特許第6154012号(P6154012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154012
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】シャンプー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20170619BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20170619BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20170619BHJP
   A61K 8/45 20060101ALI20170619BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170619BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61Q5/02
   A61K8/42
   A61K8/45
   A61K8/34
   A61K8/46
【請求項の数】4
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-523895(P2015-523895)
(86)(22)【出願日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2014058938
(87)【国際公開番号】WO2014208162
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-134883(P2013-134883)
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】大沼 克典
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−155214(JP,A)
【文献】 特開2006−316035(JP,A)
【文献】 特開2007−84482(JP,A)
【文献】 特開2005−119985(JP,A)
【文献】 特開2008−255110(JP,A)
【文献】 特開平9−291017(JP,A)
【文献】 特表平6−504781(JP,A)
【文献】 特表平4−502636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(A1)脂肪酸グリコールエステル、(A2)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1〜5のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミド、(A3)プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、イソプレングリコール、及びソルビットから選択される少なくとも1種である多価アルコール、(A4)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び(A5)水からなり、前記(A1)成分と前記(A2)成分との質量比A1/A2が0.5〜4であり、前記(A1)成分及び前記(A2)成分と前記(A3)成分との質量比(A1+A2)/A3が20〜100であるパール化剤分散液と、
(B)前記(A4)成分を含む硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤と、を含有することを特徴とするシャンプー組成物。
【請求項2】
(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルの融点が、61℃〜63℃である請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項3】
(A)成分の多価アルコールのIOB値が、1.8〜3.3である請求項1から2のいずれか記載のシャンプー組成物。
【請求項4】
(A1)成分の含有量が0.75質量%〜3質量%であり、
(A2)成分の含有量が0.75質量%〜3質量%であり、
(A3)成分の含有量が0.03質量%〜0.2質量%である請求項1から3のいずれかに記載のシャンプー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シャンプー等にパール光沢を付与して商品価値を高める技術が広く行われており、シャンプー等にパール光沢を付与するための分散液の製造方法(例えば、特許文献1及び2参照)、パール光沢を有するシャンプー組成物及びその製造方法(例えば、特許文献3〜5参照)の技術が知られている。
このようなパール光沢を有するシャンプー組成物においては、長期保存や高温環境下において、該パール光沢の安定性やパール化剤粒子の分散均一性が失われるという問題がある。前記問題を解決するため、例えば、増粘したアニオン界面活性剤の水性系にイソプレングリコールを添加して、前記パール化剤を安定に分散させる方法(特許文献6参照)、キサンタンガムとカチオン系ポリマーとを含有させる方法(特許文献7参照)、パール化剤と共に、3−アルキル(C10〜20)オキシ−2−ヒドロキシプロピルアルギニン及び/又はその塩を含有させる方法(特許文献8参照)、パール化剤が懸濁した水性液に、該パール化剤よりも、エステルを構成する脂肪酸の炭素数が大きいものの比率が高いパール化剤を溶融して、添加した後冷却しパール化剤を析出させる方法(特許文献9参照)、特定の水溶性ポリマーを添加し、特定の製造方法にてパール化剤を結晶化させるシャンプー組成物(特許文献10参照)などが提案されている。
【0003】
一方、シャンプー組成物に、パール化剤を多量に配合すると、シャンプーの泡立ちや泡性能を低下させることがある。この問題に対して、例えば、カチオン性ポリマー水溶液に対し、別途調製されたパール化剤としての長鎖脂肪酸グリコールエステル分散液を添加し、プレミックスを調製した後、その他の洗浄剤成分に前記プレミックスを混合する方法が提案されている(特許文献11参照)。
また、シャンプー組成物中のパール化剤は泡立ちのみならず、シャンプー後の毛髪感触に影響することも知られており、特定の組成のパール光沢組成物から得られた特定の粒径のパール光沢粒子を含有する洗浄剤組成物は、毛髪のボリュームが低下せずに毛髪の滑り性が向上することが開示されている(特許文献12参照)。
【0004】
しかしながら、パール化剤をシャンプー組成物中に分散させ良好な光沢感を発現し、高温条件下の保存においても安定なパール光沢が得られ、パール化剤の分散均一性が持続すると共に、シャンプーすすぎ時の感触、及びシャンプー後毛髪乾燥中のスタイリングのしやすさが良好なシャンプー組成物は提供されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−25906号公報
【特許文献2】特開2003−155214号公報
【特許文献3】特公昭44−671号公報
【特許文献4】特開平4−244009号公報
【特許文献5】特開平4−26614号公報
【特許文献6】特開平7−188693号公報
【特許文献7】特開平11−228383号公報
【特許文献8】特開2002−121131号公報
【特許文献9】特開2004−67641号公報
【特許文献10】特開2006−316035号公報
【特許文献11】特開2004−83480号公報
【特許文献12】特開2010−53037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、良好な光沢感を発現し、高温条件下の保存においても安定なパール外観を有し、分散均一性が持続すると共に、すすぎ時の感触、及びシャンプー後毛髪乾燥中のスタイリングのしやすさが良好なシャンプー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としての本発明のシャンプー組成物は、
(A)(A1)脂肪酸グリコールエステル、(A2)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1〜5のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミド、(A3)多価アルコール、(A4)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び(A5)水からなり、前記(A1)成分と前記(A2)成分との質量比A1/A2が0.5〜4であり、前記(A1)成分及び前記(A2)成分と前記(A3)成分との質量比(A1+A2)/A3が20〜100であるパール化剤分散液と、
(B)前記(A4)成分を含む硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤と、を含有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、良好な光沢感を発現し、高温条件下の保存においても安定なパール外観を有し、分散均一性が持続すると共に、すすぎ時の感触、及びシャンプー後毛髪乾燥中のスタイリングのしやすさが良好なシャンプー組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1で得られたシャンプー組成物中のパール化剤結晶物(パール光沢粒子)の位相差顕微鏡写真である。
図2図2は、比較例4で得られたシャンプー組成物中のパール化剤結晶物(パール光沢粒子)の位相差顕微鏡写真である。
図3図3は、比較例6で得られたシャンプー組成物中のパール化剤結晶物(パール光沢粒子)の位相差顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(シャンプー組成物)
本発明のシャンプー組成物は、(A)(A1)脂肪酸グリコールエステル、(A2)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1〜5のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミド、(A3)多価アルコール、(A4)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び(A5)水からなるパール化剤分散液と、(B)前記(A4)成分を含む硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤と、を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0011】
本発明においては、前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルは、一般的にシャンプー組成物中に結晶物として分散することにより、光沢感をシャンプー組成物に付与することができる。前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルを融解し、前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルの融点以上に保持した界面活性剤水溶液中に分散混合したものを、冷却することにより、前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステル結晶物のパール化剤分散液を調製することができる。得られた(A)成分のパール化剤分散液を、前記(B)成分である硫酸塩型アニオン性界面活性剤を含有する各種成分混合溶液に、シャンプー中の(A1)成分の脂肪酸グリコールエステル濃度が所定濃度になるように添加することによりパール外観が付与されたシャンプー組成物を調製することができる。
【0012】
<(A)パール化剤分散液>
前記(A)成分のパール化剤分散液は、(A1)脂肪酸グリコールエステル、(A2)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1〜5のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミド、(A3)多価アルコール、(A4)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び(A5)水からなる。
【0013】
−(A1)脂肪酸グリコールエステル−
前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルとしては、パール光沢感及び保存安定性の点から、脂肪酸のアルキル鎖長は、14〜22の直鎖が好ましく、18〜22がより好ましい。具体的には、エチレングリコールジミリステート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジベヘニレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、パール光沢感の点から、エチレングリコールジステアレートがより好ましい。
【0014】
前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルの融点は、パール光沢感の点から、59℃〜70℃が好ましく、61℃〜63℃がより好ましい。前記融点が、70℃を超えると、パール光沢感が十分に発現しないことがあり、またパール化剤分散液の安定性が劣化することがある。一方、前記融点が、59℃未満であると、パール外観の保存安定性が低下することがある。
前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルの融点は、「医薬部外品原料規格2006(薬事日報社)」一般試験法70.融点測定法.第1法に記載された方法を参照して測定することができる。
【0015】
前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルとしてのエチレングリコールジステアレートとしては、市販品を用いることができる。前記エチレングリコールジステアレートの市販品としては、例えば、Genapol PMS(融点:63℃、クラリアント社製)、Cutina AGS−T(融点:63℃、BASF社製)、Tegin G1100(融点:61.4℃、Evonik社製)、Tegin EGS(融点:69.2℃、Evonik社製)などが挙げられる。これらの中でも、パール光沢感の点から、Tegin G1100(融点:61.4℃、Evonik社製)Genapol PMS(融点:63℃、クラリアント社製)、Cutina AGS−T(融点:63℃、BASF社製)が好ましい。
【0016】
前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルの含有量としては、パール光沢感とシャンプー後のスタイリングのしやすさの点から、前記シャンプー組成物全量に対して、0.5質量%〜5質量%が好ましく、0.75質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、前記シャンプー組成物に十分なパール光沢を付与することができないことがあり、5質量%を超えると、シャンプー組成物中での分散安定性が悪化したり、シャンプー使用後のスタイリングのしやすさが劣化することがある。
【0017】
−(A2)ポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミド−
前記(A2)成分のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドは、前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルの分散剤として機能する成分である。
前記(A2)成分のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドは、パール光沢感、分散安定性、シャンプー時のすすぎ時のなめらかさ、及びスタイリングのしやすさの点から、脂肪酸の炭素数は9〜17の飽和又は不飽和炭化水素基が好ましく、エチレンオキサイド(E.O.)の平均付加モル数が1〜5であることが好ましい。パールの光沢感、保存安定性の点から、脂肪酸の炭素数は11〜13、エチレンオキサイド(E.O.)の平均付加モル数は、1〜2がより好ましい。
前記脂肪酸の炭素数が、9未満であると、パールの光沢感が悪くなり、17を超えると、パール化剤分散液の安定性が低下することがある。また、前記エチレンオキサイド(E.O.)の平均付加モル数が1未満であると、パールの光沢感が悪くなるとともに、シャンプー組成物を使用した後のすすぎ時のなめらかさ、スタイリングのしやすさが劣化し、5を超えると、パール光沢感が発現することなく、シャンプー組成物中の保存安定性が悪化することがある。
【0018】
具体的には、例えば、ポリオキシエチレン(1)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(4)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(5)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性の点から、ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(1)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドが好ましく、パール光沢感の点から、ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタノールアミドがより好ましい。
前記(A2)成分のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドとしては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、川研ファインケミカル株式会社製の商品名「アミゼット」シリーズ、などが挙げられ、ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタノールアミド(アミゼット2L−Y)、ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(アミゼット2C)、ポリオキシエチレン(5)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(アミゼット5C)であり、ポリオキシエチレン(1)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(Norfox DGCA、Norman,Fox&Co社製)、ポリオキシエチレン(4)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(Empilan MAA、Albright & Wilson UK Limited製)などが挙げられる。
【0019】
前記(A2)成分のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミドの含有量は、パール光沢感やシャンプー組成物の使用感の点から、前記シャンプー組成物全量に対して、0.5質量%〜5質量%が好ましく、0.75質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルを十分に分散できず、パール光沢感が悪くなることがある。一方、前記含有量が、5質量%を超えると、すすぎ時のなめらかさが損われたり、シャンプー後のスタイリングのしやすさが劣ることがある。
【0020】
−質量比A1/A2−
前記(A1)成分の含有量と前記(A2)成分の含有量との質量比A1/A2は、パール光沢感とシャンプー時のすすぎ時のなめらかさ、スタイリングなめらかさの点から、0.5〜4であり、0.75〜2が好ましい。前記質量比A1/A2が、0.5未満であると、パール光沢感が得られないことがあり、4を超えると、パール光沢感が十分でなく、シャンプー組成物のすすぎ時のなめらかさ、及びシャンプー後のスタイリングのしやすさが劣ることがある。
【0021】
前記(A1)成分と前記(A2)成分の合計含有量は、パール光沢感及び使用感の点から、前記シャンプー組成物全量に対して、1.4質量%〜8質量%が好ましく、1.5質量%〜4.5質量%がより好ましい。この範囲内において、シャンプー組成物のパール光沢感、及び分散安定性が良好である。また、シャンプー組成物を毛髪に塗布し泡立てた後にすすいでいる時のなめらかさ、シャンプー後のスタイリングのしやすさが良好である。前記合計含有量が、1.4質量%未満であると、十分なパール光沢が得られないことがあり、8質量%を超えると、すすぎ時のなめらかさが損われたり、シャンプー後のスタイリングのしやすさが劣ることがある。
【0022】
−(A3)多価アルコール−
前記(A3)成分の多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビット、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールの中でも、保存安定性とシャンプー組成物の使用感の点から、IOB値が1.8〜4が好ましく、1.8〜3.3がより好ましい。具体的には、プロピレングリコール(IOB値:3.3)、ジプロピレングリコール(IOB値:1.8)、ヘキシレングリコール(IOB値:1.8)、1,3−ブチレングリコール(IOB値:2.5)、イソプレングリコール(IOB値:2.0)、ポリエチレングリコール400(IOB値:2.3)が好ましい。前記IOB値が、1.8未満であると、パール光沢感が良好でなく、パール化剤の保存安定性が好ましくないことがあり、4を超えると、前記パール化剤分散液を配合したシャンプーの保存安定性が劣化したり、すすぎ時のなめらかさやスタイリングのしやすさが好ましくないことがある。
【0023】
ここで、前記IOB値とは、有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、即ち、「無機性値(IV)/有機性値(OV)」をいう。前記有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細については、「Pharmaceutical Bulletin」,1954,vol.2,2,p.163−173、「化学の領域」,1957,vol.11,10,p.719−725、「フレグランスジャーナル」,1981,vol.50,p.79〜82等で説明されている。即ち、全ての有機化合物の根源をメタン(CH)とし、他の化合物は全てメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、変態部、環等にそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値、無機性値を求め、この値を、有機性値をX軸、無機性値をY軸にとった図上にプロットしていくものである。この有機概念図は、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984)等にも示されている。
【0024】
前記(A3)成分の多価アルコールの含有量は、パール外観、シャンプー組成物の保存安定性、及びすすぎ時のなめらかさの点から、前記シャンプー組成物全量に対して、0.02質量%〜0.5質量%が好ましく、0.03質量%〜0.2質量%がより好ましい。前記含有量が、0.02質量%未満であると、前記(A1)成分の脂肪酸グリコールエステルの均一分散性が悪化することがあり、シャンプー組成物の保存安定性及びすすぎ時のなめらかさが悪くなることがある。一方、前記含有量が、0.5質量%を超えると、パール感が十分に発現しないことがある。
【0025】
−質量比(A1+A2)/A3−
前記(A1)成分及び前記(A2)成分と前記(A3)成分との質量比(A1+A2)/A3は、20〜100であり、30〜75が好ましい。この範囲内であれば、シャンプー組成物のパール光沢感、及び保存安定性が良好であり、シャンプー組成物の泡立てた後のすすぎ時のなめらかさ、シャンプー洗髪後のスタイリングのしやすさが良好である。
前記質量比(A1+A2)/A3が、20未満であると、良好なパール光沢感が得られないことがあり、100を超えると、パール化剤の保存安定性が劣化し、シャンプー組成物のすすぎ時のなめらかさ、洗髪後のスタイリングのしやすさが良好でないことがある。
【0026】
−(A4)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩−
前記(A4)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、前記(A1)脂肪酸グリコールエステル等の分散性を更に高めることができる。後述する(B)成分におけるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩と同じものを用いることができる。前記(A4)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量は、パール化剤分散液全量に対して、0.5質量%〜5質量%が好ましく、1質量%〜3質量%がより好ましい。
なお、前記(A4)成分のシャンプー組成物における含有量は、後述する(B)成分の硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤に含まれる前記(A4)成分との含有量と合計した値である。
【0027】
−(A5)水−
前記(A5)成分の水としては、例えば、イオン交換水、精製水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。前記(A5)成分の水の(A)成分中の含有量としては、パール化剤分散液全量に対して、パール光沢感、及びパール分散剤の保存(分離)安定性の点から、30質量%〜90質量%が好ましく、45質量%〜85質量%がより好ましい。前記含有量が、90質量%を超えると、パール光沢感が十分でない場合があり、30質量%未満であると、パール化剤の保存(分離)安定性が好ましくなかったり、シャンプーすすぎ時のなめらかさが劣化することがある。
【0028】
本発明において、前記(A)成分のパール化剤分散液の含有量は、前記シャンプー組成物全量に対して、3質量%〜25質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。前記含有量が、3質量%未満であると、パール光沢感、及びパール化剤の安定性が劣ることがあり、25質量%を超えると、シャンプー後のスタイリングのしやすさが悪くなることがある。
【0029】
<(B)硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤>
前記(B)成分の前記(A4)成分を含む硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤は、適度な泡を形成し、かつ毛髪に付着した汚れを除去する洗浄基剤となる成分である。
前記(B)成分の前記(A4)成分を含む硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、グリセライド硫酸塩、アミドエーテル硫酸塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、下記一般式(B1)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、下記一般式(B2)で表されるアルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩が好ましく、下記一般式(B1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
O(CHCHO)mSOM ・・・ 一般式(B1)
〔ただし、前記一般式(B1)中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アンモニウム、又はアルカノールアミンを示し、mは平均付加モル数で1〜5の数を示す。〕
【0030】
OSOM ・・・ 一般式(B2)
〔ただし、前記一般式(B2)中、Rは炭素数10〜18のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アンモニウム、又はアルカノールアミンを示す。〕
前記一般式(B1)及び(B2)において、R、Rは、具体的には、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、などが挙げられる。
Mとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンなどが挙げられる。
【0031】
また、前記シャンプー組成物中での溶解安定性と良好なすすぎ時のなめらかさを両立する観点から、前記一般式(B1)中のR、及び前記一般式(B2)中のRは、炭素数12〜16のアルキル基が好ましい。具体的には、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基が好ましく、ラウリル基がより好ましい。
また、すすぎ時のなめらかさの点から、前記一般式(B1)中のmは、2〜3が好ましい。
前記一般式(B1)及び(B2)中のMは、洗髪後のすすぎ時のなめらかさの点から、ナトリウム又はアンモニウムが好ましい。
【0032】
前記(B)成分の硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩として、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエ−テル硫酸ナトリウムである「Texapon N28L」(BASF社製)、「シノリンSPE−1250」(新日本理化社製)、「Pepmacol 2 SLES 70」(PEPMACO社製)、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエ−テル硫酸アンモニウムである「Texapon ALES70」などが挙げられる。アルキル硫酸塩の例として、ラウリル硫酸アンモニウムである「Texapon ALS70」(BASF社製)、ラウリル硫酸ナトリウムである「Texapon K12」(BASF社製)などが挙げられる。これらの中でも、すすぎ時のなめらかさの点から、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸アンモニウムが好ましい。なお、( )内はエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
【0033】
前記(B)成分の硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤の含有量は、泡立ち、使用時の液性、及び洗浄性の点から、前記シャンプー組成物全量に対して、5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がより好ましく、12質量%〜20質量%が更に好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、すすぎのなめらかさが悪くなってしまうことがあり、30質量%を超えると、粘性が高く、すすぎ時なめらかさも悪化してしまい、所望とする性能が発現されないことがある。
なお、前記(B)成分の硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤の含有量は、パール化剤分散液中の(A4)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量を合計した値である。
【0034】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般のシャンプー組成物に汎用されている各種添加成分などが挙げられる。
前記その他の成分の具体例としては、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素;イソプロピルミリステート等のエステル;ツバキ油、アーモンド油、ホホバ油等の植物油;メチルポリシロキサン等のシリコーン化合物;シラカバエキス等の植物エキス;ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活性剤;ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロヒドロキシスルホピルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド等の両性界面活性剤;没食子酸誘導体;グリシン、セリン、アルギニン等のアミノ酸;ピロリドンカルボン酸又は塩、生薬、ビタミン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸等の消炎剤;ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン等のフケ止め剤;イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン等の殺菌剤;タール色素;オキシベンソン、メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル等の紫外線吸収剤;ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;グリセリン、トリメチルグリシン等の保湿剤;水、エタノール等の溶剤;アクリル酸系ポリマー、アクリレート/ステアレス−20メタクリレート共重合体等のアニオン性ポリマー;ビニルピロリドン系ポリマー等のノニオン性ポリマー;塩化ジアリルジメチルアンモニウム/アクリル酸等の両性ポリマー;カチオン化セルロース等のカチオン性ポリマー;無水シリカ、マグネシアシリカ等の無機粉体;ナイロン、ポリエチレン等の有機粉体;香料;クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリコール酸等のpH調整剤;アシルグルタミン酸トリエタノールアミン等のアミン類;安息香酸ナトリウム等の防腐剤;ヒドロキシエタンジホスホン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸2ナトリウム等の安定化剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記シリコーン化合物としては、特に制限はなく、通常シャンプー組成物に使用されているものの中から適宜選択することができ、例えば、ジメチルポリシロキサン(高重合ジメチルポリシロキサン、シリコーンゴムを含む)、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーン、べタイン変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、シリコーングラフトポリマー、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーンが好ましい。
【0036】
前記カチオン性ポリマーとしては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化トリメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウム・アクリル酸・メチルアクリレート三元共重合体、塩化トリメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウム・アクリル酸・アクリルアミド三元共重合体、塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド共重合体、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、などが挙げられる。
【0037】
<パール光沢粒子の平均粒子径(個数平均長径)>
前記パール化剤粒子(結晶物)の平均粒子径(個数平均長径)は、パ−ル外観、パール光沢性、すすぎ時のなめらかさの点から、6μm〜11μmが好ましく、7μm〜10μmがより好ましい。
前記平均粒子径が、6μm未満であると、パール光沢感が十分に発現せず、パール化剤の保存(分離)安定性が劣ることがある。一方、11μmを超えると、パール化剤の保存(分離)安定性が劣ったり、すすぎ時のなめらかさ及びスタイリングのしやすさが劣化することがある。
前記平均粒子径は、シャンプー組成物をスライドガラス上に滴下し、位相差顕微鏡(オリンパス社製、AX70)を用い、400倍で観察し、結晶として確認されるパール化剤粒子の長径を無作為に50点測定し、得られる平均値を結晶の平均粒子径(個数平均長径)とした。
【0038】
<pH>
前記シャンプー組成物のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、5.0〜6.0が好ましい。
前記pHは、例えば、前記シャンプー組成物をpHメーター(HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて25℃で測定することができる。
前記シャンプー組成物のpHは、所望のpH調整剤を用いて調整することができる。前記pH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸、コハク酸、硫酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン、これらの塩などが挙げられる。
【0039】
<粘度>
前記シャンプー組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、1Pa・s〜30Pa・sが好ましい。
前記粘度は、例えば、粘度計(BM型粘度計、TOKIMEC社製)を用い、No.4ローターにて、30rpm、20秒間後、25℃の条件で測定することができる。
【0040】
<用途>
前記シャンプー組成物は、パール光沢外観を示し保存安定性が良好であり、すすぎ時の毛髪になめらかさを付与することができ、洗髪後のスタイリングのしやすさをもたらすことができるため、各種用途に用いることができ、例えば、地肌クレンジング用シャンプー、ダメージケア用シャンプー、コンディショニングシャンプー、リンスインシャンプー、マイルドシャンプー、頭皮ケアシャンプー、ふけ防止シャンプーなどが挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の実施例において特に明記のない場合は、該成分のシャンプー組成物中の質量%で、パール化剤分散液以外は純分換算値を示す。例えば、シリコーン分65質量%のジメチルポリシロキサンエマルションを3.1質量%用いた場合の純分換算値は、2.0質量%で、表記した。
【0042】
(実施例1〜29及び比較例1〜13)
<パール化剤分散液の製造方法>
表1〜表9に示す(A1)成分のエチレングリコールジステアレート、(A2)成分のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミド、及び(A3)成分の多価アルコールを所定量、80℃にて混合分散した。続いて、(A4)成分のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、並びに(A5)成分の精製水を加えて混合分散した後、混合物と同量の40℃精製水に攪拌しながら徐々に添加し、均一に分散混合した。ここで、攪拌は、スリーワンモータ(HEIDEN社製、FBL1200)とプロペラ羽根を使用して混合分散した。
次いで、得られた分散混合物を約0.5℃/分間の冷却速度でパドルミキサを用いて攪拌しながら、分散混合槽内を25℃まで冷却し、エチレングリコールジステアレートのパール化剤分散液を得た。
そして、10時間後に、以下のシャンプー組成物を調製するために使用した。
【0043】
<シャンプー組成物の調製法>
下記表1〜表9に記載の(B)成分、及びその他の成分を、予め25℃で30分間攪拌混合した。前記調製したパール化剤(ジステアリン酸エチレングリコール)分散液を、全組成中の(A1)成分のパール化剤(ジステアリン酸エチレングリコール)が所定量になるように添加した。例えば、シャンプー組成物中のパール化剤濃度が1.25質量%である場合は、実施例1の13質量%パール化剤分散液を9.6質量%添加した。(A1)、(A2)、及び(A3)成分は、上段にパール化剤分散液中の含有量、下段にシャンプー組成物全量中の含有量を記載した。前記パール化剤分散液には、(A4)成分のポリオキシエチレンラウリンエーテル硫酸塩0.2質量%(全シャンプー組成換算)含有する計算になるが、実施例における(B)成分の含有量は、パール化剤分散液中からの添加量との合算量として記載した。ただし、少数点第3位を四捨五入した。
パール化剤分散液添加後、十分攪拌の後、クエン酸でpHを5.8に調整し、実施例1〜29及び比較例1〜13のシャンプー組成物を作製した。
なお、実施例1で得られたシャンプー組成物中のパール化剤結晶物の位相差顕微鏡写真を図1、比較例4で得られたシャンプー組成物中のパール化剤結晶物の位相差顕微鏡写真を図2、比較例6で得られたシャンプー組成物中のパール化剤結晶物の位相差顕微鏡写真を図3に示した。
【0044】
次に、得られた各シャンプー組成物について、「パール光沢感」、「保存安定性(パール外観)」、「保存安定性(液分離)」、「すすぎ時の毛髪のなめらかさ」、及び「スタイリングのしやすさ」を、下記の評価方法により評価した。結果を表1〜表9に示した。
【0045】
<パール光沢感>
専門女性パネラー10名が50mLガラス瓶に約40mLの各シャンプー組成物を充填し、その瓶から、約3mLを手にとり「パール光沢感」について、下記目視判定により評価し、10名の平均値を求め、下記評価基準により評価した。
〔評点〕
3点:パール光沢感がある
2点:パール光沢感がややある
1点:パール光沢感がない
〔評価基準〕
◎:パール光沢感の平均点2.5点以上
○:パール光沢感の平均点2.0点以上2.5点未満
△:パール光沢感の平均点1.5点以上2.0点未満
×:パール光沢感の平均点1.5点未満
【0046】
<保存安定性(パール外観)>
50mL透明ガラス瓶に約40mLの各シャンプー組成物を充填し、50℃にて1ヶ月保存した後のパール外観について、下記の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:パール光沢感があり、パール外観を十分に呈している
○:ごく僅かにパール光沢感の消失が認められるが、パール外観は呈している
△:パール光沢感がかなり消失され、ややパール外観は呈していない
×:パール光沢感が消失され、パール外観を呈しない
【0047】
<保存安定性(液分離)>
50mLの透明ガラス瓶に約40mLの各シャンプー組成物を充填し、50℃にて1ヶ月間保存した後の液分離について、下記の基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:液分離なく安定である
○:ごく僅かに液分離が認められるが、商品価値あり
△:液分離が認められる
×:著しく液分離が認められる
【0048】
<すすぎ時の毛髪のなめらかさ>
女性専門パネラー20名の毛髪を十分に水で濡らした後、各シャンプー組成物を専門パネラーの毛髪に約6g/回の使用量で塗布し、指で頭皮をマッサージするようにして頭髪全体を泡で覆うことができる程度に十分に泡立てた。
次に、流量250mL/3秒間のシャワーを用い、温度40℃の水道水ですすいでいる時の「髪のなめらかさ」を評価し、良好と判断した人数から、下記基準により「すすぎ時の毛髪のなめらかさ」を評価した。
〔評価基準〕
◎:20名中、16名以上
○:20名中、11名以上15名以下
△:20名中、6名以上10名以下
×:20名中、5名以下
【0049】
<スタイリングのしやすさ>
女性専門パネラー20名の毛髪を十分に水で濡らした後、各シャンプー組成物を専門パネラーの毛髪に約6g/回の使用量で塗布し、指で頭皮をマッサージするようにして頭髪全体を泡で覆うことができる程度に十分に泡立てた。
次に、流量250mL/3秒間のシャワーを用い、温度40℃の水道水ですすいだ。
次に、毛髪の水気をタオルで十分に拭き取り、ドライヤーを用いてブローしたときのスタイリングのしやすさを評価し、良好と判断した人数から下記基準により「スタイリングのしやすさ」を評価した。
〔評価基準〕
◎:20名中、16名以上
○:20名中、11名以上15名以下
△:20名中、6名以上10名以下
×:20名中、5名以下
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】
【表9】
【0059】
次に、実施例1〜29及び比較例1〜13で使用した各成分の詳細については、下記表10に示すとおりである。
【0060】
【表10】
*1:表10におけるジメチルポリシロキサンエマルションは、動粘度60万mm/s、シリコーン分65質量%、平均粒径35μmである。
【0061】
(実施例30)
<マイルドシャンプー>
下記の組成及び含有量に変えた以外は、実施例1〜29及び比較例1〜13と同様の方法でシャンプー組成物を製造した。パール化剤分散液は、実施例1と同組成のものを使用し、エチレングリコールの含有量がシャンプー組成物中1.25質量%になるように添加した。
得られた実施例30のシャンプー組成物について、実施例1〜29及び比較例1〜13と同様にして、「パール光沢感」、「保存安定性(パール外観)」、「保存安定性(液分離)」、「すすぎ時の毛髪のなめらかさ」、及び「スタイリングのしやすさ」について評価した。結果を下記に示す。
〔組成及び含有量〕
・実施例1のパール化剤分散液(A):9.6質量%
・・パール化剤分散液中の各成分の含有量
・・・(A1)エチレングリコールジステアレート(融点63℃):1.25質量%
・・・(A2)ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタアノールアミド:1.25質量%
・・・(A3)プロピレングリコール(IOB値:3.3):0.05質量%
・POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(B):11.0質量%
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン:1.0質量%
・ラウリルジメチルアミンオキシド:0.2質量%
・カチオン化グアーガムA:0.3質量%
・カチオン化セルロースA:0.1質量%
・ジメチルポリシロキサンC:2.0質量%
・POE(20)硬化ヒマシ油:1.0質量%
・安息香酸ナトリウム:0.3質量%
・ヒドロキシエタンジホスホン酸:0.2質量%
・香料:0.5質量%
・クエン酸:pHが5.8になる適量
・精製水:残量(合計:100質量%)
質量比A1/A2:1
質量比(A1+A2)/A3:50
[評価結果]
・パール光沢感:◎
・保存安定性(パール外観):◎
・保存安定性(液分離):◎
・すすぎ時の毛髪のなめらかさ:◎
・スタイリングのしやすさ:◎
【0062】
(実施例31)
<コンディショニングシャンプー>
下記組成及び含有量に変更した以外は、実施例1〜29及び比較例1〜13と同様の方法でシャンプー組成物を製造した。パール化剤分散液は、実施例14と同組成のものを使用し、エチレングリコールの含有量がシャンプー組成物中2.0質量%になるように添加した。
得られた実施例31のシャンプー組成物について、実施例1〜29及び比較例1〜13と同様にして、「パール光沢感」、「保存安定性(パール外観)」、「保存安定性(液分離)」、「すすぎ時の毛髪のなめらかさ」、及び「スタイリングのしやすさ」について評価した。結果を下記に示す。
[組成及び含有量]
・実施例14のパール化剤分散液(A):15.38質量%
・・パール化剤分散液中の各成分の含有量
・・・(A1)エチレングリコールジステアレート(融点63℃):2.00質量%
・・・(A2)ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド:2.00質量%
・・・(A3)プロピレングリコール(IOB値:3.3):0.08質量%
・POE(3)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム(B):9.0質量%
・ラウリル硫酸アンモニウム(B):6.0質量%
・アシルグルタミン酸トリエタノールアミン:1.5質量%
・ラウリルジメチルアミンオキシド:0.3質量%
・ラウリン酸アミドプロヒドロキシスルホピルベタイン:0.5質量%
・カチオン化グアーガムB:0.2質量%
・カチオン化セルロースA:0.05質量%
・ジメチルポリシロキサンA:2.0質量%
・アミノ変性シリコーンB:0.3質量%
・パンテノール:0.12質量%
・エチルパンテノール:0.1質量%
・グリシン:0.05質量%
・安息香酸ナトリウム:0.9質量%
・アルギニン:0.1質量%
・シラカバエキス:0.1質量%
・黄色203号:0.001質量%
・黄色5号:0.002質量%
・香料:0.5質量%
・クエン酸:pHが5.8になる適量
・精製水:残量(合計:100質量%)
質量比A1/A2:1
質量比(A1+A2)/A3:50
[評価結果]
・パール光沢感:◎
・保存安定性(外観):◎
・保存安定性(液分離):◎
・すすぎ時の毛髪のなめらかさ:◎
・スタイリングのしやすさ:◎
【0063】
(実施例32)
<ふけ防止シャンプー>
下記組成及び含有量に変更した以外は、実施例1〜29及び比較例1〜13と同様の方法でシャンプー組成物を製造した。パール化剤分散液は、実施例11と同組成のものを使用し、エチレングリコールの含有量がシャンプー組成物中1.5質量%になるように添加した。
得られた実施例32のシャンプー組成物について、実施例1〜29及び比較例1〜13と同様にして、「パール光沢感」、「保存安定性(パール外観)」、「保存安定性(液分離)」、「すすぎ時の毛髪のなめらかさ」、及び「スタイリングのしやすさ」について評価した。結果を下記に示す。
[組成及び含有量]
・実施例11のパール化剤分散液(A):11.53質量%
・・パール化剤分散液中の各成分の含有量
・・・(A1)エチレングリコールジステアレート(融点63℃):1.50質量%
・・・(A2)ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタアノールアミド:1.50質量%
・・・(A3)プロピレングリコール(IOB値:3.3):0.096質量%
・POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(B):11.0質量%
・ラウリル硫酸ナトリウム(B):3.0質量%
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン:0.4質量%
・カチオン化グアーガムA:0.3質量%
・カチオン化セルロースB:0.1質量%
・ジメチルポリシロキサンA:1.0質量%
・ジメチルポリシロキサンB:1.0質量%
・ピロクトンオラミン:0.5質量%
・ジンクピリチオン:0.5質量%
・グリチルリチン酸ジカリウム:0.1質量%
・アクリレート/ステアレス−20メタクリレート共重合体:0.3質量%
・安息香酸ナトリウム:0.5質量%
・トリメチルグリシン:0.1質量%
・ジブチルヒドロキシトルエン:0.01質量%
・オキシベンソン:0.1質量%
・香料:0.5質量%
・クエン酸:pHが5.8になる適量
・精製水:残量(合計:100質量%)
質量比A1/A2:1
質量比(A1+A2)/A3:31
[評価結果]
・パール光沢感:◎
・保存安定性(外観):◎
・保存安定性(液分離):◎
・すすぎ時の毛髪のなめらかさ:◎
・洗髪後のスタイリングのしやすさ:◎
【0064】
(実施例33)
<頭皮ケアシャンプー>
下記組成及び含有量に変更した以外は、実施例1〜29及び比較例1〜13と同様の方法でシャンプー組成物を製造した。パール化剤分散液は、実施例18と同組成のものを使用し、エチレングリコールの含有量がシャンプー組成物中0.75質量%になるように添加した。
得られた実施例33のシャンプー組成物について、実施例1〜29及び比較例1〜13と同様にして、「パール光沢感」、「保存安定性(パール外観)」、「保存安定性(液分離)」、「すすぎ時の毛髪のなめらかさ」、及び「スタイリングのしやすさ」について評価した。結果を下記に示す。
[組成及び含有量]
・実施例18のパール化剤分散液(A):5.77質量%
・・パール化剤分散液中の各成分の含有量
・・・(A1)エチレングリコールジステアレート(融点61.4℃):0.75質量%
・・・(A2)ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタアノールアミド:0.75質量%
・・・(A3)プロピレングリコール(IOB値:3.3):0.03質量%
・POE(2)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム(B):13.0質量%
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン:1.0質量%
・ラウリルジメチルアミンオキシド:0.3質量%
・カチオン化セルロースA:0.3質量%
・ジメチルポリシロキサンA:2.0質量%
・ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド:0.1質量%
・エデト酸2ナトリウム:0.1質量%
・安息香酸ナトリウム:0.3質量%
・クララ根エキス:0.1質量%
・グリチルリチン酸ジカリウム:0.1質量%
・メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル:0.3質量%
・ジブチルヒドロキシトルエン:0.01質量%
・グリコール酸:0.1質量%
・香料:0.5質量%
・クエン酸:pHが5.8になる適量
・精製水:残量(合計:100質量%)
質量比A1/A2:1
質量比(A1+A2)/A3:50
[評価結果]
・パール光沢感:◎
・保存安定性(外観):◎
・保存安定性(液分離):◎
・すすぎ時の毛髪のなめらかさ:◎
・洗髪後のスタイリングのしやすさ:◎
【0065】
次に、実施例30〜33で使用した各成分の詳細については、下記表11に示すとおりである。
【0066】
【表11】
*1:表11におけるジメチルポリシロキサンB(エマルション)は、以下の方法で調製した。
レオフローDMS−60(一方社油脂工業株式会社製)〔動粘度10,000,000mm/sの高重合メチルポリシロキサン:動粘度4,000,000mm/sの高重合メチルポリシロキサン:動粘度1,000mm/sのメチルポリシロキサン=15:15:70(質量比)〕に、POE(15)セチルエーテル(商品名:NPO−97、ライオンケミカル株式会社製)を乳化剤として添加し、水に乳化分散した。
【0067】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> (A)(A1)脂肪酸グリコールエステル、(A2)エチレンオキサイドの平均付加モル数が1〜5のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミド、(A3)プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、イソプレングリコール、及びソルビットから選択される少なくとも1種である多価アルコール、(A4)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び(A5)水からなり、前記(A1)成分と前記(A2)成分との質量比A1/A2が0.5〜4であり、前記(A1)成分及び前記(A2)成分と前記(A3)成分との質量比(A1+A2)/A3が20〜100であるパール化剤分散液と、
(B)前記(A4)成分を含む硫酸残基を有する硫酸塩型アニオン性界面活性剤と、を含有することを特徴とするシャンプー組成物である。
<2> (A1)成分の脂肪酸グリコールエステルの融点が、61℃〜63℃である前記<1>に記載のシャンプー組成物である。
<3> (A)成分の多価アルコールのIOB値が、1.8〜3.3である前記<1>から<2>のいずれか記載のシャンプー組成物である。
<4> (A1)成分の含有量が0.75質量%〜3質量%であり、
(A2)成分の含有量が0.75質量%〜3質量%であり、
(A3)成分の含有量が0.03質量%〜0.2質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載のシャンプー組成物である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のシャンプー組成物は、例えば、地肌クレンジング用シャンプー、ダメージケア用シャンプー、コンディショニングシャンプー、リンスインシャンプー、マイルドシャンプー、頭皮ケアシャンプー、ふけ防止シャンプー、などとして好適に用いられる。
図1
図2
図3