(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホルムアルデヒド捕捉剤が、ウレア、エチレンウレア、ジヒドロキシエチレンウレア(DHEU)、2−アミノ−2−メチルプロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、メラミン、レゾルシノール、N−メチロールアクリルアミド、ジエタノールアミン及びこれらの混合物から成る群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
前記ホルムアルデヒド捕捉剤が、ウレア、エチレンウレア、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、メラミン、レゾルシノール、N−メチロールアクリルアミド、ジエタノールアミン及びこれらの混合物から成る群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
前記ホルムアルデヒド捕捉剤が、ウレア、エチレンウレア、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)及びこれらの混合物から成る群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、以下の用語は、文脈に明らかに反さない限り指定の定義を有する。
【0009】
球状粒子のサイズは、その直径を特徴とする。球状ではない粒子の場合、本明細書において「直径」とは、その粒子と同じ体積を有する球体の直径である。シェル材料とコア材料との組み合わせによって形成される物体を考える場合、その物体が以下の基準を満たすならば、シェル材料は本明細書においてコア粒子を「取り巻く」とされる。その基準とは、物体がコア粒子の組成物から成るかなりの体積を有し、マイクロカプセルの表面積の少なくとも50%以上が、マイクロカプセルの全表面積を基準として、シェル材料の組成物から形成される、である。
【0010】
マイクロカプセルは、外方シェルに取り巻かれたコアを有し且つ0.1〜200マイクロメートルの直径を有する粒子である。外方シェルの組成物は、コアの組成物とは異なる。1つ以上の内方シェルが、コアと外方シェルとの間に存在し得る。
【0011】
粒子群は、d(0.5)及びd(0.9)を特徴とし得る。体積基準で粒子群の半分はd(0.5)未満の直径を有する粒子から構成される。体積基準で粒子群の90%はd(0.9)未満の直径を有する粒子から構成される。
【0012】
化合物は、25℃の100gの水に溶解するその化合物の最大量が0.1g以下の場合、水不溶性である。化合物は、25℃の100gの水に溶解するその化合物の量が1gより多いならば水溶性である。
【0013】
本明細書で使用の「樹脂」はポリマーである。ポリマーは、より小さな化学的な繰り返し単位の反応生成物から形成される比較的大きな分子である。ポリマー分子の重量は標準的な方法、例えばサイズ排除クロマトグラフィ(SEC、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)とも称される)で測定することができる。ポリマーは、1000以上の重量平均分子量(Mw)を有する。ポリマーは直鎖、分岐、星形又はこれらの混合物になり得る。完全に架橋されたポリマーは無限の分子量を有するとみなされる。互いに反応してポリマーの繰り返し単位を形成することができる分子は、本明細書において「モノマー」として知られる。
【0014】
アミノ樹脂は、1種以上のアルデヒド及び1種以上のポリアミンを含む反応物の反応生成物であるポリマーである。アミン基は−NH
2である。本明細書において、化合物は、その化合物がアミン基を有しているならば、そのアミン基がカルボニル基に結合しているか否かに関わらず(すなわち、化合物をアミド又はウレア化合物でもあるとみなし得るか否かに関わらず)アミン化合物とみなされる。一部のアミン化合物はジアミン又はポリアミンである。ジアミンは、正確に2個のアミン基を有する化合物である。ポリアミンは、分子が2個以上のアミン基を有する化合物である。
【0015】
ホルムアルデヒド捕捉剤は、ホルムアルデヒドと反応してホルムアルデヒド以外の反応生成物を生成可能な化合物である。本発明を特定のメカニズムに限定するものではないが、多くの実施形態において、アミン化合物及びホルムアルデヒドはアミン化合物とホルムアルデヒドとの反応によって生成されるメチロール基と平衡で存在すると考えられる。ホルムアルデヒド捕捉剤が存在する場合、ホルムアルデヒド捕捉剤はホルムアルデヒドとの安定した反応生成物を生成することでホルムアルデヒドをメチロール基との平衡から取り除き、その平衡をアミン化合物及びホルムアルデヒドに再度シフトさせ、より多くのホルムアルデヒドの除去等を可能にすると考えられる。したがって、ホルムアルデヒド捕捉剤の存在は、メチロール基の量を減少させることができると考えられる。
【0016】
ホルムアルデヒドとアミン基との反応によって生成されるメチロール基と反応可能な化合物(本明細書においては「メチロールキャッピング化合物」と称する)も、「ホルムアルデヒド捕捉剤」のカテゴリーに含まれるとみなされる。
【0017】
本明細書で定義するように、反応性水素を有する化合物は、構造I、II、III又はIVの少なくとも1つを有する化合物である。
【化1】
【0018】
R
1、R
3、R
4、各R
5、R
6及びR
7はそれぞれ独立して水素又は置換若しくは非置換アミン基又は置換若しくは非置換有機基である。R
2は置換若しくは非置換アミン基又は置換若しくは非置換有機基である。R
8は置換又は非置換有機基である。構造Iにおいて、R
1及びR
2は互いに結合して環を形成し得る。R
8はR
6又はR
7に結合して環を形成し得る。R
13は置換又は非置換芳香環である。
【0019】
「分散物」は、連続媒質全体に分布する不連続粒子の集合体である。粒子は固体又は液体又はこれらの混合物になり得る。分散物は、連続媒質が水性媒質であるならば、「水中の」分散物であるとされる。連続媒質は、その組成が、この連続媒質の重量を基準として重量で40%以上の水ならば「水性」である。連続媒質は、その組成が連続媒質の重量を基準として重量で40%未満の水ならば「非水性」である。
【0020】
アミノプレポリマーは、1種以上のポリアミン及びホルムアルデヒドを含む反応物の反応生成物である。アミノプレポリマーは、1000未満の分子量を有する。
【0021】
殺生物剤は、1種以上の細菌、真菌、藻類又は海洋付着生物の成長を阻害する又はこれらを殺すことが可能な化合物である。海洋付着生物は水中に沈んだ表面上で成長する傾向があり、藻類、被嚢類、ヒドロ虫、二枚貝、コケムシ、多毛類の虫、海綿及びフジツボを含めた硬い及び軟らかい付着生物が含まれる。
【0022】
コーティング組成物は、基体表面上に層として塗布可能であり且つ基体表面に付着する乾燥層(「乾燥塗膜」)を形成可能な組成物である。
【0023】
海洋用コーティング組成物は、海洋構造物の表面上に乾燥塗膜を形成可能なコーティング組成物である。乾燥塗膜の形成後、乾燥塗膜は、有用な長期間にわたって、たとえコーティング面の一部又は全てがかなりの時間にわたって水面下に留まっても(すなわち、1日あたり少なくとも1時間)表面に付着する。海洋構造物とは、その一部又は全てがかなりの時間にわたって水面下にくる環境で使用されるものである。海洋構造物の例には、船舶、桟橋、船渠、杭、魚網、熱交換機、ダム、配管構造体、例えば異物吸入防止グリットが含まれる。
【0024】
1種以上の海洋付着生物の成長の阻害に効果的な海洋用コーティング組成物は、海洋用防汚(MAF)コーティング組成物である。海洋用防汚剤は、海洋用コーティング組成物に添加する、また1種以上の海洋付着生物の成長を阻害する海洋用コーティング組成物の能力を向上させる化合物である。
【0025】
液体組成物は、0〜60℃を含む温度範囲の標準大気において液状である。
【0026】
本明細書において、2つの量の比が「X:100以上」である場合、これは比がY:100であり、YがX以上であることを意味する。同様に、2つの量の比が「Z:100以下」である場合、これは比がW:100であり、WがZ以下であることを意味する。
【0027】
「乾燥」又は「乾燥させた」組成物は、組成物の重量を基準として重量で5%以下の揮発性化合物総含有量を有する。揮発性化合物は、1気圧で200℃以下の沸点を有する。
【0028】
本発明の組成物はマイクロカプセルを含む。本発明の組成物は好ましくは、0.5マイクロメートル以上、より好ましくは2マイクロメートル以上、より好ましくは5マイクロメートル以上のd(0.5)を有する。本発明の組成物は好ましくは、100マイクロメートル以下、より好ましくは50マイクロメートル以下、より好ましくは30マイクロメートル以下のd(0.5)を有する。本発明の組成物は好ましくは、1マイクロメートル以上、より好ましくは4マイクロメートル以上、より好ましくは9マイクロメートル以上のd(0.9)を有する。本発明の組成物は好ましくは、150マイクロメートル以下、より好ましくは100マイクロメートル以下、より好ましくは50マイクロメートル以下のd(0.9)を有する。
【0029】
本発明のマイクロカプセルのコアは、いずれの水不溶性化合物も含み得る。好ましくは、コアは、25℃で水100グラムあたり0.05グラム以下、より好ましくは水100グラムあたり0.01グラム以下の水への溶解度を有する水不溶性化合物を含有する。好ましくは、コアは、20℃以上、より好ましくは35℃以上の融点を有する1種以上の水不溶性化合物を含有する。好ましくは、コアは、200℃以下、より好ましくは100℃以下、より好ましくは75℃以下の融点を有する1種以上の水不溶性化合物を含有する。
【0030】
好ましくは、コア中の水溶性化合物の総量はゼロ又はコアの重量を基準として重量で1%未満である。
【0031】
好ましくは、コアは1種以上の殺生物剤を含有する。好ましい殺生物剤は、4−イソチアゾリン−3−オンの水不溶性誘導体である。より好ましいものは4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT)である。
【0032】
マイクロカプセルの外方シェルは、1種以上のアミノ樹脂を含有する。このアミノ樹脂は好ましくは、1種以上のアミン化合物及び任意で1種以上のフェノール化合物を含む反応物の反応生成物を含有する。好ましいアミン化合物は、ウレア、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコルリル及びこれらの混合物である。より好ましいものはウレア及びメラミンである。好ましいフェノール化合物は、フェノール、置換フェノール、レゾルシノール、置換レゾルシノール及びこれらの混合物である。より好ましいフェノール化合物はレゾルシノールである。より好ましいアミン樹脂は、ウレア、メラミン、レゾルシノール及びこれらの混合物を含む反応物の反応生成物を含有する。
【0033】
好ましくは、アミン化合物は、1種以上のアミン化合物及び1種以上のアミン反応性化合物を含む反応物の反応生成物を含有する。好ましいアミン反応性化合物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール及びこれらの混合物である。より好ましいものはホルムアルデヒドである。
【0034】
より好ましいアミノ樹脂は、ウレア及びメラミンの両方を含む又はウレア及びレゾルシノールの両方を含む反応物の反応生成物を含有する。好ましいアミノ樹脂は、以下の反応物の組み合わせ:メラミンとホルムアルデヒド;ウレアとホルムアルデヒド:メラミン及びウレアとホルムアルデヒド;ウレア及びレゾルシノールとホルムアルデヒドの1つ以上の反応生成物を含有する。
【0035】
アミノ樹脂がウレア及びメラミンを含む反応物の反応生成物を含有する実施形態においては、アミノ樹脂を、アミノ樹脂生成に使用するウレアの、樹脂生成に使用するメラミンに対する重量比(「UM比」)を吟味することでキャラクタリゼーションを行うことが有用である。このような実施形態において、好ましくは、UM比は50:100以上、より好ましくは75:100以上である。このような実施形態において、UM比は200:100以下、より好ましくは133:100以下である。
【0036】
好ましい実施形態において、全てのアミノ樹脂の重量の合計のコアの重量に対する比は8:100以上、より好ましくは15:100以上である。好ましい実施形態において、全てのアミノ樹脂の重量の合計のコアの重量に対する比は60:100以下、より好ましくは50:100以下、より好ましくは40:100以下である。
【0037】
本発明の組成物は、1種以上のホルムアルデヒド捕捉剤、アミノ樹脂とホルムアルデヒド捕捉剤との1種以上の反応生成物又はこれらの混合物を含有する。アミノ樹脂とホルムアルデヒド捕捉剤との1種以上の反応生成物が存在する場合、1種以上のホルムアルデヒド捕捉剤も存在することが好ましく、また反応生成物の一部又は全てが、同じく組成物中に存在するホルムアルデヒドとホルムアルデヒド捕捉剤との反応生成物であることが好ましい。好ましいホルムアルデヒド捕捉剤は、少なくとも1種の反応性水素を有する化合物である。
【0038】
構造Iの化合物を使用する場合、好ましいものはウレア、(メタ)アクリルアミド及び構造V:
【化2】
の化合物である。
【0039】
R
10は水素、C
1〜C
6アルキル又はアルキルオキシである。R
11及びR
12は独立して水素、ヒドロキシル、アミン、−NHR
14(R
14はC
1〜C
6アルキル、アルキルオキシ又はアルキルアミンである)又はカルボキシルである。構造Vの好ましい化合物は、エチレンウレア(R
10、R
11及びR
12は全て水素である)及びジヒドロキシエチレンウレア(DHEU;R
10は水素である;R
11及びR
12はヒドロキシルである)である。
【0040】
(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換アクリルアミド及びN−置換メタクリルアミドを含む。好ましい(メタ)アクリルアミドはN−メチロールアクリルアミドである。
【0041】
構造IIの化合物を使用する場合、好ましいものはタイプIIa及びタイプIIbのものである。タイプIIaの化合物は、−CH
2CH
2OHであるR
1を有する。好ましいタイプIIaの化合物はジエタノールアミンである。タイプIIbの化合物は以下を有する:R
1は水素であり、R
5は共に水素であり、R
3はメチル、エチル又は−CH
2OHであり、R
4はメチル又は−CH
2OHである。R
3がメチルでありR
4が−CH
2OHの場合、化合物は「AMPD」と称され、R
3がエチルでありR
4が−CH
2OHの場合、化合物は「AEPD」と称され、R
3及びR
4が共にメチルである場合、化合物は「AMP」と称される。タイプIIbの好ましい化合物は本明細書において「TRIS」と称される化合物であり、R
1は水素であり、R
5は共に水素であり、R
3及びR
4は共に−CH
2OHである。
【0042】
構造IIIの化合物を使用する場合、好ましいものはメラミンである。
【0043】
構造IVの化合物を使用する場合、好ましいものは、1個以上のヒドロキシル基が構造IVに示されるものに加えて存在する化合物である。より好ましくはレゾルシノールである。
【0044】
メチロールキャッピング化合物を使用する場合、好ましいメチロールキャッピング化合物は構造VI:
【化3】
を有し、R
21及びR
22はそれぞれ独立して水素又は有機基であり、R
21及びR
22の少なくとも一方は水素ではなく、R
21及びR
22は任意で互いに結合して環を形成する。好ましくは、R
21及びR
22は結合して4〜8員の環基を形成し、ここで各員は−CH
2−基若しくは−NH−基である又はR
21及びR
22のそれぞれは独立して水素若しくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。好ましいメチロールキャッピング化合物は、ピペラジン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、メチルアミン及びこれらの混合物である。本発明を特定のメカニズムに限定するものではないが、多くの実施形態において、メチロールキャッピング化合物は以下の反応:
【化4】
により作用すると考えられ、各R
xは独立し且つホルムアルデヒドと反応してメチロール基を形成するアミン化合物によって決定される。基N−CH
2−Nは比較的安定しており、また本発明の実施条件下で更に反応しないと考えられる。
【0045】
好ましいホルムアルデヒド捕捉剤は、ウレア、ジメチルウレア、エチレンウレア、DHEU、AMP、AMPD、AEPD、TRIS、メラミン、レゾルシノール、N−メチロールアクリルアミド、ジエタノールアミン及びこれらの混合物である。より好ましいものは、ウレア、ジメチルウレア、エチレンウレア、DHEU、TRIS、メラミン、レゾルシノール、N−メチロールアクリルアミド、ジエタノールアミン、ピペラジン、ジエチルアミン、ジメチルアミン及びこれらの混合物である。より好ましいものは、ウレア、エチレンウレア、TRIS、メラミン、レゾルシノール、N−メチロールアクリルアミド、ジエタノールアミン及びこれらの混合物である。より好ましいものは、ウレア、エチレンウレア、TRIS及びこれらの混合物である。より好ましいものは、ウレア、エチレンウレア及びこれらの混合物である。
【0046】
ホルムアルデヒド捕捉剤とホルムアルデヒドとの又はメチロール基との反応生成物を考えることが有用である。このような反応生成物がアミノ樹脂の一部である又は一部ではない場合があることに留意する。このような反応生成物の量のキャラクタリゼーションを、ホルムアルデヒド反応物の当量で行うことが有用である。本明細書において、ホルムアルデヒド反応物当量は、ホルムアルデヒド又はメチロール基と反応して反応生成物を生成するホルムアルデヒド捕捉剤の重量である。本発明の組成物においては、ホルムアルデヒド捕捉剤の重量+ホルムアルデヒド反応物当量の合計が好ましくは、組成物の総重量を基準として、1%以上、より好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であることが好ましい。本発明の組成物においては、ホルムアルデヒド捕捉剤の重量+ホルムアルデヒド反応物当量の合計が好ましくは、組成物の総重量を基準として、50%以下、より好ましくは30%以下であることが好ましい。
【0047】
本発明の組成物はいずれの方法でも調製し得る。好ましいものは、マイクロカプセルを形成し、次に1種以上のホルムアルデヒド捕捉剤と混合する方法である。より好ましいものは、マイクロカプセル水中分散物を調製する方法であり、1種以上のホルムアルデヒド捕捉剤をその分散物に添加し、次にこの分散物を乾燥させる。
【0048】
マイクロカプセル水中分散物を調製する実施形態においては、いずれの方法も、このような分散物の調製に用い得る。2つの適切な方法を本明細書において、方法A及び方法Bとして記載する。好ましいものは方法Bである。
【0049】
方法Aは、分散物D−Aの調製を伴う。分散物D−Aの調製は、エチレンコポリマー(すなわち、エチレンと極性モノマー、例えば無水マレイン酸とのコポリマー)、塩基性試薬(例えば、KOH)、コア材料及び架橋剤を必要とする。エチレンコポリマー、塩基性試薬及びコア材料を好ましくは高速ミキサで混合してD−Aを調製する。次にウレア/レゾルシノール/ホルムアルデヒドの1つ以上のシェルを分散物D−Aの液滴上に形成する。方法Aに関しては、米国特許第7550200号明細書により詳しい説明がある。
【0050】
方法Bを行う際は、水不溶性化合物の水中分散物の調製を含む工程でもって進めることが好ましく、このような分散物を本明細書では「分散物(I)」と称する。好ましくは、この工程は、分散物(I)を含有し且つ1種以上のアミノプレポリマー(本明細書では「アミノプレポリマー(II)」と称する)も含有する混合物(本明細書では「混合物(III)と称する」)の調製も伴う。好ましくは、反応を混合物(III)で行って1種以上のアミノ樹脂を生成する。
【0051】
分散物(I)の好ましい調製方法は以下の通りである。水性媒質を水不溶性化合物の融点より高い温度で用意する。水性媒質中の水の量は、連続媒質の重量を基準として重量で、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上である。好ましくは、この水性媒質は1種以上のコアセルベーション剤(本明細書においては「CA」と表記する)を含有する。好ましくは、CAは水溶性である。好ましくは、CAはカチオン性である(すなわち、水に溶解させると、CAはpH=4〜pH=8の範囲内の又はこの範囲に重なるpH値範囲で正電荷を有する)。好ましくは、CAはアミノ樹脂、アミノプレポリマー又はこれらの混合物である。好ましくは、CAは、1種以上の活性ポリアミン、ホルムアルデヒド及び任意で1種以上のジアミンを含有する反応物の反応生成物を含有する。より好ましくは、CAは、ウレア、ホルムアルデヒド及びジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレントリアミン又はグアニジンから選択される1種以上のジアミンを含有する反応物の反応生成物を含有する。
【0052】
好ましくは、水不溶性化合物は液状で提供される。水不溶性化合物の融点が25℃より高いならば、この水不溶性化合物を好ましくはその融点より高くまで加熱し、次に液状で使用する。好ましくは、液状の水不溶性化合物を水性媒質に添加する。
【0053】
好ましくは、分散物(I)における水不溶性化合物の重量の水の重量に対する比は20:100以上、より好ましくは35:100以上である。好ましくは、分散物(I)における水不溶性化合物の重量の水の重量に対する比は、70:100以下、より好ましくは60:100以下である。
【0054】
好ましくは、1種以上の乳化安定剤も水性媒質に添加する。乳化安定剤には、高分子安定剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が含まれる。好ましいものはアニオン界面活性剤である。
【0055】
CA及び乳化安定剤の両方を使用する実施形態においては、水不溶性化合物の球状液滴が形成され、これらの液滴はCAと乳化安定剤との混合物でコーティングされると考えられる。好ましくは、これらの球状液滴は0.1〜100マイクロメートルのd(0.5)を有する。
【0056】
好ましくは、2種の異なるアミノプレポリマー(本明細書においては「PPU」及び「PPM」と称する)を調製し、次にこれらを分散物(I)と混合する。好ましくは、PPUは、ウレア及びホルムアルデヒドを含有する反応物の反応生成物である。ホルムアルデヒドのモル数のウレアのモル数に対する好ましい比は50:100以上、より好ましくは80:100以上、より好ましくは110:100以上である。ホルムアルデヒドのモル数のウレアのモル数に対する好ましい比は300:100以下、より好ましくは250:100以下、より好ましくは200:100以下である。
【0057】
好ましくは、PPUは、ウレア、ホルムアルデヒド及び水の混合により生成される。ウレアの重量+ホルムアルデヒドの重量の合計の水の重量に対する好ましい比は30:100以上、より好ましくは60:100以上である。ウレアの重量+ホルムアルデヒドの重量の合計の水の重量に対する好ましい比は140:100以下、より好ましくは85:100以下である。好ましくは、ウレア、ホルムアルデヒド及び水の混合物のpHを、塩基性試薬の添加により調節する。好ましくは、塩基性試薬の添加後、混合物のpHは7〜9である。好ましくは、塩基性試薬の添加後、混合物を30〜95℃の温度で10分〜3時間にわたって維持する。ウレアの一部又は全てがホルムアルデヒドの一部又は全てと反応すると考えられる。反応生成物、残っているウレア(もしあるならば)及び残っているホルムアルデヒド(もしあるならば)を含めた結果がPPUであるとみなされる。PPU、水及び塩基性試薬を含む得られる混合物を本明細書では「PPU混合物」と称する。
【0058】
好ましくは、PPMはメラミン及びホルムアルデヒドを含有する反応物の反応生成物である。ホルムアルデヒドのモル数のメラミンのモル数に対する好ましい比は80:100以上、より好ましくは150:100以上、より好ましくは220:100以上である。ホルムアルデヒドのモル数のメラミンのモル数に対する好ましい比は450:100以下、より好ましくは400:100以下、より好ましくは350:100以下である。
【0059】
好ましくは、PPMは、メラミン、ホルムアルデヒド及び水の混合により生成される。メラミンの重量+ホルムアルデヒドの重量の合計の水の重量に対する好ましい比は10:100以上、より好ましくは25:100以上である。メラミンの重量+ホルムアルデヒドの重量の合計の水の重量に対する好ましい比は100:100以下、より好ましくは75:100以下、より好ましくは50:100以下である。好ましくは、メラミン、ホルムアルデヒド及び水の混合物のpHを塩基性試薬の添加により調節する。好ましくは、塩基性試薬の添加後、混合物のpHは7〜9である。好ましくは、塩基性試薬の添加後、混合物を30〜80℃の温度で10分〜3時間にわたって維持する。メラミンの一部又は全てがホルムアルデヒドの一部又は全てと反応すると考えられる。反応生成物、残っているメラミン(もしあるならば)及び残っているホルムアルデヒド(もしあるならば)を含めた結果がPPMであるとみなされる。PPM、水及び塩基性試薬を含む得られる混合物を本明細書では「PPM混合物」と称する。
【0060】
好ましくは、PPU及びPPMを分散物(I)に添加する。好ましくは、PPUとPPMとを混合してから分散物(I)に添加するか、同時又は順次又はこれらの組み合わせで別々に分散物(I)に添加する。PPU及びPPMを分散物(I)に添加した後、酸性試薬を好ましくは得られる混合物に添加する。好ましい酸性試薬は5.0以下のpKaを有する。好ましい酸性試薬は酢酸、ギ酸、塩酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸及びクエン酸である。酸性試薬の添加後、混合物のpHは好ましくは4.25〜5.25である。好ましくは、次に混合物を35〜70℃で30分〜6時間にわたって維持する。次に、好ましくは、追加の酸性試薬を添加してpHを1.8〜3.3にし、次に混合物を好ましくは35〜70℃で8〜36時間にわたって維持する。
【0061】
方法A及び方法Bを含めたマイクロカプセルの多くの形成方法が、コア材料及び他の原料の水中エマルションの調製を伴う。好ましくは、エマルションは1種以上の安定剤を含む。安定剤は界面活性剤になり得る又は高分子安定剤になり得る。好ましい界面活性剤は、アニオン界面活性剤である。好ましい高分子安定剤は、コアセルベーションシェル、ポリビニルアルコール、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸及びこれらの混合物である。好ましくは、エマルションの調製工程を、1000rpm以上の高回転速度で動作するホモジナイザ等の高速ミキサで行う。均質化は、バッチ工程又はインライン工程として行い得る(インライン工程は1回の通過になり得る又はホモジナイザ内を複数回通過することを伴い得る)。原料をミキサに1本の混合流として供給し得る又は別々の流れとして同時に供給し得る。
【0062】
好ましくは、マイクロカプセル形成後、マイクロカプセルと1種以上のホルムアルデヒド捕捉剤とを混合する(すなわち、一緒にして混合物を調製する)。マイクロカプセルは、マイクロカプセル形成後、ホルムアルデヒド捕捉剤といずれの時点でも混合し得る。より好ましくは、マイクロカプセルを水中分散物として形成し、マイクロカプセルを濾過してウェットケークを形成し、このウェットケークを次に水に再分散させ、次にこの再分散させたマイクロカプセルを1種以上の酸捕捉剤と混合し、次に混合物を乾燥させる。好ましくは、マイクロカプセルと混合するホルムアルデヒド捕捉剤の量は、混合物の重量を基準として重量で、5%以上、より好ましくは10%以上である。
【0063】
幾つかの実施形態においては、マイクロカプセル形成工程で、比較的少量(マイクロカプセルの重量を基準として重量で2%以下)の1種以上のホルムアルデヒド捕捉剤を必要とし得ることが考えられる。例えば、若干のウレアがマイクロカプセル中に存在し得る。これはマイクロカプセル形成に使用したウレアの一部が反応しなかったからである。このような実施形態においては、マイクロカプセル形成後に更なるホルムアルデヒド捕捉剤をマイクロカプセルと混合することが好ましい。
【0064】
好ましくは、マイクロカプセルを乾燥させる。好ましくは、乾燥させたマイクロカプセル中の水の量は、組成物の重量を基準として重量で5%以下、より好ましくは2%以下である。
【0065】
乾燥はいずれの方法でも行い得て、例えば空気乾燥、タンブル乾燥、噴霧乾燥及びこれらの組み合わせが含まれる。好ましい乾燥方法は噴霧乾燥である。
【0066】
ホルムアルデヒド捕捉剤をマイクロカプセルと混合する場合、その混合を好ましくは、マイクロカプセルが水性分散物中にある間に又はマイクロカプセルを乾燥させた後に行う。より好ましくは、その混合を、マイクロカプセルが水性分散物中にある間に行い、次に得られた混合物を乾燥させる。
【0067】
好ましくは、本発明の組成物を乾燥させる。乾燥後、組成物を多種多様な目的に使用し得る。好ましくは、乾燥させた組成物を他の原料と混合して非水性液体コーティング組成物を調製する。液体コーティング組成物は以下の特徴を有する:15〜40℃を含む温度範囲では液状である;1種以上のコーティングバインダを含有する;1種以上の顔料を含有する。コーティングバインダは、膜を形成可能な物質である。すなわち、バインダが液体コーティング組成物中に存在する場合、その組成物を基体上に層として塗布し、次に乾燥させる又は周囲温度(0〜45℃のいずれの温度にもなり得る)で乾燥させて乾燥塗膜を形成する場合、バインダはその乾燥塗膜において連続膜を形成可能である。好ましいバインダはコーティング組成物の連続液体媒質に可溶である。好ましいバインダは1種以上のロジン、1種以上のポリマー又はこれらの混合物を含有する。好ましいロジンには非修飾ロジン及びアルキル化ロジンエステルが含まれる。好ましいポリマーにはシリコーンポリマー、シリコーンアクリルポリマー及びアクリル樹脂酸塩が含まれ、より好ましいものはアクリル樹脂酸の亜鉛及び銅塩である。アクリル樹脂酸は、アクリル酸、メタクリル酸又は他の関連する化合物由来の関連する熱可塑性又は熱硬化性の可塑性物質群である。顔料は微粒子状の固体である。顔料は、−10〜95℃の範囲を含む温度範囲で固体である。好ましい顔料は0.2〜10ミクロンの粒子重量平均直径を有する。
【0068】
本発明の乾燥組成物を液体コーティング組成物の調製に使用する場合、本発明の組成物はこのコーティング組成物の連続媒質中に分散する。好ましくは、本発明の組成物の量は、液体コーティング組成物の重量を基準として重量で1%以上、より好ましくは2%以上である。好ましくは、本発明の組成物の量は、液体コーティング組成物の重量を基準として重量で15%以下、より好ましくは10%以下である。
【0069】
本発明の組成物を含有するコーティング組成物は好ましくは海洋用コーティング組成物であり、より好ましくは海洋用防汚コーティング組成物である。
【実施例】
【0070】
以下は本発明の実施例である。
【0071】
マイクロカプセル調製の一般手順
マイクロカプセルを、米国特許第6486099号明細書に記載の通りに調製した。殺生物剤である活性4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT)(235g)を、ケトル準備直前に融解させた。水を、機械的混合装置、温度制御装置及び入口/出口ポンピングラインを備えたケトルに加えた。ケトルを50℃まで加熱した。次に、33.8gのU−Ramin(商標)P−1500カチオンウレア−ホルムアルデヒドプレポリマー(溶液の重量を基準として濃度40重量%)水溶液(Mitsui Kagaku K.K.製)をケトルに加え、続いてトリエタノールアミンを添加し、クエン酸でpHを調節した。速やかに、融解したDCOIT及びナトリウムドデシルベンゼンスルホネートの水溶液をケトルに撹拌しながら加えた。粗大エマルションを、Silversonインラインミキサ又はIKA Magic Lab(商標)ミキサ(IKA製)でのポンプ輸送により乳化させた。
【0072】
これとは別に、メラミンホルムアルデヒド(MF)及びウレアホルムアルデヒド(UF)プレポリマーを準備した。機械的混合装置、温度制御装置及び添加ポートを備えた1個のケトルに、水、21.5gのメラミン及び55.4gのホルムアルデヒド水溶液(溶液の重量を基準として濃度37重量%)を加えた。ホルムアルデヒド水溶液のpHは事前に20%トリエタノールアミン水溶液で8に調節した。混合物を50℃まで撹拌しながら加熱した。温度が50℃に達した後(約12分)、メラミンを完全に溶解させるのに更に28分かかった。50℃で更に30分経過した後、次に透明なプレポリマー溶液を冷却し、工程の次のステップにすぐに使用できる準備が整った。同様に、機械的混合装置、温度制御装置及び添加ポートを備えた別のケトルに、水、22.1gのウレア及び53.8gのホルムアルデヒド水溶液(溶液の重量を基準として濃度37重量%)を加えた。ホルムアルデヒド水溶液のpHは事前に20%トリエタノールアミン水溶液で8に調節した。混合物を70℃まで撹拌しながら加熱した。温度が70度に達した後(約9分)、透明な溶液をこの温度で51分間にわたって混合した。その後、プレポリマーを冷却し、工程の次のステップにすぐに使用できる準備が整った。
【0073】
プレポリマー調製の最後に、MF及びUFプレポリマーを、10分後に上で調製した水エマルション中のDCOITに添加した。温度は50℃に維持した。混合物のpHを、10%クエン酸水溶液で4.75に調節した。次に、予備加熱した水を反応混合物に添加して溶液粘度を低下させた。50℃で2.5時間にわたって混合した後、反応スラリーを30%クエン酸水溶液でpH2.8に調節した。pHを調節してから0.5時間及び2.5時間後に、予備加熱した水をケトルに加えて粘度を低下させた。pHを2.8に調節してから約19時間にわたって、反応スラリーを50℃で一晩混合した。次に、スラリーを30℃に冷却した。固形塩化アンモニウムをケトルに加えて、10分後、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加してスラリーのpHを7に調節した。更に10分後、スラリーのpHは低下し、pHを再度7に調節した。次に、スラリーを100メッシュの篩に通してゲルを除去した。速やかに沈降する濾液をブフナー濾過に供した。塩含有量を低下させるために、ブフナー漏斗上のウェットケークを3回の緩慢なプラグ流れ洗浄に供した。ウェットケークを水に再分散させ、次に噴霧乾燥により乾燥させた。
【0074】
マイクロカプセルの噴霧乾燥
マイクロカプセルのウェットケークを、穏やかに撹拌しながら30分間にわたって水に再分散させた。ターゲットスラリー固形分は20%であった。得られたスラリーをBuchi(商標)スプレードライヤー(Buchi製)にポンプ輸送した。入口温度を155℃に設定し、出口温度を77℃に設定した。真空圧を20mmHgに設定した。霧化用ガスを600L/時間に設定した。乾燥粉末をサイクロンで捕集した。
【0075】
溶媒中でのマイクロカプセルからの有効成分の放出抵抗の測定(溶媒安定性)
0.6グラムのカプセルを、100mLオートクレーブボトルに入れた。50グラムの40%MIBK/60%キシレン(重量/重量で調製)をボトルに加えた。1時間後、試料を取り出し、「0日目」とラベルをつけた。次にボトルを50℃に設定した炉に入れた。試料を、1、3又は4、7、14、21、28、56及び84日目に取り出した。各試料について、20.0マイクロリットルの溶媒層をボトルからピペットで取り出し、0.2マイクロメートルフィルタを備えた3mLシリンジに入れた。次に、980mLのアセトニトリル(ACN)をピペットでこの3mLシリンジに加え、混合物をオートサンプラーバイアルに濾過した。各オートサンプラーバイアル中のDCOIT含有量を、HPLCで測定した。
【0076】
放出%DCOITを以下の式で計算する。
放出%DCOIT=100%x50(希釈係数)X(バイアル中のDCOITのppm)/(DCOIT充填レベル)
DCOIT充填レベル=マイクロカプセルからの全DCOITx(カプセル重量)/(溶媒重量)
【0077】
以下の表に示す「溶媒安定性」に関する数字は、試料中のDCOITの初期量を基準とした、28日後の放出DCOITの百分率である。
【0078】
海水放出(REL)及び海水放出率(SWRR)の測定
4.00mLの6g/L硫酸銅5水和物溶液を4リットルのRicca(商標)海水(重金属非含有ASTM D1141人工海水。Ricca chemicalsから入手可能)に添加することで合成海水を調製した。1986.6グラムのこの溶液を、13.4グラムのDowfax(商標)2A1界面活性剤(Dow Chemical Co.製)と混合し、5分間にわたって混合し、次に0.2マイクロメートルフィルタで濾過した。
【0079】
0.02グラムのマイクロカプセルを118mL(4オンス)ボトルに入れ、100gの合成海水を同じボトルに加えた。次に、放出試験のために、このボトルを室温で棚に置いた。試料を、1、3又は4、7、14、21、28、42、56、70、84、98、112、140、168日目に取り出した。
【0080】
サンプリング手順:ピペットでボトル(サンプリング前にボトルの撹拌は行わなかった)から1.000mLを取り出し、オートサンプラーバイアルに入れ、次にピペットで1.000mLの新鮮な合成海水を取り、ボトルに戻して一定の体積を維持した。
【0081】
放出%DCOIT(REL)を以下の式で計算した。
REL=100%x(オートサンプラーバイアル中のDCOITのppm)/(有効成分の充填レベル)
有効成分の充填レベル=(マイクロカプセルからの全AI)x(カプセルの重量)/(海水の重量)
【0082】
放出%DCOITを溶液中での日数に対してプロットした。海水放出速度はx日目(1日目を減算する)でのデータの傾きである。海水放出速度(SWRR)を、以下の式により計算した。
SWRR=(28日目のREL−1日目のREL)/27
【0083】
熱エージング後のSWRR保持性の測定
10gのマイクロカプセルを閉鎖バイアルに入れ、このバイアルを次に80℃の炉に1日入れた。SWRRを実施例3に記載の通りに測定した。熱エージング後のSWRRの保持性(RET)を、以下の式で計算する。
RET=100*(熱エージング処理カプセルのSWRR/無処理カプセルのSWRR)
【0084】
粒径分布(PSD)測定
PSDを、2000μPモジュールを備えたMalvern Mastersizer(商標)2000機器(Malvern製)で測定した。噴霧乾燥させた粉末をキシレン中に分散させ、測定を、検出セルにおいてキシレンで更に希釈して行った。粒径d(0.5)及びd(0.9)を報告した。
【0085】
添加剤を添加したマイクロカプセル
添加剤を添加したマイクロカプセルの噴霧乾燥手順
各添加剤を、最終粉末重量を基準として、表に記載の量で水に溶解させた。マイクロカプセルウェットケークを撹拌により、添加溶液に30分間にわたって再分散させた。得られるスラリーにおけるマイクロカプセルウェットケークの量は、スラリーの重量を基準として20重量%であった。
【0086】
スラリーをBuchi(商標)スプレードライヤーにポンプ輸送し、乾燥させた。入口温度を155℃に設定し、出口温度を77℃に設定した。真空圧を20mmHgに設定した。霧化用ガスを600L/時間に設定した。乾燥粉末をサイクロンで捕集した。
【0087】
比較例C1に関しては、添加剤を使用しなかった。実施例19に関しては、比較例C1を調製し、乾燥させ、次に添加剤を乾燥粉末と混合した。
【0088】
実施例16、17は比較例である。添加剤がホルムアルデヒド捕捉剤ではないからである。
【0089】
比較例を含めた全ての試料が許容可能な粒径を有した。D(0.5)値は10.0マイクロメートルから25.8マイクロメートルに及び、d(0.9)値は17.1マイクロメートルから49.5マイクロメートルに及んだ。
【0090】
実施例の定義並びにPSD及び溶媒安定性に関する結果を表IA及びIBに示す。
【表IA】
【表IB】
【0091】
各試料を2つに分割した。一方(「無処理」)を周囲温度(18〜25℃)で維持し、もう一方(「熱エージング処理」)を80℃で1日にわたって保管した。海水放出速度を表IIA及びIIBに示す。
【表IIA】
【表IIB】
【0092】
全ての比較例は、10%未満のRET%を有し、本発明の実施例は全て、10%以上のRET%を有した。本発明の実施例において、ウレア、エチレンウレア及びTRISは良好な溶媒安定性を示し、またSWRRは本発明の他の実施例より良好であった。