特許第6154178号(P6154178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154178
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/14 20060101AFI20170619BHJP
   F16K 3/12 20060101ALI20170619BHJP
   F16K 3/18 20060101ALI20170619BHJP
   F16K 51/02 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   F16K3/14
   F16K3/12
   F16K3/18 Z
   F16K51/02 B
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-85299(P2013-85299)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2013-224737(P2013-224737A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2016年2月24日
(31)【優先権主張番号】A471/2012
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリードリッヒ ガイサー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ブレッハ
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭37−018149(JP,Y1)
【文献】 米国特許第05722636(US,A)
【文献】 実公昭47−004465(JP,Y1)
【文献】 特開昭55−097563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/12−3/14
F16K 3/18
F16K 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通開口部(2)および閉塞体(3)を有するバルブ(1)または真空バルブであって、
前記バルブ(1)を構成するバルブ駆動装置(4)により、前記閉塞体(3)が前記貫通開口部(2)を開放する開位置から、前記閉塞体(3)が前記貫通開口部(2)を閉塞する閉位置に前記閉塞体(3)が変位可能、かつ、反対方向に運動可能であり、
前記閉塞体(3)が、前記閉位置において、前記貫通開口部(2)を取り囲むとともに相互に対向している第1バルブシート(6)および第2バルブシート(7)の間に位置し、前記閉塞体(3)の第1閉塞体要素(8)が前記第1バルブシート(6)に当接し、かつ、前記閉塞体(3)の第2閉塞体要素(9)が前記第2バルブシート(7)に当接するように構成され、
前記第1閉塞体要素(8)および前記第2閉塞体要素(9)が閉方向(5)に相対的に可動に配置され
一方の閉塞体要素または前記第1閉塞体要素(8)の閉方向への運動を停止させるための少なくとも1つのストッパ(13)が少なくとも前記一方の閉塞体要素(8)に設けられ、
前記ストッパ(13)が、前記第1バルブシート(6)が存在する一方の閉平面(15)と、前記第2バルブシート(7)が存在する他方の閉平面(17)との間に配置されている中間領域(31)の外側に配置されていることを特徴とするバルブ。
【請求項2】
請求項1記載のバルブにおいて、
一方の閉塞体要素または前記第1閉塞体要素(8)の閉方向への運動を停止させるための少なくとも1つのストッパ(13)が、前記一方の閉塞体要素(8)において、前記一方の閉塞体要素(8)が前記閉位置で当接するところの一方のバルブシート(6)の反対側に設けられていることを特徴とするバルブ。
【請求項3】
請求項1または2記載のバルブにおいて、
一方の閉塞体要素または前記第1閉塞体要素(8)の前記閉方向(5)への運動を停止させるための少なくとも1つのストッパ(13)が、少なくとも前記一方の閉塞体要素(8)において、他方の閉塞体要素(9)の反対側に設けられていることを特徴とするバルブ。
【請求項4】
請求項1〜のうちいずれか1つに記載のバルブにおいて、
一方の閉塞体要素または前記第1閉塞体要素(8)の閉方向への運動を停止させるための少なくとも1つのストッパ(13)が、前記一方の閉塞体要素(8)のみに設けられていることを特徴とするバルブ。
【請求項5】
請求項記載のバルブにおいて、
前記ストッパ(13)による前記一方の閉塞体要素(8)の停止に続いて、他方の閉塞体要素または前記第2閉塞体要素(9)が前記閉方向(5)にさらに運動可能に構成されていることを特徴とするバルブ。
【請求項6】
請求項2〜のうちいずれか1つに記載のバルブにおいて、
前記ストッパ(13)が一方の閉塞体要素(8)に固定して設けられ、前記貫通開口部(2)を取り囲む壁部(14)に停止することを特徴とするバルブ。
【請求項7】
請求項1〜のうちいずれか1つに記載のバルブにおいて、
前記バルブシート(6)の閉平面(15)が、前記閉位置においてシール部材(11)を中間に介して一方の閉塞体要素(8)に当接し、かつ、前記閉方向(5)に対して鋭角(32)をなして配置されていることを特徴とするバルブ。
【請求項8】
請求項1〜のうちいずれか1つに記載のバルブにおいて、
前記閉方向(5)とは反対方向への前記閉塞体(3)の運動に際して、一方の閉塞体要素または前記第1閉塞体要素(8)を、他方の閉塞体要素または前記第2閉塞体要素(9)に対して相対的に元の位置に戻すように、前記第1閉塞体要素(8)および前記第2閉塞体要素(9)の間に少なくとも1つの戻しばね(18)が作用していることを特徴とするバルブ。
【請求項9】
請求項1〜のうちいずれか1つに記載のバルブにおいて、
前記第1閉塞体要素(8)および前記第2閉塞体要素(9)が、少なくともすべり面(19)を介して相互に当接していることを特徴とするバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ、特に真空バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術としてのバルブが提案されている(特許文献1参照)。閉位置においてバルブシートに当接する2つの閉塞体要素は、横断面において相互にV字形状に配置され、バルブ駆動装置の拡げ楔によって離間することによりシール部材を介してそれぞれのバルブシートに対して押し付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報WO2011/088482号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これまでとは異なる形態の汎用性がある同種のバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、貫通開口部および閉塞体を有するバルブまたは真空バルブであって、前記バルブを構成するバルブ駆動装置により、前記閉塞体が前記貫通開口部を開放する開位置から、前記閉塞体が前記貫通開口部を閉塞する閉位置に前記閉塞体が変位可能、かつ、反対方向に運動可能であり、前記閉塞体が、前記閉位置において、前記貫通開口部を取り囲むとともに相互に対向している第1バルブシートおよび第2バルブシートの間に位置し、前記閉塞体の第1閉塞体要素が前記第1バルブシートに当接し、かつ、前記閉塞体の第2閉塞体要素が前記第2バルブシートに当接するように構成されているバルブに関する。
【0006】
本発明のバルブは、前記第1閉塞体要素および前記第2閉塞体要素が閉方向に相対的に可動に配置されていることを特徴とする。
【0007】
先行技術と同様に2つの閉塞体要素が楔状によって相互に揺動されうる場合、当該2つの閉塞体要素を相互に閉方向に相対運動させることができる。2つの閉塞体要素は、直線的に、好ましくは直線的にのみ相対的に変位可能である。また、2つの閉塞体要素が閉方向について相対的に変位可能であることが好ましい。
【0008】
一方の閉塞体要素または第2閉塞体要素が、少なくとも閉方向に変位不可能に、閉塞体を支持しているバルブ駆動装置のバルブ駆動要素に設けられることが好ましい。他方の閉塞要素または第1閉塞要素は、閉塞体を支持しているバルブ駆動装置のバルブ駆動要素に対して変位可能に設けられていてもよい。バルブ閉塞要素は、バルブ駆動装置のスラストピンであってもよい。
【0009】
本発明のコスト的に好ましい実施形態において、単一の閉塞体要素または第1閉塞体要素が、閉位置においてシール部材を介してバルブシートまたは第1バルブシートに対して密接する。当該実施形態によれば、他の閉塞体要素または第2閉塞体要素は、密接機能はなく支持機能のみを有する。シール部材を有する閉塞体が、当該閉塞体に対して配置されているバルブシートに押し付けられてもよい。補足説明すると、シール部材は閉塞体要素またはバルブシートに設けられていてもよい。少なくとも1つのシール部材が閉塞体要素に設けられ、かつ、少なくとも1つの閉塞体要素がバルブシートに設けられてもよい。一方の閉塞体要素が、閉位置において少なくとも1つのすべり面によってバルブシートまたは第2バルブシートに当接してもよい。
【0010】
2つの閉塞体要素が閉位置から中間位置に到達するまで閉方向に動かされる。中間位置において閉塞体がバルブシートの中間に配置されていることが好ましい。中間位置においていずれの閉塞体要素も各バルブシートに対して押し付けられていない。バルブ駆動装置またはバルブ駆動要素の閉方向へのさらなる動作により、少なくとも一方の閉塞体要素がバルブシートに対して密接するように押し付けられる閉位置に到達するまで、当該一方の閉塞体要素がそれ以上動けなくなっている他方の閉塞体要素に対して相対的に動かされる。
【0011】
一方の閉塞体要素を中間位置において固定保持するため、当該一方の閉塞体要素の閉方向への動きを停止させる少なくとも1つのストッパが、当該一方の閉塞体要素または第1閉塞体要素のみに設けられることが好ましい。ストッパによる一方の閉塞体要素の停止に続いて、他方の閉塞体要素または第2閉塞体要素が閉方向にさらに移動可能であることが好ましい。
【0012】
一方の閉塞体要素の閉方向の動きを停止させる少なくとも1つのストッパが、当該一方の閉塞体要素または第1閉塞体要素のみに設けられていることが好ましい。閉位置において閉塞体要素が当接するところのバルブシートにおいて、少なくとも閉位置において閉塞体要素の反対側となる箇所にストッパが設けられることが好ましい。少なくとも閉位置において、第1バルブシートが存在する一方の閉平面と第2バルブシートが存在する他方の閉平面との間の中間領域の外側にストッパが設けられることが好ましい。少なくとも閉位置において、ストッパが設けられている一方の閉塞体要素において他方の閉塞体要素の反対側となる箇所にストッパが設けられることが好ましい。
【0013】
簡素かつコンパクトな実施形態の観点から、ストッパが閉塞体要素に対して固定されていることが好ましい。ストッパが閉塞体要素から部分的に突出していることが好ましい。貫通開口部の周囲壁部にストッパが係止してもよい。
【0014】
閉方向とは反対方向に対する開動作に際して元の状態に戻すため、閉塞体が閉方向とは反対方向に開位置まで動く際に、一方の閉塞体要素または第1閉塞体要素を、他方の閉塞体要素または第2閉塞体要素に対して相対的に元の位置に戻すように、当該2つの閉塞体要素の間に少なくとも1つの戻しばねが作用していることが好ましい。
【0015】
閉塞体要素の間の摩擦損失の低下を図るため、当該閉塞体要素がすべり面によって相互に当接していることが好ましい。
【0016】
本発明のバルブが楔状バルブであってもよい。第1バルブシートの閉平面が、第2バルブシートの閉平面に対して鋭角をなすように配置されている。各バルブシートの閉平面は、各閉塞体要素が各バルブシートに対して当接する平面である。シール部材を介してバルブシートに対して当接する閉塞体要素は、平板上に形成されていてもよい。閉塞体要素が丸みのある形状、角張った形状または円弧形状を有していてもよい。
【0017】
閉塞行程の正確を期す観点から、閉位置において一方の閉塞体要素がシール部材を介して当接するところのバルブシートの閉平面が、閉方向に対して鋭角をなすように配置されていることが好ましい。閉位置において閉塞体がシール部材を介して当接するところのバルブシートの閉平面が、開位置における貫通開口部を通じて流通可能な流通方向に対して傾斜していることが好ましい。
【0018】
本発明のバルブは真空技術に用いられる。真空技術において、負圧チャンバまたは真空チャンバでワークピースが処理される、または、環境条件の影響が排除された形で他のプロセスが実行される。真空技術は、通常、0.001[mbar]または0.1[Pa]以下の圧力での運転状態を意味する。負圧運転状態において採用される、真空バルブとして実現される当該バルブは、真空技術において適用かつ設計される。真空バルブは、適当な真空チャンバの開放および閉塞に用いられる。真空バルブを通じて処理対象であるワークピースが真空チャンバに搬入され、かつ、真空チャンバから搬出される。真空バルブは気体流量計または流体流量計を備えていてもよい。
【0019】
本発明のバルブの様々な特徴および詳細は、次の図面に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施例としてのバルブの第1方向の側面図。
図2】本発明の第1実施例としてのバルブの第2方向の側面図。
図3】本発明の第1実施例としてのバルブの第3方向の側面図。
図4】閉塞体が開位置にある状態における図3のA−A線に沿った断面図。
図5】閉塞体が中間位置にある状態における図3のA−A線に沿った断面図。
図6】閉塞体が閉位置にある状態における図3のA−A線に沿った断面図。
図7】バルブを構成する閉塞体の側面図。
図8】第2の閉塞体要素の側面図。
図9図8のB−B線に沿った断面図。
図10】閉塞体の様々な構成部品の分解図。
図11】本発明の第2実施例としてのバルブに関する説明図。
図12】本発明の第2実施例としてのバルブに関する説明図。
図13】本発明の第2実施例としてのバルブに関する説明図。
図14】本発明の第2実施例としてのバルブに関する説明図。
図15】本発明の第2実施例としてのバルブに関する説明図。
図16】本発明の第2実施例としてのバルブに関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図3に示されている本発明の一実施形態としての真空バルブ1は、ハウジング20を備えている。ハウジング20には、閉位置において閉塞体3により閉塞される貫通開口部2が設けられている。バルブ駆動装置4が、閉塞体3を開位置および閉位置の間で変位させるように構成されている。バルブ駆動装置4は、電動式、油圧式、気圧式、またはその他の公知の方式にしたがって構成されている。本実施形態では、前記変形態様と同様に、バルブ駆動装置4は直線的にのみ動作する。閉塞体3は全体的に閉位置に向かってまたは閉位置と反対方向に変位する。
【0022】
連結フランジ21および22を用いて、真空バルブ1はそのハウジング20を通じて真空チャンバに対して、あるいは、2つの真空チャンバの間に固定される。本発明のバルブまたは真空バルブ1は、これ以外にも様々な形態で適用可能である。符号5は、バルブ駆動装置4により閉塞体3が開位置から閉位置に動かされる方向である閉方向を示している。図示されていないが開方向は閉方向5の反対方向である。図1において、ハウジング20の壁部14に係止しているストッパ13を有する第1閉塞体要素8が示されている。壁部14は貫通開口部2の周囲に設けられている。
【0023】
図3は、反対側から見た図を示している。閉塞体3の第2閉塞体要素9、戻しばね18および支持プレート27が存在する。これらの機能については後でより正確に説明される。
【0024】
図4図6には、図3の断面線A−Aに沿った断面が示されている。図4には、閉塞体3が、貫通開口部2が完全に開放されている開位置にある状態が示されている。図5には、ストッパ13により第1閉塞体要素8が停止し、これにより第2閉塞体要素9のそれ以上の動きが停止されている中間位置における状態が示されている。図6は、第1閉塞体要素8がシール部材11を介して第1バルブシート6に密着して押し付けられ、第2閉塞体要素9が第2バルブシート7に当接している閉位置を示している。本実施形態では、バルブ駆動装置はピストンシリンダユニットにより構成されている。ピストンシリンダユニットは気圧駆動式であってもよいし、油圧駆動式であってもよい。ピストンには、ここではバルブロッドにより構成されているバルブ駆動要素10が設けられ、バルブ駆動要素10には第2閉塞体要素9が少なくとも閉方向5に不可動に配置されている。図4図6から、本実施形態としてのバルブが楔状バルブとして構成されていることがわかる。バルブシート6および7またはその閉平面15および17が鋭角16をなして配置されている。
【0025】
図4から、閉位置において閉塞体要素8がシール部材11を介して当接するところのバルブシートの閉平面15が、閉塞方向5に対して鋭角32をなして配置されていることもわかる。閉平面15またはバルブシート6は、流通方向33に対して傾斜して配置されている。
【0026】
図4には、前記のように貫通開口部2が開放されており、ワークピースまたは気体もしくは流体等の媒体が当該貫通開口部2を通じて通過可能な閉位置にある状態の閉塞体3が示されている。バルブ1の閉塞のため、バルブ駆動装置4はピストンロッド10によって閉塞体3を閉方向5に動かす。閉塞体3の当該変位に際して、第1閉塞体要素8および第2閉塞体要素9は、相互に局所的に固定された関係のままである。変位行程の第1段階は、図5に示されている中間位置において終了する。中間位置において、ここではバルブプレートとして構成されている第1閉塞体要素8に設けられているストッパ13が、貫通開口部2の周囲の壁部14に対して係止している。これにより、第1閉塞体要素8の動きが止められている。閉位置において、第1閉塞体要素8はこれ以上動かされない。バルブ駆動装置4の閉方向5へのさらなる動作により、スラストロッドの形態で構成されているバルブ駆動要素10が、その閉方向の側において固定されている第2閉塞体要素9とともに閉方向5にさらに動かされる。これにより、閉塞体要素8および9を閉方向5に相対的に動かすことができる。当該動作により、第2閉塞体要素9のみがすべり面12により第2バルブシート7に沿って摺動する。
【0027】
閉平面15および17の鋭角をなす配置によって、第1閉塞体要素8がシール部材11とともに第1バルブシート6に対して押し付けられるような楔作用を奏する。本発明の実施形態では、第2バルブシート7および第2閉塞体要素9の間に密着作用は実現されていない。最終的に、図6に示されている閉位置に到達する。閉位置において、楔作用により、第1閉塞体要素8がそれに対向して配置されている第1バルブシート6に対して押し付けられる。
【0028】
開放のため、すなわち、閉方向5の反対方向に図4に示されている開位置まで閉塞体3を動かすため、バルブ駆動装置4がバルブ駆動要素10および第2閉塞体要素9を上方に引き戻す。これにより、図5に示されている中間位置に到達するまで、再び第1閉塞体要素8および第2閉塞体要素9が相対的に運動する。中間位置から第1閉塞体要素8が持ち上げられ、かつ、閉塞体3が図4に示されている開位置まで上方に移動する。戻しばね18が、第1閉塞体要素8および第2閉塞体要素9の戻り動作を補助する。
【0029】
第1閉塞体要素8に設けられ、中間位置において当該第1閉塞体要素8の閉方向5への移動を停止させる本実施形態のストッパ13は、前記他の実施態様のように閉平面15および17の間の中間領域31の外側に配置されている。ストッパ13は、閉位置において第1閉塞体要素8が当接するところのバルブシート6のうち当該第1閉塞体要素8の反対側に設けられている。閉位置においてストッパ13は、閉平面15および17の間の中間領域31の外側にあるハウジング20の壁部14に係止する。
【0030】
本実施形態の閉塞体3の正確な構成を詳細に説明するため、図7図10には、バルブ1の他の部分が省略されて閉塞体3が示されている。図7は閉塞体3の幅狭の側面図を示している。図8は第2閉塞体要素9および断面線B−Bを示している。図9には当該断面線B−Bに沿った断面図が示されている。図10は分解図を示している。
【0031】
特に図9および図10からわかるように、本実施形態においてバルブプレートとして構成されている第1閉塞体要素8はシール部材11を支持している。当該構成は必須ではない。シール部材はバルブシートの周囲に配置されていてもよい。閉塞体要素8に対する固定のため、一方側にストッパ13が設けられ、他方側にガイドピン23が設けられている。ガイドピン23は、第2閉塞体要素9の縦長部30に貫通している。さらに、ガイドピン23は、支持プレート27の受け入れナット28に対してガイドピン23を配置するためのナット24を備えている。支持プレート27は、固定ピン25によって他方側が第2閉塞体要素9に対して固定されている戻しばね18を固定する役割を担う。受け入れナット28の拡張部29は、取り付けに際して、当該受け入れナット28によりガイドピン23を差し込む役割を担う。ガイドピン23がボルト締結等により2つの部材からなっている場合、拡張部29は省略されてもよい。
【0032】
第1閉塞体要素8がシール部材11を介して第1バルブシート6に対して当接可能であるにもかかわらず、第2閉塞体要素9および第2バルブシート7にはシール部材が設けられていない。本実施形態では、図5および図6の間の移動行程が実施される際、第2閉塞体要素9が第2バルブシート7の周辺のすべり面12に多数回にわたり接触する。
【0033】
閉塞体要素8および9の相対的なスライドを実現するため、当該2つの閉塞体要素の間にすべり面19が形成されている。第1閉塞体要素8に設けられ、閉方向5に対して変位可能な支持プレート27がスライダ26によって第2閉塞体要素9に沿って摺動する。一般的に、すべり面12および19ならびに26は、テフロン等からなるすべりプレート、摩擦低減のためのコーティングまたはその等価物によって構成されうる。適当な注油も可能である。
【0034】
前記構成により、一方では閉塞体要素8および9の相対的な運動が実現される。本実施形態において、他方では閉塞体要素8および9が元の位置に戻れるように、閉方向5に対して反対の開方向について戻しばね18により付勢されている。
【0035】
図11図16において、本発明の第2実施形態としてのバルブ1が示されている。第1実施形態に対する2つの本質的な相違点のうち第1の相違点は、バルブ駆動装置4が手動式である点である。当該装置は、揺動軸35回りの手による揺動操作により、閉塞体3を閉方向5に閉位置まで揺動させる一方、閉塞体3を閉方向5の反対方向に開位置まで揺動させるためのレバー34を備えている。第1実施形態に対する第2の重要な相違点は、閉塞体3が開位置および閉位置の間の行程において、直線的に動作することなく、円弧軌道に沿って曲線的に動作する点である。
【0036】
図11は、閉塞体3が貫通開口部2を完全に開放している開位置における本発明の第2実施形態のバルブ1を示している。図12は、図11の断面線C−Cに沿った断面を示している。図13および図14は、ストッパ13が壁部14に係止している一方、両方の閉塞体要素8および9が閉方向5に対して相互に変位していない中間位置を示している。この位置において、第1閉塞体要素8は弛緩状態のシール部材11を介して第1バルブシート6に対してのみ当接している。図14は、図13の断面線D−Dに沿った断面を示している。図15、および図15の断面線E−Eに沿った断面を示す図16は、閉位置を示している。
【0037】
ストッパ13と、中間位置(図13および図14参照)と閉位置(図15および図16参照)との間で相互に変位可能な閉塞体要素8および9を有する閉塞体3の構成は、第1実施形態に対応しているので、詳細な説明は不要である。完全を期すため、本発明の第2実施形態に特有の事項についてのみ説明する。電動機式、油圧式、電動式またはその他の駆動方式のバルブ駆動装置によって揺動されうる閉塞体3が採用されてもよい。第1実施形態と同様に、直線駆動式のバルブ駆動装置が主導で動かされてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1‥バルブ、2‥貫通開口部、3‥閉塞体、4‥バルブ駆動装置、5‥閉方向、6‥第1バルブシート、7‥第2バルブシート、8‥第1閉塞体要素、9‥第2閉塞体要素、10‥バルブ駆動要素、11‥シール部材、12‥すべり面、13‥ストッパ、14‥壁部、15‥閉平面、16‥角度、17‥閉平面、18‥戻しばね、19‥すべり面、20‥ハウジング、21‥連結フランジ、22‥連結フランジ、23‥ガイドピン、24‥ナット、25‥固定ピン、26‥スライダ、27‥支持プレート、28‥受け入れナット、29‥拡張部、30‥縦長部、31‥中間領域、32‥鋭角、33‥流通方向、34‥レバー、35‥揺動軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16