特許第6153847号(P6153847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153847
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】ひだ形成術用のステープル留めシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-226051(P2013-226051)
(22)【出願日】2013年10月30日
(62)【分割の表示】特願2009-528276(P2009-528276)の分割
【原出願日】2007年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-57867(P2014-57867A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2013年10月30日
【審判番号】不服2015-17442(P2015-17442/J1)
【審判請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】60/825,534
(32)【優先日】2006年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/542,457
(32)【優先日】2006年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クルース、サム
(72)【発明者】
【氏名】スウォード、ブレット
(72)【発明者】
【氏名】コール、デイヴ
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アンドリュー
【合議体】
【審判長】 山口 直
【審判官】 熊倉 強
【審判官】 平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−529675(JP,A)
【文献】 特表2005−519650(JP,A)
【文献】 特表2002−543911(JP,A)
【文献】 特開2002−369820(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0228414(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/092210(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひだ形成術用のステープル留めシステムにおいて、
末端を有する主軸であって、その主軸の末端には、負圧供給源に接続されるように構成され、かつ、胃の内に位置決めするための真空槽(18)を備え、その主軸がステープル留め部材(13)を備え、そのステープル留め部材がアンビル(40)と、ステープルヘッド(42)とを含み、
前記ステープルヘッド(42)はステープル(70)を収容するカートリッジ(44)を備え、
前記ステープル留め部材(13)は、前記アンビル(40)とカートリッジ(44)との間に位置する胃の組織に接触するように、前記カートリッジ(44)を進めるために使用される流体管路(58a,58b)を備え、
前記カートリッジ及びアンビルの少なくとも一方に近接して配置され、前記ひだを補強するためにステープルが係合する補強材(74)を備えるステープル留めシステム。
【請求項2】
前記ステープル留めシステムの使用時に、前記真空槽が胃壁組織に接触して位置決めされ、その組織をアンビルとステープルヘッドとの間の位置に引き込んで、ひだを形成するために胃壁組織にステープルが打ち込まれることを可能にする請求項1に記載のステープル留めシステム。
【請求項3】
前記補強材は金属または高分子材料によって形成されている請求項1に記載のステープル留めシステム。
【請求項4】
前記補強材は、ひだ形成の完了に際し、ひだの中のステープルが互いにつながれるように位置決めされる請求項1に記載のステープル留めシステム。
【請求項5】
前記補強材は、ステープルが胃壁組織を貫通してアンビルに接触する時にステープルの突起部がその補強材の近くに折り重なって補強材を捉えてステープルとともに連結されるように構成される請求項1に記載のステープル留めシステム。
【請求項6】
前記補強材は円形状を有する請求項1に記載のステープル留めシステム。
【請求項7】
前記ステープルは前記カートリッジ内で円形パターンに沿って配列される請求項1に記載のステープル留めシステム。
【請求項8】
前記ステープル留め部材は胃壁組織を貫通するステープルの2つの同心リングを生成するように構成されている請求項1に記載のステープル留めシステム。
【請求項9】
前記真空槽は胃壁組織を真空槽に引き込むために胃壁組織と接触するように配置される開口部を有する請求項1に記載のステープル留めシステム。
【請求項10】
前記ステープル留め部材は胃の内部において胃壁組織に向かって横方向に移動するように構成されている請求項1に記載のステープル留めシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に内視鏡手術を行うためのシステムに関し、詳細には体腔内の組織の内視鏡的褶襞形成術(plication・ひだ)のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の胃Sと付随器官の解剖学的図を図1Aに示す。食道Eは口から胃Sの近位部に食物を運ぶ。Zラインすなわち食道胃接合部Zは、食道の薄い組織と胃壁の厚い組織との間の不規則な形をした境界である。食道胃接合部位Gは、食道Eの遠位部、Zライン、および胃Sの近位部を包含する部位である。
【0003】
胃Sには、近位端の胃底部Fと遠位端の胃前庭部Aとが含まれる。胃前庭部Aは、小腸の近位部位である、十二指腸Dに接続する幽門Pに食物を送る。幽門P内に十二指腸から胃への食物の逆流を防ぐ括約筋がある。十二指腸の遠位に位置する、小腸の中間部位は、空腸Jである。
【0004】
図1Bは、胃壁を形成する組織層を図示する。一番外側の層は、漿膜層すなわち「漿膜」Sであり、胃内部を覆う一番内側の層は粘膜層すなわち「粘膜」MUCである。粘膜下層SMおよび多層の筋層Mが、粘膜と漿膜の間にある。
【0005】
特許文献1を含む先行出願で、医療用インプラントを胃の内部に形成された組織構造に連結する方法を説明している。それらの出願によると、体重減少を引き起こすための装置(たとえば、胃への食物の流れを制限しあるいは閉塞することにより、及び/又は、胃容積の一部をふさぐことにより)が、組織のトンネルあるいは胃組織から形成されるひだP(図2参照)に結合される。
【0006】
たとえば、2006年5月23日出願の出願番号11/439461の米国特許出願は、体重減少のため制限及び/又は閉塞的インプラントシステムを説明する。一実施の形態では、柔軟なループ2(図3参照)を胃の食道胃接合部位に形成された組織のひだP(図2参照)に結合する。流れを制限し及び/又は閉塞するインプラント4(図4参照)のようなインプラントを、ループ2に通して、図5に示すように胃に保持する。
【0007】
2006年10月3日出願の出願番号11/542457の米国特許出願は、その外側表面から伸びるアンカーがある限定的な小袋を含む別のインプラントを示す。埋め込み中に、アンカーはひだの付けられた組織に形成された切り欠き/穴に挿入される。
【0008】
別の例では、組織のひだ形成そのもので、必要な処置を施すのに充分である。たとえば、ひだ形成が胃の容積を減じ、あるいは胃の中の流れの制限を形成するのに用いられる。2006年10月3日出願の米国出願番号11/542457に説明されるように、胃容積の制限を形成し及び/又は低減するように、2以上のひだが互いに結び付けられ、そして何らかの方法で保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2005/037152号パンフレット(特表2007−508053号公報 米国特許出願番号11/542457の優先権主張を伴う) 他のタイプのインプラントが、種々の目的のためにこのようなひだや他の組織構造に結合される。このようなインプラントには、胃の空間占有物、胃食道逆流症処置用人工弁、胃刺激装置、pHモニターおよび薬剤、生物製剤や細胞を胃や消化管の他の場所に放出する薬剤溶出装置を含むが、これらには限定されない。それらの薬剤溶出装置では、レプチン(満腹感を生ずるホルモン)、グレリン(空腹感を生ずるホルモン)、オクトレオチド(グレリンのレベルを低下させて、空腹感を減少させる)、インスリン、化学療法剤および、手術後のトラウマ、潰瘍、裂傷などの治癒に役立つ天然生物製剤(たとえば、成長因子、サイトカイン)を放出する装置を含む。さらに別のインプラントは、特定のタイプの細胞が付着し、成長し、生物学的に活性な遺伝子産物を消化管に提供するプラットフォーム及び/又は治療目的の現場放射線源を提供する放射線源のプラットフォームを提供し、診断用リガンドが固定されて特定の正常なあるいは病気の状態の証拠として消化管の試料を入手するのに使われるプラットフォームを提供し、カメラや他の画像撮影装置を通じて消化管の画像を撮影する固定点を提供する形式でもよい。
【0010】
上記の先行出願は、漿膜組織(すなわち、胃の外表面の組織)の部位が互いに接触を保つような方法で、組織のひだ、ポケットあるいはトンネルを形成することが好ましいことに注意を向けている。徐々に、向かい合うひだ層間に形成された癒着は強い結合となり、腹部の動きや埋め込まれた器具によりそれらに作用する力にもかかわらず、長期間にわたりひだを維持できる。漿膜面にひだを作る前に、漿膜面の間にいくつかの素材および/あるいは物質(すなわち、注入可能な硬化剤)の何かを置くことにより、より耐久性のあるひだを生成できる。この目的に適う材料の一例として、ポリプロピレン・メッシュがあり、ヘルニアの治療に用いられ、ひだ折り中に挿入されると消化管内に耐久性の高い固着を提供する。
【0011】
ひだが形成される用途に関係なく、より侵襲的な手術や腹腔鏡の方法を用いるよりも、食道を通過する道具を用いて胃の内部から行われる工程を用いて、そのひだが形成されることが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明の目的は、ステープルで留められた胃壁組織を構造的に補強することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願は、内視鏡的褶襞形成装置は口経由で胃の中へ入り、胃の内壁の組織に内側から接触して内側に引き寄せ、胃にひだを形成するのに用いられる内視鏡的褶襞形成装置について説明する。吸引あるいは別の手段を使用して胃が内側に引き寄せられてもよいが、内部に引き寄せられた胃壁組織の部分はここでは組織の「一つまみ」(pinch)と称する。好ましい実施例では、引込み部材は、ステープラーヘッドの移動経路に組織を引き込み陥凹させる。真空及び/又は機械的な引込器は陥凹に使用される。ステープラーヘッドとアンビル(金床・anvil)の間に胃壁の一部を引き寄せて、引込み部材は、胃の外面上における漿膜の組織の部分を互いに面して位置決めするように定める。開示された褶襞形成装置は、互いに対向する組織切片を確保するためにステープル(staple)を供給するが、その代り、縫合あるいは少なくとも漿膜の接合がそれらの間に生ずるまで組織切片間の接触を維持するための別の手段を供給してもよい。褶襞形成装置は、漿膜の接合を増強する漿膜の組織の対向領域における間の位置へ胃壁を通してメッシュ素子及び/又は硬化剤を供給してもよい。これらのステップの各々は全て胃の内部から行なわれるので、外科的な又は腹腔鏡による干渉の必要がなくなる。また、医療用具は胃内側での保持のためのアンカーに付けられてもよい。
【0014】
本出願では胃組織中の褶襞形成に関しての褶襞形成装置および方法について記述しているが、ここに記述された実施例は、消化器系の内部又はその消化器系の外側の身体各部中の褶襞形成用に等しく適用可能性を有する。
【0015】
本願は特に、ひだ形成術用のステープル留めシステムにおいて、末端を有する主軸であって、その主軸の末端には、負圧供給源に接続されるように構成され、かつ、胃の内に位置決めするための真空槽を備え、その主軸がステープル留め部材を備え、そのステープル留め部材がアンビルと、ステープルヘッドとを含み、前記ステープルヘッドはステープルを収容するカートリッジを備え、前記ステープル留め部材は、前記アンビルとカートリッジとの間に位置する胃の組織に接触するように、前記カートリッジを進めるために使用される流体管路を備え、前記カートリッジ及びアンビルの少なくとも一方に近接して配置され、前記ひだを補強するためにステープルが係合する補強材を備えるステープル留めシステムを要旨とするものである。

【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ステープルで留められた胃壁等の組織を構造的に補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1Aは、人間の胃と小腸の一部の概略図である。
図1B図1Bは、胃壁の一部の断面斜視図であり、胃壁を形成する組織の層を図示する。
図2図2は褶襞形成システムの斜視図である。
図3図3は組織と係合する姿勢の真空ヘッドと一体になった図2のシステムの斜視図である。
図4図4図3のシステムの斜視図で、真空ヘッドと係合し、当該システムによって圧搾された組織を示している。
図5図5は、図4の図面と同様の断面図である。
図6図6図5と同様であって、カートリッジからステープルを発射するように、ステープラドライバーが活性化されることを示す。
図7A】真空ヘッドと係合した組織を陥凹させるために係合部材の使用状態を示す連続図である。
図7B】真空ヘッドと係合した組織を陥凹させるために係合部材の使用状態を示す連続図である。
図7C】真空ヘッドと係合した組織を陥凹させるために係合部材の使用状態を示す連続図である。
図7D】真空ヘッドと係合した組織を陥凹させるために係合部材の使用状態を示す連続図である。
図7E】真空ヘッドと係合した組織を陥凹させるために係合部材の使用状態を示す連続図である。
図8図8は、褶襞形成システムの第2の実施例の斜視図である。
図9図9は、図8の実施例の引込み部材の分解部品配列図である。
図10A図10Aは、展開可能な真空槽の実施例の斜視図で、圧搾された姿勢で示してある。
図10B図10Bは、展開した姿勢の図10Aの真空槽の斜視図である。
図11A】ステープルのパターンを示す平面図である。
図11B】ステープルのパターンを示す平面図である。
図12A】ステープルのパターンの結合状態を示す平面図である。
図12B】ステープルのパターンの結合状態を示す平面図である。
図12C】ステープルのパターンの結合状態を示す平面図である。
図13A】補強リングの平面図である。
図13B】補強リングの平面図である。
図14A図14Aは、ステープラーアンビル上の図13Bの補強リングを示す斜視図である。
図14B図14Bは、図14Aの補強リングとアンビルの平面図である。
図14C図14Cは、ステープルカートリッジ上の図13Aの補強リングを示す斜視図である。
図15A図15Aは、組織のひだを示し、褶襞形成装置のステープルカートリッジ側に置かれたひだの側面を示す。
図15B図15Bは、褶襞形成装置のアンビル横のひだ姿勢の側面を示す。
図16A図16Aは、線状のステープルのパターンを使用するのに適したステープル補強を示す平面図である。
図16B図16Bは、線状のステープルのパターンを使用するのに適したステープル補強を示す平面図である。
図17図17は、互いに組織のひだについて係合用の留め具を利用するための、図16Bのステープル補強の使用を概略的に示す説明図である。
図18A図18Aは係合部材の他の実施例を示す。
図18B図18Aの係合部材を配備して、組織のひだ内に係合部材を保持する手順を説明する連続図である。
図18C図18Aの係合部材を配備して、組織のひだ内に係合部材を保持する手順を説明する連続図である。
図18D図18Aの係合部材を配備して、組織のひだ内に係合部材を保持する手順を説明する連続図である。
図18E図18Aの係合部材を配備して、組織のひだ内に係合部材を保持する手順を説明する連続図である。
図19図19は他の係合部材と展開型フープを用いる実施例を示す構成図である。
図20A図20Aは、さらに真空ヘッドの中空針から展開している別の係合部材を示す。
図20B図20Bは、さらに真空ヘッドの中空針から展開している別の係合部材を示す。
図21A】補強部材の他の実施例を示す。
図21B】補強部材の他の実施例を示す。
図21C】補強部材が空管から展開されることを示す。
図22A図22Aは、補強部材を展開するための拡張可能なフレームの斜視図である。
図22B図22Bは、図22Aのフレーム上の補強部材を示す。
図23A図23Aは、図2のシステムで作動する、組織圧搾およびステープルに使用される油圧装置を示す断面図である。
図23B図23Bは、図2のシステムで作動する、組織圧搾およびステープルに使用される油圧装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
褶襞形成システム
図2は、内視鏡的な使用にふさわしい組織のひだ形成術用のシステム10の一実施例を示しているが、もし望まれれば、外科的な使用や腹腔鏡の使用にも適する。
【0019】
概して言えば、システム10は、食道を通り抜けて胃の中へ拡張可能な末端の部分がある主軸11を備える。主軸11の末端の部分は引込み部材12、およびアンビル40とステープルヘッド42で構成されたステープル留め部材13を有する。システム10の使用中に、引込み部材12は、胃壁組織と係合し、かつ、ひだを形成する為に胃壁組織にステープルを打ち込むことが可能になるように、アンビル40とステープルヘッド42の間の位置に組織を引き込むために使用される。胃壁「一つまみ」を内部に引き込み、次に、組織をステープルで留めることによって、漿膜の組織の領域が互いにステープルで留められる。時間とともに、これらの漿膜の組織層は胃の内部でインプラントを支持するような十分な耐久性の褶襞を与えるような、比較的強い接合を形成するように付着する。
【0020】
引込み部材12は真空ヘッド14および可撓管16を備えている。可撓管16に食道を通り抜けて合理的な前進をさせるために、可撓管16は主軸11に関連してほぼ縦に伸びる挿入構成を有する。チューブ16は、真空ヘッド14を胃の内に適切に位置決めさせるために必要とされるような関節運動又は反転収縮式ワイヤー(図示せず)及び/又は代替手段を装備している。
【0021】
真空ヘッド14には、真空槽18が設けられ、この真空槽18には組織を引き込むように胃組織と接触するように位置する開口部がある。真空槽は、好ましくは、シリコーン、ウレタンあるいは別の適切な材料のような可撓性材料から作られる。チューブ16は、チューブ16への吸引力の適用が真空槽に真空を形成するように、注射器かバキュームポンプのような負圧源に流動的に(fluidly)つながれる。
【0022】
中空針20はチューブ16を通って真空槽18の中に進む。中空針20は、真空槽に引き寄せられた組織に対して進められた時、胃壁組織(図7A乃至図7B)を貫通するために末端の先端を十分に鋭く尖らせてある。オプションの組織係合部材(図2乃至図6に図示せず)は、中空針20内に位置する。図7C乃至図7Eで示されたように、組織係合部材は中空針20から展開可能で、中空針20が組織を通り抜けて進められた後、組織係合部材は展開状態に置かれる。また、組織との係合を維持するように展開した後に、付属の係止具かカテーテルを使用して、中空針20が近位へ引っ込められる。
【0023】
様々な型の係合部材がこの目的に使用される。図7Dに示される実施例では、係合部材22aは、中空針20を通って拡張可能な小口径カテーテル26上に取り付けたバルーン(気球)24である。バルーン24が胃壁の漿膜の側に拡張した後、図7Eに示されるような、ステープル留め用のアンビル40とステープルヘッド42の間(図7A乃至図7Eに図示せず、しかし以下に論じる)に陥凹した組織を保持するため、引張力がカテーテル26に適用される。ステープルカートリッジとアンビルの間の領域からそれを移動させるために、真空槽18は組織から引っ込まれる。次に、ステープルは矢Aの方向に組織に打ち込まれる。バルーンはステープル留めされた後に除去されてもよく、又は人体内の決まった場所に残されてもよい。バルーンが人体の中に残される場合、バルーンは、生物分解性材料か生体内分解性材料、あるいはより永久使用の生物学的適合性材料から作られる。
【0024】
先に述べたように、ステープル留め部材13はアンビル40とステープラヘッド42を有する。図2乃至図6は、アンビル40の遠位端に位置したヘッド42を示しているが、別の実施例では、これらの部材の位置が逆でもよい。同様に、示された実施例では、ステープラーヘッドが組織を圧搾するために進んでいるが、別の実施例では、代りにアンビルが進められてもよい。
【0025】
ステープル留め部材13は主軸11に関連して回転可能なので、一旦、ステープル留め部材13が胃の内に位置すると、それは胃壁の方へ横に移動する。図2の実施例では、アンビル40は、主軸11に関連して基部の回転が可能なように、枢着部54(図5)で主軸11に結合した関節運動可能な基部52へ取り付けられる。したがって、ステープル留め部材13も同様である。基部52は、食道を通り抜けてシステム10の合理化された移動を容易にするように、主軸11に関連した縦方向の位置(図示せず)に移動可能である。図5に示されるように、モータで駆動されるウォームスクリュー56が基部52を関節運動させるために駆動される。
【0026】
図5に最もよく示されるように、ステープルヘッド42はステープル(図面において可視でない)を入れているステープルカートリッジ44、およびそれがステープルと接触する近位に進められる場合に、カートリッジ44からステープルを打ち込むために位置するステープラドライバー46を有する。流体管路58a、58bは、カートリッジ44とステープルドライバー46からそれぞれ伸びて、人体の外部に供給源の位置する空気、ガスあるいは別の流体(いずれでも「流体」と呼ぶ)と結合している。使用中に、流体またはガス圧力は流体管路58aによって送られ、図4に示されるようにアンビル40とカートリッジ44との間に位置する組織と接触するようにステープルカートリッジ44を進めるために使用され、その結果として、組織を圧搾する。他の実施例では、流体管路58aは、アンビル40とステープルカートリッジ44の間のギャップ内に配置された組織を圧搾するために、起動された時、ステープルカートリッジ44を進める親ねじを運転するように構成されたケーブルと取り替えられてもよい。
【0027】
一旦組織がカートリッジ44とアンビル40の間で圧搾されていれば、次に、ステープルカートリッジ44に位置するステープルと接触するようにステープラドライバー46を打ち込むために、流体/ガスが流体管路58bを経由してシリンダー48を十分に高圧状態にするように送られる。組織穿孔要素50は、示された実施例の中で鋭くなった端がある筒状素子である。褶襞形成の間に孔を形成するために、ステープル留めの間に、組織の一部を切り抜くように、この組織穿孔要素50は、ステープラドライバー46に結合している。
【0028】
図23A図23Bは、カートリッジ44とステープルドライバー46を進めるために使用される、組み立て式の油圧装置を示す。
図23Aのシステム110は、圧搾とその後のステープル留めに対する、カートリッジとドライバーの連続する移動を可能にする。システム110は入れ子のシリンダー112a、112bおよび112c、流体入口114a、114bおよび114c、Oリングシール116a〜116dを有している。流体圧力が入口114aを経由してシステムに導入される場合、シリンダー112bが左に向かって前進する。一度、シリンダー112bのOリングシール116bが、入口114bを横切ると、流体圧力が入口114cを経由してシリンダー112aに加えられ、その結果図面の左にシリンダー112aを移動させる。この配置は、例えばシリンダー112bに結合したステープルカートリッジに使用されるように、第1の圧搾に用いられ、次に、流体やガス圧力の単一の源を使用して、例えばシリンダー112aに結合したステープラドライバーを作動して、組織をステープル留めするのに使用される。
【0029】
図23Bのシステム111は、例えばステープラドライバー、カートリッジ及び/又はアンビルのように、機構に必要とされる移動の経路の長さが、例えば胃の場合のように、環境に適合するより長いシリンダーを必要とする場合、使用される入れ子式の流体動力アクチュエーターである。システム111はシリンダー118a、118bおよび118c、流体入口120aと120b、Oリングシール122を有している。入口120aで加えられた圧力は、カートリッジと結合しているシリンダー118aを左に向かって前進させる。一旦シリンダー118aが距離l移動させたならば、それはシリンダー118bの肩124と係合し、シリンダー118aが移動し続けるとともに、その結果シリンダー118aでシリンダー118bを移動させる。この配置によると、短い流体動力システムでも、シリンダー118aに必要なロング・ストロークが得られる。
【0030】
図8は、主軸11に関してステープル留め部材13をそらすために硬化性ケーブル80を利用する修正された褶襞形成システム10aの他の実施例を示す。硬化性ケーブル80は、好ましくは、引上ワイヤー(図示せず)上に糸に通された複数の背骨要素82から作られる。流体管路58a、58bは背骨要素の穴を通って伸びてもよく、あるいは、それらは硬化性ケーブル80と分離していてもよい。人体の外部に位置したアクチュエーターを使用して、ケーブルに引張力を作用させる場合、背骨要素82はケーブルを硬化するために互いに係合する。引張力がケーブルに作用する場合に、ケーブルが予定された曲げ形状になるように、背骨要素82は形作られる。
【0031】
図8の実施例では、硬化性ケーブル86はまた真空槽18aを運搬する。ケーブル86は、各背骨要素88中を通って伸びる引上ワイヤー(図示せず)を有する。背骨要素88は、真空槽18aがアンビル40とカートリッジ44の間に前進するような正しい方角に向くように形ができている。ケーブル86は、主軸11中の管腔から縦方向に伸長性のある被覆89から伸びている。
【0032】
真空槽18aは被覆89内に位置するように折り曲げられてもよく、また圧縮可能でもよい。図10Aは、それが被覆89の遠位端部を出るとともに開き始める、折り重ねられた真空槽18bを示す。また、図10Bは、被覆89を出た後に完全に開いた真空槽18bを示す。図10Aは、変形の実施例において、胃壁や別の器官又は組織に接近し及び/又はこれを視覚化できるように、内視鏡98及び/又は別の道具が真空槽18bを通過することを示している。図8の実施例では、襟部96は内視鏡98収容用の主軸11上に設けられる。
【0033】
図9は、図8実施例の真空槽18aの分解組立図で、1組の把持顎90が真空槽18aの内部に位置することを図示する。把持顎90は連結配列を用いて構築され、真空槽18aのバックプレート92を通って、背骨要素88(図8)を通り、人体の外側の褶襞形成術装置の近位端へ伸びる引上ワイヤーを使用して制御される。真空になる前に、把持顎90は開放位置に移動される。真空圧力によって真空槽18aに組織が引き込まれる場合、把持顎90は組織と係合するために閉じている。
【0034】
図8及び図9において、さらに真空槽18aは真空槽18aへ伸びる安定化アーム94を有する。真空が作用する場合に、真空槽18aが崩壊するのを防ぐために、安定化アーム94は、真空槽18aの内壁に接して保持される。安定化アーム94は、真空槽が食道に通じる通路に向かって折り畳まれることを可能にするために、閉じた位置と開放位置との間で移動可能であるが、また、安定化アーム94は開放位置で固着され続けてもよい。
【0035】
ひだの補強
様々な形式の補強が、褶襞形成システムを使用して形成されたひだに、またはその上に埋め込まれる。この補強はステープル配列を補強するために機能し、ステープルによって組織に加えられた力をより平等に分布させるのを支援し、及び/又は対向する漿膜の層の間の結合を促進する。適切な補強は、粘膜の組織の側面に加えられた補強(「粘膜の側面補強」)と同様に、漿膜の組織層の上に又はその層の間に位置する補強(「漿膜の側面補強」)を含んでいる。
【0036】
漿膜の側面補強のために、図7Dに関連して記述された係合部材22aと同じような補強は、組織に適用されたステープル配列を補強し、及び/又は互いにステープル留めされる予定の胃壁組織の層の間における漿膜の組織接合を容易にする、永久か半永久の埋め込みとして役立つ。この目的のために、材料は、合成メッシュ、非合成メッシュ(ニチノール、ポリエステルあるいは別の天然又は合成材料から作られた)、多孔性物質、非多孔性物質、穴のある材料、あるいは粘着が生ずるか、その上に組織が成長するような、別の材料でもよい。具体例としては、ポリプロピレン、商標ゴアテックス(Goretex)かダクロン(Dacron)の下で売られる材料、あるいはウィルソン・クック・メディカル社によって販売される商標サージシス(Surgisis)の材料のような組織移植材料が含まれるが、これに制限されるものではない。材料は生物製剤のような組織の内部成長を促進する物質として扱われてもよい。図18Aの中で示される実施例では、補強22bは、溶解性被覆か生物吸収性被覆の内に埋め込まれたか、覆われたメッシュ又は組みひもである。補強22bは、好ましくは図7Dの気球に関連して記述されたものと同様の態様で位置する。具体的には、真空槽18はひだが形成されることになっている組織の領域を係合するために使用される。中空針20は真空槽18の内部から胃壁を通って進められる。また、補強22bは中空針から進められ、漿膜の組織に対向する領域104の間でトロイダル形状に膨張する。補強22bは、図18Dに示されるように、係止具33に対する引張力の適用によって胃壁の引き入れに任意に使用されてもよい。図18D図18Eで示されるように、組織を通り抜けたステープルは、膨張した補強を貫通して空気を抜き、対向する漿膜の組織層の間に空気を抜かれた補強を捕らえる。補強は、ステープルで留めた後に胃壁組織の二層の間の適所に残される。空気を抜かれた気球上の被覆は溶けて、漿膜が下層のメッシュか多孔性物質の隙間に入り込む。
【0037】
図19に示されるように、補強22bの代替の補強22cは、圧縮された形状で中空針20を通ってワイヤーフープ34上で展開できるように(例えば、縫合糸32を使用して)分離可能に運搬されたメッシュ円板30でもよい。メッシュ円板30は、次に、胃の外部でメッシュを展開するために図示された姿勢へ自己展開可能である。縫合糸32は、襞が付けられた組織層の間に適所にメッシュを残して、ステープル留めの間に切り取られる。フープ34は中空針20へ回収され、人体から取り除かれる。
【0038】
図20A図20Bで示される別の実施例では、補強22dは、中空針20内に縦方向に位置する細長いニチノール・メッシュ又は組みひも背骨(braid backbone)35である。しかし、補強22dが中空針の孔内から解放されると、漿膜の組織層の間で必要とされる円形又は別の適切な構成となるようにその姿勢がセットされている。図21Aから図21Cで示されるこの概念への修正例では、補強22eが中空針20から押される場合に、補強22eは様々な開いた形状のうちの1つをとるワイヤー37やリボン形状にセットされる。開いた形状では、ワイヤーは、補強22eが漿膜の組織層の間に位置する時、補強22eが組織を貫通したステープルによって捕らえられるような姿勢のパターンを形成する。先に述べた他の補強のように、パターンは図21A又は図21Cのように環状でもよく、また図21Bのように円板状でもよい。さらに、パターンはほぼ円形輪郭を持つものが図示されているが、その代りに別の形が使用されてもよい。
【0039】
図22A図22Bで示される別の実施例では、補強22f(それはポリエステル繊維製品、又は本明細書の何れかの箇所にリストされたものを含む別の材料から作られる)は、中空管20から解放された時、開いた位置に向かって弾性復帰して、複数の外側に伸びるアーム108を有するフレーム106によって運搬される。補強22eは、上述されたと同様の手法で中空針20を用いて配置される。具体的には、中空針20は係合された胃壁組織を貫通するように突き通される。また、図22A図22Bで示される開いた位置へアーム108が広がることを可能にするために、フレームは、中空針20の遠位端部に進められる。その結果として、フレームは、対向する漿膜の層の間で補強22eを展開する。補強22fの構成要素は、胃壁の対向する領域を通り抜けたステープルによって層の間で固着される。また、フレームは中空針から引き抜かれて、人体の外側にでる。
【0040】
粘膜の側面補強は、ひだを形成する組織の「一つまみ」の外面を形成する粘膜表面の一方又は両方上に位置するか、隣接している補強の形式をとる。これらの補強はステープルやステープルの配列であるか、ステープルが組織を通り抜けて進められる時に、ステープルと係合する別の部材でもよい。
【0041】
図11Aを参照すると、従来のステープルで留める手順では、ステープルの2個の並列な並びをしばしば有し、一列のステープルは別の列のステープルに対して横方向にオフセットしている。開示された方法によれば、図11Bに示すように、オフセットしたステープルの2つの同心リングを生成するように、褶襞形成装置10を使用して加えられた円形のステープルパターンにこの技術を使用することは有用である。それは、ステープルで留められた組織に、より大きな構造補強を提供し、及び/又はステープルによって組織に加えられた力をより均等に分布させるために、ステープルをつなぐか連結することにより、粘膜の側面補強を形成するのにさらに有益と分かった。リンクしたステープル配列は、図12Aに示すような連結をするために単一の円形パターンに、又は連結されたステープルの2つの同心輪紋を備えた二重の円形パターンに、褶襞形成装置10のカートリッジ中のステープル70を配置することにより形成される。ステープル70aは、図12Bの斜視図中で示されるように、ロックするパターンを形成するように曲線から成ってもよい。図12Cで示されるように、ステープル70は線状の配置でつながれてもよい。
【0042】
他の実施例では、ステープルは、ニチノール、チタン、ステンレス鋼PEEKあるいは別の生物学的適合の材料のような金属か高分子材料から作られた補強材によって互いに繋がっている。これらの実施例によれば、組織を通り抜けるステープルによって補強材が捕らえられるように、補強材が、褶襞形成システムによって係合された組織の「一つまみ」における粘膜側面の一方又は両方に設けられる。好ましい実施例では、ステープルがカートリッジを出るとき、ステープルはカートリッジ側面補強リング72(図13A)を捕らえ、及び/又はアンビルがステープルを形作り曲げるとき、アンビル側面補強リング74(図13B)を捕らえる。褶襞形成の完了に際して、半径方向にそれらが分離し、開くことができないように、ステープルは互いにつながれる。先行技術である、牛の心膜あるいはヒドロゲルから作られたシートのような材料を強化するステープルと比較して、補強リングの使用は有利である。ステープルが組織を通り抜けるとき、それらシートの両方はステープルによって貫通され、したがって潜在的に損傷する。補強リングのオープンな構造又は格子模様は、ステープルを包み込むべき支持部材と同様に、ステープルに対して貫通するような開口部を提供する。その結果、ステープルはリング材を捕らえるが、貫通しない。時間とともに、組織は格子構造の中に、及び/又は支持部材のまわりで成長する。格子構造の開口部の寸法のようなリングの寸法は、生じるであろう内部成長の量を増加又は減少させるために調整される。
【0043】
補強リングはステープルと一体化されるものであるが、好ましくは、補強リングはステープルとは別途離れて供給されるのが望ましい。この実施例では、アンビル側面補強リング74は、図14A図14Bで示されるようなステープル留め用のアンビル40に寄りかかって位置する。アンビルはアンビル上でリングの姿勢を維持する構成要素を保持してもよい。リング72は、リング72の開口部73から伸びる突起部76と位置合わせしたステープル70と共に、カートリッジ44内に据え付けられる。その代わりに、カートリッジは、ステープルで留める前に適所にリングを保持するための保持部材を有していてもよい。
【0044】
ステープル70がカートリッジから打ち込まれる場合、ステープル70は開口部73を貫通してさらに進み、図15Aで示されるような粘膜の組織に隣接したリング72を捕らえる。ステープルの脚体/突起部76は、胃壁組織を貫通して、アンビル40のくぼみ78と接触する。アンビル40と接触する場合、図15Bに示されるように、リングを捕らえて、かつひだのアンビル横のステープルと連結するために、突起部76は、ステープルリング74の近くで折り重なる。リングあるいはこの形の別の連結部材は、一列または二列のステープル配列構成と共に使用される。
【0045】
リング72、74は一般に円形のものとして示される。しかし、リング72、74には、線状や卵形および別のステープルパターンに適合するような形状を含んだ、異なる形やパターンの代替の補強が使用されてもよい。
【0046】
図16A図16Bは、線状のステープルパターンに役立つ補強75a、75bの2つの具体例を示す。図示されるように、補強は、ステープルの脚部の受け入れ用開口部73aを定義する、複数の相互に連結する部材を使用する点で、リング72と同様である。所定のステープルの脚部は、2個の横に位置した開口部73a、縦に位置した開口部73a、単なる単一の開口部あるいは別の組合せを通過してもよい。これらの補強は、円形のステープルに関して上述されたやり方の中で、線状のステープルと共に使用されてもよい。補強は、例えばpH監視装置や別のセンサー、刺激リード線、ペーシングリード線、その他のような、人体内に使用されるインプラント受入用に位置した部材77を有しても良い。図17は、ある組織のひだと別の組織のひだとを係合するシステムに用いられる留め具79a、79bを支持するループ77の使用を示す。開口部73aを貫通したステープル70は補強と係合し、しわを形成する。次に、留め具79a、79bは、しわを互いに引き寄せて連結するように、互いに係合状態をもたらす。これは、胃容積を制限し、及び/又は低減するために使用されるが、他の目的でもよい。
【0047】
開示された補強は、ステープラーに用いられるステープルの並びやリングを補強するために市販で入手可能なステープラーと一緒に使用される個々の構成装置として販売される。
【0048】
典型的な使用方法
開示されたシステムを使用する1つの方法は、主として図8図9とを参照して次に記述される。
【0049】
使用に備えて、ステープルヘッド42と真空槽18aの位置関係は、それらの縦方向の位置に置くための適切な引上ワイヤーを使用して調整される。
次に、組み立てられた褶襞形成装置10aは、食道を経由して胃Sへ運ばれるもので、好ましくは保護シースを通して食道を通過する。内視鏡98も処置の視覚化を提供するために胃へ渡される。内視鏡は、好ましくは褶襞形成装置10aに取り付けられるが、それは別々の構成装置でもよい。
【0050】
褶襞形成装置10aは、ひだが形成されるべき目的場所の方へ進められる。硬化性ケーブル86は流体管路58a、58bの間であって、隣接した胃組織に対向して真空槽18aを延ばすために引上ワイヤーを使用して操作される。真空槽に胃組織を引き込むために、真空槽18に吸引力を作用させる。グリッパアーム90は真空槽内の組織をはさむために閉まっている。また、真空槽18aは係合した組織を運搬して、流体管路58a、58bの間から引っ込められる(図4を参照)。従って、胃が外部から観察されるならば、胃壁のくぼみが視認できるように、組織にポケット100が形成される。漿膜の組織表面104は、ポケット100の外側表面の内側を覆う。グリッパアームが使用されない場合、真空槽内の組織を安定させるために吸引を維持する。
【0051】
図2の実施例の使用中のように、組織に更なる安定化が望まれる場合、図7A図7Bで示されるように、中空針20が係合した組織を貫通して進んでも良い。また、図7C図7Dに示されるように、気球24がポケット100内で膨張してもよい。図7Eで示されるように、膨張した気球24はカテーテル26を使用して引っ込められ、それにより、ポケット100を囲む組織を収縮させる。あるいは、図18Aの係合部材22b、あるいは図20A図20Bの要素22dは、同様の方法で配置されて使用されてもよい。図19の要素22cが使用されることになっている場合、メッシュ要素22cを展開して開かれた形状にするように現れる場所へ、フープ34はポケット100の中へ中空針20を通って進められる。
【0052】
図8を再び参照して、一旦組織が流体管路58a、58bの間に引き寄せられると、流体は流体管路58aを介して、ステープルカートリッジ44を組織に接触する状態に至らせるように作用し、またカートリッジ44とアンビル40の間で組織を圧搾する(図4を参照)。一旦組織が完全に圧搾されていれば、流体圧力は流体管路58b経由であり、その結果カートリッジ44中のステープルと接触する状態へステープラドライバー46を進ませる、したがって、組織を貫通するようにステープルを強打し、同時に胃壁組織の層を貫通する穴か切開を形成させる。ステープルの鋭い端は胃壁組織の二層を通過した後にアンビル40に対して折り重なり、それによりひだを維持する。図13Aの粘膜の補強72と図13Bの粘膜の補強74が使用される場合は、ステープルはステープル留めの間に粘膜の補強リングの一方又は両方と係合する。
【0053】
その処置はもし必要ならば多数のひだを形成するために繰り返されてもよい。ひだの形成に後続して、医療のインプラントは、中空針20によって形成された穴又は切開に結合している。結合は、同じ処置の間に行われても良く、あるいはインプラントを支持するように漿膜の組織層102との間の粘着が十分形成可能な予定である後の処置の間に行われても良い。
【0054】
ここに記述されたシステム又は別の構成装置は、ここに示された方法に従ってシステムを利用する使用者に指示するために用いられる指示とパッケージ化されてもよい。
上述から明白なように、開示された内視鏡的システムは、胃の外面でくぼみを形成するように、胃の中への組織を引き寄せるように機能し、そして、しわを形成するために対向する胃壁断面のくぼみの互いの内側を覆うようにステープル留めする(あるいは縫合する、留める、粘着する等)。内視鏡的システムは、胃の外部上のくぼみ内で強い組織粘着を促進し、増強するべき漿膜表面間の材料を保持する型の材料をさらに置いてもよい。さらにあるいはその代わりに、ステープルを相互に連結させる構造のような粘膜を補強するものが埋め込まれてもよい。これらのシステムはこの作用を行なうために好都合な実施例を提供しているが、別の多くの多様な代替の器具やシステムが、本発明の範囲内でその代わりに使用されてもよい。さらに、開示された実施例は、追加の実施例を生み出す際に、変化した態様で互いに結合してもよい。したがって、ここに記述された実施例は、内視鏡的な組織のひだ形成術を行なうのに役立つシステムの代表的な具体例として扱われるべきであり、請求された発明の適用範囲を制限するためには使用されるべきでない。
【0055】
上記で参照した全ての特許、特許出願および印刷された出版物は、優先権主張の目的のために依拠したものも含めて、引用によってここに組込まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図23A
図23B