(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154310
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】レゾルバ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20170619BHJP
G01D 5/20 20060101ALI20170619BHJP
H02K 1/00 20060101ALI20170619BHJP
H02K 5/08 20060101ALI20170619BHJP
H02K 24/00 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
H02K1/18 A
G01D5/20 110H
H02K1/00 B
H02K5/08 A
H02K24/00
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-259947(P2013-259947)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2015-119523(P2015-119523A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594183299
【氏名又は名称】株式会社松尾製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相原 浩
(72)【発明者】
【氏名】朝永 岳志
(72)【発明者】
【氏名】山下 重利
(72)【発明者】
【氏名】関冨 勇治
(72)【発明者】
【氏名】今枝 宏旨
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 紀春
(72)【発明者】
【氏名】森島 康貴
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−104241(JP,A)
【文献】
特開2006−027355(JP,A)
【文献】
特開2013−198324(JP,A)
【文献】
特開2004−007903(JP,A)
【文献】
特開2006−064409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
G01D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レゾルバロータの外周側に配置された円環状のレゾルバコア、及び、レゾルバコアの外周側の全周に渡って所定の空隙を空けて配置され非磁性体板材で構成された外部取付部材を樹脂であるレゾルバインシュレータで一体化モールドされた状態の一体化構造と、
一体化構造においてレゾルバインシュレータによって絶縁されたレゾルバコアの内周側に沿って配置されたレゾルバコイルと、
を備えることを特徴とするレゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機におけるロータの回転位置を検出するためにレゾルバが用いられる。レゾルバは、回転電機のロータ軸にレゾルバロータを取り付け、レゾルバコイルが巻回されたレゾルバステータをレゾルバロータの外周側に配置した構造を有する。ここで、レゾルバコイルとして、励磁信号が供給される励磁コイル、互いに90度位相が異なる検出信号をそれぞれ出力する2つの検出コイルを用い、励磁信号と2つの検出信号とに基づいて、レゾルバロータの回転位置、すなわち回転電機のロータの回転位置を求める。
【0003】
特許文献1には、レゾルバに外部から入ってくるモータやインバータ等からのノイズの影響を抑制するために、レゾルバステータの外周側のプレート部分において周方向に沿って複数の内側空隙と外側空隙とを設ける構造が開示される。これにより、外部から侵入した磁気に起因するノイズは、内側空隙および外側空隙の外側を迂回し、大部分が内側空隙および外側空隙で遮断されると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−064409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1の構造では、外部から侵入した磁気に起因するノイズの大部分が内側空隙および外側空隙で遮断されるが、内側空隙および外側空隙の外側を迂回するノイズがあり、外部ノイズの影響の抑制が十分でないことがある。
【0006】
本発明の目的は、外部ノイズの影響をさらに効果的に抑制できるレゾルバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレゾルバは、レゾルバロータの外周側に配置され
た円環状のレゾルバコア
、及び、レゾルバコアの外周側の全周に渡って所定の空隙を空けて配置され
非磁性体板材で構成された外部取付部材
を樹脂であるレゾルバインシュレータで一体化モールドされた状態の一体化構造と、一体化構造においてレゾルバインシュレータによって絶縁されたレゾルバコアの内周側に沿って配置されたレゾルバコイルと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、本発明に係るレゾルバは、レゾルバコイルが配置されるレゾルバコアの外周側の全周に渡って所定の空隙を空けて外部取付部材が配置される。したがって、外部取付部材から侵入する外部ノイズが所定の空隙で遮断されレゾルバコイルに到達するのを効果的に防止する。これによって、従来技術に比べ、外部ノイズの影響をさらに効果的に抑制できる。
【0011】
また、本発明に係るレゾルバは、レゾルバコアと外部取付部材が別体であるので、外部取付部材の材料選択の自由度が高い。そこで、外部取付部材を非磁性材料で構成することで、外部ノイズが外部取付部材経由でレゾルバコイルに到達することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る実施の形態のレゾルバの構成図である。
【
図3】本発明に係る実施の形態のレゾルバにおいて、レゾルバコアと外部取付部材との間に設けられる所定の空隙を示す図である。
【
図4】
参考実施例として、外部取付部材の材質がレゾルバコアと同じ磁性体であるときにおいて、レゾルバコアと外部取付部材との間に設けられる空隙の大きさと外部ノイズによる外乱誤差の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、ハイブリッド車両駆動装置におけるモータジェネレータの回転位置を検出するレゾルバを述べるが、これ以外の用途に用いられる回転電機の回転位置を検出するレゾルバであっても構わない。また、レゾルバとして、バリアブルリラクタンス型レゾルバを述べるが、これは説明のための例示であって、レゾルバコイルが配置されるレゾルバコアと、レゾルバコアに一体化された外部取付部材を有するものであれば、それ以外の形式のレゾルバであってもよい。例えば磁石磁界変化検出型レゾルバであってもよい。
【0015】
以下に述べる寸法、形状、材質等は、説明のための例示であって、レゾルバの仕様等により、適宜変更が可能である。また、以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、ハイブリッド車両駆動装置におけるモータジェネレータの回転位置を検出するレゾルバ10の構成図である。レゾルバ10は、レゾルバロータとレゾルバステータとの組み合わせで構成されるが、レゾルバロータは、モータジェネレータのロータ軸に取り付けられるものであるので、
図1ではその図示を省略した。したがって、
図1は、実質的にレゾルバステータの構成図である。
図2は、
図1の各要素を分解した分解図である。
【0017】
図1、
図2において、レゾルバ10は、図示されていないレゾルバロータの外周側に所定の間隔を空けて配置されるレゾルバコア12と、レゾルバコア12に巻回されるレゾルバコイル14と、レゾルバコイル14とレゾルバコア12との間を絶縁するレゾルバインシュレータ16と、レゾルバコア12の外周側の全周に渡って所定の空隙24を空けて配置されレゾルバインシュレータ16を介してレゾルバコア12と一体化される外部取付部材20を含んで構成される。
【0018】
レゾルバ10は、次のような手順で形成される。すなわち、
図2に示すように複数の分割コア13を準備し、これを樹脂モールド等で一体化して円環状のレゾルバコア12にする。別途、外部取付部材20とターミナル19を準備する。そして、レゾルバコア12と外部取付部材20とターミナル19を
図1で示す配置関係で組み立て、これらを樹脂モールドで一体化する。モールドされた樹脂部がレゾルバインシュレータ16となる。その後、円環状のレゾルバコア12にレゾルバコイル14を巻回して、レゾルバ10を得る。
【0019】
レゾルバコア12は、複数の分割コア13を組み合わせると円環状になるように形成された磁性体部材である。
図1,2の例では、10個の分割コア13でレゾルバコア12が構成される。10個の分割コア13を組み合わせて一体化されたときのレゾルバコア12は、内周に沿って設けられる複数のティースと、隣接するティースの間の貫通空間である複数のスロットを有する。分割コア13は、一体化されたときのレゾルバコア12の各ティースを2分割するようにして、それぞれ形成される。すなわち、分割コア13は、1つのスロットの周方向両側にそれぞれ半分に分割されたティース部を有する略C字形磁性体部品である。かかる分割コア13は、所定の分割形状に成形された磁性体薄板を複数積層して得られる。得られた分割コア13を円環状に組み合わせ、樹脂モールド等で一体化して、レゾルバコア12が得られる。これに代えて、複数のティースと複数のスロットを含む所定の形状に成形された円環状の磁性体薄板を複数積層したものを所定の分割数で分割し、複数の分割コア13としてもよい。磁性体薄板としては、電磁鋼板を用いることができる。磁性体薄板の積層体に代えて、磁性粉末を分割コア13の形状に成形したものを用いることもできる。
【0020】
外部取付部材20は、レゾルバインシュレータ16を介してレゾルバコア12と一体化される。すなわち、レゾルバ10の状態では、レゾルバコア12と、外部取付部材20とがレゾルバインシュレータ16を介して一体化されている。外部取付部材20は、一体化されたレゾルバ10を、モータジェネレータのモータケース等に取り付けるための取付部22を有する。
【0021】
外部取付部材20は、従来技術の特許文献1におけるレゾルバコアのプレート部分に対応する部材であるが、ここでは、レゾルバコア12と別体で、レゾルバコア12の外周側の全周に渡って所定の空隙24を空けて配置される円環状の部材である。
【0022】
ターミナル19は、レゾルバコイル14と外部のレゾルバ信号処理回路とを接続するための端子台である。ターミナル19は、レゾルバコイル14から引き出される励磁コイルの2端子と、2つの検出コイルのそれぞれから引き出される合計4端子を接続する6つのコイル接続ピン17と、6つの接続ピン17から引き出される6つの外部接続端子18を有する。かかるターミナル19としては、所定の形状に曲げ成形された6本の金属端子線を樹脂モールドし、一方側に6本の金属端子線のそれぞれの一方側先端部を突き出してコイル接続ピン17とし、他方側に6本の金属端子線のそれぞれの他方側先端部を突き出して外部接続18としたものを用いることができる。
【0023】
レゾルバインシュレータ16は、レゾルバコア12と外部取付部材20とターミナル19を樹脂モールドで一体化したときの樹脂部である。レゾルバインシュレータ16は、レゾルバコア12と外部取付部材20との間を絶縁するために略円環状の形状を有する。
【0024】
かかるレゾルバインシュレータ16は、耐薬品性、耐高温性、耐高湿性等を有する樹脂を用いて所定の形状に成形したものを用いることができる。樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ナイロン樹脂コンパウンド等を用いることができる。
【0025】
レゾルバコイル14は、励磁コイルと2つの検出コイルを所定のレゾルバ巻回方法でレゾルバコア12に巻回した巻線コイルである。レゾルバコイル14は、レゾルバコア12の各ティースに、絶縁皮膜付き導線を所定の巻数で巻回される。レゾルバ10となったときには、レゾルバコア12の各ティースに巻回された部分が円環状のボビンの形状になる。
図2の分解図では、レゾルバコイル14を模式的に10個のボビン15で示した。
【0026】
かかるレゾルバコイル14に用いられる絶縁皮膜付き導線としては、素線として銅線、銅錫合金線、銀メッキ銅錫合金線等を用いることができ、絶縁皮膜としては、ポリアミドイミドのエナメル皮膜が用いられる。これに代えて、ポリエステルイミド、ポリイミド、ポリエステル、ホルマール等を用いることができる。
【0027】
図3は、レゾルバコア12と外部取付部材20との間に設けられる所定の空隙24を示す図である。(a)は、レゾルバ10において、レゾルバコア12と外部取付部材20を抜き出した斜視図で、(b)は、その一部を拡大した上面図である。所定の空隙24は、レゾルバコア12の外周側面と、外部取付部材20の内周側面との間に、空隙の大きさCとして設けられる。空隙の大きさCは、レゾルバコア12の外周側面と、外部取付部材20の内周側面との間
における最短距離で示される。
【0028】
外部取付部材20は、レゾルバ10において外側に張り出す部材であるので、外部のモータやインバータ等からの磁気ノイズに曝されることが多い。外部取付部材20が磁性体であると、この磁気ノイズは、磁性体を伝わってレゾルバコア12へ向かう。所定の空隙24は、この外部取付部材20側からの磁気ノイズ伝達を遮断する機能を有する。所定の空隙24の空隙の大きさCが大きいほど、磁気ノイズを遮断する能力が大きい。
【0029】
図4は、
参考実施例として、外部取付部材20の材質がレゾルバコア12と同じ磁性体であるときの外部ノイズ遮断の能力と空隙の大きさCとの関係を実験的に求めた結果である。
図4の横軸は、空隙の大きさCで、縦軸は、外乱誤差である。外乱誤差とは、レゾルバコイル14の出力信号が磁気ノイズの影響を受けて生じる誤差で、レゾルバコイル14から出力される信号に対するレゾルバコイル14が受ける外部ノイズとの比をS/N比として、{1−(S/N)}に相当する値である。例えば、レゾルバコイル14の出力電圧波形の歪みを測定することで、外乱誤差の大きさを評価できる。
【0030】
図4に示されるように空隙の大きさCが大きくなるに従って、外乱誤差は低下する。特に、空隙の大きさCが小さい範囲で、その低下は急激に生じ、ある程度の空隙の大きさ以上ではその低下の程度は緩やかになる。
図4の例では空隙の大きさC
0以上では、外乱誤差の低下は緩やかになる。このことから、所定の空隙24は、空隙の大きさをC
0以上に設定することがよい。
【0031】
上記では、外部取付部材20の材質がレゾルバコア12と同じ磁性体であるとしたが、レゾルバコア12と外部取付部材20は別体で構成され、互いに分離しているので、外部取付部材20の材質の選択に自由度がある。すなわち、適当な強度がある材料を用いて、所定の形状に成形したものを外部取付部材20として用いることができる。例えば、材料として、アルミニウム等の非磁性体の金属を用いることができ、あるいは、樹脂を用いることができる。
【0032】
非磁性体の材料で外部取付部材20を構成することで、外部ノイズが外部取付部材20経由でレゾルバコイル14に到達することを防ぐことができる。この場合には、所定の空隙24の空隙の大きさの設定を気にしなくてもよい。また、レゾルバ10におけるセンサ部分はレゾルバコア12のみとなり、外部取付部材20を含まないので、レゾルバコア12と外部取付部材20を同一材料で一体として製造する場合に比べ、センサとしての歩留まりが向上し、コスト低減が可能になる。
【符号の説明】
【0033】
10 レゾルバ、12 レゾルバコア、13 分割コア、14 レゾルバコイル、15 ボビン、16 レゾルバインシュレータ、17 コイル接続ピン、18 外部接続ピン 19 ターミナル、20 外部取付部材、22 取付部、24 所定の空隙。