特許第6153902号(P6153902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153902
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】エレベーターの遠隔監視装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20170619BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20170619BHJP
   B66B 1/06 20060101ALI20170619BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20170619BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20170619BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B3/00 U
   B66B1/06 Z
   H04W48/18 111
   H04W4/04 190
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-163734(P2014-163734)
(22)【出願日】2014年8月11日
(65)【公開番号】特開2016-37388(P2016-37388A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】簗瀬 誠司
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−282931(JP,A)
【文献】 特開2013−103817(JP,A)
【文献】 特開2010−028680(JP,A)
【文献】 特開2012−199712(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/164694(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 1/06
B66B 3/00
H04W 4/04
H04W 48/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LTE通信モードと3G通信モードにおける電波強度を測定し、電波強度の強い通信モードへ切替えて通信を行い、前記LTE通信モードに切替えたときにLTE通信モード設定信号を出力する無線通信装置が接続され、前記いずれかの通信モードで遠隔地に設置された監視センターと通信を行うエレベーターの遠隔監視装置であって、
エレベーターが停止したときに前記無線通信装置からの前記LTE通信モード設定信号の出力を確認するLTEモード検知部と、
前記LTEモード検知部で検知した前記エレベーターの各停止階におけるLTE通信モード検知回数を記録するLTEモード検知回数記録部と、
前記LTEモード検知回数記録部に記録された停止階毎のLTEモード検知回数の多い停止階を特定するLTEモード検知停止階判定部と、
前記監視センターに定期的にデータ送信を行うときに、前記LTEモード検知停止階判定部が特定したLTEモード検知回数の多い検知回数の停止階へ前記エレベーターの乗りかごを走行させるかご呼びを作成する呼び作成部と、を備え、
前記呼び作成部により作成された前記LTEモード検知回数の多い検知回数の停止階階床に乗りかごを走行させてデータ通信を行うことを特徴とするエレベーターの遠隔監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーターの遠隔監視装置であって、
前記無線通信装置が、前記LTE通信モードと3G通信モード時の電波強度を測定し、電波強度の強い通信モードに自動的に切り替える通信モード切替え部を含み、前記LTE通信モードに切替えたときに当該通信モード切替え部が前記LTE通信モード設定信号を出力することを特徴とするエレベーターの遠隔監視装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレベーターの遠隔監視装置であって、
線基地局と無線通信する前記遠隔監視装置に接続された前記無線通信装置を前記乗りかごの上部に設置したことを特徴とするエレベーターの遠隔監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの遠隔監視装置に係り、さらに詳しくは、無線通信機を有し、公衆無線通信網を介してエレベーターを遠隔から監視するエレベーターの遠隔監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、エレベーターの遠隔監視システムは、ビル内の電話線や電話加入権が不要であり、あるいは基本料金が安いといった理由により、通信装置を用いて無線通信によって監視装置と監視センターの通信を行うものが普及している。従来の通信装置はPHS(Personal Handy-phone System)を用いるのが一般的で、この通信装置はエレベーターホールの呼び釦ボックスに設置されていた。
【0003】
一方、この種の技術として例えば、特開2013−103817号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。この技術は、現場で電波状況を考慮してセンサを適切に設置でき、その設置後の初期化やデータ収集を無線により確実に行うことを目的としたもので、エレベーター設備内の少なくとも1つの保守対象機器(乗りかご等)に設置され、保守対象機器の故障診断に必要なデータを計測する無線センサ端末と、エレベーター設備内の任意の箇所に設置され、無線センサ端末によって計測されたデータを無線通信により収集するデータ収集装置とからなり、データ収集装置は保守員が所持する携帯無線端末との間の無線通信により電波強度を測定する電波強度測定機能を備え、保守員が無線センサ端末を設置する際に上記電波強度測定機能により測定された電波強度を無線センサ端末の設置場所の電波強度として携帯無線端末に送信するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−103817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載の技術では、無線センサ端末を移動体である保守対象機器、例えば乗りかごあるいはカウンタウェイト等に設置し、前記移動体を電波強度が最も得られる場所に移動させて前記無線センサ端末のデータ収集を行う構成となっている。しかし、これは故障診断に必要なデータを計測する無線センサ端末とデータ収集装置との通信を対象としたものであり、データ収集装置と監視センター間の通信については考慮されていない。
【0006】
一方、近年のエレベーターでは巻上機、制御盤等を昇降路内に配置した機械室無しエレベーターが普及しており、通信装置に電波出力が強い無線通信方式(LTE/3G)の通信装置を用いる場合、ホールにいる人のペースメーカーへの影響や設置スペースなどの問題から、エレベーター昇降路内に位置するエレベーター制御盤内等に設置することが多い。通信装置をエレベーター制御盤内に設置した場合、乗りかごは金属でできているため、停止している乗りかご位置によっては、通信装置の設置箇所が金属で覆われ、電波が遮断されてしまう場合がある。そのため、電波強度が安定せず、3G(3rd Generation)とLTE(Long Term Evolution)の通信の切替わりが頻繁に起こり、通信不能の状態が発生することがあった。また、LTE通信から3G通信に切り替わり、通信速度が意図せずに低下するということがあった。
【0007】
他方、エレベーターの監視装置は、ドア開閉回数や起動回数等のエレベーターの様々な運転情報のデータを記録し、さらに記録した前記データを蓄積している。この蓄積されたデータは、例えば月に一度、監視センターへ送信される。しかし、データ容量が大きいことから、電波強度が安定しない場合、監視センターはデータ収集に長い時間を必要とし、最悪の場合はデータ収集に失敗する場合もあった。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、通信容量が多量のエレベーター監視データを確実に高速通信できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、LTE通信モードと3G通信モードにおける電波強度を測定し、電波強度の強い通信モードへ切替えて通信を行い、前記LTE通信モードに切替えたときにLTE通信モード設定信号を出力する無線通信装置が接続され、前記いずれかの通信モードで遠隔地に設置された監視センターと通信を行うエレベーターの遠隔監視装置であって、エレベーターが停止したときに前記無線通信装置からの前記LTE通信モード設定信号の出力を確認するLTEモード検知部と、前記LTEモード検知部で検知した前記エレベーターの各停止階におけるLTE通信モード検知回数を記録するLTEモード検知回数記録部と、 前記LTEモード検知回数記録部に記録された停止階毎のLTEモード検知回数の多い停止階を特定するLTEモード検知停止階判定部と、前記監視センターに定期的にデータ送信を行うときに、前記LTEモード検知停止階判定部が特定したLTEモード検知回数の多い検知回数の停止階へ前記エレベーターの乗りかごを走行させるかご呼びを作成する呼び作成部と、を備え、前記呼び作成部により作成された前記LTEモード検知回数の多い検知回数の停止階階床に乗りかごを走行させてデータ通信を行うことを特徴とする。なお、前記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高速通信の電波強度が最も安定している階床に、事前に乗りかごを走行させデータ通信を行うことができる。その結果、通信容量が多量のエレベーターの監視データを確実に高速通信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るエレベーターの遠隔監視装置を含む遠隔監視システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2図1に示したエレベーターの遠隔監視装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るエレベーターの遠隔監視装置を含む遠隔監視システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0013】
図1において、本実施形態に係る遠隔監視システムは、乗りかご2の運転を制御する制御装置3、制御装置3と通信可能な遠隔監視装置4、無線通信装置5、無線基地局6及び監視センター8から基本的に構成されている。
【0014】
エレベーター利用者が乗車する乗りかご2は制御装置3が駆動装置(不図示)を制御することにより、昇降路1内を昇降し、各停止階9−1〜9−n(nは2以上の整数)に停止する。
【0015】
エレベーターELを監視する遠隔監視装置4は、制御装置3からエレベーターELの制御情報を入手し、異常を検出したときは異常通報を、また、エレベーターELの運転情報を所定の周期で、接続している無線通信装置5から無線基地局6と無線通信し、無線基地局6と通信回線網7を経由して監視センター8に送っている。
【0016】
無線基地局6は高速通信を行うLTE通信モードと低速通信を行う3G通信モードで通信を行うことができる。そのため、LTE通信モード用アンテナ61と3G通信モード用アンテナ62とを備えている。
【0017】
無線通信装置5は、LTE通信部53、3G通信部54及び通信モード切替え部55を備えている。LTE通信部53はLTE通信モード用アンテナ51に接続され、3G通信部54は3G通信モード用アンテナ52に接続されている。通信モード切替え部55は、無線基地局6とのLTE通信モード時の電波強度と3G通信モード時の電波強度を測定し、電波強度の強い通信モードに自動的に切り替える機能を備えている。
【0018】
従って、遠隔監視装置4が監視センター8と通信するときは、通信モード切替え部55に設定された通信モードで通信が行われる。また、通信モード切替え部55は、設定した通信モードを後述のLTEモード検知部41に出力する。
【0019】
遠隔監視装置4は、LTEモード検知部41、LTEモード検知回数記録部42、LTEモード検知停止階判定部43、かご呼び作成部44、通信部45、運転情報収集部46及び運転情報記録部47を備えている。
【0020】
LTEモード検知部41は、乗りかご2が各停止階9−1〜9−nに停止する度に、無線通信装置5の通信モード切替え部55から入力されるLTE通信モード設定信号の有無を確認する。若しくは、無線通信装置5から出力されるLTE通信モード設定信号を確認する。そして、LTEモード検知部41がLTE通信モード設定信号を検知すれば、LTE通信モードであるので、LTEモード検知部41は、LTE通信モード検知回数をカウントアップし、LTE通信モード検知回数を停止階毎に記録するLTEモード検知回数記録部42に記録させる。
【0021】
運転情報収集部46は、制御装置3から入手した運転情報を分析し、異常を検出した場合は、通信部45から通信モード設定部55により設定されている通信モードで、監視センター8に異常通報する。運転情報収集部46は、エレベーターELの利用状況、例えば停止階9−1〜9−n毎の停止回数あるいは停止階9−1〜9−n毎の扉(不図示)の開閉回数などの運転情報を運転情報記録部47に記録させる。
【0022】
運転情報記録部47は、所定の周期、例えば毎月1回、記録した運転情報を監視センター8に送信する。この運転情報は利用状況を示すデータなので、異常通報に比べ多量のデータである。この多量のデータを短時間で送信するために、高速通信を行うLTE通信モードが選択される。そのため、LTEモード検知回数記録部42に記録されたLTE通信モード検知回数が最多の階をLTEモード検知停止階判定部43が選択する。そして、LTEモード検知停止階判定部43が選択したLTE通信モード検知回数が最多の階へ乗りかご2を走行させ停止させるため、かご呼び作成部44は、LTE通信モード検知回数が最多の階へのかご呼びを作成する。そして、LTE通信モード検知回数が最多の階で乗りかご2が停止したときに、運転情報記録部47は通信部45から監視センター8に記録した運転情報を送信する。
【0023】
なお、上記の説明では、図1に示した機能ブロックの処理として説明しているが、ハードウェアとしては、遠隔監視装置4、無線通信装置5の図示しないCPUあるいはASICの処理として実行される。
【0024】
図2は本実施形態に係るエレベーターの遠隔監視装置における処理手順を示すフローチャートである。
【0025】
本実施形態に係るエレベーターELの遠隔監視装置4では、まず、手順S1で運転情報収集部46が乗りかご2が停止したか確認する。停止していない場合(手順S1:NO)、手順S1を繰り返し実施する。すなわち、乗りかご2が停止するまで待つ。
【0026】
乗りかご2が停止すると(手順S1:YES)、手順S2において、LTEモード検知部41は通信モード切換部55からの出力信号がLTE通信モード設定信号か否かを確認する。この確認処理で、LTE通信モード設定信号ではない場合(手順S2:NO)には、手順S4に移行する。一方、LTE通信モード設定信号であれば(手順S2:YES)、手順S3において、LTEモード検知部41は現在停止している階のLTE通信モード検知回数をカウントアップし、LTE通信モード検知回数記録部42に記録し、手順S4に移行する。
【0027】
手順S4では、運転情報記録部47は運転情報を監視センター8に送信する周期か否かを確認する。送信する周期ではない場合(手順S4:NO)、手順S1に戻り、それ以降の処理を繰り返す。送信する周期であれば(手順S4:YES)、手順S5において、エレベーターELが利用者から使用されていない状態か否かを確認する。通常は、乗り場呼びあるいはかご呼ぴを所定時間以内にエレベーター利用者が作成しない状態であれば、その状態を確認して、未使用状態と判定している。所定時間以内にエレベーター利用者が作成する乗り場呼びあるいはかご呼ぴがある場合(手順S5:NO)、エレベーターELが利用者から使用されている状態と判定し、手順S1に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0028】
所定時間以内にエレベーター利用者が作成する乗り場呼びあるいはかご呼ぴがない場合(手順S5:YES)、手順S6において、LTEモード検知停止階判定部43はLTEモード検知回数記録部42に記録されている各停止階9−1〜9−nのLTE通信モード検知回数を確認し、LTE通信モード検知回数が最多の階を選択する。
【0029】
次に、手順S7に移行し、手順S7でかご呼ぴ作成部44はLTEモード検知停止階判定部43が選択したLTE通信モード検知回数が最多の階のかご呼びを作成する。そして、手順S8において、手順S7で作成した呼びに応じて、LTE通信モード検知回数が最多の階へ乗りかご2が走行し、停止したか否かを確認する。LTE通信モード検知回数が最多の階で乗りかご2が停止していない場合(手順S8:NO)、手順S8を繰り返し実施する。すなわち、LTE通信モード検知回数が最多の階で乗りかご2が停止するまで待つ。
【0030】
LTE通信モード検知回数が最多の階で乗りかご2が停止すると(手順S8:YES)、手順S9において、運転情報記録部47は通信部45から監視センター8に記録している運転情報を送信し、本処理を終了する。
【0031】
すなわち、本実施形態では、
1.運転情報収集部46が乗りかご2が停止したか確認する。
2.乗りかご2が停止すると、LTEモード検知部41は通信モード切換部55からの出力信号がLTE通信モード設定信号か否かを確認する。
3.LTE通信モード設定信号であれば、LTEモード検知部41は現在停止している階のLTE通信モード検知回数をカウントアップし、LTE通信モード検知回数記録部42に記録する。
4.運転情報記録部47は運転情報を監視センター8に送信する周期か否かを確認する。
5.送信する周期であれば、エレベーターが利用者から使用されていない状態か否かを確認する。
6.所定時間以内にエレベーター利用者が作成する乗り場呼びあるいはかご呼ぴがない場合、LTE通信モード検知停止階判定部43はLTE通信モード検知回数が最多の階を選択する。
7.かご呼ぴ作成部44はLTE通信モード検知停止階判定部43が選択したLTE通信モード検知回数が最多の階のかご呼びを作成する。
8.前記かご呼びに応じて、LTE通信モード検知回数が最多の階へ乗りかご2が走行し、停止したか否かを確認する。
9.LTE通信モード検知回数が最多の階で乗りかご2が停止すると、運転情報記録部47は監視センター8に記録している運転情報を通信部45から送信する。
という処理を実行することにより、高い通信品質で通信を行うことができる。
【0032】
このようにエレベーターELの運転情報のような通信容量が大きいデータ通信、言い換えれば通信容量が大きいエレベーターELの運転情報を含むエレベータ監視データの送信を行う場合には、電波強度判定部27が特定した電波強度の最も安定する乗りかご2の停止階に呼びを作成後、その停止階に移動して通信を行うので、高い通信品質で通信を行うことができる。
【0033】
また。本実施形態では、昇降路1内に無線通信装置5を設置した例で説明したが、無線通信装置5を乗りかご2の上部に設置し、遠隔監視装置4と接続し、監視センター8と通信させることもできる。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。なお、以下の実施形態における効果の説明では、本実施形態の各部について、特許請求の範囲における各構成要素をかっこ書きで示し、若しくは参照符号を付し、両者の対応関係を明確にした。
【0035】
(1) LTE通信モードと3G通信モードにおける電波強度を測定し、電波強度の強い通信モードへ切替えて通信を行い、LTE通信モードに切替えたときにLTE通信モード設定信号を出力する無線通信装置5が接続され、前記いずれかの通信モードで遠隔地に設置された監視センター8と通信を行うエレベーターの遠隔監視装置4であって、エレベーターが停止したときに無線通信装置5からのLTE通信モード設定信号の出力を確認するLTEモード検知部41と、LTEモード検知部41で検知したエレベーターの各停止階9−1,2、・・・nにおけるLTE通信モード検知回数を記録するLTEモード検知回数記録部42と、LTEモード検知回数記録部42に記録された停止階毎のLTEモード検知回数の多い停止階を特定するLTEモード検知停止階判定部43と、監視センター8に定期的にデータ送信を行うときに、LTEモード検知停止階判定部43が特定したLTEモード検知回数の多い検知回数の停止階へエレベーターの乗りかご2を走行させるかご呼びを作成する呼び作成部44と、を備え、呼び作成部44により作成されたLTEモード検知回数の多い検知回数の停止階階床に乗りかご2を走行させてデータ通信を行うので、高速通信であるLTE通信モードの電波強度が最も安定している階床に、事前に乗りかご2を走行させデータ通信を行うことができる。その結果、エレベーターの運転情報のような通信容量が多量のデータを確実に監視センター8に高速通信することができる。
【0036】
(2) 無線通信装置5は、無線基地局6とのLTE通信モード時の電波強度と3G通信モード時の電波強度を測定し、電波強度の強い通信モードに自動的に切り替える通信モード切替え部55を含み、LTE通信モードに切替えたときにこの通信モード切替え部55がLTE通信モード設定信号を遠隔監視装置4側に出力するので、遠隔監視装置4のLTEモード検知手段で確実にLTE通信モードに切替えたことを検知することができる。
【0037】
(3) 無線基地局6と無線通信する遠隔監視装置4に接続された無線通信装置5を乗りかご2の上部に設置したので、LTE通信モードの電波強度が最も安定している階床に容易に移動することができ、移動先から確実にデータ通信を行うことができる。
【0038】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
2 乗りかご
4 遠隔監視装置
41 LTEモード検知部
42 LTEモード検知回数記録部
43 LTEモード検知停止階判定部
44 かご呼び作成部
5 無線通信装置
53 LTE通信部
54 3G通信部
55 通信モード切替え部
6 無線基地局
8 監視センター
EL エレベーター
図1
図2