレクトレット層23に+電圧が加算され、各振動板3には左側に反発力が生じる。一方、2枚の各振動板3の右側に位置するエレクトレット層23には−電圧が加算され、各振動板3には右側に吸引力が生じる。なお、図3図4の下側に示す引き出し線は、2つの振動板3間に配置された中央の固定極2において、両面の電極板22にそれぞれトランス6の2次巻き線を通して印可される音声信号5の極性を示している。
【0028】
このようにして、2枚の振動板3は、音声信号5に応じて同期的に同じ向きに駆動されるため、一方の振動板3の振動によって生成される音圧が、他方の振動板3の振動によって生成される音圧に加算される。また、2枚の振動板3の間には、固定極2が介在して、2枚の振動板3の間の空間の容積が制限されているため、一方の振動板3によって生成される音圧が他方の振動板3の振動によって生成される音圧に効率よく加算される。さらに、2枚の振動板3の間に介在する上記固定極2は上記2枚の振動板3の駆動力を生成するため、2枚の振動板3の駆動によって生じる音圧を効果的に高めることができる。
【0029】
前にも述べた通り、各固定極2に音波を通すために形成した孔24の周囲の壁面も、面と面がつながる角の部分も、エレクトレット材料で覆われている。エレクトレット材料は絶縁体であり、体積抵抗率と表面抵抗率が高いため、固定極2相互が近接していても、固定極2相互間の火花放電を防止することができる。
【0030】
互いに平行に配置されている3つの固定極2のうち両外側に位置する固定極2すなわち2つの固定極2において、それぞれ外側に位置する電極板22には音声信号は入力されず、電気的には浮いた状態になっていて、電気音響変換作用には寄与していない。したがって、両外側に位置する固定極2の、外側に位置するエレクトレット材料には帯電させなくてもよい。換言すれば、各固定極2の少なくとも振動板3との対向面にあるエレクトレット材料がエレクトレット層になっていればよい。
【実施例2】
【0031】
図2に、本発明に係るエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットの実施例2を示す。実施例2に係るエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットの構造は実施例1とほぼ同じであり、電気的な接続のみが異なるものであるため、電気的な接続部分を重点的に説明する。実施例1の構成と同じ部分には共通の符号を付している。
【0032】
図2において、音声信号を昇圧してエレクトレットコンデンサヘッドホンユニット1に入力するトランス6は、2次巻き線にセンタータップ61を有している。このセンタータップ61は、互いに平行に配置されている3つの固定極2のうち最外側に位置する2つの固定極2の、それぞれ外側に位置する電極板22に接続されかつ接地されている。このような電気的接続以外は実施例1と構成および動作は同じである。
【0033】
実施例2によれば、ヘッドホンの使用時にユーザーの耳の近くに位置する固定極2のエレクトレット層が接地されているため、ヘッドホンの使用時にユーザーの耳とエレクトレット層との間で放電することを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るエレクトレットコンデンサヘッドホンユニットは、これを適宜のハウジングに組み込むことによりエレクトレットコンデンサヘッドホンを構成することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 エレクトレットコンデンサヘッドホンユニット
2 固定極
3 振動板
5 音声信号源
6 トランス
21 絶縁板
22 電極板
23 エレクトレット層
24 孔
31 保持リング
61 センタータップ
図1
図2
図3
図4
図5