(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第2絶縁基板(30)の下部表面(34)に接して配置される第4導電層(50)を含み、第4導電層(50)は接地された固定基部(52)に固定されることができ、かつ電気的に接続されることができる、請求項1または2に記載の装置(14)。
第1端子(24)および第2端子(26)の各々は、基板から別個に伸びたベアリングプレート(54)を含み、第1および第2端子のベアリングプレート(54)は部分的に互いに実質的に平行であり、装置(14)はベアリングプレート(54)の間に配置される電気絶縁体(58)をさらに含む、請求項1から5の何れか一項に記載の装置(14)。
第1導電層(36)が少なくとも2つの電子部品を接続するためのパッドを含み、パッドは2つの電子部品(12)の間の間隔が3mmを超えるように配置される、請求項1から6の何れか一項に記載の少なくとも2つの電子部品(12)を電力供給装置と相互接続するための装置(14)。
電力供給装置に接続されることができ、少なくとも1つの電子部品(12)、および電子部品または各電子部品(12)を電力供給装置と相互接続する装置(14)を含むような電子システム(10)であって、相互接続装置(14)が請求項1から7の何れか一項に記載の装置であることを特徴とする、電子システム(10)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの電子部品を電力供給装置に電気的に相互接続するための装置に関し、この装置は以下を含むようなものである:
・第1端子、第2端子、および第1端子と第2端子との間の導電ループ、
・実質的に平行である上部面表面および下部面表面を含む絶縁基板、
・絶縁基板の上部表面と接触して配置され、電流が流れるための経路および電子部品または各電子部品を接続するためのパッドを含み、電流の第1導電面を形成する第1導電層、
導電ループは経路を含み、インダクタンスを有する。
【0002】
本発明は、少なくとも一つの電子部品およびそのような相互接続装置を含む、電力供給装置に接続されるのに適合した電子システムにも関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、部品の迅速なスイッチングが可能となるように、第1端子および第2端子の間の導電ループのインダクタンスの値が低減されることを可能にする電気相互接続装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明の目的は上述のタイプの電気相互接続装置であり、導電ループのインダクタンスを低減する手段をさらに含み、低減手段は絶縁基板の下部表面と接触して配置される第2導電層を含み、第2導電層は電流が第1導電面と実質的に平行な第2導電面を形成し、第2導電層は、第1面に垂直な方向に、第1導電層を実質的に転置したものであり、および2つの導電面の間に電気リンクをさらに含み、第1端子は第1導電面に接続され、第2端子は第2導電面に接続され、電流が2つの平行な導電面の中をまたは電気リンクを介して第1端子から第2端子へと流れることができるようにし、第2面内を電流が流れる方向は第1面内の電流の方向と反対である。
【0007】
他の実施形態によれば、電気相互接続装置は、別個にまたは技術的に可能な任意の組み合わせに従って、一つまたは幾つかの下記の特性を有する。
・装置は、実質的に平行である上部面表面および下部面表面を含む第2絶縁基板、および第2絶縁基板の上部表面に接触して配置される第3導電層をさらに含み、第3導電層は第2導電層に固定され、かつ電気的に接続され、第2および第3導電層は第2導電面を形成し、
・絶縁基板の数は二つであり、
・装置は第2絶縁基板の下部表面に接して配置される第4導電層を含み、第4導電層は接地された固定基部に固定されることができ、かつ電気的に接続されることができ、
・第1端子および第2端子は基板の同じ側、電気リンクの反対側に接続され、
・電気リンクは絶縁基板のまたは絶縁基板の各々の外部に配置され、
・電気リンクは予備成形された、好ましくは銅で作られた、金属板の形態であり、
・第1端子および第2端子の各々は、基板から別個に伸びたベアリングプレートを含み、第1および第2端子のベアリングプレートはある程度互いに実質的に平行であり、装置はベアリングプレートの間に配置される電気絶縁体をさらに含み、
・装置は、電子部品をまたは各電子部品を対応する導体に接続する少なくとも一つのプレートをさらに含み、接続プレートは、実質的に平行である上部面平面、下部面平面、および下部表面と接触して配置される導電層を含み、前記導電層は追加の導電面を形成し、追加面は第1および第2導電面に平行であり、追加面内の電流の方向は第1面の電流の方向と同じであり、第1導電層は少なくとも2つの電子部品を接続するためのパッドを含み、パッドは2つの電子部品の間の間隔が3mmを超えるように、好ましくは5mm以上であるように配置される。
【0008】
本発明の他の目的は、電力供給装置に接続されることができ、少なくとも一つの電子部品、および電子部品または各電子部品を電力供給装置と相互接続する装置を含み、相互接続装置は上述のようなものであるタイプの電子システムである。
【0009】
これらの特性および本発明の利点は、例示としてのみ提供され、かつ添付される図面を参照して与えられる以下の記述を読むことによって明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1において、電力供給装置(図示されない)に接続されることができる電子システム10は、複数の電子部品12および電子部品と電力供給装置とを相互接続する装置14を含む。
【0012】
電子システム10は、例えば、ある電流から他の電流への静止形コンバータである。
図1の例示的実施形態において、電子システム10はDCバス(図示されない)を流れる直流からACバス(図示されない)を流れる交流へのコンバータである。直流/交流コンバータ10はインバータとしても知られる。
【0013】
他の方法として電子システムは、整流器としても知られる、直流コンバータに対する代替物である。さらに他の方法として、電子システムは電流および電圧両方向直流/交流コンバータであり、電流はDCバスからACバスへと流れることができ、ACバスからDCバスへと流れることもできる。
【0014】
さらに他の方法として、電子システムはDC/DCコンバータ、またはAC/ACコンバータである。
【0015】
各電子部品12は、
図2に示されるように、実質的に平行である上部表面18および下部表面20を含む。各電子部品12は、
図1から明らかなように、相互接続装置に接続される電極22を含む。各電子部品12は、その下部表面20上に単一の電極22を、およびその上部表面18上に一つ以上の電極を含む。
【0016】
電子部品12は、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であり、したがってその上部表面18上に2つの電極22を含む。さらに、電子部品12は例えばダイオードであり、したがってその上部表面18上に単一の電極22を含む。
図1の例示的実施形態において、電子システムは10個のIGBTと8個のダイオードを含む。
【0017】
相互接続装置14は、DCバスに接続されることができる第1端子24および第2端子26を含む。相互接続装置14は、ACバスに接続されることができるフェイス端子27を含む。
図1の例示的実施形態において、電子システム10はインバータであり、電力供給装置はDCバスに接続される直流電圧源である。
【0018】
相互接続装置14は、第1絶縁基板28および第2絶縁基板30を含む。各絶縁基板28、30は、実質的に平行である上平面表面32および下平面表面34を含む。
【0019】
電気相互接続装置14は、第1絶縁基板28の上表面に接触して配置され、電流経路38および電子部品を接続するためのパッド(図示されない)を含む第1導電層36を含む。パッドは電子部品の下部表面20の電極と接触する。第1導電層36は、
図2に示されるように、第1導電面P1を形成する。
【0020】
相互接続装置14は、第1端子24および第2端子26の間の導電ループ42を有し、導電ループ42は導体38を含み、インダクタンスLを有する。
【0021】
相互接続装置14は、本発明による、導電ループのインダクタンスLを低減するための手段を含み、低減手段は第1面P1に平行な第2導電面P2を含む。
【0022】
図1および2の例示的実施形態において、低減手段は第2導電層44、および第2導電層44に固定され、かつ電気的に接続された第3導電層46を含み、第2および第3導電層44および46は第2導電面P2を形成する。
【0023】
インダクタンス低減手段は、第1導電面P1と第2導電面P2との間に電気リンク48も含む。
図1および2の例示的実施形態において、電気リンク48は第1導電面を形成する第1導電層36と第2導電面の第3導電層46との間に接続される。
【0024】
さらに、相互接続装置14は、第2絶縁基板30の下部表面と接触して配置される第4導電層50を含み、第4導電層50は電気的に接地された固定基部52(図示されない)に固定され、かつ電気的に接続される。第4導電層50は、例えば固定基部52とのはんだ層である。
【0025】
電気相互接続装置14は、
図2に示されるように、対応する経路38に電子部品の上部表面18の電極を接続するための2つのプレート51を含む。その代わりに、対応する経路38への電子部品の上部表面18の電極の接続は、接着により形成される。
【0026】
第1端子24は第1導電面P1に電気的に接続される。より正確には、第1端子24は第1導電層の経路38にはんだ付けされる。
【0027】
第2端子26は第2導電面P2に電気的に接続される。
図1および2の例示的実施形態において、第2端子26は第3導電層46にはんだ付けされる。
【0028】
第1端子24および第2端子26は電気リンク48とは反対の、基板28および30と同じ側に接続される。
【0029】
第1端子24および第2端子26は各々基板28、30から離れて伸びたベアリングプレート54を含む。第1および第2端子24、26は各々対応するベアリングプレート54と一体化され、電気供給装置と繋がった電力ケーブル(図示されない)の接続を可能にする接続リング56を含む。入力および出力端子のベアリングプレート54は部分的に実質的に互いに平行である。
【0030】
さらに、相互接続装置14は、入力および出力端子のベアリングプレート54の間に配置される電気絶縁体58を含む。
【0031】
フェイス端子27は基板28、30から離れて伸びたベアリングプレート60を含み、接続リング62はベアリングプレート60と一体化している。
【0032】
絶縁基板28、30は、例えば窒化アルミニウム(AlN)、または酸化アルミニウム(Al
2O
3)、または窒化シリコン(Si
3N
4)、またはサファイアとしても知られる他の単結晶アルミナで作られる。絶縁基板28、30は好ましくは窒化アルミニウムで作られる。例えば、絶縁基板28、30、31はミリメートルのオーダーの厚みを有する。
【0033】
第2導電層44は第1絶縁基板28の下部表面に接して配置され、第3導電層46は第2絶縁基板30の上部表面に接して配置される。
【0034】
第2導電層44は、第1面P1の法線方向Nに第1導電層36を実質的に転置させたものである。
【0035】
第1導電層36、第2導電層44、第3導電層46、および第4導電層50は、対応する絶縁基板28、30を金属化することによって得られ、数百マイクロメートルの厚みを有する。
【0036】
導電層36、44、46、50は例えば銅またはアルミニウムで作られる。
【0037】
パッドは、2つの電子部品12の間の間隔が3mmよりも大きく、好ましくは5mm以上であるように配置される。
【0038】
電気リンク48は、絶縁基板28、30から外側に配置される。電気リンク48は予備成形された金属板の形態であり、好ましくは銅で作られる。
図1および2の例示的実施形態において、電気リンク48は一方で第1導電層36に、および他方で第3導電層46にはんだ付けされる。
【0039】
各接続プレート51は、実質的に平行である上部平面表面64、下部平面表面66、および下部表面に接触して配置される導電層68を含む。各接続プレート51は、電子部品の対応する電極22と導電層68との間に第1接続ビーズ70を含む。各接続プレート51は、導電層68と対応する導体38との間に第2接続ビーズ72を含む。言い換えれば、各々の第1ビーズ70は接続プレートの導電層68と電子部品の対応する電極22との間に配置され、各々の第2ビーズ72は導電層68と対応する導体38との間に配置される。
【0040】
さらに、各接続プレート51は上部表面に接触して配置される導電層74を含む。
【0041】
固定基部52は、例えばセラミック−金属複合体、例えばアルミニウム内部に配置された炭化ケイ素粒子を有するアルミニウム複合体、で作られる。
【0042】
電気絶縁体58は、例えば入力および出力端子のベアリングプレート54の間に配置される柔軟な絶縁材料の層である。
【0043】
導電層68は、追加の導電面P3を形成し、追加の面P3は第1および第2導電面P1、P2と平行である。
【0044】
導電層74は各電子部品12の制御手段、前記電子部品12が制御可能である場合、例えばそのゲート電極を介するIGBTなど、のための電気的接続面を形成する。導電層74はその後、電気リンク(図示されない)を介して制御可能な電子部品12の、ゲート電極などの制御電極にも接続される。
【0045】
図1および2の例示的実施形態において、絶縁基板28、30の数は2に等しい。
【0046】
その代わりに、相互接続装置14は、第1絶縁基板28と、第1導電層36および第2導電層44のみを含み、第1導電層36は常に第1導電面P1を形成し、第2導電層44は第1導電面P1に実質的に平行である第2導電面P2を形成する。第1端子24は第1導電層36に接続され、第2端子26は第2導電層44に接続される。この変形例によれば、電気リンク48は一方で第1導電層36に接続され、他方で第2導電層44に接続される。固定基部52は電気的に絶縁性の基部であり、第2導電層44は接地から電気的に絶縁される。
【0047】
本発明による電子システムの操作が
図2を参照して説明される。
【0048】
インバータ10による直流電圧から交流電圧への変換は、その間正極端子(例えば第2端子26)の電圧がフェイス端子27に流れる第1段階、およびその間負極端子(例えば第1端子24)の電圧がフェイス端子27に流れる第2段階を交互に含む。フェイス端子に運ばれた電圧は、結果的に交流電圧である。第1および第2段階は端子24、26からフェイス端子27への電流の伝導の段階である。
【0049】
直流電圧から交流電圧への変換は、2つの連続する導電段階の間のスイッチング段階も含む。第1導電段階と第2導電段階との間の第1スイッチング段階の間、
図2において矢印I1からI3で表されるように、電流は第2端子26から第1端子24へと流れる。反対に、第2導電段階と第1導電段階との間の第2スイッチング段階の間、電流は第1端子24から第2端子26へと流れる。
【0050】
第1スイッチング段階の間、電流は第2導電面P2内を第1の流れ方向(矢印I1)に従って第2端子26から電気リンク48へと流れる。その後電流は、電気リンク48から第1端子24へ、第1の流れ方向とは反対の第2の流れ方向(矢印I2)に従って第1導電面P1内を、そして接続プレートの追加面P3内を流れる。追加面内の電流の方向(矢印I3)は第1面内の電流の方向(矢印I2)と同じである。
【0051】
言い換えれば、第2端子26から第1端子24への第1スイッチング段階の間、電流は電気リンク48を介して2つの平行な導電面P2、P1内を流れ、第2面P2内の電流が流れる方向は第1面P1内の電流の方向と反対であり、結果的に2つの導電面P1、P2の間に相互インダクタンスMを生成する。
【0052】
反対に、類推により、第1端子24から第2端子26への第2スイッチング段階の間、電流は電気リンク48を通って2つの平行な導電面P1、P2内を流れ、第2面P2内の電流が流れる方向はやはり第1面P1内の電流の方向と反対であり、同様に2つの導電面P1、P2の間に相互インダクタンスMを生成する。
【0053】
2つの導電面P1、P2の間の相互インダクタンスMが導電ループ42のインダクタンスLを低減するので、その後導電ループ42のインダクタンスLは、最先端の技術の相互接続装置の導電ループと比較して低い値を有する。
【0054】
より正確には、電子部品の上部表面18の電極が対応する経路38に接着によって電気的に接続される場合、本発明による相互接続装置の導電ループのインダクタンスLは以下の式を満たす。
L=L1+L2−2xM (I)
ここで、L1は第1面P1のインダクタンスであり、L2は第2面P2のインダクタンスである。
【0055】
比較として、最先端の相互接続装置の導電ループのインダクタンスLiniは以下の式を満たす。
Lini=L1
【0056】
本発明による相互接続装置14の導電ループのインダクタンスLは、10nH未満であり、例えば8nHであり、したがって同じ電流および電圧の条件の下で30nHを越える値を有する最先端の相互接続装置と比較して実質的に低い。
【0057】
さらに、入力および出力端子のベアリングプレート54の配置(部分的に互いに平行である)もまた、相互インダクタンスの生成を可能にする。
【0058】
電子部品12の間の3mmを越える間隔は、電子部品に起因する耐熱性を低減させる可能性があり、その結果、第2絶縁基板30の存在に起因する耐熱性の若干の向上が補償される可能性があり、本発明による電子システムの耐熱性が最先端の電子システムのものと実質的に同じであるようにする。
【0059】
このように、本発明による電気相互接続装置が、第1端子と第2端子との間の導電ループの寄生インダクタンスの値が低減されることを可能にすることは明白である。その結果、ループの寄生インダクタンスの低減が電子システム内のサージおよびオシレーションの低減をもたらし、電子部品の迅速なスイッチングが可能となる。