特許第6153617号(P6153617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6153617-フィーダ 図000002
  • 特許6153617-フィーダ 図000003
  • 特許6153617-フィーダ 図000004
  • 特許6153617-フィーダ 図000005
  • 特許6153617-フィーダ 図000006
  • 特許6153617-フィーダ 図000007
  • 特許6153617-フィーダ 図000008
  • 特許6153617-フィーダ 図000009
  • 特許6153617-フィーダ 図000010
  • 特許6153617-フィーダ 図000011
  • 特許6153617-フィーダ 図000012
  • 特許6153617-フィーダ 図000013
  • 特許6153617-フィーダ 図000014
  • 特許6153617-フィーダ 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153617
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】フィーダ
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-533813(P2015-533813)
(86)(22)【出願日】2013年8月26日
(86)【国際出願番号】JP2013072785
(87)【国際公開番号】WO2015029126
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 浩規
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広康
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−181816(JP,A)
【文献】 特開2011−211169(JP,A)
【文献】 特開2015−76586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の部品が搬送方向に連続的に収納され、前記搬送方向において前記部品と所定位置関係にある係合穴が前記搬送方向に一定のピッチ間隔で形成されたキャリアテープを挿入部から挿入し、前記部品が順次前記挿入部と反対側の供給位置に供給されるように前記キャリアテープを送給するフィーダであって、
本体と、
前記本体の前記挿入部に回転可能に設けられた下流側スプロケットと、
前記下流側スプロケットよりも前記搬送方向上流側に回転可能に設けられた上流側スプロケットと、を有し、
前記下流側スプロケットには、外周全周に渡って前記係合穴と係合する下流側係合突起が一定角度をおいて形成され、
前記上流側スプロケットには、外周の一部にのみ前記係合穴と係合する上流側係合突起が形成されているフィーダ。
【請求項2】
前記本体部に、前記下流側スプロケット及び前記上流側スプロケットを同期回転させる回転駆動部を設けた請求項1に記載のフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が収納されたキャリアテープを送給するためのフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1に示されるように、スプライシング作業を行うこと無く、キャリアテープに収納された部品を部品実装装置に供給するノンスプライシングフィーダが提案されている。このようなフィーダは、キャリアテープに形成された係合穴と係合するスプロケットが設けられ、当該スプロケットが回転することにより、キャリアテープが送給されるようになっている。特許文献1に示されるノンスプライシングフィーダには、挿入ゲートの近傍に挿入スプロケットが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−77096号公報(図4参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるノンスプライシングフィーダでは、供給されているキャリアテープが完全に送給されると、作業者は、新たなキャリアテープを挿入ゲートに差し込んでセットする。しかしながら、新たなキャリアテープの先頭部が挿入スプロケットに係合すると、新たなキャリアテープがフィーダ内に急激に引き込まれて、新たなキャリアテープを握っている作業者が体勢を崩したりする等の危険が有るという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安全に新たなキャリアテープをセットすることができるノンスプライジングフィーダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するためになされた、請求項1に係る発明によると、多数の部品が搬送方向に連続的に収納され、前記搬送方向において前記部品と所定位置関係にある係合穴が前記搬送方向に一定のピッチ間隔で形成されたキャリアテープを挿入部から挿入し、前記部品が順次前記挿入部と反対側の供給位置に供給されるように前記キャリアテープを送給するフィーダであって、本体と、前記本体の前記挿入部に回転可能に設けられた下流側スプロケットと、前記下流側スプロケットよりも前記搬送方向上流側に回転可能に設けられた上流側スプロケットと、を有し、前記下流側スプロケットには、外周全周に渡って前記係合穴と係合する下流側係合突起が一定角度をおいて形成され、前記上流側スプロケットには、外周の一部にのみ前記係合穴と係合する上流側係合突起が形成されている。
【0007】
このように、前記上流側スプロケットには、外周の一部にのみ前記係合穴と係合する上流側係合突起が形成されている。これにより、差し込まれた新たなキャリアテープの先端部に形成された係合穴に上流側スプロケットの上流側係合突起が係合すると、当該キャリアテープは間欠的に下流側スプロケット側に移動する。このため、新たなキャリアテープが急激に、下流スプロケット側に引き込まれないので、安全である。
【0008】
請求項2に係る発明によると、請求項1に記載の発明において、前記本体部に、前記下流側スプロケット及び前記上流側スプロケットを同期回転させる回転駆動部を設けている。
【0009】
同一の回転駆動部によって、下流側スプロケット及び上流側スプロケットを同期回転させたとしても、新たなキャリアテープが急激に下流スプロケット側に引き込まれない。このように、下流側スプロケット及び上流側スプロケットをそれぞれ回転させる回転駆動部を2つ設ける必要が無いので、フィーダのコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】部品実装装置の上視概略図である。
図2】キャリアテープの上面図である。
図3図2に示すキャリアテープのA−A断面図である。
図4】フィーダの分解側面図である。
図5】フィーダの挿入部を表した分解側面図である。
図6】フィーダの挿入部を表した分解側面図である。
図7】キャリアテープが第三スプロケット及び第四スプロケットに係合している状態を示した説明図である。
図8】キャリアテープが第三スプロケット及び第四スプロケットに係合している状態を示した説明図である。
図9】テープ剥離ユニットを取付けたノンスプライシングフィーダの斜視図である。
図10】テープ剥離ユニットの詳細を示す斜視図である。
図11】テープ剥離ユニットの側面図である。
図12図11のB−Bに沿って切断した断面図である。
図13図11のC−Cに沿って切断した断面図である。
図14】テープ剥離ユニットによってカバーテープを折り返した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(部品実装装置)
図1を用いて、本実施形態のフィーダ21が用いられる部品実装装置100について説明する。なお、以下の説明において、基板Bの搬送方向をX軸方向と称し、水平面内においてX軸方向に直角な方向をY軸方向と称し、X軸方向とY軸方向とに直角な方向をZ軸方向と称する。部品実装装置100は、基板搬送装置10と、部品供給部20、部品装着装置40、及びリール保持部50を有する。
【0012】
部品供給部20は、複数のスロット20aと、各スロット20aに着脱可能に装着される複数のフィーダ21と、から構成されている。スロット20aは、部品供給部20に、X軸方向に複数並列に設けられている。
【0013】
リール保持部50は、キャリアテープ900が巻回された第一リール810及び第二リール820を交換可能に保持するものである。第一リール810と第二リール820は、Y方向に並列して1つずつ配設されるとともに、各フィーダ21に対応してX方向に複数配設されている。
【0014】
キャリアテープ900は、多数の電子部品等の部品をキャリアテープ900の搬送方向に連続的に収容するものである。図2図3に示すように、キャリアテープ900は、ベーステープ901、カバーテープ902、ボトムテープ903とから構成されている。ベーステープ901は、紙材や樹脂等の柔軟な材料で構成されている。
【0015】
ベーステープ901幅方向の中央部には、長さ方向に一定ピッチP1(以下、部品ピッチP1と略す)をおいて、空間である収納部901aが貫通形成されている。この収納部901aに部品が収納される。ベーステープ901の側部には、長さ方向に一定ピッチP2(以下、穴ピッチP2と略す)をおいて、係合穴901bが貫通形成されている。なお、係合穴901bの形成位置と、収納部901aの形成位置とは関係がある。本実施形態では、穴ピッチP2の4倍が、部品ピッチP1となっている。
【0016】
カバーテープ902の両側部は、接着材902aによってベーステープ901上面の両側部に接着されている。カバーテープ902は、透明な高分子フィルムによって構成されている。
【0017】
図3に示すように、ベーステープ901下面には、ボトムテープ903が接着されている。このボトムテープ903によって、収納部901aに収納された部品の脱落が防止される。ボトムテープ903は、紙材や高分子フィルム等で構成されていて、透明又は半透明となっている。
【0018】
各フィーダ21には、第一リール810及び第二リール820に巻回されたキャリアテープ900が、それぞれ差し込まれている。そして、一方のリール810に巻回されたキャリアテープ900が、フィーダ21の後端部に設けられた挿入部21dから挿入され、フィーダ21によってフィーダ21の先端部(挿入部21dと反対側)に設けられた供給位置21aに順次送給される。このようにして、当該キャリアテープ900に保持された部品が供給位置21aに供給される。また、他方のリール820に巻回されたキャリアテープ900は、フィーダ21に差し込まれているが、フィーダ21によって送給されずに待機している。フィーダ21については、後で詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、基板搬送装置10には、部品装着装置40の基台41上に、それぞれ一対のガイドレール13a,13bが設けられている。また、基板搬送装置10は、これらガイドレール13a,13bによりそれぞれ案内される基板Bを支持して搬送する図略の一対のコンベアベルトが設けられている。また、基板搬送装置10には、所定位置に搬送された基板Bを持ち上げてクランプする図略のクランプ装置が設けられている。
【0020】
この基板搬送装置10では、部品を実装する基板Bは、ガイドレール13a,13bにより案内されつつコンベアベルトにより、X軸方向に部品実装位置まで搬送される。部品実装位置に搬送された基板Bは、クランプ装置によって部品装着位置に位置決めクランプされる。
【0021】
図1に示すように、部品装着装置40は、ガイドレール42、Y軸スライド43、Y軸サーボモータ(不図示)、X軸スライド45、X軸サーボモータ(不図示)、部品装着ヘッド48、吸着ノズル47(図11示)を有している。
【0022】
ガイドレール42、Y軸スライド43、及びY軸サーボモータとから、Yロボットが構成されている。ガイドレール42は、基台41上にY方向に装架されて基板搬送装置10の上方に配設されている。Y軸スライド43は、ガイドレール42に沿ってY軸方向に移動可能に設けられている。Y軸スライド43は、Y軸サーボモータの出力軸に連結されたボールねじを有するボールねじ機構によってY軸方向に移動される。
【0023】
X軸スライド45、X軸サーボモータから、Xロボットが構成されている。X軸スライド45は、Y軸スライド43に、X軸方向に移動可能に設けられている。Y軸スライド43にはX軸サーボモータが設けられている。このX軸サーボモータの出力軸に連結された図略のボールねじ機構によって、X軸スライド45がX軸方向に移動される。
【0024】
X軸スライド45には、部品装着ヘッド48が設けられている。部品装着ヘッド48は、吸着ノズル47(図11示)を着脱可能に保持している。吸着ノズル47は、供給位置21aに供給された部品を吸着して、基板搬送装置10によって部品実装位置に位置決めされた基板B上に装着する。
【0025】
(フィーダ)
以下に、図4図8を用いて本実施形態のフィーダ21について説明する。なお、以下の説明において「搬送方向」とは、キャリアテープ900の搬送方向を指す。また、図4図8において、紙面右側を前方(搬送方向下流側)とし、紙面左側を後方(搬送方向上流側)とする。また、図4図6において、紙面上方を上方とし、紙面下方を下方とする。
【0026】
フィーダ21は、主に、本体21b、第一サーボモータ22、第二サーボモータ23、第一ギヤ24、第二ギヤ25、第三ギヤ26、第四ギヤ27、浮上防止部材28、トーションスプリング29、ストッパー部材31、上流側押さえ部材32、下流側押さえ部材33、第一スプロケット61、第二スプロケット62、第三スプロケット63、第四スプロケット64、レール38、制御部39、テープ剥離ユニット70とから構成されている。
【0027】
フィーダ21は、その前方側からスロット20aに差し込まれて装着されるようになっている。本体21bは、扁平な箱形である。なお、図4図6は、本体21bの側壁を除去して、フィーダ21の内部構造が視認できるようにした図である。
【0028】
レール38は、第四スプロケット64〜第一スプロケット61の上方において、キャリアテープ900の搬送方向に沿って、本体21bの挿入部21dから供給位置21aに設けられている。レール38は、その上面がキャリアテープ900の搬送路を構成している。レール38の前部38aは、水平に形成されている。本実施形態では、レール38は、その後部から前部38aの手前まで徐々に高くなるように傾斜している。なお、図示はしていないが、レール38の両側には、キャリアテープ900の幅寸法よりも僅かに大きい寸法で離間したガイド部材が設けられている。
【0029】
レール38の前部38aの下方の本体21bには、つまり、本体21bの供給位置21aに隣接する位置には、前方から後方(搬送方向下流側から上流側)に向かってそれぞれ、第一スプロケット61及び第二スプロケット62が回転可能に設けられている。レール38の後部の下方の本体21bには、つまり、本体21bの挿入部21dに隣接する位置には、前方から後方に向かってそれぞれ、第三スプロケット63及び第四スプロケット64が回転可能に設けられている。
【0030】
第一スプロケット61、第二スプロケット62、及び第三スプロケット63のそれぞれの外周部には、一定角度をおいて、第一係合突起61a、第二係合突起62a、第三係合突起63aが形成されている。図4図7に示すように、第四スプロケット64の外周部の一部のみに、一定角度をおいて第四係合突起64aが設けられている。つまり、第四スプロケット64の外周部の一部の区間には、第四係合突起64aが設けられていない区間が存在する。それぞれの係合突起61a〜64aは、キャリアテープ900の係合穴901bと係合する。
【0031】
第一スプロケット61〜第四スプロケット64の外周部よりも内側には、それぞれ、第一スプロケットギヤ61b、第二スプロケットギヤ62b、第三スプロケットギヤ63b、第四スプロケットギヤ64bが形成されている。なお、レール38の各スプロケット61〜64の上方には、窓穴38b(図5図7示)が設けられている。この窓穴38bから、各係合突起61a〜64aがレール38上から突出する。
【0032】
第一サーボモータ22は、第一スプロケット61及び第二スプロケット62を回転させるサーボモータである。第一サーボモータ22の回転軸22aには、第一ドライブギヤ22bが設けられている。第一ギヤ24は、第一スプロケット61及び第二スプロケット62の下方の本体21bに回転可能に設けられている。第一ギヤ24に外周には、第一ドライブギヤ22bと噛合する第一外側ギヤ24aが形成されている。第一ギヤ24の外周よりも内側には、第一内側ギヤ24bが形成されている。
【0033】
第二ギヤ25は、第一スプロケット61及び第二スプロケット62と第一ギヤ24の間の本体21bに回転可能に設けられている。第二ギヤ25は、第一スプロケットギヤ61b、第二スプロケットギヤ62b、及び第一内側ギヤ24bと噛合している。このような構成によって、第一サーボモータ22の回転が減速されて第一スプロケット61及び第二スプロケット62に伝達されて、第一スプロケット61及び第二スプロケット62が同期して回転する。
【0034】
第二サーボモータ23は、第三スプロケット63及び第四スプロケット64を回転させるサーボモータである。第二サーボモータ23の回転軸23aには、第二ドライブギヤ23bが設けられている。第三ギヤ26は、第三スプロケット63及び第四スプロケット64の下方の本体21bに回転可能に設けられている。第三ギヤ26に外周には、第二ドライブギヤ23bと噛合する第三外側ギヤ26aが形成されている。第三ギヤ26の外周よりも内側には、第三内側ギヤ26bが形成されている。
【0035】
第四ギヤ27は、第三スプロケット63及び第四スプロケット64と第三ギヤ26の間の本体21bに回転可能に設けられている。第四ギヤ27は、第三スプロケットギヤ63b、第四スプロケットギヤ64b、及び第三内側ギヤ26bと噛合している。このような構成によって、第二サーボモータ23の回転が減速されて第三スプロケット63及び第四スプロケット64に伝達されて、第三スプロケット63及び第四スプロケット64及が同期して回転する。
【0036】
下流側押さえ部材33は、ブロック状であり、レール38後部の上方に、本体21bの挿入部21dに設けられている。下流側押さえ部材33は、本体21bに取り付けられた第一支持部材30−1及び第二支持部材30−2に、シャフト34−1を介して、上下方向移動可能に取り付けられている。シャフト34−1には、下流側押さえ部材33を下方に付勢するコイルスプリング35−1が取り付けられている。下流側押さえ部材33の前方には、第三スプロケット63上においてレール38と当接する押さえ部33dが形成されている。このような構成によって、押さえ部33dは、レール38から離接する。図5に示すように、押さえ部33dの後端下部には、侵入部33bが切欠形成されている。
【0037】
上流側押さえ部材32は、ブロック状であり、レール38の後部上面に沿って設けられている。上流側押さえ部材32は、下流側押さえ部材33の後部から下方に、シャフト34−2を介して、上下方向移動可能に取り付けられている。上流側押さえ部材32は、押さえ部33dの後方に隣接している。シャフト34−2には、上流側押さえ部材32を下方に付勢するコイルスプリング35−2が取り付けられている。このような構成によって、上流側押さえ部材32は、レール38から離接する。上流側押さえ部材32の後端の下部には、挿入凹部32aが切欠形成されている。
【0038】
図5に示すように、ストッパー部材31は、ブロック状であり、上流側押さえ部材32の下流側に隣接して設けられている。ストッパー部材31は、その中間部分に形成された軸支部31bが下流側押さえ部材33に軸支されて、揺動可能となっている。ストッパー部材31の軸支部31bよりも前方の下部は、下方に突出形成された当接部31aが形成されている。ストッパー部材31の下部の後端は、停止部31cとなっている。
【0039】
下流側押さえ部材33には、ストッパー部材31を、当接部31aがレール38に近接する方向に付勢するスプリング36が取り付けられている。図5に示すように、搬送方向に関し、下流側押さえ部材33の前端とストッパー部材31の後端との間に、第四スプロケット64の頂部が位置している。
【0040】
図4に示すように、浮上防止部材28は、板状であり、第三スプロケット63と第二スプロケット62の間のレール38上に沿って設けられている。浮上防止部材28の前端には、軸支部28aが形成され、この軸支部28aが、本体21bに設けられた軸部21cに軸支されて、浮上防止部材28が揺動可能に本体21bに取り付けられている。浮上防止部材28の後端には、上方に曲げられた案内部28bが形成されている。トーションスプリング29は、浮上防止部材28の上方の本体21bに取り付けられ、浮上防止部材28を下方に付勢している。このトーションスプリング29によって、浮上防止部材28の下面は、レール38の上面に密接されている。
【0041】
なお、第二スプロケット62と第三スプロケット63の間にあるレール38上には、空間38cが形成されている。
【0042】
制御部39は、フィーダ21を制御するものであり、第一サーボモータ22及び第二サーボモータ23の回転を制御する。制御部39は、マイクロプロセッサや、サーボモータ22、23に駆動電流を供給するドライバを有している。
【0043】
第三スプロケット63の下流側の本体21bには、キャリアテープ900の有無を検知し、その検知信号を制御部39に出力する第一センサ65が設けられている。第一センサ65は、後述する搬送テープ910と待機テープ920の境界部分を検知するセンサである。第二スプロケット62の上流側の本体21bには、キャリアテープ900の有無を検知し、その検知信号を制御部39に出力する第二センサ66が設けられている。この第二センサ66の役割については、後述する。本実施形態では、第一センサ65及び第二センサ66は、接触式のセンサであるが、センサの型式はこれに限定されず、近接センサ、光電センサ等であっても差し支え無い。
【0044】
(テープ剥離ユニット)
次に、図9図14を用いて本実施形態のテープ剥離ユニット70について説明する。図4図9に示すように、フィーダ21の前方部の上部には、テープ剥離ユニット70が、フィーダ21の本体21bに着脱可能に固着されている。テープ剥離ユニット70は、供給位置21aに送られたキャリアテープ900のカバーテープ902を剥離するためのものである。
【0045】
図9図13に示すように、テープ剥離ユニット70は、下側が開放された箱形のユニット本体71を有している。ユニット本体71の両側壁71a、71bの前後がビス等の締結手段によって本体21bの両側面に固定されている。両側壁71a、71b間でキャリアテープ900が案内されるようになっている。図10に示すように、ユニット本体71の上壁71cの前部には、切欠き部71c1が形成されている。図11に示すように、切欠き部71c1の前部が供給位置21aであり、この切欠き部71c1からキャリアテープ900の収納部901aに収納された部品が吸着ノズル47によって吸着されて取り出せるようになっている。
【0046】
図11に示すように、供給位置21a(切欠き部71c1)の搬送方向下流側の本体21bに、第一スプロケット61が設けられている。つまり、第一スプロケット61の頂部に位置している第一係合突起61aは、切欠き部71c1(供給位置21a)の搬送方向下流側に位置している。
【0047】
図9図10に示すように、ユニット本体71の上壁71cには、板状のカッタ部材72が、切欠き部71c1を覆うように、レール38(キャリアテープ900)の上方位置に固定されている。カッタ部材72の後方には、キャリアテープ900のカバーテープ902を剥離する先端が鋭利な刃先72aを有する。
【0048】
図11に示すように、カッタ部材72の刃先72aの搬送方向上流側には、第二スプロケット62が設けられている。つまり、第二スプロケット62の頂部に位置している第二係合突起62aは、カッタ部材72の刃先72aの搬送方向上流側に位置している。
【0049】
カッタ部材72の刃先72aは、キャリアテープ900に両端を接着されたカバーテープ902の一方の端部(係合穴901b側の端部)に対応する位置に配置されている。そして、カッタ部材72の刃先72aは、キャリアテープ900の送りによって、ベーステープ901とカバーテープ902との間に介入され、カバーテープ902の他方の端部の接着状態を保ちつつ、カバーテープ902の一方の端部を剥離する。
【0050】
なお、キャリアテープ900の係合穴901bが第一係合突起61aと係合している場合には、キャリアテープ900は第一スプロケット61によって引っ張られて、カッタ部材72の刃先72aによって、カバーテープ902の一方の端部が剥離される。一方で、先行するキャリアテープ900がフィーダ21によって完全に送給され、新たなキャリアテープ900の先頭部に形成された係合穴901bが第二係合突起62aのみと係合している場合には、キャリアテープ900は第二スプロケット62によって、カッタ部材72に押し込まれ、カッタ部材72の刃先72aによって、カバーテープ902の一方の端部が剥離される。
【0051】
図10に示すように、ユニット本体71の上壁71c上には、板状の折り返し部材73がキャリアテープ900の上面との間に僅かな隙間が形成されるように設けられている。折り返し部材73は、剥離されたカバーテープ902の一方の端部を立ち上げて折り返すものである。折り返し部材73には、カバーテープ902の幅方向に傾斜した傾斜面73aが、キャリアテープ900の送り方向に沿って所定長さに亘って形成されている。折り返し部材73の傾斜面73aは、カッタ部材72に対してカバーテープ902の幅方向に突出されている。
【0052】
折り返し部材73は、カッタ部材72の刃先72aによって剥離されたカバーテープ902の一方の端部を、傾斜面73aによって徐々に立ち上げながら折り返し、供給位置21aに供給された部品を収納した収納部901aの上面を開放(露出)させる。折り返し部材73の傾斜面73aによって折り返されたカバーテープ902は、図14に示すように、折り返し部材73とキャリアテープ900(ベーステープ901)の上面との間の隙間に強制的に押し込まれ、収納部901aの上面の開放状態を維持する。
【0053】
このようにすることにより、従来のように、カバーテープ902を折り返して回収する別個の回収機構が不要となり、カバーテープ902はキャリアテープ900のベーステープ901と一体的に回収できるようになる。なお、図9中74は、カバーテープ902とともにキャリアテープ900を回収するためのガイドであり、本体21bの先端部に固定されている。
【0054】
(フィーダの動作)
以下に、フィーダ21の動作について説明する。作業者は、キャリアテープ900を、図4に示す挿入凹部32aとレール38の後端との間に差し込む。すると、差し込まれたキャリアテープ900の先端部に形成された係合穴901bに第四係合突起64aが係合して、当該キャリアテープ900が第四スプロケット64によって第三スプロケット63に搬送される。第四係合突起64aは、第四スプロケット64の外周の一部にしか形成されていないので、差し込まれたキャリアテープ900は、その先端部に形成された係合穴901bに第四係合突起64aが係合している時だけ下流側に搬送され、その先端部に形成された係合穴901bに第四係合突起64aが係合していない時には下流側に搬送されない。従って、当該キャリアテープ900は間欠的に第三スプロケット63側に移動する。
【0055】
第四スプロケット64によって下流側に送給されるキャリアテープ900の先端は、侵入部33bから、押さえ部33dの下方に侵入する。そして、キャリアテープ900の先頭部に形成された係合穴901bが第三係合突起63aと係合すると、第三スプロケット63によってキャリアテープ900が第二スプロケット62に搬送される。第三スプロケット63の外周には、全周にわたって第三係合突起63aが形成されているので、短時間でキャリアテープ900が第二スプロケット62側に搬送される。なお、搬送テープ910は、押さえ部33dによって上方から押し付けられて、係合穴901bと第三係合突起36aとの係合が外れないようになっている。
【0056】
キャリアテープ900の先端は、案内部28bとレール38の間から、浮上防止部材28の下方に侵入する。キャリアテープ900の先端は、浮上防止部材28によってレール38からの浮き上がりが抑制されて、第二スプロケット62に搬送される。
【0057】
第二センサ66が、第三スプロケット63によって搬送されたキャリアテープ900の先頭を検出すると、第一サーボモータ22及び第二サーボモータ23は、スプロケット61〜64を部品ピッチP1(図2示)分間欠的に回転させる。キャリアテープ900の先頭部に形成された係合穴901bが第二係合突起62aに係合すると、第二スプロケット62によってキャリアテープ900がテープ剥離ユニット70に送られ、テープ剥離ユニット70によってキャリアテープ900からカバーテープ902が剥離される。そして、キャリアテープ900の先頭に形成された係合穴901bが第一係合突起61aに係合すると、第一スプロケット61によってキャリアテープ900に収納された部品が順次供給位置21aに位置決めされて供給される。
【0058】
搬送中のキャリアテープ900である搬送テープ910がフィーダ21によって搬送されている場合には、図5に示すように、搬送テープ910が当接部31aを押圧して、ストッパー部材31がスプリング36の付勢力に抗して停止部31cがレール38に近接する方向に揺動し、ストッパー部材31の後下端が搬送テープ910の上面と接触する。
【0059】
作業者は、待機させるキャリアテープ900である待機テープ920を、挿入凹部32aと搬送テープ910の間に差し込む。すると、ストッパー部材31の後下端が搬送テープ910の上面と接触しているので、待機テープ920の先端がストッパー部材31の停止部31cに当接し、待機テープ920の下流への搬送が阻止されて、待機テープ920が搬送テープ910上において待機される。
【0060】
待機テープ920は、上流側押さえ部材32によって、搬送テープ910に押し付けられている。このため、待機テープ920の先端の搬送テープ910から浮き上がりが防止され、待機テープ920の先端の上流側押さえ部材32の前端とストッパー部材31の後端との間への侵入が防止される。
【0061】
なお、搬送テープ910が、前方側のリール810に巻回されている。また、待機テープ920は、後方側のリール820に巻回されている。
【0062】
図6に示すように、搬送テープ910の後端が待機テープ920の先端よりも下流側に搬送されると、待機テープ920がレール38上に載置された状態となり、待機テープ920の先頭部に形成された係合穴901bが第四係合突起64aと係合する。そして、第四スプロケット64によって送給されるキャリアテープ900の先端は、侵入部33bから、押さえ部33dの下方に侵入する。そして、キャリアテープ900の先頭部に形成された係合穴901bが第三係合突起63aと係合すると、第三スプロケット63によってキャリアテープ900が第二スプロケット62に搬送され、上述したように供給位置21aまで搬送される。
【0063】
待機テープ920であったキャリアテープ900の先端が当接部31aを押圧すると、ストッパー部材31がスプリング36の付勢力に抗して、停止部31cがレール38の上面に近接する方向に揺動し、ストッパー部材31の後下端が新たな搬送テープ910(旧待機テープ920)に当接する。
【0064】
作業者は、搬送テープ910が全て送給された使用済みのリール810を、リール保持部50から除去するとともに、新たな待機テープ920が巻回されたリール820を、リール保持部50に保持させる。そして、作業者は、新たな待機テープ920の先端を、挿入凹部32aと搬送テープ910の間に差し込んで、新たな待機テープ920をセットする。上述したように、ストッパー部材31の後下端が新たな搬送テープ910に当接しているので、新たな待機テープ920の先端がストッパー部材31の停止部31cに当接し、待機テープ920の下流への搬送が阻止されて、待機テープ920が搬送テープ910上において待機される。
【0065】
(本実施形態の効果)
以上の説明から明らかなように、図7に示すように、第四スプロケット64(上流側スプロケット)には、外周の一部にのみ係合穴901bと係合する第四係合突起64a(上流側係合突起)が形成されている。これにより、差し込まれた新たなキャリアテープ900の先端部に形成された係合穴901bに第四係合突起64aが係合している時だけ下流側に搬送され、その先端部に形成された係合穴901bに第四係合突起64aが係合していない時には下流側に搬送されない。従って、当該キャリアテープ900は間欠的に第三スプロケット63側に移動する。このため、新たなキャリアテープ900が急激に、第三スプロケット63側に引き込まれないので、安全である。
【0066】
また、第三スプロケット63及び第四スプロケット64をそれぞれ回転させるサーボモータを2つ設けなくても、同一の第二サーボモータ23(回転駆動部)によって、第三スプロケット63及び第四スプロケット64を同期回転させたとしても、新たなキャリアテープ900が急激に、第三スプロケット63側に引き込まれない構造を実現できる。このため、フィーダ21のコストを抑制することができる。
【0067】
(別の効果)
ノンスプライジングフィーダにおいて、下流側のキャリアテープ900と上流側のキャリアテープ900との切り替わり点を把握することは、キャリアテープ900に収納されている部品の残数管理や不良ロットの追跡等の生産管理において重要である。そして、従来では、下流側のキャリアテープ900の後端と上流側のキャリアテープ900の前端との間隔が開いていないことに起因して、センサによる上記切り替わり点の検出エラーが発生してしまうという問題があった。
【0068】
本実施形態では、第三スプロケット63には外周全周に渡って第三係合突起63aが形成されている一方で、第四スプロケット64には外周の一部に第四係合突起64aが形成されている。このため、図7に示すように、搬送テープ910の後端が待機テープ920の前端よりも下流側に搬送されると、搬送テープ910は第三スプロケット63と係合しているので、第三スプロケット63が回転された分、下流側に搬送される。一方で、第四スプロケット64が回転したとしても、待機テープ920は第四係合突起64aに係合している時だけ下流側に搬送され、待機テープ920は間欠的に第三スプロケット63側に移動する。
【0069】
このため、図8に示すように、搬送テープ910の後端と待機テープ920の前端の間隔が開き、第一センサ65によって搬送テープ910と待機テープ920の境界部分を確実に検出することができる。このように、第四スプロケット64の外周の一部のみに第四係合突起64aを形成するだけで、搬送テープ910の後端と待機テープ920の先端との間隔を開ける構造が実現できるので、フィーダ21のコストを抑制することができる。
【0070】
(別の実施形態)
【0071】
以上説明した実施形態では、第一センサ65は、第三スプロケット63の下流側に設けられている。第一センサ65の取付位置は、これに限定されず、第四スプロケット64の下流側に設けられていればよい。
【符号の説明】
【0072】
21…フィーダ、21a…供給位置、21b…本体、21d…挿入部、23…第二サーボモータ(回転駆動部)、38…レール、63…第三スプロケット(下流側スプロケット)、63a…第三係合突起(下流側係合突起)、64…第四スプロケット(上流側スプロケット)、64a…第四係合突起(上流側係合突起)、900…キャリアテープ、901b…係合穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14