(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154013
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】流体噴射器の診断回路、及び流体噴射器を診断する方法
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20170619BHJP
F01N 3/18 20060101ALI20170619BHJP
F02M 61/08 20060101ALI20170619BHJP
F02D 41/22 20060101ALI20170619BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20170619BHJP
F02M 69/46 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
F02D45/00 390A
F01N3/18 C
F02M61/08 P
F02D41/22 325M
F01N3/08 B
F02M69/46 F
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-533488(P2015-533488)
(86)(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公表番号】特表2016-500779(P2016-500779A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】EP2013066004
(87)【国際公開番号】WO2014048614
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】1217149.2
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514160386
【氏名又は名称】デルファイ・インターナショナル・オペレーションズ・ルクセンブルク・エス・アー・エール・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】サイクス,マーティン
【審査官】
戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−091580(JP,A)
【文献】
特開2006−220069(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第04130712(DE,A1)
【文献】
特開2009−004979(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00150492(EP,A1)
【文献】
特開平07−035005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 45/00
F01N 3/08
F01N 3/18
F02D 41/22
F02M 61/08
F02M 69/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体噴射器の駆動回路における電圧抑制器のPN接合における障害を診断するように構成された、流体噴射器の診断回路であって、前記駆動回路が、前記流体噴射器のコイルを付勢するようになされ、前記電圧抑制器が、前記コイルと並列に配列される、流体噴射器の診断回路において、
前記コイルと前記電圧抑制器との並列対のローサイド端と接地との間の箇所を流れる電流または前記箇所における電圧を検知する検知手段と、
「オン」から「オフ」フェーズへの遷移の後の特定の区間のみ、前記検知された電圧または電流の特性と、前記電圧抑制器が正常な動作状態にあるときの予期される特性とを比較する比較手段と、
前記比較手段からの結果に基づいて、前記検知された電圧が前記予期される特性よりも増加するとき、及び/又は、前記検知された電流が前記予期される特性よりも緩やかに減少するときに、前記電圧抑制器に障害があると判定する判定手段とを備える、診断回路。
【請求項2】
請求項1に記載の診断回路において、前記特定区間が、前記駆動回路の前記オフフェーズの開始から500マイクロ秒の時間の間であり、当該特定区間においてのみ、前記電流または電圧を測定するように設定される診断回路。
【請求項3】
請求項2に記載の診断回路において、
前記検知手段は、前記コイルと前記電圧抑制器との並列対のローサイド端と前記接地との間に直列に接続されたセンス抵抗を有し、前記センス抵抗を流れる前記電流を測定するように設定される診断回路。
【請求項4】
請求項1に記載の診断回路において、
前記検知手段は、前記コイルと前記電圧抑制器との並列対のローサイド端に電気的に接続された分圧器を有し、前記分圧器を通して前記電圧を測定するように設定される診断回路。
【請求項5】
請求項1または請求項4に記載の診断回路において、前記電圧が前記PN接合の絶縁破壊電圧より上にあるかどうかを判定するように設定される診断回路。
【請求項6】
請求項5に記載の診断回路において、前記特定区間が、前記駆動回路のオフフェーズの開始から300マイクロ秒であり、当該特定区間においてのみ、前記電圧が前記PN接合の絶縁破壊電圧より上にあるかどうかを判定するように設定される診断回路。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の診断回路において、前記診断回路および流体噴射器が、車両上に使用されるように構成される診断回路。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の診断回路において、前記流体噴射器が、選択式触媒還元配量噴射器、燃料噴射器および水噴射器のうちの1つである診断回路。
【請求項9】
流体噴射器の駆動回路における電圧抑制器のPN接合における障害を診断する、流体噴射器を診断する方法であって、前記駆動回路が、前記流体噴射器のコイルを付勢するようになされ、前記電圧抑制器が、前記コイルと並列に配列される、流体噴射器を診断する方法において、
前記コイルと前記電圧抑制器との並列対のローサイド端と接地との間の箇所を流れる電流または前記箇所における電圧を検知するステップと、
「オン」から「オフ」フェーズへの遷移の後の特定の区間のみ、前記検知された電圧または電流の特性と、前記電圧抑制器が正常な動作状態にあるときの予期される特性とを比較するステップと、
上記比較するステップでの結果に基づいて、前記検知された電圧が前記予期される特性よりも増加するとき、及び/又は、前記検知された電流が前記予期される特性よりも緩やか減少するときに、前記電圧抑制器に障害があると判定するステップとを含む、方法。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れかに記載の診断回路において、
前記駆動回路は、前記コイルのハイサイドに接続されるハイサイドトランジスタスイッチと、前記コイルのローサイドに接続されるローサイドトランジスタスイッチと、前記ハイサイドトランジスタスイッチのローサイドと前記ローサイドトランジスタスイッチのローサイドとに接続され且つ前記コイル及び前記ローサイドトランジスタスイッチに並列に接続されるフリーホイールトランジスタスイッチと、を備え、
前記コイルを付勢するときに、前記ハイサイドトランジスタスイッチ及び前記ローサイドトランジスタスイッチがオン、前記フリーホイールトランジスタスイッチがオフとなり、前記コイルを消勢するときに、前記ハイサイドトランジスタスイッチ及び前記ローサイドトランジスタスイッチがオフ、前記フリーホイールトランジスタスイッチがオンとなるように各スイッチを制御する、診断回路。
【請求項11】
請求項9に記載の診断する方法において、
前記駆動回路は、前記コイルのハイサイドに接続されるハイサイドトランジスタスイッチと、前記コイルのローサイドに接続されるローサイドトランジスタスイッチと、前記ハイサイドトランジスタスイッチのローサイドと前記ローサイドトランジスタスイッチのローサイドとに接続され且つ前記コイル及び前記ローサイドトランジスタスイッチに並列に接続されるフリーホイールトランジスタスイッチと、を備え、
前記コイルを付勢するときに、前記ハイサイドトランジスタスイッチ及び前記ローサイドトランジスタスイッチがオン、前記フリーホイールトランジスタスイッチがオフとなり、前記コイルを消勢するときに、前記ハイサイドトランジスタスイッチ及び前記ローサイドトランジスタスイッチがオフ、前記フリーホイールトランジスタスイッチがオンとなるように各スイッチを制御するステップを含む、方法。
【請求項12】
流体噴射器の駆動回路における電圧抑制器のPN接合における障害を診断するように構成された、流体噴射器の診断回路であって、前記駆動回路が、前記流体噴射器のコイルを付勢するようになされ、前記電圧抑制器が、前記コイルと並列に配列される、流体噴射器の診断回路において、
前記コイルと前記電圧抑制器との並列対のローサイド端と接地との間の箇所を流れる電流または前記箇所における電圧を検知する検知手段と、
「オン」から「オフ」フェーズへの遷移の後、前記検知された電圧または電流の特性と、前記電圧抑制器が正常な動作状態にあるときの予期される特性とを比較する比較手段と、
前記比較手段からの結果に基づいて、前記検知された電圧が前記予期される特性よりも増加するとき、及び/又は、前記検知された電流が前記予期される特性よりも緩やかに減少するときに、前記電圧抑制器に障害があると判定する判定手段とを備え、
前記駆動回路は、前記コイルのハイサイドに接続されるハイサイドトランジスタスイッチと、前記コイルのローサイドに接続されるローサイドトランジスタスイッチと、前記ハイサイドトランジスタスイッチのローサイドと前記ローサイドトランジスタスイッチのローサイドとに接続され且つ前記コイル及び前記ローサイドトランジスタスイッチに並列に接続されるフリーホイールトランジスタスイッチと、を備え、
前記コイルを付勢するときに、前記ハイサイドトランジスタスイッチ及び前記ローサイドトランジスタスイッチがオン、前記フリーホイールトランジスタスイッチがオフとなり、前記コイルを消勢するときに、前記ハイサイドトランジスタスイッチ及び前記ローサイドトランジスタスイッチがオフ、前記フリーホイールトランジスタスイッチがオンとなるように各スイッチを制御する、診断回路。
【請求項13】
流体噴射器の駆動回路における電圧抑制器のPN接合における障害を診断する、流体噴射器を診断する方法であって、前記駆動回路が、前記流体噴射器のコイルを付勢するようになされ、前記電圧抑制器が、前記コイルと並列に配列される、流体噴射器を診断する方法において、
前記コイルと前記電圧抑制器との並列対のローサイド端と接地との間の箇所を流れる電流または前記箇所における電圧を検知するステップと、
「オン」から「オフ」フェーズへの遷移の後の特定の区間のみ、前記検知された電圧または電流の特性と、前記電圧抑制器が正常な動作状態にあるときの予期される特性とを比較するステップと、
上記比較するステップでの結果に基づいて、前記検知された電圧が前記予期される特性よりも増加するとき、及び/又は、前記検知された電流が前記予期される特性よりも緩やかに減少するときに、前記電圧抑制器に障害があると判定するステップとを含み、
前記駆動回路は、前記コイルのハイサイドに接続されるハイサイドトランジスタスイッチと、前記コイルのローサイドに接続されるローサイドトランジスタスイッチと、前記ハイサイドトランジスタスイッチのローサイドと前記ローサイドトランジスタスイッチのローサイドとに接続され且つ前記コイル及び前記ローサイドトランジスタスイッチに並列に接続されるフリーホイールトランジスタスイッチと、を備え、
前記コイルを付勢するときに、前記ハイサイドトランジスタスイッチ及び前記ローサイドトランジスタスイッチがオン、前記フリーホイールトランジスタスイッチがオフとなり、前記コイルを消勢するときに、前記ハイサイドトランジスタスイッチ及び前記ローサイドトランジスタスイッチがオフ、前記フリーホイールトランジスタスイッチがオンとなるように各スイッチを制御するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く診断回路に関する。詳しくは、しかし排他的ではなく、本発明は、水噴射器または燃料噴射器など、車両上に使用するように構成された流体噴射器用の診断回路に関する。最も詳しくは、本発明は、選択式触媒還元配量噴射器用の診断回路に関する。本発明は、前記流体噴射器における障害を診断するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の要約には、以下の事項が記載されている。複数のインジェクタ(以下、電磁弁)を駆動制御する燃料噴射制御装置40では、コイルL1にコンデンサCoの高電圧を印加して、電磁弁を速やかに開弁させるが、その際に、他の電磁弁のコイルL2〜L4とそれらに各々対応するトランジスタTR2〜TR4との間の経路に、コンデンサCoの高電圧が発生したか否かを判定して、高電圧が発生していなければコイルL1が短絡していると判断する。
【特許文献1】特開2006−220069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、流体噴射器、最も具体的には選択式触媒還元(SCR)配量噴射器の動作に関する改良された信頼性チェックを可能にする診断回路を提供することにある。別の目的は、様々な制御回路、最も具体的にはエンジン制御ユニット(ECU)と、流体噴射器との改良された適合性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
要するに、本発明は、流体噴射器に関し、具体的には選択式触媒還元(SCR)配量噴射器に関する。実施形態の一例において、流体噴射器は、流体、典型的には尿素、水または燃料を流体噴射器を通して駆動するために第1の位置から第2の位置に移動することができるポンププランジャを備える。コイルが付勢されたとき、コイルがポンププランジャを第2の位置に駆動するように配列される。ポンププランジャは、コイルが消勢されたとき、典型的にはばねにより、第1の位置に復帰するようにバイアスがかけられる。駆動信号が切断されたとき、コイル中の蓄積された電気的エネルギーを迅速におよび確実に放出するために電圧抑制器または他の手段が設けられる。電圧抑制器は、理想的には、エンジン室環境内でおよび典型的にはSCR配量噴射器または水もしくは燃料噴射器に見出される動作の周波数で動作することができる。
【0005】
本発明によれば、診断回路が提供される。一例において、診断回路は、流体噴射器、具体的には選択式触媒還元(SCR)配量噴射器のコイルの駆動回路における電気的特性を測定するように配列される。診断回路は、PN接合が噴射器のコイル中に蓄積された電気的エネルギーを放出するように働いているかどうかを判定するために、測定した電気的特性を別の電気的特性と比較する。一例において、診断回路は、駆動回路のオフフェーズの間電気的特性を測定するように配列される。診断回路は、駆動回路のオフフェーズの開始から500マイクロ秒の時間の間電気的特性を測定するように配列することができる。診断回路は、駆動回路における電流を測定するように配列することができる。典型的には、診断回路は、駆動回路におけるセンス抵抗を流れる電流を測定するように配列される。理想的には、診断回路は、電流が50、75、100、150および200マイクロ秒のうちの1つの時間の後に0.1、0.2および0.3アンペアのうちの1つの値より上にあるかどうかを判定するように配列される。別の一例において、診断回路は、駆動回路における電圧を測定するように配列される。診断回路は、駆動回路における分圧器を通して電圧を測定するように配列することができる。診断回路は、電圧がPN接合の絶縁破壊電圧より上にあるかどうかを判定するように配列することができる。典型的には、診断回路は、電圧が駆動回路のオフフェーズの開始から300マイクロ秒以内にPN接合の絶縁破壊電圧より上にあるかどうかを判定するように配列される。別の一例において、診断回路は、コイルのローサイドにおける電気的特性を測定するように配列することができる。
【0006】
本発明は、流体噴射器、具体的には選択式触媒還元配量噴射器の駆動回路の障害を診断するための方法にも関する。一例において、方法は、流体噴射器のコイルの駆動回路における電気的特性を測定するステップと、PN接合が流体噴射器のコイルにおける電気的エネルギーを放出するように働いているかどうかを判定するために、測定した電気的特性を別の電気的特性と比較するステップとを含む。
【0007】
このようにして、診断回路は、選択式触媒還元配量噴射器のコイルの駆動回路の性能の改良された信頼性チェックを提供する。
【0008】
添付の特許請求の範囲に記載された診断回路および方法が提供される。他の特徴を以下に説明する。
【0009】
診断回路は、以下にも説明する選択式触媒還元配量噴射器に使用されたとき特に有用である。選択式触媒還元配量噴射器は、配量流体をポンプで送り込むように、付勢されたときポンプを第1の状態から第2の状態に駆動するように配列されたコイルを備える。選択式触媒還元配量噴射器は、外部駆動電圧がコイルから取り除かれたとき、およびコイル両端間の電圧がPN接合の絶縁破壊電圧より上にあるとき、絶縁破壊し、コイル中に蓄積されたエネルギーを放出するようにコイルの両端間に電気的に配列されたPN接合をさらに含む。一例において、PN接合は、コイルの両端間に電気的に配列されたダイオード内にある。別の一例において、PN接合はコイルの両端間に電気的に配列された過渡電圧抑制器内にある。任意選択で、PN接合は直接コイルに接続される。PN接合は、コイルの端子にはんだ付けすることができる。PN接合およびコイルは、冷却システムを共有することができる。一例において、PN接合およびコイルは、共通の冷却ジャケット内にあることができる。任意選択で、PN接合の絶縁破壊電圧は、駆動回路における別の関連するPN接合の絶縁破壊電圧より低い。別の一例において、選択式触媒還元配量噴射器は、配量システムの一部であり、コイルの付勢はエンジン制御ユニットを介して制御される。触媒還元配量噴射器は、診断回路を備えることができる。一例において、触媒還元配量噴射器は、PN接合の満足のいく動作を診断するように構成される。診断回路は、コイルの放電の間電流減衰を測定するように配列することができる。診断回路は、コイルの放電の間電圧減衰を測定するように配列することができる。電圧抑制器は、好ましくは、過渡電圧抑制ダイオードを備える。広い一例において、PN接合が使用される。PN接合は、駆動電圧がコイルから取り除かれたとき、絶縁破壊し、コイル内に蓄積されたエネルギーを放出するように配列される。PN接合は、カソードがコイルの正の駆動電圧端子に接続されるように配列することができる。
【0010】
選択式触媒還元配量噴射器のコイルを放電する関係する方法も説明し、提供する。方法は、配量流体をポンプで送り込むようにポンプを第1の状態から第2の状態に駆動するために電気的エネルギーを配量噴射器のコイルに供給するステップと、コイルへの電気的エネルギーの供給を停止するステップと、コイル中に蓄積された電気的エネルギーがコイルの両端間に電気的に配列されたPN接合を通して消散することを可能にするステップとを含む。任意選択で、方法は、コイルの端子間にPN接合を取り付けるステップであって、コイルが配量流体を駆動するようにポンプを第1の状態から第2の状態に駆動するように配列されるステップを含む。
【0011】
流体噴射器を組み立てる関係する方法も説明し提供する。方法は、コイルの端子間にPN接合を取り付けるステップであって、コイルが流体を駆動するようにポンプを第1の状態から第2の状態に駆動するように配列されるステップを含む。
【0012】
したがって、SCR配量噴射器のコイルを制御する改良されたやり方が提供され、それは、SCR配量噴射器を広い範囲のエンジン制御ユニット(ECU)に、より適合可能とさせる(互換性をもたせる)利点もさらに有する。典型的には、エンジンの周囲状態は、コイルから消散される大量のエネルギーと共に、ECUの種類によっては、ローサイドFETスイッチを通してなど、内部構成部品を通してコイルを放電することからのエネルギー消散を扱うことができないものがあることを意味する。別個の放電手段を有することは、この問題を軽減し、説明する種類のSCR配量噴射器をより広い範囲のECUに適合するようにできる。有利には、電圧抑制器は、すでにSCR配量噴射器用に設置されている冷却システムから利益を得ることができる。
【0013】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明が有用性を見出す選択式触媒還元配量システムの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による選択式触媒還元配量噴射器の要素を示す回路図である。
【
図3】駆動回路が診断回路を含む、
図2の配量噴射器を駆動するのに使用される駆動回路例の回路図である。
【
図4】
図3の駆動回路を示すが代替診断回路を含む回路図である。
【
図5A】オンフェーズの間
図3の駆動回路を流れる電流の流れを示す回路図である。
【
図5B】オフフェーズの間
図3の駆動回路を流れる電流の流れを示す回路図である。
【
図6A】電圧抑制器が誤動作する場合の電流の流れを示す
図5Aの回路図である。
【
図6B】電圧抑制器が誤動作する場合の電流の流れを示す
図5Bの回路図である。
【
図7】電圧抑制器が機能している場合および機能していない場合の感知された電流のグラフである。
【
図8】電圧抑制器が機能している場合および機能していない場合の感知された電圧のグラフである。
【
図9】配量噴射器のコイルを放電する方法の流れ図である。
【
図10】配量噴射器を組み立てる方法の流れ図である。
【
図11】配量噴射器のコイルにおける障害を診断する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の範囲を限定することを意図しないやり方で本発明の一用途または諸用途を示すために上に列挙した図を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は、エンジン20の排気管30に設置された選択式触媒還元(SCR)配量システム10の概略図である。排気管は、ディーゼル酸化触媒(DOC)40と、SCR触媒ディーゼル微粒子フィルタ(SCRF)50と、SCR触媒60とを備える。エンジン20は、エンジン冷却システム70とエンジン制御ユニット(ECU)80とを備える。SCR配量システム10は、尿素送達モジュール(UDM)90とSCR配量噴射器100とを備える。
【0017】
SCR触媒60は、NH
3センサ62と、NH
3制御器64とを含み、NH
3制御器64は、システム10内の選択式触媒還元を制御するために信号をECU80に帰還させるように配列される。
【0018】
エンジン冷却システム70は、熱交換器72と、SCR配量噴射器100を冷却するためにSCR配量噴射器100に接続された冷却管74とを備える。
【0019】
ECU80は、UDM90とSCR配量噴射器100とを制御するように配列されたSCRドライバモジュール82を備える。
【0020】
UDM90は、配量流体、この場合尿素を収納するSCRタンク92を備える。UDM90は、配量流体をSCR配量噴射器100に供給するために供給管94も備える。供給管94は電気的に加熱される。
【0021】
ECU80は、典型的には、エンジン室に配置され、90℃あたりの高温周囲条件で動作することが必要とされる。ほとんどのECU構成部品は、最大動作温度が約125℃である。したがって、典型的には、ECU80は、その構成部品の温度を公称周囲動作温度より35℃を超えて上げるのに十分な熱エネルギーを生じてはならない。これが起きた場合、ECU構成部品の故障の可能性が大幅に増加される。
【0022】
エンジン20から排気管30に出る排出ガスの温度は、特にDPF(ディーゼル微粒子フィルタ)再生事象の間、800℃あたりに達することがある。排気管30構成部品は、しばしば250℃あたりの周囲条件で動作することがある。
【0023】
図2は、本発明の実施形態によるSCR配量噴射器100をより詳細に示す回路図である。SCR配量噴射器100は、コイル110と、ポンプ120と、電圧抑制器130とを備える。
【0024】
コイル110は、選択式触媒還元がうまくいくのに必要とされる通り配量流体を排気管30にポンプで送り込むように、付勢されたときポンプ120を第1の状態から第2の状態に駆動するように配列される。前述のように、SCR配量噴射器100の制御は、NH
3制御器からの入力を有する、ECU80とSCRドライバモジュール82とによって管理される。
【0025】
ポンプ120は、配量流体を排気管30にポンプで送り込むために第1の位置から第2の位置に移動することができるポンププランジャ(図示せず)を備える。ポンププランジャの第1の位置はポンプの第1の状態に対応し、ポンププランジャの第2の位置はポンプの第2の状態に対応する。ポンププランジャは、コイル110が付勢されたとき第1の位置から第2の位置に駆動される。コイル110が消勢されたときポンププランジャを第1の位置に復帰させるためにばね(図示せず)が使用される。ポンプを第1の状態から第2の状態に迅速に駆動することが時には必要である。SCR配量噴射器100は、1Hzから135Hzの間で動作することが必要とされる。また、コイル110は、通常動作の間はエネルギーの5ワットから10ワットまで、最大約20ワットまでを使用する。配量噴射器100は、単に加圧流体を噴射する電子的作動弁だけではなく、その代わりに流体を加圧し噴射するのに必要な働きもする。従来技術の噴射器は、ポンプ機能と噴射器機能とを分離する傾向があり、ポンプが加圧流体を生成する働きをし、ポンプが流体供給管の圧力に関するセンサ情報を受け取る制御回路によって制御されていた。空気抜き弁も凍結から保護するために必要とされる傾向があった。噴射圧力は、典型的には、そのような種類の従来技術の噴射器に対して約5バール(およそ500kPa)であった。この実施形態の例において論じる配量噴射器は、加圧制御を不要とする統一ポンプおよび噴射器を有し、また空気抜き弁も有する。50バール(およそ5000kPa)で最大になる噴射圧力も達成される。
【0026】
重要なことには、電圧抑制器130は、コイル110の両端間に接続されるように配列され、コイル110の両端間の電圧が閾値より上にあるときコイル110中に蓄積されたエネルギーを放出するように配列され、これは各噴射事象の終わりに起きる。この実施形態では、コイル110は、オンフェーズの間は電気的エネルギーで付勢され、オフフェーズの間は電気的エネルギー供給がスイッチオフされる。オフフェーズにあるとき、コイル110中に蓄積されたエネルギーは、電圧抑制器130の両端間の電圧を絶縁破壊電圧より上に上げるのに十分であり、電圧抑制器130はコイル110中に蓄積されたエネルギーを放出する働きをする。コイル110中に蓄積されたエネルギーは、主に熱として失われる。この例における電圧抑制器130は、絶縁破壊電圧が30ボルトの過渡電圧抑制器である。適切な電圧抑制器がSMAJ30CAという名前で販売されている。この過渡電圧抑制器は、ピークパルス電力消費が400ワットであり、最高175℃まで動作することができる。電圧抑制器130は、双方向過渡電圧抑制ダイオードである。この実施形態における電圧抑制器130は、コイル110の端子(図示せず)間にはんだ付けされる。コイル110は、冷却ジャケット(図示せず)によって囲まれ、電圧抑制器130は、コイル110の冷却ジャケット内に収納され、同じ液冷冷却システム(前にエンジン冷却システム70として図示)を共有する。
【0027】
このようにして、SCR配量噴射器100は、従来技術のシステムより広い範囲のECUと適合可能になる。各ECUは、各サイクルの間コイル110中に蓄積されたエネルギーを消散させることを可能にする専用の設計を有しなくてよい。したがって、ECUがその最大動作温度定格を超えて加熱される危険性が大幅に低減し、エンジンの信頼性が増大する。SCR配量噴射器100と同じ冷却システムを共有することにより、電圧抑制器130は、排気管30にごく接近している可能性があるにもかかわらず、それ自体の動作温度範囲内に維持することができる。この解決策により、さらに専用のドライブボックスまたは他の回路への他の修正の必要もなくなる。
【0028】
もちろん、別の種類の電圧抑制器130を使用することができること、具体的には、ダイオード(特にツェナーダイオード)、トランジスタなどを使用することができることを当業者は理解されよう。
【0029】
次に、電圧抑制器130が故障した場合の潜在的な問題が存在する。ECU80またはSCRドライバモジュール82は、コイル110中のエネルギーを消散することがまったくできない可能性があり、あるいは信頼性の問題を避けるのに十分にコイル110中のエネルギーを消散することができない可能性がある。
【0030】
図3は、コイル110を駆動するのに使用される駆動回路300の回路図である。コイル110は、回路図において駆動回路300内に示され、理解されるように、コイル110は、ほとんどの状況において駆動回路300から物理的に分離される。同様に、電圧抑制器130は、駆動回路300内に示されるが、すでに上に説明したように、コイル110に隣接して配置される可能性がある。
【0031】
駆動回路300は、コイル110のハイサイドをバッテリ端子312に接続し、したがって車両バッテリに典型的な電圧をコイル110の両端間に印加することができるハイサイドトランジスタスイッチ310を備える。ほとんどの車両において、この電圧は、12ボルトあたりであり、車両バッテリによって供給される。駆動回路300は、コイル110のローサイドを接地端子322に接続してコイル110を付勢するための回路を完成するローサイドトランジスタスイッチ320も備える。ハイサイドトランジスタスイッチ310およびローサイドトランジスタスイッチ320は、両方共、適切なことには、各々それぞれのトランジスタスイッチをスイッチオンおよびスイッチオフする対応する制御信号を有する。
【0032】
重要なことには、駆動回路300は、コイル診断回路330を備える。コイル診断回路330は、ローサイドトランジスタスイッチ320と接地端子322との間に直列に接続されたセンス抵抗332を備える。電圧測定モジュール334がセンス抵抗332の両端間に接続された2つの入力端子を有し、センス抵抗332を流れる電流を示す信号を出力するように配列される出力端子を有する。
【0033】
また、駆動回路300は、コイル110のハイサイドを接地端子322に接続するように配列されるフリーホイールトランジスタスイッチ340も備える。フリーホイールトランジスタスイッチ340は、ハイサイドトランジスタスイッチ310と逆の方向に制御され、したがって一方がオンであるとき他方はオフである。
【0034】
図4は、
図3を参照して上に提示した配列の代替の配列の回路図である。ここで、同じ参照符号は、同じ構成部品を表し、再度説明はしない。電流ではなく電圧を感知する代替のコイル診断回路430が提示される。ここで、分圧器432がその上端においてコイル110のローサイドとローサイドトランジスタスイッチ320との間に接続される。電圧タップ434が分圧器432の2つの抵抗の間に電圧指示値を出力するように接続される。
【0035】
図5Aは、オンフェーズの間の
図3の駆動回路300を示す回路図である。ここで、iとして示す電流がハイサイドトランジスタスイッチ310、コイル110、ローサイドトランジスタスイッチ320およびセンス抵抗332を通ってバッテリ端子312から接地端子322まで通過する。
【0036】
図5Bは、オフフェーズの間の駆動回路300を示す回路図である。ここで、ハイサイドトランジスタスイッチ310は、ローサイドトランジスタスイッチ320と同じように、開構成にある。電流は、バッテリ端子312から接地端子322に流れない。その代わりに、コイル110中のエネルギーが直接電圧抑制器130を通って消散され、駆動回路300が関与しないループの中をまわって電流が流れる。センス抵抗332には電流の流れがないか、或いは、電流の流れが実質的にない。
【0037】
図6Aは、電圧抑制器に誤動作があるときの駆動回路300を示す回路図である。ここで、
図5Aの場合と同じように、電流は前と同じに駆動回路のオンフェーズの間流れる。電圧抑制器が働いている場合と電圧抑制器が働いていない場合との間にはオンフェーズの間電流の流れに差がない。
【0038】
図6Bは、オフフェーズの間の駆動回路300を示す回路図であり、この場合も電圧抑制器130が誤動作状態にある。ここで、
図5Bと異なり、電流はコイル110と電圧抑制器130とをループになって流れない。その代わりに、フリーホイールトランジスタ340がコイル110のハイサイドを接地に接続し、ローサイドトランジスタスイッチ320が、コイル110のローサイドにおける電圧がローサイドトランジスタスイッチ320の絶縁破壊電圧を超えることにより閉になる。電流はフリーホイールトランジスタスイッチ340を通ってコイル110のハイサイドに流れ、コイル110を通り、ローサイドトランジスタスイッチ320を通り、センス抵抗332を通り、接地端子322を介して接地に流れる。
【0039】
ここで当業者には明らかなように、
図6Bは、センス抵抗332がオフフェーズの開始における時間、電流を感知することを示す。また、同様のことが
図4に示す回路に当てはまることが当業者にはここで理解されよう。すなわち、電圧抑制器130が誤動作状態にあるときオフフェーズの開始において電圧が電圧タップ434に発生される。
【0040】
これをさらに示すと、
図7は、センス抵抗332を通ってコイル診断回路330によって測定したときのx軸上に時間を、y軸上に電流をプロットしたグラフである。2つのプロットが描かれ、第1(実線)は電圧抑制器130が通常の働いている状態にあるときの電流iを示す。ここで、我々はオフフェーズが開始したときセンス抵抗332を流れる電流に急激な降下を見ることができる。言い換えれば、電流減衰が
図5Bに示すループで起き、したがってセンス抵抗332によって測定されない。第2のプロット(破線)は、
図6Bに示すように、電圧抑制器130が誤動作しているときの電流iを示す。ここで、電流iは、センス抵抗による減衰特性を示す。したがって、センス抵抗332中のこの電流減衰に気付くことにより、エンジン制御ユニットなどが電圧抑制器130に誤動作があることを判定すること、およびSCR配量噴射器100の動作の周波数を限定するステップ、排気管30中に噴射される配量流体の量を限定するステップ、およびエンジンの保守を求めるようにユーザに警報を提供するステップのうちの1つまたは複数など、適当な処置をとることが可能になる。センス抵抗332中の電流iは、電圧抑制器130が働いているとき
、オンフェーズの終わりのおよそ1.6アンペアからオフフェーズのおよそ50マイクロ秒で0.2アンペア以下に減衰し、また
、電圧抑制器130が誤動作しているとき、オンフェーズの終わりの1.6アンペアからオフフェーズのおよそ200マイクロ秒で0.2アンペア以下に減衰する。
【0041】
図8は、
図4に示すコイル診断回路430の電圧をプロットしたグラフである。ここで、オンフェーズからオフフェーズへの遷移において測定したコイル101の両端間の電圧のプロットがある。図示するように、オンフェーズの間、コイル110の両端間の電圧は、10ボルトであり、この例におけるバッテリの電圧に等しい。
【0042】
図8のグラフにおけるプロットのうちの第1のプロット(実線)は、電圧抑制器130が動作可能なときのコイル110の両端間の電位差を示す。ここで、我々は、オフフェーズにおけるコイル110の両端間の電位差が約33ボルトまで上がることが分かる(すなわち、電位差は電圧抑制器130の絶縁破壊電圧に等しく、それはこの場合実質的には30ボルトから40ボルトの間にある)。コイル110の両端間の電圧は、およそ500マイクロ秒間このレベルにとどまり、次いで、コイル中のエネルギーのすべてが電圧抑制器130を通って消散されたとき、急速にゼロに降下する。
【0043】
図8のグラフ上の第2のプロット(破線)は、電圧抑制器130が誤動作状態にあるときのコイル110の両端間の電位差を示す。ここで、オンフェーズからオフフェーズへの遷移において、コイル110の両端間の電圧が、電圧抑制器130が働いている状態にあるときよりずっと大きな量まで急速に増加する。この場合、コイル110両端間の電圧は、約60ボルトで最大に達し、それはローサイドトランジスタスイッチ320の絶縁破壊電圧に相当する。オフフェーズの間のコイル110の両端間の電圧は、電圧抑制器130が働いていないとき、電圧抑制器130が働いているときに比べたときより短い時間持続することに留意されたい(500マイクロ秒対300マイクロ秒)。
【0044】
このようにして、触媒還元配量システムは、より確実に動作することができ、一方で前述のより広い適合性を活用する。
【0045】
図9は、SCR配量噴射器100のコイル110を放電する方法の流れ図である。ここで、前に説明したように、コイル110は、ステップ910において駆動回路300によって付勢される。コイル110は、次いで、ステップ920において駆動回路300によって消勢される。コイル110中に蓄積されたエネルギーは、次いで、コイル110によって発生された電圧が電圧抑制器130の絶縁破壊電圧を超えるとき、オフフェーズの開始において電圧抑制器130を通って消散される。
【0046】
図10は、SCR配量噴射器100を組み立てる方法の流れ図である。ここで、電圧抑制器130は、ステップ1010において、オフフェーズの間コイル110中に蓄積された電気的エネルギーの放出を達成するようにコイル110の両端間に取り付けられる。電圧抑制器ははんだ付け技法を使用して取り付けられるが、他の適切な技法を使用することができる。電圧抑制器130は、コイル110にごく近接して取り付けられ、コイル110の冷却システムを共有することができるようにコイル110に取り付けられる。具体的には、電圧抑制器130は、コイル110またはSCR配量噴射器100の同じ液冷ジャケットの内側になるように取り付けられる。
【0047】
図11は、SCR配量噴射器100のコイル110における障害を診断する方法の流れ図である。ここで、コイル110は、ステップ1110において駆動回路300によって付勢される。コイル110は、次いで、ステップ1120において駆動回路300によって消勢される。ステップ1130においてセンス抵抗332を流れる電流を感知するために診断回路330によってまたは分圧器432における電圧を感知するために診断回路430によって測定が行われる。診断回路330は、センス抵抗332中の数十マイクロ秒間持続する減衰電流を探すように配列される。診断回路340は、電圧抑制器130が動作可能である場合と比較してコイル110両端間のより大きなピーク電圧および/またはより短い時間持続する電圧を探すように配列される。例えば、診断回路430は、電圧抑制器130の絶縁破壊電圧前後の電圧(正しく働いていることを指示するため)または電圧抑制器130の絶縁破壊電圧を超える差又は相違部分(この例では30ボルトまたは実際には33ボルト)(電圧抑制器130が間違って働いていることを指示するため)を探すことができる。あるいは、またはさらに、診断回路430は、電圧抑制器が正しく働いていることを指示するために、ある一定の閾値、例えば350マイクロ秒より長い時間持続する電圧、または電圧抑制器が正しく働いていいないことを指示するために閾値より短い時間持続する電圧を探すことができる。
【0048】
1つまたは複数の好ましい実施形態に関して本発明を上に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更または修正を加えることができることを理解されよう。
【0049】
例えば、本発明は、SCR配量噴射器用途の文脈で説明してきたが、特に車両用途における燃料噴射器および水噴射器など、他の用途において有用性を見出すであろう。具体的には、本発明は、燃料噴射器、例えば触媒再生のために燃料を排気システム中に噴射するのに使用される種類の燃料噴射器において有用性を見出すことができる。本発明は、水噴射器、例えば排出物を削減するためにディーゼルエンジンの吸気マニホルド中に水を噴射するための水噴射器においても有用性を見出すことができる。具体的には、本発明は、噴射器が、好ましくは水冷却手段などの冷却手段を有する、電動ポンプである場合に特定の使用を見出すであろう。
[形態1]
診断回路であって、
流体噴射器の駆動回路における電気的特性を測定し、
PN接合が前記流体噴射器のコイル中に蓄積された電気的エネルギーを放出するように働いているかどうかを判定するために前記測定した電気的特性を別の電気的特性と比較するように配列された診断回路。
[形態2]
形態1に記載の診断回路において、前記駆動回路のオフフェーズの間前記電気的特性を測定するように配列される診断回路。
[形態3]
形態2に記載の診断回路において、前記駆動回路の前記オフフェーズの開始から500マイクロ秒の時間の間前記電気的特性を測定するように配列される診断回路。
[形態4]
形態1から3のいずれかに記載の診断回路において、前記駆動回路における電流を測定するように配列される診断回路。
[形態5]
形態4に記載の診断回路において、前記駆動回路におけるセンス抵抗を流れる電流を測定するように配列される診断回路。
[形態6]
形態4または形態5に記載の診断回路において、前記電流が50、75、100、150および200マイクロ秒のうちの1つの時間の後に0.1、0.2および0.3アンペアのうちの1つの値より上にあるかどうかを判定するように配列される診断回路。
[形態7]
形態1から6のいずれかに記載の診断回路において、前記駆動回路における電圧を測定するように配列される診断回路。
[形態8]
形態7に記載の診断回路において、前記駆動回路における分圧器を通して電圧を測定するように配列される診断回路。
[形態9]
形態7または形態8に記載の診断回路において、前記電圧が前記PN接合の絶縁破壊電圧より上にあるかどうかを判定するように配列される診断回路。
[形態10]
形態9に記載の診断回路において、前記電圧が前記駆動回路のオフフェーズの開始から300マイクロ秒以内に前記PN接合の絶縁破壊電圧より上にあるかどうかを判定するように配列される診断回路。
[形態11]
形態1から10のいずれかに記載の診断回路において、前記電気的特性が、前記コイルのローサイドにおいて測定される診断回路。
[形態12]
形態1から11のいずれかに記載の診断回路において、前記診断回路および流体噴射器が、車両上に使用されるように構成される診断回路。
[形態14]
形態1から12のいずれかに記載の診断回路において、前記流体噴射器が、選択式触媒還元配量噴射器、燃料噴射器および水噴射器のうちの1つである診断回路。
[形態15]
流体噴射器の駆動回路の障害を診断するための方法であって、
流体噴射器のコイルの駆動回路における電気的特性を測定するステップと、
PN接合が前記流体噴射器の前記コイル中に蓄積された電気的エネルギーを放出するように働いているかどうかを判定するために前記測定した電気的特性を別の電気的特性と比較するステップとを含む、方法。