特許第6153713号(P6153713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153713
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】ガイド付きスライドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/49 20170101AFI20170619BHJP
【FI】
   A47B88/08
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-251994(P2012-251994)
(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公開番号】特開2013-106954(P2013-106954A)
(43)【公開日】2013年6月6日
【審査請求日】2015年11月11日
(31)【優先権主張番号】100142291
(32)【優先日】2011年11月18日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512297217
【氏名又は名称】梅堯國際股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】陳 崇堯
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0187254(US,A1)
【文献】 特開2010−259782(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0091872(US,A1)
【文献】 米国特許第07077488(US,B2)
【文献】 特表2011−515169(JP,A)
【文献】 米国特許第04662531(US,A)
【文献】 特表2012−500072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド付きスライドアセンブリであって、
少なくとも1つのスライドレールユニット(2)であるとともに、長手方向のベースプレート(211)と、このベースプレート(211)の2つの側辺から垂直に起立する一対のガイドプレート(212)と、前記ガイドプレート(212)の一方に形成されて前記ガイドプレート(212)に面するフック面を有する少なくとも1つの固定部(216)と、を有した第1スライドレール(21)を備えており、さらに、それぞれの前記ガイドプレート(212)は、前記ガイドプレート(212)に沿って回転する複数のボール(23)に接触すると共に該複数のボール(23)を覆っていて、前記固定部(216)は前記一方の前記ガイドプレート(212)にプレス加工によって形成されたスリットフックである、少なくとも1つのスライドレールユニット(2)と:
前記一方のガイドプレート(212)に対して着脱可能に配置される少なくとも1つのガイドユニット(4)であるとともに、長手方向のラック部材(41)と、このラック部材(41)上の前記一方のガイドプレート(212)に近い面に配置された少なくとも1つの係合フック(42)と、を備えており、さらに、前記係合フック(42)が、前記一方のガイドプレート(212)上の隣接する前記固定部(216)に対して係合し、前記ラック部材(41)は、長手方向の歯付き部分(413)と、開口(417)とが形成され、前記歯付き部分(413)は、長手方向に互いに離間した複数の歯(414)を有し、それぞれの前記歯(414)が頂部と根部を有し、前記開口(417)は隣接する2つの前記歯(414)の前記根部の間に延伸していて、前記係合フック(42)は、該隣接する2つの前記歯(414)の一方の前記根部から前記頂部とは逆向きに突出してから隣接する前記固定部(216)に向かって湾曲しており、さらに、前記歯付き部分(413)に面するように前記根部と離れている上に該隣接する前記固定部(216)の前記フック面に当接する逆棘表面(421)を有する、少なくとも1つのガイドユニット(4)と;
を具備し、
前記長手方向のラック部材(41)が、さらに、互いに離間した2つの長手方向保持壁(411、412)と、長手方向凹所(419)と、少なくとも2つの側部保持部材(44)とを備え、前記歯付き部分(413)が前記保持壁(411、412)を架橋し、前記長手方向凹所(419)が、前記保持壁(411、412)と、前記歯(414)の前記頂部と反対する前記歯付き部分(413)の裏面と、によって規定されており、前記係合フック(42)が前記長手方向凹所(419)に延伸しており、前記側部保持部材(44)がそれぞれ前記係合フック(42)の両側面上に設置されていることを特徴とするガイド付きスライドアセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載のガイド付きスライドアセンブリにおいて、
前記歯付き部分(413)が、さらに、少なくとも1つの当接部材(43)を備え、前記当接部材(43)が前記係合フック(42)から離間して配置されているとともに、前記係合フック(42)の開口端に対向していることを特徴とするガイド付きスライドアセンブリ。
【請求項3】
請求項1記載のガイド付きスライドアセンブリにおいて、
前記ガイドユニット(4)が、さらに、前記ラック部材(41)の一端部に配置されたスロット付き部分(45)を備えていることを特徴とするガイド付きスライドアセンブリ。
【請求項4】
ガイド付きスライドアセンブリであって、
少なくとも1つのスライドレールユニット(2)であるとともに、長手方向のベースプレート(211)と、このベースプレート(211)の2つの側辺から垂直に起立する一対のガイドプレート(212)と、前記ガイドプレート(212)の一方に形成されて前記ガイドプレート(212)に面するフック面を有する少なくとも1つの固定部(216)と、を有した第1スライドレール(21)を備えており、さらに、それぞれの前記ガイドプレート(212)は前記ガイドプレート(212)に沿って回転する複数のボール(23)に接触すると共に該複数のボール(23)を覆っていて、前記固定部(216)は前記ガイドプレート(212)にプレス加工によって形成されたスリットフックである、少なくとも1つのスライドレールユニット(2)と:
前記一方のガイドプレート(212)に対して着脱可能に配置される少なくとも1つのガイドユニット(4)であるとともに、長手方向のラック部材(41)と、このラック部材(41)上の前記一方のガイドプレート(212)に近い面に配置された少なくとも1つの係合フック(42)と、を備えており、さらに、前記係合フック(42)が、前記一方のガイドプレート(212)上の隣接する前記固定部(216)に対して係合し、前記ラック部材(41)は、長手方向の歯付き部分(413)と、開口(417)とが形成され、前記歯付き部分(413)は、長手方向に互いに離間した複数の歯(414)を有し、それぞれの前記歯(414)が頂部と根部を有し、前記開口(417)は隣接する2つの前記歯(414)の前記根部の間に延伸していて、前記係合フック(42)は、該隣接する2つの前記歯(414)の一方の前記根部から前記頂部とは逆向きに突出してから隣接する前記固定部(216)に向かって湾曲しており、さらに、前記歯付き部分(413)に面するように前記根部とは離れている上に該隣接する前記固定部(216)の前記フック面に当接する逆棘表面(421)を有する、少なくとも1つのガイドユニット(4)と;
前記ラック部材(41)に形成され、それぞれ前記係合フック(42)の両側面上に延在している少なくとも2つの側部保持部材(44)と;
を具備していることを特徴とするガイド付きスライドアセンブリ。
【請求項5】
請求項4記載のガイド付きスライドアセンブリにおいて、
前記歯付き部分(413)が、さらに、少なくとも1つの当接部材(43)を備え、前記当接部材(43)が前記係合フック(42)から離間して配置されているとともに、前記係合フック(42)の開口端に対向していることを特徴とするガイド付きスライドアセンブリ。
【請求項6】
請求項4記載のガイド付きスライドアセンブリにおいて、
前記ガイドユニット(4)が、さらに、前記ラック部材(41)の一端部に配置されたスロット付き部分(45)を備えていることを特徴とするガイド付きスライドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド付きスライドアセンブリに関するものであり、より詳細には、同期的なプッシュプル操作を行うガイド付きスライドアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば引き出しを有して使用されるものといったような共通のガイド付きスライドデバイスは、キャビネットの2つの側壁の2つの対向した内表面のそれぞれに対して固定された2つの外側スライドレールと、これら外側スライドレール内において移動可能に配置されているとともに引き出しの2つの側面のそれぞれに対して固定された2つの内側スライドレールと、内側スライドレールと外側スライドレールとの間に配置された複数のボールと、を備えている。外側スライドレールの各々は、キャビネットの対応内壁の内表面に対して固定されたベースプレートと、このベースプレートの2つの側辺から垂直に起立する2つのガイドプレートと、を有している。外側スライドレールのガイドプレートは、対応する一方の内側スライドレールの上下に配置される。ボールは、ガイドプレートと、対応する内側スライドレールと、の間に配置される。
【0003】
2つの対をなす外側スライドレールおよび内側スライドレールが互いに連結されていないことのために、2つの内側スライドレールは、一般に、それぞれの外側スライドレール上を、同期的に移動することができない。引き出しを開閉する際には、引き出しは、逸脱したり、バラバラになったり、音が出たりする。
【0004】
上記の問題点を改良するために、ピニオンギヤとラックとからなる係合構造が、従来のガイド付きスライドデバイスに対して適用されており、これにより、外側スライドレール上における双方の内側スライドレールを互いに同期的に移動させることができ、引き出しの逸脱を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾実用新案公告第491056号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、外側スライドレールのラックとガイドプレートとは、1つの部材として一体的に成形される。しかしながら、そのような一体型の構成は、ボールと、対応するガイドプレートの内表面と、の間の円滑な接触をもたらすことができない。これにより、内側スライドレールと外側スライドレールとの間におけるボールの円滑な回転を引き起こすことができない。ボールの円滑でない回転を避けるために、ラックは、それぞれ、外側スライドレールのベースプレート上に固定される。しかしながら、この修正においては、ベースプレートを、キャビネットの対応する内表面に対して直接的に固定することができない。よって、従来的なガイド付きスライドアセンブリに適応するためには、引き出しの組立手順および寸法を、修正する必要がある。これにより、組立コストを増大させてしまい、ガイド付きスライドアセンブリの応用を制限してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の目的は、従来のガイド付きスライドデバイスの少なくとも1つの欠点を軽減し得るようなガイド付きスライドアセンブリを提供することである。
【0008】
本発明の一見地においては、ガイド付きスライドアセンブリは、少なくとも1つのスライドレールユニットであるとともに、長手方向のベースプレートと、このベースプレートの2つの側辺から垂直に起立する一対のガイドプレートと、ガイドプレートの一方に形成された少なくとも1つの固定部と、を備えた少なくとも1つのスライドレールユニットと;一方のガイドプレートに対して着脱可能に配置される少なくとも1つのガイドユニットと;を具備している。長手方向のガイドユニットは、長手方向のラック部材と、このラック部材上に配置された少なくとも1つの係合フックと、を備えている。係合フックは、一方のガイドプレート上の固定部に対して係合する。
【0009】
本発明の他の見地においては、ガイド付きスライドアセンブリのガイドユニットは、長手方向の歯付き部分を有して形成された長手方向のラック部材と、このラック部材上に形成された少なくとも1つの係合フックと、を備えている。
【0010】
本発明のさらに他の見地においては、ガイド付きスライドアセンブリのスライドレールユニットは、長手方向のベースプレートとこのベースプレートの2つの側辺から垂直に起立する一対のガイドプレートとを有した第1スライドレールと、ガイドプレートの一方に形成された少なくとも1つの固定部と、第1スライドレールに対してスライド可能とされた第2スライドレールと、を備えている。
【0011】
本発明の他の特徴点および利点は、添付図面を参照しつつ、好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるガイド付きスライドアセンブリの好ましい実施形態が、引き出しを有したキャビネットに対して組み立てられる様子を示す斜視図である。
図2】好ましい実施形態における連結ユニットとスライドレールユニットとガイドユニットとの協働をを示す分解斜視図である。
図3図2に示す好ましい実施形態の一部を拡大して示す分解斜視図である。
図4】好ましい実施形態における連結ユニットとスライドレールユニットとガイドユニットとの組立を、一部断面でもって示す側面図である。
図5】好ましい実施形態の完全収納状態を、一部断面でもって示す正面図である。
図6図5に示す好ましい実施形態の一部を拡大して示す図である。
図7】好ましい実施形態の完全収納状態を、一部断面でもって示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明のガイド付きスライドアセンブリの好ましい実施形態と一緒に組み立てられたキャビネットボディ1を示している。キャビネットボディ1は、受領スペース12を規定しており、2つの対向した長手方向の側壁11と、引き出し3と、を備えている。ガイド付きスライドアセンブリは、2つのスライドレールユニット2と、スライドレールユニット2上において着脱可能に配置された2つの長手方向ガイドユニット4と、を備えている。スライドレールユニット2の各々は、キャビネットボディ1の長手方向側壁11の一方に配置されており、引き出し3に対して係合している。2つのスライドレールユニット2は、連結ユニット6によって連結されている。これにより、2つのスライドレールユニット2と、引き出し3と、連結ユニット6とを、同期的なプッシュプル態様でもって、操作することができる。2つのスライドレールユニット2とキャビネットボディ1の2つの長手方向側壁11とによって形成された2つの構造が、対称的に同一であることにより、以下においては、一方の構造だけについて図示する。
【0014】
図1図5に示すように、各スライドレールユニット2は、キャビネットボディ1の対応する側壁11上に固定された長手方向ベースプレート211を有した第1スライドレール21と、ベースプレート211の2つの側辺から垂直に起立する一対のガイドプレート212と、第1スライドレール21に対してスライド可能とされるとともに、引き出し3の側面に対して連結される内表面を有した第2スライドレール22と、を備えている。
【0015】
ガイドプレート212の各々は、ローラ部分213と、第1ローラフリー部分214と、第2ローラフリー部分215と、を備えている。ローラフリー部分214,215は、ローラ部分213の両端から長手方向に延在している。
【0016】
スライドレールユニット2は、さらに、第3スライドレール221を備えている。第3スライドレール221は、第1スライドレール21の一対のガイドプレート212の間においてスライド可能に配置されているとともに、第1スライドレール21に対して、第2スライドレール22と一緒にスライドすることができる。
【0017】
図2図5に示すように、長手方向ガイドユニット4は、ガイドプレート212上において着脱可能に配置されており、長手方向ラック部材41と、このラック部材41上に配置された3つの係合フック42と、を備えている。
【0018】
図2図5と合わせて図7に示すように、スライドレールユニット2は、さらに、ガイドプレート212上に形成された少なくとも1つの固定部216を備えている。固定部216は、長手方向ガイドユニット4に対して着脱可能に配置される。この実施形態においては、互いに離間して配置された3つの固定部216は、スリットフック(あるいは、スロット付きフック)として構成されており、ガイドプレート212の第1ローラフリー部分214上におけるプレス加工によって長手方向に形成されている。固定部216は、長手方向ガイドユニット4に対して着脱可能に配置される。しかしながら、本発明は、この点に限定されるものではなく、固定部216の数は、実施態様に応じて調節することができる。
【0019】
好ましくは、第1スライドレール21は、さらに、ガイドプレート212の第2ローラフリー部分215上に形成された傾斜タブ217を備えている。傾斜タブ217は、長手方向ガイドユニット4に対して着脱可能に配置されており、長手方向ガイドユニット4に対して前方向きおよび上向きに傾斜している。
【0020】
図5および図7に示すように、列として構成された複数の第1組をなすボール23が、第3スライドレール221の上面および下面のところにおいて、第1スライドレール21のローラ部分213と第3スライドレール221との間において、回転可能に配置されている。さらに、列として構成された複数の第2組をなすボール24が、第2スライドレール22の上面および下面のところにおいて、第3スライドレール221と第2スライドレール22との間において、回転可能に配置されている。ガイド付きスライドアセンブリが、完全収納状態(図5参照)とされたときには、あるいは、完全延出状態(図7参照)とされたときには、第1組のボール23は、ガイドプレート212の第1ローラフリー部分214内へも、また、ガイドプレート212の第2ローラフリー部分215内へも、回転移動することができない。
【0021】
この実施形態におけるスライドレールユニット2は、第1〜第3のスライドレール21,22,221と第1〜第2組のボール23,24とを備えた3ステージ型のスライドレール機構として図示されているけれども、本発明の他の実施形態においては、2ステージ型のスライドレール機構を使用することもできる。2ステージ型のスライドレール機構においては、第3スライドレール221と第2組のボール24とを、省略することができる。
【0022】
図2図5に示すように、ガイドユニット4は、長手方向ラック部材41を備えている。長手方向ラック部材41は、長手方向歯付き部分413と、ラック部材41上に形成された係合フック42と、を備えて形成されている。この実施形態においては、長手方向歯付き部分413は、長手方向ラック部材41の一方の側部上に形成されており、係合フック42は、ラック部材41のうちの、歯付き部分413とは反対側の他方の側部上に形成されている。長手方向歯付き部分413は、一方のガイドプレート212上において、着脱可能に配置される。ラック部材41は、さらに、ガイドプレート212上に配置された互いに離間した2つの長手方向保持壁411,412を備えている。ガイドプレート212は、長手方向ガイドユニット4に対して着脱可能に配置される。歯付き部分413は、2つの保持壁411,412を架橋する。この実施形態においては、保持壁411,412が、ガイドプレート212上にガイドユニット4を固定するために使用されているけれども、例えばラック部材41と歯付き部分413とをプラスチック材料製の一体部材としてモールド成型することにより、ガイドユニット4をガイドプレート212上に固定し得る限りにおいては、保持壁411,412は、厳密には、必要ではない。
【0023】
歯付き部分413は、複数の歯414と、2つの隣接する歯414の間に形成された複数の開口417と、歯414とは逆向きに延出される3つの当接部材43と、歯414とは逆向きに歯付き部分413の裏面418から延出される3対の側部保持部材44と、を備えている。この場合、保持部材44は、係合フック42の両サイドに延在する。好ましくは、ラック部材41は、さらに、長手方向凹所419を備えている。長手方向凹所419は、保持壁411,412と、歯付き部分413の裏面418と、によって規定されている。長手方向凹所419は、3つの当接部材43と、3対の側部保持部材44と、3つの係合フック42と、を収容する。
【0024】
図3,4,6に示すように、3つの係合フック42は、互いに離間されており、歯414とは逆向きに歯付き部分413の裏面418から延出されており、これにより、ガイドプレート212の対応する固定部216に対して係合することができる。これに代えて、係合フック42は、ラック部材41の2つの側面から延出することができる。この実施形態においては、各係合フック42は、歯付き部分413の開口417に対して隣接したバーブ表面(あるいは、逆棘表面)421を備えている。これに代えて、各開口417は、隣接する2つの歯414の間に形成され、歯付き部分413を通してバーブ表面412から延在することができる。この実施形態においては、ガイドユニット4がレールユニット2に対して組み立てられたときには、各係合フック42は、傾斜タブ217を向いた開口端422を備えている。各固定部216は、対応する係合フック42の開口端422を向いた開口端218を備えている。これにより、係合フック42は、固定部216に対して係合することができる。これに代えて、係合フック42の開口端422は、傾斜タブ217から離間する向きとすることができ、固定部216の開口端218は、対応する係合フック42の開口端422に対して、なおも、対向することができる。これにより、係合フック42および固定部216は、互いに係合することができる。係合フック42の数が、固定部216の数と同じであることに、注意されたい。
【0025】
各当接部材43は、係合フック42から離間されており、係合フック42の開口端422に対して位置合わせされている。ガイドユニット4がレールユニット2に対して組み立てられる際には、当接部材43が、対応する固定部216に対して当接する。対応する係合フック42の開口端422の構成にかかわらず、および、対応する固定部216の開口端218の構成にかかわらず、対応する当接部材43は、対応する係合フック42の開口端422に対して位置合わせされており、対応する固定部216に対して当接する。
【0026】
ガイドユニット4がレールユニット2に対して組み立てられる際には、各対をなす保持部材44は、対応する固定部216の両側面に対して当接する。これにより、ガイドユニット4とレールユニット2との間の移動を阻止する。この実施形態においては、各固定部216は、スリットフックとされる。これに代えて、各固定部216は、固定穴として構成することができる。これにより、係合フック42に対して係合して位置決めすることができる。これにより、保持部材44を省略することができる。
【0027】
好ましくは、ガイドユニット4は、さらに、傾斜タブ217と係合し得るよう、ラック部材41の一端に配置されたスロット付き部材45を備えている。
【0028】
さらに、スライドレールユニット2と引き出し3と連結ユニット6とからなる同期的なプッシュプル機構のおかげで、引き出し3は、ガイド付きスライドアセンブリが完全収納状態とされるときには、キャビネットボディ1の受領スペース12内へと円滑に移動することができ、また、引き出し3は、ガイド付きスライドアセンブリが完全延出状態とされるときには、キャビネットボディ1の受領スペース12から外部へと円滑に移動することができる。図1,3,4に示すように、連結ユニット6は、2つの連結プレート61と、連結プレート61上に配置された2つの支持座62と、支持座62上において回転可能に配置された2つのピニオンギヤ64と、ピニオンギヤ64を軸支するための2つの側部を有した回転シャフト63と、を備えている。連結プレート61は、第2スライドレール22の後端に対してリベット止めされている。連結プレート61の上向き延出部分は、第1スライドレール21から部分的に突出している。ピニオンギヤ64は、ガイドユニット4のラック部材41に対して噛合する。
【0029】
引き出し3をキャビネットボディ1から引き出す際には、第2スライドレール22と第3スライドレール221とが、連結ユニット6と一緒に駆動される。この時、ピニオンギヤ64は、ガイドユニット4に沿って移動することができる。ピニオンギヤ64どうしが回転時には同数の回転数を有していることのために、第2スライドレール22どうしは、同期的に(すなわち、同じ移動速度で)移動する。加えて、各固定部216は、ガイドプレート212の第1ローラフリー部分214上においてプレス加工によって形成され、傾斜タブ217は、ガイドプレート212の第2ローラフリー部分215上においてプレス加工によって形成される。したがって、固定部216および傾斜タブ217の形成は、ガイドプレート212のローラ部分213の円滑さに悪影響を与えることがない。これにより、第1組のボール23は、ローラ部分213に対して円滑に回転することができる。よって、引き出し3を、キャビネットボディ1から外部へと安定して引き出すことができるとともに、キャビネットボディ1内へと円滑に押し戻すことができる。
【0030】
組立プロセス時には、スライドレールユニット2と、連結プレート61と、支持座62とは、工場からの出荷前に組み立てる必要がある。その後、回転シャフト63と、ガイドユニット4と、ピニオンギヤ64とは、現場で組み立てることができる。現場での組立時には、対応するスライドレールユニット2のベースプレート211を、キャビネットボディ1の側壁11に対して固定する。その後、ガイドユニット4を、第1スライドレール21のガイドプレート212の頂部に対して係合させる。ピニオンギヤ64と、回転シャフト63と、支持座62とを、互いに組み立てる。次に、ピニオンギヤ64を、ガイドユニット4に対して適切に噛合させる。最後に、第2スライドレール22を、引き出し3の側面に対して固定し、これにより、キャビネットボディ1とガイド付きスライドアセンブリと引き出し3との組立を完了させる。
【0031】
より詳細には、ガイドユニット4を第1スライドレール21の頂部上に配置したときには、ガイドユニット4のスロット付き部分45を、まず最初に、第1スライドレール21の傾斜タブ217に対して係合させる。ガイドユニット4の係合フック42を、第1スライドレール21の固定部216に対して折り曲げ的に係合させる。図6に示すように、対応する係合フック42のバーブ表面421は、対応する固定部216を係合的に係止する。これと同時に、対応する当接部材43と一対の保持部材44とは、対応する係合フック42と固定部216との間における緊密で確実な係合を確保する。したがって、ガイドユニット4を、対応するスライドレールユニット2上へと単純にかつ迅速に配置することができる。実際の実施においては、保持壁411,412の間の幅は、対応する固定部216内における係合フック42の位置決めのために、狭いものとすることができる。
【0032】
本発明による係合構造のおかげで、第1スライドレール21の対応するガイドプレート212上に形成された固定部216および傾斜タブ217を、対応するガイドユニット4の係合フック42およびスロット付き部分45に対して、迅速に係合することができる。したがって、工場で組み立てるにしてもまた現場で組み立てるにしても、対応するガイドユニット4は、対応するレールユニット2に対して容易に組み立てられる。より詳細には、対応するレールユニット2のベースプレート211が、キャビネットボディ1の側壁11に対して直接的に固定されることのために、本発明は、第1スライドレール21をキャビネットボディ1の側壁11に対して固定するに際して、従来技術と同じ組立プロセスを維持することができる。加えて、本発明においては、引き出し3の組立手順や寸法を変更する必要がないことのために、製造コストを低いままに維持することができる。
【0033】
さらに、ガイドユニット4は、プラスチックの射出成形プロセスによって形成される。隣接する歯414の間に形成された開口417のおかげで、ガイドユニット4を、モールドダイから容易に取り外すことができ、モールド成型時における非一様な膨張や収縮によって引き起こされる問題点を回避することができる。ガイドユニット4が他の材料から形成されている場合であっても、開口217は、必要であり、これにより、対応する係合フック42のバーブ表面421を形成するためにそれら開口217を通してツールを挿入可能とすることができる。
【0034】
より詳細には、スライドレールユニット2の円滑なスライド機構は、第1組のボール23の円滑な移動に関して与える影響のために、ロール成型機の品質に依存する。ガイドプレート212がロール成型機によって形成された後には、スライドユニットの製造者は、ガイドプレート212に対してさらなる作業を行う必要がない。これにより、組立時には第1組のボール23がガイドプレート212の長さ全体にわたって回転することのために、不適切な破壊的機械加工による切り込みや凹所の形成を回避することができる。固定部216がプレス加工によって形成される際には、固定部216は、第1組のボール23の各ボールの直径よりも小さな幅を有して形成される。組立時には、第1組のボール23は、固定部216を有した第1ローラフリー部分214を回転によって通過することができる。加えて、固定部216は、長手方向ガイドユニット4に対して配置されたガイドプレート212上にプレス加工によって形成される。これにより、ガイドプレート212の変形を回避することができる。第1スライドレール21の固定部216が第1ローラフリー部分214に形成されることにより、また、第1スライドレール21の傾斜タブ217が第2ローラフリー部分215に形成されることにより、固定部216および傾斜タブ217は、ローラ部分213の平滑さに悪影響を与えることがない。これにより、第1組のボール23は、ローラ部分213内において円滑に移動することができる。
【0035】
スライドレールユニット2およびガイドユニット4が互いに係合するという全体的構成のおかげで、ガイド付きスライドアセンブリとガイドユニットとスライドレールユニットとは、特許請求の範囲において、出願の単一性の要件を満たすものである。
【符号の説明】
【0036】
2 スライドレールユニット
4 ガイドユニット
21 第1スライドレール
22 第2スライドレール
41 長手方向のラック部材
42 係合フック
43 当接部材
44 側部保持部材
45 スロット付き部分
211 長手方向のベースプレート
212 ガイドプレート
216 固定部
217 傾斜タブ
411 長手方向保持壁
412 長手方向保持壁
413 長手方向の歯付き部分
414 歯
417 開口
418 裏面
419 長手方向凹所
421 バーブ表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7