(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る燃料電池スタックの実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、「近位」及び「遠位」とは、マニホールド200を基準にした燃料電池セル301の長手方向(x軸方向)の位置関係を示す。
【0016】
[燃料電池スタック]
図1及び
図2に示すように、燃料電池スタック100は、マニホールド200と、複数の燃料電池セル301と、第1接合材101と、を備えている。また、燃料電池スタック100は、複数の集電部材302と、第2接合材102とを備えている。燃料電池セル301は、固体酸化物形燃料電池として構成されている。なお、第1接合材101が、本発明の接合材に相当する。
【0017】
[マニホールド]
図3に示すように、マニホールド200は、燃料ガスを各燃料電池セル301に供給するように構成されている。マニホールド200は、中空状であり、内部空間を有している。マニホールド200の内部空間には、導入管201を介して燃料ガスが供給される。マニホールド200は、天板203と、マニホールド本体204と、を有している。マニホールド200の長手方向は燃料電池セル301の厚さ方向(z軸方向)に沿って延びている。
【0018】
マニホールド本体204は、底板と側板とを有している。具体的には、マニホールド本体204は、上面が開口した直方体状である。このマニホールド本体204の上面は、天板203によって封鎖されている。
【0019】
天板203は、複数の貫通孔202を有している。各貫通孔202は、燃料電池セル301の厚さ方向(z軸方向)に沿って並ぶ複数の貫通孔202を有している。各貫通孔202は、マニホールド200の内部空間と外部とを連通する。この貫通孔202を介して、ガスを各燃料電池セル301に供給する。
【0020】
天板203は、導電性を有している。例えば、天板203は、金属によって構成されており、具体的には、汎用フェライト系ステンレス鋼、SOFC専用フェライト系ステンレス鋼、またはニッケル系特殊鋼等によって構成されている。マニホールド本体204は、導電性を有していてもよいし有していなくてもよい。すなわち、天板203とマニホールド本体204とは、互いに同じ材料で構成されていてもよいし違う材料で構成されていてもよい。
【0021】
[燃料電池セル]
図4に示すように、燃料電池セル301は、複数の発電素子部10と、支持基板20とを備えている。各発電素子部10は、支持基板20の両面に支持されている。なお、各発電素子部10は、支持基板20の片面のみに支持されていてもよい。各発電素子部10は、燃料電池セル301の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、本実施形態に係る燃料電池セル301は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。
【0022】
各発電素子部10は、電気的接続部30(
図5参照)によって互いに電気的に接続されている。また、
図2に示すように、燃料電池セル301の遠位端部304側において、支持基板20の一方面に形成された発電素子部10と他方面に形成された発電素子部10とが集電部材500によって電気的に接続されている。なお、各発電素子部10は、直列に接続されている。
【0023】
支持基板20は、支持基板20の長手方向に延びる複数のガス流路21を内部に有している。各ガス流路21は、互いに実質的に平行に延びている。
【0024】
図5に示すように、支持基板20は、複数の第1凹部22を有している。各第1凹部22は、支持基板20の両面に形成されている。各第1凹部22は支持基板20の長手方向において互いに間隔をあけて配置されている。なお、各第1凹部22は、支持基板20の幅方向(y軸方向)の両端部には形成されていない。
【0025】
支持基板20は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板20は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、支持基板20は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板20の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。
【0026】
各発電素子部10は、燃料極4、電解質5、及び空気極6を有している。また、各発電素子部10は、反応防止膜7をさらに有している。燃料極4は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。燃料極4は、燃料極集電部41と燃料極活性部42とを有する。
【0027】
燃料極集電部41は、第1凹部22内に配置されている。詳細には、燃料極集電部41は、第1凹部22内に充填されており、第1凹部22と同様の外形を有する。各燃料極集電部41は、第2凹部41a及び第3凹部41bを有している。燃料極活性部42は、第2凹部41a内に配置されている。詳細には、燃料極活性部42は、第2凹部41a内に充填されている。
【0028】
燃料極集電部41は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部41は、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部41の厚さ、並びに第1凹部22の深さは、50〜500μm程度である。
【0029】
燃料極活性部42は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部42は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部42の厚さは、5〜30μmである。
【0030】
電解質5は、燃料極4上を覆うように配置されている。詳細には、電解質5は、あるインターコネクタ31から他のインターコネクタ31まで長手方向に延びている。すなわち、燃料電池セル301の長手方向において、電解質5とインターコネクタ31とが交互に配置されている。
【0031】
電解質5は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。電解質5は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、電解質5は、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質5の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0032】
反応防止膜7は、緻密な材料からなる焼成体であり、平面視において、燃料極活性部42と略同一の形状である。反応防止膜7は、電解質5を介して、燃料極活性部42と対応する位置に配置されている。反応防止膜7は、電解質5内のYSZと空気極6内のSrとが反応して電解質5と空気極6との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。反応防止膜7は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O
2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜7の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0033】
空気極6は、反応防止膜7上に配置されている。空気極6は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極6は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極6は、LSF=(La,Sr)FeO
3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O
3(ランタンニッケルフェライト)、又は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。空気極6は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極6の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0034】
電気的接続部30は、隣り合う発電素子部10を電気的に接続するように構成されている。電気的接続部30は、隣り合う発電素子部10を直列に接続している。なお、電気的接続部30は、隣り合う発電素子部10を並列に接続していてもよい。
【0035】
電気的接続部30は、インターコネクタ31及び空気極集電膜32を有する。インターコネクタ31は、第3凹部41b内に配置されている。詳細には、インターコネクタ31は、第3凹部41b内に埋設(充填)されている。インターコネクタ31は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。インターコネクタ31は、例えば、LaCrO
3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、インターコネクタ31は、(Sr,La)TiO
3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ31の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0036】
空気極集電膜32は、隣り合う発電素子部10のインターコネクタ31と空気極6との間を延びるように配置される。例えば、
図5の左側に配置された発電素子部10の空気極6と、
図5の右側に配置された発電素子部10のインターコネクタ31とを電気的に接続するように、空気極集電膜32が配置されている。空気極集電膜32は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。
【0037】
空気極集電膜32は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電膜32は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電膜32は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜32の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0038】
図2に示すように、各燃料電池セル301は、マニホールド200の天板203に支持されている。各燃料電池セル301は、マニホールド200の天板203から上方(x軸方向)に延びている。すなわち、各燃料電池セル301の長手方向は、上方に延びている。各燃料電池セル301は、その厚さ方向(z軸方向)において、互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、各燃料電池セル301は、その厚さ方向において、対向するように配置されている。
【0039】
図6に示すように、燃料電池セル301の近位端部303は、緻密膜11によって覆われている。詳細には、緻密膜11は、支持基板20を覆っている。緻密膜11は、発電素子部10と電気的に接続されている。詳細には、緻密膜11は、電気的接続部30と電気的に接続されている。緻密膜11は、空気極集電膜32と支持基板20との間から近位側に向かって延びている。
【0040】
緻密膜11は、緻密膜11の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密膜11の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。このガスシール機能を発揮するため、この緻密膜11の気孔率は、例えば、10%以下である。また、緻密膜11は、絶縁性セラミックスで構成されている。
【0041】
具体的には、緻密膜11は、上述した電解質5と反応防止膜7によって構成されている。電解質5は、支持基板20を覆っており、インターコネクタ31から支持基板20の近位端近傍まで延びている。反応防止膜7は、電解質5を覆っている。なお、燃料電池セル301の長さ方向(x軸方向)において、電解質5の方が反応防止膜7よりも長い。このため、電解質5の両端部は、反応防止膜7に覆われていない。
【0042】
[第1接合材]
図6及び
図7に示すように、各燃料電池セル301は、マニホールド200の貫通孔202に挿入されている。燃料電池セル301は、貫通孔202に挿入された状態で、第1接合材101によってマニホールド200の天板203に固定されている。
【0043】
第1接合材101は、燃料電池セル301が挿入された状態の貫通孔202内に充填される。すなわち、第1接合材101は、燃料電池セル301の外周面と、貫通孔202を画定する壁面との隙間に充填される。上述したように、各燃料電池セル301の近位端部303の外周面は、緻密膜11によって覆われている。このため、第1接合材101は、緻密膜11と天板203とを接合している。なお、第1接合材101は、電解質5及び反応防止膜7の少なくとも一方と接触している。本実施形態では、電解質5の方が、反応防止膜7よりも近位側に延びている。このため、第1接合材101は、電解質5と反応防止膜7との両方に接触している。
【0044】
第1接合材101は、例えば、結晶化ガラスである。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO
2−B
2O
3系、SiO
2−CaO系、又はSiO
2−MgO系が採用され得る。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。なお、第1接合材101の材料として、非晶質ガラス、ろう材、又はセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、第1接合材101は、SiO
2−MgO−B
2O
5−Al
2O
3系及びSiO
2−MgO−Al
2O
3−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0045】
[集電部材]
図2に示すように、集電部材302は、各燃料電池セル301の間に配置されている。集電部材302は、燃料電池セル301の厚さ方向(z軸方向)において、隣り合う燃料電池セル301を互いに電気的に接続している。
【0046】
集電部材302は、第2接合材102を介して、各燃料電池セル301に接合されている。第2接合材102は、導電性であり、酸化物セラミックスの焼成体、貴金属系(Pt、Au、Ag)、卑金属系(Ni、Ni基合金、Niとセラミックスのコンポジット)の材料によって形成される。具体的には、第1接合材101及び第2接合材101bは、例えば、ペロブスカイト酸化物、又はスピネル酸化物などが挙げられる。ペロブスカイト酸化物としては、例えば、(La,Sr)MnO
3、又は(La,Sr)(Co,Fe)O
3等が挙げられる。スピネル酸化物としては、例えば、(Mn,Co)
3O
4、又は(Mn,Fe)
3O
4等よりなる群から選ばれる少なくとも1種によって形成される。
【0047】
集電部材302は、複数の発電素子部10のうち、最も近位側(マニホールド200側)に位置する発電素子部10Aよりも近位側に配置されている。詳細には、
図6に示すように、集電部材302は、最も近位側に位置する発電素子部10Aから延びる空気極集電膜32に接合されている。
【0048】
集電部材302は、ブロック状であり、例えば、直方体状又は円柱状である。集電部材302の厚さは、例えば、0.5〜5mm程度とすることができる。なお、集電部材302の厚さとは、厚さ方向(z軸方向)の寸法を言う。
【0049】
集電部材302は、導電性であり、例えば、酸化物セラミックスの焼成体で構成されている。このような酸化物セラミックスとしては、例えば、ペロブスカイト酸化物、又はスピネル酸化物などが挙げられる。ペロブスカイト酸化物としては、例えば、(La,Sr)MnO
3、又は(La,Sr)(Co,Fe)O
3等が挙げられる。スピネル酸化物としては、例えば、(Mn,Co)
3O
4、又は(Mn,Fe)
3O
4等が挙げられる。また、集電部材はSOFC用特殊鋼(Fe−Cr合金)であってもよい。この集電部材302は、例えば、可撓性を有していない。
【0050】
[発電方法]
以上のように構成された燃料電池スタック100は、次のようにして発電する。マニホールド200を介して各燃料電池セル301の燃料ガス流路21内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板20の両面を酸素を含むガス(空気等)に曝すことにより、電解質5の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。この燃料電池スタック100を外部の負荷に接続すると、空気極6において下記(1)式に示す電気化学反応が起こり、燃料極4において下記(2)式に示す電気化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O
2+2e
−→O
2− …(1)
H
2+O
2−→H
2O+2e
− …(2)
【0051】
酸素を含むガスは、例えば、
図8に示すように、幅方向に沿って流れるように、集電部材302とマニホールド200との間の空間に供給される。詳細には、燃料電池スタック100は、ガス供給部材400をさらに有している。ガス供給部材400は、各燃料電池セル301の間において、各集電部材302とマニホールド200の天板203との間に空気などのガスを供給するように構成されている。なお、ガス供給部材400から供給されたガスが効率的に上方へ流れるよう、案内板401がガス供給部材400と反対側に設置されていてもよい。案内板401は、平板状であって、燃料電池セル301の長手方向に延びるとともに、燃料電池セル301の厚さ方向に延びている。
【0052】
以上のように発電する各発電素子部10は、電気的接続部30を介して、互いに直列に接続されている。また、各燃料電池セル301は、集電部材302を介して、互いに直列に接続されている。このように各燃料電池セルが接続された燃料電池スタック100を外部回路(図示省略)に接続することで、外部回路へと電流を流すことができる。その一方で、本実施形態に係る燃料電池スタック100は、一部の電流を、緻密膜11及び第1接合材101を介してマニホールド200の天板203に流すように構成されている。具体的には、燃料電池スタック100は、その定格電流の0.01%以上の電流を天板203に流すように構成されている。好ましくは、燃料電池スタック100は、その定格電流の0.01〜1%の電流を天板203に流すように構成されている。なお、燃料電池スタック100の定格電流は、例えば、0.1〜100A程度である。
【0053】
例えば、各燃料電池セル301の空気極集電膜32の近位端からマニホールド200の天板203の上面までの距離d1や、燃料電池セル301と天板203との距離d2、緻密膜11の導電率及び膜厚、の少なくともいずれかを調整することなどによって、天板203に流す電流の大きさを調整することができる。なお、本実施形態において、燃料電池セル301と天板203との距離d2とは、緻密膜11の表面と貫通孔202の内壁面との距離を言う。
【0054】
具体的には、燃料電池セル301の長手方向(x軸方向)において、距離d1を100mm以下程度にしたり、距離d2を1mm以下としたり、緻密膜11の導電率を0.01S/cm以上とし膜厚を5μm以上としたりすることなどによって、燃料電池スタック100の定格電流の0.01%以上の電流を天板203に流すことができる。
【0055】
[製造方法]
次に、上述したように構成された燃料電池スタックの製造方法について説明する。
【0056】
まず、マニホールド200と複数の燃料電池セル301とを準備する。そして、
図9に示すように、集電部材302、及び第2接合材102によって、各燃料電池セル301を互いに接続し、セル集合体300を作製する。なお、この段階では第2接合材102は焼成されておらず、各燃料電池セル301は互いに仮止めの状態である。
【0057】
次に、
図10に示すように、セル集合体300の各燃料電池セル301の下端部をマニホールド200の各貫通孔202に挿入する。なお、各燃料電池セル301が厚さ方向に沿って所定の間隔を保持するための治具を用いてもよい。
【0058】
次に、
図2に示すように、燃料電池セル301が挿入された状態の貫通孔202内に第1接合材101を充填する。なお、第1接合材101は、支持板の表面から上方に向けてはみ出す程度まで充填することが好ましい。
【0059】
次に、第1接合材101及び第2接合材102に対して熱処理が加えられる。この熱処理によって、第1接合材101及び第2接合材102が固化され、燃料電池スタック100が完成する。詳細には、第2接合材102は、熱処理を施されることによって焼成される。この結果、各燃料電池セル301と集電部材302とが固定される。また、第1接合材101は、熱処理を施されることによって、非晶質材料の温度が結晶化温度まで到達する。そして、結晶化温度下にて材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される第1接合材101が機能を発揮し、各燃料電池セル301の近位端部がマニホールド200に固定される。その後、所定の治具が燃料電池スタック100から取り外される。
【0060】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0061】
変形例1
上記実施形態では、一対の燃料電池セル301の間に1つの集電部材302が配置されていたが、燃料電池スタック100の構成はこれに限定されない。例えば、
図11に示すように、一対の燃料電池セル301間に複数の集電部材302が配置されていてもよい。各集電部材302は、燃料電池セル301の幅方向(y軸方向)に互いに間隔をあけて配置されている。
【0062】
変形例2
上記実施形態では、各集電部材302は、各燃料電池セル301の近位端部303側において、隣り合う燃料電池セル301同士を接続しているが、接続箇所はこれに限定されない。例えば、
図12に示すように、各集電部材302は、各燃料電池セル301の遠位端部304において、隣り合う燃料電池セル301を接続していてもよい。
【0063】
変形例3
上記実施形態では、緻密膜11は、電解質5と反応防止膜7とによって構成されていたが、緻密膜11の構成はこれに限定されない。
【解決手段】燃料電池スタックは、運転モードにおいて外部回路に電流を流すように構成されている。この燃料電池スタックは、マニホールドと、燃料電池セル301と、第1接合材101とを備えている。マニホールドは、導電性の天板203を有する。燃料電池セル301は、天板203に支持される。第1接合材101は、燃料電池セル301とマニホールドとを接合する。運転モードにおいて、燃料電池スタックは、燃料電池セル301から天板203へ電流の一部を流すように構成されている。