特許第6153906号(P6153906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6153906-ターボ冷凍機の冷媒回収装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153906
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】ターボ冷凍機の冷媒回収装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
   F25B45/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-182691(P2014-182691)
(22)【出願日】2014年9月8日
(65)【公開番号】特開2016-56983(P2016-56983A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓太
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−020360(JP,A)
【文献】 特開昭64−019207(JP,A)
【文献】 特開平04−006375(JP,A)
【文献】 特開平05−033380(JP,A)
【文献】 実開昭50−006172(JP,U)
【文献】 実開昭50−019062(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3000236(JP,U)
【文献】 米国特許第5375425(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 45/00
F25B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器、圧縮機、及び凝縮器を有するターボ冷凍機の冷媒回収装置において、
前記ターボ冷凍機の前記蒸発器内に、冷媒回収用パイプを設け、
前記冷媒回収用パイプは、冷媒ガス及び冷媒液の吸い込みが可能な複数の開口部と、これらの開口部から吸い込まれる前記冷媒ガス及び冷媒液を整流する整流部とを有することを特徴とするターボ冷凍機の冷媒回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載のターボ冷凍機の冷媒回収装置において、
前記整流部は、板状の複数の羽根から成り、これらの羽根を前記複数の開口部のそれぞれの両側端縁のうちの同じ側に位置する一方の側端縁に取り付けたことを特徴とするターボ冷凍機の冷媒回収装置。
【請求項3】
請求項2に記載のターボ冷凍機の冷媒回収装置において、
前記蒸発器に形成した冷媒取り出し口と、この冷媒取り出し口に一端を連結した冷媒ホースと、この冷媒ホースの他端に連結され、前記冷媒取り出し口から取り出され前記冷媒ホースを介して導かれる冷媒液及び冷媒ガスを収容する冷媒ボンベとを備え、前記冷媒回収用パイプの下端を前記冷媒取り出し口に連結したことを特徴とするターボ冷凍機の冷媒回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ冷凍機の定期整備作業の際に、ターボ冷凍機の冷媒を一時的に排出させて回収するに好適なターボ冷凍機の冷媒回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷凍空調装置などに利用されるターボ冷凍機においては、ターボ冷凍機の長時間の稼動によって劣化した構成部品(ガスケット、Oリング、オイルポンプ、ベアリング等)を定期整備作業にて交換する必要がある。この交換作業を行う際には、一旦、ターボ冷凍機内に収容されている冷媒(フルオロカーボン)をターボ冷凍機の外部に排出させて回収することが必要になる。
【0003】
前述した構成部品の交換の際には、冷媒を冷媒ボンベ、あるいは冷媒回収装置を使用して回収していたが、ターボ冷凍機の冷媒の封入量は500kgから3000kgに達するため、冷媒の回収が完了するまでに通常、2日間から5日間の作業期間が必要であった。
【0004】
このような冷媒回収の所定時間を短縮するための技術として従来、特許文献1に、ターボ冷凍機の底部に加熱手段を設置し、ターボ冷凍機の底部を加熱することによってターボ冷凍機内部における低温凝縮を抑制し、冷媒の回収時間を短縮するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−32860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたターボ冷凍機の底部を加熱することにより冷媒の回収を行う従来技術においても、依然として冷媒回収までに2日間〜5日間の作業期間が必要になっていた。このようなことから、冷媒の回収に要する期間を更に短縮させることができる技術の開発が要望されていた。
【0007】
本発明は、前述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、ターボ冷凍機の定期整備作業において、単位時間当たりの冷媒回収量を増加させることができるターボ冷凍機の冷媒回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係るターボ冷凍機の冷媒回収装置は、蒸発器、圧縮機、及び凝縮器を有するターボ冷凍機の冷媒回収装置において、前記ターボ冷凍機の前記蒸発器内に、冷媒回収用パイプを設け、前記冷媒回収用パイプは、冷媒ガス及び冷媒液の吸い込みが可能な複数の開口部と、これらの開口部から吸い込まれる前記冷媒ガス及び冷媒液を整流する整流部とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るターボ冷凍機の冷媒回収装置は、冷媒回収用パイプの整流部で整流され、開口部から吸い込まれる冷媒ガスによって、冷媒回収用パイプ内に冷媒液及び冷媒ガスの渦を発生させることができる。この渦の力で冷媒回収用パイプから冷媒液を、蒸発器内の冷媒ガスをも巻き込みながら噴出させることができる。すなわち、冷媒液と冷媒ガスとを同時に排出させて回収することができる。これにより本発明は、単位時間内当りの冷媒回収量を増加させることができ、冷媒回収に要する期間を従来よりも短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ターボ冷凍機の基本構成と、このターボ冷凍機に設けた本発明の冷媒回収装置の一実施形態の構成を示す図である。
図2】本実施形態に備えられる冷媒回収用パイプの要部斜視図である。
図3図2に示す冷媒回収用パイプの平面拡大図である。
図4図2のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るターボ冷凍機の冷媒回収装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[本実施形態に係る冷媒回収装置の適用対象となるターボ冷凍機について]
本実施形態の適用対象となるターボ冷凍機は、例えば図1に示すように、単段圧縮式冷凍装置であり、互いに隣接し、冷水にて熱を奪うことで冷媒液を蒸発させる蒸発器1、冷媒蒸気を圧縮する圧縮機3、及び冷却水へ熱を放出することで冷媒蒸気を凝縮させる凝縮器2を有している。
【0013】
ターボ冷凍機の定期整備作業の際には、前述したようにターボ冷凍機内の構成部品を交換するため、一旦、ターボ冷凍機内に収容されている冷媒液及び冷媒ガスをターボ冷凍機の外部へ排出させ、回収することが必要になる。
【0014】
冷媒液及び冷媒ガスの排出、回収に際しては、冷媒ボンベ4と、蒸発器1に形成した冷媒取り出し口6との間に冷媒ホース5を接続して、冷媒ボンベ4へ冷媒液及び冷媒ガスを導いて、ターボ冷凍機内を真空状態にすることが行われる。その後、ターボ冷凍機内を開放して、前述した構成部品の交換作業を行い、ターボ冷凍機内の気密試験を実施した上で、回収した冷媒液及び冷媒ガスを再びターボ冷凍機へ注入することが行われる。
【0015】
蒸発器1に形成した前述の冷媒取り出し口6と、この冷媒取り出し口6に一端が連結される前述の冷媒ホース5と、この冷媒ホース5の他端に連結され、冷媒取り出し口6から取り出され冷媒ホース5を介して導かれる冷媒液及び冷媒ガスを収容する前述の冷媒ボンベ4は、本実施形態に係る冷媒回収装置の基本的要素を構成している。
【0016】
[本実施形態に係る冷媒回収装置について]
本実施形態に係る冷媒回収装置は、図1に示すように、蒸発器1内に冷媒回収用パイプ7を設けてある。この冷媒回収用パイプ7は、図2〜4に示すように、冷媒ガス10及び冷媒液11の吸い込みが可能な複数の開口部8と、これらの開口部8から吸い込まれる冷媒ガス10及び冷媒液11を整流する整流部とを有している。
【0017】
整流部は、例えば板状の複数の羽根9から成り、これらの羽根9は、前述した開口部8のそれぞれの両側端縁のうちの同じ側に位置する一方の側端縁8aに取り付けてある。
【0018】
また、本実施形態は、図1に示すように、冷媒回収用パイプ7の下端7aを蒸発器1の冷媒取り出し口6に連結させてある。
【0019】
ターボ冷凍機内の冷媒の回収に際しては、図1に示すように、蒸発器1の冷媒取り出し口6に冷媒ホース5の一端が連結され、この冷媒ホース5の他端に冷媒ボンベ4が連結される。これにより図2〜4に示すように、冷媒回収用パイプ7の開口部8から吸い込まれた冷媒ガス10によって、冷媒回収用パイプ7内に冷媒ガス10と冷媒液11の渦を発生させることができる。
【0020】
このように冷媒回収用パイプ7内に発生した渦の力で、冷媒回収用パイプ7の下端7aから冷媒液11は、蒸発器1内の冷媒ガスを巻き込みながら噴出し、冷媒取り出し口6を通過する。この冷媒取り出し口6を通過した冷媒液11及び冷媒ガス10は、冷媒ホース5を経由して、冷媒ボンベ4に導かれ、収容される。
【0021】
前述のように本実施形態に係る冷媒回収装置は、冷媒回収用パイプ7内で発生させた渦の力で、冷媒回収用パイプから冷媒液11を、蒸発器1内の冷媒ガス10をも巻き込みながら噴出させることができる。すなわち、冷媒液11と冷媒ガス10とを同時に排出させて回収することができる。これにより本実施形態は、単位時間内当りの冷媒回収量を増加させることができ、冷媒回収に要する期間を短縮させることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 蒸発器
2 凝縮器
3 圧縮機
4 冷媒ボンベ
5 冷媒ホース
6 冷媒取り出し口
7 冷媒回収パイプ
7a 下端
8 開口部
8a 側端縁
9 羽根
10 冷媒ガス
11 冷媒液
図1
図2
図3
図4