(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ネットワークを構成する2個の通信装置の間の区間を伝送するリクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報に基づいて、1または複数のメッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行う障害判定部と、
前記リクエストメッセージに含まれるシーケンス番号および前記応答メッセージに含まれるシーケンス番号を抽出するシーケンス抽出部と、を備え、
前記障害判定部は、前記シーケンス抽出部により抽出されたシーケンス番号に基づいて対応付けられた前記リクエストメッセージと前記応答メッセージとの組における各々のメッセージの所定のサイズの組み合わせの状態毎に、障害の判定を行う、
ネットワーク監視装置。
ネットワークを構成する2個の通信装置の間の区間を伝送するリクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報に基づいて、1または複数のメッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行う障害判定部を備え、
前記メッセージの所定のサイズとして、前記メッセージの全体のサイズ、または、前記メッセージの一部のサイズを用いる、
ネットワーク監視装置。
ネットワークを構成する2個の通信装置の間の区間を伝送するリクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報に基づいて、1または複数のメッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行う障害判定部と、
互いに対応付けられた前記リクエストメッセージおよび前記応答メッセージに関する応答時間を測定する応答時間測定部と、を備え、
前記障害判定部は、前記応答時間測定部により測定された応答時間に基づいて、前記メッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行う、
ネットワーク監視装置。
障害判定部が、ネットワークを構成する2個の通信装置の間の区間を伝送するリクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報に基づいて、1または複数のメッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行うステップと、
シーケンス抽出部が、前記リクエストメッセージに含まれるシーケンス番号および前記応答メッセージに含まれるシーケンス番号を抽出するステップと、
をコンピュータに実行させるためのネットワーク監視プログラムであって、
前記障害判定部は、前記シーケンス抽出部により抽出されたシーケンス番号に基づいて対応付けられた前記リクエストメッセージと前記応答メッセージとの組における各々のメッセージの所定のサイズの組み合わせの状態毎に、障害の判定を行う、
ネットワーク監視プログラム。
障害判定部が、ネットワークを構成する2個の通信装置の間の区間を伝送するリクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報に基づいて、1または複数のメッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行うステップを、
コンピュータに実行させるためのネットワーク監視プログラムであって、
前記メッセージの所定のサイズとして、前記メッセージの全体のサイズ、または、前記メッセージの一部のサイズを用いる、
ネットワーク監視プログラム。
障害判定部が、ネットワークを構成する2個の通信装置の間の区間を伝送するリクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報に基づいて、1または複数のメッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行うステップと、
応答時間測定部が、互いに対応付けられた前記リクエストメッセージおよび前記応答メッセージに関する応答時間を測定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのネットワーク監視プログラムであって、
前記障害判定部は、前記応答時間測定部により測定された応答時間に基づいて、前記メッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行う、
ネットワーク監視プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
<本実施形態に係る通信システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの概略的な構成を示す図である。
本実施形態に係る通信システムは、LTEのネットワークの通信システムに、ネットワーク監視装置(本実施形態では、キャプチャ装置21)を備えた構成を有する。
本実施形態に係る通信システムは、複数(本実施形態では、N個)の基地局装置(eNodeB)1−1〜1−Nと、MME(Mobility Management Entity)装置2と、HSS(Home Subscriber System)装置3と、SGW(Serving Gateway)装置4と、複数(本実施形態では、M個)のPGW(Packet data network Gateway)装置5−1〜5−Mと、DNS(Domain Name System)サーバ装置6と、認証サーバ装置7と、他の通信装置8〜10(本実施形態では、3個を例示した)と、キャプチャ装置21を備える。
通信装置8〜10としては、様々な装置が用いられてもよい。
【0018】
ここで、LTEネットワークは、eUTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Network)と呼ばれる無線ネットワークと、EPC(Evolved Packet Core)と呼ばれるコアネットワークから構成される。
eUTRANは、基地局装置1−1〜1−Nのみで構成される。
EPCは、MME装置2、HSS装置3、SGW装置4、PGW装置5−1〜5−Mなどの、複数の装置群により構成される。
【0019】
本実施形態に係る通信システムでは、各基地局装置1−1〜1−NとMME装置2が接続される。MME装置2とHSS装置3が接続される。MME装置2とSGW装置4が接続され、これらの間に、キャプチャ装置21が備えられる。SGW装置4と、各PGW装置5−1〜5−M、DNSサーバ装置6、認証サーバ装置7が接続される。PGW装置5−1と各通信装置8〜10が接続される。
【0020】
本実施形態では、一の装置と他の装置との間が有線または無線の回線を用いて接続され、一の装置とそれに接続された他の装置との間を「区間」という。本実施形態では、MME装置2とSGW装置4との間の区間に、キャプチャ装置21が備えられている。
本実施形態に係る通信システムでは、一の装置(本実施形態では、例として、MME装置2)が、所定の要求(リクエスト)を行うメッセージであるリクエストメッセージを送信し、他の装置(本実施形態では、例として、SGW装置4)が、リクエストメッセージの要求に応じた処理(自装置における処理や別の装置に要求を発する処理を含む。)を行って、リクエストメッセージに応答するメッセージである応答メッセージを送信する。
なお、
図1に示される通信システムの構成は一例であり、通信システムにおける各装置の配置や数などとしては、様々な構成が用いられてもよい。
【0021】
<本実施形態に係るキャプチャ装置の概要>
図2は、本発明の一実施形態に係るキャプチャ装置21の構成を示すブロック図である。
本実施形態に係るキャプチャ装置21は、受信部101と、メッセージ処理部102を備える。
受信部101は、リクエストメッセージ受信部111と、応答メッセージ受信部112を備える。
メッセージ処理部102は、シーケンス抽出部121と、メッセージデータベース122と、応答時間測定部123と、障害判定部124を備える。
なお、例えば、受信部101はエクスポーターと呼ばれ、メッセージ処理部102はコレクターと呼ばれる。
【0022】
<本実施形態に係るメッセージの概要>
本実施形態では、メッセージとして、3GPP TS 29.274 V11.7.0の規格に応じたメッセージであり、さらにGPRS(General Packet Radio Service)に関するGTPv2(GPRS Tunneling Protocol version 2)に応じたメッセージ(例えば、シグナリングメッセージ)を用いる場合を例とする(非特許文献1参照。)。
また、メッセージの通信としては、例えば、パケット通信が用いられる。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態に係るメッセージ201の構成を示す図である。
本実施形態では、メッセージ201の構成は、リクエストメッセージの構成および応答メッセージの構成として用いられる。
本実施形態に係るメッセージ201のフレームでは、フレームの先頭から、L2(Layer 2)ヘッダ211、IP(Internet Protocol)ヘッダ212、UDP(User Datagram Protocol)ヘッダ213、GTPv2ヘッダ214が配置され、それに続いて、1または複数であるn個の組について、タイプT(Type)とレングス(Length)Lとバリュー(Value)Vの組み合わせが配置される。
【0024】
図3の例では、メッセージ201におけるタイプTとレングスLとバリューVの組み合わせのところでは、まず、1個目のタイプ215−1であるT(1)と、1個目のレングス216−1であるL(1)と、1個目のバリュー217−1であるV(1)が配置され、それに続いて、2個目以降が配置され、最後に、n個目のタイプ215−nであるT(n)と、n個目のレングス216−nであるL(n)と、n個目のバリュー217−nであるV(n)が配置される。なお、n=1である場合には、1個目だけが配置される。
【0025】
メッセージ201には、ユニーク(例えば、実質的にユニークであればよい。)なシーケンス番号が含まれる。シーケンス番号は、例えば、GTPv2ヘッダ214に含まれる。
リクエストメッセージのシーケンス番号と、当該リクエストメッセージに対する応答メッセージのシーケンス番号とは、一致する。つまり、応答メッセージには、応答する対象となるリクエストメッセージに含まれるシーケンス番号と同じシーケンス番号が含められる。1つのリクエストメッセージに対しては、例えば、応答が必要である場合には、1つの応答メッセージがあり、また、応答が不要である場合(通知のみが必要である場合)には、応答メッセージがない。
L2ヘッダ211には、フレーム全体のサイズの情報が含まれる。
IPヘッダ212には、IPヘッダ212に続く以降のサイズの情報が含まれる。なお、L2ヘッダ211からIPヘッダ212までのサイズは、例えば、一定である。
【0026】
タイプTとレングスLとバリューVの組み合わせの情報は、IE(Information Element)の情報である。
タイプTは、複数のタイプのうちの1つを特定し、例えば、150種類以上のタイプがある。具体例として、IEのタイプとしては、1番目のIEのタイプはIMSI(International Mobile Subscriber Identity)番号に関するものであることが定義されており、71番目のIEのタイプはAccess Point Name番号に関するものであることが定義されており、75番目のIEのタイプはMobile Equipment Identity番号に関するものであることが定義されており、他の番号のIEのタイプについても定義されている(非特許文献1参照。)。
レングスLは、バリューVの長さを特定し、例えば、固定の長さ、または、可変の長さがある。
バリューVは、情報列(例えば、文字列)である。
【0027】
1つのメッセージ201の中に、タイプTとレングスLとバリューVの組み合わせの情報が複数含まれることがある。つまり、1つのメッセージ201の中に、複数のIEが含まれることがある。
1つのメッセージ201の中に含まれる1つのIEまたは複数のIEの組み合わせ毎に、メッセージの種類が決まり特定される。メッセージの種類毎に、リクエストメッセージのサイズや応答メッセージのサイズが異なり得る。また、メッセージの種類毎に、リクエストメッセージの要求を処理する装置や処理の内容(例えば、処理の負荷)などが異なり得ることから、リクエストメッセージに対する応答メッセージの応答時間が異なり得る。
【0028】
なお、LTEにおいては、違う目的のメッセージについても、同じ名称のメッセージ(本実施形態では、リクエストメッセージや応答メッセージ)で定義されることがあるが、本実施形態では、IEの組み合わせ(IEが1つの場合には、1つのみの組み合わせとみなす)毎に、メッセージの種類が異なり、識別することが可能である。
また、LTEにおいては、リクエストメッセージを受信した装置が、その要求の内容に応じて他の装置へ要求を発し、その要求に対する応答を受信して、応答メッセージを送信する、というように、多段で通信する場合がある。この点は、LTEの独特なネットワーク構成である。
【0029】
<メッセージの送受信および応答時間について>
本実施形態では、MME装置2とSGW装置4との間の区間にキャプチャ装置21を備え、キャプチャ装置21が、MME装置2とSGW装置4との間で送受信されるリクエストメッセージと応答メッセージを取得(キャプチャ)する。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態に係る応答時間の一例を示す図である。
図4の例では、MME装置2が、リクエストメッセージをSGW装置4へ送信する(処理ST1)。SGW装置4が、当該リクエストメッセージを受信して、その要求に応じた処理(自装置における処理や別の装置に要求を発する処理を含む。)を行って、応答メッセージをMME装置2へ送信する(処理ST2)。MME装置2が、当該応答メッセージを受信する。
この場合、例えば、MME装置2がリクエストメッセージを送信したタイミングから、それに対する応答メッセージをMME装置2が受信したタイミングまでの時間が、応答時間T1になる。
なお、応答時間の開始タイミングとしては、例えば、MME装置2がリクエストメッセージを送信したタイミングではなく、SGW装置4がリクエストメッセージを受信したタイミング、あるいは、これらの送信と受信の間のタイミングなどが用いられてもよい。同様に、応答時間の終了タイミングとしては、例えば、MME装置2が応答メッセージを受信したタイミングではなく、SGW装置4が応答メッセージを送信したタイミング、あるいは、これらの送信と受信の間のタイミングなどが用いられてもよい。
【0031】
一例として、LTEの携帯電話(スマートフォンを含む。)などの端末装置のユーザにより行われる操作によって当該端末装置の電源がオフからオンになった場合には、当該端末装置はLTEのネットワークに初期的に接続されることになる。この場合、MME装置2は、セッション確立要求(Create Session Request)のリクエストメッセージをSGW装置4に対して送信し、当該リクエストメッセージを受信したSGW装置4は、その要求に応じて必要な処理を行った上で、MME装置2に対して、セッション確立応答(Create Session Response)の応答メッセージを返答(送信)する。
【0032】
LTEネットワークにおいて、MME装置2が送信するセッション確立要求のリクエストメッセージと、SGW装置4が応答するセッション確立応答の応答メッセージから応答時間を算出した場合には、同一のMME装置2と同一のSGW装置4との間の区間(同一の区間)であっても、応答時間が例えば数msから数100msのように大きく異なることがあり得る。
この理由は、MME装置2が送信するセッション確立要求のリクエストメッセージに対してSGW装置4がセッション確立応答の応答メッセージを返答するまでに、例えば、SGW装置4が自装置のみで処理を行う場合や、あるいは、SGW装置4と他の装置Xとの間の区間でリクエストメッセージおよび応答メッセージ(元々のメッセージと同じであってもよく、または、異なってもよい。)の送受信が行われる場合や、あるいは、SGW装置4と他の装置Y(装置Xとは異なる装置)との間の区間でリクエストメッセージおよび応答メッセージ(元々のメッセージと同じであってもよく、または、異なってもよい。)の送受信が行われる場合があるためである。SGW装置4と他の装置X、Yとの間の区間でリクエストメッセージおよび応答メッセージの送受信が行われる場合には、SGW装置4は、MME装置2へ応答メッセージを返答する前に、他の装置X、Yとの送受信に要する時間を待機する必要がある。
実ネットワークにおける応答時間は、例えば、SGW装置4が応答するまでに関わる他の装置の台数や、その処理内容によって大きく異なり得る。
【0033】
ここで、SGW装置4が、受信したリクエストメッセージの要求に応じた処理を自装置で行う場合もある。この場合、MME装置2が、リクエストメッセージをSGW装置4へ送信し、SGW装置4が、当該リクエストメッセージを受信して、その要求に応じた処理を自装置で行って、応答メッセージをMME装置2へ送信する。
また、MME装置2からリクエストメッセージを受信したSGW装置4に直接接続される他の装置(
図1の例では、PGW装置5−1〜5−Mや、DNSサーバ装置6や、認証サーバ装置7)において要求に応じた処理を行う構成ばかりでなく、他の構成例として、リクエストメッセージを受信したSGW装置4に別の装置を介して接続される装置において要求に応じた処理を行う構成が用いられてもよく、また、例えば、複数の装置において要求に応じた処理を行う構成が用いられてもよい。
【0034】
<メッセージのサイズについて>
リクエストメッセージの要求に応じた処理に関し、処理を行う装置(経由する装置)や、処理の内容は、リクエストメッセージの中身によって異なる。
本実施形態では、メッセージの種類は、GTPv2で運ばれるIEの個数やタイプによって変わる。
【0035】
そこで、本実施形態では、リクエストメッセージのサイズや応答メッセージのサイズを分析し、これらのサイズの組み合わせ(サイズの組み合わせの状態)が同じであるメッセージの群をクラスタリング(分類)し、このような群(リクエストメッセージのサイズおよび応答メッセージのサイズの組み合わせ)毎に、応答時間を集計して統計処理することや、あるいは、応答時間に関して個別の閾値を設けること、などを行う。
【0036】
ここで、本実施形態では、リクエストメッセージのサイズや応答メッセージのサイズにより、メッセージの種類(本実施形態では、IEのタイプの組み合わせ)を(推定的に)特定する。
例えば、リクエストメッセージは、その目的などに応じて様々な種類の情報を運ぶものである。そして、リクエストメッセージが運ぶ情報の種類(メッセージの種類)が異なれば、ほとんどの場合、それはリクエストメッセージのサイズに反映される。このため、リクエストメッセージのサイズに着眼することで、メッセージの種類(例えば、メッセージが持つ目的など)を容易に仕分けることが可能となる。また、応答メッセージのサイズについても、リクエストメッセージのサイズと同様に、メッセージの種類に応じて異なり得る。
【0037】
また、仮に、種類が異なる2個のリクエストメッセージのサイズが同じである場合においても、その応答メッセージのサイズは異なる可能性が高い。このため、リクエストメッセージのサイズと応答メッセージのサイズを組(ペア)として分類することで、メッセージの仕分けの精度を高めることが可能でなる。
【0038】
リクエストメッセージのサイズや、応答メッセージのサイズとしては、それぞれ、例えば、
図3に示されるメッセージ201の構成において、フレーム(本実施形態では、L2フレーム)全体のサイズが用いられてもよく、または、IPヘッダ212に続く以降のサイズ(例えば、IPヘッダ212のペイロード長のサイズ)が用いられてもよい。
メッセージのサイズは、例えば、バイト数などで表される。
なお、通常、メッセージの種類(本実施形態では、IEのタイプの組み合わせ)の数は、有限個であり、そして、リクエストメッセージのサイズおよび応答メッセージのサイズの組み合わせの数は、有限個である。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係る複数の種類のメッセージの例を示す図である。
図5の例では、異なるIEのタイプの組み合わせを運ぶ3種類のメッセージ(リクエストメッセージおよび応答メッセージのペア)の例を示してある。
1番目(1種類目)のメッセージは、例えば、1番目のIEのタイプおよび77番目のIEのタイプを運ぶものであり、応答時間は1msである。そして、1番目(1種類目)のメッセージは、リクエストメッセージのサイズが285バイトであり、応答メッセージのサイズが64バイトである。
2番目(2種類目)のメッセージは、例えば、1番目のIEのタイプおよび78番目のIEのタイプを運ぶものであり、応答時間は10msである。そして、2番目(2種類目)のメッセージは、リクエストメッセージのサイズが394バイトであり、応答メッセージのサイズが230バイトである。
3番目(3種類目)のメッセージは、例えば、1番目のIEのタイプおよび80番目のIEのタイプを運ぶものであり、応答時間は100msである。そして、3番目(3種類目)のメッセージは、リクエストメッセージのサイズが285バイトであり、応答メッセージのサイズが238バイトである。
【0040】
ここで、
図5の例のように、通常、リクエストメッセージのサイズおよび応答メッセージのサイズの組み合わせは、メッセージの種類毎に異なる。
なお、リクエストメッセージのサイズだけについても、メッセージの種類毎に異なり得る。また、応答メッセージのサイズだけについても、メッセージの種類毎に異なり得る。このため、リクエストメッセージのサイズだけに基づいて、または、応答メッセージのサイズだけに基づいて、メッセージの種類を推定することも可能であるが、リクエストメッセージのサイズおよび応答メッセージのサイズの組み合わせに基づいてメッセージの種類を推定する方が精度が高い。
具体例として、
図5の例では、1番目(1種類目)のメッセージと3番目(3種類目)のメッセージとでは、応答時間が大きく異なり、異なる種類のメッセージである。そして、1番目(1種類目)のメッセージと3番目(3種類目)のメッセージとでは、リクエストメッセージのサイズは同じであるが、応答メッセージのサイズが異なることから、別の情報を運んでいること(別の種類のメッセージであること)を推定することができる。
【0041】
一例として、メッセージの種類(本実施形態では、メッセージのサイズの組み合わせ)毎に、応答時間を集計して統計処理することができる。
他の例として、メッセージの種類(本実施形態では、メッセージのサイズの組み合わせ)毎に、応答時間に応じた閾値を設定することができる。例えば、1番目(1種類目)のメッセージのサイズの組み合わせについては応答時間1msに関して10msの閾値を設定し、2番目(2種類目)のメッセージのサイズの組み合わせについては応答時間10msに関して60msの閾値を設定し、3番目(3種類目)のメッセージのサイズの組み合わせについては応答時間100msに関して150msの閾値を設定する。
【0042】
一例として、同じメッセージの種類毎に、応答時間に関して統計処理を行って、障害の有無を判定することができる。具体例として、同じメッセージの種類毎に、応答時間の移動平均を求めて、外れ値(過去の移動平均の値から所定の閾値以上に外れた値)を検索し、所定の時間範囲に外れ値が所定の回数(あらかじめ定められた1回または複数回)だけ存在した場合に障害があると判定することができる。また、移動平均の代わりに分散を用いることもできる。また、外れ値としては、例えば、測定時の瞬時値を用いることや、あるいは、時間的に近い複数回の瞬時値の平均値を用いることができる。
他の例として、同じメッセージの種類毎に、応答時間に関して閾値を設定して、メッセージの応答処理に要する時間(本実施形態では、応答時間)が閾値を越えた場合に障害があると判定することができる。応答時間に関する閾値としては、例えば、メッセージの種類毎に、あらかじめ固定的に設定しておくことや、あるいは、メッセージの種類毎に、所定の時間範囲における応答時間の平均値を求め、その平均値に所定の値(例えば、正の値)を加えた結果の値を閾値として用いることができる。
【0043】
<本実施形態に係るキャプチャ装置において行われる処理の概要>
本実施形態に係るキャプチャ装置21において行われる処理の概要を示す。
リクエストメッセージ受信部111は、リクエストメッセージを受信する。本実施形態では、リクエストメッセージ受信部111は、MME装置2からSGW装置4へ伝送されるリクエストメッセージを受信する。また、リクエストメッセージ受信部111は、受信したリクエストメッセージのサイズを特定する情報を検出(例えば、抽出)する。
応答メッセージ受信部112は、応答メッセージを受信する。本実施形態では、応答メッセージ受信部112は、SGW装置4からMME装置2へ伝送される応答メッセージを受信する。また、応答メッセージ受信部112は、受信した応答メッセージのサイズを特定する情報を検出(例えば、抽出)する。
【0044】
ここで、受信部101は、一例として、MME装置2とSGW装置4との間に接続されたスイッチ(または、タップなどと呼ばれてもよい。)と、当該スイッチに接続されたキャプチャ部から構成される。
スイッチは、MME装置2とSGW装置4との間を伝送されるメッセージ(本実施形態では、リクエストメッセージや応答メッセージ)を中継する。このときに、i(iは任意の整数)番ポートの信号をj(jは任意の整数であり、例えば、i−1またはi+1)番ポートにミラーリング(同じ信号を生成)し、ミラーリングされた信号をキャプチャ部により取得する。このミラーリングは、取得するだけの一方向である。
このようなミラーリングによりリクエストメッセージを取得する機能部がリクエストメッセージ受信部111に相当し、このようなミラーリングにより応答メッセージを取得する機能部が応答メッセージ受信部112に相当する。
なお、メッセージがリクエストメッセージであるかまたは応答メッセージであるかは、例えば、メッセージのヘッダに含まれる情報に基づいて、リクエストメッセージ受信部111や応答メッセージ受信部112により、判定することが可能である。
【0045】
シーケンス抽出部121は、リクエストメッセージ受信部111により受信されたリクエストメッセージを解析して、当該リクエストメッセージに含まれるシーケンス番号の情報を抽出する。これにより、当該リクエストメッセージのシーケンス番号が特定される。そして、シーケンス抽出部121は、当該リクエストメッセージに関する情報をメッセージデータベース122に記憶(格納)する。
同様に、シーケンス抽出部121は、応答メッセージ受信部112により受信された応答メッセージを解析して、当該応答メッセージに含まれるシーケンス番号の情報を抽出する。これにより、当該応答メッセージのシーケンス番号が特定される。そして、シーケンス抽出部121は、当該応答メッセージに関する情報をメッセージデータベース122に記憶(格納)する。
【0046】
ここで、本実施形態では、シーケンス抽出部121は、応答メッセージ受信部112により受信された応答メッセージを、リクエストメッセージ受信部111により受信されたリクエストメッセージと対応付ける(マッピングする)。具体的には、シーケンス抽出部121は、応答メッセージ受信部112により受信された応答メッセージについて、当該応答メッセージに含まれるシーケンス番号を分析して特定し、メッセージデータベース122の記憶内容に含まれる同じシーケンス番号を有するリクエストメッセージと対応付けて、当該応答メッセージに関する情報をメッセージデータベース122に記憶(格納)する。
【0047】
なお、一例として、シーケンス抽出部121は、応答メッセージに対応するリクエストメッセージに関する情報がメッセージデータベース122に記憶されていない場合には、当該応答メッセージに関する情報をメッセージデータベース122に記憶しない。他の例として、シーケンス抽出部121は、応答メッセージに対応するリクエストメッセージに関する情報がメッセージデータベース122に記憶されていない場合には、リクエストメッセージとは無関係に、当該応答メッセージに関する情報をメッセージデータベース122に記憶する。
【0048】
また、本実施形態では、シーケンス抽出部121は、リクエストメッセージ受信部111により受信されたリクエストメッセージや、応答メッセージ受信部112により受信された応答メッセージについて、メッセージの受信時刻を特定する。
【0049】
なお、本実施形態では、リクエストメッセージや応答メッセージに含まれるIEのタイプの組み合わせについては、特定されなくてもよく、特定しない方が処理の負荷が小さくなるが、他の構成例として、シーケンス抽出部121などによりメッセージのIEのタイプの組み合わせを特定する構成が用いられてもよい。この場合、応答メッセージに関するIEのタイプの組み合わせやメッセージの種類は、例えば、応答メッセージを分析して特定してもよく、または、対応するリクエストメッセージと同じ情報を読み出して用いてもよい。
【0050】
メッセージデータベース122は、リクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報を記憶する。本実施形態では、メッセージデータベース122は、リクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報として、メッセージ毎に、シーケンス番号を特定する情報や、受信時刻を特定する情報や、メッセージの種類(例えば、「リクエストのメッセージ」または「応答のメッセージ」というリクエスト/応答の種別でもよい。)を特定する情報や、メッセージに関するサイズを特定する情報を対応付けて記憶する。ここで、本実施形態では、メッセージに関するサイズを特定する情報としては、リクエストメッセージ受信部111により検出されたリクエストメッセージのサイズを特定する情報や、応答メッセージ受信部112により検出された応答メッセージのサイズを特定する情報が用いられる。
【0051】
応答時間測定部123は、リクエストメッセージに対する応答メッセージの応答の時間を測定する。本実施形態では、応答時間測定部123は、互いに対応付けられたリクエストメッセージと応答メッセージについて、当該応答メッセージの受信時刻から当該リクエストメッセージの受信時刻を減じた結果の値(これらの受信時刻の差分の値)を応答時間として検出(測定)する。
ここで、本実施形態では、MME装置2がリクエストメッセージを送信したタイミングから、それに対する応答メッセージをMME装置2が受信したタイミングまでの時間を応答時間の一例としているが、ここでは、キャプチャ装置21において、MME装置2が送信したリクエストメッセージを受信したタイミング(リクエストメッセージの受信時刻)から、それに対するMME装置2への応答メッセージを受信したタイミング(応答メッセージの受信時刻)までの時間を近似的に応答時間とみなしている。なお、応答時間を取得する他の手法が用いられてもよい。
【0052】
障害判定部124は、応答時間測定部123により測定された応答時間に基づいて、ネットワークに関する障害の判定を行う。本実施形態では、障害判定部124は、一例として、応答時間測定部123により測定された応答時間をメッセージの種類(本実施形態では、メッセージのサイズの組み合わせ)毎に集計して統計処理することにより、移動平均などに基づいて、障害の判定を行う。障害判定部124は、他の例として、メッセージの種類(本実施形態では、メッセージのサイズの組み合わせ)毎に定められる閾値などに基づいて、応答時間測定部123により測定された応答時間(例えば、1回分の測定値)について、障害の判定を行う。また、障害の判定を行う他の手法が用いられてもよい。
【0053】
ここで、本実施形態に係るキャプチャ装置21では、リクエストメッセージと応答メッセージの組について、先にリクエストメッセージを受信して、当該リクエストメッセージに関する情報をメッセージデータベース122に記憶し、その後に、応答メッセージを受信して、当該応答メッセージに対応するリクエストメッセージに対応付ける動作を示したが、他の構成例として、これらの受信の順序が逆である場合があってもよい。すなわち、リクエストメッセージと応答メッセージの組について、先に応答メッセージを受信して、当該応答メッセージに関する情報をメッセージデータベース122に記憶し、その後に、リクエストメッセージを受信して、当該リクエストメッセージに対応する応答メッセージに対応付ける構成が用いられてもよい。
また、メッセージに関する各種の情報(例えば、IEのタイプの情報を取得する構成では、IEのタイプの情報を含む。)は、例えば、リクエストメッセージに含まれる情報に基づいて取得されてもよく、または、応答メッセージに含まれる情報に基づいて取得されてもよく、または、リクエストメッセージおよび応答メッセージの両方に含まれる情報に基づいて取得されてもよい。
【0054】
また、本実施形態に係るキャプチャ装置21では、リクエストメッセージと応答メッセージのペア(本実施形態では、シーケンス番号が一致するもの)を対応付けて、これらのメッセージに関する情報をメッセージデータベース122に記憶する構成を示したが、他の構成例として、リクエストメッセージに関する情報と応答メッセージに関する情報を別々にメッセージデータベース122に記憶し、メッセージデータベース122からメッセージを読み出す(例えば、応答時間測定部123により読み出す)ときに、シーケンス番号に基づいて、リクエストメッセージと応答メッセージのペアを特定する構成が用いられてもよい。
【0055】
<処理のフローの例>
図6は、本発明の一実施形態に係るキャプチャ装置21においてメッセージ(本実施形態では、リクエストメッセージや応答メッセージ)を受信した場合に行われる処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
リクエストメッセージ受信部111がリクエストメッセージを受信して当該リクエストメッセージに関するサイズの情報を抽出すると(ステップS1)、シーケンス抽出部121が受信されたリクエストメッセージを解析し、シーケンス番号の情報を抽出することなどを行う(ステップS2)。そして、シーケンス抽出部121が、必要な情報をメッセージデータベース122に記憶する(ステップS3)。これにより、本処理が終了する。
同様に、応答メッセージ受信部112が応答メッセージを受信して当該応答メッセージに関するサイズの情報を抽出すると(ステップS1)、シーケンス抽出部121が受信された応答メッセージを解析し、シーケンス番号の情報を抽出することなどを行う(ステップS2)。そして、シーケンス抽出部121が、必要な情報をメッセージデータベース122に記憶する(ステップS3)。これにより、本処理が終了する。
【0056】
図7は、本発明の一実施形態に係るキャプチャ装置21において行われる障害の判定に関する処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
応答時間測定部123が、測定対象とするメッセージ(リクエストメッセージ、または、応答メッセージ)について、メッセージデータベース122の記憶内容に基づいて、互いに対応する(本実施形態では、同一のシーケンス番号を有する)リクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報をマッピングしたものを読み出す処理を行う(ステップS11)。
この処理において(ステップS11)、応答時間測定部123は、該当するリクエストメッセージおよび応答メッセージのペアが無い(メッセージデータベース122に存在しない)と判定した場合には(ステップS12)、例えば、本処理を終了する。
【0057】
一方、上記の処理において(ステップS11)、応答時間測定部123は、該当するリクエストメッセージおよび応答メッセージのペアが有る(メッセージデータベース122に存在する)と判定した場合には(ステップS12)、各メッセージ(本実施形態では、リクエストメッセージと応答メッセージとの組)について応答時間を測定する(ステップS13)。そして、障害判定部124が当該測定の結果に基づいて障害の判定を行う(ステップS14)。これにより、本処理が終了する。
【0058】
ここで、本実施形態では、メッセージデータベース122において、既に、リクエストメッセージと応答メッセージとのマッピングの情報(対応付けの情報)を記憶している構成を示したが、他の構成例として、メッセージデータベース122において、リクエストメッセージと応答メッセージとのマッピングの情報(対応付けの情報)を記憶していない構成が用いられてもよい。
このような他の構成例では、応答時間測定部123は、測定対象とするメッセージ(リクエストメッセージ、または、応答メッセージ)についてシーケンス番号に基づいてマッピングの処理を行う(ステップS11)。そして、応答時間測定部123は、測定対象とするメッセージ(リクエストメッセージ、または、応答メッセージ)に対応するペアのメッセージ(本実施形態では、同じシーケンス番号のメッセージ)に関する情報がメッセージデータベース122に記憶されているか否か(存在の有無)を判定して確認する(ステップS12)。この確認の結果(ステップS12)、応答時間測定部123は、ペアのメッセージに関する情報がメッセージデータベース122に記憶されていないと判定した場合には、例えば、本処理を終了する。一方、上記の確認の結果(ステップS12)、応答時間測定部123は、ペアのメッセージに関する情報がメッセージデータベース122に記憶されていると判定した場合には、ステップS13の処理へ移行する。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る通信システムにおけるキャプチャ装置21では、LTEのネットワークにおいて、リクエストメッセージと応答メッセージをキャプチャし、シーケンス番号に基づいてリクエストメッセージと応答メッセージを対応付けて、リクエストメッセージのメッセージサイズと応答メッセージのメッセージサイズとの組み合わせ(本実施形態では、メッセージの種類とみなす。)毎に、メッセージ(例えば、リクエストメッセージや、応答メッセージ)をクラスタリングする。
また、本実施形態に係る通信システムにおけるキャプチャ装置21では、メッセージのサイズの組み合わせ(メッセージの種類)毎にクラスタリングされたリクエストメッセージと応答メッセージの群について、応答時間を測定し、統計処理することで、障害の判定を行う。ここで、統計処理は、例えば、定期的なタイミングなどの様々なタイミングで、行うことができる。
また、本実施形態に係る通信システムにおけるキャプチャ装置21では、メッセージのサイズの組み合わせ(メッセージの種類)毎に、メッセージに関係する装置(例えば、リクエストメッセージの要求に応じた処理を行う装置)を紐付けし、応答時間の閾値越えなどが発生した場合に、障害の箇所を絞り込む。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る通信システムにおけるキャプチャ装置21によると、例えば、LTEのネットワークにおいて、所定の区間に設置したキャプチャ装置21によりキャプチャしたメッセージ(当該所定の区間を流れるメッセージ)を用いて、他の区間で発生する障害を検出することができる。このため、比較的、少数のキャプチャ装置21により、広範囲における障害の判定を行うことができる。また、キャプチャ装置21により、例えばキャプチャ装置21が設置された区間のみについて障害の判定を行う場合と比べて、高精度に障害の判定を行うことができる。これにより、例えば、モバイルネットワークにおけるネットワークの品質を監視することができる。
このように、本実施形態に係る通信システムにおけるキャプチャ装置21によると、効率的にネットワークを監視することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る通信システムにおけるキャプチャ装置21によると、リクエストメッセージのサイズや応答メッセージのサイズに基づいてメッセージを分類することにより、例えば、LTEのネットワーク等のモバイルネットワークにおいて、大量のメッセージ(リクエストメッセージや応答メッセージ)について、ペイロードデータ(例えば、可変長)を深掘り解析しなくても、メッセージの種類(メッセージのサイズの組み合わせ)別にメッセージを仕分けることで、応答時間などに関して、リアルタイムに監視を行うことが可能である。
具体例として、キャプチャ装置21では、メッセージに含まれるIEの情報については解析せずに、メッセージのサイズの情報(および、本実施形態では、シーケンス番号の情報)を検出することで、例えばメッセージにおいて可変長であるペイロードデータを深掘り解析するための高度なプログラミングの実装や、メッセージ毎の解析処理が軽減され、高速なメッセージの分類が可能となる。通常、フレームの先頭から後尾へ向かって解析が行われるところ、本実施形態では、メッセージのサイズの情報(および、本実施形態では、シーケンス番号の情報)を検出すれば、メッセージの分類を行うことが可能である。
このように、本実施形態に係る通信システムにおけるキャプチャ装置21によると、例えば、メッセージの数が多い実ネットワークにおいてもリアルタイムで障害の判定が可能であり、効率的にネットワークを監視することができる。
【0062】
ここで、本実施形態では、リクエストメッセージのサイズと応答メッセージのサイズとの両方(組み合わせ)に基づいてメッセージを分類(メッセージの種類を推定)する構成を示したが、他の構成例として、リクエストメッセージのサイズと応答メッセージのサイズのうちのいずれか一方(のみ)に基づいてメッセージを分類(メッセージの種類を推定)する構成が用いられてもよい。
一例として、キャプチャ装置21では、リクエストメッセージのサイズ毎に、メッセージ(例えば、リクエストメッセージや応答メッセージ)を分類する。
他の一例として、キャプチャ装置21では、応答メッセージのサイズ毎に、メッセージ(例えば、リクエストメッセージや応答メッセージ)を分類する。
【0063】
ここで、本実施形態に係るキャプチャ装置21では、メッセージ(本実施形態では、MME装置2とSGW装置4との間の区間で送受信されるメッセージ)として、セッション確立要求のリクエストメッセージおよびセッション確立応答の応答メッセージを用いる場合を示したが、他の様々なメッセージが用いられてもよい。具体例として、セッション解放要求(Delete Session Request)のリクエストメッセージおよびセッション解放応答(Delete Session Response)の応答メッセージを用いることや、ベアラ変更要求(Modify Bearer Request)のリクエストメッセージおよびベアラ変更応答(Modify Bearer Response)の応答メッセージを用いることなどができる。
【0064】
また、本実施形態に係るキャプチャ装置21では、MME装置2とSGW装置4との間に備えられて、その区間で送受信されるメッセージをキャプチャする構成を示したが、他の様々な区間で送受信されるメッセージをキャプチャする構成が用いられてもよい。例えば、キャプチャ装置21は、他の様々な区間に備えられて、その区間で送受信されるメッセージをキャプチャする構成とされてもよく、また、基地局装置(本実施形態では、基地局装置1−1〜1−N)とMME装置2との間の区間にキャプチャ装置21が備えられてもよい。キャプチャ装置21は、当該キャプチャ装置21が備えられる区間に応じて、その区間で送受信されるメッセージをキャプチャし、キャプチャしたメッセージに基づいて他の区間に関する障害の判定を行うことができる。
【0065】
また、本実施形態では、受信部101とメッセージ処理部102を備えたキャプチャ装置21の構成を示したが、他の構成例として、受信部101を備えるがメッセージ処理部102を備えないキャプチャ装置21の構成が用いられてもよく、この場合、メッセージ処理部102の機能がキャプチャ装置21以外の装置(この構成例では、ネットワーク監視装置の一例に相当する。)に備えられる。この装置(キャプチャ装置21以外の装置)は、キャプチャ装置21が備えられる区間に備えられてもよく、または、他の任意のところ(例えば、他の区間)に備えられてもよく、例えば、キャプチャ装置21の受信部101により受信された後に送信されるメッセージに関する情報(メッセージ自体の情報を含んでもよい。)を当該キャプチャ装置21から受信して処理する。
【0066】
また、本実施形態では、
図2に示される各処理部111〜112、121〜124の機能を一体の装置(本実施形態では、キャプチャ装置21)に備える構成を示したが、他の構成例として、これらの機能を2個以上の装置に分散して備える構成が用いられてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、メッセージの種類毎に、リクエストメッセージから応答メッセージまでの応答時間に基づいて障害の判定を行う構成を示したが、他の情報に基づいて障害の判定を行う構成が用いられてもよい。具体的な一例として、リクエストメッセージの再送を行う場合に、再送回数に基づいて障害の判定を行う構成を用いることができ、例えば、本実施形態における応答時間の代わりに再送回数へ置き換えて、障害の判定を行うことが可能である。
また、本実施形態では、LTEのネットワークを示したが、他の様々なネットワークに適用されてもよい。
【0068】
<本実施形態との比較例に対する本実施形態の効果の例>
なお、本実施形態との比較例に対する本実施形態の効果の例を示す。
本実施形態との比較例として、監視対象の区間毎に、リクエストメッセージの送信から応答メッセージの受信までの応答時間(または、リクエストメッセージの再送回数)を測定して、これを統計処理した上で、障害が発生しているか否かを判定するために、MME装置とSGW装置との間の区間を流れる全てのリクエストメッセージおよび全ての応答メッセージを用いて一律に応答時間(または、再送回数)を測定する技術(比較例に係る技術)を考える。
比較例に係る技術では、MME装置とSGW装置との間の区間に設置したキャプチャ装置において、該当する区間を流れる全てのメッセージに影響するような障害、すなわち、MME装置とSGW装置との間の区間で発生する障害しか検出することができない。具体例として、比較例に係る技術では、メッセージのサイズの組み合わせが異なる(例えば、IEのタイプの組み合わせが異なる)3種類のメッセージ(例えば、リクエストメッセージや応答メッセージ)がキャプチャされ、それぞれの種類のメッセージの応答時間の基準値が1ms、10ms、100msである場合には、これらの統計処理により、これらの平均値である37(=111/3)msを基準として例えば50msなどといった閾値(応答時間の閾値)を設定してしまい、メッセージの種類毎に適した障害の判定を実行することが難しく、他の区間の障害の判定を実行することが難しい。
これに対して、本実施形態では、メッセージの種類毎に適した障害の判定を実行することができ、他の区間の障害の判定を実行することができ、このように、精度よくネットワークを監視することができる。
【0069】
また、他の比較例として、メッセージ(例えば、リクエストメッセージや応答メッセージ)に含まれるIEの情報(例えば、IEのタイプの情報の組み合わせ)に基づいて、メッセージの種類を特定する構成を考えると、この構成では、メッセージにおける例えば可変長なペイロードデータを深掘り解析することが必要となる。しかしながら、メッセージの深掘り解析を実行する場合には、処理の負荷が大きくなり、特に、メッセージの数が多い環境では深掘り解析がボトルネックとなり、リアルタイムの監視(一例として、オンラインでの監視)が難しい場合があると考えられる。特に、大規模なLTEのネットワークを運用する通信キャリアでは、そのようなことが考えられる。
これに対して、本実施形態では、メッセージのサイズに基づいてメッセージの種類を特定(例えば、推定)しているため、効率的にネットワークを監視することができる。
【0070】
[以上の実施形態に係る構成例]
一構成例として、ネットワーク(本実施形態では、LTEのネットワーク)を構成する2個の通信装置(本実施形態では、MME装置2とSGW装置4)の間の区間を伝送するリクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報に基づいて、1または複数のメッセージの所定のサイズの状態(例えば、リクエストメッセージと応答メッセージのうちの一方の所定のサイズの状態、または、それぞれの所定のサイズの組み合わせの状態)毎に、障害の判定を行う障害判定部(本実施形態では、障害判定部124)を備える、ネットワーク監視装置(本実施形態では、
図2に示されるキャプチャ装置21)である。
【0071】
一構成例として、前記ネットワーク監視装置は、前記リクエストメッセージに含まれるシーケンス番号および前記応答メッセージに含まれるシーケンス番号を抽出するシーケンス抽出部(本実施形態では、シーケンス抽出部121)を備え、前記障害判定部は、前記シーケンス抽出部により抽出されたシーケンス番号に基づいて対応付けられた前記リクエストメッセージと前記応答メッセージとの組における各々のメッセージの所定のサイズの組み合わせの状態毎に、障害の判定を行う。
【0072】
一構成例として、前記メッセージの所定のサイズとして、前記メッセージの全体のサイズ(一例として、
図3に示されるメッセージ201のフレームの全体のバイト数)、または、前記メッセージの一部のサイズ(一例として、
図3に示されるメッセージ201のフレームにおけるIPヘッダ212より以降のバイト数)を用いる。
【0073】
一構成例として、前記ネットワーク監視装置は、互いに対応付けられた前記リクエストメッセージおよび前記応答メッセージに関する応答時間を測定する応答時間測定部(本実施形態では、応答時間測定部123)を備え、前記障害判定部は、前記応答時間測定部により測定された応答時間に基づいて、前記メッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行う。
【0074】
一構成例として、ネットワークを構成する第1の通信装置(本実施形態では、MME装置2)と第2の通信装置(本実施形態では、SGW装置4)との間の区間を伝送する第1のメッセージおよび第2のメッセージ(本実施形態では、リクエストメッセージと応答メッセージであり、順序は任意)を受信する受信部(本実施形態では、受信部101)と、前記受信部により受信された第1のメッセージに含まれるシーケンス番号および前記受信部により受信された第2のメッセージに含まれるシーケンス番号を抽出するシーケンス抽出部と、前記第1のメッセージに含まれるシーケンス番号および前記第2のメッセージに含まれるシーケンス番号に基づいて、前記第1のメッセージと前記第2のメッセージとを対応付ける対応付け部(本実施形態では、一例として、シーケンス抽出部121が有する対応付けの機能部、または、他の例として、応答時間測定部123が有する対応付けの機能部)と、前記第1のメッセージおよび前記第2のメッセージに関する情報を記憶するデータベース(本実施形態では、メッセージデータベース122)と、前記第1のメッセージおよび前記第2のメッセージに関する情報に基づいて、前記対応付け部により対応付けられた前記第1のメッセージと前記第2のメッセージとの組における1または複数のメッセージのサイズの状態毎に、障害の判定を行う障害判定部と、を備えるネットワーク監視システム(本実施形態では、
図2に示されるキャプチャ装置21と同様な機能を備えるシステム)である。
【0075】
一構成例として、受信部が、ネットワークを構成する2個の通信装置の間の区間を伝送するリクエストメッセージおよび応答メッセージを受信し、障害判定部が、前記受信部により受信されたリクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報に基づいて、1または複数のメッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行う、ネットワーク監視方法(本実施形態では、
図2に示されるキャプチャ装置21により行われる方法)である。
【0076】
一構成例として、障害判定部が、ネットワークを構成する2個の通信装置の間の区間を伝送するリクエストメッセージおよび応答メッセージに関する情報に基づいて、1または複数のメッセージの所定のサイズの状態毎に、障害の判定を行うステップを、コンピュータに実行させるためのネットワーク監視プログラム(本実施形態では、
図2に示されるキャプチャ装置21により行われる処理を実行するプログラム)である。
【0077】
[以上の実施形態のまとめ]
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0078】
また、以上に示した実施形態に係る各装置(例えば、キャプチャ装置21など)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
【0079】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0080】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。