特許第6153995号(P6153995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6153995可とう性ポリウレタンフォームの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153995
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】可とう性ポリウレタンフォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20170619BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20170619BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20170619BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20170619BHJP
【FI】
   C08G18/00 L
   C08G18/48
   C08G18/18
   C08G101:00
【請求項の数】24
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-246153(P2015-246153)
(22)【出願日】2015年12月17日
(62)【分割の表示】特願2013-519725(P2013-519725)の分割
【原出願日】2011年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-84477(P2016-84477A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2016年1月15日
(31)【優先権主張番号】61/362,761
(32)【優先日】2010年7月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン ジーザス バーデニウク
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ダグラス トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ユ−ムン
(72)【発明者】
【氏名】レニー ジョー ケラー
【審査官】 大木 みのり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−143761(JP,A)
【文献】 特開2004−083847(JP,A)
【文献】 米国特許第03210300(US,A)
【文献】 特開昭58−004753(JP,A)
【文献】 特開2001−163946(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/048826(WO,A1)
【文献】 米国特許第04493909(US,A)
【文献】 特表2011−500893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00 − 18/87
C08G 71/00 − 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリエーテルポリオール、少なくとも1種のシリコーン界面活性剤、少なくとも1種の架橋剤、少なくとも1種の発泡剤、0.01〜2.0pphpの少なくとも1種の気泡開放剤、0.05〜5pphpの少なくとも1種の気泡開放剤助剤、及び少なくとも1種の第三級アミン触媒を含む組成物であって、前記少なくとも1種の気泡開放剤は、2−シアノアセトアミド、N−メチルシアノアセトアミド、N−エチルシアノアセトアミド、N−プロピルシアノアセトアミド、N−ブチルシアノアセトアミド、及びN−ヒドロキシエチル−シアノアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、前記少なくとも1種の気泡開放剤助剤は、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、N−メチル−アセトアセトアミド、及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含み、前記組成物は少なくとも1種のイソシアネートとの接触の際に機械押潰を行うことなく開放気泡フォームを製造する、組成物。
【請求項2】
前記気泡開放剤は2−シアノアセトアミドを含み、前記気泡開放剤助剤はN−メチル−アセトアセトアミド及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドのうち少なくとも1つを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリエーテルポリオールは4000〜5000の重量平均分子量を有し、前記組成物は少なくとも1種のコポリマーポリオールをさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の酸をさらに含み、前記酸はイソシアネート反応性基を有する又は有しない単一又は複数の酸基を有する任意の飽和又は不飽和の置換又は未置換の脂肪族基又は芳香族基を含有する有機カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の酸をさらに含み、前記酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ピバル酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、ネオドデカン酸、2−エチルヘキサン酸、グリコール酸、グルコン酸、サリチル酸、乳酸、安息香酸、フタル酸及びフタル酸モノエステルからなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記酸はギ酸を含む、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記酸は酢酸を含む、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
請求項1記載の組成物を少なくとも1種のイソシアネート化合物と接触させること、
前記イソシアネートと前記組成物の接触生成物をモールドに導入すること、
前記接触生成物をポリウレタンフォームにして前記モールドを充填すること、及び
前記ポリウレタンフォームを離型すること
を含む、ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項9】
フォーム内の気泡を開放するための機械押潰を行うことなく可とう性の開放気泡フォームが得られる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種のイソシアネート化合物はトルエンジイソシアネートを含む、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記架橋剤はジエタノールアミンを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種のポリオール、少なくとも1種の気泡開放剤、少なくとも1種の気泡開放剤助剤、少なくとも1種の酸、及び少なくとも1種の第三級アミン触媒を含む組成物であって、前記少なくとも1種の気泡開放剤は、2−シアノアセトアミド、N−メチルシアノアセトアミド、N−エチルシアノアセトアミド、N−プロピルシアノアセトアミド、N−ブチルシアノアセトアミド、及びN−ヒドロキシエチル−シアノアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つを0.01〜2.0pphp含み、前記組成物は前記少なくとも1種の気泡開放剤助剤を0.05〜5pphp含み、前記気泡開放剤助剤は、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、N−メチル−アセトアセトアミド、及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含み、前記組成物は少なくとも1種のイソシアネートとの接触の際に機械押潰を行うことなく可とう性の開放気泡フォームを製造する、組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の連鎖延長剤をさらに含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種のポリオール、0.01〜1pphpの2−シアノアセトアミド、並びに0.5〜5pphpの、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、N−メチル−アセトアセトアミド、及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つからなるポリウレタンフォームの製造に使用するための組成物であって、前記組成物は少なくとも1種のイソシアネートとの接触の際に機械押潰を行うことなく可とう性の開放気泡フォームを製造する、組成物。
【請求項15】
少なくとも1種のポリオール、少なくとも1種の気泡開放剤、少なくとも1種の気泡開放剤助剤、及び少なくとも1種の酸ブロック化第三級アミン触媒を含む組成物であって、前記気泡開放剤は、2−シアノアセトアミド、N−メチルシアノアセトアミド、N−エチルシアノアセトアミド、N−プロピルシアノアセトアミド、N−ブチルシアノアセトアミド、及びN−ヒドロキシエチル−シアノアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、前記少なくとも1種の気泡開放剤助剤は、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、N−メチル−アセトアセトアミド、及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含み、前記組成物は少なくとも1種のイソシアネートとの接触の際に機械押潰を行うことなく可とう性の開放気泡フォームを製造する、組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の酸をさらに含み、前記酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ピバル酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、ネオドデカン酸、2−エチルヘキサン酸、グリコール酸、グルコン酸、サリチル酸、乳酸、安息香酸、フタル酸及びフタル酸モノエステルからなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含む、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記酸はギ酸を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記酸は酢酸を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
.01〜2.0pphpの少なくとも1種の気泡開放剤、及び0.05〜5pphpの少なくとも1種の気泡開放剤助剤を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項20】
請求項19記載の組成物を少なくとも1種の発泡剤の存在下に少なくとも1種のイソシアネート化合物と混合すること、
前記イソシアネートと前記組成物の混合物をモールドに導入すること、
前記混合物をフォームにしてモールドを充填すること、及び
前記フォームを離型すること
を含む、ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項21】
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、エトキシル化ヒドロキノン、1,4−シクロヘキサンジオール、N−メチルエタノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、4−アミノシクロヘキサノール、1,2−ジアミノエタン、及び2,4−トルエンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1つのものをさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
前記酸は酢酸及びギ酸のうち少なくとも1つを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項23】
i)少なくとも1種のポリエーテルポリオール、少なくとも1種の第三級アミン触媒、少なくとも1種のシリコーン界面活性剤、少なくとも1種の架橋剤、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の気泡開放剤、及び少なくとも1種の気泡開放剤助剤を含む組成物であって、前記少なくとも1種の気泡開放剤は2−シアノアセトアミドを含み、前記少なくとも1種の気泡開放剤助剤はN−メチル−アセトアセトアミド及びN,N−ジメチルアセトアセトアミドのうち少なくとも1つを含む組成物を、トルエンジイソシアネートを含む少なくとも1種のイソシアネートと混合すること、
ii)前記組成物と前記イソシアネートの混合物をモールドに導入してポリウレタンフォームを成形すること、
iii)前記フォームをモールドから取り出すこと
を含み、機械押潰を行うことなく可とう性の開放気泡フォームを製造する、可とう性の開放気泡ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項24】
前記組成物は酢酸及びギ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸をさらに含む、請求項23記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2010年7月9日に出願された出願番号第61/362761号の利益を主張する。出願番号第61/362761号の開示を参照により本明細書中に取り込む。
【背景技術】
【0002】
本発明の主題はフォーム、特に、ポリウレタンフォームの製造に使用される組成物及び方法に関する。
【0003】
可とう性成形フォームは水とイソシアネートとの間の反応(発泡反応)及びアルコールとイソシアネートとの間の反応(ゲル化反応)を触媒することができる第三級アミン化合物を用いて便利に製造される。型込フォーム成形品を製造するある特定の場合には、遅延作用触媒はより便利に使用される。というのは、注入プロセスの間の反応性を遅くする利点があるからである。これらの触媒は有機酸と反応した(又は有機酸でブロックされた)第三級アミンからなる。重合反応の間に熱を放出するので、第三級アミン塩が第三級アミン触媒及び酸に解離し、それにより、フォームを硬化させることができる。このように製造されたフォームは、通常、比較的に高い百分率の独立ポリウレタン気泡が存在することを特徴とし、その寸法安定性が低いために、冷却時にフォームを収縮させる。
【0004】
寸法安定性を維持するために、触媒又は酸でブロックされた触媒を水性系中で気泡開放剤と組み合わせた。米国特許第6,136,876号及び同第6,248,801号明細書は、ポリイソシアネートをウレタン触媒、発泡剤、場合により、シリコーン界面活性剤気泡安定剤及び気泡開放添加剤の存在下にポリオールと反応させる、ポリウレタンフォームの製造方法を開示している。気泡開放添加剤は活性メチレン又はメチン基を含有する物質を含む。気泡開放添加剤はニート液体として送達されても、又は、界面活性剤、水、架橋剤、ポリオール、アミン触媒(1種又は複数種)などの配合物の成分の1つの中に溶解されてもよい。活性メチレン基を含有する気泡開放剤の1つの例は2−シアノアセトアミドである。2−シアノアセトアミドを、配合物中に使用されるポリオール、架橋剤、界面活性剤、アミン触媒(1種又は複数種)又はいずれかの成分の混合物中に調合することの主な欠点は2−シアノアセトアミドの溶解性がない又はごくわずかであることである。あるアミン触媒又は架橋剤はさらに2−シアノアセトアミドと反応して、アンモニアの解放又は着色された製品の形成をもたらすことがある。ポリウレタン配合物中に2−シアノアセトアミドを調合するための唯一の溶媒として水を使用することができる。しかしながら、溶媒として水を使用するときに幾つかの欠点があり、その欠点としてはa)溶解性が低いこと、b)気泡開放効率が低減されること(より多量の気泡開放剤が要求される)、c)フォームが収縮すること、及び、d)再現性が低いことが挙げられる。フォーム収縮を制御するための他の従来の化学的方法は、高レベルの気泡開放剤を要求すること(しばしば1〜5phpという高さ)、及び/又は、フォームの物性に悪影響を及ぼすこと、及び/又は、環境上望ましくない物質を使用すること、及び/又は、ポリウレタンフォーム系に液体の形態で調合することが非常に困難であることなどの欠点がある。
【0005】
可とう性成形ポリウレタンフォームの収縮は、また、機械的押潰しをして、フォーム気泡を開放しそしてフォームの寸法安定性を改良することによって制御されうる。気泡開放のための現在の機械的方法は主として、押潰し、真空破壊又は時間圧解放(time pressure release)からなる。
【0006】
フォーム製品の離型時に、ポリウレタンフォーム気泡の機械的押潰し及び破壊により、フォームを寸法的により安定とすることができる。フォーム気泡を破壊する別の方法は真空押潰しであり、それは仕上がったポリウレタン製品に対して真空に引き、気泡破壊を誘発することを含む。これらの方法の全体の効果はフォーム収縮が低減されることである。
【0007】
サイクル製造時間を低減するなどの他の機械的方法を用いて寸法的に安定なフォームを得た。例えば、4分間と比較して3分間でポリウレタンフォームを離型すると寸法的安定性が劇的に改良される。寸法的に安定なフォームを製造するための別の方法は時間圧解放(TPR)である。TPRは内部圧力を解放するためにプロセスの間にモールドを開放し、その後、硬化時間の間、再閉止することを含む。内部圧力の突然の解放は気泡ウィンドーを破裂させ、それにより、寸法的に安定なフォーム製品を得る。
【0008】
機械的方法は、通常、不完全又は一貫しない気泡開放をもたらし、そして可とう性成形フォームの製造者に追加の機械の投資を要求する。
【0009】
米国特許第3,314,834号明細書は、ジケト化合物はポリウレタンプロペラント中で有効なポットライフ延長剤を形成することを開示している。
【0010】
米国特許第3,635,906号明細書は、特定のキレート形成性化合物はアミン遊離有機スズ硬化速度触媒の存在下に有機ポリイソシアネート及び有機多価ヒドロキシ化合物の間の開始反応を遅延させる効果を有することを開示している。
【0011】
米国特許第4,426,510号明細書は、有機ポリオール、有機ポリイソシアネート、有機亜鉛硬化速度触媒、及び、a)β−ジカルボニル化合物、b)α−ヒドロキシケトン、c)縮合芳香族β−ヒドロキシケトン、及びd)β−ヒドロキシ窒素複素環式縮合芳香族化合物から選ばれる化合物を含む、長時間ポットライフ及び短時間硬化時間を有するコーティングもしくは接着剤組成物を開示している。
【0012】
GB2303372号明細書は機械起泡技術及び金属アセチルアセトネート及びアセチルアセトンを含む触媒系を用いたポリウレタンフォームの製造を開示している。
【0013】
米国特許第4,721,642号明細書はポリイソシアネートの末端−NCO基を、アルコール、フェノール、エチルアセトアセテート、ε−カプロラクタム、MEKオキシム、ジエチルマロネート、アセチルアセトン、シアン酸及びナトリウムビスルフィットなどのブロッキング剤によりブロッキングすることにより形成されるブロックトポリイソシアネートプレポリマーを開示している。ポリウレタン樹脂発泡性ペイントはブロックトポリイソシアネートプレポリマー、添加剤、連鎖延長剤、発泡剤及び乳化剤からなる水性分散体を含む。
【0014】
CA2141809号明細書はHCFC発泡剤及び場合により難燃剤及び/又は酸性である、すなわち、pKa値が0〜10であるキレート化剤を用いた、硬質ポリウレタン、ポリイソシアヌレート及びポリウレタンウレアフォームの製造を開示している。
【0015】
米国特許第3,972,846号明細書はケト化合物、及び、有機脂肪族多官能ポリイソシアネートと活性水素を有する化合物との液体混合物を含む、硬化性ポリウレタン組成物を開示している。
【0016】
米国特許第4,251,635号明細書は発泡前に反応混合物中にケトン又はベンズアルデヒドを含ませることにより、発火しそして燃焼するときに余炎を形成する傾向が低減された可とう性ポリウレタンフォームを開示している。
【0017】
DE1 005 722号明細書はポリオールとポリイソシアネートとの反応がイミン(第一級アミン及びアルデヒド又はケトン又はジケトンの縮合生成物)を添加することにより遅延されうることを開示している。
【0018】
DE2 451 726号明細書はイソシアネート化合物とポリエステルポリオールとの反応を遅くする方法であって、ここで、ポリオールは少なくとも1つのアルデヒド及び/又はケトン及びモノアミンを、アルデヒド又はケトン基:アミノ基のモル比1:0.1〜1で含む、方法を開示している。
【0019】
米国特許第6,136,876号明細書は有機ポリイソシアネートをポリオールと、ウレタン触媒、発泡剤としての水、場合によりシリコーン界面活性剤及び気泡開放剤の存在下に反応させることによる可とう性ポリウレタンフォームの調製方法であって、気泡開放剤は活性メチレン又はメチン基含有化合物を含むことを特徴とする方法を開示している。
【0020】
米国特許第6,248,801号明細書は有機ポリイソシアネートをポリオールと、ウレタン触媒、発泡剤としての水、場合によりシリコーン界面活性剤気泡安定剤及び気泡開放添加剤の存在下に接触させることによる可とう性ポリウレタンフォームの調製方法を開示している。気泡開放添加剤は活性メチレン又はメチン基化合物であって、第三級アミンをも含む。
【0021】
上記の特許及び特許出願の開示を参照により本明細書中に取り込む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明はポリウレタンフォームの製造のための組成物及び方法を提供することによる従来の実施に関連した課題を解決する。本発明はポリウレタンフォームを製造するための、2−シアノアセトアミド、又は活性メチレンもしくはメチン基を含有する類似の分子のための気泡開放剤助剤としてのジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、スルホラン、N−メチル−アセトアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミドならびにヒドロキシル価OH価≦1100を有するグリコールなどの双極性非プロトン性液体の使用の利点に関する。気泡開放剤助剤を使用することの利点は、a)気泡収縮がない(又は実質的にない)こと、b)気泡開放剤の使用量を低減すること、c)フォーム性能の再現性、及び、d)最適物性となることである。さらに、本発明の気泡開放剤及び気泡開放剤助剤とともに酸ブロック化アミン触媒を組み合わせることにより、より腐食性が低い混合物となり、また、気泡開放のための機械押潰しを要求しない方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本開示は広く、寸法的に安定なポリウレタンフォームを製造するための組成物及び方法に関する。本発明の組成物は気泡開放剤、気泡開放剤助剤、第三級アミン触媒及び場合により酸を含む。好適な酸の例としては、イソシアネート反応性基を有する又は有しない単一又は複数の酸基を有する任意の飽和又は不飽和の置換又は未置換の脂肪族基又は芳香族基を含有する任意の有機カルボン酸が含まれる。酸の例としてはギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ピバル酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、ネオドデカン酸、2−エチルヘキサン酸、グリコール酸、グルコン酸、サリチル酸、乳酸、安息香酸、フタル酸、グリコールと無水フタル酸から得られるフタル酸モノエステル、ポリアクリル酸などのポリ酸が含まれる。本発明の方法により、気泡開放剤の効率を最大化し、優れた寸法安定性を付与することによりポリウレタンフォームの製造が可能になる。本方法の利点は、製品をモールドから取り出した後に、フォームを押し潰す必要がないことである。これにより、スクラップを最少化し、高品質の(高寸法安定性)を備えた製品を提供する。また、気泡開放剤助剤を使用すると、要求される有効量の気泡開放剤の量を低減することができる。
【0024】
本発明の1つの態様は少なくとも1種の気泡開放剤、少なくとも1種の気泡開放剤助剤、少なくとも1種の触媒及び場合により酸を含む組成物に関する。
【0025】
本発明の別の態様は、第三級アミン触媒又は酸ブロック化第三級アミン触媒の存在下に本発明の組成物の組み合わせを使用することを含むポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の組成物は活性メチレン又はメチン基を含有する物質を含む気泡開放剤、少なくとも1種の双極性非プロトン性液体を含む気泡開放剤助剤、第三級アミン触媒及び場合により酸、を含む。本発明の方法では、気泡開放剤の効率を改良することによるポリウレタンフォームの製造が可能になり、そして成形フォームの場合に、モールドから製品を取り出した後に従来のフォーム押潰しの工程の必要性が低減され又は無くされる。
【0027】
フォームの調製
当該技術分野で知られている任意の各種フォームは本発明の方法を用いて、通常のポリウレタン配合物に気泡開放剤、気泡開放剤助剤及びアミン触媒を添加したものを用いて製造されうる。例えば、本明細書中に記載された優れた物性を有する可とう性ポリウレタンフォームは、通常、下記の表1に示す成分を示した量で含む。表1に示す成分を下記に詳細に議論する。
【表1】
【0028】
本発明に係るポリウレタン配合物中に使用されるポリイソシアネートの量は限定されないが、通常、それは当業者に知られた範囲内であろう。例示の範囲を表1に示しており、「NCOインデックス」(イソシアネートインデックス)により示している。当該技術分野において知られているとおり、NCOインデックスはイソシアネート当量数を活性水素の合計当量数で割って100を掛けたものと定義される。NCOインデックスは下記式により表される。
NCOindex=[NCO/(OH+NH)]*100
【0029】
可とう性フォームは、通常、約4000〜5000の重量平均分子量及び約28〜35のヒドロキシル価のベースポリオールとともに、フォーム組成物中の全体のポリオール含有分の一部としてコポリマーポリオールを使用する。ベースポリオール及びコポリマーポリオールを本明細書中、下記に詳細に記載する。
【0030】
触媒
本発明の触媒は第三級アミンを含む。第三級アミン触媒は、イソシアネート反応性基を含んでも又は含まなくてもよい。イソシアネート反応性基は第一級アミン、第二級アミン、ヒドロキシル基、アミド又はウレアを含む。イソシアネート反応性基を含む第三級アミン触媒はゲル化及び発泡触媒を含む。例示のゲル化触媒としては、N,N−ビス(3−ジメチルアミノ−プロピル)N−イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルエタノールアミン(DABCO(登録商標)T, Air Products and Chemicals, Inc., Allentown, PA)、Ν,Ν,Ν'-トリメチルアミノプロピルエタノールアミン(POLYCAT(登録商標)17, Air Products and Chemicals, Inc.), N,N−ジメチルエタノールアミン(DABCO(登録商標)DMEA)、N,N−ジメチル−N’,N’−2−ヒドロキシ(プロピル)−1,3−プロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、(N,N−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、メチル−ヒドロキシ−エチル−ピペラジン、ビス(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)アミン(POLYCAT(登録商標)15)、Ν,Ν-ジメチルアミノプロピルウレア(DABCO(登録商標)NE1060, DABCO(登録商標)NE1070)、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)ウレア(DABCO(登録商標)NE1060, DABCO(登録商標)NE1070)、ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール、N−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール及びN−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾールが挙げられる。
【0031】
イソシアネート反応性基を含む例示の発泡触媒としては、2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノール(DABCO(登録商標)NE200)、ジメチルアミノエトキシエタノール及びN,N,N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテル(DABCO(登録商標)NE300)が挙げられる。
【0032】
触媒は、また、高度に揮発性でイソシアネート反応性でない第三級アミンを含むことができる。好適な揮発性ゲル化触媒としては、例えば、ジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)(DABCO 33-LV(登録商標)触媒として市販)、トリス(ジメチルアミノプロピルアミン)(Polycat(登録商標)9)、ジメチルアミノシクロヘキシルアミン(Polycat(登録商標)8)及びビス(ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミン(Polycat(登録商標)77)が挙げられる。好適な揮発性発泡触媒としては、例えば、ビス−ジメチルアミノエチルエーテル(DABCO(登録商標)BL-11触媒として、Air Products and Chemicals, Inc.より市販)、ならびに、ペンタメチルジエチレントリアミン(POLYCAT(登録商標)5, Air Products and Chemicals, Inc.)及び関連組成物、高級パーメチル化ポリアミン、2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノール及び関連構造、アルコキシル化ポリアミン、イミダゾール−ホウ素組成物、又は、アミノプロピル−ビス(アミノ−エチル)エーテル組成物が挙げられる。触媒組成物は、例えば、所望のポリウレタンフォームが可とう性スラブストックである場合に、他の成分、例えば、遷移金属触媒、例えば、有機スズ化合物、スズの塩、有機ビスマス及びビスマス塩を含むことができる。
【0033】
通常、本発明に係るフォームを製造するための非逃散性(non-fugitive)第三級アミン触媒の装填量は0.1〜20pphpの範囲内であり、より通常には、0.1〜10pphp、そして最も通常には、0.1〜5pphpの範囲内である。しかしながら、いかなる有効量を用いてもよい。用語「pphp」はポリオール100部当たりの部を意味する。
【0034】
通常、本発明の気泡開放剤及び気泡開放剤助剤はフォームを製造する前に触媒と調合される。気泡開放剤は活性メチレン又はメチン基を含有する任意の適切な分子、例えば、2−シアノアセトアミド、N−メチルシアノアセトアミド、N−エチルシアノアセトアミド、N−プロピルシアノアセトアミド、N−ブチルシアノアセトアミド、N−ヒドロキシエチル−シアノアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことができる。気泡開放剤助剤は任意の適切な双極性非プロトン性液体、例えば、DMSO、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、スルホラン、N−メチル−アセトアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミドならびにヒドロキシル価OH価≦1100を有するグリコールからなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含むことができる。気泡開放剤の量は、通常、約0.01pphp〜約2.0pphp、より好ましくは0.01pphp〜1.0pphpの範囲であることができる。気泡開放剤助剤は、通常、約0.01pphp〜10pphpであり、より好ましくは0.05pphp〜5pphpである。
【0035】
有機イソシアネート
好適な有機イソシアネート化合物としては、限定するわけではないが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が挙げられる。本発明の1つの態様において、2,4−TDI、2,6−TDI又はその任意の混合物を用いてポリウレタンフォームを製造する。他の好適なイソシアネート化合物は「粗MDI」として商業的に知られているジイソシアネート混合物である。1つの例はPAPIの名称でDow Chemical Companyにより販売されており、約60%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを他の異性体及び類似の高級ポリイソシアネートとともに含む。
【0036】
ポリオール成分
ポリウレタンは有機イソシアネートを、ポリオール、通常にはポリオール混合物中のヒドロキシル基と反応させることにより製造される。反応混合物のポリオール成分は主要又は「ベース」ポリオールを少なくとも含む。本発明での使用に好適なベースポリオールとしては、限定しない例として、ポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)ポリマーなどのポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、及び、ジオール及びトリオールを含む多価アルコールから誘導される末端ヒドロキシル基を有するコポリマーが挙げられる。エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの反応のためのジオール及びトリオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリトリトール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン及び同様の低分子量ポリオールが挙げられる。当該技術分野において知られている他のベースポリオールとしては、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、ヒドロキシ末端アミン及びヒドロキシル末端ポリアミンが挙げられる。これら及び他の好適なイソシアネート反応性材料の例は米国特許第4,394,491号明細書中に見いだされることができ、該明細書を参照により本明細書中に取り込む。好適なポリオールとして、ポリウレタンのゲル化及び発泡反応を触媒することができる第三級アミン基を含むポリオール、例えば、WO 03/016373 A1、WO 01/58976 A1、WO2004/060956 A1、WO03/016372 A1 及びWO03/055930 A1に記載されているポリオールが挙げられ、それらの明細書を参照により本明細書中に取り込む。他の有用なポリオールとしては、ポリアルキレンカーボネートをベースとするポリオール及びポリホスフェートをベースとするポリオールを挙げることができる。
【0037】
本発明の1つの態様において、単一の高分子量ポリエーテルポリオールをベースポリオールとして使用することができる。又は、高分子量ポリエーテルポリオールの混合物、例えば、二官能及び三官能材料及び/又は異なる分子量又は異なる化学組成の材料の混合物を用いることができる。このような二官能及び三官能材料としては、限定するわけではないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロールをベースとするポリエーテルトリオール、トリメチロールプロパンをベースとするポリエーテルトリオール、及び、他の同様の化合物又は混合物が挙げられるが、ただし、それはエステルを含まない。本発明のある実施形態において、エステルを含まないポリオール成分の少なくとも50wt%は1種以上のポリエーテルポリオールからなる。
【0038】
上記のベースポリオールに加えて、又は、その代わりに、一般に「コポリマーポリオール」と呼ばれる材料は本発明に係る使用のためのポリオール成分中に含まれることができる。コポリマーポリオールは、例えば、フォームの耐力特性を改善するために、変形に対するフォームの抵抗力を高めるためにポリウレタンフォーム中で使用することができる。ポリウレタンフォームの耐荷重要件により、コポリマーポリオールは全ポリオール含有分の0〜約80質量%を構成することができる。コポリマーポリオールの例としては、限定するわけではないが、グラフトポリオール及びポリ尿素変性ポリオールが挙げられ、その両方は当該技術分野において知られており、そして市販されている。
【0039】
グラフトポリオールは、出発ポリオール中で、ビニルモノマー、典型的にはスチレン及びアクリロニトリルを共重合させることによって調製される。出発ポリオールは、通常、グリセロール開始トリオールであり、典型的にはエチレンオキシドでエンドキャップされている(約80〜85%第一級ヒドロキシル基)。コポリマーの一部は出発ポリオールの一部にグラフト化する。グラフトポリオールはまた、スチレン及びアクリロニトリルのホモポリマー及び未変性出発ポリオールを含む。グラフトポリオールのスチレン/アクリロニトリル固形分含有量は、通常、5wt%〜45wt%の範囲であるが、当該技術分野において知られている任意の種類のグラフトポリオールを使用することができる。
【0040】
ポリ尿素変性ポリオールは、出発ポリオールの存在下でジアミン及びジイソシアネートを反応させることによって形成され、生成物はポリ尿素分散体を含有する。使用に適するポリ尿素変性ポリオールの別の形態はポリオール中でイソシアネートとアルカノールアミンを現場反応させることによって生成されるポリイソシアネートポリ付加(PIPA)ポリオールである。
【0041】
発泡剤
ポリウレタンフォームの製造は、重合の間にポリウレタンマトリックス中にボイドを生成するために発泡剤を含めることによって支援することができる。当該技術分野で知られている任意の発泡剤を用いてよい。好適な発泡剤としては、発熱重合反応の間に蒸発する低沸点の化合物が挙げられる。このような発泡剤は、一般的に不活性であるか、又は、反応性が低く、したがって、重合反応の間に分解又は反応しないであろう。発泡剤の例としては、限定するわけではないが、二酸化炭素、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、フルオロオレフィン(FO)、クロロフルオロオレフィン(CFO)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、アセトン、及び、低沸点炭化水素、例えば、シクロペンタン、イソペンタン、n−ペンタン及びそれらの混合物が挙げられる。他の好適な発泡剤としては、イソシアネート化合物と反応してガスを生成する、水などの化合物が挙げられる。BAの量は、通常、約0(水発泡)〜80pphpである。水(イソシアネートと反応してCO2を生じることにより、フォームを発泡する)は約0(BAを含むならば)〜約60pphp(非常に低密度のフォーム)の範囲で存在することができ、通常、約1.0pphp〜約10pphp、ある場合には、約2.0pphp〜約5pphpの範囲であることができる。
【0042】
他の任意成分
種々の他の成分は本発明に係るフォームを製造するために配合物中に含まれることができる。任意成分の例としては、限定するわけではないが、気泡安定剤、架橋剤、連鎖延長剤、顔料、充填剤、難燃剤、補助ウレタンゲル化触媒、補助ウレタン発泡触媒、遷移金属触媒及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0043】
気泡安定剤としては、例えば、シリコーン界面活性剤又はアニオン界面活性剤が挙げられる。好適なシリコーン界面活性剤の例としては、限定するわけではないが、ポリアルキルシロキサン、ポリオキシアルキレンポリオール変性ジメチルポリシロキサン、アルキレングリコール変性ジメチルポリシロキサン又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適なアニオン界面活性剤としては、限定するわけではないが、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、スルホン酸塩及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0044】
架橋剤としては、限定するわけではないが、ヒドロキシル基、第一級アミノ基、第二級アミノ基及びイソシアネート基と反応性である他の活性水素含有基から選ばれる少なくとも2つの部分を含む低分子化合物が挙げられる。架橋剤としては、例えば、多価アルコール(特に、グリセロール及びトリメチロールプロパンなどの三価アルコール)、ポリアミン及びそれらの組み合わせが挙げられる。ポリアミン架橋剤の非限定的な例としては、ジエチルトルエンジアミン、クロロジアミノベンゼン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、1,6−ヘキサンジアミン及びそれらの組み合わせが挙げられる。典型的なジアミン架橋剤は12個以下の炭素原子、より一般的には、7個以下の炭素原子を含む。
【0045】
連鎖延長剤の例としては、限定するわけではないが、例えば、グリコール、アミン、ジオール及び水などのヒドロキシル又はアミノ官能基を有する化合物が挙げられる。連鎖延長剤の具体的な非限定的な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、エトキシル化ヒドロキノン、1,4−シクロヘキサンジオール、N−メチルエタノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、4−アミノシクロヘキサノール、1,2−ジアミノエタン、2,4−トルエンジアミン又はそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0046】
顔料は、製造の間のポリウレタンフォームをカラーコードし、例えば、製品のグレードを特定し、又は黄変を隠蔽するために使用されうる。顔料としては、ポリウレタンの技術分野で知られている任意の適切な有機又は無機顔料が挙げられる。例えば、有機顔料又は着色剤としては、限定するわけではないが、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン及びカーボンブラックが挙げられる。無機顔料の例としては、限定するわけではないが、二酸化チタン、酸化鉄又は酸化クロムが挙げられる。
【0047】
充填剤はポリウレタンフォームの密度及び荷重支持特性を増加させるために使用することができる。好適な充填剤としては、限定するわけではないが、硫酸バリウム又は炭酸カルシウムが挙げられる。
【0048】
難燃剤はポリウレタンフォームの可燃性を低減するために用いることができる。例えば、好適な難燃剤としては、限定するわけではないが、塩素化リン酸エステル、塩素化パラフィン又はメラミン粉末が挙げられる。
【0049】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を説明するために提供されており、添付の特許請求の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0050】
自由起泡及び型込フォームにおいて従来の酸ブロック化又は非ブロック化第三級アミン触媒を用いた気泡開放剤及び気泡開放剤助剤を評価するために用いたTDIをベースとするポリウレタンフォーム配合物を示す。フォームパッドを加熱されたモールドから取り出し、室温に冷却して寸法安定性(収縮)をモニターした。
【0051】
ハンドミックス評価
以下の手順を用いてハンドミックス実験を行った。5000rpmで回転している、7.6cm直径の高剪断混合ブレードを備えた機械式ミキサーを用いて約10分間配合物をブレンドした。予備混合した配合物を、低温インキュベーターを用いて23℃±1℃に維持した。Mondur TD-80(トルエンジイソシアネートの80/20 2, 4/2, 6異性体ブレンド)又は変性MDIを、各フォームの報告したインデックスに対して正確な化学量論量で予備混合物に添加した。混合物をPremier Mill Corporation Series 2000, Model 89でブレンドし、約5秒間分散させた。発泡性混合物をImperial Bondware #GDR-170紙バケットに移し、そして自由起泡させ、その間、データを記録した。
【0052】
機械の評価
可とう性の成形フォームの機械操作を、Hi Tech Sure Shot MHR-50シリンダー変位シリーズ及び高圧機械で行った。各配合物について、適切なポリオール、水、架橋剤、界面活性剤及び触媒からなる新鮮な予備混合物を機械に装填した。Mondur TD-80を全試験をとおして使用した。すべての化学物質の温度を機械内部温度制御ユニットにより23℃±2℃に維持した。フォームの注入を63±2℃に維持された等温的に制御された加熱されたアルミニウムモールド中に行った。モールドは典型的な物性のツールであり、40.6cm×40.6cm×10.2cmの内部寸法で設計された。モールドは5個のべントを有し、各々直径約1.5mmであり、各縁から10.0cmで各コーナーを中心とし、そして蓋の幾何的中心にある。毎回の注入の前にモールドに溶剤系離型剤をスプレイし、注入の前に、1分間乾燥させた。モールドを完全に充填しそして報告された所望のコア密度を得ることができる湿潤化学物質装填重量でモールドの中心にフォーム予備混合物をパドル注入した。評価される各配合物について最少充填要求量を満たした。フォーム製品を初期注入の240秒(4分)後に離型した(次の段落に詳細に示す)。離型時に、フォームを機械押潰器を通し又は押潰力(FTC)について試験し、又は、冷却し、寸法安定性を決定した(下記に詳細に説明する)。
【0053】
2.54cmのギャップに設定したBlack Brothers Rollerクラッシャーを用いて、各触媒セットのフォームを、離型の1分後に機械的に押潰した。各フォームがローラーを通過した後にフォームを90°回転して、各物品に対して押潰しを3回行った。物理的試験のために製造したすべての物品を少なくとも7日間、一定温度及び湿度(23±2℃、50±2%の相対湿度)の室内で状態設定した。
【0054】
FTC測定を離型45秒後に実施した。パッドをモールドから取り出し、秤量し、FTC装置中に入れた。力検知デバイスは323cm2円板のクロスヘッドと駆動シャフトとの間に取り付けられた2.2kg容量の圧力トランスデューサを装備している。実際の力がデジタルディスプレイに表示される。このデバイスは、ASTM D−3574、Indentation Force Deflection実験を模倣しており、離型したばかりの初期硬度又は柔軟性の数値を提供する。パッドを275mm/分のクロスヘッド速度で初期厚の50%に圧縮し、最高の圧縮サイクルを達成するために必要な力をニュートンで記録した。10回の圧縮サイクルを完了した。サイクルが完了するのに約30秒かかる。
【0055】
例1
気泡開放剤の使用量を最少化するための気泡開放剤助剤の使用
32オンス(951ml)の紙コップ中で約302gの予備混合物(表2のように調製した)に、第三級アミン触媒を添加することによってフォームパッドを調製した。配合物を、2インチ(5.1cm)直径の撹拌パドルを装備したオーバーヘッド攪拌機を用いて約6,000RPMで約10秒間混合した。
【0056】
その後、トルエンジイソシアネートを添加し、配合物を同一の攪拌機を使用して約6,000RPMでさらに約6秒間よく混合し、その後、70℃で予熱したモールドに注入し、4分後に離型した。フォームパッドをモールドから取り出し、手で押し潰し、秤量し、75%のパッド厚で機械押潰した。フォームパッドを冷却し、収縮が生じるかどうかを観察することによって寸法安定性(フォーム収縮)を評価した。フォームパッドを切断する前に48時間一定の温度及び湿度条件下で保存し、そして試験した。
【表2】
【0057】
表3中のカラム1及び2は、気泡開放剤助剤の非存在下に、2−シアノアセトアミド量が≦0.045PPHPであるときに、不安定なフォームを生じることを示す。2−シアノアセトアミドの0.03pphpの存在下で、気泡開放剤助剤として2−メチルプロパンジオール(MP−ジオール)、ジプロピレングリコール及びジエチレングリコールなどのジオールを使用するときにも低い寸法安定性を観察した。しかしながら、DMSO、DMI、スルホラン、PEG−200、MMAA及びDMAAなどの助剤を使用すると、2−シアノアセトアミドを0.030pphpで使用したときに、それを有効な気泡開放剤とするのを助けた。このように、気泡開放剤助剤を使用したときに、使用量を30%削減した。
【表3】
【0058】
例2
気泡開放剤の使用量を最少化するための気泡開放剤助剤の使用
表4は、ペンタメチルジエチレントリアミン発泡触媒及びトリエチレンジアミンゲル化触媒の存在下に2−シアノアセトアミドを使用したときの結果を示す。上記に示したように、気泡開放剤助剤として2−メチルプロパンジオール(MP−ジオール)、ジプロピレングリコール及びジエチレングリコールなどの典型的なジオールを使用するときに、低い寸法安定性を観察した。最良の寸法安定性はPEG−200、DMSO、DMI及びスルホランを使用したときに観測された。
【表4】
【0059】
例3
気泡開放剤の使用量を最少化するための気泡開放剤助剤の使用
表5は、溶媒助剤の混合物が気泡開放剤の性能の改良にどのように寄与するかを示している。極性非プロトン性溶媒(例えば、DMSO及びプロピレンカーボネート)を使用すると、寸法安定なフォームを提供するのを助けた。他方、ジエチレングリコールの導入では、フォーム収縮がもたらされた。
【表5】
【0060】
例4
気泡開放剤の使用量を最少化するための気泡開放剤助剤の使用
表6は、気泡開放剤助剤は非酸ブロック化アミン触媒を用いたときに2−シアノアセトアミドに対して同様の効果を有し、上述の例で記載したのと同一の結果を生じることを示す。
【表6】
【0061】
特定の態様又は実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更がなされそしてその要素を同等物で置換することができることを当業者は理解するであろう。さらに、多くの変更は本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に適合されうる。それゆえ、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、本発明は添付の特許請求の範囲内に含まれるすべての実施形態を包含することが意図される。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)少なくとも1種の気泡開放剤、少なくとも1種の気泡開放剤助剤、少なくとも1種の触媒、及び、場合により、酸、を含む組成物。
(付記2)前記気泡開放剤助剤は少なくとも1種の双極性非プロトン性液体を含む、付記1記載の組成物。
(付記3)前記液体はDMSO、DMI、スルホラン、N−メチル−アセトアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、及び、ヒドロキシル価OH価≦1100を有するグリコールからなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含む、付記2記載の組成物。
(付記4)前記気泡開放剤は活性メチレン基又はメチン基を含む分子を含む、付記1記載の組成物。
(付記5)前記気泡開放剤は2−シアノアセトアミドを含む、付記4記載の組成物。
(付記6)前記触媒は少なくとも1種の第三級アミン触媒を含む、付記1記載の組成物。
(付記7)少なくとも1種のポリオールをさらに含む、付記1記載の組成物。
(付記8)前記ポリオールはポリエーテルポリオールを含む、付記7記載の組成物。
(付記9)少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む、付記1記載の組成物。
(付記10)少なくとも1種のシリコーン界面活性剤をさらに含む、付記9記載の組成物。
(付記11)前記酸はイソシアネート反応性基を有する又は有しない単一又は複数の酸基を有する任意の飽和又は不飽和の置換又は未置換の脂肪族基又は芳香族基を含有する有機カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含む、付記1記載の組成物。
(付記12)前記酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ピバル酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、ネオドデカン酸、2−エチルヘキサン酸、グリコール酸、グルコン酸、サリチル酸、乳酸、安息香酸、フタル酸及びフタル酸モノエステルからなる群より選ばれる少なくとも1つのものを含む、付記1記載の組成物。
(付記13)前記酸はギ酸を含む、付記12記載の組成物。
(付記14)前記酸は酢酸を含む、付記12記載の組成物。
(付記15)第三級アミン触媒又は酸ブロック化第三級アミン触媒の存在下に付記1記載の組成物の組み合わせを使用することを含む、ポリウレタンフォームの製造方法。
(付記16)フォーム内の気泡を開放するための機械押潰を行うことなくポリウレタンフォームを成形することをさらに含む、付記15記載の方法。