(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
浴室天井には、点検口が開口されており、通常時、その点検口は、点検蓋で閉塞されている。
浴室の点検口及び点検蓋の構造は、従来から様々な構造が提案されている。
例えば、特許文献1の点検蓋は、塩ビ鋼板等を用いて皿状に形成された表面材と、その裏面に接着された石膏ボードなどの裏貼材と、からなり、同点検口は、塩ビ鋼板等を用いて形成された天井パネルの一部に形成された開口部からなり、その開口部に臨む塩ビ鋼板の縁を直角状に折り曲げて縁部材としている。
このように浴室天井は、塩ビ鋼板等のパネル材を用いて形成されることが多いが、点検口の端面の外観が悪く、浴室天井の美観を損ねることがある。また、前記のようなパネル材は、施工現場で寸法調整し難いため、点検口の端面と点検蓋の端面の間に大きな隙間が生じることがある。このような隙間を生じると、浴室天井の美観を損ねる上、浴室内の蒸気が天井裏に侵入することがある。
【0003】
また、天井下地材及び蓋下地材の表面に内装シートが貼り付けられた浴室天井及び点検蓋においては、内装シートの縁が点検口の端面や点検蓋の端面から見えるので、外観が悪くなることがある。さらに、内装シートの縁と点検蓋の表面の間から水分が侵入し、内装シートがその縁から剥がれるおそれがある。
特に、浴室天井は、カビや細菌などが発生し易く、経年によって見た目が悪くなるため、近年、一戸建てやマンション等の住宅、老人保健施設、介護福祉施設、病院等の施設で、リフォーム浴室の改修や新築が盛んに行われている。浴室の天井を改修する際には、既存の浴室天井を除去して新たな内装材を入れ直す場合もあるが、費用面から、既設の内装材の上に、内装シートを貼り付けることが望まれている。かかる内装シートを貼り付けた浴室天井の点検口周りの美観を向上することも望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。
各図において、部材の厚み及び大きさなどは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
本明細書において、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
【0013】
[1つの実施形態]
[縁部材]
本発明の縁部材は、浴室の点検口の端面に取り付けられる。また、本発明の縁部材は、浴室の点検蓋の端面に取り付けられる。本発明の縁部材は、浴室の点検口の端面及び点検蓋の端面の双方に取り付けて使用してもよいし、或いは、点検口の端面又は点検蓋の端面のいずれかに取り付けて使用することもできる。
【0014】
図1及び
図2において、浴室点検口用又は浴室点検蓋用縁部材1は、全体として一方向に延びる長尺状である。前記長尺状は、長手方向における長さがそれと直交する方向における長さよりも十分に長い形状をいう。前記長尺状の縁部材1は、例えば、その長手方向における長さが50cm以上であり、好ましくは100cm以上である。長尺状の縁部材1は、施工に際して適切な長さに切断して使用される。
前記縁部材1は、浴室の点検口の端面又は浴室の点検蓋の端面に貼付けられる貼付壁2と、前記貼付壁2から突設され且つ前記点検口の周囲の表面部又は点検蓋の周囲の表面部に係止される係止凸部3と、を有する。縁部材1は、全体として可撓性を有する。
なお、縁部材1は長手方向に延びる長尺状であるため、前記貼付壁2及び係止凸部3も同様に、それぞれ長手方向に延びている。従って、前記縁部材1は、長手方向の何れの箇所で切断しても同じ断面形状であり、その断面形状は、
図2に示す形状と同じである。
【0015】
前記縁部材1は、可撓性を有する材料から形成されている。ここで、可撓性は、作業者の人力で容易に湾曲させることができる程度に柔軟な性質をいう。前記可撓性を有する縁部材1は、容易に曲がるので、点検口の端面形状又は点検蓋の端面形状に沿わせることができる。
例えば、前記縁部材1の硬度は、40〜90であり、好ましくは、45〜85であり、より好ましくは50〜80である。前記硬度が小さすぎると、縁部材1を取り扱い難くなり、硬度が大きすぎると、点検口などの端面形状に応じて縁部材1を変形させ難くなるおそれがある。ただし、前記硬度は、JIS K 6253に準じて、デュロメータタイプAによって測定される値をいう。
【0016】
前記縁部材1は、可撓性を有する材料であればその材質は特に限定されない。例えば、前記縁部材1は、合成樹脂及びゴムなどのエラストマーを用いて形成される。
前記エラストマーとしては、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。安価で耐久性に優れることから、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。
【0017】
前記長尺状の縁部材1は、前記のような可撓性材料を耐圧金型から押し出し成形することにより得ることができる。
【0018】
前記縁部材1の貼付壁2は、長手方向に細長い帯状である。貼付壁2の一方側の面は、点検口又は点検蓋の端面に接する貼付け面21であり、貼付壁2の他方側の面は、外部に露出する露出面22である。貼付壁2の貼付け面21は、例えば、平坦状であり、点検口又は点検蓋の端面に接着される。
前記縁部材1の係止凸部3は、貼付壁2の下端部から一方側に突出されている。係止凸部3は、前記貼付壁2の貼付け面21に連続して延び、且つ点検口の周囲の表面部又は点検蓋の周囲の表面部に接する係合面31と、係合面31の端部から貼付壁2の他方側の面に連続する外面32と、を有する。
前記係止凸部3の係合面31は、例えば、平坦状である。係止凸部3の係合面31と貼付壁2の貼付け面21とは、略直角に形成されている。なお、本明細書において、略直角とは、厳格な90度のみならず、80度〜100度の範囲を含み、好ましくは85度〜95度である。
係止凸部3の外面32は、断面視弧状に形成されている。もっとも、係止凸部3の外面32は、断面視弧状に限られず、断面視V字状でもよいし、或いは、断面視凹字状でもよい。前記外面32の形状は、縁部材1を点検口の端面などのコーナーに貼り付けた際に、歪を吸収して皺発生を防止することができ、さらに、縁部材1を取付け後にはその外面32に汚れが付きにくいことから、断面視弧状が好ましい。
【0019】
前記縁部材1の貼付壁2の厚みAは、特に限定されないが、余りに大きいと縁部材1が曲がり難くなり、余りに小さいと水蒸気の侵入抑制効果が十分でなく、さらに、縁部材1の強度が不足するおそれがある上、取り扱い難くなる。かかる観点から、貼付壁2の厚みAは、0.5mm〜3mmが好ましく、0.5mm〜2mmがより好ましく、0.8mm〜1.2mmが特に好ましい。
前記縁部材1の係止凸部3の突出高さBは、特に限定されないが、余りに大きいと縁部材1が曲がり難くなり、余りに小さいと点検口又は点検蓋の端面を十分に隠蔽できないおそれがある上、施工時に係止凸部3が点検口などの表面部に係合しないおそれがある。かかる観点から、係止凸部3の突出高さBは、1mm〜10mmが好ましく、1mm〜5mmがより好ましく、1.5mm〜3.5mmが特に好ましい。
前記縁部材1の係止凸部3の肉厚Cは、特に限定されないが、余りに大きいと縁部材1が曲がり難くなる上、施工後に係止凸部3が点検口などの表面部から大きく突出して外観が悪くなるおそれがある。一方、余りに小さいと縁部材1を点検口の端面などのコーナーに貼り付けた際に係止凸部3の形状を維持できないおそれがあり、その結果、点検口又は点検蓋の端面を十分に隠蔽できないおそれがある。かかる観点から、係止凸部3の肉厚Cは、1mm〜5mmが好ましく、1.5mm〜3mmがより好ましく、1.8mm〜2.5mmが特に好ましい。
前記縁部材1の貼付壁2の短手方向における長さDは、特に限定されないが、余りに大きいと施工時に縁部材1が取り扱い難くなる上、端面へ貼り付け後に貼付壁2の残余部分をカッター等で除去する量が多くなりコストが増大する。一方、余りに小さいと点検口又は点検蓋の端面を十分に隠蔽できないおそれがある上、点検口などの端面と縁部材1との接着面積が小さくなって取付け強度が不足するおそれがある。かかる観点から、貼付壁2の短手方向における長さDは、5mm〜20mmが好ましく、7mm〜18mmがより好ましく、8mm〜15mmが特に好ましい。
【0020】
[浴室構造]
本発明の浴室構造10は、
図3乃至
図5に示すように、浴室天井4と、前記浴室天井4の一部分に開口された点検口5と、前記点検口5を閉塞する点検蓋6と、を有する。
図5に示すように、前記点検口5の端面5a及び点検蓋6の端面6aの少なくとも何れか一方に、前記縁部材1が取り付けられている。なお、本発明の浴室構造10においては、浴室の点検口5の端面5a及び点検蓋6の端面6aの双方に縁部材1が取り付けられていてもよいし、或いは、浴室の点検口5の端面5a又は点検蓋6の端面6aの何れか一方にのみ縁部材1が取り付けられていてもよい。
本発明の浴室構造10は、改修及び新築の何れの場合にも適用できる。
【0021】
浴室天井4、点検口5及び点検蓋6の基本的な構造は、従来公知の構造を採用できる。
図示例では、浴室天井4は、天井下地材41と、天井下地材41の表面に貼り付けられた内装シート42と、からなる。天井下地材41は、浴室天井4の基礎構造材であって板状の部材である。天井下地材41は、例えば、塩化ビニルで被覆した鋼板、石膏ボード、繊維強化樹脂などの樹脂板、タイル、石板、木質板などを用いて形成される。内装シート42は、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂製シートなどを用いることができる。内装シート42は、通常、接着剤を用いて天井下地材41の表面に接着される。内装シート42は、天井下地材41の表面を装飾及び保護すると共に、天井下地材41の表面に水蒸気が結露すること及び水分の付着することを防止する。内装シート42の表面が、浴室天井4の表面を構成している。
点検口5は、浴室天井4の天井下地材41の一部分を切り欠いて形成された開口である。点検口5の平面視形状は、特に限定されず、例えば、正方形又は長方形などが挙げられる。
【0022】
点検蓋6は、蓋下地材61と、蓋下地材61の表面に貼り付けられた内装シート62と、蓋下地材61の裏面側に設けられた係止部63と、からなる。蓋下地材61は、点検口5に嵌まり込む形状に形成されている。蓋下地材61としては、前記天井下地材41と同様な材料を用いることができ、通常、蓋下地材61は、天井下地材41と同種の材料から形成される。点検蓋6の内装シート62は、天井下地材41の内装シート42と同様なものを用いることができ、通常、点検蓋6の内装シート62は、浴室天井4と同種のものが用いられる。内装シート62の表面が、点検蓋6の表面を構成している。係止部63は、蓋下地材61の周縁部から外側に延設されている。係止部63は、点検蓋6を点検口5に嵌め入れた際に、天井下地材41の裏面に係止され、点検蓋6が落下することを防止する。係止部63は、例えば、板状の部材からなり、その板状の部材の縁部が蓋下地材61の周縁部から外側に延出されるように、その部材を蓋下地材61に固定することによって設けられている。
【0023】
点検蓋6の端面6aは、蓋下地材61の外側面であって、蓋下地材61の厚み方向に沿った面である。前記端面6aで囲まれた範囲内が点検蓋6である。蓋下地材61に貼り付けられた内装シート62の縁は、前記点検蓋6の端面6aにほぼ一致している。
1つの縁部材1は、係止凸部3を点検蓋6の周囲の表面部6bに係止させ且つ貼付壁2を点検蓋6の端面6aに貼り付けることにより、点検蓋6の端面6aに取り付けられている。なお、点検蓋6の周囲の表面部6bは、点検蓋6の表面のうち、点検蓋の表面と端面の境界である略直角部を含む角部近傍表面である。なお、内装シート62が設けられている場合の前記点検蓋6の表面は、内装シート62の表面であり、内装シートが設けられていない場合の点検蓋6の表面は、蓋下地材61の表面である。
具体的には、
図6に示すように、縁部材1の貼付壁2の貼付け面21には、両面粘着テープ7が貼付されている。縁部材1の係止凸部3の係合面31を点検蓋6の周囲の表面部6bに接触させながら、前記両面粘着テープ7を介して貼付壁2の貼付け面21を点検蓋6の端面6aに接着する。なお、縁部材1の貼付手段は、両面粘着テープ7に限られず、接着剤を用いてもよい(図示せず)。また、貼付手段で貼り付ける対象は貼付け面21のみに限られず、必要に応じて、係合面31に接着剤を塗布し、貼付け面21及び係合面31を点検蓋6に接着してもよい。
前記縁部材1は可撓性を有するので、点検蓋6のコーナーに沿って容易に湾曲し、点検蓋6の端面全体に、縁部材1を巻き付けるように取り付けることができる。また、縁部材1の貼付け面21と係合面31は、略直角状を成しているので、貼付壁2を点検蓋6の端面6aに貼り付けた後も、係合面31が表面部6bに密着し、係合面31と表面部6bの間に隙間が生じ難くなる。
【0024】
また、点検口5の端面5aは、天井下地材41の開口に面する、天井下地材41の厚み方向に沿った面である。前記端面5aで囲まれた範囲内が点検口5である。天井下地材41に貼り付けられた内装シート42の縁は、前記点検口5の端面5aにほぼ一致している。
1つの縁部材1は、係止凸部3を点検口5の周囲の表面部5bに係止させ且つ貼付壁2を点検口5の端面5aに貼り付けることにより、点検口5の端面5aに取り付けられている。なお、点検口5の周囲の表面部5bは、浴室天井の表面のうち、浴室天井の表面と点検口の端面の境界である略直角部を含む角部近傍表面である。なお、内装シート42が設けられている場合の前記浴室天井の表面は、内装シート42の表面であり、内装シートが設けられていない浴室天井の表面は、天井下地材41の表面である。
点検口5への縁部材1の取付け方法は、点検蓋6と同様に、両面粘着テープ7や接着剤などの貼付手段を用いることができる。
前記縁部材1は可撓性を有するので、点検口5のコーナーに沿って容易に湾曲し、点検口5の端面全体に、縁部材1を内嵌するように取り付けることができる。また、縁部材1の貼付け面21と係合面31は、略直角状を成しているので、貼付壁2を点検口5の端面5aに貼り付けた後も、係合面31が表面部5bに密着し、係合面31と表面部5bの間に隙間が生じ難くなる。
【0025】
本発明の浴室構造10によれば、点検口5の端面5a、点検蓋6の端面6a及び内装シート42の縁が縁部材1によって隠蔽されているので、点検口周りの外観が良好となる。さらに、内装シート42,62の縁が縁部材1で保護されているので、内装シート42,62の縁と浴室天井4の表面又は点検蓋6の表面との間に水蒸気や水分が侵入し難くなり、内装シート42,62の剥がれを効果的に防止できる。
さらに、本発明の浴室構造は、点検口5の端面5aと点検蓋6の端面の隙間に縁部材1の貼付壁2が介在してその隙間が小さくなるので、浴室内の水蒸気が天井裏に侵入することを抑制することができる。
また、通常、内装シートを天井下地材及び蓋下地材に貼り付ける際には、内装シートの縁が点検口の端面及び点検蓋の端面に一致するように、精度良く内装シートを切り取らなければならない。この点、本発明の浴室構造10は、縁部材1によって内装シート42,62の縁を隠蔽するため、内装シート42,62の縁を点検口5の端面5a及び点検蓋6の端面6aに精度良く一致させる必要がないので、内装シート42,62の施工も容易に行える。
さらに、本発明の縁部材1は、点検口5の端面形状又は点検蓋6の端面形状に沿って湾曲させることができ、専用の工具を用いなくても、両面粘着テープ7のような貼付手段を用いて容易に取り付けることができる。
【0026】
なお、本発明の縁部材及び浴室構造は、上記1つの実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々に変更できる。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記実施形態と同様な構成及び効果並びに使用方法については説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する。
【0027】
[他の実施形態]
上記1つの実施形態の縁部材1は、係止凸部3が貼付壁2の一方側にのみ突出されているが、例えば、
図7に示すように、貼付壁2から2つの係止凸部81,82が互いに反対側に突出されていてもよい。以下、一方の係止凸部81を第1係止凸部81といい、他方の係止凸部82を第2係止凸部82という。
具体的には、この縁部材1は、貼付壁2の下端部から貼付壁2の一方側に向けて第1係止凸部81が突設され且つ貼付壁2の他方側に向けて第2係止凸部82が突設されている。第1係止凸部81は、貼付壁2の貼付け面21側に突出しており、上記実施形態の縁部材1の係止凸部3に相当する。第2係止凸部82は、貼付壁2の露出面22側に突出している。第1係止凸部81の突出高さは、上記実施形態の係止凸部3の突出高さBと同じである。第2係止凸部82の突出高さは、点検口5の端面5aと点検蓋6の端面6aとの間の長さ、すなわち、点検口5と点検蓋6の隙間よりも大きいことが好ましい。
【0028】
かかる第1及び第2係止凸部81,82を有する縁部材1は、
図8に示すように、点検口5の端面5aに両面粘着テープ7などを用いて取り付けられる。この際、第1係止凸部81の係合面811は、点検口5の周囲の表面部
5bに係止され、且つ、第2係止凸部82の係合面821の先端部は、点検蓋6の周囲の表面部
6bに接する又は近接する。つまり、第1係止凸部81の係合面811を点検口5の周囲の表面部
5bに係止させつつ縁部材1の貼付壁2の貼付け面21を点検口5の端面5aに貼り付けることにより、第2係止凸部82の係合面821の先端部が点検蓋6の周囲の表面部6bに接し又は近接し、点検口5と点検蓋6の隙間Xが第2係止凸部82で塞がれた浴室構造10となる。なお、前記近接は、例えば、第2係止凸部82の係合面821と表面部6bの間が2mm以下であることが好ましい。
かかる浴室構造10は、第2係止凸部82によって点検口5と点検蓋6の隙間Xが隠蔽されているので、外観が良好となるだけでなく、浴室の蒸気が前記隙間Xを通じて天井裏に侵入することをより効果的に防止できる。特に、第1及び第2係止凸部81,82を有する縁部材1が可撓性材料から形成されているので、前記隙間Xを通じた蒸気などの侵入をより効果的に防止できる。加えて、前記縁部材1を貼り付けた点検口5に点検蓋6を取り付ける際、可撓性を有する縁部材1が衝撃緩衝材として機能するので、点検蓋6の傷付きを防止できる。また、1つの縁部材1を点検口5の周囲の表面部
5bに貼り付けるだけで、内装シート42の端面及び隙間Xを同時に隠蔽することができるので、施工が簡素化され、施工時間を短縮することができる。
【0029】
また、上記1つの実施形態の縁部材1は、貼付壁2の貼付け面21が平坦状に形成されているが、例えば、
図9に示すように、貼付け面21に複数の小突部23が形成されていてもよい。このように小突部23を形成することにより、隣接する小突起23の間の凹部に接着剤が入り込むので、点検口5の端面5aなどに対する貼付け面21の接着強度を向上させることができる。特に、貼付手段として接着剤を用いた際に前記接着強度の向上を期待できる。なお、小突部23の突出高さは、例えば、0.05mm〜0.2mmである。
【0030】
また、
図10に示すように、係止凸部3の肉厚がその先端部3aから貼付壁2に向かうに従って次第に大きくなるように、係止凸部3が形成されていてもよい。このような形状は、例えば、係止凸部3の外面32が、先端部3aから貼付壁2の方向に斜め下に延びるように形成される。かかる係止凸部3を有する縁部材1は、可撓性材料から形成されることによって係止凸部3の先端部3aが弾性変形容易で、伸び易くなる。従って、かかる縁部材1を点検蓋6の端面6aを貼り付けた際には、係止凸部3の先端部3aが点検蓋6の端面6aのコーナーにおいて伸びるので、縁部材1を点検蓋6に綺麗に取り付けることができる。
【0031】
また、上記1つの実施形態の縁部材1は、係止凸部3が断面視半円状に形成されているが、例えば、
図11に示すように、係止凸部3が、断面視逆台形状に形成されていてもよい。かかる係止凸部3は、その先端部3aから貼付壁2に向かうに従って肉厚が次第に小さくなった第1薄肉部331と、貼付壁2から先端部3aに向かうに従って肉厚が次第に小さくなった第2薄肉部332と、第1薄肉部331と第2薄肉部332の間に介在する厚肉部333と、からなる。なお、
図2の1つの実施形態に係る縁部材1も、概念上、
図11の縁部材1と同様に、第1薄肉部と、第2薄肉部と、この2つの薄肉部の間に挟まれて介在する厚肉部と、を有する。
かかる縁部材1は、可撓性材料から形成されることによって第1薄肉部331及び第2薄肉部332が弾性変形容易で伸び易くなる。従って、かかる縁部材1を点検蓋6の端面6aを貼り付けた際には、係止凸部3の第1薄肉部331が点検蓋6の端面6aのコーナーにおいて伸び、縁部材1を点検口5の端面5aに貼り付けた際には、係止凸部3の第2薄肉部332が点検口5の端面5aのコーナーにおいて伸びるので、何れに貼り付けた場合でも縁部材1を綺麗に取り付けることができる。
【0032】
また、上記1つの実施形態の点検蓋6は、点検口5に嵌めた際に係止部63にて天井下地材41の裏面に係止される構造であったが、これに限定されず、例えば、
図12に示すように、蓋下地材61の周縁部に逆U字状の係止凹部64が形成され且つ天井下地材41の周縁部にU字状の被係止凹部44が形成され、前記係止凹部64と被係止凹部44の嵌合によって点検蓋6が点検口5に保持される構造であってもよい。
【0033】
なお、上記各実施形態では、本発明の縁部材1は、内装シート42,62が貼り付けられた浴室天井4及び点検蓋6に対して取り付けられているが、これに限られず、内装シートが設けられていない浴室天井及び点検蓋に本発明の縁部材1を取り付けてもよい。
例えば、木質製の蓋下地材からなる点検蓋6の端面6aに、本発明の縁部材1を取り付けることにより、その端面を隠蔽して外観を良好にするだけでなく、水蒸気や水分の侵入による木材の腐敗などを効果的に防止できる。