(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連鎖移動剤の(b)成分が、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルから選択される少なくとも1種の金属を含む金属化合物であることを特徴とする請求項1に記載の表示素子用シール剤。
前記シール剤が光硬化性モノマーを含み、前記シール剤に含有される光硬化性モノマーの含有量が、シール剤の全体の質量に対し20〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子用シール剤。
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシール剤を表示素子の封止材料のシール剤として用い、シール剤の封止材料に対する汚染を防止することが可能であることを特徴とする表示素子の製造方法。
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシール剤が、表示素子の封止材料のシール剤として用いられ、シール剤の封止材料に対する汚染を防止することが可能であることを特徴とする表示素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、熱硬化剤を使用した硬化性樹脂組成物を用いて液晶表示素子や有機EL素子を作成した場合、表示ムラが発生する可能性がある。これは、熱硬化剤が液晶表示素子や有機EL素子の加熱工程において液晶や有機EL等の封止材料中に溶出し、溶出した熱硬化剤が表示ムラの原因となる恐れがあることに起因する。
【0007】
これを防止するために熱硬化剤の配合量を減らすと、得られるシール剤が接着性に劣るものとなったり、液晶や有機EL材料が汚染され、得られる素子が電気特性に劣るものとなったりする恐れがある。更に熱硬化剤は硬化速度が遅いために封止材料と触れる時間が長すぎることも汚染の原因となる。
【0008】
また熱硬化剤の併用をやめて、光硬化剤のみにすると、硬化性や接着性が十分では無く、また基材と張り合わせた時に光が当たらない部分が発生して、硬化不良成分の溶出による上記と同様の問題を生じる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、熱硬化剤を添加する必要がなく、光硬化だけでも十分硬化させることが可能であり、シール剤による封止材料に対する汚染を抑制することが可能な、表示素子用シール剤、表示素子の製造方法及表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の表示素子用シール剤は、
硬化性樹脂組成物から構成され表示素子のシールに用いられるシール剤であって、
前記硬化性樹脂組成物は連鎖移動剤を含有し、
前記連鎖移動剤は、(a)成分としてウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、(b)成分として含金属化合物とを含むことを要旨とするものである。
【0011】
本発明の表示素子用シール剤において、前記連鎖移動剤の(b)成分が、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルから選択される少なくとも1種の金属を含む金属化合物であることが好ましい。
【0012】
本発明の表示素子用シール剤において、前記シール剤に含有される連鎖移動剤の含有量が、シール剤の全体の質量に対し20〜80質量%であることが好ましい。
【0013】
本発明の表示素子用シール剤において、前記シール剤が光硬化性モノマーを含み、前記シール剤に含有される光硬化性モノマーの含有量が、シール剤の全体の質量に対し20〜80質量%であることが好ましい。
【0014】
本発明の表示素子用シール剤において、前記光硬化性モノマーが、分子内に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物であることが好ましい。
【0015】
本発明の表示素子の製造方法は、上記のシール剤を表示素子の封止材料のシール剤として用い、シール剤の封止材料に対する汚染を防止することが可能であることを要旨とするものである。
【0016】
本発明の表示素子は、上記のシール剤が、表示素子の封止材料のシール剤として用いられ、シール剤の封止材料に対する汚染を防止することが可能であることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示素子用シール剤は、連鎖移動剤を含有する硬化性樹脂組成物から構成され、前記連鎖移動剤は、(a)成分としてウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、(b)成分として含金属化合物とを含むこと構成を有することにより、熱硬化剤等の成分を必要とせずに、例えば紫外線等の照射により、光硬化だけで光の当たらない部分も含めて常温で十分硬化させることが可能であり、シール剤の組成物が硬化不良となって未硬化のシール剤が封止材料を汚染することを抑制することができる。
【0018】
また本発明のシール剤は、短時間で硬化させることが可能であるから、未硬化のシール剤が封止材料に接触して溶出する時間を最小にすることが可能であり、シール剤が未硬化の状態で封止材料と長時間接触することを避けて、シール剤の成分が封止材料を汚染することにより電気的特性等に悪影響を与えて表示素子に表示ムラが発生するような不具合を防止できる。
【0019】
本発明の表示素子の製造方法は、上記のシール剤を表示素子の封止材料のシール剤として用い、シール剤の封止材料に対する汚染を防止することが可能であるようにしたものであるから、シール剤による汚染を最少にして、汚染等による表示ムラ等の不具合を防止することが可能である。
【0020】
本発明の表示素素子は、上記のシール剤が、表示素子の封止材料のシール剤として用いられ、シール剤の封止材料に対する汚を防止することが可能である構成を有することにより、シール剤による封止材料に対する汚染を最少にして、汚染等により表示素子の表示ムラ等の不具合を防止することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。本発明の表示素子用シール剤(以下、単にシール剤ということもある。)は、硬化性樹脂組成物から構成されている。本実施例では、液晶表示パネルの液晶封止用シール剤(液晶シール剤と呼ばれる)として紫外線硬化性樹脂組成物(以下、単に組成物という場合もある。)として構成した例を説明する。
【0023】
シール剤の組成物は、例えば(A)光硬化性成分、(B)連鎖移動剤、(C)光重合開始剤から構成することができる。紫外線硬化材料の硬化原理としては、紫外線(紫外光)を光重合開始剤が吸収して、ラジカル種等の活性種を発生させ、その活性種が(メタ)アクリレート等の炭素−炭素の2重結合をラジカル重合させ、硬化させるものである。しかし紫外線硬化材料は、通常の紫外線硬化では、紫外線が遮蔽される部分が未硬化になる。これに対し、上記(B)連鎖移動剤を添加することにより、紫外線の照射により発生したラジカルを、紫外線が遮蔽されてラジカル発生のない箇所までラジカルを伝達し、重合反応を開始、進行させて、紫外線が遮蔽される暗部を硬化させることができる。すなわち(B)連鎖移動剤を添加することにより、照射光の届かない部分の硬化が可能な暗部硬化性を持たせることができる。そのため熱硬化剤等を添加することなく、常温で短時間硬化を可能とするものである。以下、上記各成分について説明する。
【0024】
(A)光硬化性成分としては、紫外線等の光が照射されることで硬化物が得られる紫外線硬化材料を使用することができる。尚、光硬化性成分は、紫外線以外に、可視光、赤外線等により硬化物が得られるものも含まれる。
【0025】
前記紫外線硬化材料としては、光硬化性モノマーを用いることができる。光硬化性モノマーは、具体的には(メタ)アクリレート等の硬化性モノマー、オリゴマーが挙げられる、尚、本発明において「(メタ)アクリレート」との記載はアクリレートおよび/またはメタクリレートの意味である。
【0026】
前記(メタ)アクリレート化合物としては、分子中に1つ以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。前記(メタ)アクリレート化合物の具体例として、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、等のモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物またはPO付加物のポリオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加物トリ(メタ)アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、エチルカルビトールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)ブタジエン(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0027】
光硬化性モノマーは、分子中に少なくとも一つのヒドロキシル基を有する化合物を用いることが、好ましい。表示素子に用いられる基板は一般にガラス基板が用いられる。ヒドロキシル基を有する光硬化性モノマーはガラス基板等に対する接着性を改良することができる。分子中に少なくとも一つのヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
シール剤に含有される光硬化性モノマーの含有量は、シール剤の全体の質量に対し20〜80質量%であることが好ましい。光硬化性モノマーが20質量%未満では、硬化不良となりシール剤が封止材料を汚染する恐れがあり、80質量%を超えると硬化後の物性が硬質となり、基材への密着性が低下する恐れがある。更に好ましい光硬化性モノマーの含有量は、30〜70質量%の範囲内である。
【0029】
(B)連鎖移動剤は、(a)成分として、分子中にウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む含窒素化合物と、(b)成分として含金属化合物を含むものである。
【0030】
上記(a)含窒素化合物の具体例としては、ポリウレタン、ポリ尿素、イソシアネート等が挙げられる。上記ポリウレタン、ポリ尿素は、例えばイソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等の水酸基含有化合物、アミン含有化合物等を反応させることで得られる。
【0031】
上記イソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、水素添加−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水素添加−キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水素添加−2,4−トリレンジイソシアネート(水添TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香脂肪族イソシアネート、1,4−ジフェニルジイソシアネート、2,4または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4または4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、O−トリジンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(粗製MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等の芳香族イソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。イソシアネートは、上記ポリイソシアネートを更に水と反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート、多価イソシアネートを一部ポリエステルやポリエーテル誘導体と重合させた液状プレポリマー、イソシアヌレート化して得られる多量体等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上を併用してもいずれでもよい。
【0032】
上記ポリエーテルポリオールとしては、両末端に水酸基を有するポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのランダム、ブロック共重合体、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のジオール、3つの水酸基を有するポリオキシアルキレンポリオール等のトリオール等が挙げられる。
【0033】
上記ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸の反応により得られる末端に水酸基を持つポリエステル化合物である。ポリエステルポリオールは、炭素鎖1〜30のジアルコール類、末端ジオールの(ポリ)エチレングリコール、末端ジオールの(ポリ)プロピレングリコール、末端ジオールの(ポリ)ヘキサメチレングリコール、末端ジオールの(ポリ)カプロラクトン等が挙げられる。また上記多塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸等の二塩基酸が挙げられる。
【0034】
上記アミン含有化合物としては、末端に1級または2級のアミノ基を持つ炭素鎖1〜30のアミン類、末端ジアミンの(ポリ)エチレングリコール、末端ジアミンの(ポリ)プロピレングリコール、末端ジアミンの(ポリ)ヘキサメチレングリコール、末端ジアミンの(ポリ)カプロラクトン、末端ジアミンの(ポリ)エステル(ポリ)オール、末端ジアミンの(ポリ)アミド、末端ジアミンの(ポリ)エステル等が挙げられる。
【0035】
また、ポリウレタン、ポリ尿素化合物は、必要に応じて重合後に末端基を(チオ)エーテル、(チオ)エステル、アミド、(チオ)ウレタン、(チオ)尿素、N−アルキル結合等によって、アルキル基や(メタ)アクリル基、エポキシ基、オキサゾリル基、カルボニル基、チオール基、チオエーテル基、チオエステル基、リン酸(エステル)基、ホスホン酸(エステル)基、カルボン酸(エステル)基等で封止されていても良い。
【0036】
上記ウレタン結合又は尿素結合は、複数の種類が結合されていても、或いは末端基が組み合わせられること等により分子中に含有されていても良い。
【0037】
(B)連鎖移動剤を構成する(b)成分の含金属化合物の金属としては、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルの中から選択される1種類、あるいは複数種類の金属が好ましく用いられる。(b)成分の含金属化合物は、1種類または複数種類の上記金属が、金属塩または錯体の形で構成分子中に含有されていれば、特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
【0038】
前記金属塩としては、前記金属種のカルボン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、(過)(亜)塩素酸塩等の金属塩の形態が挙げられる。
【0039】
上記金属錯体としては、前記金属種と配位結合形成し得る有機配位子と1:1〜1:4(金属:配位子)で配位し安定化されたものであれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
【0040】
上記(b)成分の含金属化合物の具体例として、ビス(2,4-ペンタンジオナト)スズ、ジブチルスズビス(トリフルオロメタンスルホナート)、ジブチルスズジアセタート、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズマレアート、フタロシアニンスズ(IV)ジクロリド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスズ、フタロシアニンスズ(II)、トリブチル(2-ピリジル)スズ、トリブチル(2-チエニル)スズ、酢酸トリブチルスズ、トリブチル(トリメチルシリルエチニル)スズ、トリメチル(2-ピリジル)スズ、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(1,3-プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8-キノリノラト)銅(II)、ビス(トリフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム、フタロシアニン銅(II)、ジクロロ(1,10-フェナントロリン)銅(II)、フタロシアニン銅、テトラ-4-tert-ブチルフタロシアニン銅、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、ナフテン酸銅、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3-ジチオール-2-チオン-4,5-ジチオラト)亜鉛コンプレックス、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、フタロシアニン亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(III)ヘキサフルオロホスファート、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]コバルト(II)ジクロリド、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)コバルト(II)、(1R,2R)-N,N'-ビス[3-オキソ-2-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ブチリデン]-1,2-ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、(1S,2S)-N,N'-ビス[3-オキソ-2-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ブチリデン]-1,2-ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(トリフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)コバルト(II)、フタロシアニンコバルト(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムコバルト、ヘキサアンミンコバルト(III)クロリド、N,N'-ジサリチラルエチレンジアミンコバルト(II)、[5,10,15,20-テトラキス(4-メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)、トリス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(III)、ナフテン酸コバルト、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ニッケル(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)コンプレックス、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ブロモ[(2,6-ピリジンジイル)ビス(3-メチル-1-イミダゾリル-2-イリデン)]ニッケルブロミド、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記(b)成分の含金属化合物の形態としては、必ずしも有機物への溶解性が高い必要は無いが、混合のし易さや保存時の沈殿を防ぐことから、有機酸塩または金属錯体状であることが好ましい。
【0042】
上記(b)成分の含金属化合物は、前記(a)成分の含窒素化合物と複合化することで連鎖移動剤を構成することができる。
【0043】
上記(a)成分と上記(b)成分を複合化する方法は、両成分を常温、または加温条件で混合すれば良く、特に限定されないが、上記各成分を、減圧下または窒素等の不活性ガス雰囲気下で、適当な温度にて、混合ミキサー等のかくはん装置を用いて十分に攪拌または混練し、溶解させるか、均一に分散させる方法を用いることが好ましい。
【0044】
シール剤に含有される連鎖移動剤の含有量は、シール剤の全体の質量に対し20〜80質量%であることが好ましい。連鎖移動剤が20質量%未満では、暗部硬化性が不十分となる恐れがあり、80質量%を超えると、硬化後の接着性が不十分となる恐れがある。更に好ましい連鎖移動剤の含有量は、30〜70質量%の範囲内である。
【0045】
(C)光重合開始剤としては、紫外線を吸収してラジカル重合を開始させる化合物であれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
【0046】
上記光重合開始剤は、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、エチルアントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
また光重合開始剤は、市販品として、例えば、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173,LucirinTPO(以上、BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等を用いることができる。
【0048】
シール剤に添加される光重合開始剤の添加量は、シール剤の硬化性成分全体の100質量部に対し0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。光重合開始剤の添加量が0.1質量部未満では、硬化性が不十分となる恐れがあり、10質量部を超えると、硬化後の物性低下の原因となる恐れがある。更に好ましい光重合開始剤の添加量は、0.2〜5質量部の範囲内である。
【0049】
組成物には、必要に応じて各種の添加剤を含有することができる。前記添加剤としては、例えば、安定化剤、軟化剤、顔料、染料、耐電防止剤、難燃剤、増感剤、分散剤、溶剤、抗菌抗カビ剤等が挙げられる。各添加剤は適宜、組み合わせて用いることができる。
【0050】
組成物は、上記各成分を混合することで得られる。混合方法としては特に限定されず、減圧下または窒素等の不活性ガス雰囲気下で、適当な温度にて、混合ミキサー等のかくはん装置を用いて十分に攪拌または混練し、溶解させるか均一に分散させる方法が好ましい。
【0051】
本発明のシール剤は、液晶表示パネル等の表示素子の液晶等の封止材料を封止するための液晶シール剤として用いられる。封止材料を封止するとは、封止材料を所定の空間内に封入するという意味である。例えば液晶シール剤は、液晶表示パネルにおいて、2枚の基板の間に液晶を封入し、2枚の基板を貼り合わせるための接着剤としての機能を有している。液晶シール剤は、液晶滴下工法に使用することができる。
【0052】
以下、上記液晶シール剤を用いた液晶表示パネルの製造方法について説明する。液晶表示パネルは、対抗する2枚の基板がシール剤の組成物を介して貼り合わせられている。貼り合わせの工程は、下記の(1)〜(4)の工程を順次行う。
【0053】
(1)一方の基板(第一の基板)の画像表示領域に、ディスペンサによりシール剤を長方形の額縁状のシールパターンに塗布して、枠状の表示領域を配置した基板を準備する。
(2)シール剤が未硬化状態で、上記第一の基板の表面の表示領域の枠内の全面に液晶の微小滴を滴下する。
(3)すぐに第一の基板に第二の基板を対向するように重ね合わせる。
(4)シール剤の組成物に紫外線を照射して、組成物を硬化させることで、液晶が封入されると共に、第一の基板と第二の基板を接着させる。液晶が封入された液晶表示パネルが得られる。
【0054】
上記(1)の工程で用いる基板は、通常は2枚のガラス等が用いられる。ガラス基板には、表面にTFT等の素子がマトリックス状に形成されたアレイ基板や、表面にカラーフィルタやブラックマトリクス等が形成されたCF基板等が用いられる。また基板の材質としてはガラス以外に、ポリエステル、ポリカーボネート、PMMA、ポリサルホン等のプラスチック等を用いてもよい。また基板の対向面には液晶を配向させるための配向膜が形成されていてもよい。
【0055】
上記(2)工程の基板上にシール剤を塗布する方法としては、ディスペンサによる塗布以外に、スクリーン印刷による塗布等を用いてもよい。ディスペンサによる塗布は、液晶滴下方式で液晶を充填する場合に用いられる。
【0056】
上記のパネルの貼り合わせ工程によれば、熱硬化を行うことなく、紫外線の照射のみで常温でシール剤を硬化させることが可能である。更に紫外線照射によるシール剤の硬化は熱硬化と比較して短時間に硬化を完了させることが可能である。そのため、封止剤である液晶と未硬化状態のシール剤の組成物が接触している時間が短時間で済むために、未硬化のシール剤の組成物が液晶中に移行して汚染するのを最少に抑制することが可能である。
【0057】
特に上記シール剤は、遮光エリア等のような、硬化の際に紫外線が直接届かない部分であっても硬化させることが可能であるから、当該部分がシール剤の組成物により汚染されるのを良好に防止して、当該部分の表示ムラ等の発生が抑制されたた液晶表示パネルを得ることができる。
【0058】
本発明の表示素子の製造方法は、液晶パネル等の表示素子の封止に、上記のシール剤の組成物が用いられ、光硬化のみで該組成物を硬化させることで、シール剤の封止材料に対する汚染を防止することが可能であるという特徴がある。
【0059】
また本発明の表示素子は、液晶表示パネルの液晶等の封止材料をシールするためのシール剤として、上記シール剤の組成物が用いられ、光硬化のみで該組成物が硬化されているものであり、シール剤の組成物を硬化させる時間を短時間に済ませることで、シール剤の封止材料に対する汚染を防止することが可能に形成されているものである。
【0060】
シール剤の組成物を硬化させる際の紫外線照射の条件は、組成物の組成等に応じて適宜、選択することができる。紫外線照射に用いられる照射装置としては、公知の装置を用いることができる。照射装置は、例えば、Hg、Hg/Xeやメタルハライド化合物等を封入したバルブ式のUVランプ、LED−UVランプ等の光源を用いることができる。また紫外線照射装置は、上記光源からの光を反射ミラーによって集光して照射する集光型UV照射装置を用いてもよい。
【0061】
上記実施例では、表示素子として液晶表示素子の液晶パネルを例として説明したが、本発明は、上記シール剤を有機EL素子の封止用シール剤として用いて、有機有機EL素子を製造することもできる。
【実施例】
【0062】
以下に本発明の実施例、比較例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。表1、表2に実施例、比較例のシール剤の組成物の調製例を示す。
【0063】
(A)光硬化性モノマー、(B)連鎖移動剤、(C)光重合開始剤の各成分を、表1、表2に示す組成(質量部)で配合し、攪拌機を用いて混合し、溶解または分散させ、実施例1〜9(表1)、比較例1〜3(表2)の各シール剤を得た。
【0064】
表中の略称は以下の通りで、特にメーカーの表示がないものは、東京化成社製の試薬グレードのものを用いた。
【0065】
(A)光硬化性モノマー:(メタ)アクリレート
・IBA:イソボルニルアクリレート
・HPA:ヒドロキシプロピルアクリレート
・HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
【0066】
(B)連鎖移動剤
〈含ウレタン結合化合物〉
・UP−1:合成品(合成例1を後述する。)
〈含尿素結合化合物〉
・UP−2:合成品(合成例2を後述する。)
〈含イソシアネート基化合物〉
・N3600:住化バイエルウレタン社製、商品名「デスモジュールN3600」
〈含金属化合物〉
・BPDZ:ビス(2,4−ペンタンジオナ卜)亜鉛(II)
・CDEDTC:ジエチルジチオカルバミン酸銅(II)
・DBTDL:ジラウリン酸ジブチルスズ
・BPDC:ビス(2,4−ペンタンジオナ卜)コバルト(II)
・BTCN:ジブチルジチオ力ルバミン酸ニッケル(II)
【0067】
(合成例1)UP−1の合成
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が400のポリプ口ピレングリコール80g(200mmol)、ヘキサメチレンジイソシアネー卜40g(238mmol)
とジブチルスズジラウレート0.05gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm
−1付近のイソシアネー卜基の吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネー卜基の含有量を計算し、反応前と比較して約15%まで減少して変化が無くなった時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。更に2−ヒドロキシエチルアクリレート9.84g(84.8mmol)、ジブチルスズジラウレート0.05g、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]0.02gを加え、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm
−1付近のイソシアネー卜基の吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネー卜基の含有量見積り、その吸収が焼失した時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。これをUP−1とする。UP−1は数平均分子量が3200、末端がアクリレート基の含ウレタン結合化合物である。
【0068】
(合成例2)UP−2の合成
攪拌機を備えた反応容器に、1,11−ジアミノ−3,6,9−トリオキサウンデカン40g(208mmol)、ヘキサメチレンジイソシアネート42g(250mmol)を仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm
−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネート基の含有量を計算し、反応前と比較して約15%まで減少して変化が無くなった時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。これをUP−2とする。UP−2は数分子量約2000、末端がイソシアネート基の含尿素結合化合物である。
【0069】
(C)光重合開始剤
・HCHPK: 1−ヒド口キシシク口ヘキシルフェニルケトン
【0070】
実施例、比較例のシール剤の組成物について、以下の評価を行った。評価結果を表1及び表2に併せて示す。
【0071】
(1)硬化性
硬化性は液晶パネルを模擬した器具を用いて測定した。すなわち
図1(a)、(b)に示すように、シールテープ10を用いて第一のスライドガラス11の表面に長方形の枠状に貼り付け、枠の内側にシール剤の組成物1を塗工した。該シール剤の上に第二のスライドガラス12を載置して、シール剤の組成物1が二枚のスライドガラス11、12の間に挟み込まれた状態になるようにした。2枚のスライドガラス11、12の間隔は、0.2mmになるようにした。更に第二のスライドガラス12の上面に幅1mmの短冊状黒色樹脂製の光遮蔽物13を載せ、更に上面から100mW/cm
2の紫外線を30秒間照射して、シール剤の組成物1を硬化させた。その後、上面の光遮蔽物13及びスライドガラス12を取り除き、以下の方法で硬化ムラ及び硬化反応率を評価した。
【0072】
〈硬化ムラ〉
照射部と非照射部(光遮蔽物を載せた部分)の硬化を指触にて確認して、硬化ムラを以下の基準で評価した。
◎:硬化ムラが全くない
○:硬化ムラがほとんど無い
×:硬化ムラが確認された
【0073】
〈硬化反応率〉
光遮蔽物を載せた非照射部の硬化反応率を測定した。硬化反応率は、FT−IR法により算出した。なお硬化反応率の算出には未反応の残留アクリル基を基準にして行い、
図2に示すように、アクリル基の定量には810cm
−1付近のピーク面積Aaを用い、775cm
−1のピーク面積をリファレンスピーク面積Abとして、Aa/Abを算出し、予め測定しておいた0%硬化、100%硬化のAa/Ab比と対比することによって硬化反応率を算出し、以下の基準で評価した。
◎:アクリル基の反応率が95%以上
○:アクリル基の反応率が90%以上95%未満
△:アクリル基の反応率が80%以上90%未満
×:アクリル基の反応率が80%未満
【0074】
(2)接着性
実施例及び比較例で得られた各シール剤の組成物を極微量分を
図1で用いた2枚のスライドガラスに挟み込み、光遮蔽板無しで100mW/cm
2の紫外線を30秒間照射し、接着試験片を得た。得られた接着試験片についてテンションゲージを用いて接着強度を測定し、以下の基準で評価した。
◎:接着強度が2000N/m以上
○:接着強度が1500N/m以上、2000N/m未満
△:接着強度が1000N/m以上、1500N/m未満
×:接着強度が1000N/m未満
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
〈評価結果〉
実施例においては硬化ムラ、硬化反応率、接着性のいずれも良好であり、光照射のみで、FPDの作成時に問題となる光が当たらない部分の硬化も十分達成されていることが判る。よって、本実施例は光照射のみにより接着強度の高いシール剤として用いることができ、しかも基板や配線等の影によって生じる光非照射部分も硬化し得るため、表示ムラの原因となる封止材料中への硬化材料の溶出も防止することが可能である。
【0078】
これに対し、比較例においては、硬化反応が不十分な箇所の存在、また、接着性が不十分であり、光照射のみでは、シール剤としての機能を果たすことが出来なかった。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。