(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154186
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】基板の垂直搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 49/06 20060101AFI20170619BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20170619BHJP
C03B 33/03 20060101ALI20170619BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
B65G49/06 A
B65G47/91 A
C03B33/03
B65G47/52 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-96120(P2013-96120)
(22)【出願日】2013年5月1日
(65)【公開番号】特開2013-249206(P2013-249206A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2016年3月8日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0059096
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西尾 仁孝
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−088792(JP,A)
【文献】
特開2012−097330(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0228708(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/06
B65G 47/52
B65G 47/91
C03B 33/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、該支持部材上に載置された基板の位置を調整する位置決めユニットとを有する位置決めローダーと、
前記支持部材上に載置された基板を吸着して上昇および下降させることが可能な吸着昇降ユニットと、
前記基板をチャック部材によってチャックした状態でスクライブユニットへと搬送するチャッキング工程コンベアと、を備え、
前記位置決めローダーから前記チャッキング工程コンベアへの基板の載せ換えを前記吸着昇降ユニットの下降動作によって行ない、
前記支持部材が水平方向に移動可能とされていることを特徴とする基板の垂直搬送装置。
【請求項2】
前記支持部材が複数のコンベアベルトからなり、各コンベアベルトが水平方向に移動することにより、前記基板が通過可能な開口部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の基板の垂直搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の垂直搬送装置に関するものであって、さらに具体的には脆性材料等からなる基板の位置を正確に合わせた状態で垂直にチャッキング工程に移動させることができる基板の垂直搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1には、従来技術において、供給ローダーに投入された基板を、スクライビング工程を行うスクライビングコンベアまで搬送するコンベア装置が示されている。
図1に示すように、供給ローダーAに投入された基板1を用途に合わせてスクライブするためには、基板1をスクライビングコンベアD上のスクライブユニット30まで水平に搬送しなければならない。
【0003】
このために、まず、供給ローダーAのコンベアベルト3を回転させて基板1を位置決めローダーBまで搬送する。位置決めローダーBは、基板1のX軸、Y軸の位置を合わせる作業を行なう部分である。
【0004】
位置決めローダーBの上方には、基板1を必要に応じて回転させるための旋回ユニット22が設けられている。
旋回ユニット22は、基板1の縦横の長さが同一の場合には用いられず、基板1の縦横の長さが互いに異なる場合に用いられることが一般的である。
旋回ユニット22には、旋回ユニット22を上昇及び下降させるための上下駆動ユニット20が設けられており、旋回ユニット22の下面には、基板1を吸着するための吸着パッド24が装着されている。
【0005】
位置決めローダーB上に供給された基板1の向きを変えるときは、まず、上下駆動ユニット20を駆動して旋回ユニット22を基板1に向けて下降させる。
次いで、旋回ユニット22の下面に装着されている吸着パッド24により基板1を吸着する。吸着したら、上下駆動ユニット20を駆動して基板1を上空に持ち上げる。
吸着パッド24で吸着された基板1が上下駆動ユニット20によって一定の高さまで上昇したら、基板1を回転させる。その後、上下駆動ユニット20を駆動して基板1を位置決めローダーBの上面まで下降させる。そして、吸着パッド24による吸着を解除して基板1を位置決めローダーB上に載置した後、上下駆動ユニット20を駆動して旋回ユニット22を上昇させ元の位置に復帰させる。
【0006】
基板1を位置決めローダーBから次の工程のチャッキング工程コンベアCに搬送する前に、位置決めローダーBの前後左右に設けられた位置決めユニット10を用いて、基板1のX軸、Y軸の位置調整を行う。
これは、基板1の位置決めを正確に行なうことにより、精度の高いスクライブを実行するためである。
位置決めユニット10によって基板1のX軸、Y軸の位置を正確に調整した後、次の工程であるチャッキング工程コンベアCに搬送する。
【0007】
ところで、基板1が位置決めローダーBのコンベアベルト6からチャッキング工程コンベアCのコンベアベルト9に乗り移るときには、微小な位置ずれが生じ得る。具体的には、各コンベアベルトの微小な高低の差と回転速度の差によって基板1の位置ずれが生じ得る。
【0008】
位置ずれした状態のままチャッキング工程コンベアC上でチャッキングされると、前進又は後退によってスクライブユニット30のスクライブヘッドに取り付けられたカッターによってスクライブされたときに、所望する寸法の精度の高い単位基板を得ることができないという問題点がある。また、チャッキングがスクライブ作業の途中にはずれたり基板が割れたりするという問題点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述のような問題点を解決するために案出されたものであって、具体的には基板が正確に位置決めされた状態でスクライブ作業を行うことができる基板の垂直搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る基板の垂直搬送装置では、支持部材と、該支持部材上に載置された基板の位置を調整する位置決めユニットとを有する位置決めローダーと、前記支持部材上に載置された基板を吸着して上昇および下降させることが可能な吸着昇降ユニットと、前記基板をチャック部材によってチャックした状態でスクライブユニットへと搬送するチャッキング工程コンベアと、を備え、前記位置決めローダーから前記チャッキング工程コンベアへの基板の載せ換えを前記吸着昇降ユニットの下降動作によって行なうこととした。
【0011】
前記基板の垂直搬送装置において、前記支持部材は水平方向に移動可能とされていてもよい。
【0012】
前記基板の垂直搬送装置において、前記支持部材は複数のコンベアベルトからなり、各コンベアベルトが水平方向に移動することにより、前記基板が通過可能な開口部が形成されるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態に係る基板の垂直搬送装置によれば、基板が位置決めローダーで位置決めされた状態で、次の工程であるチャッキング工程コンベアに下降されて載置されるので、基板の位置ずれの発生を著しく減らすことができ、また、チャッキング工程コンベアが位置決めローダーの下方に配置されるので、装置の設置空間を大幅に減らすことができる。
また、本発明の他の実施形態に係る基板の垂直搬送装置によれば、位置決めローダーの支持部材が複数のコンベアベルトからなり、各コンベアベルトが水平方向に移動して広い幅の開口部が形成されるようにしたので、基板がコンベアベルトと干渉せず、位置ずれを伴わずに容易に下降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、従来の基板搬送装置を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の垂直搬送装置を示す図である。
【
図3】
図3は、基板が位置決めローダーに載置された状態を表す模式図である。
【
図4】
図4は、基板が位置決めされている状態を表す模式図である。
【
図5】
図5は、位置決めされた基板が吸着される状態を表す模式図である。
【
図6】
図6は、吸着されて上昇する基板を表す模式図である。
【
図7】
図7は、位置決めローダーからチャッキング工程コンベアへと垂直搬送される基板を表す模式図である。
【
図8】
図8は、位置決めローダーのコンベアベルトと吸着昇降ユニットが基準位置に復帰する状態を表す模式図である。
【
図9】
図9は、位置決めローダーのコンベアベルトが基準位置にある状態での位置決めローダー、チャッキング工程コンベアおよびスクライブユニットの斜視図である。
【
図10】
図10は、位置決めローダーのコンベアベルトが側方に退避した状態での位置決めローダー、チャッキング工程コンベアおよびスクライブユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例をより詳しく説明する。
本発明の実施例において、従来技術の構成要素と同一または類似の構成要素については、同一の図面符号を用いることによって説明を省略する。
本発明の基板の垂直搬送装置は、
図2に示すように脆性材料等からなる基板1を供給するための供給ローダーAが水平の状態で設けられ、供給ローダーAと同一平面上に位置決めローダーBが設けられている。
【0016】
位置決めローダーBの前後左右には基板1のX軸、Y軸の位置を調整するための位置決めユニット10が設けられている。
また、位置決めローダーBの上方には基板1を吸着して昇降させるための吸着昇降ユニット26が設けられている。吸着昇降ユニット26は、上下駆動機構20と、基板1を吸着するための吸着パッド24を備えている。さらに、吸着昇降ユニット26は、必要に応じて基板1を位置決めローダーBに平行な平面上で回転させるための旋回機構を有する。
【0017】
位置決めローダーBの鉛直方向下方にはチャッキング工程コンベアCが配置されている。チャッキング工程コンベアCの同一平面上の基板搬送方向下流にはスクライビングコンベアDが設けられている。
【0018】
加工しようとする基板1が供給ローダーA上に載置されると、まず、供給ローダーAのコンベアベルト3が回転して基板1を
図2に示すように位置決めローダーBに搬送する。
【0019】
次いで、位置決めローダーBの前後左右に設けられた位置決めユニット10を用いて
図3および
図4のように基板1のX軸、Y軸の位置を正確に合わせる作業を行なう。
具体的には図示していないが、位置決めユニット10は、エアシリンダ等を用いて基板1の前後左右から基板1を中央側に加圧して正確な位置決めを行なうものである。
【0020】
位置決めユニット10によって基板1のX軸、Y軸の位置が決定されると、位置決めローダーBの上方に設けられた吸着昇降ユニット26を、
図5に示すように基板1上に下降させ、吸着パッド24によって基板1を吸着する。
その後、上下駆動機構20を駆動して基板1を一定の高さまで上昇させる。この状態で基板1を回転させる必要があれば、吸着昇降ユニット26に備えられた旋回機構を駆動して、
図6に示すように基板1を所定角度回転させる。
【0021】
次いで、
図6に示すように、位置決めローダーBのコンベアベルト6が側方に退避し、中央に広い幅を有する開口部が形成される。この開口部を通って、基板1は下方に移動できるようになる。すなわち、
図9及び
図10に示すように、位置決めローダーBには、多数個のコンベアベルト6−a、6−b、6−c、6−d、6−e、6−fが並列に設けられており、それぞれがコンベアベルトの回転方向と直交する方向に移動可能とされている。複数のコンベアベルト6のうち、向かって左側のコンベアベルト6−a、6−b、6−cが左側方に、向かって右側のコンベアベルト6−d、6−e、6−fが右側方に退避される。もっとも、設置場所の空間の条件やローダー等の作動条件によって左右同数ではなく左右非対称に移動させても構わない。
【0022】
コンベアベルト6が側方に退避して中央に開口部が形成されると、
図7に示すように、上下駆動機構20を駆動して基板1を下降させる。基板1は、開口部を通過して位置決めローダーBの下方へと運ばれる。位置決めローダーBの下方にはチャッキング工程コンベアCのコンベアベルト100が一定の間隔を有して複数並列している。
【0023】
コンベアベルト100に基板1が当接すると、吸着パッド24による吸着が解除される。これにより、脆性材料基板1の、チャッキング工程コンベアCのコンベアベルト100上への載置が完了する。
その後は、
図8に示すように、上下駆動機構20を駆動して吸着昇降ユニット26を上昇させ、側方に退避していた位置決めローダーBのコンベアベルト6を元の位置に戻す。
【0024】
チャッキング工程コンベアCのコンベアベルト100上に載置された基板1は、位置決めローダーBにおいて位置決めが完了された状態であるため、そのままチャックして次の工程に移ればよい。
すなわち、基板1をチャッキング工程コンベアCのコンベアベルト100上に移動させる際には、既に位置決めローダーBで位置決めが完了した状態で垂直方向の移動のみなされるため、コンベアベルトの乗り移りの際の位置ずれ等は発生しない。
【0025】
次いで、チャック部材15で基板1をチャックしながら、スクライブユニット30に向かって前進と後退を繰り返し、この過程で基板1はスクライブされる。
このように、位置決めローダーBからチャッキング工程コンベアCに基板1を下降移動させることによって、基板1の位置ずれを著しく減らすことができる。
【符号の説明】
【0026】
A 供給ローダー
B 位置決めローダー
C チャッキング工程コンベア
D スクライビング工程コンベア
1 基板
6、6−a、6−b、6−c、6−d、6−e、6−f コンベアベルト
10 位置決めユニット
15 チャック部材
20 上下駆動機構
24 吸着パッド
26 吸着昇降ユニット
30 スクライブユニット