特許第6154166号(P6154166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6154166配管内の詰まり又は壁面への付着物の付着を迅速に検知する方法及びシステム、並びにこれらの利用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154166
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】配管内の詰まり又は壁面への付着物の付着を迅速に検知する方法及びシステム、並びにこれらの利用
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/02 20060101AFI20170619BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20170619BHJP
   C10J 3/72 20060101ALI20170619BHJP
   G01B 17/00 20060101ALI20170619BHJP
   G01H 9/00 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   G01M7/02 Z
   G01M99/00 Z
   C10J3/72 A
   C10J3/72 H
   G01B17/00 B
   G01H9/00 E
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-64651(P2013-64651)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-190753(P2014-190753A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】592148878
【氏名又は名称】株式会社東洋高圧
(73)【特許権者】
【識別番号】596133119
【氏名又は名称】中電プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】清水 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】山村 幸政
(72)【発明者】
【氏名】内山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】尾山 圭二
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】松村 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】美濃輪 智朗
(72)【発明者】
【氏名】野口 琢史
(72)【発明者】
【氏名】川井 良文
【審査官】 渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−074571(JP,A)
【文献】 特開2006−322672(JP,A)
【文献】 特開2013−049035(JP,A)
【文献】 特開2012−017937(JP,A)
【文献】 特開2012−112796(JP,A)
【文献】 特開2006−258614(JP,A)
【文献】 特開2009−242697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M7/00−7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内の詰まり又は配管内の壁面に付着した付着物を除去する方法であって、
前記配管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測する工程と、
計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を解析する工程と、
振動の変化を解析することによって振動の変化が検知された場合に、振動の変化が検知された振動検出センサ近傍の上流から薬液を注入する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
配管内の詰まり又は配管内の壁面に付着した付着物を除去する方法であって、
管内を流体が流れる配管の外周面に振動/衝撃を定期的又はランダムに加える工程と、
前記配管に加えた振動/衝撃により、前記配管の外周面の複数ヵ所に設置された複数の振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測する工程と、
計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を解析する工程と、
振動の変化を解析することによって振動の変化が検知された場合に、振動の変化が検知された振動検出センサ近傍の上流から薬液を注入する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記振動検出センサが、光ファイバであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
管内を流体が流れる配管と、
前記配管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサと、
各振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測し、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を検知する振動検知装置と、を備え、
前記配管には、各振動検出センサの上流側に薬液注入部がそれぞれ設けられており、
前記振動検知装置が振動の変化を解析することによって振動の変化を検知した場合に、振動の変化が検知された振動検出センサ近傍の上流側の前記薬液注入部から詰まりや付着物を除去するための薬液を注入することを特徴とする配管システム。
【請求項5】
管内を流体が流れる配管と、
前記配管の外周面に振動又は衝撃を定期的又はランダムに加える振動/衝撃手段と、
前記配管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサと、
前記振動/衝撃手段が前記配管に加えた振動又は衝撃により、各振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測し、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を検知する振動検知装置と、を備え、
前記配管には、各振動検出センサの上流側に薬液注入部がそれぞれ設けられており、
前記振動検知装置が振動の変化を解析することによって振動の変化を検知した場合に、振動の変化が検知された振動検出センサ近傍の上流側の前記薬液注入部から詰まりや付着物を除去するための薬液を注入することを特徴とする配管システム。
【請求項6】
前記振動/衝撃手段が、超音波振動子を備えた超音波発振器であることを特徴とする請求項に記載の配管システム。
【請求項7】
前記振動検出センサが、光ファイバであることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の配管システム。
【請求項8】
前記配管が、内管と外管とからなる二重管であり、
前記外管に前記薬液注入部を設けたことを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の配管システム。
【請求項9】
バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液に懸濁させた前記非金属系触媒を触媒として、374℃以上の温度、及び22.1MPa以上の圧力の条件下で前記バイオマスを熱水処理する反応器と、
前記懸濁液を、前記反応器に供給する手段と、
前記反応器から排出された、生成ガス及び水を含む排出物の熱を利用して、前記懸濁液を予熱する二重管式熱交換器と、
前記二重管式熱交換器における外管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサと、
各振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測し、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を検知する振動検知装置と、を備え、
前記二重管式熱交換器における外管には、各振動検出センサの上流側に薬液注入部がそれぞれ設けられており、
前記振動検出装置が振動の変化を解析することによって振動の変化を検知した場合に、振動の変化が検知された振動検出センサ近傍の上流側の前記薬液注入部から詰まりや付着物を除去するための薬液を注入することを特徴とする超臨界水によるバイオマスガス化システム。
【請求項10】
バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液に懸濁させた前記非金属系触媒を触媒として、374℃以上の温度、及び22.1MPa以上の圧力の条件下で前記バイオマスを熱水処理する反応器と、
前記懸濁液を、前記反応器に供給する手段と、
前記反応器から排出された、生成ガス及び水を含む排出物の熱を利用して、前記懸濁液を予熱する二重管式熱交換器と、
前記二重管式熱交換器における外管の外周面に振動/衝撃を定期的又はランダムに加える振動/衝撃手段と、
前記外管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサと、
前記振動/衝撃手段が前記外管に加えた振動/衝撃により、各振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測し、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を検知する振動検知装置と、を備え、
前記二重管式熱交換器における外管には、各振動検出センサの上流側に薬液注入部がそれぞれ設けられており、
前記振動検出装置が振動の変化を解析することによって振動の変化を検知した場合に、振動の変化が検知された振動検出センサ近傍の上流側の前記薬液注入部から詰まりや付着物を除去するための薬液を注入することを特徴とする超臨界水によるバイオマスガス化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内に流体を流している際に生じた配管内の詰まり若しくは配管内の壁面への付着物の付着、又はその詰まり若しくは付着の位置を迅速に検知する方法及びシステム、並びに、配管内の詰まり又は配管内の壁面に付着した付着物の除去方法及びシステム、並びに前記システムの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、含水性バイオマス(焼酎残渣、採卵鶏糞等)を超臨界水でガス化する技術において、バイオマスを超臨界水でガス化することによって得られた生成物の熱を利用して、超臨界水でガス化される含水性バイオマス又は該バイオマスのスラリー体を加熱する二重管式熱交換器を備えた超臨界水ガス化システムが開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−271146号公報
【特許文献2】特開2009−242697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような超臨界水ガス化システムにおいては、ガス化の際に触媒として使用される活性炭の微細粉末やガス化の際に生成されるタールなどによって二重管式熱交換器の二重管における外管と内管との間に閉塞が生じる場合がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、管内に流体を流している際に生じた配管内の詰まり若しくは配管内の壁面への付着物の付着、又はその詰まり若しくは付着の位置を迅速に検知することができる方法及び配管システム、並びに、配管内の詰まり又は配管内の壁面に付着した付着物を迅速に除去することができる方法及び配管システム、並びに、前記配管システムの用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る方法は、配管内の詰まり又は配管内の壁面への付着物の付着を検知する方法であって、前記配管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測する工程と、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を解析する工程と、を含む。
【0006】
また、本発明に係る方法は、配管内の詰まり又は配管内の壁面に付着した付着物を除去する方法であって、前記配管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測する工程と、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を解析する工程と、振動の変化を解析することによって振動の変化が検知された場合に、振動の変化が検知された振動検出センサ近傍の上流から薬液を注入する工程と、を含む。
【0007】
さらに、本発明に係る方法は、配管内の詰まり又は配管内の壁面への付着物の付着の位置を検知する方法であって、管内を流体が流れる配管の外周面に振動/衝撃を定期的又はランダムに加える工程と、前記配管に加えた振動/衝撃により、前記配管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測する工程と、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を解析する工程と、を含む。
【0008】
また、本発明に係る方法は、配管内の詰まり又は配管内の壁面に付着した付着物を除去する方法であって、管内を流体が流れる配管の外周面に振動/衝撃を定期的又はランダムに加える工程と、前記配管に加えた振動/衝撃により、前記配管の外周面の複数ヵ所に設置された複数の振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測する工程と、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を解析する工程と、振動の変化を解析することによって振動の変化が検知された場合に、振動の変化が検知された振動検出センサ近傍の上流から薬液を注入する工程と、を含む。
【0009】
上記振動検出センサは、例えば、光ファイバなどである。
【0010】
本発明に係る配管システムは、管内を流体が流れる配管と、前記配管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサと、各振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測し、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を検知する振動検知装置と、を備える。
【0011】
また、本発明に係る配管システムは、管内を流体が流れる配管と、前記配管の外周面に振動又は衝撃を定期的又はランダムに加える振動/衝撃手段と、前記配管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサと、前記振動/衝撃手段が前記配管に加えた振動又は衝撃により、各振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測し、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を検知する振動検知装置と、を備える。
【0012】
前記振動/衝撃手段は、例えば、超音波振動子を備えた超音波発振器などである。また、前記振動検出センサは、例えば、光ファイバなどである。
【0013】
上記配管システムにおいて、配管には、各振動検出センサの上流側に薬液注入部がそれぞれ設けられ、前記振動検知装置が振動の変化を解析することによって振動の変化を検知した場合に、振動の変化が検出された振動検出センサ近傍の上流側の前記薬液注入部から詰まりや付着物を除去するための薬液を注入することとしてもよい。
【0014】
なお、上記配管は、内管と外管とからなる二重管である場合、外管に薬液注入部を設けることとする。
【0015】
本発明に係る超臨界水によるバイオマスガス化システムは、バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液に懸濁させた前記非金属系触媒を触媒として、374℃以上の温度、及び22.1MPa以上の圧力の条件下で前記バイオマスを熱水処理する反応器と、前記懸濁液を、前記反応器に供給する手段と、前記反応器から排出された、生成ガス及び水を含む排出物の熱を利用して、前記懸濁液を予熱する二重管式熱交換器と、前記二重管式熱交換器における外管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサと、各振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測し、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を検知する振動検知装置と、を備える。
【0016】
また、本発明に係る超臨界水によるバイオマスガス化システムは、バイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液に懸濁させた前記非金属系触媒を触媒として、374℃以上の温度、及び22.1MPa以上の圧力の条件下で前記バイオマスを熱水処理する反応器と、前記懸濁液を前記反応器に供給する手段と、前記反応器から排出された、生成ガス及び水を含む排出物の熱を利用して、前記懸濁液を予熱する二重管式熱交換器と、前記二重管式熱交換器における外管の外周面に振動/衝撃を定期的又はランダムに加える振動/衝撃手段と、前記外管の外周面の複数ヵ所に設けられた複数の振動検出センサと、前記振動/衝撃手段が前記外管に加えた振動/衝撃により、各振動検出センサが検出した振動をそれぞれ計測し、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を検知する振動検知装置と、を備える。
【0017】
上記二重管式熱交換器における外管には、各振動検出センサ近傍の上流側に薬液注入部がそれぞれ設けられ、前記振動検出装置が振動の変化を解析することによって振動の変化を検知した場合に、振動の変化が検出された振動検出センサの上流側の薬液注入部から詰まりや付着物を除去するための薬液を注入することとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、管内に流体を流している際に生じた配管内の詰まり若しくは配管内の壁面への付着物の付着、又はその詰まり若しくは付着の位置を迅速に検知することができる方法及び配管システム、並びに、配管内の詰まり又は配管内の壁面に付着した付着物を迅速に除去することができる方法及び配管システム、並びに、前記配管システムの用途を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態において、配管システムの概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態において、超臨界水によるバイオマスガス化システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び図面等は、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0021】
==配管システムの構成==
本発明に係る配管システムは、流体を流れる配管内において詰まりが生じたり、配管内の壁面に付着物が付着したりする場合において、その詰まり又は付着を迅速に検知したり、その詰まり又は付着の位置を迅速に検知したり、詰まりや付着物を迅速かつ効率的に除去するのに有用である。以下の実施形態においては、配管システムにおける配管が、内管と外管からなる二重配管であって、外管と内管との間に流れる流体が詰まりを生じさせたり、付着物を形成させたりする場合について説明するが、配管は、単管からなるものであっても、3以上の管からなる多重管(ただし、最も外側の空間に流れる流体が詰まりを生じさせたり、付着物を形成させたりする場合に限る。)であってもかまわない。
【0022】
図1に、本発明の一実施形態として説明する配管システムの概略構成を示す。図1に示すように、本発明に係る配管システム100は、配管10、振動/衝撃装置20、複数の振動検出センサ30、振動計測器40、振動解析装置50などを備える。配管10は、外管1と内管2から構成されている。振動/衝撃装置20は、配管10(外管1)の外周面に定期的又はランダムに一定の振動/衝撃を加えるものである。振動/衝撃装置20としては、例えば、超音波振動子、水晶振動子などを備えた既存の発振器を用いることができる。なお、振動/衝撃装置20は、配管10の外周面のどの位置に設けてもよく、また、1又は複数台設置してもよい。なお、配管10の外管1は、振動/衝撃装置20による振動/衝撃を伝えやすい材料、例えば、金属などによって構成されている。
【0023】
振動検出センサ30は、振動/衝撃装置20によって配管10(外管1)に加えられた振動/衝撃を検出するセンサである。本実施の形態においては、振動検出センサ30として光ファイバを用い、配管10の外周面に螺旋状に巻き付けることとしているが、光ファイバの代わりに加速度ピックアップなどの既存のセンサを用いて配管10の外周面に設置してもよい。なお、振動検出センサ30は、配管10の外周面に一定間隔で複数ヵ所に設けてもよいが、詰まりが発生しやすい部分又は付着物が付着しやすい部分、例えば、管の屈曲部や管の溶接部分などに複数ヵ所設けてもよい。
【0024】
振動計測器40は、各振動検出センサ30で検出した振動(例えば、振幅や周波数など)をそれぞれ計測する機器である。本実施の形態においては、複数の振動検出センサ30に対して1台の振動計測器40を設けることとしているが、各振動検出センサ30に対して振動計測器40をそれぞれ設けてもよい。振動解析装置50は、振動計測器40で計測された振動の値(例えば、振幅値や周波数値など)を、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値と比較し、振動の変化を解析するものである。振動解析装置50が、解析することにより振動の変化を検知した場合には、例えば、「振動の変化を検知した振動検出センサ30の位置」と、「配管内(外管と内管との間の流路内)に詰まりや配管内の壁面(外管と内管との間の壁面)への付着物の付着が生じていること」をメールにて通知したり、ディスプレイに表示したり、警告音を発したりするなどして、管理者に報告する。なお、本実施の形態においては、配管システム100に、振動計測器40及び振動解析装置50を設けることとしているが、振動計測器40及び振動解析装置50の機能、すなわち、振動/衝撃装置20が配管10に加えた振動又は衝撃により、各振動検出センサ30が検出した振動をそれぞれ計測し、計測した各振動値と、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値とを比較して振動の変化を検知する機能を備える振動検知装置を設けてもよい。
【0025】
以上のように、本発明に係る配管システム100は、配管10に、振動/衝撃装置20、複数の振動検出センサ30、振動計測器40、振動解析装置50などを設けることにより、管内に流体を流している際に生じた配管内の詰まり又は配管内の壁面への付着物の付着を迅速に検知することができるだけでなく、その詰まりや付着の位置を検知(特定)することができるようになる。
【0026】
なお、上述の実施形態においては、配管システム100に振動/衝撃装置20を設け、振動/衝撃装置20によって配管10(外管1)に加えられた振動/衝撃を振動検出センサ30で検出することとしているが、配管システム100に振動/衝撃装置20を設けないで、外管1と内管2との間の流路を流れる流体の流動によって外管1に加えられた振動を振動検出センサ30で検出することとしてもよい。
【0027】
また、本実施の形態においては、図1に示すように、配管システム100の配管10における外管1に対して、各振動検出センサ30の上流側(流体の流れに対して上流側)に薬液注入部3がそれぞれ設けられており、振動解析装置50が振動の変化(異常な振動)を検知した場合、すなわち、内管2と外管1との間の流路において、非金属系触媒(例えば、活性炭)の微細粉末、ガス化反応時に生成されたタールなどによる詰まり、あるいは、該流路における管内の壁面への付着物の付着を検知した場合に、振動の変化が認められた部分(振動の変化が検出された部分)に設けられた振動検出センサ30の上流側の薬液注入部3から、外管と内管との間の流路に、詰まりや付着物を除去するための薬液を注入することができるようになっている。なお、上記薬液の注入は、振動解析装置50が薬液注入装置に薬液の注入を行うための信号を送信することにより行われるようにしてもよい。
【0028】
以上のように、本発明に係る配管システム100において、配管10に薬液注入部3を設けて、配管内の詰まりや配管内の壁面への付着物の付着を検知した場合に、上記薬液を配管内に注入することにより、配管内の詰まりや配管内の壁面への付着物の付着を迅速に除去することができるようになる。また、ピンポイントで薬液を注入することから、少量の薬液によって付着物等を効率よく除去することができ、もって、配管金属の薬液による腐食を抑制することが可能となる。なお、上述の配管システム100において、少なくとも内管2を、熱伝導性及び耐熱性に優れた金属などの材料によって作製することにより、上述の配管システム100を二重管式熱交換システムとして利用することができる。
【0029】
==配管内の詰まり若しくは配管内の壁面への付着物の付着、又はその詰まり若しくは付着の位置を検知する方法、及び前記詰まり又は前記付着物を除去する方法==
次に、管内に流体を流している際に生じた配管内の詰まり若しくは配管内の壁面への付着物の付着、又はその詰まり若しくは付着の位置を検知(特定)する方法、及び前記詰まり又は前記付着物を除去する方法について説明する。
図1に示すように、管内を流体が流れる配管10(外管1)の外周面に定期的又はランダムに一定の振動/衝撃を加えることにより、配管10の外周面の複数ヵ所に巻き付けた光ファイバ30がそれぞれ検出した振動を振動計測器40が計測する。計測された、各光ファイバ30が検出した各振動の値は、振動解析装置50によって、配管内に詰まりや配管内の壁面への付着物の付着が生じていない場合に測定された振動値と比較され、振動の変化が解析される。振動の変化の解析により振動の変化が検知された(生じたと判断された)場合には、振動解析装置50によって、振動の変化が検知された光ファイバ30の位置と、その位置において配管内(外管と内管との間の流路内)に詰まりや配管内の壁面(外管と内管との間の壁面)への付着物の付着が生じていることが、上述のように管理者に報告される。
【0030】
以上のように処理を行うことにより、管内に流体を流している際に生じた配管内の詰まり又は配管内の壁面への付着物の付着を迅速に検知することができるだけでなく、詰まりや付着物の位置を迅速に検知(特定)することができるようになる。
【0031】
なお、上述の実施形態においては、配管システム100に振動/衝撃装置20を設け、振動/衝撃装置20によって定期的又はランダムに一定の振動/衝撃を配管10(外管1)に加えて、振動検出センサ(光ファイバ)30が検出した振動を振動計測器40で計測することとしているが、振動/衝撃装置20による振動/衝撃を配管10(外管1)に加えないで、外管1と内管2との間の流路を流れる流体の流動によって外管1に加えられた振動を振動検出センサ30が検出し、振動検出センサ30が検出した振動を振動計測器40で計測することとしてもよい。
【0032】
また、振動の変化の解析により振動の変化が検知された場合、すなわち、内管2と外管1との間の流路において、非金属系触媒(例えば、活性炭)の微細粉末、ガス化反応時に生成されたタールなどによる詰まり、あるいは、該流路における管内の壁面への付着物の付着が検知された場合には、薬液注入装置などによって振動の変化が検知された光ファイバ30の上流の薬液注入口3から、詰まりや付着物を除去するための薬液を注入することとしてもよい。このように処理することにより、管内に流体を流している際に生じた配管内の詰まりや配管内の壁面に付着した付着物を迅速に除去することが可能となる。また、ピンポイントで薬液を注入することから、少量の薬液によって付着物等を効率よく除去することができ、もって、配管金属の薬液による腐食を抑制することが可能となる。
【0033】
==本発明に係る配管システムの利用==
次に、上述のような配管システム100を二重管式熱交換器システム(二重管式熱交換器)として利用した例を以下に挙げて説明する。
図2は、本発明の一実施形態として説明する超臨界水によるバイオマスガス化システムの概略構成を示す図である。図2に示すように、本発明に係る超臨界水によるバイオマスガス化システム200は、二重管式熱交換器システム100、調整タンク110、破砕機120、供給ポンプ130、予熱器140、加熱器141、反応器150、加熱器151、冷却器160、減圧器170、気液分離器180、ガスタンク181、触媒回収器190などを備える。
【0034】
調整タンク110は、バイオマスの種類、量、含水率などに応じて水や非金属系触媒の混合量を調整しながら、バイオマス、水、非金属系触媒などを混合するタンクである。投入されたバイオマス及び活性炭、並びに必要に応じて投入された水を混合して、バイオマス(あるいはバイオマス溶液)に活性炭を懸濁し、ガス化原料(懸濁液)を調製する。前記バイオマスは、例えば、焼酎残渣、採卵鶏糞等の含水性バイオマスなどである。前記非金属系触媒としては、例えば、活性炭、ゼオライト、これらの混合物などを用いることができるが、平均粒径200μm以下の粉末を用いることが好ましく、多孔質であることがより好ましい。
【0035】
破砕機120は、調整タンク110で懸濁した懸濁液中のバイオマスを破砕して、あらかじめ均一な大きさ(好ましくは平均粒径が500μm以下、より好ましくは平均粒径が300μm以下)にするための装置である。
【0036】
反応器150は、破砕機120でバイオマスを破砕した懸濁液に懸濁させた活性炭を触媒として、懸濁液中のバイオマスを超臨界水でガス化する装置である。超臨界水によるバイオマスのガス化は、前記非金属系触媒を利用して、374℃以上の温度、及び22.1MPa以上の圧力の条件下で水熱処理することにより行われる。このようにバイオマスを超臨界水で処理することにより、バイオマスを分解し、水素ガス、メタン、エタン、エチレン等の燃料ガスを生成することができる。
上述の反応器150としては、例えば、管状反応器、流動層反応器などを用いることができる。
【0037】
供給ポンプ130は、破砕機120でバイオマスを破砕した懸濁液をガス化反応器150に供給する装置である。供給ポンプ130は、バイオマスを破砕した懸濁液を供給できる装置であれば特に制限されるものではなく、例えば、高圧ポンプやモーノポンプなどを用いることができる。
【0038】
予熱器140は、供給ポンプ130から反応器150に供給される、バイオマスを破砕した懸濁液を所定の温度に予め加熱する装置である。
冷却器160は、反応器150から排出される排出物(生成ガス、灰分及び活性炭が水に懸濁されたもの)を冷却するための装置である。冷却器160は、例えば、クーラーなどである。
減圧器170は、反応器150から排出される排出物の圧力を減圧する装置である。
【0039】
気液分離器180は、反応器150から排出された排出物を、生成ガス(燃焼ガス等)を含む気体成分と、灰分及び活性炭が水に懸濁された液体成分とに分離する装置である。
ガスタンク181は、気液分離器180によって分離された気体成分(生成ガス)を貯える容器(好ましくは耐圧容器)である。
【0040】
加熱器151は、ガスタンク181に貯えられた生成ガス(燃料ガス)の一部あるいは燃料ガス(例えば、LPGなど)を酸素を含むガス中で燃焼して反応器150を加熱し、バイオマスを粉砕した懸濁液を所定の温度に加熱する装置である。また、加熱器141は、ガスタンク181に貯えられた生成ガス(燃料ガス)の一部あるいは燃料ガス(例えば、LPGなど)を酸素を含むガス中で燃焼して予熱器140を加熱し、バイオマスを粉砕した懸濁液を所定の温度に加熱する装置である。加熱器141,151は、例えば、バーナーなどの、燃料ガスを燃焼して加熱する既存の装置である。
【0041】
触媒回収器190は、気液分離器180によって分離された液体成分から非金属系触媒を分離・回収する装置である。触媒回収器190としては、例えば、非金属系触媒と灰との沈降速度(終端速度)を利用して、液体成分中の灰分、非金属系触媒、及び水をそれぞれ分離する装置を用いてもよいが、液体成分中の灰分、非金属系触媒、及び水を固体成分と液体成分とに分離する既存の固液分離器と、分離した固体成分中の灰分と非金属系触媒とを篩いによって分離する既存の篩器との組み合わせを用いてもよい。
【0042】
二重管式熱交換器システム100は、反応器150において水熱処理することにより生成された生成ガスと水などを含み、反応器150から排出される排出物の熱を利用して、反応器150で水熱処理されるバイオマスを粉砕した懸濁液を予熱する装置である。二重管式熱交換器システム100の内管2内の流路には、バイオマスを粉砕した懸濁液が流れており、内管2と外管1との間の流路には、反応器150から排出される排出物が流れている。上述のように、内管2と外管1との間の流路において、非金属系触媒(例えば、活性炭)の微細粉末、ガス化反応時に生成されたタールなどに詰まりが生じた場合や、該流路内における壁面に付着物が付着した場合には、振動解析装置50によって振動の変化が検知され、詰まり又は付着物の位置が特定される。また、二重管式熱交換器システム100における配管10に薬液注入口3が設けられている場合には、振動の変化が検知された光ファイバ30の上流の薬液注入口3から詰まりや付着物を除去するための薬液(例えば、過酸化水素水など)が注入される。
【0043】
以上のように、超臨界水によるバイオマスガス化システム200に二重管式熱交換器システム100を備えることにより、運転中に生じた二重管式熱交換器システム100における配管10内の詰まりや、運転中に生じた、配管10内の壁面への付着物の付着の位置を迅速に検知(特定)することができるようになる。また、配管10に薬液注入口3が設けられている場合には、振動の変化が検知された光ファイバ30の上流の薬液注入口3から詰まりや付着物を除去するための薬液をピンポイントで注入することができることから、配管10における詰まりや付着物を迅速かつ効率よく除去することができるようになる。もって、システムの信頼性が向上し、連続運転・安定運転を図ることが可能となる。
【0044】
なお、本実施の形態においては、図2に示すように、加熱器141によりガスタンク181の生成ガスあるいは燃料ガスを燃焼することによって得られた排ガスの熱を利用して、バイオマスを粉砕した懸濁液を加熱する熱交換器を反応器150に設けている。
また、本実施の形態においては、調整タンク110でバイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液を破砕機120によって処理し、供給ポンプ130により二重管式熱交換器システム100及び予熱器140を順に介して反応器150に供給しているが、破砕機20で破砕したバイオマスに非金属系触媒を懸濁した懸濁液を、供給ポンプ30によって二重管式熱交換器システム100及び予熱器140を順に介して反応器150に供給してもよい。
さらに、上述の実施形態においては、破砕機20を設けることとしているが、ガス化原料としてバイオマスのスラリー体を用いる場合には、超臨界水によるバイオマスガス化システム200に破砕機20を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 外管、2 内管、3 薬液注入部、10 配管、20 振動/衝撃装置、30 振動検出センサ、40 振動計測器、50 振動解析装置、100 配管システム(二重管式熱交換器システム)、110 調整タンク、120 破砕機、130 供給ポンプ、140 予熱器、141 加熱器、150 反応器、151 加熱器、160 冷却器、170 減圧器、180 気液分離器、181 ガスタンク、190 触媒回収器、200 超臨界水によるバイオマスガス化システム
図1
図2