特許第6154113号(P6154113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154113
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】電子回路およびそれを備える電子機器
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/22 20060101AFI20170619BHJP
   H03K 5/135 20060101ALI20170619BHJP
   G06F 1/24 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   H03K17/22 C
   H03K5/135
   G06F1/24 351
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-222107(P2012-222107)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-75696(P2014-75696A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渕上 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】江間 則之
(72)【発明者】
【氏名】木村 啓明
(72)【発明者】
【氏名】藤森 敬和
【審査官】 小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−000386(JP,A)
【文献】 特開平10−207580(JP,A)
【文献】 特開2009−044434(JP,A)
【文献】 特開2004−070854(JP,A)
【文献】 特開平09−153777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/22
H03K 5/135
G06F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を不揮発的に保持する記憶部を含む信号処理回路と、
電圧源から入力された電圧に基づいて前記信号処理回路の電源電圧を生成して、前記電源電圧を前記信号処理回路に供給する電圧処理回路と、
前記電源電圧を受けて、前記電源電圧が前記信号処理回路に供給された後に電圧信号を前記信号処理回路に供給する遅延回路とを備え、
前記信号処理回路は、前記電圧処理回路から前記電源電圧の供給を受けた後に、前記電圧信号に応答して前記情報を更新して、当該更新された情報を不揮発的に前記記憶部に保持し、
前記遅延回路は、前記電源電圧を監視して、前記電源電圧が基準値以上になった場合に、前記信号処理回路が前記情報を更新不可能な状態から更新可能な状態に移行するためのリセット解除信号を前記信号処理回路に出力して、前記リセット解除信号の後に前記電圧信号を前記信号処理回路に出力する、電子回路。
【請求項2】
前記電圧源は、直流電源であって、
前記直流電源の投入時において、前記電圧処理回路は、前記直流電源からの直流電圧に基づいて前記電源電圧を生成する、請求項に記載の電子回路。
【請求項3】
前記電圧源は、正極性および負極性のうちのいずれか一方の極性を有するパルス電圧を出力するパルス電源であって、
前記電圧処理回路は、前記パルス電圧の前記極性に対応した半波整流回路を含み、
前記半波整流回路は、前記パルス電源から供給される前記パルス電圧を半波整流することにより、前記電源電圧を生成する、請求項に記載の電子回路。
【請求項4】
前記電圧源は、正極性および負極性の双方の極性のパルス電圧を出力するパルス電源であって、
前記電圧処理回路は、全波整流回路を含み、
前記全波整流回路は、前記パルス電源から供給される前記パルス電圧を全波整流することにより、前記電源電圧を生成する、請求項に記載の電子回路。
【請求項5】
情報を不揮発的に保持する記憶部を含む信号処理回路と、
電圧源から入力された電圧に基づいて前記信号処理回路の電源電圧を生成して、前記電源電圧を前記信号処理回路に供給する電圧処理回路と、
前記電源電圧を受けて、前記電源電圧が前記信号処理回路に供給された後に電圧信号を前記信号処理回路に供給する遅延回路とを備え、
前記信号処理回路は、前記電圧処理回路から前記電源電圧の供給を受けた後に、前記電圧信号に応答して前記情報を更新して、当該更新された情報を不揮発的に前記記憶部に保持し、
前記電圧源は、正極性および負極性の双方の極性のパルス電圧を出力するパルス電源であって、
前記電圧処理回路は、第1の半波整流回路と、第2の半波整流回路とを含み、
前記信号処理回路は、第1の信号処理部と、第2の信号処理部とを含み、
前記第1および第2の信号処理部は、第1および第2の記憶部をそれぞれ有し、
前記第1の半波整流回路は、前記パルス電圧のうちの正極性のパルス電圧を半波整流することにより、第1の電源電圧を前記電源電圧として生成し、
前記第2の半波整流回路は、前記パルス電圧のうちの負極性のパルス電圧を半波整流することにより、第2の電源電圧を前記電源電圧として生成し、
前記第1の信号処理部は、前記第1の半波整流回路により生成された前記第1の電源電圧を受け、
前記第2の信号処理部は、前記第2の半波整流回路により生成された前記第2の電源電圧を受ける、電子回路。
【請求項6】
前記遅延回路は、前記電源電圧を監視して、前記電源電圧が基準値以上になった場合に、前記信号処理回路が前記情報を更新不可能な状態から更新可能な状態に移行するためのリセット解除信号を前記信号処理回路に出力して、前記リセット解除信号の後に前記電圧信号を前記信号処理回路に出力する、請求項に記載の電子回路。
【請求項7】
電源の投入回数をカウントするためのカウンタであって、
前記電源の投入により電源電圧の供給を受け、前記電源の前記投入回数を示すカウント値を不揮発的に保持する信号処理回路と、
前記電源電圧を監視して、前記電源電圧が基準値以上になった場合に、第1の電圧信号を前記信号処理回路に出力する第1の遅延回路と、
前記第1の電圧信号よりも後に第2の電圧信号を前記信号処理回路に出力する第2の遅延回路とを備え、
前記信号処理回路は、前記第1の電圧信号を受けることにより、前記カウント値を更新不可能な状態から更新可能な状態に移行して、前記第2の電圧信号をさらに受けることにより、前記カウント値を更新して、当該更新されたカウント値を不揮発的に保持する、カウンタ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子回路、または、請求項7に記載のカウンタを備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路およびそれを備える電子機器に関し、特に、情報を不揮発的に保持する記憶部を含む電子回路およびそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パルスカウンタは、パルスの数をカウントする。特開2007−104020号公報(特許文献1)には、パルスカウンタの一例が開示されている。
【0003】
特許文献1のパルスカウンタは、共通入力端子と、共通化入力回路と、コンパレータ回路と、ホールド回路と、リセット回路と、レベル判定部と、リセット信号発生部と、カウント部とを備える。共通入力端子は、第1または第2のケーブルに接続される。第1のケーブルは、他装置の出力端子に接続される。この他装置に設けられた無電圧接点からパルスが出力される。また、第2のケーブルは、外部に設けた変流器の出力端子に接続される。この変流器では、他装置に設けられた無電圧接点から出力されるパルスが検出される。
【0004】
共通化入力回路は、共通入力端子に接続されて、他装置からの出力および変流器からの出力のいずれにも対応する。コンパレータ回路には、共通化入力回路の出力と、設定される基準電位とが入力される。ホールド回路は、コンパレータ回路の出力のH(ハイ)レベルをホールドする。リセット回路は、ホールド回路によりホールドされたコンパレータ回路の出力をリセットする。レベル判定部は、ホールド回路によりホールドされたコンパレータ回路の出力レベルを判定する。リセット信号発生部は、レベル判定部からHレベル判定信号が出力されると、リセット回路にリセット信号を出力する。カウント部は、Hレベル判定信号をカウントする。上記の構成によれば、他装置から入力されるパルスと変流器から入力されるパルスとの間で入力方式が異なる場合であっても、入力端子を共通化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−104020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、パルスカウンタは、マイクロコンピュータあるいは専用のカウンタIC(Integrated Circuit)と、クロック発振器と、不揮発性メモリとを備える。クロック発振器は、クロック信号をマイクロコンピュータに供給する。不揮発性メモリは、不揮発的にカウント値を保持する。不揮発性メモリは、たとえばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。
【0007】
パルスカウンタに電源が投入されると、クロック発振器からのクロック信号がマイクロコンピュータに供給される。これにより、マイクロコンピュータはカウント処理が可能になる。まず、マイクロコンピュータは、EEPROMに保持されたカウント値を読み出す。その後、パルスであるカウント信号がマイクロコンピュータに供給される。マイクロコンピュータは、上記カウント値とカウント信号とに基づいて、カウント処理を実行する。カウント処理の結果は、EEPROMに格納される。
【0008】
パルスカウンタに電源が投入されると、クロック発振器は発振を開始する。しかし、クロック発振器の動作が安定するには時間がかかる。また、EEPROMの読み出し/書き込みにも時間がかかる。このように、一般的なパルスカウンタでは、電源の投入からEEPROMへの書き込み完了までの一連の処理が完了するまでに、ある程度の時間を要する。
【0009】
一般に、従来の電子回路では、電源から電子回路に電圧が供給されてからある程度の時間が経過するまでは、信号処理を実行することができない。そのため、信号処理を開始するための電圧信号(たとえばカウント信号)は、電源から電子回路に電圧が供給されてからある程度の時間が経過した後に、外部の回路から電子回路に供給されることが必要である。
【0010】
本発明の目的は、信号処理を開始するための電圧信号とは独立した電源から電圧が供給されない場合であっても、信号処理を実行することができる電子回路およびそれを備える電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある局面に係る電子回路は、情報を不揮発的に保持する記憶部を含む信号処理回路と、電圧源から入力された電圧に基づいて信号処理回路の電源電圧を生成して、電源電圧を信号処理回路に供給する電圧処理回路と、電源電圧を受けて、電源電圧が信号処理回路に供給された後に電圧信号を信号処理回路に供給する遅延回路とを備える。電圧処理回路から電源電圧の供給を受けた後に、信号処理回路は、電圧信号に応答して情報を更新して、当該更新された情報を不揮発的に記憶部に保持する。
【0012】
好ましくは、遅延回路は、電源電圧を監視して、電源電圧が基準値以上になった場合に、信号処理回路が情報を更新不可能な状態から更新可能な状態に移行するためのリセット解除信号を信号処理回路に出力して、リセット解除信号の後に電圧信号を信号処理回路に出力する。
【0013】
好ましくは、電圧源は、直流電源である。直流電源の投入時において、電圧処理回路は、直流電源からの直流電圧に基づいて電源電圧を生成する。
【0014】
好ましくは、電圧源は、正極性および負極性のうちのいずれか一方の極性を有するパルス電圧を出力するパルス電源である。電圧処理回路は、パルス電圧の極性に対応した半波整流回路を含む。半波整流回路は、パルス電源から供給されるパルス電圧を半波整流することにより、電源電圧を生成する。
【0015】
好ましくは、電圧源は、正極性および負極性の双方の極性のパルス電圧を出力するパルス電源である。電圧処理回路は、全波整流回路を含む。全波整流回路は、パルス電源から供給されるパルス電圧を全波整流することにより、電源電圧を生成する。
【0016】
好ましくは、電圧源は、正極性および負極性の双方の極性のパルス電圧を出力するパルス電源である。電圧処理回路は、第1の半波整流回路と、第2の半波整流回路とを含む。信号処理回路は、第1の信号処理部と、第2の信号処理部とを含む。第1および第2の信号処理部は、第1および第2の記憶部をそれぞれ有する。第1の半波整流回路は、パルス電源が出力するパルス電圧のうちの正極性のパルス電圧を半波整流することにより、第1の電源電圧を電源電圧として生成する。第2の半波整流回路は、パルス電源が出力するパルス電圧のうちの負極性のパルス電圧を半波整流することにより、第2の電源電圧を電源電圧として生成する。第1の信号処理部は、第1の半波整流回路により生成された第1の電源電圧を受ける。第2の信号処理部は、第2の半波整流回路により生成された第2の電源電圧を受ける。
【0017】
本発明の他の局面に係るカウンタは、電源の投入回数をカウントする。カウンタは、電源の投入により電源電圧の供給を受け、電源の投入回数を示すカウント値を不揮発的に保持する信号処理回路と、電源電圧を監視して、電源電圧が基準値以上になった場合に、第1の電圧信号を信号処理回路に出力する第1の遅延回路と、第1の電圧信号よりも後に第2の電圧信号を信号処理回路に出力する第2の遅延回路とを備える。信号処理回路は、第1の電圧信号を受けることにより、カウント値を更新不可能な状態から更新可能な状態に移行して、第2の電圧信号をさらに受けることにより、カウント値を更新して、当該更新されたカウント値を不揮発的に保持する。
【0018】
好ましくは、電子機器は、上記の電子回路を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、信号処理を開始するための電圧信号とは独立した電源から電圧が供給されない場合であっても、信号処理を実行することができる電子回路およびそれを備える電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態1に係る電子回路の構成を模式的に示すブロック図である。
図2図1に示した信号処理回路および遅延回路の構成をより詳細に説明するためのブロック図である。
図3図2に示した電子回路における、入力電圧と、電源電圧と、電圧信号との時間的な前後関係を説明するための図である。
図4図2に示した電子回路におけるカウント処理の手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態2に係る電子回路の構成を模式的に示すブロック図である。
図6図5に示した電子回路における、入力電圧と、電源電圧と、電圧信号との時間的な前後関係を説明するための図である。
図7】本発明の実施の形態3に係る電子回路の構成を模式的に示すブロック図である。
図8図7に示した電子回路における、入力電圧と、電源電圧と、電圧信号との時間的な前後関係を説明するための図である。
図9】本発明の実施の形態4に係る電子回路の構成を模式的に示すブロック図である。
図10図9に示した電子回路における、入力電圧と、電源電圧と、電圧信号との時間的な前後関係を説明するための図である。
図11】本発明の実施の形態5に係る電子回路の構成を模式的に示すブロック図である。
図12図11に示した電子回路における、入力電圧と、電源電圧と、電圧信号との時間的な前後関係を説明するための図である。
図13】本発明の実施の形態6に係る電子機器の模式的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0022】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係るカウンタの構成を模式的に示すブロック図である。図1を参照して、直流電源101から図示しない外部機器に電圧V1が投入される。電圧V1は、定常状態では直流電圧Vdcになる。カウンタ1は、直流電源101から外部機器への直流電圧Vdcの投入回数をカウントするためのカウンタである。カウンタ1は、カウント処理回路(信号処理回路)10と、レギュレータ80と、遅延回路90とを備える。カウント処理回路10は、不揮発性レジスタ11を含む。なお、カウンタは、本発明に係る「電子回路」の一例であって、電子回路の種類はこれに限定されるものではない。また、レギュレータ80は、本発明に係る「電圧処理回路」の一例である。カウンタ1は、直流電源101から外部機器への直流電圧Vdcの投入回数に替えて、直流電源101の直流電圧Vdcの生成回数をカウントしてもよい。
【0023】
直流電源101から電圧V1がレギュレータ80に供給される。レギュレータ80は、この電圧V1に基づいて、電圧V2を生成する。レギュレータ80に入力される電圧V1が、基準電位から直流電圧Vdcに上昇する。直流電圧Vdcがレギュレータ80に供給されることにより、レギュレータ80は電源電圧Vddを生成する。電源電圧Vddは、カウント処理回路10に供給されるとともに、遅延回路90にも供給される。なお、直流電圧は、本発明に係る「入力電圧」の一例である。
【0024】
遅延回路90は、電源電圧Vddに基づいてカウント信号Spを生成する。遅延回路90は、生成したカウント信号Spをカウント処理回路10に出力する。カウント信号Spは、電源電圧Vddが遅延回路90に供給されるよりも遅延して出力される。
【0025】
カウント処理回路10は、カウント信号Spの入力回数をカウントする。カウント処理回路10は、電源電圧Vddの供給を受け、その後に、遅延回路90からカウント信号Spを受ける。不揮発性レジスタ11は、カウント信号Spの入力回数を示すカウント値(情報)を不揮発的に保持する。
【0026】
図2は、図1に示したカウント処理回路10および遅延回路90の構成をより詳細に説明するためのブロック図である。図2を参照して、カウンタ1はたとえば4ビットカウンタである。カウント処理回路10は、演算部12と、エッジ検出部13と、クロック生成部14と、不揮発性レジスタ制御部15とを含む。演算部12は、不揮発性レジスタ11を有する。
【0027】
エッジ検出部13は、カウント信号Spの入力の有無を検出する。より具体的には、エッジ検出部13は、カウント信号Spの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのうちの少なくとも一方を検出する。カウント信号Spのエッジを検出した場合、エッジ検出部13は、演算部12に信号を出力する。
【0028】
演算部12は、エッジ検出部13からの信号を受けて、カウント処理を実行する。このカウント処理については、後に詳細に説明する。演算部12では、インクリメント/デクリメント設定信号Ssetにより、カウント値をインクリメントするかデクリメントするかが設定される。本実施の形態では、カウント値はデクリメントするように設定される。演算部12からは、カウント処理の結果を示す4ビットの出力信号Soutが出力される。
【0029】
クロック生成部14は、不揮発性レジスタ制御部15が動作するためのクロック信号Sclkを生成する。不揮発性レジスタ制御部15は、このクロック信号Sclkを受けて、不揮発性レジスタ11を制御するための制御信号Sctrlを出力する。
【0030】
不揮発性レジスタ11は、演算部12によるカウント処理の結果であるカウント値を不揮発的に保持する。不揮発性レジスタ11に保持されたカウント値は、たとえばカウンタ1の外部に設けられたマイクロコンピュータ(図示せず)に出力される。不揮発性レジスタ11には強誘電体が用いられる。不揮発性レジスタ11は、たとえば不揮発性フリップフロップあるいはFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)であるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
レギュレータ80は、電圧V1に基づいて電圧V2を生成する。レギュレータ80に入力される電圧V1が直流電圧Vdcに達すると、レギュレータ80は電源電圧Vddを生成する。電源電圧Vddは、カウント処理回路10に供給されるとともに、遅延回路90にも供給される。
【0032】
遅延回路90は、電源電圧Vddがカウント処理回路10に供給された後に、リセット解除信号Srstおよびカウント信号Spをカウント処理回路10に出力する。遅延回路90を設けることにより、電源電圧Vddの供給からリセット解除信号Srstの出力までの間の遅延時間、および電源電圧Vddの供給からカウント信号Spの出力までの間の遅延時間を制御することができる。
【0033】
より具体的には、遅延回路90は、パワーオンリセットIC90a,90bと、コンデンサC1,C2とを含む。パワーオンリセットIC90aは、エッジ検出部13にカウント信号Spを出力する。パワーオンリセットIC90bは、不揮発性レジスタ制御部15にリセット解除信号Srstを出力する。リセット解除信号Srstを受けることにより、不揮発性レジスタ制御部15は、不揮発性レジスタ11に保持されたカウント値を更新不可能な状態から、このカウント値を更新可能な状態に移行する。このため、カウント処理回路10は、カウント信号Spの前にリセット解除信号Srstを受けることが必要である。
【0034】
パワーオンリセットIC90a,90bがそれぞれの信号を出力するタイミングは、コンデンサC1,C2の容量の大きさに依存する。コンデンサの容量が大きいほど、パワーオンリセットIC90a,90bからそれぞれの信号が出力されるタイミングは遅くなる。コンデンサC1の容量は、コンデンサC2の容量よりも大きく設定されている。これにより、パワーオンリセットIC90bからリセット解除信号Srstが出力された後に、パワーオンリセットIC90aからカウント信号Spが出力される。
【0035】
このように、遅延回路90を設けること、および遅延回路90によって遅延時間が制御できることが重要である。パワーオンリセットIC90a,90bおよびコンデンサC1,C2は遅延回路90の要素の一例であって、遅延回路90の構成はこれに限定されるものではない。たとえば、コンデンサを用いずに遅延時間の制御が可能なパワーオンリセットICも存在する。また、パワーオンリセットIC90bの出力をパワーオンリセットIC90aに入力してもよい。パワーオンリセットICを用いずに遅延回路90を構成してもよい。
【0036】
図3は、図2に示したカウンタ1における電圧V1と、電圧V2と、リセット解除信号Srstと、カウント信号Spとの時間的な前後関係を説明するための図である。図3を参照して、横軸は時間軸である。縦軸は、直流電源101からの電圧V1(波形3a)、レギュレータ80により生成された電圧V2(波形3b)、リセット解除信号Srst(波形3c)、およびカウント信号Sp(波形3d)の電圧を示す。測定を開始した時刻を基準時刻(0)とする。
【0037】
基準時刻からt1が経過した時刻において、直流電源101がレギュレータ80に電圧V1を供給する。その後、電圧V1は直流電圧Vdcに達する。
【0038】
基準時刻からt2が経過した時刻において、レギュレータ80が電圧V2を供給する。その後、電圧V2は電源電圧Vddに達する。電源電圧Vddは、カウント処理回路10およびパワーオンリセットIC90a,90bにそれぞれ供給される。
【0039】
基準時刻からt3が経過した時刻において、パワーオンリセットIC90bがリセット解除信号Srstを不揮発性レジスタ制御部15に出力する。これにより、不揮発性レジスタ制御部15は、不揮発性レジスタ11に保持されたカウント値を更新不可能な状態から、このカウント値を更新可能な状態に移行する。
【0040】
基準時刻からt4が経過した時刻において、パワーオンリセットIC90aがカウント信号Spを出力する。エッジ検出部13は、このカウント信号Spのエッジを検出して、信号を出力する。演算部12は、エッジ検出部13からの信号に基づいて、カウント処理を実行する。カウント処理の結果が不揮発性レジスタ11に格納される。
【0041】
図4は、図2に示したカウンタ1におけるカウント処理の手順を示すフローチャートである。図2および図4を参照して、直流電源101からレギュレータ80に直流電圧Vdcが供給される。これにより、処理が開始される。
【0042】
ステップS41において、レギュレータ80は、電圧V1に基づいて電圧V2を生成する。電圧V2は電源電圧Vddに達する。電源電圧Vddは、カウント処理回路10に供給されるとともに、遅延回路90にも供給される。
【0043】
ステップS42において、パワーオンリセットIC90a,90bは、電圧V2の電圧値を監視する。電圧V2が基準値以上になった場合に、パワーオンリセットIC90bは、リセット解除信号Srstを不揮発性レジスタ制御部15に出力する。これにより、不揮発性レジスタ制御部15は、不揮発性レジスタ11に保持されたカウント値を更新不可能な状態から、このカウント値を更新可能な状態に移行する。
【0044】
ステップS43において、演算部12は、不揮発性レジスタ11に保持されたカウント値を読み出す。
【0045】
ステップS44において、エッジ検出部13は、カウント信号Spのエッジを検出して、信号を出力する。演算部12は、エッジ検出部13からの信号を受ける。なお、ステップS43とステップS44とは、順序が入れ替わってもよい。
【0046】
ステップS45において、演算部12は、不揮発性レジスタ11から読み出したカウント値と、エッジ検出部13からの信号と、カウント値のインクリメント/デクリメント設定とに基づいて、カウント値を演算する。より具体的には、演算部12は、エッジ検出部13からの信号に応答して、不揮発性レジスタ11のカウント値をデクリメントする。
【0047】
ステップS46において、演算部12は、演算結果を示すカウント値を不揮発性レジスタ11に書き込む。これにより、不揮発性レジスタ11に保持されたカウント値が更新される。このステップが終わると、一連の処理が完了する。
【0048】
このように、カウント処理回路10は、遅延回路90からカウント処理回路10へのカウント信号Spの入力回数をカウントする。カウント信号Spの入力回数は、直流電源101から外部機器(図示せず)に直流電圧Vdcが入力される回数と等しい。したがって、実施の形態1に係るカウンタ1は、外部機器への電源の投入回数のカウンタとして用いることができる。
【0049】
実施の形態1によれば、パワーオンリセットIC90a,90bが、カウント信号Spおよびリセット解除信号Srstをそれぞれ生成する。したがって、カウント処理回路10は、カウンタ1の外部の回路から、カウント処理回路10がカウント処理を開始するための電圧信号の供給を受ける必要がない。カウント処理回路10は、カウント信号Spおよびリセット解除信号Srstにより、カウント処理を実行することができる。
【0050】
不揮発性レジスタ11は、上述のように強誘電体を用いた不揮発性のフリップフロップあるいはFeRAMによって実現される。そのため、不揮発性レジスタ11では、データの読み出し/書き込みに用いられる消費電流が非常に小さく、たとえば0.01mA弱である。また、データの書き込み時の電圧は3V程度である。一方、従来のEEPROMでは、データの読み出し/書き込み時の消費電流はそれぞれ、たとえば0.1mA強および1mA強である。また、データの書き込み時には、12V程度の高電圧が必要である。したがって、カウンタ1では、消費電力を低減することができる。また、不揮発性レジスタ11には、データを保持するための電圧を供給する必要がない。したがって、データを保持するための消費電力をほとんど0にすることができる。
【0051】
また、強誘電体を用いた不揮発性フリップフロップあるいはFeRAMは、データの読み出し/書き込みが非常に高速(たとえば数ns)であるとともに、データの消去あるいは書き換えのための特別なコマンドが不要である。FeRAMではバイト単位の書き込みが可能である。そのため、不揮発性レジスタ11は非常に高速にデータの読み出し/書き込みを実行できる。
【0052】
[実施の形態2]
実施の形態1に係るカウンタ1には、直流電源101が直流電圧Vdcを供給する。しかし、本発明に係る電子回路に供給される入力電圧は、直流電圧Vdcに限定されない。本実施の形態に係るカウンタにはパルス電圧が供給される。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態2に係るカウンタ2の構成を模式的に示すブロック図である。図5を参照して、カウンタ2は、カウント処理回路10と、半波整流回路81と、遅延回路91,92とを備える。カウンタ2のそれ以外の構成については、実施の形態1に係るカウンタ1の構成と同等であるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0054】
パルス電圧源102は、正極性のパルス電圧Vp1を半波整流回路81に出力する。パルス電圧源102は、たとえばA/D変換機能を有するセンサである。このセンサは、たとえば検出対象の存在を検出すると、パルス電圧Vp1を出力する。なお、正極性のパルス電圧Vp1は本発明に係る「入力電圧」の一例である。パルス電圧源102は上記のセンサに限定されるものではない。パルス電圧Vp1は、たとえばデジタルICから出力されるロジック信号であってもよい。
【0055】
半波整流回路81は、ダイオードD1とコンデンサC3とを含む。ダイオードD1は、パルス電圧源102にアノードが向くように設けられる。コンデンサC3は、ダイオードD1のカソードと接地ノードGNDとの間に設けられる。ダイオードD1は、パルス電圧Vp1を半波整流する。ダイオードD1により半波整流されたパルス電圧は、コンデンサC3により平滑される。平滑された電圧が電源電圧Vdd1として出力される。
【0056】
実施の形態1では、電源電圧Vddは直流電圧である。一方、実施の形態2では、電源電圧Vdd1はパルス電圧である。このため、電源電圧がカウント処理回路10に供給される期間が短い。また、実施の形態2では、実施の形態1よりも電源電圧の電力量が小さい。しかし、上述のように、不揮発性レジスタ11におけるデータの読み出し/書き込みは、非常に高速に実行される。また、その際に消費される電力量も非常に小さい。したがって、実施の形態2に係るカウンタ2では、パルス電圧である電源電圧Vdd1の電力量を利用してカウント処理が可能である。
【0057】
遅延回路91は、抵抗R1とコンデンサC4とを含む。抵抗R1は、半波整流回路81とカウント処理回路10との間に直列に接続される。抵抗R1とカウント処理回路10との間には、コンデンサC4が接地ノードGNDとの間に設けられる。遅延回路91は、半波整流回路81から供給される電源電圧Vdd1を受けて、カウント信号Sp1を生成する。遅延回路91は、電源電圧Vdd1の遅延回路91への供給よりも遅延されたカウント信号Sp1をカウント処理回路10に供給する。
【0058】
遅延回路92は、抵抗R2とコンデンサC5とを含む。抵抗R2は、半波整流回路81とカウント処理回路10との間に直列に接続される。抵抗R2とカウント処理回路10との間には、コンデンサC5が接地ノードGNDとの間に設けられる。遅延回路92は、電源電圧Vdd1の遅延回路92への供給よりも遅延されたリセット解除信号Srst1をカウント処理回路10に出力する。
【0059】
なお、遅延回路91,92の構成は遅延回路の構成の一例である。上述のように、遅延回路を設けること、およびその遅延回路によって遅延時間が制御できることが重要であって、遅延回路の構成は上記の構成に限定されない。遅延回路はCR回路以外の回路によって構成してもよい。また、半波整流回路81および遅延回路91,92の間の接続を変更することもできる。たとえば、半波整流回路81の出力を遅延回路92のみに入力し、遅延回路92の出力を遅延回路91に入力してもよい。この構成によっても、カウント処理回路10がカウント信号Sp1の前にリセット解除信号Srst1を受けるように遅延時間を制御することが可能である。
【0060】
カウント処理回路10は、電源電圧Vdd1が供給された後に、遅延回路91からのカウント信号Sp1に応答する。カウント処理回路10は、このカウント信号Sp1に基づいて、不揮発性レジスタ11に保持された情報を更新する。更新された情報は、不揮発的に不揮発性レジスタ11に格納される。
【0061】
なお、半波整流回路81は、本発明に係る「電圧処理回路」の一例であって、その回路構成は上記に限定されない。たとえば、パルス電圧Vp1にオーバーシュートが発生する可能性がある場合には、オーバーシュートを制限するリミッタ、あるいは耐圧保護回路を半波整流回路81の前段に適宜追加することができる。同様に、遅延回路91,92の回路構成は上記に限定されるものでない。
【0062】
図6は、図5に示したカウンタ2における、パルス電圧Vp1と、電源電圧Vdd1と、カウント信号Sp1との時間的な前後関係を説明するための図である。図3および図6を参照して、波形6a〜6cは、波形3a,3b,3dにそれぞれ対比される。
【0063】
基準時刻からt1が経過した時刻において、パルス電圧源102が半波整流回路81にパルス電圧Vp1を供給する。
【0064】
基準時刻からt2が経過した時刻において、半波整流回路81が電源電圧Vdd1を供給する。この電源電圧Vdd1は、カウント処理回路10に供給されるとともに、遅延回路91,92にも供給される。
【0065】
基準時刻からt3が経過した時刻において、遅延回路91がカウント処理回路10にカウント信号Sp1を供給する。これにより、カウント処理回路10はカウント処理を実行する。このカウント処理の内容は、図4に示したステップS43〜S46の処理と同様であるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0066】
パルス電圧源102は、たとえば光学センサ、磁気センサ、あるいは圧電センサなどのセンサである。この場合、たとえば検出対象の存在をセンサにより検出して、その検出回数を取得することができる。また、パルス電圧源102が、ロジック信号を出力するデジタルICである場合には、そのロジック信号の入力回数を取得することができる。
【0067】
さらに、上述のように、カウンタ2は、微小の電力量でもカウント処理が可能である。したがって、パルス電圧源102に発電量が微小である発電素子を用いることもできる。この場合には、この発電素子による発電回数を取得することができる。
【0068】
カウンタ2は、たとえばRFID(Radio Frequency Identification)と比較される。RFIDでは、電源電圧の供給が短時間であってもデータ信号の送受信が可能である。しかし、RFIDにおけるデータ信号の送受信の手順をより詳細に検討すると、まず、RFIDのシステムが電源電圧供給用の信号を受ける。これにより、RFIDのシステムがデータ信号の送受信が可能な状態に移行する。その後に、データ信号の送信および受信が開始される。つまり、RFIDでは、電源電圧とデータ信号とは互いに独立にシステムに供給される。
【0069】
一方、実施の形態2によれば、パルス電圧Vp1の電力量の一部が、カウント処理回路10の電源電圧Vdd1として、カウント処理回路10に供給される。また、パルス電圧Vp1の電力量のその他の一部が、カウント信号Sp1としてカウント処理回路10に供給される。すなわち、カウンタ2は、パルス電圧Vp1からカウント処理回路10の電源電圧Vdd1とカウント信号Sp1との双方を生成する。
【0070】
そのため、パルス電圧源102を信号源として見ると、カウント処理回路10に電源電圧を供給するための電源回路を別途設ける必要がない。したがって、たとえばセンサおよびカウンタ2のみの簡易な回路構成によって、検出対象の存在をセンサにより検出して、その検出回数を取得することができる。
【0071】
なお、パルス電圧源102から正極性および負極性の双方の極性のパルス電圧が供給されて、そのうちの正極性のパルス電圧Vp1の入力回数をカウントしたい場合にも、実施の形態2の回路構成を適用することができる。
【0072】
[実施の形態3]
実施の形態2では、パルス電圧源102から正極性のパルス電圧Vp1が供給されるとと説明したが、パルス電圧の極性は負極性であってもよい。本実施の形態に係るカウンタには負極性のパルス電圧が供給される。
【0073】
図7は、本発明の実施の形態3に係るカウンタ3の構成を模式的に示すブロック図である。図7を参照して、カウンタ3は、半波整流回路81に替えて、反転型半波整流回路82を備える。また、カウンタ3は、カウント処理回路10および遅延回路93,94に対応して、カウント処理回路20および遅延回路93,94を備える。
【0074】
パルス電圧源103は、負極性のパルス電圧Vp2を反転型半波整流回路82に出力する。負極性のパルス電圧Vp2は、反転型半波整流回路82により正極性のパルス電圧に反転する。この正極性のパルス電圧は電源電圧Vdd2として出力される。一方、反転型半波整流回路82への入力が正極性またはゼロ(接地ノードGNDの電位)のとき、反転型半波整流回路82の出力端子(図示せず)の電位は、接地ノードGNDの電位と等しくなる。
【0075】
遅延回路93は、抵抗R3とコンデンサC6とを含む。抵抗R3は、反転型半波整流回路82とカウント処理回路20との間に直列に接続される。抵抗R3とカウント処理回路20との間には、コンデンサC6が接地ノードGNDとの間に設けられる。遅延回路93は、反転型半波整流回路82から供給される電源電圧Vdd2を受けて、カウント信号Sp2を生成する。遅延回路93は、電源電圧Vdd2の遅延回路93への供給よりも遅延されたカウント信号Sp2をカウント処理回路20に供給する。
【0076】
遅延回路94は、抵抗R4とコンデンサC7とを含む。抵抗R4は、反転型半波整流回路82とカウント処理回路20との間に直列に接続される。抵抗R4とカウント処理回路20との間には、コンデンサC7が接地ノードGNDとの間に設けられる。遅延回路94は、電源電圧Vdd2の遅延回路94への供給よりも遅延されたリセット解除信号Srst2をカウント処理回路20に出力する。カウント処理回路20は、カウント信号Sp2の前にリセット解除信号Srst2を受ける。カウンタ3のそれ以外の構成については、実施の形態2に係るカウンタ2の構成(図5参照)と同等であるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0077】
図8は、図7に示したカウンタ3おける、パルス電圧Vp2と、電源電圧Vdd2と、カウント信号Sp2との時間的な前後関係を説明するための図である。図6および図8を参照して、波形8a〜8cは、波形6a〜6cにそれぞれ対比される。
【0078】
基準時刻からt1が経過した時刻において、パルス電圧源103が反転型半波整流回路82に負極性のパルス電圧Vp2を供給する。
【0079】
基準時刻からt2が経過した時刻において、反転型半波整流回路82が電源電圧Vdd2を供給する。この電源電圧Vdd2は、カウント処理回路20に供給されるとともに、遅延回路93,94にも供給される。
【0080】
基準時刻からt3が経過した時刻において、遅延回路93がカウント処理回路20にカウント信号Sp2を供給する。これにより、カウント処理回路20はカウント処理を実行する。このカウント処理の内容は、図4に示したステップS43〜S46の処理と同様であるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0081】
このように、パルス電圧の極性に対応して半波整流回路を設けることにより、負極性のパルス電圧の入力回数を取得することもできる。ただし、パルス電圧源から供給されるパルス電圧が負極性の場合であっても、そのパルス電圧を正極性に反転させることは必須ではない。半波整流回路、遅延回路、およびカウント処理回路のそれぞれの基準電位を適切に設定することにより、負極性のパルス電圧を反転せずにその入力回数をカウントすることも可能である。
【0082】
[実施の形態4]
実施の形態2,3に係るカウンタ2,3には、パルス電圧源から正極性および負極性のうちの一方の極性のパルス電圧が供給される。本実施の形態では、パルス電圧源から正極性および負極性の双方の極性のパルス電圧が供給される。
【0083】
図9は、本発明の実施の形態4に係るカウンタ4の構成を模式的に示すブロック図である。図9を参照して、カウンタ4は、半波整流回路81に替えて、全波整流回路83を備える。カウンタ4のそれ以外の構成については、実施の形態2に係るカウンタ2の構成と同等であるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0084】
パルス電圧源104は、正極性のパルス電圧Vp1および負極性のパルス電圧Vp2を全波整流回路83に出力する。なお、パルス電圧Vp1,Vp2は、本発明に係る「入力電圧」の一例である。
【0085】
全波整流回路83は、ダイオードブリッジDBと、コンデンサC8とを含む。ダイオードブリッジDBの対角に配置された一対のノードは、パルス電圧源104の出力端子間に接続される。ダイオードブリッジDBの出力には、コンデンサC8が接地ノードGNDとの間に接続される。ダイオードブリッジDBは、パルス電圧Vpを全波整流する。全波整流されたパルス電圧は、コンデンサC8によって平滑される。平滑された電圧が電源電圧Vddとして出力される。なお、全波整流回路83は、本発明に係る「電圧処理回路」の一例であって、その回路構成は上記に限定されない。
【0086】
図10は、図9に示したカウンタ4における、パルス電圧と、電源電圧Vddと、カウント信号Spとの時間的な前後関係を説明するための図である。図6および図10を参照して、波形10a〜10cは、波形6a〜6cにそれぞれ対比される。
【0087】
基準時刻からt1が経過した時刻において、パルス電圧源104が全波整流回路83に正極性のパルス電圧Vp1を供給する。
【0088】
基準時刻からt2が経過した時刻において、全波整流回路83が電源電圧Vddを供給する。電源電圧Vddは、カウント処理回路10に供給されるとともに、遅延回路91,92にも供給される。
【0089】
基準時刻からt3が経過した時刻において、遅延回路91がカウント処理回路10にカウント信号Spを供給する。これにより、カウント処理回路10はカウント処理を実行する。このカウント処理の内容は、図4に示したステップS43〜S46の処理と同様であるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0090】
同様に、基準時刻からt4が経過した時刻において、パルス電圧源104が全波整流回路83に負極性のパルス電圧Vp2を供給する。
【0091】
基準時刻からt5が経過した時刻において、全波整流回路83が電源電圧Vddを供給する。電源電圧Vddは、カウント処理回路10に供給されるとともに、遅延回路91,92にも供給される。
【0092】
基準時刻からt6が経過した時刻において、遅延回路91がカウント処理回路10にカウント信号Spを供給する。これにより、カウント処理回路10はカウント処理を実行する。このカウント処理の内容は、図4に示したステップS43〜S46の処理と同様であるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0093】
実施の形態4に係るカウンタ4によれば、パルス電圧Vpが正極性であるか負極性であるかに関わらず、パルス電圧源104から出力されるパルス電圧Vpの入力回数の合計を取得することができる。
【0094】
[実施の形態5]
実施の形態4に係るカウンタ4は、パルス電圧が正極性であるか負極性であるかに関わらず、パルス電圧の入力回数の合計を取得する。一方、本実施の形態では、正極性のパルス電圧の入力回数と負極性のパルス電圧の入力回数とがそれぞれ独立にカウントされる。
【0095】
図11は、本発明の実施の形態5に係るカウンタ5の構成を模式的に示すブロック図である。図11を参照して、カウンタ5では、実施の形態2に係るカウンタ2と実施の形態3に係るカウンタ3とが組み合わせて用いられる。正極性のパルス電圧Vp1は、カウンタ2によって処理される。カウンタ2は、半波整流回路(第1の半波整流回路)81と、カウント処理回路(第1の信号処理部)10と、遅延回路91とを備える。一方、負極性のパルス電圧Vp2は、カウンタ3によって処理される。カウンタ3は、反転型半波整流回路(第2の半波整流回路)82と、カウント処理回路(第2の信号処理部)20と、遅延回路93とを備える。なお、カウント処理回路10,20は、リセット解除信号Srstをそれぞれ受ける。これらリセット解除信号Srstは、図示しない遅延回路から供給される。
【0096】
図12は、図10に示したカウンタ2,3における、パルス電圧Vp1,Vp2と、電源電圧Vdd1,Vdd2と、カウント信号Sp1,Sp2との時間的な前後関係を説明するための図である。図6および図12を参照して、波形12aは波形6aに対比される。波形12b,12dの各々は、波形6bに対比される。波形12c,12eの各々は、波形6cに対比される。波形12b,12cの各々は、正極性のパルス電圧Vp1に由来する。一方、波形12d,12eの各々は、負極性のパルス電圧Vp2に由来する。
【0097】
図12を参照して、基準時刻からt1が経過した時刻において、パルス電圧源104が半波整流回路81に正極性のパルス電圧Vp1を供給する。
【0098】
基準時刻からt2が経過した時刻において、半波整流回路81が電源電圧Vdd1を供給する。電源電圧Vdd1は、カウント処理回路10に供給されるとともに、遅延回路91に供給される。
【0099】
基準時刻からt3が経過した時刻において、遅延回路91がカウント処理回路10にカウント信号Sp1を供給する。これにより、カウント処理回路10はカウント処理を実行する。このカウント処理の内容は、図4に示したステップS43〜S46の処理と同様であるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0100】
同様に、基準時刻からt4が経過した時刻において、パルス電圧源104が反転型半波整流回路82に負極性のパルス電圧Vp2を供給する。
【0101】
基準時刻からt5が経過した時刻において、反転型半波整流回路82が電源電圧Vdd2を供給する。電源電圧Vdd2は、カウント処理回路20に供給されるとともに、遅延回路93に供給される。
【0102】
基準時刻からt6が経過した時刻において、遅延回路93がカウント処理回路20にカウント信号Sp2を供給する。これにより、カウント処理回路20はカウント処理を実行する。このカウント処理の内容は、図4に示したステップS43〜S46の処理と同様であるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0103】
実施の形態5に係るカウンタ5によれば、正極性および負極性のパルス電圧の入力回数をそれぞれ独立にカウントすることができる。
【0104】
[実施の形態6]
実施の形態1〜5に係るカウンタ1〜5は、たとえば、携帯電話、家電製品、あるいはOA(Office Automation)機器などの電子機器に適用することができる。
【0105】
図13は、本発明の実施の形態6に係る電子機器6の模式的構成を示すブロック図である。図13を参照して、電子機器6は、パルス電圧源102と、カウンタ2と、マイクロコンピュータ61とを備える。
【0106】
マイクロコンピュータ61は、電子機器6全体の動作を制御する。カウンタ2は、パルス電圧源102からのパルス電圧Vp1の入力回数をカウントする。マイクロコンピュータ61は、カウンタ2からカウント処理の結果を示す信号を受ける。
【0107】
このように、カウンタ2を備える電子機器6を実現することができる。なお、本明細書において「電子機器」とは、電子工学の技術を応用した電気製品全般を指す。電子機器には、たとえばFA(Factory Automation)機器などの産業機器、および自動車などの車両が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、実施の形態2に係るカウンタ2に替えて、実施の形態3〜5に係るカウンタ3〜5を電子機器6に適用することもできる。
【0108】
以上のように、実施の形態1に係るカウンタ1は、電源の投入回数をカウントする。実施の形態2〜5に係るカウンタ2〜5の各々は、パルス電圧源からのパルス電圧の入力回数をカウントする。しかし、本発明に係る電子回路における信号処理の内容は、上記に限定されるものではない。本発明に係る電子回路は、電圧源から入力された電圧に基づいて、信号処理回路の電源電圧および電圧信号を生成する。信号処理回路は、この電圧信号を用いて信号処理するものであれば、その信号処理の内容を問わない。本発明は、たとえばエンコーダにも適用可能である。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1〜5 カウンタ、6 電子機器、10,20 カウント処理回路、11 不揮発性レジスタ、12 演算部、13 エッジ検出部、14 クロック生成部、15 不揮発性レジスタ制御部、61 マイクロコンピュータ、80 レギュレータ、81 半波整流回路、82 反転型半波整流回路、83 全波整流回路、90〜94 遅延回路、90a,90b パワーオンリセットIC、101 直流電源、102〜104 パルス電圧源、D1 ダイオード、C1〜C8 コンデンサ、R1〜R4 抵抗、DB ダイオードブリッジ、61 マイクロコンピュータ、V1,V2 電圧、Vdc 直流電圧、Vdd,Vdd1,Vdd2 電源電圧、Vp1,Vp2 パルス電圧、Srst リセット解除信号、Sset インクリメント/デクリメント設定信号、Sclk クロック信号、Sctrl 制御信号、Sp,Sp1,Sp2 カウント信号、Sout 出力信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13