特許第6154161号(P6154161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154161
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
   A61B5/05 382
   A61B5/05 311
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-45949(P2013-45949)
(22)【出願日】2013年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-184063(P2013-184063A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2016年3月1日
(31)【優先権主張番号】13/415,188
(32)【優先日】2012年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 美津恵
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェイ.ウィートン
【審査官】 荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−111513(JP,A)
【文献】 特開2001−061812(JP,A)
【文献】 特開2011−143241(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/090089(WO,A1)
【文献】 特開2007−313303(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0263970(US,A1)
【文献】 米国特許第6043655(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20 −33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起パルスの印加によって被検体の原子核スピンを励起し、続く再収束パルスの印加によって複数のエコー信号を連続的に発生させるパルスシーケンスを用いて、第1心位相のエコー信号を収集する第1スキャン及び第2心位相のエコー信号を収集する第2スキャンを実行するシーケンス制御部と、
前記エコー信号に基づき、前記被検体内の流体の画像を生成する画像生成部とを備え、
前記シーケンス制御部は、
前記第1スキャンの再収束パルスのフロップ角と、前記第2スキャンの再収束パルスのフロップ角とを異ならせ、且つ、前記第1スキャン及び前記第2スキャンのそれぞれにおいて再収束パルスのフロップ角を変化させながら印加し、且つ、前記第1スキャンの実行中にフロップ角を変化させるスイープパターンと、前記第2スキャンの実行中にフロップ角を変化させるスイープパターンとを異ならせることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
励起パルスの印加によって被検体の原子核スピンを励起し、続く再収束パルスの印加によって複数のエコー信号を連続的に発生させるパルスシーケンスを用いて、第1心位相のエコー信号を収集する第1スキャン及び第2心位相のエコー信号を収集する第2スキャンを実行するシーケンス制御部と、
前記エコー信号に基づき、前記被検体内の流体の画像を生成する画像生成部とを備え、
前記シーケンス制御部は、
前記第1スキャンの再収束パルスのフロップ角と、前記第2スキャンの再収束パルスのフロップ角とを異ならせ、且つ、前記第1スキャンの実行中は、再収束パルスのフロップ角を変化させながら印加し、前記第2スキャンの実行中は、再収束パルスを、一定の値且つ高フロップ角で印加することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記シーケンス制御部は、前記第1スキャンによって収集されたエコー信号から得られる流体の信号値が、前記第2スキャンによって収集されたエコー信号から得られる流体の信号値に比較して低くなるように、前記第1スキャンの再収束パルスのフロップ角と、前記第2スキャンの再収束パルスのフロップ角とを異ならせることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記シーケンス制御部は、前記第1心位相及び前記第2心位相における前記流体の流速の違いに応じて、前記第1スキャンの再収束パルスのフロップ角と、前記第2スキャンの再収束パルスのフロップ角とを異ならせることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記画像生成部は、前記第1スキャンによって収集されたエコー信号から得られた第1画像と、前記第2スキャンによって収集されたエコー信号から得られた第2画像とを生成し、前記第1画像と前記第2画像との差分画像を生成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記シーケンス制御部は、更に、前記第1スキャンのリードアウト方向のグラディエントフロースポイラーパルスの強度と、前記第2スキャンのリードアウト方向のグラディエントフロースポイラーパルスの強度とを異ならせることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記シーケンス制御部は、更に、前記第1スキャン及び前記第2スキャンのそれぞれにおいて、リードアウト方向のグラディエントフロースポイラーパルスの強度に比較して小さい強度により、位相エンコード方向のグラディエントフロースポイラーパルスを印加することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記第1スキャンの再収束パルスのフロップ角の設定と、前記第2スキャンの再収束パルスのフロップ角の設定とを、別々に入力可能なGUI(Graphical User Interface)を表示する表示制御部を更に備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、関心領域の指定を受け付け可能なGUIを表示し、関心領域の指定を受け付けると、該関心領域に対応する前記フロップ角の初期値を表示することを特徴とする請求項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI(Magnetic Resonance Imaging))は、静磁場に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア(Larmor)周波数の高周波(RF(Radio Frequency))磁場パルスで磁気的に励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴(MR(Magnetic Resonance)信号から画像を再構成する撮像法である。この磁気共鳴イメージングの分野において、造影剤を用いずに血管像を収集する手法として、非造影MRA(Magnetic Resonance Angiography)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,801,800号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、流体の描出能を向上することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、シーケンス制御部と、画像生成部とを備える。シーケンス制御部は、励起パルスの印加によって被検体の原子核スピンを励起し、続く再収束パルスの印加によって複数のエコー信号を連続的に発生させるパルスシーケンスを用いて、第1心位相のエコー信号を収集する第1スキャン及び第2心位相のエコー信号を収集する第2スキャンを実行する。画像生成部は、前記エコー信号に基づき、前記被検体内の流体の画像を生成する。シーケンス制御部は、前記第1スキャンの再収束パルスのフロップ角と、前記第2スキャンの再収束パルスのフロップ角とを異ならせ、且つ、前記第1スキャン及び前記第2スキャンのそれぞれにおいて再収束パルスのフロップ角を変化させながら印加し、且つ、前記第1スキャンの実行中にフロップ角を変化させるスイープパターンと、前記第2スキャンの実行中にフロップ角を変化させるスイープパターンとを異ならせる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係るMRIシステムのハイレベル概略ブロック図である。実施形態に係るMRIシステムは、FS−FBI(Flow Spoiled Fresh Blood Imaging)のオペレータインタフェースを用いてMRI画像データを収集し、処理する。実施形態におけるオペレータインタフェースは、複数のMRAパラメータを、FBIにおける収縮期及び拡張期のMRIサブシーケンス用に独立に制御することを許容する。MRAパラメータとは、例えば、FSE(Fast Spin Echo) MRI収集シーケンスを用いた場合の「グラディエントフロースポイラー(gradient flow-spoiler)」及び「RFリフォーカシングアングル(refocusing angle)」である。
図2図2は、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)磁化スピンが、異なるリフォーカシングアングルを用いた場合にどのように反応するかを実証するMRA画像である。
図3図3は、ゲート型3D FSE(three-dimensional Fast Spin Echo)のMRA画像におけるリフォーカシングアングルの効果を概略的に説明するための図である。
図4図4は、低いリフォーカシングアングルによって収集された画像を示す図である。
図5図5は、FBIにおいて、収縮期のリフォーカシングアングルと拡張期のリフォーカシングアングルとを変えた場合と、同一にした場合との比較を説明するための図である。
図6図6は、FBIにおいて、収縮期のリフォーカシングアングルと拡張期のリフォーカシングアングルとを変えた場合と、同一にした場合との比較を説明するための図である。
図7A図7Aは、FBI MRAにおける収縮期及び拡張期MRIサブシーケンスのそれぞれに対するグラディエントフロースポイラー及びリフォーカシングアングルの独立制御を促進するための例示的なGUI(Graphical User Interface)を概略的に示す図である。
図7B図7Bは、収縮期及び拡張期のデータ収集ウィンドウと概略的なECG(electrocardiogram)信号との関連を概略的に示す図である。
図8図8は、図7Aに示す例示的なGUIを表示する、図1に示すMRIシステムにおいて用いられる、例示的な実行可能なコンピュータプログラム制御コード構造を概略的に示す図である。
図9図9は、収縮期及び拡張期のサブシーケンスそれぞれにおいて、異なる強度のROグラディエントフロースポイリングパルス、及び、異なるリフォーカシングアングルが用いられる、実施形態のシーケンスを説明するための図である。
図10図10は、FS(Flow-Spoiled)−FBIデータ収集シーケンスの従来技術を概略的に示す図である。ここでは、連続的なFS−FBIデータ収集シーケンスにおいて、異なる強度を有するRO(Read-Out)グラディエントフロースポイリングパルスが用いられている。もっとも、収縮期サブシーケンスと、拡張期サブシーケンスとでは、同じ強度を有する。
図11図11は、FS−FBIデータ収集シーケンスの従来技術を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
例示的な実施形態において、改良されたMRA(Magnetic Resonance Angiography)を提供する目的で、心電同期(cardiac-triggered)を用いて収縮期画像及び拡張期画像が収集される。また、例示的な実施形態において、FSE(Fast Spin Echo)法を用いたFS−FBI(Flow-Spoiled Fresh Blood Imaging)データ収集シーケンスによって、収縮期画像及び拡張期画像が収集される。
【0008】
ここで、FSE法は、高周波磁場パルス(励起パルス)の印加によって被検体の原子核スピンを励起し、続く高周波磁場パルス(再収束パルス)の印加によって複数のエコー信号を連続的に発生させるパルスシーケンスの1つである。典型的なFSE法では、まず、フリップ角90°の励起パルスが印加され、続いて、フリップ角180°の再収束パルスが繰り返し印加されながら、複数のエコー信号が収集される。なお、以下に説明するように、本実施形態においては、再収束パルスのフリップ角(再収束パルスのフロップ角、リフォーカシングアングル、RFリフォーカシングアングル等と称される)を心位相に応じて異ならせる。また、以下では、FSE法を用いた実施形態を説明するが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、FSE法にハーフフーリエ再構成を組み合わせたFASE(Fast Asymmetric SE)法にも同様に適用することができる。
【0009】
また、FS−FBIは、ECG(electrocardiogram)同期下で心臓から拍出された高速の血流を捕捉することによって良好に血管を描出するFBI(Fresh Blood Imaging)法において、より低速の血流を描出するために、読み出し方向の傾斜磁場パルスに、ディフェーズパルスを印加するようにしたものである。ディフェーズパルスは、読み出し方向の傾斜磁場パルスのパルス本体の時間的前後に、パルス本体と同極性で付加されることで、移動している原子核スピンに対してディフェージングを促進するものである。なお、本実施形態において、ディフェーズパルスは、RO(Read-Out)グラディエントフロースポイラーパルス、ROグラディエントフロースポイラー、グラディエントフロースポイラー等と称される。
【0010】
ここで、例示的な実施形態において、拡張期及び収縮期のMRI収集サブシーケンス用のMRIデータ収集パラメータは独立に制御され、RF(Radio Frequency)リフォーカシングパルスは、異なるフリップアングル(flip angle)とされる。例えば、この例示的な実施形態のMRIシステムコントローラは、GUI(Graphical User Interface)を含み、このGUIが、FS−FBI MRAにおいてFSE MRIを用いている間のRO(Read-Out)グラディエントフロースポイラーパルスの強度や、RFリフォーカシングパルスの大きさの最適化を促進する。勿論、システムコントローラは、(例えば、そのような柔軟なGUIが無い場合にも)FS−FBIの間、収縮期及び拡張期のサブシーケンスパラメータに異なる値を使用するように、自動的に構成されてもよい。
【0011】
図1に示すMRIシステムは、架台部10(断面図で示す)と、互いに接続される様々な関連のシステム構成要素20とを含む。少なくとも架台部10は、通常シールドルーム内に設置される。図1に示す1つのMRIシステムは、静磁場B0磁石12と、G、G、及びG傾斜磁場コイルセット14と、大きなWBC(Whole body RF(Radio Frequency)コイル)アセンブリ16との実質的に同軸円筒状の配置を含む。この円筒状に配置された要素の水平軸線に沿って、被検体テーブル11によって支持された被検体9の胸部を取り囲むように示されたイメージングボリューム18がある。
【0012】
比較的小さな表面RFコイル19は、イメージングボリューム18中の被検体のROI(Region Of Interest)に、より接近して設置される。表面RFコイル19は、被検体を(全体的に若しくは部分的に)取り囲むように広がるアレイでもよい。当業者であれば分かるように、WBCに比較して、表面コイルのような比較的小さいコイルは、体の部位(例えば、腕、肩、肘、手首、膝、足、胸、脊椎等)に応じて、しばしばカスタマイズされる。
【0013】
1つ若しくはそれ以上のECG電極17(又は、例えば、公知技術の末梢信号等の他のトリガ信号を取得するもの)が、システム20にECG信号を提供するために、被検体に装着される。これは、例えば、心電周期の所望の一部に同期する、心電同期MRIシーケンスを実現する。
【0014】
MRIシステム制御部22は、表示部24、キーボード/マウス26、及びプリンタ28に接続される入力/出力ポートを備える。言うまでもなく、表示部24は、制御入力もまた備えるような多様性のあるタッチスクリーンであってもよい。例示的な実施形態において、表示部24は、FS−FBIのGUIを提供する。このGUIは、FS−FBIにおける収縮期及び拡張期の心電同期MRIサブシーケンスのそれぞれに対する、グラディエントフロースポイラー及びリフォーカシングアングルのパラメータについて、独立制御を促進するものである。
【0015】
MRIシステム制御部22は、MRIシーケンス制御部30とインタフェース接続する。MRIシーケンス制御部30は、G、G、G傾斜磁場コイルドライバ32、並びに、RF送信部34及び送信/受信スイッチ36(同じRFコイルが送信及び受信の両方に使用されている場合)を順に制御する。MRIシーケンス制御部30は、既にMRIシーケンス制御部30にて可能な、予備用の、及び、診断用のMRIデータ取得シーケンス(例えば、MRIシーケンス制御部30のレパートリーにおいて既に利用可能な他の(例えば、従来の診断用の)シーケンスと併せてFS−FBIを含む)を実行するための適切なプログラムコード構造38を含む。
【0016】
MRIシステム20は、表示部24に出力する処理された画像データを作成できるように、MRIデータ処理部42に入力を供給するRF受信部40を含む。また、MRIデータ処理部42を、画像再構成プログラムコード構造44及びMAP及びMRI画像記憶部46にアクセスできるように構成してもよい(例えば、実施形態及び画像再構成プログラムコード構造44に従った処理で得られたMRIデータを格納するために)。
【0017】
また、図1は、MRIシステムプログラム/データ格納部50を一般化した描写を示す。MRIシステムプログラム/データ格納部50に格納されるプログラムコード構造(例えば、収縮期及び拡張期のMRIサブシーケンスのそれぞれに対して、グラディエントフロースポイラー及びリフォーカシングアングルのパラメータを独立に制御するFS−FBI用に)は、MRIシステムの様々なデータ処理構成要素にアクセス可能なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納される。当業者であれば分かるように、プログラム格納部50は、正常運転時にそのように格納されたプログラムコード構造に対して直近の必要性を有するシステムの処理コンピュータのうちの様々なコンピュータに分割し、且つ少なくとも一部を直結してもよい(即ち、MRIシステム制御部22に普通に格納したり、直結したりする代わりに)。
【0018】
実際、当業者であれば分かるように、図1の描写は、本明細書で後述する実施形態を実行できるように若干の変更を加えた一般的なMRIシステムの非常に高度に簡素化した図である。システム構成要素は、様々な論理収集の「ボックス」に分割でき、通常、多数のデジタル信号処理装置(DSP(Digital Signal Processors))、超小型演算処理装置、特殊用途向け処理回路(例えば、高速A/D変換、高速フーリエ変換、アレイ処理用等)を含む。これら処理装置のそれぞれは、通常、各クロックサイクル(又は所定数のクロックサイクル)が発生すると、物理データ処理回路がある物理的状態から別の物理的状態へ進むクロック動作型の「状態機械」である。
【0019】
動作中に、処理回路(例えば、CPU(Central Processing Unit)、レジスタ、バッファ、計算ユニット等)の物理的状態が、あるクロックサイクルから別のクロックサイクルへ漸進的に変化するだけでなく、連結されているデータ格納媒体(例えば、磁気記憶媒体のビット格納部)の物理的状態も、そのようなシステムの動作中に、ある状態から別の状態へ変わる。例えば、MRI再構成プロセスの終了時、物理的記憶媒体のコンピュータ読み取り可能なアクセス可能データ値格納場所のアレイは、いくつかの事前の状態(例えば、全部一律の「ゼロ」値又は全部「1」値)から新しい状態に変わる。その新しい状態では、そのようなアレイの物理的場所の物理的状態は、最小値と最大値との間で変動し、現実世界の物理的事象及び状況(例えば、撮像ボリューム空間内の被検体内部の解剖学的な構造)を表現する。当業者であれば分かるように、格納されたデータ値のそのようなアレイは、物理的構造を表し且つ構成もする。つまり、命令レジスタの中に順次読み込まれてMRIシステム20の1つ以上のCPUによって実行されたとき、動作状態の特定シーケンスが発生して、MRIシステム内中に移行されるコンピュータ制御プログラムコードの特定構造が構成される。
【0020】
以下に示す実施形態は、MRIデータ収集の実行、及び/又は、MR画像を生成、表示するための改良法を提供するものである。
【0021】
心電同期3D FSE(Fast Spin Echo)をベースとした技術(FBI、NATIVE-SPACE、TRANCE)を用いたNC−MRA(Non-contrast-enhanced Magnetic Resonance Angiography)は、末梢部位のMRA(Magnetic Resonance Angiography)アプリケーションとして利用されてきた。NC−MRA法のこのクラスは、フローによって引き起こされるスピンディフェージングについて、FSE固有の感度に効果をもたらす。一般に、DA(Dark Artery)スキャンは、血液の流速が最も速い収縮期の間に収集され、BA(Bright Artery)スキャンは、動脈の流れが比較的遅い拡張期の間に収集される。BA画像データからDA画像データを画素毎に差分することによって、静止した背景信号がキャンセルされ、血管像が生成される。
【0022】
図10は、従来のMRIシーケンス図であり、準備イメージング収集の流れを示す。ここでは、FSEによるMRIデータ収集シーケンスにおいて、異なるフロースポイリング(flow-spoiling)効果の画像群を得るために、一連のスピンエコーに関連する読み出し傾斜磁場が、連続する収集周期に対して変更される。読み出しスポイラーパルス(RO spoiler effective pulse)の振幅(magnitude)は、読み出し傾斜磁場パルスの有効値に対する増分を示すパーセンテージで表現される。ここでは、エコーセンターに対する標準的なFSEのノンスポイリング読み出し傾斜磁場の面積を100%の「標準」傾斜磁場パルスの振幅とする。当業者であれば分かるように、傾斜磁場パルスの有効な「振幅」は、実際はパルスの包絡線の面積によって表される。しかしながら、従来技術のアプローチにおいて、読み出し傾斜磁場の振幅は、どの収集周期においても、収縮期若しくは拡張期のサブシーケンスでは、同一である。
【0023】
図11は、図10に示す従来の収集シーケンスの一つの形態をより詳細に示す図である。具体的には、図11は、FS−FBIのMRIデータ収集シーケンスにおいて、最初の、RF90°スピンニューテーション(即ち「励起」)パルス、続く、RF180°スピンリフォーカシングパルス、及び、患者から生じ、散在するRFスピンエコー信号を、より詳細に示す。また、図11は、各RFスピンエコー信号に関連する読み出し傾斜磁場パルスを示す。収集シーケンスの最初の読み出し傾斜磁場パルスを除き、全ての読み出し傾斜磁場パルスの両サイドに、フロースポイリングのための要素が付加される。
【0024】
即ち、当業者であれば分かるように、FS−FBIにおいては、DA画像用に収縮期にデータを収集し、BA画像用に拡張期にデータを収集するために、心電同期が細かく利用される。ここで、どのような収集シーケンス全体においても、読み出し傾斜磁場パルスのフロースポイラーパルスの振幅は、一定であった。
【0025】
また、当業者であれば分かるように、FS−FBIは、典型的には、収縮期及び拡張期の画像それぞれについて、ディフェーズ(dephase)傾斜磁場パルスと、リフェーズ(rephase)傾斜磁場パルスとでは、異なる値を用いる。即ち、ディフェーズパルスの強度は、リフェーズパルスの強度と異なる。ディフェーズパルス及びリフェーズパルスの強度は、典型的には画像化される流体の流速に従って制御される(例えば、米国特許第6,801,800号の28:24−38,FIG.23A−Bを参照)。
【0026】
最適な読み出しスポイラー傾斜磁場パルスの有効な振幅は、多くの異なる条件に応じて最適化される。例えば、有効な振幅は、一方では、健康な(若い)人向けに最適化され、また他方では、やや年配の患者向けに最適化される。また、かかる条件とともに若しくはかかる条件に代えて、以下に示すテーブルに考え得る例として示される様々なROI(Region Of Interest)向けにも、最適化される(所与のETSに対するこれらの予備の例示の値やその他のパラメータ値は、異なるETS値や異なる他のパラメータ値に変更され得ることに注意されたい)。
【表1】
【0027】
ROグラディエントフロースポイラーに加えて、ある程度の位相エンコード(PE(Phase Encode))グラディエントフロースポイラーを印加してもよい。RO方向や位相エンコード方向に関する血管の向きに応じて、いくつかの血管は、RO方向に対して斜めに走行している可能性がある。この場合、少量の位相エンコードのスポイラーは、血管を描出することに役立つ。
【0028】
即ち、グラディエントフロースポイラーは、血液の動きの方向に一致するように、RO方向に印加されるが、例えば下肢の血管は、必ずしも図2の縦方向に走行している場合に限られず、横方向や斜めの方向に走行している場合もある。このような血管についても、フロースポイリングの効果を生じさせるため、グラディエントフロースポイラーを、RO方向に加えてPE方向に印加してもよい。もっとも、グラディエントフロースポイラーを、RO方向:PE方向に1:1で印加すると、45°の方向にフロースポイリングの効果が生じてしまう。また、殆どの血管は縦方向に走行している。そこで、PE方向に印加するグラディエントフロースポイラーの強度を、RO方向に印加するグラディエントフロースポイラーの強度に比較して、十分に小さくすることが望ましい。なお、PE方向に印加するグラディエントフロースポイラーの強度についても、RO方向に印加するグラディエントフロースポイラーの強度と同様、収縮期と拡張期とで異ならせてもよい。
【0029】
FSEによるFS−FBIにおける収縮期及び拡張期のMRIサブシーケンス用に採用可能ないくつかの初期設定のパラメータ値の例が、図7Aの例示的なGUI(Graphical User Interface)の実施形態に示されている。これらのパラメータ値は、メインの静磁場強度が1.5テスラ(Tesla)のMRIシステムにおける、何人かの健康なボランティア向けの値である。病気を伴う患者向けの場合には、例えば、図7Aに示されるROグラディエントフロースポイラーパルスの振幅を10%ほど増加した値が、初期値として用いられる。
【0030】
フローに対するFSEの感度は、リフォーカシングアングルを調整することで調整可能である。一般に、リフォーカシングアングルが小さければ小さいほど、流速に対するFSEの感度は高くなる。図2に実証するように、流体のスピンの信号は、リフォーカシングアングルに対して反応する。高いリフォーカシングアングルは、流体のスピンからの信号を維持する(FBIサブトラクション画像において、太い(速い)血管は、良く、細い(遅い)血管は、悪い)。一方で、低いリフォーカシングアングルは、信号を失う(FBIサブトラクション画像において、細い(遅い)血管は、良く、太い(速い)血管は、悪い)。
【0031】
図3は、ゲート型3D FSEにおけるリフォーカシングアングルの効果を示す図である。左の列は、BA(拡張期)データ、真中の列は、DA(収縮期)データ、右の列は、サブトラクション血管像である。また、上段の行は、高いリフォーカシングアングル、中段の行は、低いリフォーカシングアングル、下段の行は、ハイブリッドアングルの手法(拡張期では、高いリフォーカシングアングル、収縮期では、低いリフォーカシングアングル)である。背景のグレースケールにおける違いは、背景組織におけるリフォーカシングアングル及びそれに続くサブトラクションの効果を示している。
【0032】
高いリフォーカシングアングル(160°+)を用いると、BAデータでは輝度の高い動脈を生じるが、DAデータ、特に、動脈のブランチの低速の流れでは、より動脈の信号をリフォーカスする。このように、サブトラクションアルゴリズムは、太く、高速の流れの動脈については明るい信号とする一方で、細く、低速の流れの動脈については弱い信号とする構成を含む(図3の上段の行を参照)。仮に、低いリフォーカシングアングル(<120°)が用いられると、BAデータにおいて、太い動脈の信号は弱まるが、細く、低速の動脈は、それほど影響を受けない。DAスキャンにおいては、小さい動脈ですら、高速の流れと低いリフォーカシングアングルとの組み合わせの影響を受けて暗い。このように、低いリフォーカシングアングルは、細いブランチの動脈においては明るい信号を、太い動脈においては弱い信号を伴うアルゴリズムを生じる(図3の中段の行を参照)。
【0033】
全ての組織の信号がリフォーカシングアングルの選択によって影響を受けるが、FSEの動きに対する感度に起因して、動脈の信号は、静脈や背景の信号に比較して、リフォーカシングアングルの影響をより大きく受ける。それ故、背景信号を増やすことなく、動脈のブランチ全体にわたって変わらないコントラストを得られるように、DA収集と、BA収集とで、異なるリフォーカシングアングルを用いることを提案する(図3の下段の行を参照)。
【0034】
図3を用いてリフォーカシングアングルと、各心位相の画像と、その差分画像との関係について、改めて説明する。なお、図3は、説明の便宜上、その関係を概念的に示すものである。まず、図3の各画像において描出されている血管は、「動脈」であり、動脈に、太い血管(中央の円柱状のもの)と、そこから枝分かれする細い血管(左右に垂れ下がっているもの)とが存在することを示している。
【0035】
図3では、上段・中段・下段の3つのパターンが示されている。上段は、拡張期と収縮期とで、同一、且つ高いリフォーカシングアングル(例えば160°以上)が用いられた場合を示す。拡張期において、動脈は、比較的低速である。よって、拡張期画像(BA)において、動脈は、太い血管及び細い血管のいずれも、輝度の高い信号で描出される。一方、収縮期において、動脈は、太い血管は高速であるが、枝分かれした細い血管では、比較的低速となる。このため、収縮期画像(DA)において、動脈は、太い血管については輝度の低い信号で描出されるが、細い血管については、比較的輝度の高い信号で描出される。この結果、拡張期画像(BA)と収縮期画像(DA)との差分画像においては、細い血管の信号が差し引かれてしまい、細い血管の描出能が低くなってしまう。
【0036】
中段は、拡張期と収縮期とで、同一、且つ低いリフォーカシングアングル(例えば120°以下)が用いられた場合を示す。拡張期画像(BA)において、動脈は、太い血管は、輝度の低い信号で描出される一方で、細い血管は、それ程影響を受けない。一方、収縮期画像(DA)においては、太い血管も細い血管も、輝度の低い信号で描出される。この結果、拡張期画像(BA)と収縮期画像(DA)との差分画像においては、枝分かれした細い血管の信号のみが、比較的高い輝度で描出されてしまう。
【0037】
そこで、実施形態では、下段に示すように、拡張期では、高いリフォーカシングアングルを用い、収縮期では、低いリフォーカシングアングルを用いるハイブリッド型を提案する。この場合、上段の拡張期画像(BA)と、中段の収縮期画像(DA)とが差し引かれることになるので、太い血管の描出能も細い血管の描出能も向上し、全体として、血管の描出能を向上することができる。
【0038】
この技術を説明するために、IRB承認の下、3Tのホールボディリサーチシステムを用いて、男性ボランティアの末梢構造のデータを収集した。末梢脈波をトリガとし、次のパラメータを用いて、パーシャルフーリエの3D FSEによるコロナル画像を得た。TE=60ms、TR=3RR、エコー間隔=5.0ms、リードアウトBW=651Hz/pixel、2ショット、ETL=76、マトリックス=256×256、FOV(Field Of View)=35×35cm、40の3.0mm パーティション。DAデータ及びBAデータは、中断(interruption)なしの1つの連続的な(continuous)収集として、収集された。3D FSEデータは、次のBA:DAのリフォーカシングアングルの組み合わせについて、7回繰り返して得られた。160°:160°、140°:140°、120°:120°、100°:100°、160°:140°、160°:120°、160°:100°。
【0039】
ハイブリッドアングルのアルゴリズムは、DAのリフォーカシングアングル(100°から160°)の範囲にわたり、太い血管のコントラストを維持した(図5の上段の行を参照)。BAとDAとの間の差が大きくなればなるほど、背景信号の侵入は、特に、FOVのエッジ付近で大きくなる。コンスタントのリフォーカシングアングルのデータ(図5の下段の行を参照)は、リフォーカシングアングルの減少に伴い、大腿骨の動脈の信号の単調な減少を示す。コンスタントリフォーカシングアングルのセットでは、背景信号は、一貫してゼロ付近を維持している。細かいゲージの動脈、特に、腓骨及び前脛骨動脈のブランチでは、低いリフォーカシングアングルのセットであるほど、より可視化される(図4を参照)。低いDAリフォーカシングアングルハイブリッドデータセット(図5に示す160°:120°及び160°:100°)は、コンスタントのリフォーカシングアングルのデータセット(図4)と同等に、小さい動脈の細部を描く。
【0040】
ハイブリッドアングル法は、太い動脈において信号を維持する一方で、低いリフォーカシングアングルにより細かい動脈の細部を描出する血管像を、ゲート型3D FSEによって提供する。均一性におけるこの増加は、背景信号のわずかな増加というわずかな代償でもたらされる。また、ハイブリッドアングル法には、コンスタントな高いリフォーカシングアングルに比較して、SARを減らすといったアドバンテージもある。
【0041】
この予備の検査は、ゲート型3D FSEに対してハイブリッドリフォーカシングアングルを用いることの実現可能性を評価することに着目している。この予備のデータに基づいて、160°:120°の組み合わせが、背景信号の侵入のおそれを低くし、細かい動脈の細部を提供する。
【0042】
図6は、最大180°のリフォーカシングアングルで4RR間隔で収集された同様の結果を示す(RR=650ms及び4RRが、180°を達成するために必要であった)。
【0043】
異なるリフォーカシングアングルは、血管内の流体全体(速い要素及び遅い要素の両方)にわたり、信号を維持する。例えば、180°:120°、若しくは、160°:120°は、背景信号がそれほど多くなく、良い信号を維持する。低い方のリフォーカシングアングルとして100°を用いると、静脈及び背景の信号が多くなる。一般に、これらのFBIの結果は、クラシカルなFBIでさえ、小さな血管をとても良く示し、一定のパフォーマンスを提供する。
【0044】
FS−FBIにおいて、収縮期及び拡張期のスキャンは、典型的には、フロースポインリングやリフォーカシングアングル等について、同一のサブシーケンスのパラメータ値を用いて収集されていた。これは、動脈の血液の信号強度の点から、これらのサブトラクションについては、多少次善にしたものである。
【0045】
この状況を改善するために、改善されたオペレータ制御を提案する。フロースポイリングを伴う収縮期のサブシーケンス、及び、フロー補償(compensation)を伴う拡張期のサブシーケンスの2つの異なるシーケンスが、ユーザーインタフェースにおいて、独立に選択的である。ユーザは、動脈及び静脈の信号をコントロールするためのリフォーカシングアングルや、RO方向でディフェージングするのみならず、(必要であれば)位相エンコード方向においてもディフェージングすることについて、異なる選択をすることが許容されている。所与のFBIデータ収集における2つのMRIシーケンス(即ち、収縮期及び拡張期収集ウィンドウサブシーケンスのそれぞれ)は、勿論、同じタイプであるべきである。しかしながら、MRIシーケンスのタイプは、bSSFP(balanced steady-state free-precession)や、EPI(echo-planar imaging)等のように、所望のタイプのMRIデータ収集シーケンスが、オペレータ入力によって選択可能である。
【0046】
この例示的な改善されたオペレータインタフェースは、サブシーケンス(即ち、FS−FBIにおける収縮期及び拡張期の収集)のそれぞれについて、2つの異なるMRAパラメータを独立に選択させることができる。ユーザ選択的なGUIは、2つのサブシーケンスにおいてむしろ自由に選択させる。この例示的なGUIは、収縮期及び拡張期のサブシーケンスにおいて用いられる所望のフロースポイリング及び/又はリフォーカシングアングルのパラメータについて、独立に選択可能である。これは、FBI関連の取集において、動脈及び静脈の両方の信号強度を改善することにつながる。
【0047】
従来のオペレータインタフェースは、オペレータに対して、FBIにおける収縮期及び拡張期の2つのMRAシーケンスパラメータを、自由且つ独立に選択させることを、例示的な実施形態が許容しているようには、許容していなかった。例示的な実施形態は、サブトラクション後の最終的なFBI動脈画像の信号強度を改善する。例示的なGUIは、FS−FBIにおける収縮期及び拡張期のシーケンスに対する独立のセットとして、少なくとも2つの異なるシーケンスパラメータを許容する。例えば、2つのパラメータは、拡張期スキャンにおけるフロー補償及び収縮期スキャンにおけるフロースポイリングである。収縮期及び拡張期シーケンスにおけるフロースポイリングの異なる量は、収縮期及び拡張期のスキャンにおける異なる読み出し傾斜磁場の値や、異なるリフォーカシングアングルに関連する(例えば、収縮期スキャン用の比較的低いリフォーカシングアングル(例えば、120°−140°)、及び、拡張期スキャン用の比較的高いリフォーカシングアングル(例えば、160°−180°)のように)。
【0048】
例えば、収縮期及び拡張期スキャン用の2つのシーケンスパラメータは、関心領域において最適化される。例えば、腸骨領域では、RO=−10%、0%(拡張期、収縮期)となるように、大腿部では、RO=0%、+10%(拡張期、収縮期)となるように、腓骨では、RO=0%、+20%(拡張期、収縮期)となるように決定される。また、リフォーカシングアングルのバリエーションは、腸骨領域のリフォーカシングアングルは、180°、150°(拡張期、収縮期)、大腿部のリフォーカシングアングルは、180°、140°(拡張期、収縮期)、腓骨領域のリフォーカシングアングルは、180°、130°(拡張期、収縮期)である。また、例えば、腸骨領域では、RO=0%、+10%(拡張期、収縮期)となるように、大腿部では、RO=0%、+10%(拡張期、収縮期)となるように、下腿部は、RO=0%、+20%(拡張期、収縮期)、腓骨では、RO=0%、+25%(拡張期、収縮期)となるように決定される。また、リフォーカシングアングルのバリエーションは、腸骨領域のリフォーカシングアングルは、170°、140°(拡張期、収縮期)、大腿部や下腿部のリフォーカシングアングルは、170°、130°(拡張期、収縮期)、腓骨領域のリフォーカシングアングルは、170°、120°(拡張期、収縮期)である。
【0049】
自由に選択可能なパラメータは、例示的なFBIのGUIにおいて提供される。フロースポイリングコントロールは、収縮期及び拡張期の収集のそれぞれにおいて、傾斜磁場のフロースポイリングの量を独立にコントロールすること、及び、収縮期及び拡張期の収集のそれぞれにおいて、リフォーカシングアングルを独立にコントロールすることによって、達成される。
【0050】
図7Aは、MRIシステムコントローラの表示画面上の例示的なオペレータコントロールGUIを示す。700では、オペレータは、FSEタイプのような、MRIシーケンスタイプの初期の選択を与えられる。しかしながら、オペレータは、FS−FBIプロセスで利用される収縮期及び拡張期のデータ収集シーケンスに対して、必要であれば、異なるMRIシーケンスのタイプを選ぶことができる。
【0051】
次に、図7Aに示すGUIは、オペレータに、収縮期の収集サブシーケンス及び拡張期の収集サブシーケンスのそれぞれについて、ROグラディエントフロースポイラーパルスの強度、及び、リフォーカシングアングルの大きさに関して、完全に独立した別々の選択を提供している。
【0052】
図7Bに示すように、拡張期の収集ウィンドウは、心電周期において、血圧及び流速が比較的低い期間に発生する。一方、収縮期の収集ウィンドウは、心電周期において、血圧及び流速が比較的高い期間に発生するようにトリガをかけられる。図7Aの例では、オペレータが、収縮期及び拡張期のMRIサブシーケンスのそれぞれについて、ROグラディエントフロースポイラーパルスの強度、及び、リフォーカシングアングルの所望のパラメータ値を入れられるように、702、704、706、及び708でオプションが与えられる。
【0053】
必要であれば、GUI表示画面は、710、712、714(等)で、グラディエントフロースポイラーパルスの強度、及び、リフォーカシングアングルについてプリセットされた初期値を有する、ROIのオペレータ選択を含む。図7Aに示すように、表示された収縮期及び拡張期のパラメータ値は、腸骨用の初期値である。仮に大腿部のROIが選ばれると、オペレータには、異なる初期値が利用可能となる。同様に、腓骨領域についても、異なる初期値のセットが提供される。勿論、特定のROIが選ばれることによって初期値が最初に選択されたとしても、オペレータは、なお、必要であれば、716で、どの初期値についても独立に変更することができる。718では、オペレータは、収縮期及び/又は拡張期のサブシーケンス収集に対して独立に、位相エンコード方向のグラディエントフロースポイラーパルスのオプションを与えられている。720では、オペレータは、将来の利用のために、現在のパラメータ値を保存するためのオプションが与えられる(初期のファイル名か、特定のファイル名)。
【0054】
図8は、図7Aに示される例示的なGUI表示画面を得るための、好適なコンピュータプログラムロジックコード構造を示す図解のフローチャートである。MRIシステムは、800で、チューナブルFS−FBI(The tunable FS-FBI)ルーチンを開始し(即ち、当業者であれば分かるように、包括的なオペレーティングシステム若しくは同様のものから開始し)、802で、チューナブルFS−FBIの制御画面のGUIを表示する。MRIシステムは、804で、関心領域、及び/又は、MRIシーケンスの種別が選択されるまで待機する待機ループに入る。続いて、MRIシステムは、806で、フロースポイリングのパラメータ、及び/又は、リフォーカシングアングルのパラメータについて、オペレータによって、予定された初期値からの変更が望まれるか否かを判定する。変更が望まれる場合、MRIシステムは、808で、オペレータによって、パラメータ値、及び/又は、MRIシーケンスの種別に対する所望の変更が入力されるまで、待機ループに入る。これを完了すると、MRIシステムは、810で、追加的なPE方向フロースポイリングが望まれるか否かを判定する。追加的なPE方向フロースポイリングが望まれる場合、MRIシステムは、812で、オペレータによって、収縮期、及び/又は、拡張期におけるPE方向の収集ウィンドウの変更が入力されるまで、待機ループに入る。これを完了すると、MRIシステムは、814で、フローチャートのメインパスに制御を戻す(勿論、PE方向フロースポイリングが望まれない場合にも、この処理に入る)。ここでは、MRIシステムは、オペレータによって、現在のパラメータ値の保存が望まれるか否かを判定する。望まれる場合、MRIシステムは、816で、オペレータによって、初期のファイル名が入力される代わりに所望のファイル名が入力されるまで待機する待機ループに入る。これを完了すると、MRIシステムは、818で、現在のパラメータ値を保存し、820で、再び、フローチャートのメインパスに制御を戻す(勿論、将来の利用の目的でオペレータによって現在のパラメータ値の保存が望まれない場合にも、この処理に入る)。
【0055】
MRIシステムは、820で、チューンされた、FS−FBIデータ収集シーケンス(即ち、収縮期及び拡張期におけるデータ収集ウィンドウのためのMRIサブシーケンスを取り込んでいる)を実行する。このデータ収集シーケンスは、現に指定されたフロースポイリングのパラメータ値、及び、リフォーカスアングルのパラメータ値を用いる、選択された種別のものである(慣例に従い、もっとも、図7Aに示すGUIを介してオペレータによって入力された、調整されたパラメータの選択を用いて)。
【0056】
その後、MRIシステムは、822で、DA画像及びBA画像の通常の再構成を行い、差分処理を実行する。そして、MRIシステムは、824で、結果としてのFBI画像を表示し、826で、制御は、呼び出しシステムに戻る。
【0057】
勿論、当業者であれば分かるように、MRIシステムコントローラは、FS−FBIの収集サブシーケンスの収縮期及び拡張期について、異なるフロースポイリングのパラメータ値、及び、リフォーカシングアングルのパラメータ値を用いるように、好適に同様にプログラミングされることができる。図7Aに示す柔軟性のある制御入力のためのGUIを用いる場合、用いない場合のいずれにおいても、適用される。例えば、異なるFS−FBIの状況(例えば、患者のタイプ、ROI、患者の年齢、患者の病状等)に応じて、異なる収縮期及び拡張期のフロースポイリングのパラメータ値、及び、リフォーカスアングルのパラメータ値が予め決定される。この決定は、コマンド入力によって、及び/又は、存在する状況を自動的に検出することによって、MRIシステムにより自動的に行われる。
【0058】
図9は、実施形態におけるMRIデータ収集シーケンスを説明するための図である。図9においては、例えば大腿部のMRA画像を収集することを想定し、そのパラメータ値の一例として、RO方向に印加されるグラディエントフロースポイラーパルスの強度は、収縮期が「+10%」、拡張期が「0%」、リフォーカシングアングルは、収縮期が「140°」、拡張期が「180°」の例を説明する。
【0059】
例えば、MRIシーケンス制御部30は、心電同期型のFSEシーケンスを実行し、心位相のうち収縮期及び拡張期のそれぞれについて、ボリュームデータを収集する。図9に示すように、例えば、MRIシーケンス制御部30は、収縮期サブシーケンスを実行し、被検体のECG信号をトリガ信号とする1TR(Repetition Time)に、1スライスエンコード分のエコーを収集する。MRIシーケンス制御部30は、これを繰り返し、収縮期のボリュームデータを収集する。この収縮期サブシーケンスにおいて、MRIシーケンス制御部30は、リフォーカシングアングルが「140°」、また、RO方向に印加されるグラディエントフロースポイラーパルスの強度が「+10%」となるように、各部を制御する。
【0060】
また、続いて、MRIシーケンス制御部30は、拡張期サブシーケンスを実行し、同じくECG信号をトリガ信号とする1TRに1スライスエンコード分のエコーを収集する。MRIシーケンス制御部30は、これを繰り返し、拡張期のボリュームデータを収集する。この拡張期サブシーケンスにおいて、MRIシーケンス制御部30は、リフォーカシングアングルが「180°」、また、RO方向に印加されるグラディエントフロースポイラーパルスの強度が「0%」となるように、各部を制御する。
【0061】
なお、図9においては、収縮期サブシーケンスと、拡張期サブシーケンスとが、この順で、待ち時間なしに連続的に実行される例を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、拡張期サブシーケンスを実行した後、収縮期サブシーケンスが待ち時間なしに連続して実行されてもよいし、あるいは、収縮期サブシーケンスと、拡張期サブシーケンスとが、別々に実行されてもよい。
【0062】
従来、読み出しフロースポイラー傾斜磁場は、流速の関数として変更されていたが、収縮期及び拡張期の収集ウィンドウについては、同一の強度のフロースポイラー傾斜磁場が用いられていた。ここで、改良されたGUIでは、オペレータは、拡張期及び収縮期の収集ウィンドウにおいて、異なる強度の読み出しフロースポイラー傾斜磁場を用いる。例えば、拡張期の収集ウィンドウにおいて、読み出しフロースポイラーは、効果的な変更を受けず、一方で、収縮期の収集ウィンドウにおいては、20%増の値とされる。
【0063】
従来の技術では、異なる患者に対しては、異なるリフォーカシングアングル、及び、異なる強度の読み出しフロースポイラーを用いることがあった。リフォーカシングアングル及び読み出しフロースポイラーの強度が独立にコントロールされる、同じFS−FBI収集スキャン(収縮期及び拡張期のサブ収集ウィンドウを本質的に含む)内では、収縮期及び拡張期の収集の両方について、同一の読み出しフロースポイラーのパラメータ値及びリフォーカスアングルのパラメータ値が要求されていた。しかしながら、いまや、オペレータは、収縮期のサブ収集について120°のリフォーカシングアングルを選択し、拡張期のサブ収集について160°のリフォーカシングアングルを選択することができる。端的に言えば、この改良されたオペレータコントロールGUIは、単一のFS−FBIデータ収集シーケンス内の収縮期及び拡張期のサブ収集ウィンドウに、異なる読み出しフロースポイラー及びリフォーカシングアングルの値が用いられることを許容する。
【0064】
端的に言えば、オペレータは、収縮期画像と拡張期画像との間の信号の差を最大にするように、単一のFS−FBIシーケンスの中でサブ収集のパラメータを異なるように調節することについて自由である。
【0065】
ひとつの実施形態では、部分的なフロー補償(例えば、ROスポイラー=−10%)若しくはノンスポイラー(例えば、ROスポイラー=0%)を提供する読み出し傾斜磁場が、他のシチュエーションにおいてはフロースポイリング(例えば、ROスポイラー=+10%)を伴う拡張期ウィンドウ用に利用されてもよい。例えば、腸骨のように流れが速いところでは、拡張期ウィンドウ間にはROスポイラー=+10%、収縮期ウィンドウ間にはROスポイラー=0%を利用することができる。大腿部領域では、拡張期ウィンドウ間にはROスポイラー=0%、収縮期ウィンドウ間にはROスポイラー=+10%を利用することができる。腓骨領域では、拡張期ウィンドウ間にはROスポイラー=+10%、収縮期ウィンドウ間にはROスポイラー=+20%を利用することができる。
【0066】
典型的には、FSE MRIシーケンスが、FS−FBIに用いられるが、他のMRIデータ収集シーケンスも、FS−FBI収集シーケンス全体における収縮期及び拡張期のサブシーケンスについては、利用可能である。勿論、単一のFS−FBI収集シーケンスの中における収縮期及び拡張期のサブシーケンス両方については、同じタイプのMRIシーケンスが利用される。例えば、bSSFP、EPI等、他のタイプのMRIシーケンスが利用可能である。いずれにしても、これらの異なるMRIシーケンスの制御パラメータは、異なるかもしれないし、RF励起パルスや、RFリフォーカシングパルス、ROグラディエントフロースポイラーパルス等のFSE MRIデータ収集シーケンスのパラメータについて、似ているかもしれない。当業者であればわかるように、その場合には、図7Aに示す例示的なGUIは、利用されるMRIデータ収集シーケンスとして選ばれたタイプそれぞれに適合する、収縮期及び拡張期のサブシーケンス用に適応する独立のパラメータ選択を含むように、変更される。
【0067】
例示的な実施形態は、収縮期及び拡張期画像のそれぞれについて、VFA(Variable Flip Angle)技術を利用するように、及び/又は、VFAの異なるスイープパターン(sweep pattern)を利用するように、変更することができる。例えば、拡張期のトリガが用いられると、一定のリフォーカシングフリップアングルが望ましいが、一方で、収縮期のトリガでは、VFA技術が望ましい。一定のフリップアングルが、良い明るい血液の拡張期画像を与える一方で、VFAは、収縮期画像において、フロースポイリング効果を促進させることが期待される。
【0068】
当業者であればわかるように、グラディエントフロースポイラーパルスは、例示的なFBIの実施形態の一部であり、全てのFBIの実施に必要なものではない。
【0069】
また、上述した実施形態においては、収縮期に収集されたエコー信号から生成された収縮期画像と、拡張期に収集されたエコー信号から生成された拡張期画像とを差分する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。MRIシステムは、第1心位相のエコー信号を収集する第1スキャン及び第2心位相のエコー信号を収集する第2スキャンを実行してもよい。また、この場合、MRIシステムは、第1心位相の画像及び第2心位相の画像を生成し、これらを差分してもよい。
【0070】
例えば、シーケンス制御部は、被検体の心周期のうちの所望の区間について、トリガ信号からの遅延時間を変えながら収集を繰り返すことによって、複数の心位相に対応するエコー信号を収集する。例えば、シーケンス制御部は、第1心位相用のサブシーケンス、第2心位相用のサブシーケンス等、心位相の異なるサブシーケンスを、待ち時間なしに連続して実行するか、あるいは、別々に実行する。この所望の区間は、例えば収縮期から拡張期へと移行する期間等の任意の期間でよく、収縮期や拡張期に限られない。
【0071】
このとき、シーケンス制御部は、異なる心位相に対応する収集それぞれにおいて、フロップ角を異ならせる。即ち、シーケンス制御部は、例えば、第1スキャンによって収集されたエコー信号から得られる流体の信号値が、第2スキャンによって収集されたエコー信号から得られる流体の信号値に比較して低くなるように、第1スキャンの再収束パルスのフロップ角と、第2スキャンの再収束パルスのフロップ角とを異ならせる。その他、上述した実施形態と同様、MRIシステムは、異なる心位相に対応する収集それぞれにおいて、ROグラディエントフロースポイラーの強度を変更してもよいし、更に、PEグラディエントフロースポイラーを印加してもよい。
【0072】
なお、例えば、画像生成部は、複数の心位相に対応する画像をそれぞれ生成し、これらの画像を差分することで、流体の画像を生成する。この場合、例えば、画像生成部は、複数の心位相の画像のうち、基準となる心位相の画像を特定し、各心位相の画像から、この基準となる心位相の画像をそれぞれ差分してもよい。これらの画像が動画表示されることによって、流体の動態を観察することができる。
【0073】
なお、フロップ角の組合せのパターンには、少なくとも、以下のものがある。例えば、シーケンス制御部が、第1スキャンにおいて、再収束パルスを、一定の値且つ低フロップ角で印加し、第2スキャンにおいて、再収束パルスを、一定の値且つ高フロップ角で印加するパターンである。再収束パルスを一定の値で印加する手法を、CFA(Constant Flop Angle)等とも称する。
【0074】
また、例えば、シーケンス制御部が、第1スキャン及び第2スキャンのそれぞれにおいて再収束パルスのフロップ角を変化させながら印加し、且つ、第1スキャンの実行中にフロップ角を変化させるスイープパターンと、第2スキャンの実行中にフロップ角を変化させるスイープパターンとを異ならせるパターンである。再収束パルスのフロップ角を変化させながら印加する手法を、VFA(Variable Flop Angle)等とも称する。
【0075】
また、例えば、シーケンス制御部が、第1スキャンの実行中は、再収束パルスのフロップ角を変化させながら印加し、第2スキャンの実行中は、再収束パルスを、一定の値且つ高フロップ角で印加するパターンである。なお、いずれのパターンにおいても、第1スキャンと第2スキャンとの順序や、連続して実行するか、別々に実行するかは、適宜変更可能である。
【0076】
上述してきたように、実施形態に係るMRIシステム100は、シーケンス制御部(例えば、MRIシーケンス制御部30)と、画像生成部(例えば、MRIデータ処理部42)とを備える。シーケンス制御部は、励起パルスの印加によって被検体の原子核スピンを励起し、続く再収束パルスの印加によって複数のエコー信号を連続的に発生させるパルスシーケンスを用いて、第1心位相のエコー信号を収集する第1スキャン及び第2心位相のエコー信号を収集する第2スキャンを実行する。画像生成部は、エコー信号に基づき、被検体内の流体の画像を生成する。ここで、シーケンス制御部は、第1スキャンの再収束パルスのフロップ角と、第2スキャンの再収束パルスのフロップ角とを異ならせる。
【0077】
また、ある実施形態に係るシーケンス制御部は、第1スキャンによって収集されたエコー信号から得られる流体の信号値が、第2スキャンによって収集されたエコー信号から得られる流体の信号値に比較して低くなるように、第1スキャンの再収束パルスのフロップ角と、第2スキャンの再収束パルスのフロップ角とを異ならせる。
【0078】
また、ある実施形態に係るシーケンス制御部は、第1スキャンにおいて、再収束パルスを、一定の値且つ低フロップ角で印加し、第2スキャンにおいて、再収束パルスを、一定の値且つ高フロップ角で印加する。
【0079】
また、ある実施形態に係るシーケンス制御部は、第1スキャン及び第2スキャンのそれぞれにおいて再収束パルスのフロップ角を変化させながら印加し、且つ、第1スキャンの実行中にフロップ角を変化させるスイープパターンと、第2スキャンの実行中にフロップ角を変化させるスイープパターンとを異ならせる。
【0080】
また、ある実施形態に係るシーケンス制御部は、第1スキャンの実行中は、再収束パルスのフロップ角を変化させながら印加し、第2スキャンの実行中は、再収束パルスを、一定の値且つ高フロップ角で印加する。
【0081】
また、ある実施形態に係るシーケンス制御部は、第1心位相及び第2心位相における流体の流速の違いに応じて、第1スキャンの再収束パルスのフロップ角と、第2スキャンの再収束パルスのフロップ角とを異ならせる。
【0082】
また、ある実施形態に係る画像生成部は、第1スキャンによって収集されたエコー信号から得られた第1画像と、第2スキャンによって収集されたエコー信号から得られた第2画像とを生成し、第1画像と第2画像との差分画像を生成する。
【0083】
また、ある実施形態に係るシーケンス制御部は、更に、第1スキャンのリードアウト方向のグラディエントフロースポイラーパルスの強度と、リードアウト方向のグラディエントフロースポイラーパルスの強度とを異ならせる。
【0084】
また、ある実施形態に係るシーケンス制御部は、更に、リードアウト方向のグラディエントフロースポイラーパルスの強度に比較して小さい強度により、位相エンコード方向のグラディエントフロースポイラーパルスを印加する。
【0085】
また、ある実施形態に係るMRIシステム100は、表示制御部(例えば、MRIデータ処理部42)を更に備える。表示制御部は、第1スキャンの再収束パルスのフロップ角の設定と、第2スキャンの再収束パルスのフロップ角の設定とを、別々に入力可能なGUI(Graphical User Interface)を表示する。
【0086】
また、ある実施形態に係る表示制御部は、関心領域の指定を受け付け可能なGUIを表示し、関心領域の指定を受け付けると、該関心領域に対応するフロップ角の初期値を表示する。
【0087】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、することができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
100 MRIシステム
30 MRIシーケンス制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11