(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.概要>
次に、本発明の実施の形態に係る車両用アンテナ1の概要を説明する。
図2は、車両2の内部からフロントガラスFGを見た様子である。フロントガラスFGの内側(車室内側)面には、車両用アンテナ1が貼付されている。車両用アンテナ1は、透明フィルムにより貼付される。車両用アンテナ1は、GPSアンテナ11、及びDTVアンテナ12、13並びに14を含む。
【0021】
車両用アンテナ1は、フロントガラスFGの上端部に位置し、従来の車両用アンテナのように長方形のループ状アンテナを有さない。特に、DTVアンテナ12、13、及び14は、従来の長方形のループ形状に対して、略L字型とした。また、GPSアンテナ11のリフレクタ(反射器)として機能し、GPSアンテナ11の周囲に位置していた長方形のループ形状のDTVアンテナを不要とした。このため、車両用アンテナ1は、ドライバ視界に入りにくくなり、ドライバの前方視界を妨げることがない。また、フロントガラスFGの美的外観を低下させることがない。
【0022】
<1−2.GPSアンテナの構成>
次に、GPSアンテナの構成について説明する。
図3は、GPSアンテナ11の構成を示す。なお、以下の説明において、XY直交座標系を用いる。X座標はGPSアンテナ11の上下方向を示す。X方向が上方向(天頂側)、−X方向が下方向(地面側)である。Y座標はGPSアンテナ11の左右方向を示す。Y方向が右方向、−Y方向が左方向である。XY直交座標系は、GPSアンテナ11、及びDTVアンテナ12、13、並びに14に対し、相対的に固定される。なお、XY直交座標系は、アンテナ設置面(フロントガラス)を基準とする。また、鉛直方向とは、アンテナ設置面上での鉛直方向に対応した方向(水平方向(Yから−Y方向)に垂直な方向)である。
【0023】
GPSアンテナ11は、車両のフロントガラスに設置される車両用アンテナであり、GPS衛星から送信される電波を受信する。GPSアンテナ11は、ループアンテナ11a、第1無給電素子11b、及び第2無給電素子11cを備える。なお、図中の点線は、ループアンテナ11a、第1無給電素子11b、及び第2無給電素子11cの中心線である。
【0024】
ループアンテナ11aは、略菱形状をした略環状のアンテナである。ループアンテナ11aは、GPS衛星から送信される電波を受信するためのアンテナである。ループアンテナ11aは、導体薄膜、ワイヤ、導電性インク、又は銅箔等の導体による印刷によって略菱形状に形成される。なお、図中の一点鎖線は、ループアンテナ11aの略菱形状の対角線である。
【0025】
ループアンテナ11aは、一の対角線が略上下方向(Xから−X方向)に沿うように配置され、上方向(X方向)の頂点に給電端子PFを有する。ループアンテナ11aの略菱形状の一辺Aは、32[mm]である。なお、辺Aは、辺Aを挟む両辺の中心間の長さである。ループアンテナ11aの導体の太さBは、0.98[mm]である。一つの辺から対角線までの角度Cは、45[°]である。同様に他の辺から対角線までの角度Dも、45[°]である。なお、一つの辺から対角線までの角度は、辺の中心線から対角線までの角度である。
【0026】
第1無給電素子11bは、ループアンテナ11aの下方向(−X方向)に離間して配置され、ループアンテナ11aの指向性を適切に保つ導体である。第1無給電素子11bは、GPSアンテナ11のリフレクタ(反射器)として機能する。GPSアンテナ11は、GPSアンテナ11の周囲に位置していた長方形ループ形状の従来型DTVアンテナを不要とした。これにより、GPSアンテナ11は、指向性を適切に保ち、天頂方向の利得を低下させずに小型化できる。なお、第1無給電素子11bの詳細な機能は後述する。
【0027】
第1無給電素子11bの導体とループアンテナ11aの下側の頂角との距離Eは、5[mm]である。ただし、距離Eを5[mm]より短くしてもよい。この場合、GPSアンテナ11をより小型化できる。略水平方向(Yから−Y方向)に直線的に延び、その略中心がループアンテナ11aの対角線に交差する第1無給電素子11bの第1部分Fの長さは、50[mm]である。第1部分の両端部のそれぞれに接続され、この両端部から上方向(X方向)に直線的に延びる第2部分Gの長さは、15[mm]である。すなわち、この第2部分の長さは、第1部分の約0.3倍である。第1無給電素子11bは、このような第1部分Fと第2部分Gとを左右対称に備える。第1無給電素子11bの導体の太さHは、1.5[mm]である。第1部分に第2部分を加えた長さF+G+Gは、ループアンテナ11aで受信する電波の波長の約2分の1以上である(GPS電波 波長約19cm(L1帯))。
【0028】
第2無給電素子11cは、衛星から送信される円偏波の縦成分を受信する導体である。第2無給電素子11cは、第2無給電素子11cとループアンテナ11aとが平行となる部分と、上下(Xから−X)方向に延びる部分とから構成される。第2無給電素子11cは、円偏波の縦成分を上下方向部分で受信し、受信した円偏波の縦成分をループアンテナ11aと並行の容量結合部分でループアンテナ11aに供給する。
【0029】
なお、ループアンテナ11aは、円偏波における横成分を受信する。また、円偏波は時間により電界方向が変化するため、円偏波を完全に受信するには、円偏波を常時受信する必要がある。第2無給電素子11cは、この円偏波の縦成分を受信し、ループアンテナ11aに供給する。これにより、ループアンテナ11aは、円偏波の縦成分と横成分とを同相で受信できる。
【0030】
第2無給電素子11cとループアンテナ11aとが平行となる部分の間の距離Iは、0.5[mm]である。第2無給電素子11cの上下(Xから−X)方向の長さJは、40.5[mm]である。第2無給電素子11cのループアンテナ11aと平行となる部分の長さKは、20.5[mm]である。第2無給電素子11cの導体の幅Lは、0.98[mm]である。なお、第2無給電素子11cの導体の全長は、ループアンテナ11aが受信する電波の約2分の1波長より長く構成される。また、この第2無給電素子11cの導体の全長は、ループアンテナ11aが受信する電波の波長の整数倍でもよい。
【0031】
図4は、
図3におけるループアンテナ11aの一部分PAを拡大した図である。
図4に示すように、ループアンテナ11aは、銅線からなる編組線BWで構成される。編組線BWは、網目状(いわゆる、メッシュ状又は格子状)の配線であり、銅箔による印刷によって形成される。ループアンテナ11aを銅線の編組線BWで構成することにより、インピーダンスを適切に確保し、切断され難いアンテナとすることができる。インピーダンスは、例えば75[Ω]である。
【0032】
編組線BWを構成する各線は、ループアンテナ11aの上下及び左右方向に沿って配置される。すなわち、ループアンテナ11aの上下方向に対して直交して配置される。
【0033】
編組線BWは、黒色に着色される。編組線BWに反射して車両2内部に差し込まれる光線を低減するためである。このような光線は車両2内部に着座する乗員にとって、視覚的に煩わしく感じる場合があるからである。なお、黒色だけでなく黒系統の色であればよい。要するに、乗員に対して防眩の効果がある色彩であればよい。これにより、無着色(金属(銅)色)の単線により構成されたループアンテナ及び無給電素子に比べて、車両の乗員はループアンテナ及び無給電素子に対し、視覚的な煩わしさがない。
【0034】
図5は、編組線BWの他の例である。
図5に示すように、編組線BWは、ループアンテナ11aの上下方向の部分に対して斜めに配置されてもよい。すなわち、ループアンテナ11aの上下方向に対し、いわゆるバイアスして配置されてもよい。
【0035】
図6は、
図4に示した編組線BWの一部を拡大した図である。
図6に示すように、編組線BWの1本の太さPは、約0.02[mm]である。編組線BWの各線の間隔Qは、約0.3[mm]である。編組線BWの全幅Rは、約0.98[mm]である。
【0036】
<1−3.指向性>
次に、GPSアンテナ11の指向性について説明する。
図7は、GPSアンテナ11(図示せず)を車両2のフロントガラスFGの内側に貼付し、車両2を側面から見た図である。
【0037】
第1無給電素子の略水平方向に直線的に延びた第1部分の長短により、GPSアンテナ11の指向性の方向、すなわち指向軸を変えることができる。具体的には、第1無給電素子の第1部分の長さをループアンテナ11aの受信電波の波長に対して一定以上の長さとすると、ループアンテナ11aの受信の指向性D1の方向は、ループアンテナ11aの中心点CPに立てた垂直軸Yに対し、第1無給電素子の配置された側とは反対側の斜め上方を向いた指向軸Zとなる。
【0038】
したがって、第1無給電素子の第1部分の長さをループアンテナ11aの受信電波の波長に対する一定以上の長さであるGPSアンテナ11を、車両2の傾斜したフロントガラスFGに配置すると、GPSアンテナ11の受信の指向軸を矢印Zで示す天頂方向に向けることができる。このため、GPSアンテナ11は、GPS衛星からの電波を受ける指向特性として有利な天頂方向に対する利得を良好に確保でき、受信感度を向上できる。
【0039】
図8は、GPSアンテナ11を車両2のフロントガラスFGの内側に貼付し、車両2を前面から見た図である。
【0040】
第1無給電素子の略水平方向に直線的に延びた第1部分の両端部のそれぞれに接続され、かかる両端部から上方向に直線的に延びる第1無給電素子の第2部分は、GPSアンテナ11の指向性の幅を変えることができる。すなわち、第1無給電素子の第2部分を備えたGPSアンテナ11の指向性D2は、第1無給電素子の第2部分を備えないGPSアンテナ11の指向性D3に比較して、指向性の幅を細めることができる。これにより、GPSアンテナ11は、GPS衛星からの電波を受けるのに有利な指向特性、すなわち天頂方向に対する利得を良好に確保でき、受信感度を向上できる。
【0041】
<1−4.受信感度>
次に、GPSアンテナ11の電波の受信感度について説明する。
図9は、従来のGPSアンテナの受信感度を基準とし、各構成のGPSアンテナの電波の受信感度を対比して示す。
【0042】
従来のGPSアンテナは、長方形ループ形状のDTVアンテナをリフレクタ(反射器)として利用するため、DTVアンテナで囲まれたアンテナである。このような従来のアンテナの感度を基準とする(±0.0dB)。なお、以下で説明する各GPSアンテナは、DTVのループアンテナを備えないものである。
【0043】
第2無給電素子のみを備えたGPSアンテナの感度差は、従来のアンテナの感度に対して、−1.0dBである。
【0044】
左右方向の直線状の無給電素子、すなわち第1無給電素子の第1部分と第2無給電素子とを備えたGPSアンテナの感度差は、従来のアンテナの感度に対し、−0.3dBである。すなわち、0.7dB向上している。なお、この場合の第1無給電素子の第1部分の長さは、ループアンテナ11aで受信する電波の波長の約2分の1以上である
第1無給電素子と第2無給電素子とを備えたGPSアンテナ11の感度差は、従来のアンテナの感度に対して、+0.2dBである。第1無給電素子の第1部分と第2無給電素子とを備えたGPSアンテナに対しては、0.5dB向上している。
【0045】
このように、第1無給電素子の第1部分と第2無給電素子とを備えたGPSアンテナより、第1無給電素子(第1部分及び第2部分を含む)と第2無給電素子とを備えたGPSアンテナ11の方が、受信感度は向上する。また、DTVのループアンテナと第2無給電素子とを備え、第1無給電素子を備えない従来のアンテナより、第1無給電素子と第2無給電素子とを備えたGPSアンテナ11の方が受信感度は向上する。したがって、DTVのループアンテナを備えなくとも、第1無給電素子を備えることで、GPSアンテナ11の感度を高めることができる。
【0046】
以上のように、車両用アンテナ1は、略菱形状のループアンテナ11aと、このループアンテナ11aの下方向に離間して配置された第1無給電素子とを備える。第1無給電素子は、略水平方向に直線的に延び、その略中心がループアンテナ11aの対角線に交差する第1部分と、第1部分の両端部のそれぞれに接続され、両端部から上方向に直線的に延びる第2部分とを備える。ループアンテナ11aの外側近傍にこのような第1無給電素子11bを配置することで、車両用アンテナ1は、天頂方向の利得を確保できる。また、従来のように長方形のDTVのループアンテナを備える必要がないため、アンテナを小型化できる。また、フロントガラスの美的外観を低下させることがない。
【0047】
<1−5.DTVアンテナの構成>
次に、DTVアンテナ12、13、及び14の構成について説明する。
図10から
図12は、DTVアンテナ12、13、及び14を電波の到来方向の逆方向から見たものである。すなわち、DTVアンテナ12、13、及び14を車両のフロントガラスFGの内側に貼り付け、これを車室内側から見たものである。
図10から
図12において、DTVアンテナ12、13、及び14は、車両のフロントガラスFG内側の車両のボディBD近傍に設置される。なお、ボディBDは、車両のルーフ部分に相当する。
【0048】
図10は、DTVアンテナ12の構成を示す。DTVアンテナ12は、第1アンテナ導体12a、第2アンテナ導体12b、DTV基板12c、DTVケーブル12d、GPS基板12e、GPSケーブル12f、及び透明フィルム12gを備える。
【0049】
第1アンテナ導体12aは、テレビ電波を受信するためのアンテナである。第1アンテナ導体12aは、主に左右(−YからY)方向に延び、車両における前後方向の指向性を確保する。第1アンテナ導体12aの長さは、ループアンテナ11aの受信電波の波長(テレビ電波(地上デジタルテレビ電波)帯の波長約60cmから39cm)の4分の1より少し長く構成される。第1アンテナ導体12aは、上下(Xから−X)方向に蛇行する部分と左右(−YからY)方向に延びる直線部分とを有する。蛇行部分を有することにより、第1アンテナ導体12aは、アンテナ全体が長くなるのを抑えて一定のアンテナ実行長を確保できる。第1アンテナ導体12aは、導体薄膜、ワイヤ、導電性インク、又は銅箔等の導体による印刷によって形成される。なお、第1アンテナ導体12aのうち車両のボディBDに近い部分とボディBDとの距離Sについては、後述する。
【0050】
第2アンテナ導体12bは、テレビ電波を受信するための直線状のアンテナである。第2アンテナ導体12bは、主に上下(Xから−X)方向に延び、車両における左右(−YからY)方向の指向性を確保する。第2アンテナ導体12bの長さは、テレビ電波帯の電波の波長の4分の1より少し長く構成される。
【0051】
DTV基板12cのアンテナの入力端子は、第1アンテナ導体12a及び第2アンテナ導体12bの一端と接続され、出力端子には後述のDTVケーブル12dが接続される。DTV基板12cは、アンプやバランス回路(平衡−不平衡変換回路)を備える。DTV基板12cは、第1アンテナ導体12a及び第2アンテナ導体12bが受信したテレビ電波に増幅処理等を行い、DTVケーブル12dへ出力する。
【0052】
DTVケーブル12dは、DTV基板12cと図示しないTVチューナ(セレクタ)とを接続する同軸ケーブルである。したがって、第1アンテナ導体12a及び第2アンテナ導体12bで受信された電波は、DTV基板12cで増幅処理等が行われると、DTVケーブル12dを導通してTVチューナに入力される。なお、DTVケーブル12dのアース線は、他の単芯ケーブルによって車両のボディBDの一部に接続されて接地される。
【0053】
GPS基板12eのアンテナの入力端子は、図示しないループアンテナ11aの両端と接続され、出力端子には後述のGPSケーブル12fが接続される。DTV基板12eは、アンプや給電端子を備える。GPS基板12eは、ループアンテナ11aが受信した電波に増幅処理等を行い、GPSケーブル12fへ出力する。
【0054】
GPSケーブル12fは、GPS基板12eと図示しない受信機、例えばGPSレシーバとを接続するケーブルである。したがって、ループアンテナ11aで受信された電波は、GPS基板12eで増幅処理等が行われると、GPSケーブル12fを導通してGPSレシーバに入力される。
【0055】
透明フィルム12gは、一方の面にGPSアンテナ11及び第2アンテナ導体12bが備えられる。このような透明フィルム12gを車両のフロントガラスFGに貼付することで、GPSアンテナ11及び第2アンテナ導体12bを車両に設置できる。
【0056】
図11は、DTVアンテナ13の構成を示す。DTVアンテナ13は、第1アンテナ導体13a、第2アンテナ導体13b、DTV基板13c、DTVケーブル13d、及び透明フィルム13eを備える。
【0057】
第1アンテナ導体13aは、テレビ電波を受信するためのアンテナであり、主に左右(−YからY)方向に延び、車両における前後方向の指向性を確保する。第1アンテナ導体13aの長さは、テレビ電波帯の受信電波の波長の4分の1より少し長く構成される。第1アンテナ導体12aは、上下(Xから−X)方向に蛇行する部分を有する。
【0058】
ただし、前述のDTVアンテナ12の第1アンテナ導体12aのように、左右−方向に延びる直線部分は有さない。蛇行部分を有することにより、第1アンテナ導体12aは、アンテナ全体が長くなるのを抑え、一定のアンテナ実行長さを確保できる。第1アンテナ導体13aは、導体薄膜、ワイヤ、導電性インク、又は銅箔等の導体による印刷によって形成される。なお、第1アンテナ導体13aのうち車両のボディBDに近い部分とボディBDとの距離Tについては、後述する。
【0059】
第2アンテナ導体13bは、テレビ電波を受信するための直線状のアンテナである。第2アンテナ導体13bは、主に上下(Xから−X)方向に延び、車両における左右(−YからY)方向の指向性を確保する。第2アンテナ導体13bの長さは、テレビ電波帯の電波の波長の4分の1より少し長く構成される。
【0060】
DTV基板13cのアンテナ入力端子は、第1アンテナ導体13a及び第2アンテナ導体13bの一端と接続され、出力端子は後述のDTVケーブル13dが接続される。DTV基板13cは、アンプやバランス回路(平衡−不平衡変換回路)を備える。DTV基板13cは、第1アンテナ導体13a及び第2アンテナ導体13bが受信したテレビ電波に増幅処理等を行い、DTVケーブル13dへ出力する。
【0061】
DTVケーブル13dは、DTV基板13cと図示しないTVチューナ(セレクタ)とを接続する同軸ケーブルである。したがって、第1アンテナ導体13a及び第2アンテナ導体13bで受信された電波は、DTV基板13cで増幅処理等が行われると、DTVケーブル13dを導通してTVチューナに入力される。なお、DTVケーブル13dのアース線は、他のケーブルによって車両のボディBDの一部に接続されて接地される。
【0062】
透明フィルム13eは、一方の面に第2アンテナ導体13bが備えられる。このような透明フィルム13eを車両のフロントガラスFGに貼付することで、第2アンテナ導体13bを車両に設置することができる。
【0063】
図12は、DTVアンテナ14の構成を示す。DTVアンテナ14は、第1アンテナ導体14a、第2アンテナ導体14b、DTV基板14c、DTVケーブル14d、グランド導体14e、第3アンテナ導体14f、DTV基板14g、DTVケーブル14h、及び透明フィルム14iを備える。
【0064】
第1アンテナ導体14aは、テレビ電波を受信するためのアンテナである。第1アンテナ導体14aは、主に左右(−YからY)方向に延び、車両における前後方向の指向性を確保する。第1アンテナ導体14aの長さは、テレビ電波帯の電波の波長の4分の1より少し長く構成される。第1アンテナ導体14aは、上下(Xから−X)方向に蛇行する部分と左右(−YからY)方向に延びる直線部分とを有する。蛇行部分を有することにより、第1アンテナ導体14aは、アンテナ全体が長くなるのを抑え、一定のアンテナ実効長を確保できる。第1アンテナ導体14aの一端は、後述のDTV基板14cに接続されている。第1アンテナ導体14aは、導体薄膜、ワイヤ、導電性インク、又は銅箔等の導体による印刷によって形成される。
【0065】
第2アンテナ導体14bは、テレビ電波を受信するための直線状のアンテナである。第2アンテナ導体14bは、主に上下(Xから−X)方向に延び、車両における左右(−YからY)方向の指向性を確保する。第2アンテナ導体14bの長さは、テレビ電波帯の電波の波長の4分の1より少し長く構成される。
【0066】
DTV基板14cのアンテナ入力端子は、第1アンテナ導体14a及び第2アンテナ導体14bの一端と接続され、出力端子は後述のDTVケーブル14dが接続される。DTV基板14cは、アンプやバランス回路(平衡−不平衡変換回路)を備える。DTV基板14cは、第1アンテナ導体14a及び第2アンテナ導体14bが受信したテレビ電波に増幅処理等を行い、DTVケーブル14dへ出力する。
【0067】
DTVケーブル14dは、DTV基板14cと図示しないTVチューナ(セレクタ)とを接続する同軸ケーブルである。したがって、第1アンテナ導体14a及び第2アンテナ導体14bで受信された電波は、DTV基板14cで増幅処理等が行われると、DTVケーブル14dを導通してTVチューナに入力される。なお、DTVケーブル14dのアース線は、他のケーブルによって車両のボディBDの一部に接続されて接地される。
【0068】
グランド導体14eは、第1アンテナ導体14aと同様の形状をなし、一端がアースに接続された導体である。グランド導体14eは、第1アンテナ導体14aと点対称に配置される。第1アンテナ導体14aは、上下(Xから−X)方向に蛇行する部分と左右(−YからY)方向に延びる直線部分とを有する。グランド導体14eの直線部分と第1アンテナ導体14aの直線部分とは、並行して配置される。これにより、グランド導体14eは、第1アンテナ導体14aのインピーダンスを適切に保つよう機能する。第1アンテナ導体14aのインピーダンスは、例えば75[Ω]である。
【0069】
第3アンテナ導体14fは、テレビ電波を受信するためのアンテナである。第3アンテナ導体14fは、主に左右(−YからY)方向に延び、車両における前後方向の指向性を確保する。第3アンテナ導体14fの長さは、テレビ電波帯の電波の波長の4分の1より少し長く構成される。第3アンテナ導体14fは、左右(−YからY)方向に延びる直線部分とクランク形状の部分とを有し、終端部分はいわゆる「コ」の字型となる。第3アンテナ導体14fの一端は、後述のDTV基板14gのアンテナ入力端子に接続されている。第1アンテナ導体12aは、導体薄膜、ワイヤ、導電性インク、又は銅箔等の導体による印刷によって形成される。
【0070】
DTV基板14gグランド端子及びアンテナ入力端子は、グランド導体14e及び第3アンテナ導体14fの一端と接続され、出力端子は後述のDTVケーブル14hが接続される。DTV基板14gは、アンプやバランス回路(平衡−不平衡変換回路)を備える。DTV基板14gは、第3アンテナ導体14fが受信したテレビ電波に増幅処理等を行い、DTVケーブル14hへ出力する。
【0071】
DTVケーブル14hは、DTV基板14gと図示しないTVチューナ(セレクタ)とを接続する同軸ケーブルである。したがって、第3アンテナ導体14fで受信された電波は、DTV基板14gで増幅処理等が行われると、DTVケーブル14hを導通してTVチューナに入力される。なお、DTVケーブル14hのアース線は、他の単芯ケーブルによって車両のボディBDの一部に接続されて接地される。
【0072】
透明フィルム14iは、一方の面に第2アンテナ導体14bが備えられる。このような透明フィルム14iを車両のフロントガラスFGに貼付することで、第2アンテナ導体14bを車両に設置できる。
【0073】
次に、アンテナ導体12a、13a、並びに14a、及びグランド導体14e(以下、アンテナ導体12aと言う。)のうち車両のボディBDに近い部分とボディBDとの距離S、T、U、及びVについて説明する。DTVアンテナ12、13、及び14は車両のボディBD近傍に設置されるため、金属製のボディBDがアースとして機能し、アンテナ導体12a等のインピーダンスに影響を与える。このため、アンテナ導体12a等のうち車両のボディBDに近い部分とボディBDとの各々の距離S、T、U、及びVは、アンテナ導体12a等が適切なインピーダンスを保てる距離である。例えば、距離S、T、U、及びVは各々10[mm]である。アンテナ導体12a、13a、及び14aのインピーダンスは、例えば75[Ω]である。
【0074】
<2.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は上記実施の形態に限定されることはない。様々な変形が可能である。以下、変形例を説明する。なお、上記及び以下の実施の形態は、適宜組み合わせ可能である。
【0075】
車両用アンテナ1は、車両に設置されると説明したが、設置される車両には自動車のほか二輪車、鉄道、航空機、及び船舶を含む。また、車両用アンテナ1は、車両のみならず住宅やビル等の建物に設置してもよい。
【0076】
車両用アンテナ1は、フロントガラスFGに貼付するとしたが、リアガラスやサイドガラス、ルーフガラスに貼付してもよい。電波を受け得る窓ガラスであればよい。また、窓の材料はガラスのほかプラスチックでもよい。
【0077】
車両用アンテナ1は、フロントガラスFGに貼付するとしたが、フロントガラスFG内に埋め込まれてもよい。
【0078】
車両用アンテナ1は、電波を受信するとしたが、電波の発信に用いてもよい。
【0079】
車両用アンテナ1は、GPS衛星等の電波を受信し、GPSに利用されるとしたが、GPS衛星やGPSには限定されない。測位衛星であればよく、また測位システムであればよい。
【0080】
ループアンテナ11aは、編組線BWで構成されるとしたが、編組線BWでなくともよい。1本の配線でもよい。適切にインピーダンスを保ち、断裂し難いものであればよい。