(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
血液の電解質濃度または血液のpHの指標を監視するように構成されている第4のセンサを更に含み、前記第4のセンサは、前記血液が前記媒体を出た後に血液を監視するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
前記制御電子回路が、前記第1のセンサから取得されるデータと前記第2のセンサから取得されるデータとを比較するように構成され、前記制御電子回路が、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサから取得されるデータの比較に基づいて、前記濃縮物溶液が前記流体源に入る速度を調整するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
前記制御電子回路が、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサから取得されるデータに基づいて、血液のpHまたは血液の電解質濃度を導出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記血液が前記媒体を出た後で且つ置換液が前記血液に添加される前に、前記血液中の指標を監視するように構成されている第3のセンサをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
コンピュータ可読媒体をさらに含み、前記コンピュータ可読媒体が、上記の複数のセンサから取得されるデータに基づいて、前記濃縮物溶液が前記流体源に入る速度を調整するために、前記制御電子回路に前記濃縮物流れ制御要素を制御させる指示を含む、請求項1に記載のシステム。
第3のセンサおよび第4のセンサが、前記血液が血液流体除去媒体を通過する前および前記血液が前記血液流体除去媒体を通過した後に、血液中の前記指標を監視する、請求項1に記載のシステム。
前記制御電子回路は、前記血液が前記媒体を通過する前に監視される指標の値と前記血液が前記媒体を通過した後に監視される指標の値とを比較し、前記pH緩衝液組成または前記電解質組成を調整することは、前記比較に基づいて前記pH緩衝液組成または前記電解質組成を調整することを含む、請求項10に記載のシステム。
前記血液が前記媒体を通過する前に監視される指標の値を前記血液が前記媒体を通過した後に監視される指標の値と比較し、前記比較に基づいて前記透析液または血液の流速を調整する、請求項20に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に提示する概略図は必ずしも縮尺通りではない。図面で使用される同じ番号は、同じ構成要素およびステップなどを指す。しかし、特定の図中の構成要素を参照するための番号の使用は、別の図中の同じ番号でラベルされた構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。さらに、構成要素を参照するための異なる番号の使用は、異なる番号が付けられた構成要素が、同じまたは類似の構成要素であり得ないことを示すことを意図するものではない。
【0014】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成し、装置、システムおよび使用の一部の実施形態を例として示す添付の図面を参照する。本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が企図され、行われ得ることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0015】
特に指定しない限り、本明細書で使用される全ての科学用語および技術用語は、当技術分野で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供される定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にすることであり、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0016】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、本文が特に明確に示さない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0017】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「または」という用語は、本文が特に明確に示さない限り、一般に「および/または」を含む意味で用いられる。
【0018】
本明細書で使用される「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、または「含む(comprising)」などは、それらの制約の無い意味で使用され、一般に、「含むが、これらに限定されない」を意味する。
【0019】
本明細書で使用される「血液流体除去処置が適応となる患者」は、少なくとも1つの血液流体除去処置を受けている、または受ける可能性のある患者である。一般に、このような患者は、心不全、慢性腎疾患、または急性腎不全を患っている患者などの体液過剰患者である。このような患者は、ステージ3〜ステージ5の慢性腎臓病患者である場合が多く、利尿薬に無反応であるか、または十分に応答しないなどである。
【0020】
本明細書で使用される「血液流体除去プロセス」等は、流体が患者の血液から除去され、その血液がその患者に戻されるプロセスを指す。ほとんどの場合、その血液も浄化される。すなわち、老廃物がその血液から除去され、清浄された血液が患者に戻される。血液流体除去プロセスの例としては、限外濾過、血液濾過、血液透析、血液透析濾過法、および腹膜透析などが挙げられる。血液流体除去が適応となる全ての患者は、本明細書に記載の装置、システムおよび使用から利益を得ることができる。
【0021】
本開示は、特に、血液流体除去プロセスが適応となる患者において、pHまたは電解質濃度の指標を監視するためのシステムおよび使用に関する。実施形態において、センサは、(i)血液が、血液流体除去装置の流体除去媒体または流体浄化媒体に入る前の患者の血液、(ii)血液が媒体を出る前後で、患者に戻される前の患者の血液、(iii)患者の血液から除去され、媒体を通過した後の流体、(iv)媒体に入る前の透析液などの流体、(v)流体(例えば、透析液または置換液)の組成を変えるのに使用するための濃縮物の添加の上流または下流の流体、または(vi)などのうちの1つまたは複数において、pHまたは電解質を監視するように構成され、配置される。このようなセンサのセンサ配置および使用に関するさらなる説明は以下のとおりである。しかし、最初に、本明細書で提示する教示にしたがって使用することができる血液流体除去装置または流体除去システムの簡単な説明を行う。
【0022】
血液から流体、または流体と汚染物質を除去するための全ての適切な装置もしくはシステムは、本明細書で提示する教示にしたがって使用することができる。これらの装置またはその構成要素は、従来の大型のカウンセル型(counsel−type)か、装着可能か、または埋め込み可能であり得る。
【0023】
装置およびシステムのいくつかの例のブロック図を、
図1〜
図3に示す。
図1に示すように、血液を患者10から取り除き、血液流体除去装置100によって流体を取り除き、患者10に戻すことができる。除去された流体を迂回させることができる。血液流体除去装置100もしくは流体除去システム、またはそれらの構成要素が埋め込まれる一部の実施形態において、除去された流体は、患者の膀胱へ迂回させることができる。
図1に示すように動作することができる血液流体除去装置100の例としては、限外濾過装置および血液濾過装置が挙げられる。本明細書で提示される教示に従って使用することができるこのような装置およびそれらの構成要素の例は、当技術分野において周知である。透析液が腹腔内に導入される腹膜透析も用いることができることが理解されるであろう。
【0024】
流体を、装置100によって高速または多量に血液から除去する場合に、このような装置のいくつかを用いて、置換液を患者の血液に導入してもよい。置換液を、流体除去前の元の血液に添加してもよく、または最初の流体除去後、患者の心臓血管系に戻す前に血液に添加してもよい。好ましくは、置換液を、初期の流体除去後に添加する。置換液のpHおよび電解質濃度を、例えば、以下でより詳細に記載するとおり、患者のpHまたは電解質の監視に基づいて設定または調整してもよい。
【0025】
図2に図示する実施形態に示すように、血液流体除去装置100は、患者の血液からの汚染物質の除去ならびに適切なpHおよび電解質バランスの維持を支援するために透析液を用いることができる。透析液のpHまたは電解質濃度は、例えば、以下でより詳細に説明するとおり、pHまたは電解質の監視に基づいて設定または調整してもよい。用いられる透析液および血液から除去される流体は迂回させることができる。一部の実施形態において、特に、血液流体除去装置100もしくは流体除去システムまたはその構成要素が装着可能または埋め込み可能である場合に、使用される透析液および除去される流体、またはその一部は、血液流体除去プロセスにおいて再利用するための新鮮な透析液を生成するために再生することができる(破線で示される再生システム150によって示される)。透析液再生のための1つのシステムは、Roberts,M,“The regenerative dialysis(REDY)sorbent system”Nephrology 4:275−278,1998に記載されるものなどのREDYシステムであり、このシステムは、本明細書に記載の実施形態において使用するために用いられるか、または容易に変更されてもよい。
図2に示すように、再生された透析液のpHおよび電解質を調整するために、濃縮物を、新鮮な透析液として再利用するのに適する量まで再生された透析液に添加してもよい。
【0026】
透析液が再生されるか否かにかかわらず、
図2の実施形態に示す方法で動作するシステムおよび装置には、血液透析および血液透析濾過システムが含まれる。本明細書に提示される教示に従って使用され得るこのような装置およびその構成要素の例は、当技術分野において周知である。透析液が腹腔内に導入される腹膜透析も使用することができることが理解されるであろう。
【0027】
図3に示すように、
図2の血液流体除去装置100が高速で血液から流体を除去する場合に、例えば、
図1に関して上記のとおり、流体除去の上流または下流の患者の血液に置換液を導入してもよい。
【0028】
用いられる装置または血液流体除去プロセスにかかわらず、血液のpHおよび電解質濃度が適切な範囲内にあることを保証することが重要である。血液の電解質濃度が適切な範囲内にない場合は、心臓の収縮性および効率などを伴う問題が発生する可能性がある。pHが適切な範囲内にない場合には、アシドーシスが生じ得、細胞膜の破壊およびタンパク質の変性をもたらし得る。いずれの場合も、血液の電解質およびpHの範囲が適切に制御されていない場合に、患者の健康が危険にさらされる可能性がある。例えば、(うっ血性心不全、心筋梗塞からの死、および突然死を含む)突然の心臓死は、透析患者において一般的である。Bleyerらの“Sudden and cardiac death rated in hemodialysis patients”Kidney International,(1999),55:1552−1559を参照されたい。
【0029】
したがって、血液透析ならびに限外濾過などの1つの目標は、患者の血液のpHおよび電解質濃度が許容範囲内にあることを保証することである。血液流体除去処置中またはその後に望まれるpHおよび血液の電解質濃度の典型的な範囲を、以下の表1に提供する。表1に示すように、様々な酸もしくは塩基(またはその塩もしくはその水和物)の濃度は、血液のpHを決定する際に重要である場合が多い。したがって、このような酸、塩基のいくつかの典型的な目標濃度を表1に示す。
【0031】
しかし、特定の患者のための目標は、1つもしくは複数の電解質またはpHについて表1に示す値とは異なってもよいことが理解されるであろう。典型的には、緩衝剤が、適切な血液のpHを維持するために使用されることも理解されるであろう。
【0032】
置換液または透析液などの流体に使用することができるいくつかの適切な緩衝剤には、重炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、アミノ酸およびタンパク質の緩衝剤が含まれる。緩衝剤およびその成分の濃度ならびに緩衝剤およびその成分の組成は、患者の血液の監視されるpHに基づいて調整してもよい。同様に、置換液または透析液中のナトリウム、カリウム、カルシウム、および塩化物などの電解質の濃度は、監視される電解質のレベルに基づいて設定または変更してもよい。
【0033】
任意の適切なセンサを用いて、pHまたは電解質を監視してもよい。例えば、
図4を参照すると、検知装置200が含み得るいくつかの構成要素を示すブロック図が示されている。この検知装置200は、
図4では単独型装置として示されているが、この装置、1つまたは複数のその構成要素は、血液流体浄化装置などの他の装置に組み込まれてもよいことが理解されるであろう。
図4に示されているセンサ200は、様々な電子回路の構成要素296、297、289、295を含む(このセンサまたはその一部が、他の装置に組み込まれる場合には、別の装置と共有することができる)ハウジング299を有する。アナログからデジタルへの変換器または帯域通過フィルターなどの検知電気回路296は、電源297(再び、共有されてもよい)および制御電子回路295(共有されてもよい)と作動可能に接続され、この制御電子回路は、プロセッサ294と、検知されたデータおよびプロセッサ指示を保管するためのメモリ293とを含む。検知電気回路296は、リード線207を介して、イオン選択性電極などのトランスデューサー205にも作動可能に接続される。一部の実施形態(図示せず)において、装置200は、リード線が無く、トランスデューサー207またはイオン選択性電極は、ハウジング299を通って露出している。制御電子回路295は、電源297および別の外部装置と連通するための通信電気回路289と作動可能に接続されている。センサ200が単独型の装置である場合には、血液流体除去装置または血液流体除去装置と連通する装置と連通するために、通信回路を用いてセンサから取得されるデータを血液流体除去装置に伝達してもよい。
【0034】
任意の適切なトランスデューサーを用いて、pHまたは電解質を検出してもよい。実施形態において、このトランスデューサーは、H
+イオン、K
+イオン、Na
+イオン、Ca
2+イオン、Cl
−イオン、リン酸イオン、マグネシウムイオン、酢酸イオン、またはアミノ酸イオンなどを検出するように構成されているイオン選択性電極である。このような電極、およびこのような電極を用いるセンサの構成要素は、当技術分野で周知であり、本明細書に記載の監視において使用するために用いられるか、または用いるために変更されてもよい。pHセンサの一例としては、メドトロニック社のBravo(登録商標)pHセンサが挙げられる。カリウム選択性電極の一例としては、Thermo Scientific Potassium Ionplus(登録商標)が挙げられる。イオン選択性電極の他の例は、ノヴァバイオメディカル社によって製造されるCCXStat Profile(登録商標)に含まれている。
【0035】
一部の実施形態において、血液中のpHまたは電解質を測定するために1つまたは複数のセンサを用いて、1つまたは複数のイオンを検出する。一部の実施形態において、センサは、たとえリード線が無い場合でも、2種類以上のイオン種を監視することができる2つ以上のトランスデューサーを有していてもよい。2種類以上のイオン種を測定することにより、様々な電解質または血液成分のレベルをより詳細に理解することができる。例えば、状況によって、一部の患者では、1種類の電解質のレベルが上昇し、別の種のレベルは低下してもよい。一部の実施形態において、結果の確認ならびに重複の目的のために、同一イオンに対して2種類以上のセンサを用いることにより、信頼性および精度を向上させることができる。一部の実施形態において、同一イオン用のセンサは、異なる範囲のイオン濃度を正確に検出するように構成されていてもよい。実施形態において、2つ以上のトランスデューサーが単一のユニット内に存在する。これは、データの全てを同時に一箇所で収集することができるので、便利なデータ収集および回路を可能にさせる。さらに、複数のトランスデューサーは、同じ流体収集機構(例えば、インプラントの場合にはマイクロダイアライザー)を共有してもよく、必要に応じて、または所望であれば、同じデータ処理およびメモリ保管の構成要素を共有してもよい。
【0036】
センサ(またはトランスデューサー)は、電解質またはpHを監視する目的に適する任意の位置に配置することができる。例えば、
図5を参照すると、血液流体除去システムおよびセンサの一例が示されている。センサ200A、200Bのうちの1つまたは複数を用いてもよい。
図5に示すように、pHまたは電解質のセンサ200Aは、患者10の外部に設置され、血液が血液流体除去装置100に入る前(または、より詳細に以下で説明するとおり、血液流体除去媒体に入る前)に、血液中のpHまたは電解質レベルを監視するように構成されてもよい。例えば、センサ200Aは、トランスデューサーが患者10から血液流体除去装置100または血液流体除去媒体に血液を輸送するカテーテル内に位置するように配置されてもよい。
【0037】
流体運搬装置100または血液流体除去媒体の上流のセンサ200Aから取得されるデータは、患者10の現状の徴候を提供する。血液流体浄化処置が進行するにつれて、流体運搬装置100または媒体の上流のセンサ200Aから取得されるデータを用いて、血液のpHおよび電解質が目標範囲に近づいているか否かを判断するか、または血液流体除去プロセスの結果として、患者においてpHおよび電解質が変化する速度を決定することができる。理論に縛られることは意図しないが、pHまたは電解質濃度における急速な変化は、血液流体除去プロセスを受ける患者集団において見られる患者の低血圧または突然死につながり得る可能性がある。血液流体除去処置中に、患者の血液におけるpHの変化率または電解質の変化を監視し、制御することによって、おそらく、クラッシュの死または突然死の発生率を低下させることができる。
【0038】
一部の実施形態において、センサ200Bは、患者10の外部に位置し、血液が血液流体除去装置100を出た後(または血液流体除去媒体を出た後)、患者10に戻る前に、血液中のpHまたは電解質レベルを監視するように構成されている。例えば、センサ200Bは、トランスデューサーが血液流体除去装置100(または媒体)から患者10へ血液を運ぶカテーテル内に位置するように配置されてもよい。このような下流のセンサ200Bを用いて、患者に戻される血液のpHおよび電解質レベルが範囲外ではないことを保証してもよい。検出レベルが範囲外であるか、または範囲外になりがちである場合には、非常に高いもしくは非常に低い電解質レベルまたは非常に高いもしくは非常に低いpHレベルと関連する心臓の問題を引き起こすか、または悪化させ得る患者10への流体の導入を避けるために、pHおよび電解質濃度の調整を流体(透析液または置換液)に対して行うことができる。
【0039】
一部の実施形態において、このシステムは、上流のセンサ200Aと下流センサ200Bの両方を用いている。このようなシステムを用いて、上流および下流で検出されるpHまたは電解質レベルを比較することができ、比較したデータを用いて、血液流体除去処置中に使用される流体のpHまたは電解質の濃度もしくは組成を調整することができる。比較したデータを用いて、血液の電解質濃度またはpHの変化率を決定することもできる。例として、血液流体除去処置の前またはこのような処置の初期の部分では、典型的には、患者は体液過剰であり、(液量の増加に起因して)電解質の濃度は低くてもよい。患者の電解質レベルが低い時に、目標濃度よりも若干高い電解質が患者に戻されるのを可能にさせることが適切で有り得る。しかし、(上流のセンサ200Aによって測定されるとおり)患者の電解質レベルが目標レベルに近づくにつれて、(下流のセンサ200Bによって測定される通り)戻される血液中の電解質レベルは、目標範囲内にあるべきである。上流と下流の両方を監視することにより、どちらか一方のみの監視では達成することができない進行の調整および点検が可能になる。
【0040】
ここで
図6を参照すると、代替または追加の場所にあるセンサ200C、200D、200E、200Fを使用するシステムが示されている。このようなセンサ200C、200D、200E、200Fのうちの任意の1つまたは複数を用いてもよい。このシステムは、
図5に関して説明するが
図6には示されていない1つまたは複数の下流のセンサも用いてもよい。センサ200C、200D、200E、200Fのいくつかの可能な構成および使用の簡単な説明を本明細書に提供する。しかし、意味のあるデータを、以下に記載したもの以外の構成から取得してもよいことが理解されるであろう。
【0041】
実施形態において、このシステム(例えば、
図6に示すシステム)は、2つの上流のセンサ200B、200Cを用いる。第1の上流センサ200Bは、血液が血液流体除去装置100または流体除去媒体を出た後ではあるが置換液を添加する前に、血液中のpHまたは電解質レベルを監視するように配置される。第2のセンサ200Cは、置換液を添加した後、血液が患者10に戻る前に、血液のpHまたは電解質レベルを監視するように配置される。第1のセンサ200Bを用いて、pHおよび電解質レベルに対して調整が必要とされ得るかを決定することができ、第2のセンサ200Cを用いて、血液が患者に戻る前に、所望のpHおよび電解質濃度を達成するために適切な調整が行われたかを確認することができる。
【0042】
実施形態において、このシステムは、血液流体除去装置100または流体除去媒体を出た後に、pHまたは患者の血液から除去された電解質を監視するためにセンサ200Eを用い、血液流体除去装置100または流体除去媒体に入る前に流体(図では透析液)のpHまたは電解質を監視するように構成および配置されるセンサ200Dを含んでもよい。流体が装置100または媒体を離れる時に流体内のpHまたは電解質(またはこの装置もしくは媒体に入る前とこの装置もしくは媒体を出た後の差次的なpHまたは電解質のレベル)を監視することによって、装置100または媒体を出るpHもしくは電解質のレベル(またはpHもしくは電解質の変化)を用いて、血液中のレベルを直接測定することなく、血液のpHおよび電解質レベルを予測することができる。pHまたは電解質が、血液以外の流体内で検出され、血液中のpHもしくは電解質のレベルまたはpHもしくは電解質の変化を導出するか、または予測するために用いられる場合には、このような検出は、血液のpHまたは電解質の「指標」として役立つ。もちろん、血液中の直接検出も、血液のpHまたは電解質の指標として役立つ。
【0043】
センサ200A〜F(
図4〜
図6参照)のいずれを用いようと、これらのセンサから取得されるデータを用いて、透析処置中に使用される流体(例えば、透析液もしくは置換液)のpHまたは電解質濃度を調整することができる。一部の実施形態において、透析液または置換液の濃度を変化させ、センサの1つまたは複数によって測定されるとおり、様々な濃度に対する患者の応答を用いて、さらなる調整を継続するための最良の方法を決定する。本質的に、このシステムは、特定の患者10のために最適に働くことを学習するように構成することができる。例えば、異なる緩衝剤の濃度もしくは組成または異なる電解質濃度を有する透析液または置換液を、初期の血液流体処置中または血液流体処置の早い段階中に用いてもよい。これらの異なる流体に対する患者の応答は、センサを介して監視することができ、このシステムは、患者のために最適に働くことを学習することができる。例えば、このシステムは、異なる流体を使用することによって、患者の血液レベルが目標レベルに近づくかまたは目標レベルから逸脱するかを決定することができ、かつこれらのレベルが目標範囲に近づくかまたは目標範囲から逸脱する速度を決定することができる。初期の処置または段階に基づいて、このシステムは、患者の特定の監視されるpHまたは電解質レベルに応答する方法を予測し始め、それに応じて流体のpHおよび電解質濃度を調整することができる。
【0044】
流体(透析液または置換液)のpHおよび電解質濃度を、任意の適切な方法で調整してもよい。例えば、
図7〜8を参照すると、流体のpHおよび電解質濃度を調整するための閉ループシステム(
図7)および開ループシステム(
図8)の一例のいくつかの代表的な構成要素が示されている。
図7を参照すると、1つまたは複数のセンサ200からのデータは、バルブなどの流量制御素子415、425、435を制御するように構成されている制御電子回路495に提示される。これらの電子制御流量制御素子415、425、435は、濃縮された電解質もしくは緩衝溶液410、420、430の電源、および新鮮な透析液を搬送するためのカテーテルまたは置換液を搬送するためのカテーテルであり得る流体ライン440と流体連通している。制御電子回路495を介して、これらの電子制御流量制御素子415、425、435は、濃縮物410、420、430が流体ライン440に流入する速度を制御する。大量の流体(したがって、血液)の電解質の濃度またはpHを調整するために、濃縮物410、420、430が大量の流体400に添加される。
【0045】
ここで
図8を参照すると、1つまたは複数のセンサ200からのデータを処理して、適切な情報を、血液流体除去装置または別のコンピュータなどの一部であり得るディスプレイ600上に提示することができる。医療提供者は、電解質の濃度またはpHを調整するためにディスプレイ600上に提示される情報を使用することができる。これは、例えば、入力装置500を介して制御電子回路に適切な指示を伝達することによって行われ得る。任意の適切な入力装置500を使用してもよい。例えば、入力装置500は、キーボード、コンピュータ、タブレット、個人データアシスタント、または医師用プログラマー(physician programmer)などであってよい。一部の実施形態において、入力装置500はディスプレイ600であり、例えば、ディスプレイ600は、タッチスクリーン装置である。指示を入力する方法にかかわらず、制御電子回路495は、透析液または置換液であり得る大量の流体400に導入される濃縮物410、420、430の量を制御するために、流量制御素子415、425、435を制御することができる。
【0046】
任意の数の適切な濃縮物を用いてもよい。例えば、1つの濃縮物は十分な量であり得、電解質が患者の血液において低いと判定されると、より多くの量が添加され、電解質が患者の血液において高いと判定されると、より少ない量が添加される。pHおよび電解質濃度を独立して制御するか、または異なる電解質の濃度を独立して制御することが望ましい場合には、2種類以上の濃縮物を用いてもよい。実施形態において、濃縮物の数は、監視されるイオン種(pHおよび電解質)の数と同じである。
【0047】
図7〜
図8に示し、以下で説明するとおり、制御素子415、425、435は、電子制御バルブ、または電子制御ポンプ機構などの任意の適切な制御素子であってよい。
【0048】
図7〜
図8に示すように、任意の適切なシステムが、1つまたは複数のセンサから取得されるデータに基づいて、pHまたは電解質の調整制御を提供するように構成されてもよい。例として、2つの例示的なシステムの選択された構成要素を、
図9〜
図10に示す。
図9のシステムは、濃縮物の置換液への流れの制御を示し、
図10のシステムは、濃縮物の透析液への流れの制御を示す。
【0049】
ここで
図9を参照すると、示される装置100は、血液が患者に戻される前に置換液を血液に添加するための流体経路を含む。装置100は、患者から血液を受け取るための入口部110と、患者に血液を戻すための出口部140とを含む。入口部110と出口部140との間の流路に、血流制御素子120ならびに血液から流体および汚染物質を除去するための媒体がある。血流制御素子120は、血液が媒体130を通過する速度を制御するための指示を提供する制御電子回路150と作動可能に接続されている。媒体130によって血液から除去される流体および汚染物質は、出口部180を通って出てもよい。
【0050】
図9に示す装置100は、また、大量の置換液を受け取るための入口部197と、この入口部と連通しかつ置換液を血液に添加する速度を制御するように構成されている置換液流量制御素子195とを含む。制御電子回路150は、置換液流量制御素子195と作動可能に接続され、置換液流量制御素子195が血液に流体を添加する速度を制御するように構成されている。装置100は、また、(i)大量の置換液のpHまたは電解質濃度を調整するために濃縮物を受け取るための入口部401と、(ii)入口部401と連通し、血液を患者に戻す前に濃縮物を置換液または血液に添加する速度を制御するように構成されている濃縮物流量制御素子415とを含む。好ましくは、(図示するとおり)置換液が血液に添加される前に濃縮物を置換液に添加し、その結果、濃縮物を血液に添加する前に混合または希釈することができる。この装置は、血液に添加する前に濃縮物および大量の置換液を混合するための混合器(図示せず)を含んでもよい。
【0051】
図9に示す装置において、制御電子回路150は、濃縮物流量制御素子415と作動可能に接続され、(例えば、上述のように)pHまたは電解質レベルを監視する1つまたは複数のセンサ200から受け取るデータに基づいて、濃縮物流量制御素子415が置換液または血液に流体を添加する速度を制御するように構成されている。濃縮物を置換液または血液に導入する速度を制御することによって、戻される血液の濃度もしくはpH(または緩衝能)を制御することができる。
【0052】
ここで、
図12と同じ番号が付けられた構成要素が、同じかまたは類似の構成要素を表す
図10を参照すると、血液流体除去装置100の選択された構成要素の模式ブロック図が示されている。
図13に示す実施形態において、この装置は、患者から血液を受け取るための入口部110と、この入口部110と連通し、血液からの流体および汚染物質を除去するための媒体130を通って血液が流れる速度を制御するように構成されている血流制御素子120とを有する。この装置は、患者に血液を戻すための媒体130と連通する出口部140も含む。図示した実施形態において、媒体130の構成要素は、主チャンバー131を画定するハウジング139を有する。血液透析または血液透析濾過膜フィルターなどの半透性フィルター135は、主チャンバーを2つの副チャンバー133、137に密封して分割し、一方の133は血流用であり、他方の137は透析液流(ならびにフィルター135を通過する血液由来の流体および老廃物)用である。
【0053】
図10に示す実施形態において、使用した透析液は、大量の透析液を再生するために、REDY再生媒体および構成要素などの透析液再生媒体402または構成要素を通過することによって再生される。この装置は、血液から除去された流体を装置から迂回させるための媒体130と連通する出口部180も有する。バルブなどの流量調整素子700は、制御電子回路150と作動可能に接続され、(流体の一部が再生されるように)この装置から出る流体の量を制御するために、媒体130と出口部180との間の流路に配置される。多くの場合、再生媒体または構成要素(402)は、透析液からpH緩衝剤または電解質の多くを除去する。したがって、透析液が媒体130に再び入る前に、濃縮電解質およびpH緩衝剤を含む濃縮物が再生された透析液に添加される。一部の実施形態において、再生された透析液の成分のレベルを監視するために、センサ299を再生媒体402の下流に配置する。センサ299は、pHまたは電解質センサであってよく、センサ299から取得されるデータを、再生された流体に添加するためにどの程度濃縮するのかを決定するのに用いてもよい(このデータは、制御電子回路150に提供されてもよい)。センサ299は、再生媒体402が正常に機能しているか否かを判定するために、尿素などの血液老廃物を監視するセンサであってよい。増加したまたは検出可能なレベルの老廃物は、再生媒体402もしくは構成要素が交換または再生を必要としている可能性を示し得る。
【0054】
図示した実施形態において、濃縮物410はリザーバ410内に貯蔵され、リザーバ410は、リザーバ410内の濃縮物供給が随時補給されるのを可能にする入口部401を有する。濃縮物を再生された透析液に添加する速度は、制御電子回路150と作動可能に接続される濃縮物流量制御素子415によって、(例えば、前述したとおり)pHまたは電解質濃度を監視するセンサ200から受け取ったデータに基づいて制御される。
【0055】
図10の装置100は、透析液が媒体130の透析流コンパートメントに導入される速度を制御するための透析液流量制御素子170も有している。
【0056】
図示した実施形態において、装置100は、また、媒体構成要素130の透析液コンパートメントと連通する陰圧制御素子190を含む。ポンプなどを含み得る陰圧制御素子190を用いて、媒体構成要素130を通過する血液から流体が除去される速度を制御するために、膜を横切る圧力差を生み出すか、または変更してもよい。
【0057】
プロセッサ、メモリなどを含み得る制御電子回路150は、血流制御素子120、透析流量制御素子170、および陰圧制御素子190と作動可能に接続され、これらを制御するように構成されている。協調してこれらの素子を制御することにより、流体が血液から除去される速度を制御してもよい。装置100は、血液からの流体除去の速度を効率的に制御するために、
図10に示す制御可能な素子(120、170、190)の全てを有する必要はないことが理解されるであろう。
【0058】
任意の適切な制御素子は、
図9〜
図10に示す様々な制御素子(120、150、170、195、415)のために使用してもよい。例えば、速度が変えられるかまたは調整可能なポンプを用いてもよい。あるいは、またはさらに、一連の電子制御可能バルブを用いてもよい。一部の実施形態において、これらのバルブは、異なる流れ抵抗を有する連通流路にある。
【0059】
図9〜
図10は、置換液または透析液のpHまたは電解質濃度を調整することによって、血液の電解質またはpHを調整することができる装置を示すが、pHおよび濃度は、例えば、透析液または血液が透析膜上を通過する速度を調整することによって調整することもできることが理解されるであろう。膜を横切る電解質などの、血液と透析液との間の移動速度は、血液および透析液の流速に依存するであろう。したがって、透析液の電解質濃度またはpHを容易に調整することができないシステムでは、血流または透析液流の速度は、透析液中の電解質の濃度を調整することと同様の効果を達成するように変更されてもよい。
【0060】
図9〜
図10は、単一ユニット内にあるように構成要素を示しているが、これらの構成要素の1つまたは複数は、別々のユニット内に収容されてもよいことが理解されるであろう。例えば、コンピュータ、タブレット、または医師用のプログラマーなどの制御電子回路またはその一部は、別々の装置内に収容されてもよい。このコンピュータ、タブレットなどは、センサからの入力を受け取り、取るべき適切な働きを決定し、血液流体除去装置の適切な構成要素に適切な行動を取るように指示することができる。
【0061】
本明細書に記載の血液流体除去装置および流体除去システム、ならびにそれらの構成要素は、例示の目的で提示されており、限定するものではないことが理解されるであろう。本明細書に記載のもの以外の構成要素、装置およびシステム、または本明細書に記載の構成要素、装置およびシステムの派生物を用いてもよい。さらに、上記に示し、説明した装置の構成要素を、必要に応じて、代替の実施形態の構成要素と交換するか、置換するかまたはそれに加えてもよい。さらに、
図1〜
図3および
図5〜
図6などの様々な図に示す血液流体除去装置の多くは、患者の体外のものとして示されているが、本明細書に示す教示は、装置またはその構成要素が患者に埋め込まれた場合に適用される。
【0062】
上記の装置およびシステム、またはそれらの構成要素を用いて、
図11〜
図13および下記に示す使用、またはその一部を実施してもよい。もちろん、任意の適切な装置またはシステムを用いて、下記の使用またはその一部を実施してもよい。
図11〜
図13の任意の1つに関して以下に示される使用の様々なステップは、
図11〜
図13の任意の他のものに関して示されるステップと交換するか、置換するか、またはそれらのステップに加えてもよい。
【0063】
ここで
図11を参照すると、示される使用は、血液流体除去処置を開始するステップ(801)と、血液のpHまたは電解質濃度の指標を監視するステップ(810)、例えば、血液中、または血液中のpHもしくは電解質レベルが由来し得る血液内または流体内のpHまたは電解質を検出するステップとを含む。pHまたは電解質の監視指標に基づいて、血液流体除去処置で使用される流体(例えば、透析液または置換液)のpHまたは電解質の組成もしくは濃度を調整してもよい(860)。例えば、監視されるイオン種の電流値または監視されるイオン種の変化率のうちの1つまたは複数に基づいて、この流体組成を、例えば、上述したように調整してもよい。
【0064】
図11に示すように、監視(810)中に取得されるデータに基づいて、pHまたは電解質濃度が範囲外であるか否かについて、連続的、周期的または断続的に判定(830)してもよい。例えば、pHまたは電解質レベルが閾値(例えば、上限または下限)を越えたか否かについて判定(830)してもよい。pHまたは電解質が範囲内にあると判定された場合には、監視(810)を継続してもよい。pH値または電解質が範囲外である(例えば、閾値を超える)と判定された場合には、患者または医療提供者にその状況を通知するために警告(840)が発せられ得る。場合によって、例えば、検出されたpHまたは電解質があまりにも範囲外であるか、または高められた閾値を超える場合には、その状況が、血液流体除去処置の停止(890)を保証し得る。他の場合においては、よりいっそうの注意が保証され得る状況に対して意識を高めることで、血液流体除去処置を継続することが適切であり得る。
【0065】
ここで
図12を参照すると、示される使用は、血液流体除去処置を開始するステップ(801)と、血液流体除去の上流(815)および下流(813)のpHまたは電解質濃度の指標を監視するステップとを含む。上流および下流のセンサから取得されるデータを比較して、例えば、前述のように、流体組成を調整(860)する方法を決定することができる。
【0066】
ここで
図13を参照すると、図示される使用は、血液の電解質濃度またはpHが透析液または血液の流速を変えることによって調整される場合の使用を示す。この使用は、血液透析処置などの血液流体除去処置(900)を開始するステップと、pHまたは電解質の指標を監視するステップ(910)とを含み、これらは、患者の体内で、装置の上流、装置の下流、またはこの装置内などで行われ得る。監視データ(910)に基づいて、患者に戻される血液中の電解質濃度またはpHを調整するために、透析液または血液の流れを調整(920)してもよい。
【0067】
図11〜
図13に示す使用を含む、本明細書に記載の使用は、センサ装置、血液流体除去装置、またはセンサ装置もしくは血液流体除去装置と連通する他の装置によって実施してもよい。これらの使用は、このような装置のメモリにプログラムされたアルゴリズムまたは指示であってよく、装置のプロセッサまたは他の制御電子回路によって実施されてもよい。好ましくは、このプロセッサは、この装置の適切な制御素子と連通し、プログラムされた指示が適切な装置によって行われるような方法で、このような素子を制御するように構成されている。センサ装置、血液流体除去装置、または本明細書に記載の使用もしくはその一部を実施するのに適する他の装置にもたらす指示でプログラムされたコンピュータ可読媒体が企図されることが理解されるであろう。このコンピュータ可読媒体は、一時的ではなく、すなわち、つかの間または数秒以上持続し得る。この媒体は、RAMもしくはROM、CDもしくはDVD、またはフラッシュメモリなどのメモリであってよい。
【0068】
使用、システム、装置、およびコンピュータ可読媒体などの様々な態様を、本明細書に開示する。これらの態様のいくつかの要約を以下に提供する。
【0069】
第1の態様において、(a)(i)患者の血液を受け取るための入口部と、(ii)患者の血液を戻すための出口部と、(iii)入口部と第1の出口部との間に配置され、血液から流体および汚染物質を除去するための媒体と、(iv)透析液および置換液から選択される流体を搬送する流体源であって、前記流体源は、流体が透析液である場合は、流体源は前記流体を媒体に搬送し、流体が置換液である場合は、流体源は、血液が媒体から出た後に血液に前記流体を搬送する流体源と、を含む血液流体除去装置と、(b)濃縮電解質またはpH緩衝剤を含む濃縮物溶液を収容するための濃縮物源と、(c)濃縮物溶液が流体源に入る速度を制御するための濃縮物流量制御素子と、(d)血液の電解質濃度または血液のpHの指標を監視するように構成されている第1のセンサと、(e)センサおよび濃縮物流量制御素子と作動可能に通信する制御電子回路と、を備え、前記制御電子回路は、センサから取得されるデータに基づいて、濃縮物流量制御素子によって、濃縮物溶液が流体源に入る速度を調整するように構成されているシステムである。
【0070】
第2の態様は、血液が前記媒体に入る前に、第1のセンサが血液を監視するように構成されている、第1の態様に記載のシステムである。
【0071】
第3の態様は、血液の電解質濃度または血液のpHの指標を監視するように構成され、血液が媒体を出た後に血液を監視するように構成されている第2のセンサをさらに含む、第2の態様に記載のシステムである。
【0072】
第4の態様は、前記制御電子回路が第2のセンサと作動可能に通信し、第1のセンサから取得されるデータを第2のセンサから取得されるデータと比較するように構成されている第3の態様に記載のシステムであって、前記制御電子回路が、第1のセンサおよび第2のセンサから取得されるデータの比較に基づいて、濃縮物溶液が流体源に入る速度を調整するように構成されているシステムである。
【0073】
第5の態様は、血液から除去された流体が媒体を出た後に、第1のセンサが血液から除去された流体内の指標を監視するように構成されている、第1の態様に記載のシステムである。
【0074】
第6の態様は、前記制御電子回路が、第1のセンサから取得されるデータに基づいて、血液のpHまたは血液の電解質濃度を導出するように構成されている、第5の態様に記載のシステムである。
【0075】
第7の態様は、透析液が媒体に入る前に、流体源の透析液中の指標を監視するように構成されている第2のセンサをさらに含む第5の態様に記載のシステムであって、前記制御電子回路が、第2のセンサと作動可能に通信し、第1のセンサから取得されるデータを第2のセンサから取得されるデータと比較するように構成され、かつ前記制御電子回路が、第1のセンサおよび第2のセンサから取得されるデータの比較に基づいて、濃縮物溶液が流体源に入る速度を調整するように構成されているシステムである。
【0076】
第8の態様は、血液が媒体を出て、置換液が血液に添加される前に、第1のセンサが血液中の指標を監視するように構成されている、第1の態様に記載のシステムである。
【0077】
第9の態様は、置換液が血液に添加された後に、血液中の指標を監視するように構成されている第2のセンサをさらに含む、第8の態様に記載のシステムである。
【0078】
第10の態様は、前記制御電子回路またはその構成要素が血液流体除去装置のハウジング内に収容されている、第1〜第9の態様のいずれかに記載のシステムである。
【0079】
第11の態様は、コンピュータ可読媒体をさらに含む第1〜第10の態様のいずれかに記載のシステムであって、前記コンピュータ可読媒体は、センサから取得されるデータに基づいて、濃縮物溶液が流体源に入る速度を調整するために、前記制御電子回路に濃縮物流量制御素子を制御させる指示を含むシステムである。
【0080】
第12の態様は、血液流体除去装置または血液流体除去システムによって実施される使用であって、(i)それを必要としている患者のために血液流体除去処置を開始するステップであって、前記処置は、透析液または置換液から選択される流体の使用を含み、かつ前記流体は初期のpH緩衝剤組成または電解質組成を有するステップと、(ii)血液流体除去処置中に、患者の血液の電解質濃度または血液のpHの指標を監視するステップと、(iii)監視指標の値に基づいて、前記流体のpH緩衝剤組成または電解質組成を調整するステップと、を含む使用である。
【0081】
第13の態様は、指標を監視するステップが、血液が血液流体除去媒体を通過する前かつ血液が血液流体除去媒体を通過した後に、血液中の指標を監視するステップを含む、第12の態様に記載の使用である。
【0082】
第14の態様は、血液が媒体を通過する前に監視される指標の値と血液が媒体を通過した後に監視される指標の値を比較するステップをさらに含む第13の態様に記載の使用であって、pH緩衝剤組成または電解質組成を調整するステップが、前記比較に基づいて組成を調整するステップを含む使用である。
【0083】
第15の態様は、前記組成を調整するステップが、濃縮電解質溶液または緩衝溶液を前記流体に添加するステップを含む、第12〜第14の態様のいずれかに記載の使用である。
【0084】
第16の態様は、(i)監視指標の値が閾値を超えるか否かを判定するステップと、(ii)監視指標の値が閾値を超えると判定された場合に警告を与えるステップとをさらに含む、第12〜第15の態様のいずれかに記載の使用である。
【0085】
第17の態様は、指標を監視するステップが、血液から除去された流体内の指標を監視するステップを含む、第12の態様に記載の使用である。
【0086】
第18の態様は、血液から除去された流体の監視指標の値から、血液の電解質濃度またはpHを決定するステップをさらに含む、第17の態様に記載の使用である。
【0087】
第19の態様は、血液流体除去処置で使用するための流体が透析液であり、指標を監視するステップが、透析液が血液流体除去媒体に入る前の透析液中の指標を監視するステップをさらに含み、前記使用が、血液から除去された流体内の監視指標の値と、血液流体除去媒体に入る前の透析液中の監視指標の値を比較するステップをさらに含む、第17の態様または第18の態様に記載の使用である。
【0088】
第20の態様は、血液流体除去処置で使用するための流体が置換液であり、指標を監視するステップが、血液流体除去媒体の下流および置換液を血液に添加するステップの上流の血液中の指標を監視するステップを含む、第12の態様に記載の使用である。
【0089】
第21の態様は、指標を監視するステップが、置換液の添加の下流の血液中の指標を監視するステップをさらに含み、前記使用が、置換液の添加の上流で取得される監視指標の値と置換液の添加の下流で取得される監視指標の値を比較するステップをさらに含む、第20の態様に記載の使用である。
【0090】
第22の態様は、システムであって、(i)主チャンバーを画定する媒体ハウジングと、(ii)ハウジング内に配置され、主チャンバーを第1および第2の副チャンバーに密封して分割する血流除去膜と、(iii)第1の副チャンバーと流体連通する第1の入口部および第1の出口部であって、前記システムは、血液が第1の入口部を通って第1の副チャンバーに入り、第1の出口部を通って第1の副チャンバーを出るように構成されている第1の入口部および第1の出口部と、(iv)第2の副チャンバーと流体連通する第2の入口部および第2の出口部であって、前記システムは、透析液が第2の入口部を通って第2の副チャンバーに入り、第2の出口部を通って第2の副チャンバーを出るように構成されている第2の入口部および第2の出口部と、(v)第2の入口部と第2の出口部との間の透析液流路と流体連通し、その透析液流路の中に配置される透析液再生媒体と、(vi)濃縮電解質またはpH緩衝剤を含む濃縮物溶液を収容するための濃縮物源と、(vii)濃縮物溶液が、透析液再生媒体の下流および第2の入口部の上流の透析液流路に入る速度を制御するための濃縮物流量制御素子と、(viii)透析液再生媒体の下流および第2の入口部の上流の透析液流路の中の透析液の電解質濃度またはpHの指標を監視するように構成されているセンサと、(ix)センサおよび濃縮物流量制御素子と作動可能に通信する制御電子回路と、を備え、前記制御電子回路は、センサから取得されるデータに基づいて、濃縮物流量制御素子によって、濃縮物溶液が透析液流路に入る速度を調整するように構成されているシステムである。
【0091】
第23の態様は、血液流体除去装置または流体除去システムによって実施される使用であって、(i)それを必要としている患者のために血液流体除去処置を開始するステップであって、前記処置は、透析液流体の使用、および電解質が血液と透析液流体との間で交換され得る、少なくとも血液流体除去媒体の一部としての透析液膜の使用を含むステップと、(ii)血液流体除去処置中に、血液の電解質濃度または血液のpHの指標を監視するステップと、(iii)監視指標の値に基づいて、透析液流体または血液の流速を調整するステップと、を含む使用である。
【0092】
第24の態様は、指標を監視するステップが、血液が血液流体除去媒体を通過する前かつ血液が血液流体除去媒体を通過した後に、血液中の指標を監視するステップを含む、第23の態様に記載の使用である。
【0093】
第25の態様は、血液が媒体を通過する前に監視される指標の値と血液が媒体を通過した後に監視される指標の値を比較するステップをさらに含む第23の態様の記載の使用であって、前記比較に基づいて、透析液流体または血液の流速を調整するステップが前記組成を調整するステップを含む使用である。
【0094】
第26の態様は、指標を監視するステップが、血液から除去される流体内の指標を監視するステップを含む、第23〜第25の態様のいずれかに記載の使用である。
【0095】
第27の態様は、血液から除去される流体の監視指標の値から、血液の電解質濃度またはpHを決定するステップをさらに含む、第23の態様に記載の使用である。
【0096】
したがって、流体除去プロセスのための電解質およびpHの監視のためのシステム、装置ならびに使用について説明する。当業者は、添付の特許請求の範囲で定義されるとおり、本明細書に記載の好ましい実施形態を、本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく変更または修正することができることを認識するであろう。
【0097】
以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」などの指示は、素子間を区別する目的のために使用されるのであって、これらの素子を列挙する目的のためまたは一連の素子を定義するためのものではない。例えば、「第3」のセンサは、3つのセンサがあるが、「第3」のセンサは、「第1」のセンサとは異なることを必ずしも意味しない。さらなる例として、「第3」のセンサは、必ずしも「第1」のセンサよりも時間的に後になるものではない。